説明

船外機の操舵装置

【課題】船舶内のクランプブラケットのチルト軸周りの構造を単純化し、操舵装置の面倒な取付作業を容易にすると共に、チルトアップ時のクランプブラケット周辺のスペースを広くした操舵装置を提供することを課題とする。
【解決手段】船外機6はブラケットの前方端部に設けられた水平方向のチルト軸21を中心にスイベルブラケット4が鉛直面内を回動して船外機6のチルト角及びトリム角を調整できるものであって、スイベル軸7に取り付けた旋回歯車23と、この旋回歯車23を駆動する駆動機構と駆動源である電動モータ19とをスイベルブラケット4と船外機6のエンジンカバー20との間に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動モータによって操舵力を発生する船外機の操舵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動モータを使用した船外機の操舵装置としては、図8及び図9に示したような、ラックとピニオンの駆動機構50を採用し、ピニオンの回転の駆動源として電動モータ51を用いて、ピニオンと一体になって左右に直線動作をするガイドプレート52に設けられた前後方向の長孔53と、船外機本体54に固定した水平なステアリングブラケット55の先端部に設けたガイドピン56を長孔53にスライド自在に嵌合して構成されるリンク機構57を介して、ラック上を移動するピニオンの直線運動をステアリングブラケット55の回動動作に変えて、このステアリングブラケット55の回動により船外機本体54を操舵するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この従来の船外機の操舵装置では、船外機本体54は、クランプブラケット58によって船舶59の船尾板60に取り付けられており、船外機本体54に固定されたスイベルブラケット61に回動自在に支承されたスイベル軸(図示せず)を中心にして船外機本体54を水平面内で左右に回動させて船舶59の推進方向を決定するようになっている。
【特許文献1】特開平4−38397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上のような従来の船外機の操舵装置では、電動モータ51及びラックとピニオンの駆動機構50は、船外機62と船尾板60を連結するクランプブラケット58の前方のチルト軸63近傍に取り付けられ、船尾板60の内側(船舶59の内側)に設けられている。また、クランプブラケット58に取付け用の孔を設けたり、船外機にステアリングブラケット55を設けなければならず、構造が複雑となり、駆動機構50を含めたクランプブラケット58のサイズも大きくなり船舶59への取付作業が面倒であった。さらに、チルトアップしたときの他の部材との干渉を防止するため、船舶59内のクランプブラケット58周辺のスペースを広く占有することとなっていた。
【0005】
この発明は、以上のような従来の船外機の操舵装置の問題点を解消するために、船舶内のクランプブラケットのチルト軸周りの構造を単純化し、操舵装置の面倒な取付作業を容易にすると共に、チルトアップ時のクランプブラケット周辺のスペースを広くした操舵装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、スイベルブラケットとクランプブラケットとからなるブラケットを介して船舶の船尾板に取り付けられる船外機と、前記ブラケットの後方端部に設けられた鉛直方向のスイベル軸と、前記船外機を前記スイベル軸を中心として水平面内に回動させる駆動手段とを有する船外機の操舵装置において、前記船外機は前記ブラケットの前方端部に設けられた水平方向のチルト軸を中心に前記スイベルブラケットが鉛直面内を回動して前記船外機のチルト角及びトリム角を調整できるものであって、前記スイベル軸に取り付けた旋回歯車と、該旋回歯車を駆動する駆動機構と、該駆動機構に駆動力を与える電動モータとを、前記スイベルブラケットと前記船外機のエンジンカバーとの間に配置したことを特徴としている。
【0007】
ここで、前方とは船首側を示し、後方とは船尾側を示すものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加えて、前記電動モータの出力軸に取り付けたウォームと該ウォームと噛合するウォームホイールとを使用した前記駆動機構を前記スイベルブラケットの中央乃至前方に配置したことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1の構成に加えて、前記駆動機構に前記電動モータの出力軸に取り付けた小傘形歯車と該小傘形歯車と噛合する大傘形歯車とを使用した前記駆動機構を前記スイベルブラケットの中央乃至後方に配置したことを特徴としている。
【0010】
