船外機の操舵装置
【課題】船体の制約を受けることなく多種の船体に設置可能な船外機の操舵装置を提供する。
【解決手段】船外機の操舵装置16は、船体に設けたティラーハンドル37を操作してヘルム機構42を作動し、ヘルム機構で船外機を操舵するものである。この操舵装置は、ティラーハンドルに作用した操舵トルクを検出し、検出した操舵トルクに基づいてヘルム機構の操作をアシスト(補助)する電動アシスト機構41が設けられている。さらに、ティラーハンドルのハンドル軸に、ハンドル軸の回転を変速させて伝達可能な変速機38が連結されている。加えて、第3変速出力軸に電動アシスト機構およびヘルム機構を連結することで電動アシスト機構およびヘルム機構が一体的にまとめられている。
【解決手段】船外機の操舵装置16は、船体に設けたティラーハンドル37を操作してヘルム機構42を作動し、ヘルム機構で船外機を操舵するものである。この操舵装置は、ティラーハンドルに作用した操舵トルクを検出し、検出した操舵トルクに基づいてヘルム機構の操作をアシスト(補助)する電動アシスト機構41が設けられている。さらに、ティラーハンドルのハンドル軸に、ハンドル軸の回転を変速させて伝達可能な変速機38が連結されている。加えて、第3変速出力軸に電動アシスト機構およびヘルム機構を連結することで電動アシスト機構およびヘルム機構が一体的にまとめられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船体に設けた操舵ハンドルを操作してヘルム機構(操舵機構)を作動し、作動するヘルム機構で船外機を操舵する船外機の操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船体の後部に支持した船外機を操舵する操舵装置としてステアリングホイールやティラーハンドルが用いられる。
ステアリングホイールを備えた操舵装置のなかには、ステアリングホイールおよび油圧ヘルムポンプ(油圧操舵ポンプ)間にアシスト機構を設け、このアシスト機構でステアリングホイールの操舵力(操作力)をアシスト(補助)するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1の操舵装置によれば、ステアリングホイールを操作したとき、アシスト機構でステアリングホイールの操舵力をアシストすることで、ヘルム機構(操舵機構)の駆動軸を比較的小さな操舵力で操作することができる(すなわち、ステアリングホイールの操舵力を軽減できる)。
【0004】
ヘルム機構の駆動軸を作動することで、ヘルム機構からオイルが吐出され、吐出されたオイルが舵取り手段に導かれる。舵取り手段にオイルが導かれることで、オイルで舵取り手段を作動させて船外機を操舵することができる。
【0005】
一方、ティラーハンドルを備えた操舵装置は、通常、船外機のハウジングから船体前方に向けてティラーハンドルが延出されるように設けられている(例えば、特許文献2参照。)。
この操舵装置によれば、ティラーハンドルを操作することで、ティラーハンドルと一体に船外機を操舵させることができる。
ここで、船体の滑走中に船外機(推進プロペラ)の反力が作用している。よって、船外機を操舵させるためには、ティラーハンドルに比較的大きな操舵力を作用させる必要がある。
【0006】
ティラーハンドルの操舵力を軽減する対策として、例えば、電動油圧ヘルムポンプ(電動油圧操舵ポンプ)を用いることが考えられる。
すなわち、ティラーハンドルで作動可能な電動油圧ヘルムポンプを船体の所定部位に設け、電動油圧ヘルムポンプで作動可能な舵取り手段を船外機に連結するように構成することが考えられる。
【0007】
この操舵装置によれば、ティラーハンドルを操作することで、電動油圧ヘルムポンプを作動させ、電動油圧ヘルムポンプから吐出されたオイルが舵取り手段に導かれる。
オイルが舵取り手段に導かれることで、舵取り手段が作動して船外機を操舵することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−231383号公報
【特許文献2】特開平10−250688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、この操舵装置は、電動油圧ヘルムポンプをティラーハンドルから切り離して(分離して)船体の所定部位に設けている。
このため、電動油圧ヘルムポンプを設ける比較的大きな設置空間を船体の所定部位に確保する必要があり、この操舵装置を設置できる船体のタイプ(船種)が限られていた。
【0010】
本発明は、船体の制約を受けることなく多種の船体に設置可能な船外機の操舵装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、船体に設けた操舵ハンドルを操作してヘルム機構を作動し、前記ヘルム機構の作動で船外機を操舵する船外機の操舵装置において、前記操舵ハンドルに作用した操舵トルクをトルクセンサで検出し、検出した操舵トルクに基づいて前記ヘルム機構の操作をアシストする電動アシスト機構が設けられ、前記操舵ハンドルのハンドル軸に、前記ハンドル軸の回転を変速出力軸に変速して伝達可能な変速機が連結され、前記変速出力軸に前記電動アシスト機構および前記ヘルム機構を連結することで前記電動アシスト機構および前記ヘルム機構を一体的にまとめたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記操舵ハンドルを設ける取付ブラケットを備え、前記取付ブラケットに前記変速機、前記電動アシスト機構および前記ヘルム機構を一体に設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記ヘルム機構は、油圧で前記船外機を操舵する油圧ヘルムポンプ、または、機械的に前記船外機を操舵するメカニカルヘルム機構であることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、前記変速出力軸および前記ヘルム機構は、ギヤ、チェーンあるいはベルトのいずれかの動力伝達手段を用いて前記変速出力軸の回転を前記ヘルム機構に伝達可能に連結されたことを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る発明は、前記電動アシスト機構は、前記検出した操舵トルク、および前記船外機の推進プロペラを駆動するエンジンの回転数に基づいて制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、電動アシスト機構およびヘルム機構(操舵機構)を変速出力軸に連結することで電動アシスト機構およびヘルム機構を一体的にまとめた。
ここで、変速機は、操舵ハンドルのハンドル軸に設けられている。
よって、一体的にまとめた電動アシスト機構およびヘルム機構を、操舵ハンドルおよび変速機にさらにまとめて設けることができ、船外機の操舵装置(操舵装置)をユニット化できる。
【0017】
これにより、電動アシスト機構やヘルム機構を個別に設置する空間を船体に確保する必要がないので、ユニット化した操舵装置を船体の任意の部位に設置できる。
したがって、ユニット化した操舵装置を船体の制約を受けることなく多種の船体に設置(適用)でき、かつ、ユニット化した操舵装置の設置部位を決める際に設計の自由度を高めることができる。
【0018】
また、ユニット化した操舵装置を船体の任意の部位に設置することで、操舵装置(操舵ハンドル)を船外機本体から分離することができる。
よって、例えば、船体に対して船外機本体の取付角度(トリム角)を変更したときに、船外機本体の姿勢に影響を受けないように操舵ハンドルの姿勢を保つことができる。
これにより、船外機本体の取付角度(トリム角)を変更したときに、操作者の姿勢を変えることなく操舵ハンドルを操作でき、操舵ハンドルの操作性の向上を図ることができる。
【0019】
さらに、電動アシスト機構を設けることで、操舵ハンドルに作用した操舵トルクをトルクセンサで検出し、検出した操舵トルクに基づいてヘルム機構の操作をアシストすることができる。
よって、操舵ハンドルの操舵力(操作力)を小さく抑えることができるので、操舵ハンドルの全長を短くできる。
このように、操舵ハンドルの全長を短く抑えることで、操舵ハンドルが操作し易くなり操作性を好適に確保することができる。
【0020】
加えて、ハンドル軸の回転を変速機で変速出力軸に変速(減速または増速)して伝えることで、ハンドル軸の回転数(ハンドル軸回転数)に対して変速機の出力軸の回転数(出力軸回転数)を変化させることができる。
具体的には、ハンドル軸回転数に対して出力軸回転数を変速(減速または増速)することで、船外機の操舵角に対する操舵ハンドルの転舵角を大きく、または小さく抑えることができる。
【0021】
すなわち、変速機の変速状態(変速ギヤ比)を変更することで、船外機の操舵角に対する操舵ハンドルの転舵角を好適に調整でき、操作性の向上を図ることができる。
これにより、例えば、操舵ハンドルの転舵角を、船体を離岸させる場合や着岸させる場合の操作性に合わせて好適に調整することができる。
【0022】
請求項2に係る発明では、操舵ハンドルを取付ブラケットに設け、取付ブラケットに変速機、電動アシスト機構およびヘルム機構を一体に設けた。
よって、取付ブラケットを船体に取り付けることで操舵装置を船体に容易に設置することができ、設置作業の簡素化を図ることができる。
【0023】
請求項3に係る発明では、ヘルム機構として油圧ヘルムポンプ(油圧操舵ポンプ)やメカニカルヘルム機構(メカニカル操舵機構)の両方を使用可能とした。
これにより、船外機の操舵装置を船体に取り付ける際に、油圧ヘルムポンプやメカニカルヘルム機構のうちから船体に適したものを選択でき、設計の自由度を高めることができる。
【0024】
請求項4に係る発明では、変速出力軸の回転をヘルム機構に伝達する伝達手段としてギヤ、チェーンあるいはベルトを用いた。
これにより、前記変速出力軸の回転をヘルム機構に簡単な構成で伝達でき、構成の簡素化やコスト低減を図ることができる。
【0025】
請求項5に係る発明では、検出した操舵トルクに基づいて電動アシスト機構を制御するとともに、推進プロペラを駆動するエンジンの回転数に基づいて電動アシスト機構を制御するようにした。
