説明

航空機胴体構造フレーム

【課題】本発明の対象は、下部アーチ(1)、床部材(3)を支持する横梁(2)、および下部アーチ(1)と横梁(2)の間の連結格子(4)を含む胴体構造フレームである。
【解決手段】連結格子(4)は、端部が横梁(2)と下部アーチ(1)とに添え継ぎされたバー(4a、4b)から構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低質量でありながら大きな負荷を受けるようになされた床支持体を実現する航空機胴体構造フレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機胴体構造は、胴体の軸に対して横方向に配置されたフレームを含み、フレームの下部は一般にアーチと呼ばれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
航空機が飛行中に、特にキャビン内部の与圧の作用により床面が変形する傾向に打ち勝つためには、航空機の船倉の床面など床支持体の横方向部材をフレームに連結することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、金属製アーチと、床支持体を形成する複合材横梁とを備えた構造を構成することにより、航空機の床支持手段を形成する航空機の構造フレームを実現するように特に適合されている。
【0005】
これを実現するため、本発明は主に、下部アーチと、床部材を支持する横梁と、下部アーチと横梁の間の連結格子とから成る、胴体構造フレームに関する。
【0006】
横梁が下部アーチから遠ざけられ金属製または複合材の格子によりこのアーチに連結されるこの構成により、できる限り少ない質量および低いコストで、慣性がきわめて大きくかつきわめて背の高いフレームを作製することができ、下部構造は、フレーム全体の剛性に寄与する、横梁、格子、下部アーチから構成される。
【0007】
さらに、有利な実施例によれば、端部が横梁および下部アーチに添え継ぎされた複合材料製のバーから成る連結格子を使用することにより、胴体の外板と、構成部材(構造体またはシステム)が設置されているフレームの横梁との間の熱交換を最小限に抑えることができる。
【0008】
本発明のその他の特徴および長所は、図面を参照して行う本発明の実施の非限定的な例についての以下の説明を読むことにより、よりよく理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、下部アーチ1、床部材3を支持する横梁2、および下部アーチ1と横梁2の間の連結格子4を含む胴体構造フレームの全体図である。
【0010】
横梁2が下部アーチ1から間隔をおかれ格子4によりこのアーチに連結されるこの構成により、慣性がきわめて大きくきわめて背の高いフレームを作製することができる。
【0011】
下部構造は、横梁2と、端部が下部アーチ1および横梁2に添え継ぎされたバー4a、4bから成る格子4とを備え、下部アーチ1は床を完璧に支持し、フレーム全体を補剛し、したがってたとえば貨物飛行機構成に特に適合しており、横梁2と下部アーチ1との間に間隔を設け横梁2および格子4用に複合材を使用することにより、胴体の外板と、構成部材が設置されているフレームの横梁との間の熱交換を最小限に抑えることができる。
【0012】
アーチと横梁を連結するために、上部フレーム部材5は、横梁2および下部アーチ1との連結用のアーム6a、6b、7a、7bを備える。上部フレーム部材5および下部アーチ1は胴体構造のフレームの一部を成す。
【0013】
図1の例によれば、連結アーム6a、6b、7a、7bは上部フレーム部材5の各端部にフォークを形成し、下部アーチ1および横梁2は添え継ぎにより各フォークのアーム6a、6b、7a、7bに固定される。
【0014】
横梁および下部アーチへのアームの固定は添え継ぎにより行われるが、アーム6aを横梁2の端部に固定する例を図2aに示す。
【0015】
この例によれば、下部アーチ1および横梁2は、当て金11、12およびボルト13を用いた突き合せ添え継ぎにより、各フォークのアーム6a、6b、7a、7bに固定される。
【0016】
好ましい実施例においては、バー4は、図3に示すように、断面がU字形の複合材料製のビームであり、同じく複合材料製である横梁2は、この例によれば、ウエブ2aの両端縁上に配置された方向が相対する2つの長手方向水平帯状部2b、2cを備えた垂直ウエブ2aの形態で作製され、帯状部のうちの一方は、帯状部2cのあらゆる歪みに対抗する折り返し唇状部2dとして自由端縁に設けることができる。
【0017】
下部アーチ1は横梁2と同様、複合材料製のアーチとすることができるが、機械加工したアルミニウムアーチなど金属製のアーチとすることもできる。
【0018】
下部アーチ1が金属製のアーチである場合、このアーチは、バーおよび上部フレームを固定する前に塗装され、バーと下部アーチの間の界面における腐食のリスクを回避するために、バー4a、4bの端部と下部アーチ1の間にガラス繊維クリース9が配置される。
【0019】