ここで、傘形歯車とは、いわゆる歯すじがピッチ円の母直線と一致する直歯傘歯車、歯すじが曲線であってねじり角をもった曲がり歯傘歯車、ねじれ角が零である曲がり歯傘歯車(ゼロール傘歯車)の他、食い違い軸の間に運動を伝達する曲がり歯を有する円錐状の歯車(ハイポイドギヤ)を含む、歯車が略傘形をした歯車のことをいう。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2の構成に加えて、前記ウォームを鼓形ウォームとし、前記ウォームホイールを鼓形ウォームホイールとしたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2の構成に加えて、前記ウォーム及び前記ウォームホイールをハイポイド型としたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項3の構成に加えて、前記小傘形歯車及び前記大傘形歯車をハイポイド型としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のような構成により、請求項1に記載の発明は、船外機はブラケットの前方端部に設けられた水平方向のチルト軸を中心にスイベルブラケットが鉛直面内を回動して船外機のチルト角及びトリム角を調整できるものであって、スイベル軸に取り付けた旋回歯車と、該旋回歯車を駆動する駆動機構及び駆動源である電動モータをスイベルブラケットとエンジンカバーとの間に配置したので、船舶内のブラケットのチルト軸前方には駆動機構等の大きな部材が配置されることがないため、チルト軸を中心にして船外機を鉛直面内で回動させてチルトアップさせた場合にスイベルブラケットとエンジンカバーとの間に配置した駆動機構及び電動モータがデッキや船尾板と干渉することがない。したがって、十分なチルトアップスペースが確保でき、チルトアップ作業がやりやすくなる。また、駆動機構はスイベルブラケット上の所定の箇所にギヤを組み付けるだけでよいため、ブラケットに取付け用の孔を設けたりや船外機にステアリングブラケットを設ける必要もなく、船舶への操舵装置の取付作業が容易になる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、電動モータの出力軸に取り付けたウォームと該ウォームと噛合するウォームホイールとを使用した駆動機構をスイベルブラケットの中央乃至前方に配置したので、スイベルブラケットとエンジンカバーとの間に電動モータと駆動機構とがコンパクトに収納できることで、船外機全体の大きさを変えることなく、電動モータによる船外機の操舵装置を提供することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記駆動機構に前記電動モータの出力軸に取り付けた小傘形歯車と該小傘形歯車と噛合する大傘形歯車とを使用した前記駆動機構を前記スイベルブラケットの中央乃至後方に配置したので、スイベルブラケットとエンジンカバーとの間に電動モータと駆動機構とがコンパクトに収納できることで、船外機全体の大きさを変えることなく、電動モータによる船外機の操舵装置を提供することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のウォームを鼓形ウォームとし、ウォームホイールを鼓形ウォームホイールとした鼓形ウォームギヤを採用しているので、円筒型ウォームギヤに比べて同時に多くの歯が噛み合うと共に歯面の瞬間接触面積が大きいことから、請求項2に記載の効果に加えて、船外機をスイベル軸を中心として水平面内に回動させる際に、より大きな駆動力が得られる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、ウォーム及びウォームホイールをハイポイド型としたため、一方のハイポイドギヤの駆動軸と他方のハイポイドギヤの駆動軸とが食い違いの関係で運動を伝達することができることから、一方のハイポイドギヤの駆動軸である電動モータの回転軸を他方のハイポイドギヤの駆動軸とオフセットした位置に配置することができ、電動モータの取付位置の自由度が増し設計が容易になる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、小傘形歯車及び大傘形歯車をハイポイド型としたため、一方のハイポイドギヤの駆動軸と他方のハイポイドギヤの駆動軸とが食い違いの関係で運動を伝達することができることから、一方のハイポイドギヤの駆動軸である電動モータの回転軸を他方のハイポイドギヤの駆動軸とオフセットした位置に配置することができ、電動モータの取付位置の自由度が増し設計が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[発明の実施の形態1]
【0021】
まず、この発明の実施の形態1の構成について説明する。
【0022】
図1は、この発明の実施の形態1に係る船外機の操舵装置を備えた小型船舶の全体平面図であり、図2はその要部正面図である。
【0023】
