説明

船積み計画作成方法および船積み計画作成プログラム

【課題】汎用のコンピュータを用いたとしても、多品種の輸送対象製品を一つの船倉に積み込むときの船積み計画を短時間で作成することができる船積み計画作成方法を提供すること。
【解決手段】複数種類の長尺の輸送対象製品を複数の段積み製品群に分けて一つの船倉に積み込むときの荷姿および配置をコンピュータで作成するにあたって、複数種類の輸送対象製品それぞれの属性情報と船倉の深さに係る情報とにもとづいて、複数種類の輸送対象製品の各々を複数の輸送対象製品群に分類し、かつ輸送対象製品群の各々での輸送対象製品の段積み順を定めて、複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成する荷姿作成ステップと、複数の段積み製品群の各々の平面視上の形状および大きさと船倉の底面の形状および大きさに係る情報とにもとづいて、複数の段積み製品群の船倉内配置を作成する船倉内配置作成ステップとをコンピュータに実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送対象製品を船舶輸送するときの船積み計画を作成する船積み計画作成方法、および当該船積み計画をコンピュータに作成させる船積み計画作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄鋼製品は船舶によって出荷されることが多く、一つの船倉に複数種類の製品ロットを積み込んで船舶輸送する場合も多い。近年では、鉄鋼製品に限らず種々の製品で多品種少数ロットによる輸送の需要が増しているため、多様な製品構成の輸送対象製品についての船積み計画を効率よく作成する必要性が高まっている。
【0003】
この輸送対象製品を輸送船舶の船倉に積み込むにあたっては、輸送船舶の積載能力、輸送船舶のバランス保持や輸送期間中の輸送対象製品の品質保持、荷揚げ順等を考慮して、熟練作業者が当該輸送対象製品の積込み位置を決定しているが、熟練作業者の経験をもってしても多品種の輸送対象製品の船積み計画を作成するには長時間を要する。また、作成された船積み計画に対して定量的な評価を行うことが難しいため、計画精度の向上を図ることが困難である。このため、熟練作業者が直接関わらなくても船積み計画等の荷物の積付け計画の作成を可能にする方法が種々、提案されている。
【0004】
例えば特許文献1に記載された船内積付け構成決定方法では、熟練した専門家の経験と勘を模擬構築したエキスパートシステムによって鉄鋼製品の船内積付け構成を決定する。
【0005】
特許文献2に記載された長尺材の積付け方法では、前後二つのスタックに分けて長尺材を船倉内に積み付け、これらの上部に二つのスタックを跨いで長尺材を中央積付けするにあたって、船倉スペース、ハッチと船倉スペースとの位置関係、二つのスタックでの積み込み可能な高さ位置、二つのスタックの各段での積付け本数および総積付け本数、中央積付けの各段での積付け本数および総積付け本数、ならびに長尺材の総本数の各々を演算により求める。
【0006】
特許文献3に記載された積付け計画方法では、荷物の積付け面のデータと荷物のデータとから仮説推論によって数理計画パラメータを選定し、この数理計画パラメータを用いた数理計画法によって積付けパターンを作成し、作成した積付けパターンが制限値を満足していないと判断された場合には、数理計画パラメータを変更して積付けパターンを再度作成する。
【0007】
特許文献4に記載された船積み計画作成方法では、製品の出荷予定情報および製品の属性が格納された製品出荷データベースと、製品を輸送する船舶情報が格納された船舶データベースとから出荷予定製品の情報を抽出し、抽出した出荷製品情報にもとづいて輸送船舶での積込み船倉(ハッチ)および順番を決定する。
【0008】
特許文献5に記載された荷物の積付け計画方法では、荷物を種類別に分類し、数量の多い順に並び替え、同一種類の荷物を積み重ねて複数の棒状に形成したものを所定のパターンとパターンマッチングして、積載台に配置する。
【0009】
また、荷物の積付け計画の作成方法そのものではないが、非特許文献1には、車両への荷物積込み等に切出し・詰込み問題の解法を適用可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−117783号公報
【特許文献2】特開平8−268563号公報
【特許文献3】特開平7−129224号公報
【特許文献4】特開2001−247219号公報
【特許文献5】特開2000−255783号公報
【0011】
【非特許文献1】梅谷 俊治“切出し・詰込み問題に対する最適化手法”平成21年、IPS2009、[平成22年3月5日検索]、インターネット<URL:http://www-sys.ist.osaka-u.ac.jp/~umetani/proceeding/ips2009_paper.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載された船内積付け構成決定方法は、エキスパートシステムを用いた方法であり、熟練した専門家の判断論理をルールとして正確に展開、構築しなければならないため、システムの構築が困難であるという問題点がある。また、作業内容の変更等により積付け条件が変更された場合には、熟練した専門家の判断をもって再度ルールを構築しなければならないため、所望の船内積付け構成を短時間で作成することができないという問題点もある。
【0013】
また、特許文献2に記載された長尺材の積付け方法は、前後二つのスタックに分けて長尺材を船倉内に積み付けるとともにそれらの上部に二つのスタックを跨いで長尺材を中央積付けするときの方法であり、荷姿の選択の自由度が低いため、多品種の輸送対象製品を一時に船舶輸送する際の方法としては適用できないという問題点がある。
【0014】
特許文献3に記載された積付け計画方法は、荷物のデータとして具体的には縦、横、高さの寸法を一時に用いて数理計算パラメータを選定し、この数理計画パラメータを用いた数理計画法によってパレット上での積付けパターンを作成するものであるので、一つの積付けパターンを算出するのに要する計算量が比較的多い。このため、パレットへの荷物の積付けのように積付け対象製品の数が比較的少ない場合の積付け計画を作成することはできるものの、大量の輸送対象製品を積み込む船舶輸送に適用すると積付けパターンを作成する際の計算量が多くなって、所望の積付けパターンを短時間で作成すことができなくなったり、高性能のコンピュータが必要になったりするという問題点が生じる。
【0015】
特許文献4に記載された船積み計画作成方法は、輸送対象製品を複数の船倉(ハッチ)に積み込むときの積込み船倉および順番を決定するものであり、輸送対象製品を複数の段積み製品群に分けて一つの船倉に積み込むときの各段積み製品群の荷姿まで作成するものではないので、多品種の輸送対象製品を一つの船倉に積み込む船積み計画の作成方法としては用いることができないという問題点がある。
【0016】
特許文献5に記載された荷物の積付け計画方法は、同一種類の荷物を積み重ねて複数の棒状にしたものを積載台上に配置するためのものであるので、輸送対象製品が例えば形鋼製品のような長尺物である場合には用いることができないという問題がある。
【0017】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、汎用のコンピュータを用いたとしても、複数種類の長尺の輸送対象製品を一つの船倉に積み込むときの船積み計画を短時間で作成することができる船積み計画作成方法、および当該船積み計画をコンピュータに作成させる船積み計画作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決し、目的を達成する本発明の船積み計画作成方法は、複数種類の長尺の輸送対象製品を複数の段積み製品群に分けて一つの船倉に積み込むときの荷姿および配置をコンピュータで作成する船積み計画作成方法であって、前記コンピュータが、前記輸送対象製品それぞれの属性情報と前記船倉の深さに係る情報とにもとづいて、前記輸送対象製品の各々を複数の輸送対象製品群に分類し、かつ該輸送対象製品群の各々での前記輸送対象製品の段積み順を定めることで、前記複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成する荷姿作成ステップと、前記コンピュータが、前記複数の段積み製品群の各々の平面視上の形状および大きさと前記船倉の底面の形状および大きさに係る情報とにもとづいて、前記複数の段積み製品群の船倉内配置を作成する船倉内配置作成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の船積み計画作成方法は、上記の発明において、前記荷姿作成ステップでは、前記複数種類の長尺の輸送対象製品の各々を高さ毎にグループに分類し、該グループの各々から長さが長い順に所定数の輸送対象製品を繰り返し抽出して段積み時に一つの段に並べる製品列とし、2段目以降の各段での輸送対象製品の長さの最大値が該段の下の段での輸送対象製品の長さの最小値以下で、かつ前記2段目以降の各段の幅が該段の下の段の幅以下となるように前記製品列の各々を複数の輸送対象製品群に分類し、かつ該輸送対象製品群の各々での前記製品列の段積み順を定めることで、前記複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の船積み計画作成方法は、上記の発明において、前記荷姿作成ステップでは、前記輸送対象製品の各々を揚げ地毎にグループに分類し、2段目以降の各段については、該段の輸送対象製品を荷揚げする揚げ地の寄港順が該段の下の段の輸送対象製品を荷揚げする揚げ地の寄港順よりも遅くならないように前記輸送対象製品の各々を複数の輸送対象製品群に分類し、かつ該輸送対象製品群の各々での前記輸送対象製品の段積み順を定めることで、前記複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の船積み計画作成方法は、上記の発明において、前記荷姿作成ステップでは、前記段積み製品群での一段の幅についての条件値を複数通り設定し、該条件値毎に前記複数の段積み製品群の荷姿を作成し、該複数通りの荷姿の中から前記段積み製品群間の重量差にもとづいて最終的に一つの荷姿を選択することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の船積み計画作成方法は、上記の発明において、前記船倉内配置作成ステップでは、前記荷姿作成ステップで荷姿を作成した前記段積み製品群毎に、該段積み製品群での最下段の製品列を平面視したときの外接多角形の船倉底面上の配置を選定することで、前記複数の段積み製品群の船倉内配置を作成することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の船積み計画作成方法は、上記の発明において、前記輸送対象製品は、所定数の製品が結束された結束品であることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の船積み計画作成方法は、上記の発明において、前記輸送対象製品は形鋼製品であることを特徴とする。