図2bの例によれば、下部アーチ1は、胴体のパネル14を支持する長手方向縦材8が通過する開口部10を備えるリブ付きビームである。
【0020】
図5は、縦材8と、フレーム同士を連結するロンジロン16とを有する胴体部分の構造の実施図である。
【0021】
フレームは、胴体構造に沿って互いに間隔をおいて配置され、それらの長手方向の位置および胴体の形状に応じて寸法が異なる。
【0022】
本発明による胴体構造のフレームは、金属部材を用いて、あるいは金属−複合材料の混合構造によって作製するように適合され、複合材料製の格子は金属または複合材料のアーチに添え継ぎされる。
【0023】
下部アーチ、上部フレーム部材、横梁、および連結格子の諸部材から成るアセンブリが全体の剛性に寄与する本発明は、図示の例に限定されるものではなく、特に図4は、上部フレーム部材が非対称型であり、アーム6a、6bを具備するフォークをその端部の一方に備え、単一固定プレート15を別の端部に備える、変形例を示すものであり、アーチ、横梁、および連結格子の諸部材から成るアセンブリを複合材料製とするか、あるいは諸部材の少なくとも1つを金属製とし他の部材を複合材料製とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による胴体構造のフレームの正面図である。
【図2a】図1のフレームの詳細斜視図である。
【図2b】図1のフレームの詳細斜視図である。
【図3】図1のフレームの格子の詳細斜視図である。
【図4】本発明による上部フレーム部材の下部の拡大正面図である。
【図5】本発明による胴体構造の2つのフレームの斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 下部アーチ
2 横梁
2a 垂直ウエブ
2b,2c 帯状部
2d 唇状部
3 床部材
4 連結格子
4a,4b バー
5 上部フレーム部材
6a,6b 連結アーム
7a,7b 連結アーム
8 縦材
9 ガラス繊維クリース
10 開口部
11,12 当て金
13 ボルト
14 パネル
15 固定プレート
16 ロンジロン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部アーチ(1)、床部材(3)を支持する横梁(2)、および下部アーチ(1)と横梁(2)の間の連結格子(4)から成ることを特徴とする胴体構造フレーム。
【請求項2】
前記連結格子(4)が、端部が横梁(2)と下部アーチ(1)とに添え継ぎされたバー(4a、4b)から成ることを特徴とする請求項1に記載の胴体構造フレーム。
【請求項3】
バー(4)が、断面がU字形の複合材料製のビームであることを特徴とする請求項2に記載の胴体構造フレーム。
【請求項4】
上部フレーム部材(5)が、横梁(2)および下部アーチ(1)との連結アーム(6a、6b、7a、7b)を備え、下部アーチ(1)とともに胴体のフレームを形成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の胴体構造フレーム。
【請求項5】
連結アーム(6a、6b、7a、7b)が上部フレーム(5)の各端部にフォークを形成し、下部アーチ(1)および横梁(2)が添え継ぎにより各フォークのアーム(6a、6b、7a、7b)に固定されることを特徴とする請求項4に記載の胴体構造フレーム。
【請求項6】
下部アーチ(1)が、長手方向縦材(8)が通過する開口部(10)を備えるリブ付きビームであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の胴体構造フレーム。
【請求項7】
下部アーチ(1)が機械加工された金属製アーチであり、バー(4a、4b)の端部と下部アーチ(1)の間にガラス繊維クリース(9)が配置されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の胴体構造フレーム。
【請求項8】
下部アーチ(1)が複合材料製のアーチであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の胴体構造フレーム。
【請求項9】
下部アーチ(1)および横梁(2)が突き合せ添え継ぎにより各フォークのアーム(6a、6b、7a、7b)に固定されることを特徴とする請求項5に記載の胴体構造フレーム。
【請求項10】
金属−複合材料の混合構造体により作製されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の胴体構造フレーム。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−519730(P2008−519730A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540690(P2007−540690)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050932
【国際公開番号】WO2006/051235
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)