船舶本体1の船尾板2にクランプブラケット3を介してスイベルブラケット4が取り付けられている。スイベルブラケット4は図1の紙面に対して垂直方向に延びるスイベル軸受5を備え、船外機6にはスイベル軸受5に回動自在に支承されるスイベル軸7が取り付けられている。船外機6は、スクリュー8を回転するためのドライブ軸9とこのドライブ軸9を駆動するための内燃機関10を備えた船外機本体11と、スイベル軸7とが一体となっている。
【0024】
船舶本体1側では運転席にハンドル12が設けられ、ハンドル軸13の根元にハンドル制御部14が備わっており、内部にハンドル操作角センサー15及び反トルクモータ16が設けられている。ハンドル制御部14は信号ケーブル17を介して船外機6側のコントローラ18に接続され、コントローラ18は後述する駆動手段としての電動モータ19に接続されている。反トルクモータ16は、ハンドル12を回転操作したときに、船舶本体1側から受ける外力に応じた反力をハンドル12に付与して操船者にハンドル操作感覚を与えるためのものである。
【0025】
図3は、この発明の実施の形態1に係る船外機の操舵装置の要部を示す平面図であり、図4はその縦断面図である。
【0026】
図3及び図4では、内燃機関10と内燃機関10が収容されているエンジンカバー20及び船外機本体11を省いた状態を示している。
【0027】
スイベルブラケット4は、その船舶側端部によりクランプブラケット3のチルト軸21に対して回動可能に装着されている。スイベルブラケット4は船外機本体11に突出するように形成されており、図4に示すように、その途中で下方に屈曲した逆L字状の形態であって、先端部分にスイベル軸受5を備えている。スイベルブラケット4のスイベル軸受5は中空体としている。
【0028】
船外機本体11の前方には、スイベル軸受5に支承されるスイベル軸7がサポートブラケット22(図2参照のこと)を介して固定されているため、船外機6がスイベル軸受5周りに回動可能な状態になっている。スイベル軸7はスイベル軸受5から上方に延出しており、
【0029】
スイベル軸7には、扇形の旋回歯車23の歯部24が船舶本体1の前方に向けた状態で固定されている。他方、電動モータ19をスイベルブラケット4の上方に配置し、電動モータ19の出力軸25に取り付けたウォーム26とこのウォーム26と噛み合うウォームホイール27をスイベルブラケット4の上方に配置している。なお、図3及び図4に示したこの発明の実施の形態1では、大きな操舵力を得るため又は故障による操舵不能を回避するために、電動モータ19を二個使用している。二個の電動モータ19の出力軸25を前方に向けて互いに平行に配置されている。ウォームホイール27の下面には小歯車28が一体に固定されており、この小歯車28に噛み合う二段中間歯車29をスイベルブラケット4の中央に配置し、ウォームホイール27の回転をさらに減速して、その回転力を二段中間歯車29を介して、扇形の旋回歯車23に伝達するようにしている。
【0030】
扇形の旋回歯車23、電動モータ19の出力軸25に取り付けたウォーム26、ウォーム26と噛み合うウォームホイール27、ウォームホイール27の下面に固定した小歯車28、小歯車28に噛み合う二段中間歯車29等の駆動機構は、水飛沫がかからないように保護カバー36に覆われている。スイベル軸受5に支承されているスイベル軸7は、スイベル軸受5から上方に延出しており、保護カバー36を貫通している。他方、保護カバー36には、スイベル軸7が貫通する貫通孔37が設けられていると共に、貫通孔37にはスイベル軸7との隙間を埋めるシール部材38が設けられており、保護カバー36の内部には水分が侵入しないようになっている。
【0031】
なお、ウォーム26を鼓形ウォームとし、ウォームホイール27を鼓形ウォームホイールとすることが好ましい。鼓形ウォームと鼓形ウォームホイールとの組み合わせによる鼓形ウォームギヤの場合には、通常の筒形ウォームと筒形ウォームホイールとの組み合わせによる円筒型ウォームギヤに比べて、同時に多くの歯が噛み合うと共に歯面の瞬間接触面積が大きいことから、ウォーム26とウォームホイール27の耐久性が向上すると共に、船外機6をスイベル軸7を中心として水平面内に回動させる際に、より大きな駆動力が得られる。
【0032】
また、ウォーム26とウォームホイール27とをハイポイド型とすることもできる。この場合には、一方のハイポイドギヤの駆動軸と他方のハイポイドギヤの駆動軸とが食い違いの関係で運動を伝達することができることから、一方のハイポイドギヤの駆動軸である電動モータ19の出力軸25を他方のハイポイドギヤの駆動軸とオフセットした位置に配置することができ、電動モータ19の取付位置の自由度が増し設計が容易になる。
【0033】
次に、この発明の実施の形態1の作用について説明する。
【0034】
