説明

船舶用の制御システムを試験するシステム及び方法

船舶(4)内の制御システム(2)を試験するためのシステムである。ここで、制御システム(2)は船舶(4)を制御及びモニタするように構成される。このシステムは下記の特徴、すなわち、1つ以上のセンサ信号(7)を信号線(12)を介して制御システム(2)に送るために船舶(4)に搭載された1つ以上のセンサ(8)と、1つ以上の望ましい位置、進路、速度(9)などを命令信号線(11)を介して制御システム(2)に送るように構成された船舶(4)に搭載された命令入力装置(10)と、信号線(14)を介してアクチュエータ(3)に制御信号(13)を送るために、センサデータ(7)及び命令信号(9)に基づいて船舶のアクチュエータ(3)に対する制御信号(13)を計算するための制御システム(2)内のアルゴリズム(31)と、1つ以上のシミュレートされたセンサ信号(7’)及び/又はシミュレートされた命令信号(9’)を遠隔の試験検査室(40)から制御システム(2)に送信するための1つ以上の通信線(6)と、船舶(4)の以前の状態(7,7’)、制御信号(13,13’)、及び動的なパラメータ(5)に基づいて、船舶モデル(4’)の新しい動的な状態(7’)をシミュレートするためのアルゴリズム(32)を含むシミュレータ(30)とを備え、少なくとも1つの前記望ましい位置、進路、速度などを得るために、実際の及び/又はシミュレートされたセンサ信号(7,7’)又は実際の及び/又はシミュレートされた命令信号(9,9’)に基づいて、制御システ(2)ム内で制御信号(13)の計算を続けるために、通信線(6)がシミュレートされたセンサ信号(7’)の形式で船舶モデル(4’)の新しくシミュレートされた状態を制御システム(2)に送り戻すように構成され、かつ通信線(6)は遠隔の試験検査室(40)への制御信号(13)及び制御信号(13’)のような形式によって、制御システム(2)からの応答を送信するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[序文]
制御システムは、一般に、物理的プロセスに制御信号を与え、装置又は物理的プロセスから、又は場合によっては別の物理的システムから測定値を受け取るシステムとして理解することができる。測定値及びアルゴリズムは、物理的プロセスが要望どおりに動作するように制御信号を計算するために使用される。物理的プロセスがエンジン付き船舶である場合、制御システムは、船舶の位置、進路、及び速度の形式の測定値を受け取り、これにより、プロペラ及び舵に対する制御信号を計算して、1つ以上の船舶の位置、進路、及び速度を得ることができる。
【0002】
[問題の記述]
この場合のような船舶の形式の物理的プロセスは、風、波、及び潮流の変化のような外部事象によって、又は1つ以上のプロペラに対する原動力の減少若しくは舵の機能の故障などの予期しない事象によって影響を受けることがある。船舶用の制御システムは、船舶が安全な状態を維持するように、外部の影響及び外部の事象に対処できることが望まれる又は期待される。安全な状態には、例えば、船舶が望ましい位置若しくは速度を維持すること、又は望まれていない位置を避けること(衝突又は座礁を避けるために)、制御されていない漂流の状態を避けること、望ましい進路を維持することなどがある。さらに、センサ信号が失われるたり、センサにエラーが発生する場合の制御システムは、ロールセンサ又はピッチセンサ内の実際的な信号が失われることに応答してバラストポンプが突然変化したり、位置における明らかなエラーが突然補正されることなどの望まれないまた都合の悪い補償がなされないことが要求される。
【0003】
制御システムへの測定値
測定値を発生する機器からの入力データ及び制御信号が与えられるアクチュエータ、プロペラ装置、及び制御装置への出力データを有する船舶用の制御システムが、図1及び図3に示されている。この種の制御システムは、下記のような多数のソースからセンサ信号の形式の測定値を受け取ることができる。すなわち、ロール/ピッチ/ヒーブセンサ、相対的な風速及び風向用の風速計、ジャイロコンパス、GPSセンサ又はGPS位置決めシステム、加速度測定法を根拠にして、時間に関する積分によって速度をまた時間に関して二重積分することによって位置を計算する慣性航法システム、海底の定点に対する水中音響位置センサ、船舶から海底の点への1つ以上の張力が加えられたワイヤの方向及び長さを観測するトートワイヤシステム(taut-wire system)、船舶の進路若しくは望ましい進路、望ましい位置、又は望ましい速度を変更する命令信号、シャフト及び/又はプロペラ及びモータ上の負荷、舵の角度センサ、船積みタンク(loading tank)用のレベルセンサ、バラストレベル用センサ、燃料液面高さ用センサ、エンジンの状態、冷却水の温度、オイル圧力、などである。
【0004】
制御システムは、プロパルサ(propulsor)のようなアクチュエータ及び制御装置に制御信号を与える。プロパルサは一般のプロペラ、トンネルスラスタ(tunnel thruster)、又はアジマススラスタ(azimuth thruster)とすることができるが、場合によっては船舶を正しい位置に引き寄せるように設計された係船システムとすることもできる。制御信号をバラストポンプ及び関連するバルブに与えて、ロール角度又はピッチ角度を補正することもできる。
【0005】
動的な位置決めDPの制御に関連した問題
船舶が石油掘削船又は石油生産船、例えば、掘削船又は掘削プラットフォーム、石油生産船又は石油生産プラットフォームである場合、制御システムはヒーブ加速度計からのヒーブ運動の測定値も受信し、ライザー、掘削ストリング(drill string)、クレーンなどに対する動作中のヒーブ補償システムに対して制御信号を出力する。この場合、機械的な機器を海底に接続することができ、また船舶の運動特にヒーブの運動を補償することは不可欠となる。海上での石油作業に制御システムを一般的に使用することは、船舶を動的に位置決めするためである、すなわち、船舶はアジマススラスタのようなアクチュエータを使用して掘削の間に又は石油の生産の間に望ましい位置を維持する。係船されまた海底に接続された係船ラインにより回転タレット(rotating turret)の周りを回転する船舶は、風又は流れの方向が変化することにより船舶が回転する場合には望ましい位置を維持するように支援するために、プロペラ又はスラスタに対して変化する制御信号を与える制御システムも有するため、スラスタは力の向きが変わる場合に係船ラインの張力の変化に対して補償するように力を用いて貢献する。同様に、制御システムが、同じ理由で係船ラインの張力を増加又は減少させるための制御信号を与えることができるは理解されよう。
【0006】
船舶の制御システムの試験に関連した問題
船舶検査官は船を訪れて、制御システムの操作盤上で試験を行うことができる。操作盤上の試験は、センサシステムを外して又は接続して、また様々な故障状態においてシステムの応答をモニタするために行うことができる。しかしながら、期待される状態に対して実際的な船舶の試験を行うためには、滅多に起こらない又は危険なこともある天候状態及び海上模様を待つ又は求めることが必要である。制御システムがエラーを正しく補償するための制御信号を与えるかどうかを確認するために、バラスト分配(ballast distribution)内の異常に大きなエラーのような極限状況に船舶をさらすことは、選択肢としてほとんど考えられない。こうした種類の試験は、普通は行われない。
【0007】
制御システムがプロペラ、舵及びスラスタなどのアクチュエータに与える信号を制御する操作盤及びモニタ上の制御システムに対するセンサデータのシミュレーションを実行することは可能であるが、これは制御システムの試験システムに対する局所的な相互接続を必要とし、現在では出願者が知る限り行われていない。試験する船舶を視察することの不都合な点は、船舶検査官の長距離の移動に関連することが多く、船舶検査官は測定値を得るために制御システムの入力部に相互接続する機器、及び通常は船舶のアクチュエータに送られる制御信号の形式の応答を得るために制御システムの出力部に相互接続する機器、またさらに、少なくとも試験する実際の船舶の構成を含むことが必要なデータライブラリを持って行く必要がある。さらに、試験及び認証する船舶から次の船舶への移動時間により、検査官が十分迅速に試験を実施することが困難になることがある。このため、次の船舶は必要なより長い時間待つことが必要になり、試験及び認証を行わずに船舶を使用できない場合は、待つことによって経済的な不利益が発生する。制御システムの試験の不足のために起こり得るエラーを明らかにしない状態で船舶を使用することは、隠された物理的な危険を招く可能性がある。
