船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造
【課題】50mm程度の扇形の穴である小さな部位に向かって作業員が小型のグラインダーを使った手作業で形成するスカラップ製作作業及びそのシャープエッジ処理作業を減じる。
【解決手段】船体外板に船体縦方向に複数のロンジ104が配置され,その間に制水横隔壁107で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、前記ロンジ104は、その上流側に開口するスロットのみが設けられて前記制水横隔壁107と接合し、前記ロンジ104の下流側に配置される前記制水横隔壁107の下部コーナー部に前記ロンジ104と前記船体外板との接合部の溶接ビード112から数mmの間隙を有する面取り部3を設け、当該制水横隔壁107が仮設置された後に当該間隙を溶接してなる。
【解決手段】船体外板に船体縦方向に複数のロンジ104が配置され,その間に制水横隔壁107で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、前記ロンジ104は、その上流側に開口するスロットのみが設けられて前記制水横隔壁107と接合し、前記ロンジ104の下流側に配置される前記制水横隔壁107の下部コーナー部に前記ロンジ104と前記船体外板との接合部の溶接ビード112から数mmの間隙を有する面取り部3を設け、当該制水横隔壁107が仮設置された後に当該間隙を溶接してなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の水密横隔壁間に施されるロンジ(縦通材)構造において、ロンジが制水横隔壁等を貫通する場合の船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の船舶の水密横隔壁間に施されるロンジ(縦通材)構造,特に、ロンジ貫通部のスロット及びスカラップの配置に関しては、例えば、(1)特開2004−314752号公報(特許文献1)や(2)特開2005−199873号公報(特許文献2)、(3)特開平7−17462号公報(特許文献3)に開示のものが知られている。
【0003】
これら先行特許文献1-3に開示のものは、ロンジの短辺の取付け方向によって、船体中心に向けて設ける場合(従来例1の場合)と、バラスト水の流れの上流方向を向けて設ける(従来例2の場合)とに大きく分けられ、船体中心に向けて設けられる従来例1の場合を図6ないし図10に、バラスト水の流れの上流方向を向けて設けられる従来例2の場合を図11ないし図15に示す。なお、図6ないし図10及び図11ないし図15は、いずれも船舶の二重底船底構造、特にロンジの取付けや縦通隔壁等で構成される基本的構造を示すものである。
【0004】
(従来例1の場合)
まず、図6ないし10に示される前記従来例1を詳細に説明する。
図6は、船尾方向から見た二重底構造の船底横断面を示す概略図であり、図において、100は、船体船底部分、101は、船底外板、102は、二重底、103は、船首方向から船尾に連通して各区画のバラストタンク(例えば、図6及び図7においては、バラスト区画を左舷バラストタンクp1、p2及び右舷バラストタンクs1、s2)を形成する縦通隔壁、104は、前記船底外板101及び前記二重底下に配置される船体縦方向に連通する複数のロンジ(縦通材)であり、全体として逆L字断面を有し、前記船底外板101に接合される長辺b(b=およそ250mm)及びその頂上の短辺a(a=およそ90mm)からなる。
【0005】
また、図7は、図6に示すA−A断面を示すものであり、図7の上方が船首方向、下方が船尾方向を示す。図7において、符号105は、水密横隔壁であり、前記縦通隔壁103とで、前記バラストタンク106(例えば、図6及び図7においては、バラスト区画を左舷バラストタンクp1、p2及び右舷バラストタンクs1、s2)を形成する。また、符号107は、制水横隔壁であり、108は、各タンク106に設けられたバラスト水を注排水するバラスト注排水口である。
【0006】
図6及び図7に示すように、簡易的に4つのバラストタンク(例えば、左舷バラストタンクp1、p2及び右舷バラストタンクs1、s2)106には、前述するように、各タンク106にバラスト水を注排水するバラスト注排水口108がそれぞれに設けられ、配管(図示外)及びバラストポンプ(図示外)に接続されており、これら配管・バラストポンプによって各タンク106内にバラスト水が注排水される。なお、図6,図7において、符号CLは、船体中心線である。
【0007】
船舶の船底構造は、一般にバラスト状態においてはバラスト水の排水のため、船尾トリム(船尾の方が吃水が深い)状態であるので、船尾方向にバラスト水が流れる。また、船底勾配が設けられているのが通常である。そして、船底勾配が設けられている場合には、さらに、船側から船体中心線CLに向って、バラスト水が流れる勾配が設けられる。したがって、船尾側の船体中心線CL側にバラスト注排水口108が設けられるのが通常である。なお、船底勾配が設けられない場合であっても、大概の場合には、船尾側の船体中心線CL側にバラスト注排水口108が設けられる。
【0008】
図6ないし図7に示されるように、前記船底外板101及び二重底102等の水密横隔壁105間には、縦通隔壁103及び横方向の制水横隔壁107が設けられ、該縦通隔壁103間に船体縦方向に適当な間隔で複数のロンジ104が設けられ、船体縦方向に長い長方形の格子状の構造物を形成する。そして、この場合、前記ロンジ104の短辺aは、バラスト水内に混入している汚泥の流れを考慮して、船体中心に向けて排水させるように設けることが一般的である。図8は、図6及び図7の○印部の部位の拡大図であり、前記船底外板101、前記縦通隔壁103、前記二重底102、及び前後に配置される前記水密横隔壁105に囲まれた前記バラスト区画の左舷バラストタンクp2内の前記制水横隔壁部の拡大図である。
【0009】
図8に示すように、前記ロンジ104の上流側(船側側)の船底外板101の接合部には、前記スカラップ109が設けられ、同下流側(船体中心線CL側)には前記スロット110が設けられている。前記スカラップ109は、前記ロンジ104の前記船底外板101との溶接部の連続性の保持を目的とし、さらには、バラスト水の水位が前記ロンジ104長辺bより下がった場合、残留バラスト水の水はけのための水路として機能する。つまり、前記ロンジ104の上流側にあるバラスト水の残留は前記スカラップ109を通り、船尾方向に流れることとなる。
【0010】
なお、スカラップ(Scalloping=扇形切欠き)とは、前記ロンジ104と前記制水横隔壁107との接合部や前記縦通隔壁103に、ガス切断又はレーザー切断により加工される半径が50mm程度の扇型の穴を言い、スロット(Slot=溝部)とは、前記ロンジ104に前記制水横隔壁107が被さる時(施工順番)に、前記ロンジ104との凹凸を避けるため前記制水横隔壁107及び前記縦通隔壁103に前記ロンジ104との間に数十mmの間隙を有して開けられる穴を言う。
【0011】
図9は、図7のB−B断面を略示したもので、前記船底外板101に前記ロンジ104が立設し、前記制水横隔壁107を該ロンジ104が貫通し、該ロンジ104の下部に数個の穴111が設けられ、該穴111はバラスト水を船側から船体中心線CL方向に流す役目を果たすものである。
【0012】
図10は、図8の○印部分に示す前記ロンジ104の断面の拡大図であり、前記船底外板101に前記ロンジ104がすみ肉溶接で溶着された状態を示すものであり、溶接ビード112が船体縦方向に連続している。また、実線で示すものは前記制水横隔壁107が被さった状態を示すものであり、細線二点鎖線は,その被される前の状態を示しているものである。このように、前記ロンジ104と前記制水横隔壁107との配置においては、前記ロンジ104の上流側にはスカラップ109が設けられ、ロンジ104の下流側にはスロット110が設けられているのが通常の船底構造であった。