【0025】
一方、上述した課題を解決し、目的を達成する本発明の船積み計画作成プログラムは、複数種類の長尺の輸送対象製品を複数の段積み製品群に分けて一つの船倉に積み込むときの荷姿および配置をコンピュータに作成させ船積み計画作成プログラムであって、前記輸送対象製品それぞれの属性情報と前記船倉の深さに係る情報とにもとづいて、前記輸送対象製品の各々を複数の輸送対象製品群に分類し、かつ該輸送対象製品群の各々での前記輸送対象製品の段積み順を定めることで、前記複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成する荷姿作成手順と、前記複数の段積み製品群の各々の平面視上の形状および大きさと前記船倉の底面の形状および大きさに係る情報とにもとづいて、前記複数の段積み製品群の船倉内配置を作成する船倉内配置作成手順と、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の船積み計画作成方法では、複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成した後に、これら複数の段積み製品群の船倉内配置を作成するので、各段積み製品群の荷姿と船倉内配置とを同時に作成する場合に比べてコンピュータが一時に計算すべき計算量が少なくて済み、コンピュータに掛かる負荷が低減される。そのため、たとえ汎用のコンピュータを用いたとしても、複数種類の長尺の輸送対象製品を一つの船倉に積み込むときの船積み計画を短時間で作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の船積み計画作成方法に従った船積み計画作成処理手順を示すフローチャートである。
【図2】図2は、図1中のステップS2での処理内容の一例を示す模式図である。
【図3】図3は、図1中のステップS3での処理内容の一例を示す模式図である。
【図4】図4は、図1中のステップS4での処理内容の一例を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の船積み計画作成プログラムに従って船積み計画を作成する船積み計画作成装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図6】図6は、図5に示した船積み計画作成装置での船積み計画作成処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の船積み計画作成方法に従った船積み計画を作成する船積み計画作成処理手順のうち、高さ毎分類処理およびソート処理を行って船積み計画を作成する船積み計画作成処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、図7中のステップS102での処理内容の一例を示す模式図である。
【図9】図9は、図7中のステップS102での処理内容の他の例を示す模式図である。
【図10】図10は、図7中のステップS103,S104での処理内容の例を示す模式図である。
【図11】図11は、図7中のステップS105での処理内容の一例を示す模式図である。
【図12】図12は、図7中のステップS105での処理内容の他の例を示す模式図である。
【図13】図13は、図7中のステップS106での処理内容の一例を示す模式図である。
【図14】図14は、図7中のステップS106での処理内容の他の例を示す模式図である。
【図15】図15は、図7中のステップS107の処理内容の一例を示す模式図である。
【図16】図16は、本発明の船積み計画作成プログラムに従って船積み計画を作成する船積み計画作成装置のうち、高さ毎分類処理およびソート処理を行って輸送対象製品の船積み計画を作成する船積み計画作成装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図17】図17は、図16に示した船積み計画作成装置での船積み計画作成処理手順を示すフローチャートである。
【図18】図18は、本発明の船積み計画作成方法に従って船積み計画を作成する船積み計画作成処理手順のうち、輸送対象製品の各々を揚げ地毎に分類する処理を行って船積み計画を作成する船積み計画作成処理手順を示すフローチャートである。
【図19】図19は、図18中のステップS203での処理内容の一例を示す模式図である。
【図20】図20は、本発明の船積み計画作成プログラムに従って船積み計画を作成する船積み計画作成装置のうち、輸送対象製品の各々を揚げ地毎に分類する処理を行って船積み計画を作成する船積み計画作成装置での船積み計画作成処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の船積み計画作成方法および船積み計画作成プログラムそれぞれの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の船積み計画作成方法および船積み計画作成プログラムは、下記の形態に限定されるものではない。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、本発明の船積み計画作成方法に従った船積み計画作成処理手順を示すフローチャートである。また、図2は、図1中のステップS2での処理内容の一例を示す模式図であり、図3は、図1中のステップS3での処理内容の一例を示す模式図であり、図4は、図1中のステップS4での処理内容の一例を示す模式図である。
【0030】
図1に示す船積み計画作成処理手順は、複数種類の長尺の輸送対象製品を同一の揚げ地に船舶輸送するときの船積み計画をコンピュータ(以下、「船積み計画作成装置」という)で作成するときの一例である。この処理手順では、データベース作成ステップ、荷姿作成ステップ、船倉内配置作成ステップをこの順番で行って、複数種類の輸送対象製品を複数の段積み製品群に分けて一つの船倉に積み込むときの各段積み製品群の荷姿および船倉内配置を作成する。同図に示すステップS1はデータベース作成ステップに相当し、ステップS2,S3は荷姿作成ステップに相当し、ステップS4は船倉内配置作成ステップに相当する。作成した船積み計画は、ステップS5で出力する。
【0031】
まず、ステップS1では、積込み対象となる輸送対象製品それぞれの属性情報、輸送対象製品を段積みする際に必要に応じて用いられる保定材のサイズ情報、および輸送船舶の候補となる複数隻の船舶の船舶情報を船積み計画作成装置に入力して、上記の属性情報が格納された属性情報データベース、上記のサイズ情報が格納された保定材データベース、および上記各船舶の船舶情報が格納された船舶情報データベースを作成する。また、輸送対象製品を複数の段積み製品群に分けるときの制約条件を船積み計画作成装置に入力して、制約条件データベースも作成する。
【0032】
ここで、輸送対象製品の属性情報としては、個々の輸送対象製品の品種、寸法、重量、本数、保定材を使用する場合の保定材の品種等の情報が用いられる。この属性情報は、例えば船積みの対象となる製品ロット単位でデータベース化する。保定材のサイズ情報としては、品種毎の高さ情報が用いられる。また、船舶情報としては、個々の船舶を特定する識別情報、船倉の形状および大きさについての情報、積載可能重量、および積載可能容量が用いられる。
【0033】
また、上記制約条件としては、例えば、段積み製品群の荷崩れや輸送対象製品間での応力集中を防止するという観点から定めることが望まれる下記(1)の条件と、船倉に積み込むときに自ずと生じる下記(2)の条件が適用される。必要に応じて、段積み時に一つの段に並べる製品列(以下、「ユニット」と称する)での各輸送対象製品の高さを揃えることや、全ての輸送対象製品をいずれかの段積み製品群に必ず含ませること、すなわち輸送対象製品の総重量が輸送船舶の積載可能重量以内で、かつ輸送対象製品の総容量が輸送船舶の積載可能容量以内であること等を制約条件に追加してもよい。
【0034】
(1)2段目以降の各段のユニットは、その下の段のユニットの長手方向外側、および幅方向外側のいずれの方向にもはみ出さない。
(2)各段積み製品群の高さは船倉の深さに相当する値以下にする。
【0035】
なお、これらのデータベースの作成は、船積み計画の作成者が上記の属性情報、サイズ情報、船舶情報、および制約条件を船積み計画作成装置に自ら入力して作成してもよいし、他の機器で作成された当該データベースをコンピュータネットワークやリムーバブルメディア等を介して入手し、これを船積み計画作成装置の記憶部に格納することで作成してもよい。
【0036】
次に、ステップS2では、属性情報データベースに格納されている各輸送対象製品の属性情報と制約条件データベースに格納されている制約条件とにもとづいて、船積み計画作成装置が各輸送対象製品を複数の輸送対象製品群に分類し、更には輸送対象製品群毎に各輸送対象製品をユニットに分類する。このとき、例えば輸送対象製品の品種、高さ、長さ、幅等の所定の属性情報を分類のためのパラメータとして用いる。
【0037】
例えば図2(A)に示すように、互いに同じ高さを有する幅広で比較的長尺の三つの輸送対象製品P1〜P3は、一つの段積み製品群で最下段に配置するユニットの候補となるユニットU1に分類される。また、図2(B)に示すように、互いに同じ高さを有する幅狭で中程度の長さを有する六つの輸送対象製品P11〜P16は、2段目以降の段に配置するユニットの候補となるユニットU2に分類される。そして、図2(C)に示すように、互いに同じ高さを有する幅広で比較的短い二つの輸送対象製品P21,P22は、3段目以降の段に配置するユニットの候補となるユニットU3に分類される。
【0038】
ここで、ユニットU2中で最も長い輸送対象製品P11の長さL2aは、ユニットU1中で最も短い輸送対象製品P3の長さL1以下であり、ユニットU3中の各輸送対象製品P21,P22の長さL3は、ユニットU2中で最も短い輸送対象製品P15,P16の長さL2b以下である。また、ユニットU2の幅W2はユニットU1の幅W1以下であり、ユニットU3の幅W3はユニットU2の幅W2以下である。
【0039】
次に、ステップS3では、前述した(1),(2)の制約条件の下に、輸送対象製品群毎に各ユニットの段積み順を船積み計画作成装置が定めて、複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成する。船積み計画作成装置は、必要に応じて、個々の段積み製品群におけるユニット間に所望数の保定材を配置して、各段積み製品群の荷姿を作成する。ユニット間に所望数の保定材を配置する場合には、これらの保定材の上面が実質的に一つの平面内に位置することとなるように各保定材の高さを選定することで、その上に積むユニットの安定性を高めることができる。結果として、段積み製品群の安定性を高めることができる。保定材を配置した場合の段積み製品群の高さは、保定材のサイズ情報を基にその高さも加味して船積み計画作成装置が算出する。