【0008】
特に、船舶は地理学的に互いに離れており、また実際に検査官が容易に近付くことができないため、このことは、船舶の制御システムをより効率的に試験を行うための要求が存在することを意味する。
【0009】
制御システムを工場生産する場合、制御システム(ハードウェア及びソフトウェアを含む)のいわゆる工場受入れ検査(FAT)を行うことが一般に行われる。この場合、製造業者はシミュレートされたセンサのデータを制御システムに送り、制御システムがそれに呼応して発生する制御信号をモニタする。この種のFATは、製造業者が予測しているソースからの測定値が存在するような、また制御信号は単に製造業者が予測している装置に対するものであるようなエラーを明らかにできるに過ぎない。このため、どのように制御システムの製造業者が予測していない装置、システム、構成又は状態と制御システムが相互作用をするかについては確実に知られていない。さらに、FATでは、船舶上で使用するために制御システムが設置及び接続されている実際の配列では、制御システムは試験されない。
【0010】
動的な位置決めにおける実際的な問題の例
望ましいプロペラ、舵又はトンネル若しくはアジマス形のスラスタの位置で維持されている船舶(4)の動的な位置決めにおいて、船舶がその位置を維持することは動作するために必須である。幾つかの事象は望まれていない。1つ以上のプロペラ又は舵に対するモータパワーの低下を経験して、残りのプロペラ及び/又はスラスタに対してモータパワーを増加させる、また場合によっては残りの舵又はスラスタを回転させる必要が生じることある。制御システムが接続されたセンサからの幾つかの信号を失い、このため、望ましくない事件が発生するような重大なエラーを経験することもある。発明者らは次のような事例を知っている、すなわち、この事例では掘削プラットフォームの船舶が公海の定位置にあり、海底のプラットフォーム井戸にドリリングホールを掘削していた。ここで、掘削プラットフォームは、いわゆる動的位置決めすなわち「DP」によって望ましい位置を維持していた。すなわち、制御システムは海底への係船ラインを使用せずに、船位測定装置及びモータパワーによって望ましい位置に船舶を維持するように調整された。掘削プラットフォームは、多数の航行衛星から受信される無線信号に基づいて船舶の地理的な位置を計算する2組のDGPS受信機を備えていた。さらに、掘削プラットフォームは、海底の定点にあるトランスポンダに関して船舶の位置を測定する2組の水中音響位置センサを備えていた。ドリリングホールと動作中の掘削とにライザーを接続する掘削の間の所定の時間に、DGPS受信機が約75メートルの突然の位置の変化を示す出来事が発生した。そのような位置の変化は実際にこれまで発生したことはなかった。水中音響センサは、ドリルホールに対する望ましい位置では安定した位置を示した。制御システムはプロペラ及び舵の制御を継続し、掘削プラットフォームは信号に基づいて引き続いて正しい動的な位置を維持した。しかしながら、5分後に、掘削プラットフォームはその時の間違ったDGPS信号に基づいて、望ましい位置に向かって突然移動を開始したことが判明した。とりわけライザーの取り外し及びドリルストリング(drill string)の切断を含む、関連した応急処置により掘削を中止する必要があった。この種の状況には、ガス及び石油が噴出する危険、又は掘削する液体が流出することによる汚染の危険が含まれる。この種の状況は、船舶及び乗組員に対する危険を示すことがある。この種の中断されたDP掘削は、このように再開するには非常に高価なものになる。出願人は、DGPS受信機が計算した位置の最初の突然の変化は、GPS衛星から受信機へ信号を送信する場合の障害、又は十分な数の衛星を使用できないことによって引き起こされたと想定する。制御システムはDGPS信号の損失を無視することができる。その理由は、制御システムのソフトウェアにおける品質条件が、そのような計算された位置は事実であると考えられる前の5分間では安定でなければならないことを要求するためである。この方法では、間違った信号による位置における突然の変化は避けられる。しかしながら、DGPS受信機から計算された新しくまた変化されたにもかかわらず安定している位置は、5分後に安定しているとみなされるため、制御システムによって信頼され、水中音響トランスポンダからの測定値よりも高い優先度が与えられる。このことは、掘削が進行中であり、水中音響的に測定された位置がその位置を変更しないでおくべきであると示したにもかかわらず、制御システムが明らかに望ましい位置であると解釈した新しい位置に、なぜ制御システムが掘削プラットフォームを制御しようとしたかについての理由である。
【0011】
船舶内の変更された構成に関する問題
制御システムの再プログラミング
制御システムが船舶内で使用されるようになった後で、制御システム内のソフトウェアの再プログラミング又は修正に対する要求が多くの場合存在する。これを行う目的は、プログラムのアルゴリズムの中のセンサ信号における警報範囲及び許容変動に関する数値を変更する要求、又は制御システムの中に新しい試験及び機能を取り入れることに対する要求のためである。ソフトウェアの再プログラミング又は修正が完了すると、変更が意図した効果を発揮するかどうかを調べるため、また修正の結果として新しく意図しないエラーが現れたかどうかを確認するために 制御システムを試験する必要がある。現在では、こうした変更の後で船舶上の制御システムを試験するための満足な試験装置及び手順は使用できない。
【0012】
例えばクレーンを交換する場合での現行の制御システムにおける修正
石油及びガスの探査及び生産に関連した海洋作業は、海底にモジュールを設置及び交換するためにクレーン付きの船舶で行われる。この種のクレーンは、船舶の上下の動きを補う制御システムを備えている。安全限界の状況における動作モード及びクレーンの機能は、大体において、あるクレーンから別のクレーンにわたって一様でない制御システムのソフトウェアの詳細な設計に依存している。そのようなクレーンの機械設計を試験する手順は確立されている。これとは対照的に、クレーン制御システムのソフトウェアを試験する確立されたシステム又は方法は存在しない。その理由は、クレーンの応答は、クレーンの機械的な設計及び制御システムに加えて、海上模様及び船舶の動きに依存するからである。このため、船舶上のクレーンシステムに関する必要とされる詳細な試験には、船舶の関連する制御システムを含む船舶の動力学、またさらに、クレーンの制御システムを含むクレーンの動力学の両方が含まれる。
【0013】
制御システム用のセンサの修復/交換
制御システム用のセンサを交換又は変更する場合、センサの信号における許容変動の範囲に対する警報限界を調整するという要求がある。制御システムが冗長的なセンサシステムを有して、幾つかのセンサが同じ物理量を測定するように使用されることは一般的である。これの実施例として、船舶の位置は、慣性センサ、2つ以上のGPS受信機及び2つの水中音響センサシステムによって測定することができる。これらの測定データから、船舶の位置は制御システムの中のアルゴリズムによって決定される。このアルゴリズムは、長期間の安定性対急速な位置変動のもとでの精度のような精度及び特性に関する様々なセンサの特性に依存する。センサの交換又は変更は、結果としてのセンサの組合せが制御システムの中で使用するために許容できる位置の測定を行えるかどうかを調査するために、センサシステムの全体を試験する必要性を生じさせる。
【0014】
アクチュエータの修復/変更/交換
アクチュエータの交換又は変更の後で、制御システムが船舶に対して著しく異なる応答を与えることがある。その理由は、新しい又は変更されたアクチュエータは、制御システムの開発の中で予測された以上の異なる制御動作を船舶に対して行うことがあるからである。この例は、動的な位置決めに対してスラスタを使用することにある。この場合、スラスタの軸速度と推力との間の関係は制御システムが調整される場合は知らされる必要がある。スラスタが変更されると、スラスタの軸速度と推力との間の関係が変化することがあり、システムがなおも満足に動作するかどうかを調査するために、制御システムを用いて船舶を試験することが必要である。