この発明の実施の形態1では、以上のような駆動機構を採用することで、コントローラ18からのモータ駆動信号によって電動モータ19が回転すると、出力軸25に取り付けたウォーム26が回転してウォームホイール27が回転する。ウォームホイール27の回転はこれと一体の小歯車28によって二段中間歯車29の上段歯車30に伝達され、上段歯車30と一体の下段歯車31に伝達され、下段歯車31と噛み合っている扇形の旋回歯車23を回転させることになる。扇形の旋回歯車23が回転すると、扇形の平歯車23に固定されているスイベル軸7が回転する。
【0035】
スイベル軸7は、スイベルブラケット4のスイベル軸受5に回動自在に支承されており、サポートブラケット21で船外機本体11に固定されいるので、スイベル軸7が回転するとスイベル軸7を中心として船外機本体11が水平面内を回転することになる。
【0036】
このように、この発明の実施の形態1によれば、スイベル軸7に取り付けた扇形の旋回歯車23と、扇形の旋回歯車23を駆動するウォーム26、ウォームホイール27、二段中間歯車29等の駆動機構及び駆動源である電動モータ19をスイベルブラケット4とエンジンカバー20との間に配置したので、船舶本体1内のブラケットのチルト軸21の前方には駆動機構等の大きな部材が配置されることがないため、チルト軸21を中心にして船外機6を鉛直面内で回動させてチルトアップさせた場合に、スイベルブラケット4とエンジンカバー20との間に配置した駆動機構及び電動モータ19がデッキ35や船尾板2と干渉することがない。したがって、十分なチルトアップスペースが確保でき、チルトアップ作業がやりやすくなる。また、駆動機構はスイベルブラケット4上の所定の箇所にウォームホイール27、二段中間歯車29等の歯車を組み付けるだけでよいため、ブラケットに取付け用の孔を設けたり、船外機6にステアリングブラケットを設ける必要もなく、船舶本体1への操舵装置の取付作業が容易になる。
[発明の実施の形態2]
【0037】
図5は、この発明の実施の形態2に係る船外機の操舵装置の要部を示す平面図であり、図6はその縦断面図である。
【0038】
この発明の実施の形態2では、電動モータ19をスイベルブラケット4の上方に配置し、駆動機構に電動モータ19の出力軸25に取り付けたウォーム26とこのウォーム26と噛合するウォームホイール27とを使用した駆動機構をスイベルブラケット4の中央に配置している。ウォームホイール27の下面には小平歯車が32が一体に設けられており、この小平歯車32には扇形の平歯車23が噛合している。なお、図5及び図6に示したこの発明の実施の形態2では、大きな操舵力を得るため又は故障による操舵不能を回避するために、二個の電動モータ19の出力軸25を一本にした構成を採用している。
【0039】
その他の構成及び作用は、この発明の実施の形態1と同じであり、それらの構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0040】
次に、この発明の実施の形態2の作用について説明する。
【0041】
この発明の実施の形態2では、以上のような駆動機構を採用することで、コントローラ18からのモータ駆動信号によって電動モータ19が回転すると、出力軸25に取り付けたウォーム26が回転してこのウォーム26に噛み合っているウォームホイール27が回転する。ウォームホイール27が回転すると、ウォームホイール27と一体の小平歯車32が回転し、この小平歯車32の回転力が扇形の旋回歯車23に伝達されることで、扇形の旋回歯車23に固定されているスイベル軸7が回転する。
【0042】
このように、この発明の実施の形態2によれば、スイベルブラケット4とエンジンカバー20との間に電動モータ19と駆動機構とがコンパクトに収納できることで、船外機6全体の大きさを変えることなく、電動モータ19による船外機6の操舵装置を提供することができる。
[発明の実施の形態3]
【0043】
図7は、この発明の実施の形態3に係る船外機の操舵装置の平面図である。
【0044】
この発明の実施の形態3では、二個の電動モータ19の出力軸25にそれぞれ別個の小傘形歯車33を取り付けて、大傘形歯車34に別々に噛合させており、実施の形態1及び2と電動モータ19の配置が異なっている。二個の電動モータ19を使用することで、一個の電動モータ19より大きな操舵力を得られると共に、どちらか一個の電動モータ19が故障した場合にもう一個の電動モータ19で操舵することができることになる。
【0045】
図示した実施の形態3では、小傘形歯車33と大傘形歯車34をハイポイド型としたため、一方のハイポイドギヤの駆動軸と他方のハイポイドギヤの駆動軸とが食い違いの関係で運動を伝達することができることから、一方のハイポイドギヤの駆動軸である電動モータ19の出力軸25を他方のハイポイドギヤの駆動軸とオフセットした位置に配置することができる。すなわち、いわゆる歯すじがピッチ円の母直線と一致する直歯傘歯車、歯すじが曲線であってねじり角をもった曲がり歯傘歯車、ねじれ角が零である曲がり歯傘歯車(ゼロール傘歯車)のように、小傘形歯車33の駆動軸と大傘形歯車34の駆動軸とが直交する配置に限定されることがないから、電動モータ19の取付位置の自由度が増し設計が容易になる。