【0013】
(従来例2の場合)
次に、前記従来例2の場合について説明する。図11ないし図15は、前記従来例2の場合を示すロンジ104及び縦通隔壁103等で構成される二重底船底構造の基本的構造を示す概略図であり、従来例1の場合と異なり、前記ロンジ104の短辺aの方向がバラスト水の流れに対して上流方向を向いている例である。
まず、ロンジ104は、図11及び図12に示すように、船底外板101及び二重底102等の水密横隔壁105間に前記縦通隔壁103及び横方向の制水横隔壁107が設けられ、該縦通隔壁103間に船体縦方向に適当な間隔で前記ロンジ104が設けられ、船体縦方向に長い長方形の格子状の構造物の一部を形成される。
【0014】
図11は、二重底構造の船首方向船底横断面概略図であり、図12は、前述従来例1の場合と同様、図11に示されるA−A断面を示すものであり、図12の上方が船首方向、下方が船尾方向を示す。
図11及び図12に示されるように、当該従来例2の場合も、前述の従来例1の場合と同様に、簡易的に4つのタンク106(例えば、バラスト区画を左舷バラストタンクp1、p2及び右舷バラストタンクs1、s2)からなり、また、各タンク106にバラスト水を注排水するバラスト注排水口108がそれぞれに設けられ、配管(図示外)は、従来例1の場合と同様、バラストポンプ(図示外)に接続されており、バラスト水が注排水される等、図11及び図12において用いた符号と同一の符号で、前述の従来例1において示したと同じ部材を示すものである。
【0015】
前記ロンジ104の短辺aは、内部を流通するバラスト水に混入する汚泥等の流通を損なうことのないように通例は、従来例1に示されるように、船体中心に向けて設けることが一般的であるが、この従来例2に示される場合は、前記ロンジ104の短辺aは、バラスト水内に混入している汚泥の流れを考慮せず、船側に向けて設けられている。船舶の船底構造によっては、このような配置のものもしばしば見受けられる。
【0016】
この従来例2の場合においても、前述の従来例1の場合と同様に、船舶は一般にバラスト状態においては船尾トリム(船尾の方が吃水が深い)状態に構成され、バラスト水は船尾方向に流れる。また、船底勾配が設けられている。そこで、船底勾配が設けられている場合には、この船舶おいても、船側から船体中心線CLに向って、バラスト水は流れる。よって、上述するように、船尾側の船体中心線CL側にバラスト水注排水口が設けられている。また、船底勾配がない船舶の船体であっても、船舶が移動する際の内部の慣性を考慮して一般的には船尾側の船体中心線CL側にバラスト水注排水口が設けられているのが通例である。
【0017】
図13は、図11及び図12の○印部の部位の拡大図である。前記船底外板101、前記縦通隔壁103、前記二重底102、及び前記した前後の水密隔壁105、105に囲まれたバラスト区画左舷p2を示したものであり、その区画内の制水横隔壁部を拡大図である。
【0018】
図13に示すように、当該従来2の場合は、前述の従来例1に示したのと逆に、前記ロンジ104の上流側(船側側)にスロット110が設けられ、同下流側(船体中心線CL側)にスカラップ109が設けられている。この場合のスカラップ109は、ロンジ104の溶接部に連続性の保持を目的とする点では前述の従来例1の場合と同様であるが、当該従来例2の場合には、バラスト水の水位が前記ロンジ104長辺bより下がった場合には、前記ロンジ104の上流側にあるバラスト水の残留は前記スロット110を通り、船尾方向に流れることとなるのであるから、残留バラスト水の排水という面では前記ロンジ104の下流側に配置する前記スカラップ109は不要である。しかしながら、後述するように、前記ロンジ104に前記制水横隔壁107が被さる場合には、前記溶接ビード112と前記制水横隔壁107との接触を避けるため、前記スカラップ109を設けている。
【0019】
なお、従来例1と同様に、当該従来例2においても、前記船底外板101に前記ロンジ104が立設し、前記制水横隔壁107を該ロンジ104が貫通し、該ロンジ104の下部に数個の穴111が設けられ、該穴111はバラスト水を船側から船体中心線CL方向に流す。図14は、その状態を示すもので、図12のB−B断面を略示したものある。
【0020】
また、図15は、図13の○印部分の拡大図であり、前記船底外板101に前記ロンジ104がすみ肉溶接で溶着され、当該溶接ビード112は船体縦方向に連続していることを示す図である。図15において、実線は、当該ロンジ104に前記制水横隔壁107が被さった状態を示す図であり、細線二点鎖線は、当該ロンジ104に前記制水横隔壁107が被る前の状態を示したものである。
【0021】
【特許文献1】特開2004−314752
【特許文献2】特開2005−199873
【特許文献3】特開平7−17462
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従来例1、2が示すように、スロット及びスカラップの形状や取り付け位置は多少異なるが、基本的にはロンジの上流側や下流側に設けられ、スロット及びスカラップの双方ともロンジの溶接ビードの連続性とバラスト水の残留の水路としての機能を果たしていた。ところが、近年、バラストタンク内の塗装の耐久性を考慮して、鋼材のシャープエッジ処理が必要となり、小さな部位であるスカラップの扇形の切口にもシャープエッジ処理を行なわなければならなくなった。しかしながら、この作業は、50mm程度の扇形の穴である小さな部位に向かって作業員が小型のグラインダーを使った手作業での処理となり(2cラウンド又はその程度)、非常に手間を要する作業となっていた。さらに、3万トンクラスの船舶においては、一隻あたり、1000個前後のスカラップがあり、前記シャープエッジ処理作業に膨大な時間と費用を費やさなければならないこととなっていた。
そこで、本願各請求項に係る発明は、上記の課題を解決するために、前記スカラップの製作や、そのシャープエッジ処理作業を減じることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、本願請求項1に係る発明は、船体外板に船体縦方向に複数のロンジが配置され、その間に制水横隔壁で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、前記ロンジは、その上流側に開口するスロットのみが設けられて前記制水横隔壁と接合することを特徴とする。
また、本願請求項2に係る発明は、船体外板に船体縦方向に複数のロンジが配置され、その間に制水横隔壁で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、前記制水横隔壁の下部コーナー部に前記ロンジと前記船体外板との接合部の溶接ビードから数mmの間隙を有する面取り部を設け、当該制水横隔壁が仮設置された後に当該間隙を溶接してなることを特徴とする。
さらに、本願請求項3に係る発明は、前記請求項1または2に係る船体外板に船体縦方向に複数のロンジが配置され、その間に制水横隔壁で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、前記ロンジは、その上流側に開口するスロットのみが設けられて前記制水横隔壁と接合し、前記ロンジの下流側に配置される前記制水横隔壁の下部コーナー部に前記ロンジと前記船体外板との接合部の溶接ビードから数mmの間隙を有する面取り部を設け、当該制水横隔壁が仮設置された後に当該間隙を溶接してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るロンジ貫通部のスロット配置構造は、前記スロットの上流側または下流側に配置されるスカラップに替え、改良スロットを前記ロンジの上流側にのみ配置するようにしたことによって、手作業のガス切断又はレーザー切断により加工される半径が50mm程度の扇型の小さな穴からなるスカラップの製作作業を廃止し、また、その小さな穴であるスカラップに対するシャープエッジ処理作業を全面的に廃止することができ、作業能率を向上させることができる。