【0015】
このように、船舶がその最初の構成から変更された場合、船舶の古い構成部品と新しい構成部品とがこれまで組み合わされたことがなく、新しい組合せで試験する必要がある場合、船舶の制御システムを一層効果的に試験する必要性が存在する。
【0016】
[この技術分野で周知の技術]
「Real-time IMU signal emulation method for test of guidance navigation and control systems」という名称の米国特許第6,298,318号は、いわゆる6自由度(6DOF)フライトシミュレータを用いて動作をエミュレートすることによって航空機を試験するエミュレーション方法を説明している。ここで、いわゆる慣性航法モジュールから航空機の機上の「誘導航行及び制御」システムへの信号は、シミュレーションによって発生される。この米国特許は、掘削作業又は何らかの他の静止作業の形態の中で船舶の動的な位置決めに関する問題を説明していない。それはクレーンの使用、接続された水中の機器の航法、水中音響位置決め装置の一体化、バラストに関する問題について記載していない、また波浪を考慮していない。船舶は普通は6個のDOFを有していないが、その代わりヒーブ/ロール/及びピッチ動作の中の回復動作として3個のDOFを有する。
【0017】
「Automated test apparatus for aircraft flight controls」という名称の米国特許第5,023,791号は、複数の航空管制システムを試験する一体化されたシステムの一部として、航空機の航空管制システムを試験するための自動化試験装置を説明している。この自動化試験装置は、自動化試験装置の動作を制御するプログラムされた命令を記憶し、結果として生じた航空管制システムの試験データを記憶するメモリを有するシステムコントローラを含む。この自動化試験装置は、プログラムされた命令及び他の情報を自動化試験装置に入力し、またシステムコントローラから試験データを出力するために、キーボード、タッチスクリーン及びテープドライブを備えている。自動化試験装置の中に含まれシステムコントローラによって制御される機器は、航空機の航空管制システムに入力される試験信号を発生し、また航空管制システムが発生した結果として生じた試験データをモニタする。自動化試験装置は、インターフェースケーブルによって航空機の中に含まれたオンボードの集中保全コンピュータに接続される。この集中保全コンピュータには、航空管制システムのオンボード試験を実行するようにプログラムされ、オンボード試験を実行するようにプログラムされた命令に基づいて試験の間にシステムコントローラによって制御される不揮発性メモリが含まれる。
【0018】
「Virtual integrated software testbed for avionics」という名称の米国特許第5,541,863号は、プロセスとして同時に実行しまた中央処理装置によって同期されるコンピュータプログラムのコレクションを用いて、ホストコンピュータ上で開発されたアビオニクスソフトウェア(avionics software)を動作可能にするアビオニクス用の仮想統合ソフトウェアのテストベッドを説明している。この開示されたソフトウェアのテストベッドは、別個の同期されたプロセスを使用し、アビオニクス装置からの又は実際の装置から来る信号をホストコンピュータ上で動作するシミュレーションが発生できるようにし、実際のアビオニクスのハードウェアから到来する及びそこに向かうデータバスの信号は、リアルタイムベースでホストコンピュータ内の仮想バスの相手側に接続される。
【0019】
「Aircraft flight emulation test system」という名称の米国特許第5,260,874号は、航空機が飛行中に受信する刺激をエミュレートする刺激を発生する航空機試験システムを説明している。この航空機試験システムは、航空機が飛行中に受信する刺激を発生するために、多数のプロセッサが制御可能な機器を作る多数の機器を含む。このシステムは、航空機が受ける刺激に対する様々な航空機の構成部品の応答をモニタする多数の計器も含む。プロセッサは航空機の構成部品からの出力信号に応答して、刺激発生用機器に対して航空機が空中を飛行中に受け取る刺激をエミュレートする刺激を発生するように指示する。このように、システムは航空機が飛行中に受ける刺激に類似した初期の刺激の組を発生し、航空機が受ける刺激に対する航空機の応答をモニタし、またそれに応じて、航空機に対する更新された刺激の組を発生する。システムはまた航空機の構成部品の出力応答を記録して、航空機が正常に機能していることを保証する責任がある作業者がそれらをモニタできるようにする。システムは飛行エミュレーションの間に航空機を「輪の中に」配列するように使用できるため、システムは運航乗務員を訓練するために使用することもできる。
【0020】
「A vertical motion compensation for a crane's load」という名称の米国特許第6,505,574号は、ウインチエンコーダ(winch encoder)、ブーム角度センサ、回転角センサ及び運動センサを用いて、船上のクレーンの負荷の海上模様がもたらした上下の動きを減らすための方法及びシステムを説明している。これら全てのセンサは、測定値及びクレーンの操作員からの命令に基づいてクレーンを制御する中央処理装置に測定値を送る。
【0021】
[問題に対する解決策、発明の概略]
船舶用の制御システムの試験に関連して前述した問題に対する解決策は、本発明に基づいて、下記のステップを含む、船舶内の制御システムを試験する方法であり、この場合、制御システムは制御信号を1つ以上のアクチュエータに送って船舶を制御及びモニタするステップを含む、すなわち、制御システムへ向かう第1のセンサ信号線を介して1つ以上のセンサから制御システムに送られるセンサのデータをリアルタイムで収集するステップと、制御システムへ向かう第2の信号線又は命令信号線を介して命令入力装置から制御システムに送られる命令信号を収集するステップと、1つ以上の収集されたセンサのデータ及び命令信号に基づいて制御システム内の制御アルゴリズムの中で計算するステップと、制御信号を第3の信号線を介してアクチュエータに送信するステップとである。
【0022】
本発明の新規性は下記のステップから成る。すなわち、選択されたセンサ信号又は命令信号が制御システムに送られないように、1つ以上のセンサからの1つ以上のセンサ信号又は1つ以上の命令入力装置からの命令信号を切断するステップと、1つ以上の切断されたセンサ信号又は命令信号を、船舶に対して遠隔の試験検査室の中で生成され制御システムに向かう1つ以上の信号線を通り通信線を介して送られる対応するシミュレートされたセンサ信号又は命令信号によって置き換えるステップと、実際の及び/又はシミュレートされたセンサ信号又は制御信号の命令信号に基づいて制御システムの中で計算を継続するステップと、通信線を介して制御信号を遠隔の試験検査室に送信するステップとである。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、この方法には、制御信号に基づく船舶の動的な新しい状態のアルゴリズムを用いる遠隔の試験検査室内のシミュレータの中のシミュレーションが含まれる。
【0024】
本発明による方法の別のステップは、従属の請求範囲の中で見出される。
【0025】
制御システムの試験が完了すると、船舶と遠隔の試験検査室との間の通信線は切断され、センサと命令入力装置とは通常の方法で制御システムに接続され、制御システムの制御信号に対する出力はアクチュエータに接続されて、制御システムは船舶の中で通常の動作を行う。
【0026】
本発明は、船舶を制御及びモニタするように配列された制御システムを試験するための、下記のステップを含むシステムも含む、すなわち、1つ以上のセンサ信号を信号線を介して制御システムに送るように配列された船舶内の1つ以上のセンサと、望ましい位置、進路、速度などを命令信号線を介して制御システムに送るように配列された船舶内の命令入力装置と、信号線を介してアクチュエータに制御信号を送るために、センサ信号及び命令信号に基づいて船舶のアクチュエータに対する制御信号を計算するための制御システム内のアルゴリズムとを含む。