【0040】
例えば図2に示したユニットU1〜U3を段積みした段積み製品群の荷姿は、図3(A),(B)に示すようになる。図3(A)は、ユニットU1〜U3を段積みした段積み製品群SP1を概略的に示す正面図であり、図3(B)は、図3(A)に示した段積み製品群SP1を概略的に示す平面図である。これら図3(A),(B)に示すように、段積み製品群SP1では、互いに同じ高さを有する5本の保定材R1a〜R1eがユニットU1上に所定の間隔をもって配置され、その上にユニットU2が段積みされる。また、互いに同じ高さを有する4本の保定材R2a〜R2dがユニットU2上に所定の間隔をもって配置され、その上にユニットU3が段積みされる。
【0041】
なお、図2および図3においては、同一のユニット内の各輸送対象製品を判別し易くするために、隣り合う輸送対象製品間に隙間を設けて各ユニットを描いているが、実際には、一つのユニット内で隣り合う輸送対象製品は互いに接触して配置される。
【0042】
次に、ステップS4では、ステップS3で作成した複数の段積み製品群それぞれの平面視上の形状および大きさと、船舶情報、具体的には船倉の底面の形状および大きさとにもとづいて、船倉内での各段積み製品群の配置を船積み計画作成装置が作成する。前述した(1),(2)の制約条件を満たす段積み製品群では、2段目以降の各段のユニットがその下の段のユニットの長手方向外側、および幅方向外側のいずれの方向にもはみ出しておらず、かつ段積み製品群の高さは船倉の深さに相当する値以下となっているので、輸送船舶の船倉の形状が直方体状である場合には、最下段のユニットの平面視上の形状および大きさと船倉の底面の形状および大きさとから、船倉内での各段積み製品群の配置を作成することができる。
【0043】
例えば、各段積み製品群での最下段のユニットの平面視上の形状が多角形で、船倉の底面の形状が矩形である場合には、複数の多角形を互いに重ならないようにして一つの矩形の中に詰め込む多角形詰込み問題を解く要領で、船倉内での各段積み製品群の配置を作成することができる。このとき、非特許文献1に記載されている手法等、種々の最適化手法を適用することができる。
【0044】
具体的には、図4に示すように、底面の形状が矩形である船倉HSでの計四つの段積み製品群SP1〜SP4の船倉内配置は、各段積み製品群SP1〜SP4の最下段のユニットの平面視上の形状が多角形である場合、これら四つの多角形を互いに重ならないようにして一つの矩形の中に詰め込む多角形詰込み問題を解く要領で作成することができる。なお、図4においては、各段積み製品群SP1〜SP4を当該段積み製品群SP1〜SP4の各々での最下段のユニットの平面視上の形状および大きさで表している。
【0045】
このようにして各段積み製品群の船倉内配置まで作成する(ステップS1〜S4)ことにより、船積み計画の作成が完了する。この後、ステップS5に進み、ステップS4で作成した船積み計画を船積み計画作成装置が紙等の印刷媒体に出力する。例えば、個々の段積み製品群でのユニットの製品構成を示す図と、各段積み製品群の荷姿を示す図と、各段積み製品群の船倉内配置を示す図とを出力する。必要に応じて、作成した船積み計画を船積み計画作成装置がコンピュータネットワークを介して所望の端末装置やサーバ装置に送信してもよい。これらの図や船積み計画の電子データがあれば、輸送対象製品の船積みの準備および船積みの実施が容易になる。
【0046】
上述した船積み計画作成処理手順では、船積み計画作成装置が複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成した後に、これら複数の段積み製品群の船倉内配置を作成するので、各段積み製品群の荷姿と船倉内配置とを同時に作成する場合に比べ、船積み計画作成装置が一時に計算すべき計算量が少なくて済み、船積み計画作成装置に掛かる負荷が低減される。そのため、たとえ汎用のコンピュータを用いて船積み計画作成装置を構成したとしても、複数種類の長尺の輸送対象製品を一つの船倉に積み込むときの船積み計画を短時間で作成することができる。また、船積みの作業内容等が変更されたときでも、当該変更に柔軟に対応して、船積み計画を短時間で作成し直すことができる。
【0047】
このような船積み計画作成処理手順に従って船積み計画を作成する船積み計画作成装置は、本発明の船積み計画作成プログラムに従ってコンピュータを動作させることにより、実現可能である。以下、この船積み計画作成装置について、図5および図6を参照して詳述する。
【0048】
図5は、本発明の船積み計画作成プログラムに従って船積み計画を作成する船積み計画作成装置の概略構成を示す機能ブロック図であり、図6は、図5に示した船積み計画作成装置での船積み計画作成処理手順を示すフローチャートである。
【0049】
図5に示す船積み計画作成装置1は、船積み計画を作成するための種々の演算および処理、ならびに装置全体の動作制御を行う演算・制御部2と、演算・制御部2の制御プログラムが格納された主記憶部3と、各種のデータベースおよび演算・制御部2による演算・処理結果が格納される補助記憶部4と、情報や指令を入力する入力部5と、各種の情報を視覚表示する表示部6と、各種の情報を印刷媒体、コンピュータネットワーク、記憶媒体等に出力する出力部7とを備えている。
【0050】
演算・制御部2は、入力部5から入力された情報を補助記憶部4に格納する。また、入力部5から入力された指令に応じて補助記憶部4から所定の情報を読み出し、この情報にもとづいて船積み計画を作成する。さらには、入力部5から入力された指令に応じて表示部6や出力部7の動作を制御する。これらの処理、演算、あるいは制御を行うために、演算・制御部2は、入力処理部21、データベース管理部22、計画作成部23、表示制御部24、および出力制御部25を備えている。
【0051】
入力処理部21は、入力部5から入力された情報や指令をデータベース管理部22、計画作成部23、表示制御部24、または出力制御部25に振り分ける。データベース管理部22は、データベースの新規作成、更新、削除に係る指令や情報が入力処理部21から振り分けられてきたときに、当該指令や情報にもとづいて該当するデータベースの新規作成、更新、または削除を行う。また、データベースに格納されている情報の表示や出力に係る指令が入力処理部21から振り分けられてきたときに、該当するデータベースから情報を読み出して表示制御部24または出力制御部25に送る。
【0052】
計画作成部23は、船積み計画の作成に係る指令が入力処理部21から振り分けられてきたときに、補助記憶部4から所定の情報や演算・処理結果を読み出し、複数種類の輸送対象製品それぞれの属性情報にもとづいて、これら複数種類の輸送対象製品の各々を複数の輸送対象製品群に分類し、輸送対象製品群の各々での輸送対象製品の段積み順を定めて、複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成する。また、各段積み製品群の船倉内配置を作成する。各段積み製品群の荷姿の作成は荷姿作成部23Aで行い、各段積み製品群の船倉内配置の作成は船倉内配置作成部23Bで行う。
【0053】
表示制御部24は、表示部6の動作を制御して、種々の入力画面や設定画面等を表示させる。また、データベースに格納されている情報がデータベース管理部22から送られてきたときには、表示部6の動作を制御して当該情報を所定のフォームで視覚表示させる。また、計画作成部23の演算・処理結果の表示に係る指令が入力処理部21から振り分けられてきたときには、補助記憶部4から該当する演算・処理結果のデータを読み出し、表示部6の動作を制御して当該演算・処理結果を所定のフォームで視覚表示させる。
【0054】
出力制御部25は、データベースに格納されている情報がデータベース管理部22から送られてきたときに、出力部7の動作を制御して当該情報を所定のフォームで出力させる。また、計画作成部23の演算・処理結果の出力に係る指令が入力処理部21から振り分けられてきたときに、補助記憶部4から該当する演算・処理結果を読み出し、出力部7の動作を制御して当該演算・処理結果を所定のフォームで出力させる。
【0055】
主記憶部3は、例えば半導体記憶素子により構成される。この主記憶部3には、前述のように演算・制御部2の制御プログラムが格納されており、当該制御プログラムには、本発明の船積み計画作成プログラムが含まれている。計画作成部23は、この船積み計画作成プログラムに従って船積み計画を作成する。
【0056】
補助記憶部4は、磁気記憶媒体、光磁気記憶媒体、書換え可能型光記憶媒体等により構成される。この補助記憶部4には、図1中のステップS1についての説明の中で述べた各種のデータベースが格納される。すなわち、輸送対象製品それぞれの属性情報を格納した属性情報データベース41、輸送対象製品を段積みする際に必要に応じて用いられる保定材のサイズ情報を格納した保定材データベース42、輸送対象製品を複数の段積み製品群に分けるときの制約条件を格納した制約条件データベース43、および輸送船舶の候補となる複数の船舶の船舶情報を格納した船舶情報データベース44が格納される。また、補助記憶部4は、計画作成部23の演算・処理結果が格納される演算・処理結果記憶部45を有している。
【0057】
入力部5は、マウス等のポインティングデバイス、キーボード、透明タッチパネル等を用いて構成される。これらに加えて、コンピュータネットワークに接続される受信装置や、リムーバブルメディアに記録された情報を読み取るデータ読取り装置等を併用して入力部5を構成することもできる。
【0058】
表示部6は、液晶表示装置、プラズマ表示装置、CRT(Cathode Ray Tube)等を用いて構成される。そして、出力部7はプリンタを用いて構成される。プリンタに加えて、コンピュータネットワークに接続される送信装置や、リムーバブルメディアに情報を書き込むデータ書込み装置等を併用して出力部7を構成することもできる。
【0059】
上述の各構成要素を備えた船積み計画作成装置1による船積み計画の作成は、主記憶部3に格納された船積み計画作成プログラムに従って、図1に示した船積み計画作成処理手順に沿って行われる。以下、図6を参照して、船積み計画作成装置1による船積み計画作成処理手順の一例を説明する。なお、図5に示した各データベース41〜44は、既に作成されているものとする。
【0060】
図6に示す船積み計画作成処理手順では、ステップS11〜S21を行う。ステップS11は図1のステップS2に、ステップS12〜S14は図1のステップS3に、ステップS17は図1のステップS4に、そしてステップS20は図1のステップS5にそれぞれ相当する。
【0061】