ここで、エンジンの回転数を高くすると船体が高速状態(高速域)になり、推進プロペラの反力が大きくなる。このため、高速域では、操舵ハンドルの操舵力が大きくなる。
一方、エンジンの回転数を低くすると船体が低速状態(低速域)になり、推進プロペラの反力が小さくなる。このため、低速域では、操舵ハンドルの操舵力が軽くなる。
【0026】
そこで、請求項5において、推進プロペラを駆動するエンジンの回転数に基づいて電動アシスト機構を制御するようにした。
よって、高速滑走域において、電動アシスト機構による操舵ハンドルの操舵力(アシスト力)が大きくなるように制御することで、操作者による操舵ハンドルの操舵力を軽減することができる。
【0027】
一方、低速滑走域において、電動アシスト機構による操舵ハンドルの操舵力(アシスト力)を小さく抑えるように制御することで、操作者による操舵ハンドルの操舵力を適正に保つことができる。
このように、高速域において操舵ハンドルの操舵力を軽減し、低速域において操舵ハンドルの操舵力を適正に保つことで、操舵ハンドルの操縦安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る船外機の操舵装置(実施例1)を備えた船体を示す平面図である。
【図2】実施例1の操舵装置を示す斜視図である。
【図3】図2の操舵装置を示す断面図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図2の6矢視図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】本発明に係る操舵装置(実施例2)を示す斜視図である。
【図9】図8の操舵装置を示す断面図である。
【図10】図8の10矢視図である。
【図11】実施例2の油圧ヘルムポンプおよび操舵シリンダで船外機本体を操舵する例を説明する図である。
【図12】本発明に係る動力伝達手段(実施例3)を示す側面図である。
【図13】本発明に係る動力伝達手段(実施例4)を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は操作者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
【実施例1】
【0030】
実施例1に係る船外機の操舵装置16について説明する。
図1に示すように、船外機10は、船体11の船尾12に設けられた船外機本体13と、船外機本体13を操舵する操舵ユニット14と、操舵ユニット14を操作する船外機の操舵装置(以下、「操舵装置」という)16とを備えている。
【0031】
船外機本体13は、船体11の船尾12にスイベル軸21を介して左右方向に揺動自在(スイング自在)に支持されている。
船外機本体13は、エンジン22が内蔵され、エンジン22の出力軸に推進プロペラ23が連結されている。
【0032】
操舵ユニット14は、船体11の船尾12に設けられたスライド支持部25と、スライド支持部25にスライド自在に設けられた操舵ロッド26と、操舵ロッド26にアーム27を連結するロッド28とを備えている。
アーム27は船外機本体13に設けられている。
【0033】
操舵ロッド26の左端部26aに操作ケーブル31の一端部31aが連結され、操舵ロッド26の右端部26bに操作ケーブル31の他端部31bが連結されている。
操作ケーブル31は、図2、図6に示すメカニカルヘルム機構75(メカニカル操舵機構)に連結されている。
【0034】
操作ケーブル31で操舵ロッド26を矢印Aの如く移動することで、船外機本体13がスイベル軸21を中心にして左方向に矢印Bの如く揺動する。
一方、操作ケーブル31で操舵ロッド26を矢印Cの如く移動することで、船外機本体13がスイベル軸21を中心にして左方向に矢印Dの如く揺動する。
【0035】
図2、図3に示すように、操舵装置16は、船体11の船尾12(図1参照)に設けられた取付ブラケット35と、取付ブラケット35内に回転自在に設けられたハンドル軸36と、ハンドル軸36の上部に設けられたティラーハンドル(操舵ハンドル)37と、ハンドル軸36に連結された変速機38と、変速機38の出力軸ユニット39に連結された電動アシスト機構41およびヘルム機構(操舵機構)42と、電動アシスト機構41を制御する制御部43とを備えている。
【0036】
この操舵装置16は、船体11(図1参照)に設けられたティラーハンドル37を操作してヘルム機構42を作動し、ヘルム機構42の作動で船外機本体13(図1参照)を操舵する機能を備えている。
さらに、操舵装置16は、ティラーハンドル37を操作する際に、ティラーハンドル37の操作性を電動アシスト機構41で高める機能を備えている。
【0037】
ハンドル軸36の下端部36aに変速機38が連結されている。
変速機38は、ハンドル軸36の下端部36aに同軸上に設けられた第1ギヤ46と、第1ギヤ46に噛み合うとともにアイドル軸47に同軸上に設けられた第2ギヤ48と、アイドル軸47に同軸上に設けられた第3ギヤ49と、第3ギヤ49に噛み合うとともに出力軸ユニット39(具体的には、第1変速出力軸54)に同軸上に設けられた第4ギヤ51と、第1〜第4のギヤ46,48,49,51を覆うケーシング52とを備えている。
【0038】
よって、ティラーハンドル37を操作してハンドル軸36を回転することで、ハンドル軸36と一体に第1ギヤ46が回転する。第1ギヤ46が回転することで第2ギヤ48が回転するとともに、第2ギヤ48と一体にアイドル軸47が回転する。
アイドル軸47が回転することでアイドル軸47と一体に第3ギヤ49が回転する。
第3ギヤ49が回転することで第4ギヤ51が回転し、第4ギヤ51と一体に出力軸ユニット39(第1変速出力軸54)が回転する。
【0039】
図4に示すように、出力軸ユニット39は、第4ギヤ51が同軸上に設けられた第1変速出力軸54と、第1変速出力軸54の下端部54aに上端部55aが連結された中空状の第2変速出力軸55と、第2変速出力軸55の下方に同軸上に設けられた第3変速出力軸(変速出力軸)56とを備えている。
第3変速出力軸56は、第2変速出力軸55に対して同軸上に回動自在に支持されている。第2変速出力軸55および第3変速出力軸56は、後述するトーションバー66を介して連結されている。
【0040】
よって、変速機38によれば、第1、第2のギヤ46,48のギヤ比や、第3、第4のギヤ49,51のギヤ比を変更することで、ハンドル軸36の回転を第3変速出力軸56に変速(減速あるいは増速)させて伝えることができる。
すなわち、変速機38は、ハンドル軸36の回転数(ハンドル軸回転数)に対して第3変速出力軸56の回転数(出力軸回転数)を変化させることができる。
【0041】
具体的には、ハンドル軸回転数に対して出力軸回転数を変速(減速または増速)することで、船外機10の操舵角に対するティラーハンドル37の転舵角を大きく確保でき、または小さく抑えることができる。
よって、変速機38の変速状態(変速ギヤ比)を変更することで、船外機10の操舵角に対するティラーハンドル37の転舵角を好適に調整でき、操作性の向上を図ることができる。
これにより、例えば、ティラーハンドル37の転舵角を、船体11(図1参照)を離岸させる場合や着岸させる場合の操作性に合わせて好適に調整することができる。
【0042】
図4に示すように、電動アシスト機構41は、第2変速出力軸55に伝えられた操舵トルクを検出するトルクセンサ61と、検出した操舵トルクに基づいて作動する電動アクチュエータ62と、電動アクチュエータ62の出力軸63(図5も参照)を第3変速出力軸56に連結するアシストギヤ機構64とを備えている。
【0043】
トルクセンサ61は、第2変速出力軸55に上端部66aが連結されるとともに第3変速出力軸56に下端部66bが連結されたトーションバー66と、トーションバー66(具体的には、第2変速出力軸55)に軸線方向に移動自在に支持されたトルクリング67と、トルクリング67の外側に設けられたコイル68とを備えた一般的なセンサである。
【0044】
このトルクセンサ61は、第2変速出力軸55に操舵トルクが伝えられたとき、トーションバー66に捩れが生じ、トーションバー66の捩れに基づいてトルクリング67を第2変速出力軸55の軸線方向に移動し、トルクリング67の移動量をコイル68で検出し、検出した移動量に基づいて操舵トルクを検出するものである。
【0045】
検出された操舵トルクは制御部43(図2、図3参照)に伝えられる。
制御部43は、伝えられた操舵トルクに基づいて電動アクチュエータ62に駆動信号を出力する。
電動アクチュエータ62は、制御部43からの駆動信号に基づいて駆動する(具体的には、出力軸63を回転する)通常の電動モータである。
出力軸63にはアシストギヤ機構64のピニオン71(図5参照)が設けられている。
【0046】
図5に示すように、アシストギヤ機構64は、電動アクチュエータ62の出力軸63に設けられたピニオン71と、ピニオン71に噛み合うとともに第3変速出力軸56に設けられたヘリカルギヤ(はすば歯車)72とを備えている。
このように、電動アクチュエータ62の出力軸63(すなわち、電動アシスト機構41)は変速機38の第3変速出力軸56に連結されている。
さらに、電動アクチュエータ62の出力軸63は、変速機38の出力軸ユニット39(第3変速出力軸56)に対して直交に配置されている(図4も参照)。
【0047】
ピニオン71をヘリカルギヤ72に噛み合わせることで、ピニオン71の回転をヘリカルギヤ72を介して第3変速出力軸56に伝えることができる。
ピニオン71は、検出した操舵トルクに基づいて電動アクチュエータ62が作動することにより出力軸63と一体に回転する。
よって、電動アクチュエータ62(電動アシスト機構41)で第3変速出力軸56(図4も参照)の回転をアシスト(補助)することができる。
【0048】
これにより、図2に示すティラーハンドル37の操舵力(操舵トルク)を電動アシスト機構41でアシスト(補助)することができる。
したがって、ティラーハンドル37を操作する際に、ティラーハンドル37を比較的小さな操舵力で操作することができ、操作性を高めることができる。
【0049】
加えて、ティラーハンドル37の操舵力を小さく抑えることができるので、ティラーハンドル37の全長を短くできる。