【0027】
ここで、このシステムの新規性は下記のステップを含む、すなわち、1つ以上のシミュレートされたセンサ信号及び/又はシミュレートされた命令信号を遠隔の試験検査室から制御システムに送信するための1つ以上の通信線と、船舶の以前の状態、制御信号、及び動的なパラメータに基づいて、船舶モデルの新しい動的な状態をシミュレートするためのアルゴリズムを含むシミュレータと、少なくとも1つの望ましい位置、進路、速度などを得るために、実際の及び/又はシミュレートされたセンサ信号又は実際の及び/又はシミュレートされた命令信号に基づいて、制御システム内で制御信号の計算を続けるために、通信線がシミュレートされたセンサ信号の形式で船舶モデルの新しくシミュレートされた状態を制御システムに送り戻すように配列され、通信線は遠隔の試験検査室への制御信号のような制御信号の形式で、制御システムの応答を送信するように配列される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明には、図4aの全体像で、またより詳細には図4b及び図4cで示すように、例えば船、掘削プラットフォーム、石油生産プラットフォームなどの船舶(4)上の制御システム(2)を通信チャネル(6)を介してリアルタイムで試験するシステム及び方法が含まれる。制御システム(2)は、船舶(4)の制御及びモニタリングを行うことができる。制御システム(2)を試験することには、普通の状態及び極端な状態のシミュレーション及び例えばシミュレートされた静かな海上模様(H1)における通常の動きの船舶(4)に対するこうした普通の状態及び極端な状態への普通の変化のシミュレーションが含まれる。さらに、例えば船舶に1つのプロペラ(16)しか付いていない場合のこの1つのプロペラ(16)に対するモータパワーが低下した故障状態で、それに続く望ましい進路(7b)から離れた回転及び望ましい位置(7a)から離れたドリフトの動的なシミュレーションのような、シミュレートされた極端な海上模様(H2)における通常の動きをシミュレートすることができる。船舶(4)にまだ機能している1つ以上のプロペラ(16b,16c,..)が付いている場合に1つ以上のプロペラ(16b,16c,..)のパワーが低下する状態をシミュレートして、どのように船舶が1つ以上のプロペラ(16b,16c,..)の低下に対して反応するかを研究することもできる。
【0029】
以下に、システムに関する短い説明が、遠隔の検査室(40)から1つ以上の船舶(4a,4b,4c,..)の中の制御システム(2)に介入するための、図4a、図4b及び図4cの中で示された有形の装置として与えられる。
【0030】
本発明によるシステムは、船舶(4)の中の制御システム(2)を試験するようにまとめられ、この場合、制御システム(2)は船舶(4)を制御及びモニタするように整えられる。本発明によるシステムは下記のような特徴を有する。すなわち、船舶(4)の中に設けられた1つ以上のセンサ(8)は、1つ以上のセンサ信号(7)を信号線(12)を介して制御システム(2)に送るようにまとめられる。船舶(4)の中の命令入力装置(10)は、望ましい位置、進路、速度(9)などを命令信号線(11)を介して制御システム(2)に送るようにまとめられる。制御システム(2)の中のアルゴリズム(31)は、制御信号(13)を信号線を介してアクチュエータ(3)に送るために、センサ信号(7)及び/又は命令信号(9)に基づいて、船舶のアクチュエータ(3)に対する制御信号(13)を計算するようにまとめられる。1つ以上の通信線(6)は、1つ以上のシミュレートされたセンサ信号(7’)及び/又はシミュレートされた命令信号(9’)を遠隔の試験検査室(40)から制御システム(2)に送るようにまとめられる。この遠隔の検査室は陸上に設けることができ、リアルタイム通信用の機器は検査室と試験される各船舶の両方で利用できる必要がある。遠隔の検査室には、船舶(4)に対する以前の状態(7,7’)、制御信号(13,13’)及び動的なパラメータ(5)に基づいて、船舶モデル(4’)の新しい動的な状態(7’)をシミュレートするためのアルゴリズム(32)を含むシミュレータ(30)が含まれる。通信線(6)は、実際の及び/又はシミュレートされたセンサデータ(7,7’)又は実際の及び/又はシミュレートされた命令信号(9,9’)に基づいて、少なくとも1つの望ましい位置、進路、速度などを得るように制御システム(2)の中で制御信号(13)の計算を続けるために、センサ信号(7’)の形式で船舶モデル(4’)の新たにシミュレートされた状態を制御システム(2)に送り返すようにまとめられる。通信線(6)は、遠隔の試験検査室(40)に制御信号(13’)として、制御信号(13)の形式で制御システム(2)の応答を送るように構成される。
【0031】
制御信号(13)は、1つ以上のプロペラ(16)又はスラスタ(17)に対する軸速度(13a,13b)、及び舵(18)又はスラスタ(17)及び場合によっては別のアクチュエータに対する回転角(13c)の形式の信号(13a,13b,13c)を含む。
【0032】
センサ(8)は、1つ以上の下記のセンサを含む。すなわち、船舶の位置(7a)を決定するための、GPS受信機(8a)、水中音響位置センサ(8h)、積分加速度センサなどの位置測定装置(8a)と、船舶の進路(7b)を決定するための、例えばジャイロコンパス又は何らかの他のコンパスなどの進路測定装置(8b)と、速度(7c)を決定するための速度センサ(8c)又は積分加速度センサと、(相対的な)風速(7d)及び風向(7e)を示すアネモメータ(8d,8e)と、ロール角度(7f)を示すロール角度センサ(8f)と、ピッチ角度(7g)を示すピッチ角度センサ(8g)とを含む。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、システムは、信号線(12)から制御システム(2)へ向かう1つ以上のセンサ信号を切断するように構成されたノブ又はスイッチ(15a)を備えている。さらに、本発明によるシステムは、信号線(11)から制御システム(2)に向かう1つ以上の命令信号を切断するように構成された第2のスイッチ(15b)、及び制御システムからの信号線(14)から1つ以上の制御信号(13)を切断するように構成された第3のスイッチ(15c)を備えることができる。このように、スイッチ(15)を使用して、制御システム(2)を船舶の残りの部分とやり取りする信号から完全に又は部分的に隔離することができる。制御システム(2)は、今までどおり船上の通常の電源に接続することができる。
【0034】
システムは通常、アクチュエータ(3)に対して制御信号(13)を計算するために、船舶の動的パラメータ(5)が制御システム(2)のアルゴリズム(31)の中に組み込まれることを示す。
【0035】
本発明の好ましい実施形態によれば、システムは遠隔の試験検査室(40)が、完全に又は部分的にシミュレートされた測定値(7,7’)及び制御システム(2)からの制御信号(13,13’)によって示された初期の状態に基づいて、船舶の状態をシミュレートするように作られたアルゴリズム(32)を有するシミュレータ(30)を備えるように構成される。
【0036】
本発明の好ましい実施形態によれば、通信線(6)は、遠隔の試験検査室(40)からの1つ以上のシミュレートされたセンサ信号(7’)を送るように構成されると共に、さらに遠隔の試験検査室(40)にある第1のリアルタイムインターフェース(6a)に接続される及びそこから切断されるよう構成される。同様に、この通信線(6)は船舶(4)側にある第2のリアルタイムインターフェース(6b)に接続される及びそこから切断されるように構成され、この第2のリアルタイムインターフェースはスイッチ(15a)を介して制御システム(2)に向かう信号線(11)に接続されるように構成される。
【0037】
本発明の好ましい実施形態によれば、シミュレートされた命令入力装置(10’)は、シミュレートされた命令信号(9’)を遠隔の試験検査室(40)からリアルタイムインターフェース(6a)、通信線(6)、及びリアルタイムインターフェース(6b)を介して制御システム(2)に送るように構成される。