ステップS11は、船積み計画を作成すべき製品ロットの指定情報と輸送船舶を特定する識別情報とが図5に示した入力部5から入力されたときに開始される。このステップS11では、図5に示した属性情報データベース41から上記の製品ロットでの各輸送対象製品の属性情報を荷姿作成部23Aが読み出すとともに、制約条件データベース43に格納されている制約条件を荷姿作成部23Aが読み出す。そして、これら属性情報と制約条件とにもとづいて、荷姿作成部23Aが各輸送対象製品を複数の輸送対象製品群に分類し、更には輸送対象製品群毎に各輸送対象製品をユニットに分類して、分類結果を演算・処理結果記憶部45に格納する。このとき、荷姿作成部23Aは、例えば輸送対象製品の品種、高さ、長さ、幅等の所定の属性情報を分類のためのパラメータとして用いる。
【0062】
ステップS12では、演算・処理結果記憶部45に格納されているユニットの分類結果と制約条件データベース43に格納されている制約条件とを、荷姿作成部23Aが読み出す。そして、前述した(1)の制約条件の下に、輸送対象製品群毎に各ユニットの段積み順を荷姿作成部23Aが選定する。結果として、複数の段積み製品群それぞれの荷姿が選定される。荷姿作成部23Aは、各段積み製品群の荷姿の選定結果を演算・処理結果記憶部45に格納する。
【0063】
なお、各段積み製品群の荷姿を求めるにあたってユニット間に保定材を配置する場合には、図5に示した保定材データベース42から保定材の品種情報を荷姿作成部23Aが読み出し、当該保定材をユニット間に配置する。保定材を配置するか否かについての情報、および保定材を配置するときの保定材の品種情報は、前述したように、輸送対象製品の属性情報に含まれている。
【0064】
ステップS13では、演算・処理結果記憶部45に格納されているステップS12での荷姿の選定結果と、属性情報データベース41に格納されている各輸送対象製品の属性情報と、保定材データベース42に格納されている保定材の品種およびそのサイズ情報と、制約条件データベース43に格納されている制約条件と、図5に示した船舶情報データベース44に格納されている船舶情報とを荷姿作成部23Aが読み出す。そして、上記荷姿の選定結果と、属性情報と、保定材の品種およびそのサイズ情報とにもとづいて荷姿作成部23Aが各段積み製品群の高さを求め、各段積み製品群の高さが前述した(2)の制約条件、すなわち各段積み製品群の高さは船倉の深さに相当する値以下とする、という制約条件を満たすか否かを判断する。
【0065】
このステップS13で、船倉の深さに相当する値以下ではない高さの段積み製品群があると判断されたときにはステップS11に戻り、パラメータを変更して各輸送対象製品を複数の輸送対象製品群に分類し直し、更には輸送対象製品群毎に各輸送対象製品をユニットに分類し直した後に、ステップS12以降を繰り返す。一方、ステップS13で各段積み製品群の高さは船倉の深さに相当する値以下であると判断されたときには、ステップ14に進む。
【0066】
ステップS14では、船積み計画で作成すべき各段積み製品群の荷姿を荷姿作成部23Aが決定し、この決定結果を演算・処理結果記憶部45に格納する。具体的には、ステップS13で上記(2)の制約条件を満たすと判断された各段積み製品群の荷姿を船積み計画での各段積み製品群の最終的な荷姿と決定し、この決定結果を演算・処理結果記憶部45に格納する。
【0067】
ステップS15では、各段積み製品群の船倉内配置の作成を指示する配置作成指令が入力部5から入力されたか否かを、図5に示した船倉内配置作成部23Bが判断する。具体的には、図5に示した入力処理部21から配置作成指令が振り分けられてきたか否かを船倉内配置作成部23Bが判断する。そして、配置作成指令が入力されていないと判断されたときにはステップS16に進み、船積み計画の作成作業の終了を指示する終了指令が入力部5から入力されたか否かを、図5に示した計画作成部23が判断する。このステップS16で終了指令が入力されていないと判断されたときにはステップS15に戻り、終了指令が入力されたと判断されたときには船積み計画の作成作業を終了する。一方、ステップS15で配置作成指令が入力されたと判断されたときには、ステップS17に進む。
【0068】
ステップS17では、演算・処理結果記憶部45に格納されているステップS14での荷姿の決定結果と、属性情報データベース41に格納されている各輸送対象製品の属性情報と、船舶情報データベース44に格納されている船舶情報とを船倉内配置作成部23Bが読み出す。そして、ステップS14で荷姿が決定した各段積み製品群の平面視上の形状および大きさと、輸送船舶の船倉の底面の形状および大きさとを船倉内配置作成部23Bが求め、これらにもとづいて各段積み製品群の船倉内配置を作成し、作成結果を演算・処理結果記憶部45に格納する。
【0069】
次いで行われるステップS18では、船積み計画の出力を指示する出力指令が入力部5から入力されたか否かを計画作成部23が判断する。そして、出力指令が入力されていないと判断されたときにはステップS19に進み、船積み計画の作成作業の終了を指示する終了指令が入力部5から入力されたか否かを計画作成部23が判断する。終了指令が入力されていないと判断されたときにはステップS18に戻り、終了指令が入力されたと判断されたときには船積み計画の作成作業を終了する。一方、ステップS18で出力指令が入力されたと判断されたときには、ステップS20に進む。
【0070】
ステップS20では、演算・処理結果記憶部45に格納されているステップS11でのユニットの分類結果、ステップS12での各段積み製品群の荷姿の選定結果、ステップS14での荷姿の決定結果、およびステップS17での船倉内配置の作成結果を、図5に示した出力制御部25が読み出し、出力部7の動作を制御して、これらの各結果を所定のフォームで出力部7から出力させる。
【0071】
この後、ステップS21に進み、次の船積み計画の作成を指示する計画作成指令が入力部5から入力されたか否かを計画作成部23が判断する。そして、計画作成指令が入力されたと判断されたときにはステップS11に戻ってステップS11以降を繰り返し、計画作成指令が入力されていないと判断されたときには船積み計画の作成作業を終了する。
【0072】
上述のようにして船積み計画を作成する船積み計画作成装置1は、本発明の船積み計画作成プログラムに従って所定の演算および処理を行って船積み計画を作成するものであるので、たとえ汎用のコンピュータを用いて当該船積み計画作成装置1を構成したとしても、複数種類の長尺の輸送対象製品を一つの船倉に積み込むときの船積み計画を短時間で作成することができる。また、船積みの作業内容等が変更されたときでも、当該変更に柔軟に対応して、船積み計画を短時間で作成し直すことができる。
【0073】
(実施の形態2)
本発明の船積み計画作成方法では、複数種類の長尺の輸送対象製品それぞれの段積み順を定めるのに先だって、当該輸送対象製品の各々を高さ毎にグループに分類する高さ毎分類処理、および各グループ中の輸送対象製品を長さでソートするソート処理を行うようにしてもよい。これら高さ毎分類処理およびソート処理を行えば、個々のグループから長さが長い順に所定数の輸送対象製品を繰り返し抽出するだけで、各輸送対象製品をユニットに分類することができる。上記の高さ毎分類処理を行うにあっては、同じ品種の製品を所定数ずつ結束して結束品としてもよい。
【0074】
以下、輸送対象製品が複数種類の形鋼製品であり、かつ高さ毎分類処理を行うにあって同じ品種の形鋼製品を所定数ずつ結束して結束品とする場合を例にとり、上記の高さ毎分類処理およびソート処理を行って輸送対象製品(各結束品)の船積み計画を作成する船積み計画作成方法について詳述する。なお、形鋼製品を船舶輸送する場合には、通常、単品で船積みすることはなく、全て結束品の状態で船積みする。
【0075】
図7は、本発明の船積み計画作成方法に従って船積み計画を作成する船積み計画作成処理手順のうち、高さ毎分類処理およびソート処理を行って船積み計画を作成する船積み計画作成処理手順を示すフローチャートである。また、図8および図9は、図7中のステップS102での処理内容の例を示す模式図であり、図10は、図7中のステップS103,S104での処理内容の例を示す模式図である。そして、図11および図12は、図7中のステップS105での処理内容の例を示す模式図であり、図13および図14は、図7中のステップS106での処理内容の例を示す模式図であり、図15は、図7中のステップS107の処理内容の一例を示す模式図である。
【0076】
図7に示す船積み計画作成処理手順は、複数種類の形鋼製品を同一の揚げ地に船舶輸送するときの船積み計画をコンピュータ(以下、「船積み計画作成装置」という)で作成するときの一例である。この処理手順では、データベース作成ステップ、荷姿作成ステップ、および船倉内配置作成ステップをこの順番で行って、複数種類の形鋼製品を複数の段積み製品群に分けて一つの船倉に積み込むときの各段積み製品群の荷姿および船倉内配置を作成する。同図に示すステップS101はデータベース作成ステップに相当し、ステップS102〜106は荷姿作成ステップに相当し、ステップS107は船倉内配置作成ステップに相当する。作成した船積み計画は、ステップS108で出力する。
【0077】
まず、ステップS101では、実施の形態1で説明した船積み計画作成方法に従って船積み計画を作成する場合と同様に、輸送対象となる形鋼製品についての属性情報データベース、保定材データベース、制約条件データベース、および船舶情報データベースを作成する。さらには、これらのデータベースに加えて、結束条件データベースおよび結束品データベースも作成する。必要に応じて、船倉内配置をパターンマッチングによって作成する際に使用する標準パターンデータベースも作成する。
【0078】
結束条件データベースは、同じ品種の形鋼製品を所定数ずつ結束して結束品とするときの結束本数についての情報を格納したものである。形鋼製品を結束品とするときの結束本数は、船積みや荷揚げの際に用いられる起重機の性能、個々の形鋼製品の重量等を考慮して、適宜選定される。
【0079】
結束品データベースは、結束品の属性情報を格納したものである。結束品の属性情報としては、当該結束品を構成する個々の形鋼製品の品種および本数、ならびに結束品自体の寸法、重量、および本数の情報が用いられる。
【0080】
標準パターンデータベースは、複数の段積み製品群の船倉内配置をパターンマッチングによって作成する際に用いる標準パターンを格納したものであり、この標準パターンは、個々の段積み製品群の平面形状に対応した形状を有するパターンの集合である。標準パターンデータベースを作成する場合には、過去の知見にもとづいて、船倉に積み込む段積み製品群の総数毎に少なくとも1種類の標準パターンを格納する。
【0081】
これらの各データベースは、船積み計画の作成者が上記の属性情報、サイズ情報、船舶情報、制約条件、結束条件、および標準パターンを船積み計画作成装置に自ら入力して作成してもよいし、他の機器で作成された当該データベースをコンピュータネットワークやリムーバブルメディア等を介して入手し、これを船積み計画作成装置の記憶部に格納することで作成してもよい。結束品データベースは、属性情報データベースに格納された属性情報と結束条件データベースに格納された結束条件とにもとづいて、船積み計画作成装置が結束品の属性情報を求め、その結果を記憶部に格納することによって作成する。