【0025】
さらに、本発明に係るロンジ貫通部のスロット配置構造は、ロンジの下流側の前記船体外板の間の溶接ビードに干渉しない距離の数mmの間隙を有する制水横隔壁下部コーナー部に面取り部を設けたので、これによって、組み立て現場作業ではない、工場での材料取り工程で済み、狭くて窮屈な船体組み立て現場での細かな作業である面取り作業を廃止し、作業性の改善を図ったものである。
【0026】
また、この間隙を設けることによって、ロンジや船体外板と制水横隔壁との間の溶接に際し、間隙を目安として適度の溶接のルート間隔(母材と部材の間隙)となって埋めることができるので、溶接精度の向上を図ることができる等の効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に係るロンジ貫通部のスロット配置構造を実施するための最良の形態である実施例1及び実施例2を図1ないし図5に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1ないし図5は、船舶の二重底船底構造、特にロンジの取付けや縦通隔壁等で構成される基本的構造における本発明に係るロンジ貫通部のスロット配置構造の実施例1の概略を示す図であり、そのうち、図1は、本発明に係るロンジ貫通部のスロット配置構造に係る実施例1を説明するために二重底船舶の船底横断面を示す概略図、図2は、同図1のA−A断面図(上方が船首方向、下方が船尾方向)、図3は、同図1の○印部分の部位拡大図、図4は、同図2のB−B断面図、図5は、同図3の○印部分の部分拡大図である。
【0029】
図1ないし図5において、符号は図6ないし図10及び図11ないし図15における従来例1及び従来例2で使用する符号と同じ部材を示し、同一の部材は同一の符号で説明する。
まず、ロンジ104は、図1及び図2に示すように、従来例1及び従来例2と同じく前記船底外板101及び前記二重底102等の水密横隔壁間に前記縦通隔壁103及び横方向の制水横隔壁107が設けられ、該縦通隔壁103間に船体縦方向に適当な間隔でロンジ104が設けられ、船体縦方向に長い長方形の格子状の構造物の一部を形成する点は,前述した従来例1及び従来例2と同じである。
【0030】
また、図1及び図2では、簡易的に4つのバラストタンク106(例えば、左舷バラストタンクp1、p2及び右舷バラストタンクs1、s2)を示し、各タンク106にバラスト水を注排水するバラスト注排水口108がそれぞれに設けられ、配管(図示外)、バラストポンプ(図示外)等によって内部のバラスト水が注排水される点は,前述した従来例1及び従来例2と同じである。
【0031】
なお、図1及び図2に示される本実施例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造は、基本的には、前述の従来例2を前提とする構造であり、そこでの前記ロンジ104の短辺aは、バラスト水内に混入している汚泥の流れを考慮せず、船側に向けて設けられている。さらに、バラスト状態においては船尾トリム(船尾の方が吃水が深い)状態に構成され、バラスト水が船尾方向に流れ、また、船側側から船体中心線CLに向って、バラスト水は流れる構造は、前述の従来例1と同じ構造であり、このため、船尾側の船体中心線CL側に前記バラスト注排水口108が設けられている点も、前述した従来例1及び従来例2と同じである。
【0032】
図3は、図1の○印部分の部位拡大図であり、前記船底外板101、前記縦通隔壁103、前記二重底102及び前後の水密隔壁に囲まれたバラスト区画左舷を示したものであり、その区画内に配置される前記制水横隔壁107を拡大して示す図である点も、前述した従来例1及び従来例2と基本的には同じである。
ただ、前述の従来例1及び2と異なる点は、前記ロンジ104の上流側には、従来例1の前記スカラップ109に替え、改良スロット1のみが設けられ、あるいは、前記ロンジ104の下流側には、前述の従来例1ないしは従来例2において設けられる前記スロット110または前記スカラップ109のような構造物を設けることがない点で異なる。すなわち、本実施例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造においては、前記ロンジ104の上流側に開口する改良スロット1のみが設けられ、前記ロンジ下流側には、何らの構造物を存在させないで,直接前記制水横隔壁107との間で接合される配置構造としたものである。
【0033】
換言すれば、本実施例1に係る船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造は、前記船体外板101に船体縦方向に複数の前記ロンジ104が配置され,その間に前記制水横隔壁107で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、前記ロンジ104には、その上流側に開口する改良スロット1のみが設けられて前記制水横隔壁107と接合することを特徴とする。
【0034】
このような構造としたので、本実施例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造においては、前記改良スロット1は、前述してきた従来例1及び従来例2と同様に、前記ロンジ104の溶接部に連続性を保持させることができ、また、バラスト水が前記ロンジ104の長辺bより水位が下がった場合には、当該改良スロット1を残留バラスト水の水路として機能させ、前記ロンジ104の上流側の残留バラスト水は当該改良スロット1を通じて排水される。すなわち、本実施例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造においては、前記制水横隔壁107が前記ロンジ104との接合部の前記ロンジ104の上流側に前記スカラップ109や前記スロット110に替え、前記改良スロット1のみを設けた。これによって、前記ロンジ104の溶接部の連続性を確保は従来例1及び2と同様であり、また、前記ロンジ104の上流側の残留バラスト水は当該改良スロット1を通じて排水するようにした。
【0035】
本実施例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造においては、図3に示されように、個々の前記ロンジ104の上流側に前記スカラップ109を設けることをしないで、前述した従来例1及び従来例2と同様に、前記制水横隔壁107と前記縦通隔壁103との接合部のみに前記スカラップ109を設ける。これによって、前記ロンジ104の上流側にある残留バラスト水は、前記制水横隔壁107では、当該スカラップ109を通り船尾方向に流れる。
また、図4は、図2のB−B断面を略示したもので、前記船底外板101に前記ロンジ104が立設し、前記制水横隔壁107を該ロンジ104が貫通し、該ロンジ104の下部に数個の穴111が設けられ、該穴111はバラスト水を船側から船体中心線CL方向に流れる。
【実施例2】
【0036】
実施例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造においては、前記制水横隔壁107が前記ロンジ104との接合部の前記ロンジ104の上流側に前記スカラップに替え、前記改良スロット1を設けた。
ところが、従来例2に示すように(図15参照)、前記ロンジ104と前記船体外板101の接合部は、前記溶接ビード112が盛り上がり、前記ロンジ104に前記制水横隔壁107が被さる場合には、前記溶接ビード112に前記制水横隔壁107が接触しないように、当該部分にも前記スカラップ109が設けられる。
【0037】