【0038】
このシステムは、制御システム(2)の中のアルゴリズム(31)の全て又は一部を、遠隔の試験検査室から通信線(6)を介して修正、較正、又は交換できるように構成することができる。本発明によれば、試験検査室は、測定値(7,7’)に対する制御システム(2)からの応答(13’,19’)をログするためのデータロガー(15)を含む。
【0039】
[制御システムを試験する方法の説明]
前述したシステムは、船舶(4)内の制御システム(2)を試験する方法の中で使用されるように構成される。制御システム(2)は、制御信号(13)を用いて船舶(4)の1つ以上のアクチュエータ(3)を制御及びモニタするステップを含む。
【0040】
本発明による方法には、下記のステップが含まれる。すなわち、制御システム(2)に向かう第1のセンサ用信号線(12)を介して、1つ以上のセンサ(8)から制御システム(2)に送られるセンサ信号(7)をリアルタイムで収集するステップと、制御システム(2)に向かう第2の信号線すなわち命令用信号線(11)を介して、命令入力装置(10)から制御システム(2)に送られる命令信号(9)を収集するステップと、1つ以上の収集されたセンサ信号(7)及び命令信号(9)並びに船舶の動的なパラメータ(5)に基づいて制御システム(2)の中の制御アルゴリズム(31)で計算するステップと、及び制御信号(13)を第3の信号線(14)を介してアクチュエータ(3)に送るステップと、本発明の新規性には、選択されたセンサ信号(7)又は命令入力信号(9)が制御システム(2)に到達しないように、1つ以上のセンサ(8)からの1つ以上のセンサ信号(7)又は命令入力装置(10)からの命令信号(9)を切断するステップと、同時に1つ以上の切断されたセンサ信号(7)又は命令信号(9)を船舶(4)に対して遠隔の試験検査室(40)で発生された対応するシミュレートされたセンサ信号(7’)又は命令信号(9’)と置き換えるステップとが含まれる。シミュレートされた信号(7’,9’)は、1つ以上の信号線(12,14)を通る通信線(6)を介して、遠隔の試験検査室から制御システム(2)に送られる。さらに、制御信号(13,13’)の計算は、実際の及び/又はシミュレートされたセンサ信号(7a又は7a’,7b又は7b’,7c又は7c’)又は命令信号(9a又は9a’,9b又は9b’,9c又は9c’)に基づいて、制御システム(2)の中で通常の方法で継続される。さらにまた、制御システムが発生した制御信号(13’)は、次に通信線(6)を介して遠隔の試験検査室(40)に送ることができる。
【0041】
この方法の好ましい実施形態によれば、この方法はこの場合、制御信号(13’)に基づいた船舶モデル(4’)の新しい動的な状態のアルゴリズム(32)を使用する、試験検査室(40)内のシミュレータ(30)の中にシミュレーションを含む。この方法では、制御システム(2)における試験は、船舶が世界の存在しようと無関係に船舶上の遠隔の試験検査室(40)から行うことができる。シミュレーションを行うアルゴリズムは、通信線(6)を使用することによって生ずる時間遅延を考慮する必要がある。
【0042】
本発明に基づいた方法によれば、制御システムの試験の中に含まれる遠隔の試験検査室(40)は陸上に配置することができ、試験される船舶(4a,4b,4c,..)は、試験検査室から長距離、一般に1から20000kmの範囲の位置にあり、また離れた近くの港、遠く離れた港、ドック又はヤードの中で停泊中であってもよく又は公海上に存在することもできる。
【0043】
制御システムの試験が完了すると、船舶と遠隔の検査室との間の通信線は切断され、制御システムに対する通常のセンサ信号及び通常の命令信号が再び接続されて、船舶内で制御システムが通常動作を行うために、制御システムからの制御信号がアクチュエータに再度接続される。
【0044】
本発明の好ましい実施形態によれば、センサ信号(7)は、センサ(8)からの下記のような1つ以上のセンサパラメータを含む。すなわち、GPS受信機(8a)、水中音響位置センサ(8h)、積分加速度センサなどの位置決めセンサ(8a)からの船舶の位置(7a)と、例えばジャイロコンパス又は他のコンパスなどの進路センサ(8b)からの進路(7b)と、速度センサ(8c)又は積分加速度センサからの速度(7c)と、アネモメータ(8d,8e)からの風速(7d)及び風向(7e)と、ロールセンサ(8f)からのロール角度(7f)と、ピッチセンサ(8g)からのピッチ角度(7g)とを含む。
【0045】
本発明の好ましい実施形態によれば、制御信号(13)は、1つ以上の望ましい位置(9a)、進路(9b)、速度(9c)を得るために、1つ以上のプロペラ(16)又はスラスタ(17)の軸速度、舵(13c)又はスラスタ(17)に対する角度及び場合によっては別の制御装置の形式の信号(13a,13b,13c)を含む。
【0046】
この方法は1つ以上のプロペラ(16a,16b,16c,..)に対する制御信号を計算するために使用することができ、また制御装置(18)は1つ以上の舵(18a,18b)及び1つ以上のスラスタ(17)を含むことができる。
【0047】
命令入力装置(10)には、1つ以上の望ましい位置(9a)、望ましい進路(9b)、及び望ましい速度(9c)又は他の望ましい状態(9x)、例えば望ましいロール角度、望ましいピッチ角度、望ましいヒーブ補償などに対して命令信号(9)を与える位置指定装置(10a)、舵取りハンドル(10b)、速度指定装置(10c)、又は望ましい傾斜角度、ピッチ角度、ヒーブ補償、などを指定する装置(10x)が含まれる。
【0048】
本発明の好ましい実施形態によれば、この方法は、遠隔の試験検査室(40)を使用して、試験の中でシミュレートされたセンサ信号(7’)、また場合によっては残りの実際のセンサ信号(7)、シミュレートされた命令信号(9’)及び場合によっては残りの実際の命令信号(9)に基づいて、制御システム(2)が船舶を望ましい状態に導く制御信号(13,13’)を与えることを検証するステップを含む。この場合、制御システム(2)は、この試験に基づいて認証される。
【0049】
船舶の動的なパラメータ(5)は、後述するように、質量(m)、軸方向の慣性モーメント、及び船舶の質量分布、船体の形状を記述する船体パラメータを含む。センサ(8)から制御システム(2)に向かうセンサ信号(7)を切断することは、信号線(12)上のスイッチ(15a)によって行うことができる。命令入力装置(10)から制御システム(2)に向かう命令信号(9)の切断は、信号線(11)上のスイッチ(15b)によって行うことができる。
【0050】
本発明に基づく方法の好ましい実施形態によれば、構成部品の破損をシミュレートするときに1つ以上の選択されたセンサ信号(7)又は命令信号(9)を切断することによって、故障状態を試験することができる。この場合、制御信号(13,13’)及びステータス信号(19,19’)の形式の制御システム(2)の応答は、試験検査室(40)内のロガー(15)の中でログされる。
【0051】
故障状態は、遠隔の試験検査室(40)から船舶(4)の中の制御システム(2)に送られる測定値を取り替えること又は選択されたセンサ信号(7’)の中に障害を発生すること、又は測定値(7’)に対して、天気、風、電気ノイズなどの外乱を発生することによって試験することもできる。ここで、制御信号(13,13’)及びステータス信号(19,19’)の形式の制御システム(2)の応答は、試験検査室(40)内のロガー(15)の中でログされる。
【0052】
本発明に基づく方法の好ましい実施形態によれば、船舶(4)の中の制御システム(2)に対する新しいソフトウェアは、試験検査室(40)から通信線(6)を介して送信することができる。
【0053】
本発明による方法を実行した後で、制御システム(2)の試験及び試験の結果に基づいて試験検査室(40)が制御システム(2)を承認できる場合、試験検査室(40)は制御システム(2)を船舶(4)の正規の業務に使用することを認証することができる。
【0054】