【0082】
次に、ステップS102では、属性情報データベースと結束条件データベースとにもとづいて、同じ品種の形鋼製品を所定数ずつ仮想的に結束して結束品にする結束処理を船積み計画作成装置が行う。例えばH形鋼は、その品種に応じて、3本ずつ結束したり、5本ずつ結束したり等する。同様に、矢板鋼も、その品種に応じて、3本ずつ結束したり、5本ずつ結束したり等する。矢板鋼の結束品におけるように、結束本数に応じて高さが変動する結束品については、その高さが異形状の他の形鋼製品の結束品の高さと同じになるように結束本数を選定することができる。
【0083】
例えば図8(A)に示す結束品B1では、3本のH形鋼HP1〜HP3が結束されており、図8(B)に示す結束品B2では、5本のH形鋼HP1〜HP5が結束されている。結束品B1の高さH11は結束品B2の高さH12と同じ値であり、結束品B1の幅W11は結束品B2の幅W12よりも狭い。なお、図8(A)においては、各H形鋼HP1〜HP3を判別し易くするために、H形鋼HP2にスマッジングを付している。同様に、図8(B)においては、各H形鋼HP1〜HP5を判別し易くするために、H形鋼HP2,HP4にスマッジングを付している。
【0084】
また、図9(A)に示す結束品B3では、3本のU形矢板鋼SP1〜SP3が結束されており、図9(B)に示す結束品B4では、5本のU形矢板鋼SP1〜SP5が結束されている。結束品B3の高さH13は結束品B4の高さH14よりも低く、結束品B4の高さH14は、例えば図8(A),(B)に示した結束品B1,B2の高さH11,H12と同じ値である。また、結束品B3の幅W13は結束品B4の幅W14と同じ値である。
【0085】
次に、ステップS103では、全ての結束品をその高さ毎にグループに分類する高さ毎分類処理を船積み計画作成装置が行う。互いに異形状の形鋼製品であっても、高さが同じであれば一つのグループに分類する。なお、輸送対象製品が形鋼製品である場合には、形鋼製品の高さに比べて結束材の厚さが小さいので、高さ毎分類処理を行うにあたっては、結束材の厚さを無視することができる。
【0086】
ステップS104では、ステップS103で分類したグループ毎に、このグループ中の各結束品を長さでソートするソート処理を船積み計画作成装置が行う。ソート処理は昇順および降順のいずれで行ってもよい。
【0087】
例えば図10は、降順でソート処理まで行ったグループの例を示す。同図には、高さ毎に分類された計4つのグループG1〜G4が示されている。図10(A)に示すグループG1は、互いに同じ高さを有する九つの結束品B11〜B19からなり、図10(B)に示すグループG2は、互いに同じ高さを有する八つの結束品B21〜B28からなる。同様に、図10(C)に示すグループG3は、互いに同じ高さを有する七つの結束品B31〜B37からなり、図10(D)に示すグループG4は、互いに同じ高さを有する六つの結束品B41〜B46からなる。各グループG1〜G4では、結束品B11〜B19、結束品B21〜B28、結束品B31〜B37、または結束品B41〜B46が図の左側から右側に向かって降順でソートされている。
【0088】
次に、ステップS105では、個々のグループから長さが長い順に所定数の結束品を船積み計画作成装置が繰り返し抽出することで、全ての結束品を複数のユニットに分類する。このとき、各ユニットにおける結束品の数は、当該ユニットの幅、ひいては段積み製品群での一段の幅が条件値以上となる最小の数に選定される。したがって、各ユニットにおける結束品の数は、個々の結束品の幅、および上記の条件値に応じて変動する。ただし、同一のグループから抽出する二つ目以降の各ユニットの幅は、実施の形態1で説明した(1)の制約条件を満たす段積み製品群を容易に得るという観点から、当該グループから最初に抽出したユニットの幅以下とすることが好ましい。
【0089】
例えば図11に示すように、計21本の結束品B51〜B71からなるグループG11(図11(A)参照)は、上記の条件値に応じて、結束品B51〜B61からなるユニットU11(図11(B)参照)と、結束品B62〜B71からなるユニットU12(図11(C)参照)とに分類される場合がある。また、このグループG11は、上記の条件値に応じて、図12に示すように、結束品B51〜B58からなるユニットU21(図12(B)参照)と、結束品B59〜B65からなるユニットU22(図12(C)参照)と、結束品B66〜B71からなるユニットU23(図12(D)参照)とに分類される場合がある。
【0090】
なお、輸送船舶のバランスが崩れないようにして全ての結束品を船倉に積み込むという観点から、各段積み製品群での最下段のユニットの候補となるユニットの幅は、輸送船舶の船倉の幅(右舷−左舷方向の長さ)の1/2以下とすることが好ましい。
【0091】
次に、ステップS106では、実施の形態1で説明した(1),(2)の制約条件、すなわち、(1)2段目以降の各段のユニットは、その下の段のユニットの長手方向外側、および幅方向外側のいずれの方向にもはみ出さない、(2)各段積み製品群の高さは船倉の深さに相当する値以下にする、という制約条件を満たすように、船積み計画作成装置が各ユニットを複数の輸送対象製品群に分類し、かつ個々の輸送対象製品群でのユニットの段積み順を定めて、各段積み製品群の荷姿を作成する。船積み計画作成装置は、必要に応じて、個々の段積み製品群におけるユニット間に保定材を配置して、段積み製品群の荷姿を作成する。保定材を配置した場合の段積み製品群の高さは、保定材のサイズ情報を基にその高さも加味して船積み計画作成装置が算出する。
【0092】
このとき、一つの段積み製品群を構成する各ユニットは、ステップS103で分類したいずれのグループから抽出したものであってもよい。したがって、段積み製品群における各段(ユニット)の高さは、互いに一致する場合もあるし、一致しない場合もある。また、互いに異形状の形鋼製品の結束品が一つの段積み製品群中に混在することもある。
【0093】
例えば、図13に示す段積み製品群SP11では、H形鋼の3本結束品である結束品B81〜B83によって最下段のユニットU31が構成され、H形鋼の3本結束品である結束品B84,B85とU形矢板鋼の5本結束品である結束品B86とによって2段目のユニットU32が構成されている。また、U形矢板鋼の5本結束品である結束品B87〜B89によって3段目のユニットU33が構成されており、H形鋼の3本結束品である結束品B90によって最上段のユニットU34が構成されている。互いに同じ高さを有する所定本数の保定材R11がユニットU31上に所定の間隔をもって配置され、その上にユニットU32が段積みされている。また、互いに同じ高さを有する所定本数の保定材R12がユニットU32上に所定の間隔をもって配置され、その上にユニットU33が段積みされている。そして、互いに同じ高さを有する所定本数の保定材R13がユニットU33上に所定の間隔をもって配置され、その上にユニットU34が段積みされている。図13中の参照符号「HB」は、船倉の底を示す。
【0094】
なお、上記(2)の制約条件を満たさない段積み製品群が生じた場合には、輸送船舶をより大型の船舶に変更してもよいし、輸送対象製品の総量を減じてもよいし、ステップS105でのユニットの幅の条件値を変更してステップS105,S106をやり直してもよい。
【0095】
次に、ステップS107では、ステップS106で荷姿を作成した複数の段積み製品群それぞれの平面視上の形状および大きさと、船舶情報、具体的には船倉の底面の形状および大きさとにもとづいて、船倉内での各段積み製品群の配置を船積み計画作成装置が作成する。実施の形態1で説明したように、各段積み製品群での最下段のユニットの平面視上の形状が多角形で、船倉の底面の形状が矩形である場合には、複数の多角形を互いに重ならないようにして一つの矩形の中に詰め込む多角形詰込み問題を解く要領で、船倉内での各段積み製品群の配置を作成することができる。
【0096】
このとき、上記の多角形に代えて、当該最下段のユニットを平面視したときの外接多角形を用いてもよい。ここで、「最下段のユニットを平面視したときの外接多角形」とは、段積み製品群に保定材が用いられていない場合には、最下段のユニットを平面視したときの外接多角形そのものを意味し、段積み製品群に保定材が用いられている場合には、これらの保定材と最下段のユニットとを平面視したときの外接多角形を意味する。
【0097】
例えば図14(A)に示すように、図11(B)のユニットU11の上に互いに同じ高さの保定材R21a〜R21eを所定の間隔をもって配置してから図11(C)のユニットU12を左右反転させて段積みした段積み製品群SP21aでは、最下段のユニットU11と各保定材R21a〜R21eとを平面視したときの外接多角形CP1が台形となる。ユニットU12を図11(C)に示した状態から左右反転させてユニットU11上に段積みすると、左右反転させずにユニットU11上に段積みした場合に比べて、重心の偏りが小さい段積み製品群SP21aが得られる。結果として、安定性の高い段積み製品群を形成し易くなる。
【0098】
また、図14(B)に示すように、図12(B)のユニットU21の上に互いに同じ高さの保定材R31a〜R31fを所定の間隔をもって配置してから図12(C)のユニットU22を段積みし、このユニットU22の上に互いに同じ高さの保定材R41a〜R41eを所定の間隔をもって配置してから図12(C)のユニットU22を段積みした段積み製品群SP21bでも、最下段のユニットU21と各保定材R31a〜R31f,R41a〜R41eとを平面視したときの外接多角形CP2は台形となる。
【0099】
上述したステップS107での各段積み製品群の船倉内配置の作成は、前述した標準パターンデータベースを予め作成しておき、この標準パターンデータベースに格納されている標準パターンを利用したパターンマッチングによって行ってもよい。この場合、段積み製品群それぞれの平面視上の形状および大きさを照合パターンとしてもよいが、上述した外接多角形を照合パターンとして用いた方が照合パターンが単純化されるため、船倉内配置の作成に要する計算量が少なくなる。
【0100】
具体的には、図15に示すように、底面の形状が矩形である船倉HSでの計四つの段積み製品群SP21a,SP22〜SP24の船倉内配置は、各段積み製品群SP21a,SP22〜SP24の最下段のユニットを平面視したときの外接多角形が台形である場合、これら四つの台形を互いに重ならないようにして一つの矩形の中に詰め込む多角形詰込み問題を解く要領で、あるいは上記四つの台形を照合パターンとして用いて標準パターンとのパターンマッチングを行うことによって、作成することができる。なお、なお、図15においては、各段積み製品群SP21a,SP22〜SP24を上記の外接多角形で表している。
【0101】