このように、ティラーハンドル37の全長を短く抑えることで、ティラーハンドル37が操作し易くなり操作性を好適に確保することができる。
【0050】
加えて、電動アシスト機構41は、後述するように、図1に示すエンジン22の回転数(以下、「エンジン回転数」という)に基づいて、ティラーハンドル37の操舵力(操舵トルク)をアシスト(補助)する機能を備えている。
すなわち、電動アシスト機構41は、検出した操舵トルクや、エンジン回転数に基づいてティラーハンドル37の操作を好適に制御可能に構成されている。
【0051】
図6、図7に示すように、ヘルム機構42は、第3変速出力軸56を駆動軸78(メカニカルヘルム機構75)に連結する動力伝達手段76と、動力伝達手段76を介して第3変速出力軸56に連動するメカニカルヘルム機構75とを備えている。
駆動軸78は、メカニカルヘルム機構75の駆動軸であり、第3変速出力軸56に対して並列に設けられた軸である。
【0052】
動力伝達手段76は、第3変速出力軸56の下端部56aに同軸上に設けられた駆動スプロケット81と、駆動軸78の下端部78aに同軸上に設けられた従動スプロケット82と、駆動スプロケット81および従動スプロケット82に巻回された無端状のチェーン83とを備えている。
すなわち、メカニカルヘルム機構75の駆動軸78(すなわち、ヘルム機構42)は変速機38の第3変速出力軸56に連結されている。
【0053】
動力伝達手段76によれば、駆動スプロケット81の周壁に形成された複数の突起82aがチェーン83に噛み合うとともに、従動スプロケット82の周壁に形成された複数の突起がチェーン83に噛み合っている。
よって、動力伝達手段76によれば、第3変速出力軸56の回転を駆動スプロケット81に伝え、駆動スプロケット81の回転をチェーン83を介して従動スプロケット82に伝え、従動スプロケット82の回転をヘルム機構42の駆動軸78に伝えることができる。
【0054】
このように、第3変速出力軸56の回転をヘルム機構42に伝達する伝達手段76としてチェーン83を用いた。
これにより、第3変速出力軸56の回転をヘルム機構42に簡単な構成で伝達でき、構成の簡素化やコスト低減を図ることができる。
【0055】
また、駆動スプロケット81および従動スプロケット82のスプロケット比(各スプロケットの径比)を変更することで、変速機38と同様に、ティラーハンドル37の転舵角を好適に調整することができる。
これにより、例えば、変速機38と同様に、ティラーハンドル37の転舵角を、船体11(図1参照)を離岸させる場合や着岸させる場合の操作性に合わせて好適に調整することができる。
【0056】
メカニカルヘルム機構75は、駆動軸78にプーリ85(図7参照)が同軸上に設けられ、プーリ85の外周85aに操作ケーブル31が取り付けられている。
操作ケーブル31は、ケース86から外部に引き出されている。
図1に示すように、一対の端部31a,31bが船外機本体13まで延出されている。
そして、一端部31aが操舵ロッド26の左端部26aに連結され、他端部31bが操舵ロッド26の右端部26bに連結されている。
【0057】
図1、図7に示すように、メカニカルヘルム機構75によれば、ティラーハンドル37を左方向に矢印Eの如く操舵することで、出力軸ユニット39(第3変速出力軸56(図6参照))が反時計回り方向に回転し、動力伝達手段76を介して駆動軸78が反時計回り方向に回転する。
駆動軸78と一体にプーリ85が反時計回り方向に回転することで、操作ケーブル31の他端部31bが矢印Fの如く引き戻される。
よって、操舵ロッド26が右方向に矢印Aの如く移動し、船外機本体13がスイベル軸21を中心にして左方向に矢印Bの如く揺動する。
【0058】
一方、ティラーハンドル37を右方向に矢印Gの如く操舵することで、出力軸ユニット39(第3変速出力軸56(図6参照))が時計回り方向に回転し、動力伝達手段76を介して駆動軸78が時計回り方向に回転する。
駆動軸78と一体にプーリ85が時計回り方向に回転することで、操作ケーブル31の一端部31aが矢印Hの如く引き戻される。
よって、操舵ロッド26が左方向に矢印Cの如く移動し、船外機本体13がスイベル軸21を中心にして右方向に矢印Dの如く揺動する。
すなわち、メカニカルヘルム機構75は、船外機本体13を機械的に操舵する機構である。
【0059】
図6、図7に示すように、動力伝達手段76は、駆動スプロケット81、従動スプロケット82およびチェーン83で構成されている。
よって、駆動スプロケット81および従動スプロケット82のギヤ比(各スプロケット径比)を変更することで、ティラーハンドル37の転舵角を好適に調整することができる。
これにより、例えば、図1に示すティラーハンドル37の転舵角を、船体11を離岸させる場合や着岸させる場合の操作性に合わせて好適に調整することができる。
【0060】
ここで、前述したように、電動アシスト機構41およびヘルム機構42が変速機38の第3変速出力軸56にそれぞれ連結されている。
このように、電動アシスト機構41およびヘルム機構42を変速機38の第3変速出力軸56に連結することで、電動アシスト機構41およびヘルム機構42を一体的にまとめることができる。
【0061】
ところで、変速機38は、ティラーハンドル37のハンドル軸36に設けられている。
よって、一体的にまとめた電動アシスト機構41およびヘルム機構42を、ティラーハンドル37および変速機38にさらにまとめて設けることができ、操舵装置16をユニット化できる。
【0062】
これにより、電動アシスト機構41やヘルム機構42を個別に設置する空間を船体11に確保する必要がないので、ユニット化した操舵装置16を船体11の任意の部位に設置できる。
したがって、ユニット化した操舵装置16を船体11の制約を受けることなく多種の船体11に設置(適用)でき、かつ、ユニット化した操舵装置16の設置部位を決める際に設計の自由度を高めることができる。
【0063】
また、ユニット化した操舵装置16を船体11の任意の部位に設置することで、ティラーハンドル37を船外機本体13から分離することができる。
よって、例えば、船体11に対して船外機本体13の取付角度(トリム角)を変更したときに、船外機本体13の姿勢に影響を受けないようにティラーハンドル37の姿勢を保つことができる。
これにより、船外機本体13の取付角度(トリム角)を変更したときに、操作者の姿勢を変えることなくティラーハンドル37を操作でき、ティラーハンドル37の操作性の向上を図ることができる。
【0064】
ここで、船体11の船尾12(図1参照)に取付ブラケット35が設けられ、取付ブラケット35がボックス状に形成されている。この取付ブラケット35にハンドル軸36を介してティラーハンドル37が設けられている。
そして、取付ブラケット35内に変速機38、電動アシスト機構41およびヘルム機構42が一体に設けられている(収められている)。
これにより、取付ブラケット35を船体11に取り付けることにより、操舵装置16を船体11に容易に設置することができるので設置作業の簡素化を図ることができる。
【0065】
ところで、取付ブラケット35は、船体11の船尾12に締結部材(ボルト・ナットなど)を用いて取り付け可能に、または、船体11の船尾12にクランプ手段を用いて取り付け可能に構成されている。
【0066】
図1、図2に示すように、制御部43は、トルクセンサ61(図4参照)で検出した操舵トルクに基づいて電動アシスト機構41(電動アクチュエータ62)に駆動信号を伝える機能を備えている。
よって、前述したように、ティラーハンドル37を操舵する際に、ティラーハンドル37の操舵力(操舵トルク)F1を電動アシスト機構41でアシスト(補助)することができる。
これにより、ティラーハンドル37を比較的小さな操舵力F1で操作することができ、操作性を高めることができる。
【0067】
ここで、エンジン22の回転数を高くすると船体11が高速滑走状態(高速滑走域)になり、推進プロペラ23の反力が大きくなる。このため、高速滑走域では、ティラーハンドル37の操舵力F1が大きくなる。
一方、エンジン22の回転数を低くすると船体11が低速滑走状態(低速滑走域)になり、推進プロペラ23の反力が小さくなる。このため、低速滑走域では、ティラーハンドル37の操舵力F1が軽くなる。
【0068】
そこで、制御部43は、エンジン回転数に基づいて電動アシスト機構41(電動アクチュエータ62)に駆動信号を伝える機能を備えるようにした。
具体的には、エンジン回転数を回転数検出手段81(図1参照)で検出し、検出した信号を制御部43に伝える。
エンジン回転数が高回転の場合、電動アシスト機構41によるアシストを促進するような信号を制御部43から電動アクチュエータ62に伝える。
よって、高速滑走域において、ティラーハンドル37に作用する操舵力(アシスト力)が大きくなるように電動アシスト機構41を制御できる。
これにより、操作者によるティラーハンドル37の操舵力F1を軽減することができる。
【0069】
一方、エンジン回転数が低回転の場合、電動アシスト機構41によるアシストを抑えるような信号を制御部43から電動アクチュエータ62に伝える。
よって、低速滑走域において、ティラーハンドル37に作用する操舵力(アシスト力)を小さく抑えるように電動アシスト機構41を制御できる。
これにより、操作者によるティラーハンドル37の操舵力F1を適正に保つことができる。
【0070】
このように、高速滑走域においてティラーハンドル37の操舵力F1を軽減し、低速滑走域においてティラーハンドル37の操舵力F1を適正に保つことで、操作者によるティラーハンドル37の操縦安定性を向上させることができる。
【0071】
つぎに、実施例2を図8〜図10に基づいて説明する。
なお、実施例2において実施例1の操舵装置16と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【実施例2】
【0072】
実施例2に係る船外機の操舵装置90について説明する。
図8に示すように、操舵装置90は、実施例1のヘルム機構42に代えてヘルム機構(操舵機構)92を設けたものでその他の構成は実施例1の操舵装置16と同じである。
【0073】
図9、図10に示すように、ヘルム機構92は、第3変速出力軸56を駆動軸78(油圧ヘルムポンプ(油圧操舵ポンプ)93)に連結する動力伝達手段76と、動力伝達手段76を介して第3変速出力軸56に連動する油圧ヘルムポンプ93とを備えている。