そこで、本実施例2に係るロンジ貫通部のスロット配置構造においては、前記ロンジ104の上流側に前記改良スロット1を設ける一方、前記ロンジ104の下流側には、前記溶接ビード112に干渉しないように、前記溶接ビード112から数mmの間隙をもって、前記制水横隔壁107の下部コーナー部を10c程度カットする構造の面取り部3を設ける構造とする。すなわち、この面取り部3を形成する作業は、前記制水横隔壁107を材料取りする工程でガス切断又はレーザー切断で行なわれるので、作業が容易であり、作業軽減が可能である。また、この間隙は、前記制水横隔壁107を前記ロンジ104や前記船体外板101への溶接工程において、適度の溶接のルート間隔(母材と部材の間隙)となって埋められ、むしろ溶接精度の向上を図ることができる。
【0038】
図5は、図3の○印部分の拡大図であり、前記船底外板101に前記ロンジ104がすみ肉溶接で溶着され、前記溶接ビード112は船体縦方向に連続し、また、当該溶接ビード112に干渉しないように、前記制水横隔壁107の下部コーナー部を10c程度カットされた構造の面取り部3が前記溶接ビード112から数mmの間隙をもって前記制水横隔壁107が接合されることを示す。なお、実線は,前記制水隔壁107が前記ロンジ104に被さった状態を示す、細線二点鎖線は、前記制水隔壁107が前記ロンジ104に被る前の状態を示す。
【0039】
すなわち、本実施例2に係る船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造は、前記船体外板101に船体縦方向に複数の前記ロンジ104が配置され,その間に前記制水横隔壁107で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、前記制水横隔壁107の下部コーナー部に前記ロンジ104と前記船体外板101との接合部の前記溶接ビード112から数mmの間隙を有する面取り部3を設け、当該制水横隔壁107が仮設置された後に当該間隙を溶接してなることを特徴とする。
【0040】
また、本実施例1及び2に係る船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造は、単独で実施されても良く、また、それらが組み合わされて実施されるようにしても良い。すなわち、本実施例1または2に係る船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造は、船体外板に船体縦方向に複数のロンジが配置され,その間に制水横隔壁で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、前記ロンジは、その上流側に開口するスロットのみが設けられて前記制水横隔壁と接合し、前記ロンジの下流側に配置される前記制水横隔壁の下部コーナー部に前記ロンジと前記船体外板との接合部の溶接ビードから数mmの間隙を有する面取り部を設け、当該制水横隔壁が仮設置された後に当該間隙を溶接してなることを特徴とする。
【0041】
このような構造としたので、本実施例1及び2に係るロンジ貫通部のスロット配置構造は、図1ないし図5に示すように、まず、前記スカラップ109に替え、前記改良スロット1を前記ロンジ104の上流側に配置するようにした。これによって、前記スカラップ109のような手作業のガス切断又はレーザー切断により加工される半径が50mm程度の扇型の小さな穴の製作を廃し、また、その穴(スカラップ109)に対するシャープエッジ処理作業を全面的に廃するようにしたものである。
【0042】
第2に、本実施例2に係るロンジ貫通部のスロット配置構造は、図5に示すように、前記ロンジ104の下流側の前記船体外板101との間の前記溶接ビード112に干渉しないように、前記溶接ビード112から数mmの間隙からなる前記制水横隔壁107の下部コーナー部に面取り部3を設けた構造としたものである。これによって、前記制水横隔壁107を材料取りする工程でのみ、細かな作業である面取り作業を工場作業として、狭い船体組み立て現場での作業を廃止し、作業性の改善を図ったものである。また、前記ロンジ104または前記船体外板101と前記制水横隔壁107との間で溶接する際に、一定間隔の間隙が形成されるので、前記制水横隔壁107を前記ロンジ104や前記船体外板101への溶接工程において、この間隙を目安として適度の溶接のルート間隔(母材と部材の間隙)となって埋めることにより、むしろ溶接精度の向上を図ることができる等の効能を有することとなる。
【0043】
なお、前記ロンジ104の形状には、その断面が不等辺山形鋼、バルブプレート及びT型ロンジ等の代表的なタイプがあるが、前記船体外板101及び前記制水横隔壁107との間に接合されるロンジであれば、その断面形状を問わず、上記本実施例1及び2に係るロンジ貫通部のスロット配置構造が適合できることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、船舶の水密横隔壁間に施されるロンジ(縦通材)が制水横隔壁等を貫通する場合のロンジ貫通部のスロット配置構造に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本実施例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造の船底横断面を示す概略図、
【図2】図2は、同図1のA−A断面図、
【図3】図3は、同図1の○印部分の部位拡大図、
【図4】図4は、同図2のB−B断面図、
【図5】図5は、同図3の○印部分の部分拡大図、
【図6】図6は、従来例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造の船底横断面を示す概略図、
【図7】図7は、同図6に示すA−A断面図、
【図8】図8は、同図6及び図7の○印部の部位の拡大図、
【図9】図9は、同図7のB−B断面図、
【図10】図10は、同図8の○印部分の断面拡大図、
【図11】図11は、従来例2に係るロンジ貫通部のスロット配置構造の船底横断面を示す概略図、
【図12】図12は、同図11に示されるA−A断面図、
【図13】図13は、同図11及び図12の○印部の部位拡大図、
【図14】図14は、同図12のB−B断面図、
【図15】図15は、同図13の○印部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0046】
1 改良スロット
3 面取り部
101 船底外板
102 二重底
103 縦通隔壁
104 ロンジ
105 水密横隔壁
106 バラストタンク(p1、p2、s1、s2)
107 制水横隔壁
108 バラスト注排水口
109 スカラップ
110 スロット
p1、p2 左舷バラストタンク
s1、s2 右舷バラストタンク
CL 船体中心線
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の水密横隔壁間に施されるロンジ(縦通材)構造において、ロンジが制水横隔壁等を貫通する場合の船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の船舶の水密横隔壁間に施されるロンジ(縦通材)構造,特に、ロンジ貫通部のスロット及びスカラップの配置に関しては、例えば、(1)特開2004−314752号公報(特許文献1)や(2)特開2005−199873号公報(特許文献2)、(3)特開平7−17462号公報(特許文献3)に開示のものが知られている。
【0003】
これら先行特許文献1-3に開示のものは、ロンジの短辺の取付け方向によって、船体中心に向けて設ける場合(従来例1の場合)と、バラスト水の流れの上流方向を向けて設ける(従来例2の場合)とに大きく分けられ、船体中心に向けて設けられる従来例1の場合を図6ないし図10に、バラスト水の流れの上流方向を向けて設けられる従来例2の場合を図11ないし図15に示す。なお、図6ないし図10及び図11ないし図15は、いずれも船舶の二重底船底構造、特にロンジの取付けや縦通隔壁等で構成される基本的構造を示すものである。
【0004】
(従来例1の場合)