本発明に基づいて提案された遠隔試験による利点の1つは、シミュレートされた故障状態及びシミュレートされた高範囲にわたる天候負荷の範囲のもとで全体としてソフトウェア及び制御システム(2)を試験する場合に、従来の試験及び認証における場合よりも遙かに大きな柔軟性を有することである。同時に、船舶の制御システムを試験するための以前に使用された方法の不都合及び制限、すなわち、移動距離、時間のかかる移動、高価な移動、試験用の機器を取り付ける時間を回避することができる。提案された発明により、以前よりも遙かに多くの船舶を少ないオペレータで試験及び認証することができる。
【0055】
[掘削船舶上の制御システムの試験の実施例]
本発明は、前述した制御システムが実際に安全で信頼できる方法で機能するかどうかを試験するために使用できる。下記の実施例、すなわち、図7に示すような掘削船舶(4)の中の制御システム(2)を試験することを希望する場合を仮定する。掘削は試験の前に終わるため、シミュレートされ動的に位置決めされた掘削による試験において位置に潜在的なエラーがあっても、負の結果を生じない。この掘削船舶(4)は制御システム(2)を含み、この制御システム(2)は、図4a、図4b及び図4cでスケッチされたものに対応し、図面に示すように同様な方法で、リアルタイムインターフェース(6b)、通信線(6)及びリアルタイムインターフェース(6a)を介して遠隔の試験検査室(4)に接続されている。この制御システム(2)は、プロペラ(16a,16b,16c,..)又はスラスタ(17)のような推進装置(16)並びに舵(18)及びトンネルスラスタ及びアジマススラスタの形式のスラスタ(17)などの制御装置(18)を用いて、掘削船舶(4)の制御及びモニタリングを行う。スラスタ(17)は、推進装置(16)及び制御装置(18)として両方の動作を行うことができる。シミュレートされた掘削においては、掘削船舶(4)は、位置の変動を可能な限り最も小さくして静止した位置(9a)にあり、進路(7b)及び速度(7c)については風、波及び潮流に対して影響するように天候を補償するだけであることが望ましい。周知の方法に従って動的な位置決めを行う方法には、連続して実行することができる下記のステップが含まれる。
【0056】
制御システム(2)は、例えばDGPS受信機の位置センサ(8a)から測定された船舶の位置(7a)及びジャイロコンパスのような進路センサ(8b)からの進路(7b)などのような1つ以上のセンサパラメータからのセンサデータ(7)をリアルタイムで取得する。
【0057】
制御システム(2)は、少なくとも位置指定装置(10a)、ハンドル(10b)、速度指定装置(10c)を含む、例えばジョイスティックパネル(joy-stick panel)と呼ばれる命令入力装置(10)からの命令信号(9)を取得する。この命令入力装置(10)は、1つ以上の、図7に示すような望ましい位置(9a)、舵又はスラスタに対する角度の形の望ましい進路(9b)、及びプロペラ(16)及びスラスタ(17)に対する軸速度の形の望ましい速度(9c)に対して命令信号を与える。
【0058】
センサ(8)は、センサ信号(7)を第1のセンサ信号線(12)を介して制御システム(2)に送信する。
【0059】
命令入力装置(10)は、命令信号(9)を第2の信号線すなわち命令信号線(11)を介して制御システム(2)に送る。
【0060】
制御システム(2)は、次に、1つ以上の望ましい位置(9a)、進路(9b)、速度(9c)などを維持及び復元するために、1つ以上の取得されたセンサ信号(7a,7b,7c,..)及び命令信号(9a,9b,9c,..)及び場合によっては船舶(4)に関する質量(m)及び慣性の軸モーメント(M1,M2,..)のような必要な動的なパラメータの組に基づいて、プロペラ(16)に対する必要な軸速度(13a)、舵(18)及び場合によっては他の制御装置に対する角度(13c)を連続的に計算する。
【0061】
制御システム(2)は、次に、プロペラ(16)及び/又はスラスタ(17)に対する軸速度(13a)、及び舵(18)及び/又はスラスタ(17)に対する角度(13c)を制御するために、制御システム(2)からの必要な軸速度(13b)を含む制御信号(13a,13b,13c,..)を第3の信号線(14)を介して送る。本発明の新規性は、下記のステップを用いて実行することができる。
【0062】
信号線(12)上のノブ又はスイッチ(15a)によって、1つ以上のセンサ(8)からの1つ以上のセンサ信号(7)は、制御システム(2)から切断され、及び/又は信号線(11)上のスイッチ(15b)によって、命令入力装置(10)からの1つ以上の命令信号(9)は制御システム(2)から切断される。
【0063】
1つ以上の切断されたセンサ信号(9)、例えば、測定された位置(7a)又は進路(7b)、又は1つ以上の切断された命令信号(9)、例えば、望ましい位置(9a)又は望ましい進路(9b)は、1つ以上の信号線(12,14)を覆い隠すことによって、対応するシミュレートされたセンサ信号(7’)、例えばシミュレートされた測定位置(7a’)又はシミュレートされた測定進路(7b’)、又はシミュレートされた対応する命令信号(9’)、例えばシミュレートされた望ましい位置(9a’)又はシミュレートされた望ましい進路(9b’)により置き換えられる。ここで、シミュレートされたセンサ信号及び命令信号(7,9)は船舶(4)に関連した遠隔の試験検査室(40)の中で生成され、通信線(6)を介し、1つ又は両方のスイッチ(15a,15b)を通って1つ以上の信号線(12,14)に送られる。この場合、センサ信号(7a)をDGPS受信機(8a)から見えなくして、これらの信号を新しい位置、間違った位置、及び船舶(4)が実際に存在する位置(9a)から所定の距離だけ離れた逸脱した位置で置き換えることができる。
【0064】
次に、制御システム(2)は、少なくとも1つの望ましい位置、進路、速度などを得るために、入力された及び/又はシミュレートされたセンサ信号(7a又は7a’,7b又は7b’,7c又は7c’,..)及び命令信号又はシミュレートされた命令信号(9a又は9a’,9b又は9b’,9c又は9c’,..)及び必要な船舶のパラメータ(5)に基づいて、プロペラ(16)に対して要求された軸速度(13b)及び舵(18)及び他の制御装置に対する角度(13c)に関して一連の連続した計算を実行する。例えば、プロペラ(16)を制御するための制御信号(13a)及び舵(18)に対する角度(13c)のような、制御システム(2)からアクチュエータ(3)に送られる制御信号(13)と呼ばれる計算された応答は、試験の間は、これらの制御信号(13)がプロペラ(16)又は舵(18)を制御しないように、第3のスイッチ(15c)によって切断又は覆い隠され、通信線(6)を介して遠隔の検査室(40)に送られる。
【0065】
次に、制御システム(2)は、「ブラックボックス」(2)とみなされる。この場合、変化は「ブラックボックス」(2)に対する少なくとも1つのセンサ信号(7)の中でシミュレートされ、また「ブラックボックス」(2)は制御信号(13)に反応する。DGPS信号の中でエラーが発生したという、序論の中で説明した掘削船舶(4)の場合では、制御システム(2)が5分間安定でまた間違っていると伝えられていたため、制御システム(2)は突然船舶(4)のプロペラ、スラスタ及び舵を制御して、制御システムが突然正しいとみなした新しい位置に船舶を移動させようとしたことが5分後に分かる。
【0066】
[船舶の動き及びこの動きのシミュレーション]