駆動軸78は、油圧ヘルムポンプ93の駆動軸であり、第3変速出力軸56に対して並列に設けられた軸である。
【0074】
動力伝達手段76は、実施例1で説明したように、第3変速出力軸56の回転を駆動スプロケット81に伝え、駆動スプロケット81の回転をチェーン83を介して従動スプロケット82に伝え、従動スプロケット82の回転をヘルム機構92の駆動軸78に伝えるように構成されている。
【0075】
図11に示すように、油圧ヘルムポンプ93は、駆動軸78が回転することで駆動軸78と一体にピニオン95が回転し、ピニオン95の回転でラック96がシリンダ97の軸線方向に移動し、ラック96の移動で一対のピストン98,99がシリンダ97の軸線方向に移動するように構成されている。
すなわち、油圧ヘルムポンプ93は、シリンダ97および一対のピストン98,99を用いたシリンダ形式の油圧発生デバイスである。
【0076】
具体的には、ティラーハンドル37(図9参照)を左方向に操作することで、駆動軸78が反時計回り方向に回転する。
駆動軸78が反時計回り方向に回転することで駆動軸78と一体にピニオン95が反時計回り方向に回転する。ピニオン95が反時計回り方向に回転することで、ラック96がシリンダ97の軸線方向に矢印Eの如く移動する。
ラック96の移動で左ピストン98がシリンダ97の軸線方向に矢印Eの如く移動する。
【0077】
左ピストン98が矢印Eの如く移動することで、左オイル室102のオイル133が方向制御弁104および左操舵用配管105を経て操舵シリンダ111の左オイル室に導かれる。
よって、操舵シリンダ111の操舵ピストン112が右方向に矢印Aの如く移動する。
これにより、船外機本体13がスイベル軸21を中心にして左方向に矢印Bの如く揺動することにより、船体11を左方向に転舵することができる。
【0078】
一方、ティラーハンドル37(図9参照)を右方向に操作することで、駆動軸78が時計回り方向に回転する。
駆動軸78が時計回り方向に回転することで駆動軸78と一体にピニオン95が時計回り方向に回転する。ピニオン95が時計回り方向に回転することで、ラック96がシリンダ97の軸線方向に矢印Fの如く移動する。
ラック96の移動で右ピストン99がシリンダ97の軸線方向に矢印Fの如く移動する。
【0079】
右ピストン99が矢印Fの如く移動することで、右オイル室107のオイル108が方向制御弁104および右操舵用配管109を経て操舵シリンダ111の右オイル室に導かれる。
よって、操舵シリンダ111の操舵ピストン112が左方向に矢印Cの如く移動する。
【0080】
これにより、船外機本体13がスイベル軸21を中心にして右方向に矢印Dの如く揺動することにより、船体11を右方向に転舵することができる。
すなわち、実施例2によれば、油圧ヘルムポンプ93を用いることで、船外機本体13を油圧で操舵することが可能になる。
【0081】
このように、実施例2で油圧ヘルムポンプ93を使用可能とすることで、ヘルム機構としてメカニカルヘルム機構75(実施例1)や油圧ヘルムポンプ93(実施例2)の両方を用いることができる。
これにより、メカニカルヘルム機構75や油圧ヘルムポンプ93のうちから船体11に適したものを選択することが可能になり、設計の自由度を高めることができる。
【0082】
さらに、実施例2に係る操舵装置90によれば、実施例1に係る操舵装置16と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0083】
実施例3に係る動力伝達手段120について説明する。
図12に示すように、動力伝達手段120は、実施例1(動力伝達手段76)のチェーン83に代えて駆動ギヤ(ギヤ)121および従動ギヤ(ギヤ)122を設けたものでその他の構成は実施例1の動力伝達手段76と同じである。
【0084】
具体的には、第3変速出力軸56の下端部56aに同軸上に設けられた駆動ギヤ121と、駆動ギヤ121に噛み合うとともに駆動軸78の下端部78aに同軸上に設けられた従動ギヤ122とで構成されている。
よって、動力伝達手段120によれば、第3変速出力軸56の回転を駆動ギヤ121に伝え、駆動ギヤ121の回転を従動ギヤ122に伝え、従動ギヤ122の回転をメカニカルヘルム機構75の駆動軸78に伝えることができる。
【0085】
このように、動力伝達手段120を駆動ギヤ121および従動ギヤ122で構成することで、第3変速出力軸56(すなわち、ハンドル軸36)の回転をメカニカルヘルム機構75に簡単な構成で伝達できる。
【0086】
また、動力伝達手段120(すなわち、駆動ギヤ121および従動ギヤ122)のギヤ比を変更することで、変速機38(図3参照)と同様に、ティラーハンドル37の転舵角を好適に調整することができる。
これにより、例えば、変速機38と同様に、ティラーハンドル37の転舵角を、船体11(図1参照)を離岸させる場合や着岸させる場合の操作性に合わせて好適に調整することができる。
【実施例4】
【0087】
実施例4に係る動力伝達手段130について説明する。
図13に示すように、動力伝達手段130は、実施例1(動力伝達手段76)のチェーン83に代えてベルト131を設けたものでその他の構成は実施例1の動力伝達手段76と同じである。
【0088】
具体的には、第3変速出力軸56の下端部56aに駆動プーリ132が同軸上に設けられている。
また、駆動軸78の下端部78aに従動プーリ133が同軸上に設けられている。
そして、駆動プーリ132および従動プーリ133に無端状のベルト131が巻回されている。
【0089】
よって、動力伝達手段130によれば、第3変速出力軸56の回転を駆動プーリ132に伝え、駆動プーリ132の回転をベルト131を介して従動プーリ133に伝え、従動プーリ133の回転をメカニカルヘルム機構75の駆動軸78に伝えることができる。
このように、動力伝達手段130をベルト131で構成することで、第3変速出力軸56の回転をメカニカルヘルム機構75に簡単な構成で伝達できる。
【0090】
また、動力伝達手段130(すなわち、駆動プーリ132および従動プーリ133)のプーリ比(すなわち、各プーリ径の比)を変更することで、変速機38(図3参照)と同様に、ティラーハンドル37の転舵角を好適に調整することができる。
これにより、例えば、変速機38と同様に、ティラーハンドル37の転舵角を、船体11(図1参照)を離岸させる場合や着岸させる場合の操作性に合わせて好適に調整することができる。
【0091】
なお、本発明に係る船外機の操舵装置16,90は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例2では、油圧ヘルムポンプ93としてシリンダ形式の油圧発生デバイスを用いた例について説明したが、これに限らないで、ピストンポンプ(プランジャポンプ)などの他のポンプを用いることも可能である。
【0092】
また、前記実施例1〜4では、操舵ハンドルとしてティラーハンドル37を用いた例について説明したが、これに限らないで、操舵ハンドルとしてステアリングホイールを用いることも可能である。
ここで、ステアリングホイールの操舵力を電動アシスト機構41でアシスト(補助)することで操舵力の軽減が図れ、ステアリングホイールの直径を小さく抑えることができる。
【0093】
さらに、前記実施例1では、取付ブラケット35をボックス状に形成し、取付ブラケット35内に変速機38、電動アシスト機構41およびヘルム機構42を一体に設けた(収めた)例について説明したが、これに限らないで、取付ブラケット35をボックス状に形成しないで、取付ブラケット35に変速機38、電動アシスト機構41およびヘルム機構42を一体に設けることも可能である。
【0094】
また、前記実施例1〜4で示した船外機10、船体11、操舵装置16,90、エンジン22、推進プロペラ23、取付ブラケット35、ハンドル軸36、ティラーハンドル37、変速機38、電動アシスト機構41、ヘルム機構42、制御部43、第3変速出力軸56、電動アクチュエータ62、メカニカルヘルム機構75、動力伝達手段76,120,130、チェーン83、油圧ヘルムポンプ93、駆動ギヤ121、従動ギヤ122およびベルト131などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、船体に設けた操舵ハンドルを操作してヘルム機構を作動し、作動するヘルム機構で船外機を操舵する操舵装置を備えた船外機への適用に好適である。
【符号の説明】
【0096】
10…船外機、11…船体、16,90…操舵装置(船外機の操舵装置)、22…エンジン、23…推進プロペラ、35…取付ブラケット、36…ハンドル軸、37…ティラーハンドル(操舵ハンドル)、38…変速機、41…電動アシスト機構、42…ヘルム機構、43…制御部、56…第3変速出力軸(変速出力軸)、62…電動アクチュエータ、75…メカニカルヘルム機構、76,120,130…動力伝達手段、83…チェーン、93…油圧ヘルムポンプ、121…駆動ギヤ(ギヤ)、122…従動ギヤ(ギヤ)、131…ベルト。
【技術分野】
【0001】
本発明は、船体に設けた操舵ハンドルを操作してヘルム機構(操舵機構)を作動し、作動するヘルム機構で船外機を操舵する船外機の操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船体の後部に支持した船外機を操舵する操舵装置としてステアリングホイールやティラーハンドルが用いられる。
ステアリングホイールを備えた操舵装置のなかには、ステアリングホイールおよび油圧ヘルムポンプ(油圧操舵ポンプ)間にアシスト機構を設け、このアシスト機構でステアリングホイールの操舵力(操作力)をアシスト(補助)するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1の操舵装置によれば、ステアリングホイールを操作したとき、アシスト機構でステアリングホイールの操舵力をアシストすることで、ヘルム機構(操舵機構)の駆動軸を比較的小さな操舵力で操作することができる(すなわち、ステアリングホイールの操舵力を軽減できる)。
【0004】