このようにして各段積み製品群の船倉内配置まで作成する(ステップS101〜S107)ことにより、船積み計画の作成が完了する。この後、ステップS108に進み、ステップS107で作成した船積み計画を船積み計画作成装置が紙等の印刷媒体に出力する。例えば、個々の段積み製品群でのユニットの製品構成を示す図と、各段積み製品群の荷姿を示す図と、各段積み製品群の船倉内配置を示す図とを出力する。必要に応じて、作成した船積み計画を船積み計画作成装置がコンピュータネットワークを介して所望の端末装置やサーバ装置に送信してもよい。これらの図や船積み計画の電子データがあれば、輸送対象製品の船積みの準備および船積みの実施が容易になる。
【0102】
上述した船積み計画作成処理手順では、実施の形態1で説明した船積み計画作成処理手順と同様に、船積み計画作成装置が複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成した後に、これら複数の段積み製品群の船倉内配置を作成するので、複数の段積み製品群それぞれの荷姿と船倉内配置とを同時に作成する場合に比べ、船積み計画作成装置が一時に計算すべき計算量が少なくて済み、船積み計画作成装置に掛かる負荷が低減される。そのため、たとえ汎用のコンピュータを用いて船積み計画作成装置を構成したとしても、複数種類の形鋼製品の結束品を一つの船倉に積み込むときの船積み計画を短時間で作成することができる。また、船積みの作業内容等が変更されたときでも、当該変更に柔軟に対応して、船積み計画を短時間で作成し直すことができる。
【0103】
さらには、各結束品を高さ毎に分類したグループ毎にソート処理を行い、ソート処理後のグループから長さが長い順に所定数の結束品を繰り返し抽出することで、船積み計画作成装置が各結束品を複数のユニットに分類するので、個々の結束品の高さが揃ったユニットを容易に形成することができ、かつ前述した(1)の制約条件を満たす段積み製品群を容易に形成することができる。このため、実施の形態1で説明した船積み計画作成方法と比べても、船積み計画作成装置が一時に計算すべき計算量が少なくて済み、船積み計画作成装置に掛かる負荷が低減されて、船積み計画を短時間で作成することができる。輸送対象製品が形鋼製品の結束品以外の長尺品である場合についても、同様のことがいえる。
【0104】
このような船積み計画作成処理手順に従って船積み計画を作成する船積み計画作成装置は、前述の高さ毎分類処理およびソート処理それぞれの手順を含む本発明の船積み計画作成プログラムに従ってコンピュータを動作させることにより、実現可能である。以下、この船積み計画作成装置について、図16および図17を参照して詳述する。
【0105】
図16は、高さ毎分類処理およびソート処理を行って輸送対象製品の船積み計画を作成する船積み計画作成装置の概略構成を示す機能ブロック図であり、図17は、図16に示した船積み計画作成装置での船積み計画作成処理手順を示すフローチャートである。
【0106】
図16に示す船積み計画作成装置101は、図5に示した演算・制御部2、主記憶部3、補助記憶部4に代えて、演算・制御部102、主記憶部103、補助記憶部104を備えるという点を除き、図5に示した船積み計画作成装置1と同様の構成を有している。そして、演算・制御部102は、図5に示した計画作成部23に代えて計画作成部123を備えるという点を除き、図5に示した計画作成部23と同様の構成を有している。図16に示した構成要素のうちで図5に示した構成要素と共通するものについては、図5で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0107】
計画作成部123は、船積み計画の作成に係る指令が入力処理部21から振り分けられてきたときに、所定のデータベースから情報を読み出し、前述の高さ毎分類処理を行って複数種類の輸送対象製品の各々を複数のグループに分類した後にグループ毎にソート処理を行い、ソート処理後のグループから長さが長い順に所定数の結束品を繰り返し抽出することで、各輸送対象製品をユニットに分類する。そして、各ユニットを複数の輸送対象製品群に分類し、輸送対象製品群毎にユニットの段積み順を定めて、複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成する。また、各段積み製品群の船倉内配置を作成する。各段積み製品群の荷姿の作成は荷姿作成部123Aで行い、各段積み製品群の船倉内配置の作成は船倉内配置作成部123Bで行う。
【0108】
主記憶部103は、図5に示した主記憶部3と同様に、例えば半導体記憶素子により構成される。この主記憶部103には、演算・制御部102の制御プログラムが格納されており、当該制御プログラムには、前述の高さ毎分類処理およびソート処理それぞれの手順を含む本発明の船積み計画作成プログラムが含まれている。計画作成部123は、この船積み計画作成プログラムに従って船積み計画を作成する。
【0109】
補助記憶部104は、図5に示した補助記憶部4と同様に、磁気記憶媒体、光磁気記憶媒体、書換え可能型光記憶媒体等により構成される。この補助記憶部104には、図5に示した属性情報データベース41、保定材データベース42、制約条件データベース43、および船舶情報データベース44に加えて、結束条件データベース104a、結束品データベース104b、および標準パターンデータベース104cが格納される。また、図5に示した補助記憶部4と同様に、補助記憶部104は、計画作成部123の演算・処理結果が格納される演算・処理結果記憶部45を有している。
【0110】
上述した各構成要素を備えた船積み計画作成装置101による船積み計画の作成は、図17に示した船積み計画作成処理手順に沿って行われる。以下、図17を参照して、船積み計画作成装置101によって船積み計画を作成する船積み計画作成処理手順の一例を説明する。なお、輸送対象製品は形鋼製品とし、全ての形鋼製品が結束品にされるものとする。また、図16に示した各データベース41〜44,104a,104cは既に作成されているものとする。結束品データベース104bは、船積み計画の作成過程で計画作成部123によって作成される。
【0111】
図17に示す船積み計画作成処理手順では、ステップS111〜S125を行う。ステップS111は図7のステップS102に、ステップS112は図7のステップS103に、ステップS113は図7のステップS104に、ステップS114,S115は図7のステップS105に、ステップS116〜S118は図7のステップS106に、ステップS121は図7のステップS107に、そしてステップS124は図7のステップS108にそれぞれ相当する。
【0112】
ステップS111は、船積み計画を作成すべき製品ロットの指定情報と輸送船舶を特定する識別情報とが図16に示した入力部5から入力されたときに開始される。このステップS111では、図16に示した属性情報データベース41から上記の製品ロットに含まれる各形鋼製品の属性情報を結束処理部123aが読み出すとともに、結束条件データベース104aに格納されている結束条件を結束処理部123aが読み出し、これらの属性情報と結束条件とにもとづいて、同じ品種の形鋼製品を所定数ずつ結束して結束品にする結束処理を行う。結束処理部123aは、結束処理の結果を結束品データベース104bに格納する。
【0113】
ステップS112では、図16に示した高さ毎分類処理部123bが結束品データベース104bからステップS111での結束処理の結果を読み出し、全ての結束品をその高さ毎にグループに分類する。互いに異形状の形鋼製品の結束品であっても、同じ高さであれば一つのグループに分類する。高さ毎分類処理部123bは、高さ毎分類処理の結果を演算・処理結果記憶部45に格納する。
【0114】
ステップS113では、図16に示したソート処理部123cが演算・処理結果記憶部45からステップS112での高さ毎分類処理の結果を読み出すとともに、結束品データベース104bから各結束品の属性情報を読み出し、ステップS112で分類したグループ毎に、このグループ中の各結束品を長さでソートするソート処理を行う。ソート処理部123cは、例えば降順でソート処理を行う。
【0115】
ステップS114では、図16に示した段積み処理部123dが船舶情報データベースから輸送船舶の船舶情報を読み出し、例えば船倉の幅の1/2以下の範囲内で、段積み用のユニットの幅についての条件値をランダムに一つ設定する。
【0116】
ステップS115では、ステップS113でのソート処理の結果とステップS114で設定したユニット幅の条件値とにもとづいて、段積み処理部123dがグループ毎に該グループから長さが長い順に所定数の結束品を繰り返し抽出することで、全ての結束品を複数のユニットに分類する。このとき、各ユニットにおける結束品の数は、ステップS114で設定したユニット幅の条件値以上となる最小の数に選定される。ただし、同一のグループから抽出する二つ目以降の各ユニットの幅は、当該グループから最初に抽出したユニットの幅以下とする。段積み処理部123dは、分類結果を演算・処理結果記憶部45に格納する。
【0117】
ステップS116では、演算・処理結果記憶部45に格納されているステップS115でのユニットの分類結果と、属性情報データベース41に格納されている各形鋼製品の属性情報と、結束品データベース104bに格納されている各結束品の属性情報と、制約条件データベース43に格納されている制約条件と、船舶情報データベース44に格納されている船舶情報とを段積み処理部123dが読み出す。そして、前述した(1)、(2)の各制約条件の下に、各ユニットを複数の輸送対象製品群に分類し、かつ輸送対象製品群毎に段積み処理部123dがユニットの段積み順を選定する。結果として、各輸送対象製品群の荷姿が選定される。段積み処理部123dは、選定結果を演算・処理結果記憶部45に格納する。
【0118】
なお、各段積み製品群の荷姿を選定するにあたってユニット間に保定材を配置する場合には、図16に示した保定材データベース42から保定材の品種とそのサイズ情報とを段積み処理部123dが読み出し、当該保定材をユニット間に配置して段積み製品群の荷姿を選定する。保定材を配置するか否かについての情報、および保定材を配置するときの保定材の品種およびそのサイズ情報は、実施の形態1で説明したように、輸送対象製品の属性情報に含まれている。保定材を配置した場合の段積み製品群の高さは、保定材のサイズ情報を基にその高さも加味して、段積み処理部123dが算出する。
【0119】
ステップS117では、ユニット幅の条件値の設定回数が上限値を上回ったか否かを段積み処理部123dが判断する。上限値を上回っていないと判断されたときにはステップS114に戻ってステップS114以降を繰り返し、上限値を上回ったと判断されたときにステップS118に進む。結果として、船倉内配置の候補となる複数の段積み製品群が複数パターン選定され、これらの選定結果が演算・処理結果記憶部45に格納される。ユニット幅の条件値についての設定回数の上限値は、船積み計画作成プログラムによって予め定められる。
【0120】