船舶(4)の動きは船の速度の点から、質量中心の位置によりサージ、スウェイ及びヨーの中で、またロール、ピッチ及びヨーの中の角度によって説明される。図5を参照されたい。船舶は、その動きに影響を与える力及びモーメントを受ける。これらの力及びモーメントは、風、潮流及び波による、プロペラ(16)、スラスタ(17)及び舵(18)などのアクチュエータを使用することによる、ロール及びピッチの角度並びにヒーブの位置に基づいたスプリング力の作用に対応する水圧力による、また船舶(4)の速度及び加速度に関係する流体力学的な力による励起に起因する。船舶(4)に作用する力及びモーメントは船舶の動きに依存しているのに対して、船舶の動きは船舶に作用する力及びモーメントの結果と見なすことができる。船舶にとって、船体の形状、質量及び質量分布は周知である。さらに、船の流体力学的なパラメータの推定値も周知である。船舶の動きが与えられると、船に作用する力及びモーメントをシミュレータ(30)の中で、例えばアルゴリズム(32)を使用して計算することができる。この場合、船舶の加速度及び角加速度は、ニュートン及びオイラーの法則から見出された船舶の動きの方程式から計算できる。そのような運動の方程式は、教科書の中で説明されている。運動の方程式では、下記のようなパラメータが現れる。すなわち、船舶の質量、質量の中心位置、浮力の中心位置、船舶の慣性モーメント、長さ、梁及び喫水を含む船体の形状、流体力学的に加えられた質量、流体力学的な潜在的な減衰、粘性減衰、ヒーブ、ピッチ及びロールの運動による船体に対する復元力及び復元モーメントに関連したパラメータ、船体に対して結果として生じた力及びモーメントに対する波の成分の振幅、周波数及び方向に関連したパラメータである。さらに、運動方程式には、プロペラ(16)からのプロペラの速度及びピッチの関数としてのアクチュエータの力、舵(18)からの舵の角度及び船舶の速度の関数としてのアクチュエータの力、及びスラスタ(17)からのスラスタの速度及び方向の関数としてのアクチュエータの力に対する数学的なモデルが含まれる。次の方式を用いて、T0からTNの時間間隔に対する船舶(4,4’)の運動を計算することができる。
【0067】
船舶の動きが初期の時刻T0で与えられ、力及びモーメントがこの時刻で計算されると仮定する。この時、時刻T0の船舶の加速度及び角加速度は、船舶(4,4’)に対する運動方程式から計算することができる。次に、数値積分法のアルゴリズムを使用して、時刻T1=T0+hの船舶の動きを計算できる。ここで、hは積分アルゴリズムの時間ステップである。船舶にとって、時間ステップhは一般に0.1〜1sの範囲である。時刻T1の船舶(4,4’)の動きを計算する場合、時刻T1の力及びモーメントを計算することができ、時刻T1の加速度及び角加速度が運動方程式から求められる。再度、数値積分法を使用して、時刻T2=T1+hの船舶の動きを計算する。この方法は、時刻TNに到達するまで、各時刻TK=T0+h*kで繰り返すことができる。
【0068】
船舶に作用する波は、波の成分の合計として説明される。ここで、1つの波の成分は所定の周波数、振幅及び方向を有する正弦波の長い波頭の波である。海の所定の位置に対して、波成分の振幅及び周波数の一般的な分布は、JONSWAP又はITTCのスペクトルのような周知の波のスペクトルによって与えられる。ここで、波スペクトルの強度は有効な波の高さによってパラメータ化される。船舶に作用する結果として生ずる力及びモーメントは、波の振幅、周波数及び方向、並びに船舶の速度及び進路の関数になる。風からの力及びモーメントは、風向に対する船舶の進路の関数として、風速、風向、船舶の速度及び海面上の船の投影面積によって与えられる。潮流からの力及びモーメントは、潮流の速度、潮流の方向、海面下の船体の投影面積、並びに潮流の方向に対する船舶の速度及び進路によって与えられる。
【0069】
[動的な位置決め−DP:]
DPと呼ばれる動的な位置決めでは、船舶(4)は3つの自由度(DOF)の中で制御される。x及びy並びに進路における望ましい位置は、コントロールパネル(10)上のキーボード、ローラボール、マウス又はジョイスティックを用いるオペレータからの入力情報として与えられる。制御システム(2)は、船舶が望ましい位置及び進路を得るために、サージ及びスウェイ方向の必要なアクチュエータの力及びヨー軸の周りのアクチュエータのモーメントを計算するために使用される。制御システム(2)はアクチュエータの割当ても含み、これには命令されたアクチュエータの力及びモーメントに対応するプロペラの力、舵の力及びスラスタの力の計算が含まれる。制御システム(2)は、船舶(4)に搭載されたコンピュータ上のアルゴリズム(31)を走らせることによって実行される。このアルゴリズム(31)は、望ましい位置(9a)及び進路(9b)を測定された位置及び進路(7a,7b)と比較し、これに基づいて、教科書の中で見出される制御理論を用いて、必要なアクチュエータの力及びモーメントを計算する。さらに、このアルゴリズムには、プロペラの力、舵の力及びスラスタの力が計算される割当てモジュールが含まれる。位置及び進路は、DGPSセンサ、ジャイロコンパス、トランスポンダが海底に置かれる水中音響センサシステム、及び海底に固定されたピンと張った線の傾斜が測定されるピンと張った線によって測定される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】制御システムを有する船舶を示す図である。
【図2】船舶用の制御システムのFATを示す図である。
【図3】船舶用の周知の制御システムを説明する図である。
【図4a】本発明の基本的な考えを説明する図である。
【図4b】制御システムを有する船舶を説明する図である。
【図4c】船舶を示す図である。
【図5】ロール、ピッチ及びヒーブの形式で船舶の動きの全体像を示す図である。
【図6】サージ、スウェイ及びヨーにおける船舶の動きの全体像を示す図である。
【図7】本発明を使用するための関連する問題の略図を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
2 制御システム
3 アクチュエータ
4 船舶、船、掘削船舶、掘削プラットフォーム、生産プラットフォーム、又は航海用の船舶
5 船舶の動的なパラメータ
5a 質量
5b、5c 質量中心の位置
5c:5d:5e 船舶の軸の周りの慣性モーメント、質量分布、船体のパラメータなど
7 センサからのセンサ信号
7a 位置
7b 進路
7c 速度
7d 風速
7e 風向
7f ピッチ角度
7g ロール角度
7h 海底のトランスポンダに対する水中音響(相対)位置
8 センサ
8a 位置センサ
8b (ジャイロ)コンパス
8c 速度センサ
8d 風速センサ
8e 風向センサ
8f ピッチセンサ
8g ロールセンサ
8h 水中音響位置センサ
9 命令入力装置からの命令信号
9a 望ましい位置
9b 望ましい進路
9c 望ましい速度
10 命令入力装置
11 命令信号を制御システムに送る1つ以上の命令信号線又は通信バス
12 センサ信号を制御システムに送る1つ以上の信号線又は通信バス
13 プロペラ及びスラスタに対する軸速度並びに舵又はスラスタに対する角度を含む制御信号
13’ 遠隔の試験検査室に送られる制御信号
14 制御システムからアクチュエータに送られる1つ以上の第3の信号線又は通信バス
15 データロガー
16 プロペラ
17 スラスタ
18 舵
19 ステータス信号
30 遠隔の試験検査室内の船舶シミュレータ
31 制御信号を信号線を介してアクチュエータ
32 シミュレートされたセンサ信号、船舶パラメータ、シミュレートされた風速及び風向、シミュレートされた波の高さ及び波の進行方向、シミュレートされた潮流の速度及び潮流の方向など、及び船舶のアクチュエータの力に基づいて、船舶の動的な動きを計算するための船舶シミュレータの中のアルゴリズム
40 遠隔の試験検査室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システム(2)へ向かう第1のセンサ信号線(12)を介して、1つ以上のセンサ(8)から前記制御システム(2)に送られるセンサ信号(7)をリアルタイムに収集するステップと、
前記制御システム(2)へ向かう第2の信号線又は命令信号線(11)を介して、命令入力装置(10)から前記制御システム(2)に送られる命令信号(9)を収集するステップと、
1つ以上の前記センサ信号(7)及び前記命令信号(9)に基づいて前記制御システム(2)内の制御アルゴリズム(31)において計算し、第3の信号線(14)を介してアクチュエータ(3)に前記制御信号(13)を送信するステップと
の一連のステップを含む、船舶(4)において1つ以上のアクチュエータ(3)に制御信号(13)を送って船舶(4)を制御及びモニタする制御システム(2)を試験する方法であって、
選択されたセンサ信号(7)又は命令信号(9)が前記制御システム(2)に送られないように、1つ以上の前記センサ(8)からの1つ以上のセンサ信号(7)、又は前記命令入力装置(10)からの前記命令信号(9)を切断し、前記船舶(4)に対して遠隔の試験検査室(40)において生成され、前記制御システム(2)に向かう1つ以上の前記信号線(12、14)を通り通信線(6)を介して送られる、対応するシミュレートされたセンサ信号(7’)又はシミュレートされた命令信号(9’)によって、1つ以上の前記切断されたセンサ信号(7)又は前記命令信号(9)を置き換え、