ヘルム機構の駆動軸を作動することで、ヘルム機構からオイルが吐出され、吐出されたオイルが舵取り手段に導かれる。舵取り手段にオイルが導かれることで、オイルで舵取り手段を作動させて船外機を操舵することができる。
【0005】
一方、ティラーハンドルを備えた操舵装置は、通常、船外機のハウジングから船体前方に向けてティラーハンドルが延出されるように設けられている(例えば、特許文献2参照。)。
この操舵装置によれば、ティラーハンドルを操作することで、ティラーハンドルと一体に船外機を操舵させることができる。
ここで、船体の滑走中に船外機(推進プロペラ)の反力が作用している。よって、船外機を操舵させるためには、ティラーハンドルに比較的大きな操舵力を作用させる必要がある。
【0006】
ティラーハンドルの操舵力を軽減する対策として、例えば、電動油圧ヘルムポンプ(電動油圧操舵ポンプ)を用いることが考えられる。
すなわち、ティラーハンドルで作動可能な電動油圧ヘルムポンプを船体の所定部位に設け、電動油圧ヘルムポンプで作動可能な舵取り手段を船外機に連結するように構成することが考えられる。
【0007】
この操舵装置によれば、ティラーハンドルを操作することで、電動油圧ヘルムポンプを作動させ、電動油圧ヘルムポンプから吐出されたオイルが舵取り手段に導かれる。
オイルが舵取り手段に導かれることで、舵取り手段が作動して船外機を操舵することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−231383号公報
【特許文献2】特開平10−250688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、この操舵装置は、電動油圧ヘルムポンプをティラーハンドルから切り離して(分離して)船体の所定部位に設けている。
このため、電動油圧ヘルムポンプを設ける比較的大きな設置空間を船体の所定部位に確保する必要があり、この操舵装置を設置できる船体のタイプ(船種)が限られていた。
【0010】
本発明は、船体の制約を受けることなく多種の船体に設置可能な船外機の操舵装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、船体に設けた操舵ハンドルを操作してヘルム機構を作動し、前記ヘルム機構の作動で船外機を操舵する船外機の操舵装置において、前記操舵ハンドルに作用した操舵トルクをトルクセンサで検出し、検出した操舵トルクに基づいて前記ヘルム機構の操作をアシストする電動アシスト機構が設けられ、前記操舵ハンドルのハンドル軸に、前記ハンドル軸の回転を変速出力軸に変速して伝達可能な変速機が連結され、前記変速出力軸に前記電動アシスト機構および前記ヘルム機構を連結することで前記電動アシスト機構および前記ヘルム機構を一体的にまとめたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記操舵ハンドルを設ける取付ブラケットを備え、前記取付ブラケットに前記変速機、前記電動アシスト機構および前記ヘルム機構を一体に設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記ヘルム機構は、油圧で前記船外機を操舵する油圧ヘルムポンプ、または、機械的に前記船外機を操舵するメカニカルヘルム機構であることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、前記変速出力軸および前記ヘルム機構は、ギヤ、チェーンあるいはベルトのいずれかの動力伝達手段を用いて前記変速出力軸の回転を前記ヘルム機構に伝達可能に連結されたことを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る発明は、前記電動アシスト機構は、前記検出した操舵トルク、および前記船外機の推進プロペラを駆動するエンジンの回転数に基づいて制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、電動アシスト機構およびヘルム機構(操舵機構)を変速出力軸に連結することで電動アシスト機構およびヘルム機構を一体的にまとめた。
ここで、変速機は、操舵ハンドルのハンドル軸に設けられている。
よって、一体的にまとめた電動アシスト機構およびヘルム機構を、操舵ハンドルおよび変速機にさらにまとめて設けることができ、船外機の操舵装置(操舵装置)をユニット化できる。
【0017】
これにより、電動アシスト機構やヘルム機構を個別に設置する空間を船体に確保する必要がないので、ユニット化した操舵装置を船体の任意の部位に設置できる。
したがって、ユニット化した操舵装置を船体の制約を受けることなく多種の船体に設置(適用)でき、かつ、ユニット化した操舵装置の設置部位を決める際に設計の自由度を高めることができる。
【0018】
また、ユニット化した操舵装置を船体の任意の部位に設置することで、操舵装置(操舵ハンドル)を船外機本体から分離することができる。
よって、例えば、船体に対して船外機本体の取付角度(トリム角)を変更したときに、船外機本体の姿勢に影響を受けないように操舵ハンドルの姿勢を保つことができる。
これにより、船外機本体の取付角度(トリム角)を変更したときに、操作者の姿勢を変えることなく操舵ハンドルを操作でき、操舵ハンドルの操作性の向上を図ることができる。
【0019】
さらに、電動アシスト機構を設けることで、操舵ハンドルに作用した操舵トルクをトルクセンサで検出し、検出した操舵トルクに基づいてヘルム機構の操作をアシストすることができる。
よって、操舵ハンドルの操舵力(操作力)を小さく抑えることができるので、操舵ハンドルの全長を短くできる。
このように、操舵ハンドルの全長を短く抑えることで、操舵ハンドルが操作し易くなり操作性を好適に確保することができる。
【0020】
加えて、ハンドル軸の回転を変速機で変速出力軸に変速(減速または増速)して伝えることで、ハンドル軸の回転数(ハンドル軸回転数)に対して変速機の出力軸の回転数(出力軸回転数)を変化させることができる。
具体的には、ハンドル軸回転数に対して出力軸回転数を変速(減速または増速)することで、船外機の操舵角に対する操舵ハンドルの転舵角を大きく、または小さく抑えることができる。
【0021】
すなわち、変速機の変速状態(変速ギヤ比)を変更することで、船外機の操舵角に対する操舵ハンドルの転舵角を好適に調整でき、操作性の向上を図ることができる。
これにより、例えば、操舵ハンドルの転舵角を、船体を離岸させる場合や着岸させる場合の操作性に合わせて好適に調整することができる。
【0022】
請求項2に係る発明では、操舵ハンドルを取付ブラケットに設け、取付ブラケットに変速機、電動アシスト機構およびヘルム機構を一体に設けた。
よって、取付ブラケットを船体に取り付けることで操舵装置を船体に容易に設置することができ、設置作業の簡素化を図ることができる。
【0023】
請求項3に係る発明では、ヘルム機構として油圧ヘルムポンプ(油圧操舵ポンプ)やメカニカルヘルム機構(メカニカル操舵機構)の両方を使用可能とした。
これにより、船外機の操舵装置を船体に取り付ける際に、油圧ヘルムポンプやメカニカルヘルム機構のうちから船体に適したものを選択でき、設計の自由度を高めることができる。
【0024】
請求項4に係る発明では、変速出力軸の回転をヘルム機構に伝達する伝達手段としてギヤ、チェーンあるいはベルトを用いた。
これにより、前記変速出力軸の回転をヘルム機構に簡単な構成で伝達でき、構成の簡素化やコスト低減を図ることができる。
【0025】
請求項5に係る発明では、検出した操舵トルクに基づいて電動アシスト機構を制御するとともに、推進プロペラを駆動するエンジンの回転数に基づいて電動アシスト機構を制御するようにした。
ここで、エンジンの回転数を高くすると船体が高速状態(高速域)になり、推進プロペラの反力が大きくなる。このため、高速域では、操舵ハンドルの操舵力が大きくなる。
一方、エンジンの回転数を低くすると船体が低速状態(低速域)になり、推進プロペラの反力が小さくなる。このため、低速域では、操舵ハンドルの操舵力が軽くなる。
【0026】
そこで、請求項5において、推進プロペラを駆動するエンジンの回転数に基づいて電動アシスト機構を制御するようにした。
よって、高速滑走域において、電動アシスト機構による操舵ハンドルの操舵力(アシスト力)が大きくなるように制御することで、操作者による操舵ハンドルの操舵力を軽減することができる。
【0027】
一方、低速滑走域において、電動アシスト機構による操舵ハンドルの操舵力(アシスト力)を小さく抑えるように制御することで、操作者による操舵ハンドルの操舵力を適正に保つことができる。
このように、高速域において操舵ハンドルの操舵力を軽減し、低速域において操舵ハンドルの操舵力を適正に保つことで、操舵ハンドルの操縦安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る船外機の操舵装置(実施例1)を備えた船体を示す平面図である。
【図2】実施例1の操舵装置を示す斜視図である。
【図3】図2の操舵装置を示す断面図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図2の6矢視図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】本発明に係る操舵装置(実施例2)を示す斜視図である。
【図9】図8の操舵装置を示す断面図である。
【図10】図8の10矢視図である。
【図11】実施例2の油圧ヘルムポンプおよび操舵シリンダで船外機本体を操舵する例を説明する図である。
【図12】本発明に係る動力伝達手段(実施例3)を示す側面図である。
【図13】本発明に係る動力伝達手段(実施例4)を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は操作者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
【実施例1】
【0030】
実施例1に係る船外機の操舵装置16について説明する。
図1に示すように、船外機10は、船体11の船尾12に設けられた船外機本体13と、船外機本体13を操舵する操舵ユニット14と、操舵ユニット14を操作する船外機の操舵装置(以下、「操舵装置」という)16とを備えている。