ステップS118では、演算・処理結果記憶部45に格納されているステップS116での各段積み製品群の荷姿の選定結果と、結束品データベース41に格納されている各結束品の属性情報とを段積み処理部123dが読み出す。そして、ステップS116で選定されたパターン毎に段積み製品群間の重量差を段積み処理部123dが演算し、この重量差の総和が最も小さいパターンを各段積み製品群の最終的な荷姿として決定して、決定結果を演算・処理結果記憶部45に格納する。また、段積み処理部123dは、最終的な荷姿が決定した段積み製品群毎に、最下段のユニットを平面視したときの外接多角形の形状および大きさを求め、この結果を演算・処理結果記憶部45に格納する。
【0121】
なお、重量差の総和が同じ値となるパターンが複数生じた場合には、各段積み製品群の高さの平均値を段積み処理部123dが求め、この平均値が最も小さいパターンを各段積み製品群の最終的な荷姿として決定する。保定材の重量は形鋼製品の重量に比べて小さいので、上記の重量差を求めるにあたっては、保定材の重量を無視することができる。
【0122】
ステップS119では、各段積み製品群の船倉内配置の作成を指示する配置作成指令が入力部5から入力されたか否かを、図16に示した船倉内配置作成部123Bが判断する。具体的には、図16に示した入力処理部21から上記の配置作成指令が振り分けられてきたか否かを船倉内配置作成部123Bが判断する。そして、配置作成指令が入力されていないと判断されたときにはステップS120に進み、船積み計画の作成作業の終了を指示する終了指令が入力部5から入力されたか否かを、図16に示した計画作成部123が判断する。終了指令が入力されていないと判断されたときにはステップS119に戻り、終了指令が入力されたと判断されたときには船積み計画の作成作業を終了する。一方、ステップS119で配置作成指令が入力されたと判断されたときには、ステップS121に進む。
【0123】
ステップS121では、演算・処理結果記憶部45に格納されているステップS118での外接多角形の算出結果と、船舶情報データベース44に格納されている船舶情報と、標準パターンデータベースに格納されている標準パターンとを船倉内配置作成部123Bが読み出す。そして、ステップS118で算出された各外接多角形を照合パターンとして用いた標準パターンとのパターンマッチングを例えば特許文献5に記載されたパターンマッチング方法と同様にして行って、各段積み製品群の船倉内配置を船倉内配置作成部123Bが作成する。
【0124】
具体的には、照合パターンと一致する標準パターンがあれば、この照合パターンを各段積み製品群の船倉内配置として作成する。照合パターンと一致する標準パターンがないときには、照合パターンと標準パターンとの類似度を船倉内配置作成部123Bが求め、この類似度が高くなるように、近接する外接多角形同士の間の隙間の大きさや重なり合いの修正、近接する多角形同士の位置の入替え等を行う。
【0125】
一方、パターンマッチング可能な標準パターンが複数通りある場合には、各標準パターンと照合パターンとの類似度を求め、この類似度が条件値を満たす少なくとも一つの標準パターンを船倉内配置作成部23Bが選択し、当該標準パターンと照合パターンとの類似度が高くなるように、近接する外接多角形同士の間の隙間の大きさや重なり合いの修正、近接する外接多角形同士の位置の入替え等を行う。これらの修正や入替え等を船倉内配置作成部123Bが自動的に行うように船積み計画作成装置101を構成することもできるし、船積み計画の作成者が入力部5から所定の指示を入力して表示部6の画面上で上記の修正や入替え等を行うように船積み計画作成装置101を構成することもできる。
【0126】
この後、船倉内配置作成部123Bは、修正済み照合パターンと標準パターンとの類似度を比較し、標準パターンとの類似度が最も高くなった修正済み照合パターンを各段積み製品群の船倉内配置として最終的に作成して、作成結果を演算・処理結果記憶部45に格納する。標準パターンとの類似度が同程度の修正済み照合パターンが複数生じた場合には、段積み製品群間の高低差が最も小さい修正済み照合パターンを各段積み製品群の船倉内配置として最終的に作成して、作成結果を演算・処理結果記憶部45に格納する。
【0127】
なお、照合パターンと標準パターンとの類似度は、例えば、照合パターンでの外接多角形の総数と標準パターンでの段積み製品群の総数との比較結果、および照合パターン中の各外接多角形での辺の長さと標準パターンにおける各多角形の辺の長さとの比較結果等を用いて評価することができる。類似度についての条件値は、船積み計画作成プログラムによって予め定められる。
【0128】
次いで行われるステップS122では、船積み計画の出力を指示する出力指令が入力部5から入力されたか否かを計画作成部123が判断する。そして、出力指令が入力されていないと判断されたときにはステップS123に進み、船積み計画の作成作業の終了を指示する終了指令が入力部5から入力されたか否かを計画作成部123が判断する。終了指令が入力されていないと判断されたときにはステップS122に戻り、終了指令が入力されたと判断されたときには船積み計画の作成作業を終了する。一方、ステップS122で出力指令が入力されたと判断されたときには、ステップS124に進む。
【0129】
ステップS124では、演算・処理結果記憶部45に格納されているステップS111での結束処理の結果、ステップS115でのユニットの分類結果、ステップS118での荷姿の決定結果、およびステップS121での船倉内配置の作成結果を、図16に示した出力制御部25が演算・処理結果記憶部45から読み出し、出力部7の動作を制御して、これらの各結果を所定のフォームで出力部7から出力させる。
【0130】
この後、ステップS125に進み、次の船積み計画の作成を指示する計画作成指令が入力部5から入力されたか否かを計画作成部123が判断する。そして、計画作成指令が入力されたと判断されたときにはステップS111に戻ってステップS111以降を繰り返し、計画作成指令が入力されていないと判断されたときには船積み計画の作成作業を終了する。
【0131】
上述のようにして船積み計画を作成する船積み計画作成装置101は、高さ毎分類処理およびソート処理それぞれの手順を行ってから複数の段積み製品群の各々の荷姿を作成するので、実施の形態1で説明した船積み計画作装置1と比べても、当該船積み計画作成装置101が一時に計算すべき計算量が少なくて済む。このため、船積み計画作成装置101に掛かる負荷が低減され、たとえ汎用のコンピュータを用いて船積み計画作成装置101を構成したとしても、複数種類の形鋼製品の結束品を一つの船倉に積み込むときの船積み計画を短時間で作成することができる。また、船積みの作業内容等が変更されたときでも、当該変更に柔軟に対応して、船積み計画を短時間で作成し直すことができる。輸送対象製品が形鋼製品の結束品以外の長尺品である場合についても、同様のことがいえる。
【0132】
(実施の形態3)
本発明の船積み計画作成方法では、複数種類の長尺の輸送対象製品の各々を揚げ地毎にグループに分類し、2段目以降の各段の輸送対象製品については、この輸送対象製品を荷揚げする揚げ地の寄港順がその下の段の輸送対象製品を荷揚げする揚げ地の寄港順よりも遅くならないように、複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成してもよい。以下、図18〜図20を参照して、輸送対象製品の各々を揚げ地毎に分類する処理を行って船積み計画を作成する船積み計画作成方法、船積み計画作成プログラムについて詳述する。
【0133】
図18は、本発明の船積み計画作成方法に従って船積み計画を作成する船積み計画作成処理手順のうち、輸送対象製品の各々を揚げ地毎に分類する処理を行って船積み計画を作成する船積み計画作成処理手順を示すフローチャートであり、図19は、図18中のステップS203での処理内容の一例を示す模式図である。
【0134】
図18に示す船積み計画作成処理手順は、複数種類の長尺の輸送対象製品を複数の揚げ地に船舶輸送するときの船積み計画をコンピュータ(以下、「船積み計画作成装置」という)で作成するときの一例である。この処理手順では、データベース作成ステップ、荷姿作成ステップ、および船倉内配置作成ステップをこの順番で行って、各輸送対象製品を複数の段積み製品群に分けて一つの船倉に積み込むときの各段積み製品群の荷姿および船倉内配置を作成する。同図に示すステップS201はデータベース作成ステップに相当し、ステップS202〜206は荷姿作成ステップに相当し、ステップS207は船倉内配置作成ステップに相当する。作成した船積み計画は、ステップS208で出力する。
【0135】
ステップS201〜S203,S206の各々は、輸送対象製品の揚げ地も考慮して行うという点を除き、図7に示したステップS101〜S103,S106と同様にして行う。
【0136】
例えばステップS201では、ステップS101の説明の中で述べた各データベースに加えて、個々の輸送対象製品の揚げ地およびその寄港順を示す揚げ地情報を格納した揚げ地情報データベースを作成する。また、制約条件データベースには、実施の形態1,2で説明した(1),(2)の制約条件に加えて、(3)2段目以降の各段のユニットは、このユニットを荷揚げする揚げ地の寄港順が当該ユニットの下の段のユニットを荷揚げする揚げ地の寄港順よりも遅くならないように選定する、という制約条件も格納する。
【0137】
ステップS202では、揚げ地が同じ輸送対象製品毎に結束処理を行う。ステップS203では、各結束品を揚げ地毎に、かつ高さ毎にグループに分類する。例えば図19に示すように、計二つの揚げ地に荷揚げされる輸送対象製品は、グループG21〜G23とグループG31〜G33とに分類される。図19(A)〜図19(C)に示す各グループG21〜G23は、或る一つの揚げ地に荷揚げされ、図19(D)〜図19(F)に示す各グループG31〜G33は、他の一つの揚げ地に荷揚げされる。
【0138】
図19(A)に示すグループG21は、互いに同じ高さを有する九つの輸送対象製品P31〜P39からなり、グループG22は、互いに同じ高さを有する九つの輸送対象製品P41〜P49からなり、グループG23は、互いに同じ高さを有する九つの輸送対象製品P51〜P59からなる。グループG21での各輸送対象製品P31〜P39の高さと、グループG22での各輸送対象製品P41〜P49の高さと、グループG23での各輸送対象製品P51〜P59の高さとは、互いに異なる。
【0139】
同様に、グループG31は、互いに同じ高さを有する九つの輸送対象製品P61〜P69からなり、グループG32は、互いに同じ高さを有する九つの輸送対象製品P71〜P79からなり、グループG33は、互いに同じ高さを有する九つの輸送対象製品P81〜P89からなる。グループG31での各輸送対象製品P61〜P69の高さと、グループG32での各輸送対象製品P71〜P79の高さと、グループG33での各輸送対象製品P81〜P89の高さとは、互いに異なる。