まず、図6ないし10に示される前記従来例1を詳細に説明する。
図6は、船尾方向から見た二重底構造の船底横断面を示す概略図であり、図において、100は、船体船底部分、101は、船底外板、102は、二重底、103は、船首方向から船尾に連通して各区画のバラストタンク(例えば、図6及び図7においては、バラスト区画を左舷バラストタンクp1、p2及び右舷バラストタンクs1、s2)を形成する縦通隔壁、104は、前記船底外板101及び前記二重底下に配置される船体縦方向に連通する複数のロンジ(縦通材)であり、全体として逆L字断面を有し、前記船底外板101に接合される長辺b(b=およそ250mm)及びその頂上の短辺a(a=およそ90mm)からなる。
【0005】
また、図7は、図6に示すA−A断面を示すものであり、図7の上方が船首方向、下方が船尾方向を示す。図7において、符号105は、水密横隔壁であり、前記縦通隔壁103とで、前記バラストタンク106(例えば、図6及び図7においては、バラスト区画を左舷バラストタンクp1、p2及び右舷バラストタンクs1、s2)を形成する。また、符号107は、制水横隔壁であり、108は、各タンク106に設けられたバラスト水を注排水するバラスト注排水口である。
【0006】
図6及び図7に示すように、簡易的に4つのバラストタンク(例えば、左舷バラストタンクp1、p2及び右舷バラストタンクs1、s2)106には、前述するように、各タンク106にバラスト水を注排水するバラスト注排水口108がそれぞれに設けられ、配管(図示外)及びバラストポンプ(図示外)に接続されており、これら配管・バラストポンプによって各タンク106内にバラスト水が注排水される。なお、図6,図7において、符号CLは、船体中心線である。
【0007】
船舶の船底構造は、一般にバラスト状態においてはバラスト水の排水のため、船尾トリム(船尾の方が吃水が深い)状態であるので、船尾方向にバラスト水が流れる。また、船底勾配が設けられているのが通常である。そして、船底勾配が設けられている場合には、さらに、船側から船体中心線CLに向って、バラスト水が流れる勾配が設けられる。したがって、船尾側の船体中心線CL側にバラスト注排水口108が設けられるのが通常である。なお、船底勾配が設けられない場合であっても、大概の場合には、船尾側の船体中心線CL側にバラスト注排水口108が設けられる。
【0008】
図6ないし図7に示されるように、前記船底外板101及び二重底102等の水密横隔壁105間には、縦通隔壁103及び横方向の制水横隔壁107が設けられ、該縦通隔壁103間に船体縦方向に適当な間隔で複数のロンジ104が設けられ、船体縦方向に長い長方形の格子状の構造物を形成する。そして、この場合、前記ロンジ104の短辺aは、バラスト水内に混入している汚泥の流れを考慮して、船体中心に向けて排水させるように設けることが一般的である。図8は、図6及び図7の○印部の部位の拡大図であり、前記船底外板101、前記縦通隔壁103、前記二重底102、及び前後に配置される前記水密横隔壁105に囲まれた前記バラスト区画の左舷バラストタンクp2内の前記制水横隔壁部の拡大図である。
【0009】
図8に示すように、前記ロンジ104の上流側(船側側)の船底外板101の接合部には、前記スカラップ109が設けられ、同下流側(船体中心線CL側)には前記スロット110が設けられている。前記スカラップ109は、前記ロンジ104の前記船底外板101との溶接部の連続性の保持を目的とし、さらには、バラスト水の水位が前記ロンジ104長辺bより下がった場合、残留バラスト水の水はけのための水路として機能する。つまり、前記ロンジ104の上流側にあるバラスト水の残留は前記スカラップ109を通り、船尾方向に流れることとなる。
【0010】
なお、スカラップ(Scalloping=扇形切欠き)とは、前記ロンジ104と前記制水横隔壁107との接合部や前記縦通隔壁103に、ガス切断又はレーザー切断により加工される半径が50mm程度の扇型の穴を言い、スロット(Slot=溝部)とは、前記ロンジ104に前記制水横隔壁107が被さる時(施工順番)に、前記ロンジ104との凹凸を避けるため前記制水横隔壁107及び前記縦通隔壁103に前記ロンジ104との間に数十mmの間隙を有して開けられる穴を言う。
【0011】
図9は、図7のB−B断面を略示したもので、前記船底外板101に前記ロンジ104が立設し、前記制水横隔壁107を該ロンジ104が貫通し、該ロンジ104の下部に数個の穴111が設けられ、該穴111はバラスト水を船側から船体中心線CL方向に流す役目を果たすものである。
【0012】
図10は、図8の○印部分に示す前記ロンジ104の断面の拡大図であり、前記船底外板101に前記ロンジ104がすみ肉溶接で溶着された状態を示すものであり、溶接ビード112が船体縦方向に連続している。また、実線で示すものは前記制水横隔壁107が被さった状態を示すものであり、細線二点鎖線は,その被される前の状態を示しているものである。このように、前記ロンジ104と前記制水横隔壁107との配置においては、前記ロンジ104の上流側にはスカラップ109が設けられ、ロンジ104の下流側にはスロット110が設けられているのが通常の船底構造であった。
【0013】
(従来例2の場合)
次に、前記従来例2の場合について説明する。図11ないし図15は、前記従来例2の場合を示すロンジ104及び縦通隔壁103等で構成される二重底船底構造の基本的構造を示す概略図であり、従来例1の場合と異なり、前記ロンジ104の短辺aの方向がバラスト水の流れに対して上流方向を向いている例である。
まず、ロンジ104は、図11及び図12に示すように、船底外板101及び二重底102等の水密横隔壁105間に前記縦通隔壁103及び横方向の制水横隔壁107が設けられ、該縦通隔壁103間に船体縦方向に適当な間隔で前記ロンジ104が設けられ、船体縦方向に長い長方形の格子状の構造物の一部を形成される。
【0014】
図11は、二重底構造の船首方向船底横断面概略図であり、図12は、前述従来例1の場合と同様、図11に示されるA−A断面を示すものであり、図12の上方が船首方向、下方が船尾方向を示す。
図11及び図12に示されるように、当該従来例2の場合も、前述の従来例1の場合と同様に、簡易的に4つのタンク106(例えば、バラスト区画を左舷バラストタンクp1、p2及び右舷バラストタンクs1、s2)からなり、また、各タンク106にバラスト水を注排水するバラスト注排水口108がそれぞれに設けられ、配管(図示外)は、従来例1の場合と同様、バラストポンプ(図示外)に接続されており、バラスト水が注排水される等、図11及び図12において用いた符号と同一の符号で、前述の従来例1において示したと同じ部材を示すものである。
【0015】
前記ロンジ104の短辺aは、内部を流通するバラスト水に混入する汚泥等の流通を損なうことのないように通例は、従来例1に示されるように、船体中心に向けて設けることが一般的であるが、この従来例2に示される場合は、前記ロンジ104の短辺aは、バラスト水内に混入している汚泥の流れを考慮せず、船側に向けて設けられている。船舶の船底構造によっては、このような配置のものもしばしば見受けられる。
【0016】
この従来例2の場合においても、前述の従来例1の場合と同様に、船舶は一般にバラスト状態においては船尾トリム(船尾の方が吃水が深い)状態に構成され、バラスト水は船尾方向に流れる。また、船底勾配が設けられている。そこで、船底勾配が設けられている場合には、この船舶おいても、船側から船体中心線CLに向って、バラスト水は流れる。よって、上述するように、船尾側の船体中心線CL側にバラスト水注排水口が設けられている。また、船底勾配がない船舶の船体であっても、船舶が移動する際の内部の慣性を考慮して一般的には船尾側の船体中心線CL側にバラスト水注排水口が設けられているのが通例である。
【0017】