【0031】
船外機本体13は、船体11の船尾12にスイベル軸21を介して左右方向に揺動自在(スイング自在)に支持されている。
船外機本体13は、エンジン22が内蔵され、エンジン22の出力軸に推進プロペラ23が連結されている。
【0032】
操舵ユニット14は、船体11の船尾12に設けられたスライド支持部25と、スライド支持部25にスライド自在に設けられた操舵ロッド26と、操舵ロッド26にアーム27を連結するロッド28とを備えている。
アーム27は船外機本体13に設けられている。
【0033】
操舵ロッド26の左端部26aに操作ケーブル31の一端部31aが連結され、操舵ロッド26の右端部26bに操作ケーブル31の他端部31bが連結されている。
操作ケーブル31は、図2、図6に示すメカニカルヘルム機構75(メカニカル操舵機構)に連結されている。
【0034】
操作ケーブル31で操舵ロッド26を矢印Aの如く移動することで、船外機本体13がスイベル軸21を中心にして左方向に矢印Bの如く揺動する。
一方、操作ケーブル31で操舵ロッド26を矢印Cの如く移動することで、船外機本体13がスイベル軸21を中心にして左方向に矢印Dの如く揺動する。
【0035】
図2、図3に示すように、操舵装置16は、船体11の船尾12(図1参照)に設けられた取付ブラケット35と、取付ブラケット35内に回転自在に設けられたハンドル軸36と、ハンドル軸36の上部に設けられたティラーハンドル(操舵ハンドル)37と、ハンドル軸36に連結された変速機38と、変速機38の出力軸ユニット39に連結された電動アシスト機構41およびヘルム機構(操舵機構)42と、電動アシスト機構41を制御する制御部43とを備えている。
【0036】
この操舵装置16は、船体11(図1参照)に設けられたティラーハンドル37を操作してヘルム機構42を作動し、ヘルム機構42の作動で船外機本体13(図1参照)を操舵する機能を備えている。
さらに、操舵装置16は、ティラーハンドル37を操作する際に、ティラーハンドル37の操作性を電動アシスト機構41で高める機能を備えている。
【0037】
ハンドル軸36の下端部36aに変速機38が連結されている。
変速機38は、ハンドル軸36の下端部36aに同軸上に設けられた第1ギヤ46と、第1ギヤ46に噛み合うとともにアイドル軸47に同軸上に設けられた第2ギヤ48と、アイドル軸47に同軸上に設けられた第3ギヤ49と、第3ギヤ49に噛み合うとともに出力軸ユニット39(具体的には、第1変速出力軸54)に同軸上に設けられた第4ギヤ51と、第1〜第4のギヤ46,48,49,51を覆うケーシング52とを備えている。
【0038】
よって、ティラーハンドル37を操作してハンドル軸36を回転することで、ハンドル軸36と一体に第1ギヤ46が回転する。第1ギヤ46が回転することで第2ギヤ48が回転するとともに、第2ギヤ48と一体にアイドル軸47が回転する。
アイドル軸47が回転することでアイドル軸47と一体に第3ギヤ49が回転する。
第3ギヤ49が回転することで第4ギヤ51が回転し、第4ギヤ51と一体に出力軸ユニット39(第1変速出力軸54)が回転する。
【0039】
図4に示すように、出力軸ユニット39は、第4ギヤ51が同軸上に設けられた第1変速出力軸54と、第1変速出力軸54の下端部54aに上端部55aが連結された中空状の第2変速出力軸55と、第2変速出力軸55の下方に同軸上に設けられた第3変速出力軸(変速出力軸)56とを備えている。
第3変速出力軸56は、第2変速出力軸55に対して同軸上に回動自在に支持されている。第2変速出力軸55および第3変速出力軸56は、後述するトーションバー66を介して連結されている。
【0040】
よって、変速機38によれば、第1、第2のギヤ46,48のギヤ比や、第3、第4のギヤ49,51のギヤ比を変更することで、ハンドル軸36の回転を第3変速出力軸56に変速(減速あるいは増速)させて伝えることができる。
すなわち、変速機38は、ハンドル軸36の回転数(ハンドル軸回転数)に対して第3変速出力軸56の回転数(出力軸回転数)を変化させることができる。
【0041】
具体的には、ハンドル軸回転数に対して出力軸回転数を変速(減速または増速)することで、船外機10の操舵角に対するティラーハンドル37の転舵角を大きく確保でき、または小さく抑えることができる。
よって、変速機38の変速状態(変速ギヤ比)を変更することで、船外機10の操舵角に対するティラーハンドル37の転舵角を好適に調整でき、操作性の向上を図ることができる。
これにより、例えば、ティラーハンドル37の転舵角を、船体11(図1参照)を離岸させる場合や着岸させる場合の操作性に合わせて好適に調整することができる。
【0042】
図4に示すように、電動アシスト機構41は、第2変速出力軸55に伝えられた操舵トルクを検出するトルクセンサ61と、検出した操舵トルクに基づいて作動する電動アクチュエータ62と、電動アクチュエータ62の出力軸63(図5も参照)を第3変速出力軸56に連結するアシストギヤ機構64とを備えている。
【0043】
トルクセンサ61は、第2変速出力軸55に上端部66aが連結されるとともに第3変速出力軸56に下端部66bが連結されたトーションバー66と、トーションバー66(具体的には、第2変速出力軸55)に軸線方向に移動自在に支持されたトルクリング67と、トルクリング67の外側に設けられたコイル68とを備えた一般的なセンサである。
【0044】
このトルクセンサ61は、第2変速出力軸55に操舵トルクが伝えられたとき、トーションバー66に捩れが生じ、トーションバー66の捩れに基づいてトルクリング67を第2変速出力軸55の軸線方向に移動し、トルクリング67の移動量をコイル68で検出し、検出した移動量に基づいて操舵トルクを検出するものである。
【0045】
検出された操舵トルクは制御部43(図2、図3参照)に伝えられる。
制御部43は、伝えられた操舵トルクに基づいて電動アクチュエータ62に駆動信号を出力する。
電動アクチュエータ62は、制御部43からの駆動信号に基づいて駆動する(具体的には、出力軸63を回転する)通常の電動モータである。
出力軸63にはアシストギヤ機構64のピニオン71(図5参照)が設けられている。
【0046】
図5に示すように、アシストギヤ機構64は、電動アクチュエータ62の出力軸63に設けられたピニオン71と、ピニオン71に噛み合うとともに第3変速出力軸56に設けられたヘリカルギヤ(はすば歯車)72とを備えている。
このように、電動アクチュエータ62の出力軸63(すなわち、電動アシスト機構41)は変速機38の第3変速出力軸56に連結されている。
さらに、電動アクチュエータ62の出力軸63は、変速機38の出力軸ユニット39(第3変速出力軸56)に対して直交に配置されている(図4も参照)。
【0047】
ピニオン71をヘリカルギヤ72に噛み合わせることで、ピニオン71の回転をヘリカルギヤ72を介して第3変速出力軸56に伝えることができる。
ピニオン71は、検出した操舵トルクに基づいて電動アクチュエータ62が作動することにより出力軸63と一体に回転する。
よって、電動アクチュエータ62(電動アシスト機構41)で第3変速出力軸56(図4も参照)の回転をアシスト(補助)することができる。
【0048】
これにより、図2に示すティラーハンドル37の操舵力(操舵トルク)を電動アシスト機構41でアシスト(補助)することができる。
したがって、ティラーハンドル37を操作する際に、ティラーハンドル37を比較的小さな操舵力で操作することができ、操作性を高めることができる。
【0049】
加えて、ティラーハンドル37の操舵力を小さく抑えることができるので、ティラーハンドル37の全長を短くできる。
このように、ティラーハンドル37の全長を短く抑えることで、ティラーハンドル37が操作し易くなり操作性を好適に確保することができる。
【0050】
加えて、電動アシスト機構41は、後述するように、図1に示すエンジン22の回転数(以下、「エンジン回転数」という)に基づいて、ティラーハンドル37の操舵力(操舵トルク)をアシスト(補助)する機能を備えている。
すなわち、電動アシスト機構41は、検出した操舵トルクや、エンジン回転数に基づいてティラーハンドル37の操作を好適に制御可能に構成されている。
【0051】
図6、図7に示すように、ヘルム機構42は、第3変速出力軸56を駆動軸78(メカニカルヘルム機構75)に連結する動力伝達手段76と、動力伝達手段76を介して第3変速出力軸56に連動するメカニカルヘルム機構75とを備えている。
駆動軸78は、メカニカルヘルム機構75の駆動軸であり、第3変速出力軸56に対して並列に設けられた軸である。
【0052】
動力伝達手段76は、第3変速出力軸56の下端部56aに同軸上に設けられた駆動スプロケット81と、駆動軸78の下端部78aに同軸上に設けられた従動スプロケット82と、駆動スプロケット81および従動スプロケット82に巻回された無端状のチェーン83とを備えている。
すなわち、メカニカルヘルム機構75の駆動軸78(すなわち、ヘルム機構42)は変速機38の第3変速出力軸56に連結されている。
【0053】
動力伝達手段76によれば、駆動スプロケット81の周壁に形成された複数の突起82aがチェーン83に噛み合うとともに、従動スプロケット82の周壁に形成された複数の突起がチェーン83に噛み合っている。
よって、動力伝達手段76によれば、第3変速出力軸56の回転を駆動スプロケット81に伝え、駆動スプロケット81の回転をチェーン83を介して従動スプロケット82に伝え、従動スプロケット82の回転をヘルム機構42の駆動軸78に伝えることができる。
【0054】
このように、第3変速出力軸56の回転をヘルム機構42に伝達する伝達手段76としてチェーン83を用いた。
これにより、第3変速出力軸56の回転をヘルム機構42に簡単な構成で伝達でき、構成の簡素化やコスト低減を図ることができる。
【0055】
また、駆動スプロケット81および従動スプロケット82のスプロケット比(各スプロケットの径比)を変更することで、変速機38と同様に、ティラーハンドル37の転舵角を好適に調整することができる。
これにより、例えば、変速機38と同様に、ティラーハンドル37の転舵角を、船体11(図1参照)を離岸させる場合や着岸させる場合の操作性に合わせて好適に調整することができる。