【0046】
その他の構成及び作用は、この発明の実施の形態1又は2と同じであり、それらの構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0047】
以上、この発明の実施の形態を説明したが、この発明による船外機の操舵装置はこれら実施の形態で示された構造に限定されるものではない。
【0048】
たとえば、上述した実施の形態では、スイベルブラケット4は垂直方向に延びるスイベル軸受5を備え、船外機6にはスイベル軸受5に回動自在に支承されるスイベル軸7が取り付けられているものについて説明したが、スイベルブラケット4にスイベル軸7を備え、船外機6にはスイベル軸7を回動自在に支承するスイベル軸受5を設けるようにしてもよい。
【0049】
また、実施の形態1において、ウォームホイール27と一体の小歯車28を扇形の旋回歯車23に直接噛合させるようにしてもよい。これにより、二段中間歯車29が不要になり、よりコンパクトな設計が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の実施の形態1に係る船外機の操舵装置を備えた小型船舶の全体平面図である。
【図2】同実施の形態1に係る船外機の操舵装置を備えた小型船舶の要部正面図である。
【図3】同実施の形態1に係る船外機の操舵装置の要部を示す平面図である。
【図4】同実施の形態1に係る船外機の操舵装置の要部を示す縦断面図である。
【図5】同実施の形態2に係る船外機の操舵装置の要部を示す平面図である。
【図6】同実施の形態2に係る船外機の操舵装置の要部を示す縦断面図である。
【図7】同実施の形態3に係る船外機の操舵装置の要部を示す平面図である。
【図8】従来の船外機の操舵装置を備えた小型船舶の全体斜視図である。
【図9】従来の船外機の操舵装置を備えた小型船舶の要部正面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 船舶本体
2 船尾板
3 クランプブラケット
4 スイベルブラケット
5 スイベル軸受
6 船外機
7 スイベル軸
11 船外機本体
12 ハンドル
17 信号ケーブル
18 コントローラ
19 電動モータ
20 エンジンカバー
21 チルト軸
22 サポートブラケット
23 旋回歯車
25 出力軸
26 ウォーム
27 ウォームホイール
28 小歯車
29 二段中間歯車
32 小平歯車
33 小傘形歯車(ハイポイドギヤ)
34 大傘形歯車(ハイポイドギヤ)
35 デッキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイベルブラケットとクランプブラケットとからなるブラケットを介して船舶の船尾板に取り付けられる船外機と、前記ブラケットの後方端部に設けられた鉛直方向のスイベル軸と、前記船外機を前記スイベル軸を中心として水平面内に回動させる駆動手段とを有する船外機の操舵装置において、
前記船外機は前記ブラケットの前方端部に設けられた水平方向のチルト軸を中心に前記スイベルブラケットが鉛直面内を回動して前記船外機のチルト角及びトリム角を調整できるものであって、前記スイベル軸に取り付けた旋回歯車と、該旋回歯車を駆動する駆動機構と、該駆動機構に駆動力を与える電動モータとを、前記スイベルブラケットと前記船外機のエンジンカバーとの間に配置したことを特徴とする船外機の操舵装置。
【請求項2】
前記電動モータの出力軸に取り付けたウォームと該ウォームと噛合するウォームホイールとを使用した前記駆動機構を前記スイベルブラケットの中央乃至前方に配置したことを特徴とする請求項1に記載の船外機の操舵装置。
【請求項3】
前記駆動機構に前記電動モータの出力軸に取り付けた小傘形歯車と該小傘形歯車と噛合する大傘形歯車とを使用した前記駆動機構を前記スイベルブラケットの中央乃至後方に配置したことを特徴とする請求項1に記載の船外機の操舵装置。
【請求項4】
前記ウォームを鼓形ウォームとし、前記ウォームホイールを鼓形ウォームホイールとしたことを特徴とする請求項2に記載の船外機の操舵装置。
【請求項5】
前記ウォーム及び前記ウォームホイールをハイポイド型としたことを特徴とする請求項2に記載の船外機の操舵装置。
【請求項6】
前記小傘形歯車及び前記大傘形歯車をハイポイド型としたことを特徴とする請求項3に記載の船外機の操舵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−49990(P2008−49990A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335558(P2006−335558)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000176213)ヤマハマリン株式会社 (256)