図13は、図11及び図12の○印部の部位の拡大図である。前記船底外板101、前記縦通隔壁103、前記二重底102、及び前記した前後の水密隔壁105、105に囲まれたバラスト区画左舷p2を示したものであり、その区画内の制水横隔壁部を拡大図である。
【0018】
図13に示すように、当該従来2の場合は、前述の従来例1に示したのと逆に、前記ロンジ104の上流側(船側側)にスロット110が設けられ、同下流側(船体中心線CL側)にスカラップ109が設けられている。この場合のスカラップ109は、ロンジ104の溶接部に連続性の保持を目的とする点では前述の従来例1の場合と同様であるが、当該従来例2の場合には、バラスト水の水位が前記ロンジ104長辺bより下がった場合には、前記ロンジ104の上流側にあるバラスト水の残留は前記スロット110を通り、船尾方向に流れることとなるのであるから、残留バラスト水の排水という面では前記ロンジ104の下流側に配置する前記スカラップ109は不要である。しかしながら、後述するように、前記ロンジ104に前記制水横隔壁107が被さる場合には、前記溶接ビード112と前記制水横隔壁107との接触を避けるため、前記スカラップ109を設けている。
【0019】
なお、従来例1と同様に、当該従来例2においても、前記船底外板101に前記ロンジ104が立設し、前記制水横隔壁107を該ロンジ104が貫通し、該ロンジ104の下部に数個の穴111が設けられ、該穴111はバラスト水を船側から船体中心線CL方向に流す。図14は、その状態を示すもので、図12のB−B断面を略示したものある。
【0020】
また、図15は、図13の○印部分の拡大図であり、前記船底外板101に前記ロンジ104がすみ肉溶接で溶着され、当該溶接ビード112は船体縦方向に連続していることを示す図である。図15において、実線は、当該ロンジ104に前記制水横隔壁107が被さった状態を示す図であり、細線二点鎖線は、当該ロンジ104に前記制水横隔壁107が被る前の状態を示したものである。
【0021】
【特許文献1】特開2004−314752
【特許文献2】特開2005−199873
【特許文献3】特開平7−17462
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従来例1、2が示すように、スロット及びスカラップの形状や取り付け位置は多少異なるが、基本的にはロンジの上流側や下流側に設けられ、スロット及びスカラップの双方ともロンジの溶接ビードの連続性とバラスト水の残留の水路としての機能を果たしていた。ところが、近年、バラストタンク内の塗装の耐久性を考慮して、鋼材のシャープエッジ処理が必要となり、小さな部位であるスカラップの扇形の切口にもシャープエッジ処理を行なわなければならなくなった。しかしながら、この作業は、50mm程度の扇形の穴である小さな部位に向かって作業員が小型のグラインダーを使った手作業での処理となり(2cラウンド又はその程度)、非常に手間を要する作業となっていた。さらに、3万トンクラスの船舶においては、一隻あたり、1000個前後のスカラップがあり、前記シャープエッジ処理作業に膨大な時間と費用を費やさなければならないこととなっていた。
そこで、本願各請求項に係る発明は、上記の課題を解決するために、前記スカラップの製作や、そのシャープエッジ処理作業を減じることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、本願請求項1に係る発明は、船体外板に船体縦方向に複数のロンジが配置され、その間に制水横隔壁で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、前記ロンジは、その上流側に開口するスロットのみが設けられて前記制水横隔壁と接合することを特徴とする。
また、本願請求項2に係る発明は、船体外板に船体縦方向に複数のロンジが配置され、その間に制水横隔壁で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、前記制水横隔壁の下部コーナー部に前記ロンジと前記船体外板との接合部の溶接ビードから数mmの間隙を有する面取り部を設け、当該制水横隔壁が仮設置された後に当該間隙を溶接してなることを特徴とする。
さらに、本願請求項3に係る発明は、前記請求項1または2に係る船体外板に船体縦方向に複数のロンジが配置され、その間に制水横隔壁で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、前記ロンジは、その上流側に開口するスロットのみが設けられて前記制水横隔壁と接合し、前記ロンジの下流側に配置される前記制水横隔壁の下部コーナー部に前記ロンジと前記船体外板との接合部の溶接ビードから数mmの間隙を有する面取り部を設け、当該制水横隔壁が仮設置された後に当該間隙を溶接してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るロンジ貫通部のスロット配置構造は、前記スロットの上流側または下流側に配置されるスカラップに替え、改良スロットを前記ロンジの上流側にのみ配置するようにしたことによって、手作業のガス切断又はレーザー切断により加工される半径が50mm程度の扇型の小さな穴からなるスカラップの製作作業を廃止し、また、その小さな穴であるスカラップに対するシャープエッジ処理作業を全面的に廃止することができ、作業能率を向上させることができる。
【0025】
さらに、本発明に係るロンジ貫通部のスロット配置構造は、ロンジの下流側の前記船体外板の間の溶接ビードに干渉しない距離の数mmの間隙を有する制水横隔壁下部コーナー部に面取り部を設けたので、これによって、組み立て現場作業ではない、工場での材料取り工程で済み、狭くて窮屈な船体組み立て現場での細かな作業である面取り作業を廃止し、作業性の改善を図ったものである。
【0026】
また、この間隙を設けることによって、ロンジや船体外板と制水横隔壁との間の溶接に際し、間隙を目安として適度の溶接のルート間隔(母材と部材の間隙)となって埋めることができるので、溶接精度の向上を図ることができる等の効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に係るロンジ貫通部のスロット配置構造を実施するための最良の形態である実施例1及び実施例2を図1ないし図5に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1ないし図5は、船舶の二重底船底構造、特にロンジの取付けや縦通隔壁等で構成される基本的構造における本発明に係るロンジ貫通部のスロット配置構造の実施例1の概略を示す図であり、そのうち、図1は、本発明に係るロンジ貫通部のスロット配置構造に係る実施例1を説明するために二重底船舶の船底横断面を示す概略図、図2は、同図1のA−A断面図(上方が船首方向、下方が船尾方向)、図3は、同図1の○印部分の部位拡大図、図4は、同図2のB−B断面図、図5は、同図3の○印部分の部分拡大図である。
【0029】
図1ないし図5において、符号は図6ないし図10及び図11ないし図15における従来例1及び従来例2で使用する符号と同じ部材を示し、同一の部材は同一の符号で説明する。
まず、ロンジ104は、図1及び図2に示すように、従来例1及び従来例2と同じく前記船底外板101及び前記二重底102等の水密横隔壁間に前記縦通隔壁103及び横方向の制水横隔壁107が設けられ、該縦通隔壁103間に船体縦方向に適当な間隔でロンジ104が設けられ、船体縦方向に長い長方形の格子状の構造物の一部を形成する点は,前述した従来例1及び従来例2と同じである。
【0030】
また、図1及び図2では、簡易的に4つのバラストタンク106(例えば、左舷バラストタンクp1、p2及び右舷バラストタンクs1、s2)を示し、各タンク106にバラスト水を注排水するバラスト注排水口108がそれぞれに設けられ、配管(図示外)、バラストポンプ(図示外)等によって内部のバラスト水が注排水される点は,前述した従来例1及び従来例2と同じである。
【0031】