【0056】
メカニカルヘルム機構75は、駆動軸78にプーリ85(図7参照)が同軸上に設けられ、プーリ85の外周85aに操作ケーブル31が取り付けられている。
操作ケーブル31は、ケース86から外部に引き出されている。
図1に示すように、一対の端部31a,31bが船外機本体13まで延出されている。
そして、一端部31aが操舵ロッド26の左端部26aに連結され、他端部31bが操舵ロッド26の右端部26bに連結されている。
【0057】
図1、図7に示すように、メカニカルヘルム機構75によれば、ティラーハンドル37を左方向に矢印Eの如く操舵することで、出力軸ユニット39(第3変速出力軸56(図6参照))が反時計回り方向に回転し、動力伝達手段76を介して駆動軸78が反時計回り方向に回転する。
駆動軸78と一体にプーリ85が反時計回り方向に回転することで、操作ケーブル31の他端部31bが矢印Fの如く引き戻される。
よって、操舵ロッド26が右方向に矢印Aの如く移動し、船外機本体13がスイベル軸21を中心にして左方向に矢印Bの如く揺動する。
【0058】
一方、ティラーハンドル37を右方向に矢印Gの如く操舵することで、出力軸ユニット39(第3変速出力軸56(図6参照))が時計回り方向に回転し、動力伝達手段76を介して駆動軸78が時計回り方向に回転する。
駆動軸78と一体にプーリ85が時計回り方向に回転することで、操作ケーブル31の一端部31aが矢印Hの如く引き戻される。
よって、操舵ロッド26が左方向に矢印Cの如く移動し、船外機本体13がスイベル軸21を中心にして右方向に矢印Dの如く揺動する。
すなわち、メカニカルヘルム機構75は、船外機本体13を機械的に操舵する機構である。
【0059】
図6、図7に示すように、動力伝達手段76は、駆動スプロケット81、従動スプロケット82およびチェーン83で構成されている。
よって、駆動スプロケット81および従動スプロケット82のギヤ比(各スプロケット径比)を変更することで、ティラーハンドル37の転舵角を好適に調整することができる。
これにより、例えば、図1に示すティラーハンドル37の転舵角を、船体11を離岸させる場合や着岸させる場合の操作性に合わせて好適に調整することができる。
【0060】
ここで、前述したように、電動アシスト機構41およびヘルム機構42が変速機38の第3変速出力軸56にそれぞれ連結されている。
このように、電動アシスト機構41およびヘルム機構42を変速機38の第3変速出力軸56に連結することで、電動アシスト機構41およびヘルム機構42を一体的にまとめることができる。
【0061】
ところで、変速機38は、ティラーハンドル37のハンドル軸36に設けられている。
よって、一体的にまとめた電動アシスト機構41およびヘルム機構42を、ティラーハンドル37および変速機38にさらにまとめて設けることができ、操舵装置16をユニット化できる。
【0062】
これにより、電動アシスト機構41やヘルム機構42を個別に設置する空間を船体11に確保する必要がないので、ユニット化した操舵装置16を船体11の任意の部位に設置できる。
したがって、ユニット化した操舵装置16を船体11の制約を受けることなく多種の船体11に設置(適用)でき、かつ、ユニット化した操舵装置16の設置部位を決める際に設計の自由度を高めることができる。
【0063】
また、ユニット化した操舵装置16を船体11の任意の部位に設置することで、ティラーハンドル37を船外機本体13から分離することができる。
よって、例えば、船体11に対して船外機本体13の取付角度(トリム角)を変更したときに、船外機本体13の姿勢に影響を受けないようにティラーハンドル37の姿勢を保つことができる。
これにより、船外機本体13の取付角度(トリム角)を変更したときに、操作者の姿勢を変えることなくティラーハンドル37を操作でき、ティラーハンドル37の操作性の向上を図ることができる。
【0064】
ここで、船体11の船尾12(図1参照)に取付ブラケット35が設けられ、取付ブラケット35がボックス状に形成されている。この取付ブラケット35にハンドル軸36を介してティラーハンドル37が設けられている。
そして、取付ブラケット35内に変速機38、電動アシスト機構41およびヘルム機構42が一体に設けられている(収められている)。
これにより、取付ブラケット35を船体11に取り付けることにより、操舵装置16を船体11に容易に設置することができるので設置作業の簡素化を図ることができる。
【0065】
ところで、取付ブラケット35は、船体11の船尾12に締結部材(ボルト・ナットなど)を用いて取り付け可能に、または、船体11の船尾12にクランプ手段を用いて取り付け可能に構成されている。
【0066】
図1、図2に示すように、制御部43は、トルクセンサ61(図4参照)で検出した操舵トルクに基づいて電動アシスト機構41(電動アクチュエータ62)に駆動信号を伝える機能を備えている。
よって、前述したように、ティラーハンドル37を操舵する際に、ティラーハンドル37の操舵力(操舵トルク)F1を電動アシスト機構41でアシスト(補助)することができる。
これにより、ティラーハンドル37を比較的小さな操舵力F1で操作することができ、操作性を高めることができる。
【0067】
ここで、エンジン22の回転数を高くすると船体11が高速滑走状態(高速滑走域)になり、推進プロペラ23の反力が大きくなる。このため、高速滑走域では、ティラーハンドル37の操舵力F1が大きくなる。
一方、エンジン22の回転数を低くすると船体11が低速滑走状態(低速滑走域)になり、推進プロペラ23の反力が小さくなる。このため、低速滑走域では、ティラーハンドル37の操舵力F1が軽くなる。
【0068】
そこで、制御部43は、エンジン回転数に基づいて電動アシスト機構41(電動アクチュエータ62)に駆動信号を伝える機能を備えるようにした。
具体的には、エンジン回転数を回転数検出手段81(図1参照)で検出し、検出した信号を制御部43に伝える。
エンジン回転数が高回転の場合、電動アシスト機構41によるアシストを促進するような信号を制御部43から電動アクチュエータ62に伝える。
よって、高速滑走域において、ティラーハンドル37に作用する操舵力(アシスト力)が大きくなるように電動アシスト機構41を制御できる。
これにより、操作者によるティラーハンドル37の操舵力F1を軽減することができる。
【0069】
一方、エンジン回転数が低回転の場合、電動アシスト機構41によるアシストを抑えるような信号を制御部43から電動アクチュエータ62に伝える。
よって、低速滑走域において、ティラーハンドル37に作用する操舵力(アシスト力)を小さく抑えるように電動アシスト機構41を制御できる。
これにより、操作者によるティラーハンドル37の操舵力F1を適正に保つことができる。
【0070】
このように、高速滑走域においてティラーハンドル37の操舵力F1を軽減し、低速滑走域においてティラーハンドル37の操舵力F1を適正に保つことで、操作者によるティラーハンドル37の操縦安定性を向上させることができる。
【0071】
つぎに、実施例2を図8〜図10に基づいて説明する。
なお、実施例2において実施例1の操舵装置16と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【実施例2】
【0072】
実施例2に係る船外機の操舵装置90について説明する。
図8に示すように、操舵装置90は、実施例1のヘルム機構42に代えてヘルム機構(操舵機構)92を設けたものでその他の構成は実施例1の操舵装置16と同じである。
【0073】
図9、図10に示すように、ヘルム機構92は、第3変速出力軸56を駆動軸78(油圧ヘルムポンプ(油圧操舵ポンプ)93)に連結する動力伝達手段76と、動力伝達手段76を介して第3変速出力軸56に連動する油圧ヘルムポンプ93とを備えている。
駆動軸78は、油圧ヘルムポンプ93の駆動軸であり、第3変速出力軸56に対して並列に設けられた軸である。
【0074】
動力伝達手段76は、実施例1で説明したように、第3変速出力軸56の回転を駆動スプロケット81に伝え、駆動スプロケット81の回転をチェーン83を介して従動スプロケット82に伝え、従動スプロケット82の回転をヘルム機構92の駆動軸78に伝えるように構成されている。
【0075】
図11に示すように、油圧ヘルムポンプ93は、駆動軸78が回転することで駆動軸78と一体にピニオン95が回転し、ピニオン95の回転でラック96がシリンダ97の軸線方向に移動し、ラック96の移動で一対のピストン98,99がシリンダ97の軸線方向に移動するように構成されている。
すなわち、油圧ヘルムポンプ93は、シリンダ97および一対のピストン98,99を用いたシリンダ形式の油圧発生デバイスである。
【0076】
具体的には、ティラーハンドル37(図9参照)を左方向に操作することで、駆動軸78が反時計回り方向に回転する。
駆動軸78が反時計回り方向に回転することで駆動軸78と一体にピニオン95が反時計回り方向に回転する。ピニオン95が反時計回り方向に回転することで、ラック96がシリンダ97の軸線方向に矢印Eの如く移動する。
ラック96の移動で左ピストン98がシリンダ97の軸線方向に矢印Eの如く移動する。
【0077】
左ピストン98が矢印Eの如く移動することで、左オイル室102のオイル133が方向制御弁104および左操舵用配管105を経て操舵シリンダ111の左オイル室に導かれる。
よって、操舵シリンダ111の操舵ピストン112が右方向に矢印Aの如く移動する。
これにより、船外機本体13がスイベル軸21を中心にして左方向に矢印Bの如く揺動することにより、船体11を左方向に転舵することができる。
【0078】
一方、ティラーハンドル37(図9参照)を右方向に操作することで、駆動軸78が時計回り方向に回転する。
駆動軸78が時計回り方向に回転することで駆動軸78と一体にピニオン95が時計回り方向に回転する。ピニオン95が時計回り方向に回転することで、ラック96がシリンダ97の軸線方向に矢印Fの如く移動する。
ラック96の移動で右ピストン99がシリンダ97の軸線方向に矢印Fの如く移動する。
【0079】
右ピストン99が矢印Fの如く移動することで、右オイル室107のオイル108が方向制御弁104および右操舵用配管109を経て操舵シリンダ111の右オイル室に導かれる。