【0140】
ステップS206では、揚げ地情報データベースに格納された揚げ地情報、および制約条件データベースに格納された上記(3)の制約条件の各々も考慮するという点を除き、図7に示したステップS106と同様にして複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成する。なお、ステップS204,S205,S207,S208は、図7に示したステップS104,S105,S107,S108と同様にして行う。
【0141】
上述の船積み計画作成処理手順に従って船積み計画を作成する船積み計画作成装置では、例えば、図16に示した船積み計画作成装置101の補助記憶部104に揚げ地情報データベースが追加されるとともに、上記の揚げ地情報にもとづいて複数種類の輸送対象製品の各々を揚げ地毎に、かつ高さ毎にグループに分類してからソート処理を行い、その後にユニットに分類する機能が荷姿作成部123Aに付加される。このとき、制約条件データベース43に格納する制約条件には、前述した(1),(2)の制約条件に上記(3)の制約条件が付加される。また、主記憶部103には、複数種類の長尺の輸送対象製品の各々を揚げ地毎に、かつ高さ毎にグループに分類する手順を含んだ船積み計画作成プログラムが格納される。
【0142】
図20は、本発明の船積み計画作成プログラムに従って船積み計画を作成する船積み計画作成装置のうち、輸送対象製品の各々を揚げ地毎に、かつ高さ毎に分類する処理を行って船積み計画を作成する船積み計画作成装置での船積み計画作成処理手順を示すフローチャートである。
【0143】
図20に示す船積み計画作成処理手順では、ステップS211〜S225を行う。ステップS211〜S213は図18のステップS202〜S204に、ステップS214,S215は図18のステップS205に、ステップS216〜S218は図18のステップS206に、ステップS221は図18のステップS207に、そしてステップS224は図18のステップS208にそれぞれ相当するものであるので、ここではその説明を省略する。同様に、ステップS219は図17のステップS119に、ステップS220は図17のステップ120に、ステップS222は図17のステップS122に、そしてステップS223は図17のステップS123にそれぞれ相当するものであるので、ここではその説明を省略する。
【0144】
上述の船積み計画作成処理手順で船積み計画を作成する船積み計画作成装置は、揚げ地毎分類処理の手順を行ってから複数の段積み製品群の各々の荷姿を作成し、その後に各段積み製品群の船倉内配置を作成するので、たとえ汎用のコンピュータを用いて当該船積み計画作成装置を構成したとしても、揚げ地が異なる複数種類の長尺の輸送対象製品を一つの船倉に積み込むときの船積み計画を短時間で作成することができる。また、船積みの作業内容等が変更されたときでも、当該変更に柔軟に対応して、船積み計画を短時間で作成し直すことができる。さらには、高さ毎分類処理およびソート処理の各手順も行うので、この点からも、複数種類の長尺の輸送対象製品を一つの船倉に積み込むときの船積み計画を短時間で作成することができる。
【0145】
以上、本発明の船積み計画作成方法および船積み計画作成プログラムそれぞれについて実施の形態を挙げて説明したが、前述のように、本発明の船積み計画作成方法および船積み計画作成プログラムの各々は上記の形態に限定されるものではない。例えば荷姿作成ステップでの各段積み製品群の荷姿の作成手法や、船倉内配置作成ステップでの各段積み製品群の船倉内配置の作成手法としては、実施の形態1〜3で説明した手法に限らず、種々の手法を適用することができる。
【0146】
また、各輸送対象製品の段積み順の選定は、各輸送対象製品をユニットに分類せずに行うことも可能である。また、段積み製品群の荷姿を作成する際の制約条件を何にするかについても、適宜選定可能である。船積み計画を短時間で作成することのみに着目すれば、実施の形態1で説明した(1)の制約条件を制約条件から外すことも可能である。そして、各段積み製品群の荷姿の作成手法と各段積み製品群の船倉内配置の作成手法との組合せについても、実施の形態1〜3で説明した組合せに限らず、種々の組合せを適用することができる。
【0147】
また、本発明の船積み計画作成プログラムの構成は、本発明の船積み計画作成方法での荷姿作成ステップおよび船倉内配置作成ステップそれぞれでの処理内容に応じて、適宜変更可能である。この船積み計画作成プログラムは、船積み計画作成装置の主記憶部に格納する他に、船積み計画作成用のコンピュータにインストール可能な形式、または積み計画作成用のコンピュータが実行可能な形式のアプリケーションプログラムとして補助記憶部に格納することもできる。さらには、半導体記憶素子、磁気記憶媒体、光磁気記憶媒体、書換え可能型光記憶媒体等のコンピュータ読取り可能な記憶媒体に記録して提供したり、コンピュータネットワークを介して提供したりすることができる。
【0148】
この船積み計画作成プログラムに従って動作する船積み計画作成装置では、中央演算処理装置等によって構成される計画作成部が当該船積み計画作成プログラムを読み出して実行することにより、荷姿作成部および船倉内配置作成部が主記憶部上にロードされる。本発明の船積み計画作成方法および船積み計画作成プログラムの各々については、上述した以外にも種々の変形、修飾、組合せ等が可能である。
【符号の説明】
【0149】
1,101 船積み計画作成装置
2,102 演算・制御部
23,123 計画作成部
23A,123A 荷姿作成部
23B,123B 船倉内配置作成部
3,103 主記憶部
4,104 補助記憶部
P1〜P3,P11〜P16,P21,P22, 輸送対象製品
U1〜U3,U11,U12,U21〜U23,U31〜U34 ユニット
SP1,SP11〜SP14,SP21 段積み製品群
SP31,SP32,SP41〜SP44 段積み製品群
B1,B2 結束品
B11〜B19,B21〜B28,B31〜B37,B41〜B46 結束品
B51〜B71,B81〜B90 結束品
HP1〜HP5 H形鋼
PB1〜PB5 U形矢板鋼
R1a〜R1e,R2a〜R2d,R11〜R13 保定材
R21a〜R21e,R31a〜R31f,R41a〜R41e 保定材
CP1,CP2 外接多角形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の長尺の輸送対象製品を複数の段積み製品群に分けて一つの船倉に積み込むときの荷姿および配置をコンピュータで作成する船積み計画作成方法であって、
前記コンピュータが、前記輸送対象製品それぞれの属性情報と前記船倉の深さに係る情報とにもとづいて、前記輸送対象製品の各々を複数の輸送対象製品群に分類し、かつ該輸送対象製品群の各々での前記輸送対象製品の段積み順を定めることで、前記複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成する荷姿作成ステップと、
前記コンピュータが、前記複数の段積み製品群の各々の平面視上の形状および大きさと前記船倉の底面の形状および大きさに係る情報とにもとづいて、前記複数の段積み製品群の船倉内配置を作成する船倉内配置作成ステップと、
を含むことを特徴とする船積み計画作成方法。
【請求項2】
前記荷姿作成ステップでは、前記複数種類の長尺の輸送対象製品の各々を高さ毎にグループに分類し、該グループの各々から長さが長い順に所定数の輸送対象製品を繰り返し抽出して段積み時に一つの段に並べる製品列とし、2段目以降の各段での輸送対象製品の長さの最大値が該段の下の段での輸送対象製品の長さの最小値以下で、かつ前記2段目以降の各段の幅が該段の下の段の幅以下となるように前記製品列の各々を複数の輸送対象製品群に分類し、かつ該輸送対象製品群の各々での前記製品列の段積み順を定めることで、前記複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成することを特徴とする請求項1に記載の船積み計画作成方法。
【請求項3】
前記荷姿作成ステップでは、前記輸送対象製品の各々を揚げ地毎にグループに分類し、2段目以降の各段については、該段の輸送対象製品を荷揚げする揚げ地の寄港順が該段の下の段の輸送対象製品を荷揚げする揚げ地の寄港順よりも遅くならないように前記輸送対象製品の各々を複数の輸送対象製品群に分類し、かつ該輸送対象製品群の各々での前記輸送対象製品の段積み順を定めることで、前記複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成することを特徴とする請求項1または2に記載の船積み計画作成方法。
【請求項4】
前記荷姿作成ステップでは、前記段積み製品群での一段の幅についての条件値を複数通り設定し、該条件値毎に前記複数の段積み製品群の荷姿を作成し、該複数通りの荷姿の中から前記段積み製品群間の重量差にもとづいて最終的に一つの荷姿を選択することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の船積み計画作成方法。
【請求項5】
前記船倉内配置作成ステップでは、前記荷姿作成ステップで荷姿を作成した前記段積み製品群毎に、該段積み製品群での最下段の製品列を平面視したときの外接多角形の船倉底面上の配置を選定することで、前記複数の段積み製品群の船倉内配置を作成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の船積み計画作成方法。
【請求項6】
前記輸送対象製品は、所定数の製品が結束された結束品であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の船積み計画作成方法。
【請求項7】
前記輸送対象製品は形鋼製品であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の船積み計画作成方法。
【請求項8】
複数種類の長尺の輸送対象製品を複数の段積み製品群に分けて一つの船倉に積み込むときの荷姿および配置をコンピュータに作成させ船積み計画作成プログラムであって、
前記輸送対象製品それぞれの属性情報と前記船倉の深さに係る情報とにもとづいて、前記輸送対象製品の各々を複数の輸送対象製品群に分類し、かつ該輸送対象製品群の各々での前記輸送対象製品の段積み順を定めることで、前記複数の段積み製品群それぞれの荷姿を作成する荷姿作成手順と、
前記複数の段積み製品群の各々の平面視上の形状および大きさと前記船倉の底面の形状および大きさに係る情報とにもとづいて、前記複数の段積み製品群の船倉内配置を作成する船倉内配置作成手順と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする船積み計画作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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