なお、図1及び図2に示される本実施例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造は、基本的には、前述の従来例2を前提とする構造であり、そこでの前記ロンジ104の短辺aは、バラスト水内に混入している汚泥の流れを考慮せず、船側に向けて設けられている。さらに、バラスト状態においては船尾トリム(船尾の方が吃水が深い)状態に構成され、バラスト水が船尾方向に流れ、また、船側側から船体中心線CLに向って、バラスト水は流れる構造は、前述の従来例1と同じ構造であり、このため、船尾側の船体中心線CL側に前記バラスト注排水口108が設けられている点も、前述した従来例1及び従来例2と同じである。
【0032】
図3は、図1の○印部分の部位拡大図であり、前記船底外板101、前記縦通隔壁103、前記二重底102及び前後の水密隔壁に囲まれたバラスト区画左舷を示したものであり、その区画内に配置される前記制水横隔壁107を拡大して示す図である点も、前述した従来例1及び従来例2と基本的には同じである。
ただ、前述の従来例1及び2と異なる点は、前記ロンジ104の上流側には、従来例1の前記スカラップ109に替え、改良スロット1のみが設けられ、あるいは、前記ロンジ104の下流側には、前述の従来例1ないしは従来例2において設けられる前記スロット110または前記スカラップ109のような構造物を設けることがない点で異なる。すなわち、本実施例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造においては、前記ロンジ104の上流側に開口する改良スロット1のみが設けられ、前記ロンジ下流側には、何らの構造物を存在させないで,直接前記制水横隔壁107との間で接合される配置構造としたものである。
【0033】
換言すれば、本実施例1に係る船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造は、前記船体外板101に船体縦方向に複数の前記ロンジ104が配置され,その間に前記制水横隔壁107で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、前記ロンジ104には、その上流側に開口する改良スロット1のみが設けられて前記制水横隔壁107と接合することを特徴とする。
【0034】
このような構造としたので、本実施例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造においては、前記改良スロット1は、前述してきた従来例1及び従来例2と同様に、前記ロンジ104の溶接部に連続性を保持させることができ、また、バラスト水が前記ロンジ104の長辺bより水位が下がった場合には、当該改良スロット1を残留バラスト水の水路として機能させ、前記ロンジ104の上流側の残留バラスト水は当該改良スロット1を通じて排水される。すなわち、本実施例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造においては、前記制水横隔壁107が前記ロンジ104との接合部の前記ロンジ104の上流側に前記スカラップ109や前記スロット110に替え、前記改良スロット1のみを設けた。これによって、前記ロンジ104の溶接部の連続性を確保は従来例1及び2と同様であり、また、前記ロンジ104の上流側の残留バラスト水は当該改良スロット1を通じて排水するようにした。
【0035】
本実施例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造においては、図3に示されように、個々の前記ロンジ104の上流側に前記スカラップ109を設けることをしないで、前述した従来例1及び従来例2と同様に、前記制水横隔壁107と前記縦通隔壁103との接合部のみに前記スカラップ109を設ける。これによって、前記ロンジ104の上流側にある残留バラスト水は、前記制水横隔壁107では、当該スカラップ109を通り船尾方向に流れる。
また、図4は、図2のB−B断面を略示したもので、前記船底外板101に前記ロンジ104が立設し、前記制水横隔壁107を該ロンジ104が貫通し、該ロンジ104の下部に数個の穴111が設けられ、該穴111はバラスト水を船側から船体中心線CL方向に流れる。
【実施例2】
【0036】
実施例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造においては、前記制水横隔壁107が前記ロンジ104との接合部の前記ロンジ104の上流側に前記スカラップに替え、前記改良スロット1を設けた。
ところが、従来例2に示すように(図15参照)、前記ロンジ104と前記船体外板101の接合部は、前記溶接ビード112が盛り上がり、前記ロンジ104に前記制水横隔壁107が被さる場合には、前記溶接ビード112に前記制水横隔壁107が接触しないように、当該部分にも前記スカラップ109が設けられる。
【0037】
そこで、本実施例2に係るロンジ貫通部のスロット配置構造においては、前記ロンジ104の上流側に前記改良スロット1を設ける一方、前記ロンジ104の下流側には、前記溶接ビード112に干渉しないように、前記溶接ビード112から数mmの間隙をもって、前記制水横隔壁107の下部コーナー部を10c程度カットする構造の面取り部3を設ける構造とする。すなわち、この面取り部3を形成する作業は、前記制水横隔壁107を材料取りする工程でガス切断又はレーザー切断で行なわれるので、作業が容易であり、作業軽減が可能である。また、この間隙は、前記制水横隔壁107を前記ロンジ104や前記船体外板101への溶接工程において、適度の溶接のルート間隔(母材と部材の間隙)となって埋められ、むしろ溶接精度の向上を図ることができる。
【0038】
図5は、図3の○印部分の拡大図であり、前記船底外板101に前記ロンジ104がすみ肉溶接で溶着され、前記溶接ビード112は船体縦方向に連続し、また、当該溶接ビード112に干渉しないように、前記制水横隔壁107の下部コーナー部を10c程度カットされた構造の面取り部3が前記溶接ビード112から数mmの間隙をもって前記制水横隔壁107が接合されることを示す。なお、実線は,前記制水隔壁107が前記ロンジ104に被さった状態を示す、細線二点鎖線は、前記制水隔壁107が前記ロンジ104に被る前の状態を示す。
【0039】
すなわち、本実施例2に係る船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造は、前記船体外板101に船体縦方向に複数の前記ロンジ104が配置され,その間に前記制水横隔壁107で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、前記制水横隔壁107の下部コーナー部に前記ロンジ104と前記船体外板101との接合部の前記溶接ビード112から数mmの間隙を有する面取り部3を設け、当該制水横隔壁107が仮設置された後に当該間隙を溶接してなることを特徴とする。
【0040】
また、本実施例1及び2に係る船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造は、単独で実施されても良く、また、それらが組み合わされて実施されるようにしても良い。すなわち、本実施例1または2に係る船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造は、船体外板に船体縦方向に複数のロンジが配置され,その間に制水横隔壁で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、前記ロンジは、その上流側に開口するスロットのみが設けられて前記制水横隔壁と接合し、前記ロンジの下流側に配置される前記制水横隔壁の下部コーナー部に前記ロンジと前記船体外板との接合部の溶接ビードから数mmの間隙を有する面取り部を設け、当該制水横隔壁が仮設置された後に当該間隙を溶接してなることを特徴とする。