よって、操舵シリンダ111の操舵ピストン112が左方向に矢印Cの如く移動する。
【0080】
これにより、船外機本体13がスイベル軸21を中心にして右方向に矢印Dの如く揺動することにより、船体11を右方向に転舵することができる。
すなわち、実施例2によれば、油圧ヘルムポンプ93を用いることで、船外機本体13を油圧で操舵することが可能になる。
【0081】
このように、実施例2で油圧ヘルムポンプ93を使用可能とすることで、ヘルム機構としてメカニカルヘルム機構75(実施例1)や油圧ヘルムポンプ93(実施例2)の両方を用いることができる。
これにより、メカニカルヘルム機構75や油圧ヘルムポンプ93のうちから船体11に適したものを選択することが可能になり、設計の自由度を高めることができる。
【0082】
さらに、実施例2に係る操舵装置90によれば、実施例1に係る操舵装置16と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0083】
実施例3に係る動力伝達手段120について説明する。
図12に示すように、動力伝達手段120は、実施例1(動力伝達手段76)のチェーン83に代えて駆動ギヤ(ギヤ)121および従動ギヤ(ギヤ)122を設けたものでその他の構成は実施例1の動力伝達手段76と同じである。
【0084】
具体的には、第3変速出力軸56の下端部56aに同軸上に設けられた駆動ギヤ121と、駆動ギヤ121に噛み合うとともに駆動軸78の下端部78aに同軸上に設けられた従動ギヤ122とで構成されている。
よって、動力伝達手段120によれば、第3変速出力軸56の回転を駆動ギヤ121に伝え、駆動ギヤ121の回転を従動ギヤ122に伝え、従動ギヤ122の回転をメカニカルヘルム機構75の駆動軸78に伝えることができる。
【0085】
このように、動力伝達手段120を駆動ギヤ121および従動ギヤ122で構成することで、第3変速出力軸56(すなわち、ハンドル軸36)の回転をメカニカルヘルム機構75に簡単な構成で伝達できる。
【0086】
また、動力伝達手段120(すなわち、駆動ギヤ121および従動ギヤ122)のギヤ比を変更することで、変速機38(図3参照)と同様に、ティラーハンドル37の転舵角を好適に調整することができる。
これにより、例えば、変速機38と同様に、ティラーハンドル37の転舵角を、船体11(図1参照)を離岸させる場合や着岸させる場合の操作性に合わせて好適に調整することができる。
【実施例4】
【0087】
実施例4に係る動力伝達手段130について説明する。
図13に示すように、動力伝達手段130は、実施例1(動力伝達手段76)のチェーン83に代えてベルト131を設けたものでその他の構成は実施例1の動力伝達手段76と同じである。
【0088】
具体的には、第3変速出力軸56の下端部56aに駆動プーリ132が同軸上に設けられている。
また、駆動軸78の下端部78aに従動プーリ133が同軸上に設けられている。
そして、駆動プーリ132および従動プーリ133に無端状のベルト131が巻回されている。
【0089】
よって、動力伝達手段130によれば、第3変速出力軸56の回転を駆動プーリ132に伝え、駆動プーリ132の回転をベルト131を介して従動プーリ133に伝え、従動プーリ133の回転をメカニカルヘルム機構75の駆動軸78に伝えることができる。
このように、動力伝達手段130をベルト131で構成することで、第3変速出力軸56の回転をメカニカルヘルム機構75に簡単な構成で伝達できる。
【0090】
また、動力伝達手段130(すなわち、駆動プーリ132および従動プーリ133)のプーリ比(すなわち、各プーリ径の比)を変更することで、変速機38(図3参照)と同様に、ティラーハンドル37の転舵角を好適に調整することができる。
これにより、例えば、変速機38と同様に、ティラーハンドル37の転舵角を、船体11(図1参照)を離岸させる場合や着岸させる場合の操作性に合わせて好適に調整することができる。
【0091】
なお、本発明に係る船外機の操舵装置16,90は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例2では、油圧ヘルムポンプ93としてシリンダ形式の油圧発生デバイスを用いた例について説明したが、これに限らないで、ピストンポンプ(プランジャポンプ)などの他のポンプを用いることも可能である。
【0092】
また、前記実施例1〜4では、操舵ハンドルとしてティラーハンドル37を用いた例について説明したが、これに限らないで、操舵ハンドルとしてステアリングホイールを用いることも可能である。
ここで、ステアリングホイールの操舵力を電動アシスト機構41でアシスト(補助)することで操舵力の軽減が図れ、ステアリングホイールの直径を小さく抑えることができる。
【0093】
さらに、前記実施例1では、取付ブラケット35をボックス状に形成し、取付ブラケット35内に変速機38、電動アシスト機構41およびヘルム機構42を一体に設けた(収めた)例について説明したが、これに限らないで、取付ブラケット35をボックス状に形成しないで、取付ブラケット35に変速機38、電動アシスト機構41およびヘルム機構42を一体に設けることも可能である。
【0094】
また、前記実施例1〜4で示した船外機10、船体11、操舵装置16,90、エンジン22、推進プロペラ23、取付ブラケット35、ハンドル軸36、ティラーハンドル37、変速機38、電動アシスト機構41、ヘルム機構42、制御部43、第3変速出力軸56、電動アクチュエータ62、メカニカルヘルム機構75、動力伝達手段76,120,130、チェーン83、油圧ヘルムポンプ93、駆動ギヤ121、従動ギヤ122およびベルト131などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、船体に設けた操舵ハンドルを操作してヘルム機構を作動し、作動するヘルム機構で船外機を操舵する操舵装置を備えた船外機への適用に好適である。
【符号の説明】
【0096】
10…船外機、11…船体、16,90…操舵装置(船外機の操舵装置)、22…エンジン、23…推進プロペラ、35…取付ブラケット、36…ハンドル軸、37…ティラーハンドル(操舵ハンドル)、38…変速機、41…電動アシスト機構、42…ヘルム機構、43…制御部、56…第3変速出力軸(変速出力軸)、62…電動アクチュエータ、75…メカニカルヘルム機構、76,120,130…動力伝達手段、83…チェーン、93…油圧ヘルムポンプ、121…駆動ギヤ(ギヤ)、122…従動ギヤ(ギヤ)、131…ベルト。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体に設けた操舵ハンドルを操作してヘルム機構を作動し、前記ヘルム機構の作動で船外機を操舵する船外機の操舵装置において、
前記操舵ハンドルに作用した操舵トルクをトルクセンサで検出し、検出した操舵トルクに基づいて前記ヘルム機構の操作をアシストする電動アシスト機構が設けられ、
前記操舵ハンドルのハンドル軸に、前記ハンドル軸の回転を変速出力軸に変速して伝達可能な変速機が連結され、
前記変速出力軸に前記電動アシスト機構および前記ヘルム機構を連結することで前記電動アシスト機構および前記ヘルム機構を一体的にまとめたことを特徴とする船外機の操舵装置。
【請求項2】
前記操舵ハンドルを設ける取付ブラケットを備え、
前記取付ブラケットに前記変速機、前記電動アシスト機構および前記ヘルム機構を一体に設けたことを特徴とする請求項1記載の船外機の操舵装置。
【請求項3】
前記ヘルム機構は、
油圧で前記船外機を操舵する油圧ヘルムポンプ、または、機械的に前記船外機を操舵するメカニカルヘルム機構であることを特徴とする請求項1記載の船外機の操舵装置。
【請求項4】
前記変速出力軸および前記ヘルム機構は、
ギヤ、チェーンあるいはベルトのいずれかの動力伝達手段を用いて前記変速出力軸の回転を前記ヘルム機構に伝達可能に連結されたことを特徴とする請求項1記載の船外機の操舵装置。
【請求項5】
前記電動アシスト機構は、
前記検出した操舵トルク、および前記船外機の推進プロペラを駆動するエンジンの回転数に基づいて制御されることを特徴とする請求項1記載の船外機の操舵装置。
【請求項1】
船体に設けた操舵ハンドルを操作してヘルム機構を作動し、前記ヘルム機構の作動で船外機を操舵する船外機の操舵装置において、
前記操舵ハンドルに作用した操舵トルクをトルクセンサで検出し、検出した操舵トルクに基づいて前記ヘルム機構の操作をアシストする電動アシスト機構が設けられ、
前記操舵ハンドルのハンドル軸に、前記ハンドル軸の回転を変速出力軸に変速して伝達可能な変速機が連結され、
前記変速出力軸に前記電動アシスト機構および前記ヘルム機構を連結することで前記電動アシスト機構および前記ヘルム機構を一体的にまとめたことを特徴とする船外機の操舵装置。
【請求項2】
前記操舵ハンドルを設ける取付ブラケットを備え、
前記取付ブラケットに前記変速機、前記電動アシスト機構および前記ヘルム機構を一体に設けたことを特徴とする請求項1記載の船外機の操舵装置。
【請求項3】
前記ヘルム機構は、
油圧で前記船外機を操舵する油圧ヘルムポンプ、または、機械的に前記船外機を操舵するメカニカルヘルム機構であることを特徴とする請求項1記載の船外機の操舵装置。
【請求項4】
前記変速出力軸および前記ヘルム機構は、
ギヤ、チェーンあるいはベルトのいずれかの動力伝達手段を用いて前記変速出力軸の回転を前記ヘルム機構に伝達可能に連結されたことを特徴とする請求項1記載の船外機の操舵装置。
【請求項5】
前記電動アシスト機構は、
前記検出した操舵トルク、および前記船外機の推進プロペラを駆動するエンジンの回転数に基づいて制御されることを特徴とする請求項1記載の船外機の操舵装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−105212(P2011−105212A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263911(P2009−263911)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
[ Back to top ]