【0041】
このような構造としたので、本実施例1及び2に係るロンジ貫通部のスロット配置構造は、図1ないし図5に示すように、まず、前記スカラップ109に替え、前記改良スロット1を前記ロンジ104の上流側に配置するようにした。これによって、前記スカラップ109のような手作業のガス切断又はレーザー切断により加工される半径が50mm程度の扇型の小さな穴の製作を廃し、また、その穴(スカラップ109)に対するシャープエッジ処理作業を全面的に廃するようにしたものである。
【0042】
第2に、本実施例2に係るロンジ貫通部のスロット配置構造は、図5に示すように、前記ロンジ104の下流側の前記船体外板101との間の前記溶接ビード112に干渉しないように、前記溶接ビード112から数mmの間隙からなる前記制水横隔壁107の下部コーナー部に面取り部3を設けた構造としたものである。これによって、前記制水横隔壁107を材料取りする工程でのみ、細かな作業である面取り作業を工場作業として、狭い船体組み立て現場での作業を廃止し、作業性の改善を図ったものである。また、前記ロンジ104または前記船体外板101と前記制水横隔壁107との間で溶接する際に、一定間隔の間隙が形成されるので、前記制水横隔壁107を前記ロンジ104や前記船体外板101への溶接工程において、この間隙を目安として適度の溶接のルート間隔(母材と部材の間隙)となって埋めることにより、むしろ溶接精度の向上を図ることができる等の効能を有することとなる。
【0043】
なお、前記ロンジ104の形状には、その断面が不等辺山形鋼、バルブプレート及びT型ロンジ等の代表的なタイプがあるが、前記船体外板101及び前記制水横隔壁107との間に接合されるロンジであれば、その断面形状を問わず、上記本実施例1及び2に係るロンジ貫通部のスロット配置構造が適合できることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、船舶の水密横隔壁間に施されるロンジ(縦通材)が制水横隔壁等を貫通する場合のロンジ貫通部のスロット配置構造に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本実施例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造の船底横断面を示す概略図、
【図2】図2は、同図1のA−A断面図、
【図3】図3は、同図1の○印部分の部位拡大図、
【図4】図4は、同図2のB−B断面図、
【図5】図5は、同図3の○印部分の部分拡大図、
【図6】図6は、従来例1に係るロンジ貫通部のスロット配置構造の船底横断面を示す概略図、
【図7】図7は、同図6に示すA−A断面図、
【図8】図8は、同図6及び図7の○印部の部位の拡大図、
【図9】図9は、同図7のB−B断面図、
【図10】図10は、同図8の○印部分の断面拡大図、
【図11】図11は、従来例2に係るロンジ貫通部のスロット配置構造の船底横断面を示す概略図、
【図12】図12は、同図11に示されるA−A断面図、
【図13】図13は、同図11及び図12の○印部の部位拡大図、
【図14】図14は、同図12のB−B断面図、
【図15】図15は、同図13の○印部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0046】
1 改良スロット
3 面取り部
101 船底外板
102 二重底
103 縦通隔壁
104 ロンジ
105 水密横隔壁
106 バラストタンク(p1、p2、s1、s2)
107 制水横隔壁
108 バラスト注排水口
109 スカラップ
110 スロット
p1、p2 左舷バラストタンク
s1、s2 右舷バラストタンク
CL 船体中心線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体外板に船体縦方向に複数のロンジが配置され、その間に制水横隔壁で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、
前記ロンジは、その上流側に開口するスロットのみが設けられて前記制水横隔壁と接合することを特徴とする船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造。
【請求項2】
船体外板に船体縦方向に複数のロンジが配置され、その間に制水横隔壁で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、
前記制水横隔壁の下部コーナー部に前記ロンジと前記船体外板との接合部の溶接ビードから数mmの間隙を有する面取り部を設け、当該制水横隔壁が仮設置された後に当該間隙を溶接してなることを特徴とする船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造。
【請求項3】
船体外板に船体縦方向に複数のロンジが配置され、その間に制水横隔壁で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、
前記ロンジは、その上流側に開口するスロットのみが設けられて前記制水横隔壁と接合し、前記ロンジの下流側に配置される前記制水横隔壁の下部コーナー部に前記ロンジと前記船体外板との接合部の溶接ビードから数mmの間隙を有する面取り部を設け、当該制水横隔壁が仮設置された後に当該間隙を溶接してなることを特徴とする請求項1または2に記載の船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造。
【請求項1】
船体外板に船体縦方向に複数のロンジが配置され、その間に制水横隔壁で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、
前記ロンジは、その上流側に開口するスロットのみが設けられて前記制水横隔壁と接合することを特徴とする船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造。
【請求項2】
船体外板に船体縦方向に複数のロンジが配置され、その間に制水横隔壁で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、
前記制水横隔壁の下部コーナー部に前記ロンジと前記船体外板との接合部の溶接ビードから数mmの間隙を有する面取り部を設け、当該制水横隔壁が仮設置された後に当該間隙を溶接してなることを特徴とする船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造。
【請求項3】
船体外板に船体縦方向に複数のロンジが配置され、その間に制水横隔壁で区切られる二重底船底のロンジ貫通部のスロット配置構造において、
前記ロンジは、その上流側に開口するスロットのみが設けられて前記制水横隔壁と接合し、前記ロンジの下流側に配置される前記制水横隔壁の下部コーナー部に前記ロンジと前記船体外板との接合部の溶接ビードから数mmの間隙を有する面取り部を設け、当該制水横隔壁が仮設置された後に当該間隙を溶接してなることを特徴とする請求項1または2に記載の船舶のロンジ貫通部のスロット配置構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−120469(P2010−120469A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294706(P2008−294706)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000146814)株式会社新来島どっく (101)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000146814)株式会社新来島どっく (101)
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