前記実際のセンサ信号及び/又は前記シミュレートされたセンサ信号(7a又は7a’、7b又は7b’、7c又は7c’、...)、又は制御信号(13’)の前記実際の命令信号及び/又は前記シミュレートされた命令信号(9a又は9a’、9b又は9b’、9c又は9c’、...)に基づいて、前記制御システム(2)において計算を継続し、
前記通信線(6)を介して前記遠隔の試験検査室(40)に前記制御信号(13’)を送信することを特徴とする。
【請求項2】
前記制御信号(13’)に基づいた船舶モデルの新しい動的な状態のアルゴリズム(32)によって、前記試験検査室(40)内のシミュレータ(30)においてシミュレーションを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサ信号(7)が、前記センサ(8)から、
GPS受信機(8a)と、水中音響位置センサ(8h)と、積分加速度センサなどの位置決めセンサ(8a)とからの前記船舶の位置(7a)と、
ジャイロコンパス又は何らかの他のコンパスといった進路センサ(8b)からの進路(7b)と、
速度センサ(8c)又は積分加速度センサからの速度(7c)と、
アネモメータ(8d、8e)からの風速(7d)及び風向(7e)と、
ロール角度センサ(8f)からのロール角度(7f)と、
ピッチ角度センサ(8g)からのピッチ角度(7g)と
のうちの1つ以上のセンサパラメータを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記制御信号(13)が、望ましい位置(9a)、進路(9b)、速度(9c)のうちの1つ以上を得るために、1つ以上のプロペラ(16)又はスラスタ(17)の軸速度(13a、13b)と、舵(18)又はスラスタ(17)の角度(13c)と、他の何らかの制御装置のための信号(13a、13b、13c)とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プロペラ(16)が1つ以上のプロペラ(16a、16b、16c、...)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記制御装置(18)が1つ以上の舵(18a、18b)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記制御装置(18)が1つ以上のスラスタ(17)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記命令入力装置(10)が、望ましい位置(9a)、望ましい進路(9b)、望ましい速度(9c)、例えば望ましいロール角度、望ましいピッチ角度、望ましいヒーブ補償などといった何らかの望ましい変数(9x)のうちの1以上についての命令信号(9)を与える望ましいロール角度、ピッチ角度、ヒーブ補償などを指定する装置(10x)、または、位置指定装置(10a)、ホイール(10b)、速度指定装置(10c)の少なくとも1つを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記遠隔の試験検査室(40)を使用して、試験の中で前記シミュレートされたセンサ信号(7’)及び前記シミュレートされた命令信号(9’)と、場合によっては残りの実際のセンサ信号(7)及び残りの実際の命令信号(9)とに基づいて、前記制御システム(2)からの前記制御信号(13、13’)が、前記船舶(4)を望ましい状態に導くことを検証し、前記制御システム(2)がこれに基づいて認証される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記制御システム(2)の前記制御アルゴリズム(31)の中の計算が、質量(m)、船舶の軸方向の慣性モーメント、船舶の質量分布、及び船体の形状を決定する船体パラメータを含む船舶の動的なパラメータ(5)を使用する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記センサ(8)から前記制御システム(2)に向かう前記センサ信号(7)を切断することが、前記信号線(12)上のスイッチ(15a)によって行われる請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記命令入力装置(10)から前記制御システム(2)に向かう前記命令信号(8)を切断することが、前記信号線(11)上のスイッチ(15b)によって行われる請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記遠隔の試験検査室(40)が陸上に配置され、試験される船舶(4a、4b、4c、...)が前記試験検査室(40)から長距離、一般に、1から20000kmの範囲の位置にあり、試験される船舶が、港、ドック又はヤードにおいて停泊中である、又は公海上にある請求項1に記載の方法。
【請求項14】
構成部品の破損をシミュレートするときに1つ以上の選択された前記センサ信号(7)又は前記命令信号(9)を切断することによって、故障状態を試験することができ、前記制御信号(13、13’)及びステータス信号(19、19’)の形式の制御システム(2)の応答が、前記遠隔の試験検査室(40)内のロガー(15)の中でログされる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
故障状態が、前記遠隔の試験検査室(40)から前記船舶(4)の中の前記制御システム(2)に送られる前記シミュレートされたセンサ信号(7’)の選択物を取り替えること又はその中に障害を発生すること、又は天気、風、電気ノイズなどの外乱を前記シミュレートされたセンサ信号(7’)に対して発生することによって試験することができ、前記制御信号(13、13’)及び前記ステータス信号(19、19’)の形式の前記制御システム(2)の応答が、前記遠隔の試験検査室(40)内の前記ロガー(15)の中でログされる請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記船舶(4)に搭載された前記制御システム(2)用の新しいソフトウェアが前記遠隔の試験検査室(40)から前記通信線(6)を介して送られる請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記制御システム(2)の試験及び試験結果に基づいて、前記試験検査室(40)が前記制御システム(2)を承認し、かつ前記制御システム(2)を前記船舶(4)の正規の業務に使用することを認証するために使用される請求項1に記載の方法。
【請求項18】
信号線(12)を介して前記制御システム(2)に1つ以上のセンサ信号(7)を送るために前記船舶(4)に搭載された1つ以上のセンサ(8)と、
1つ以上の望ましい位置、進路、速度(9)などを命令信号線(11)を介して、前記制御システム(2)に送るように構成された前記船舶(4)に搭載された命令入力装置(10)と、
信号線(14)を介して、アクチュエータ(3)に前記制御信号(13)を送るために前記センサ信号(7)及び前記命令信号(9)に基づいて前記船舶のアクチュエータ(3)に対する制御信号(13)を計算するための前記制御システム(2)内のアルゴリズム(31)と
を備える、船舶(4)を制御及びモニタするように構成された前記船舶(4)の中の制御システム(2)を試験するためのシステムであって、
1つ以上のシミュレートされたセンサ信号(7’)及び/又はシミュレートされた命令信号(9’)を遠隔の試験検査室(40)から前記制御システム(2)に送信するための1つ以上の通信線(6)と、
前記船舶(4)の以前の状態(7、7’)、前記制御信号(13、13’)、及び動的なパラメータ(5)に基づいて、船舶モデル(4’)の新しいセンサ信号(7’)をシミュレートするためのアルゴリズム(32)を含むシミュレータ(30)と
を備え、
少なくとも1つの前記望ましい位置、進路、速度(9)などを得るために、実際の値及び/又はシミュレートされた値の前記センサ信号(7、7’)、又は実際の値又はシミュレートされた値の前記命令信号(9、9’)に基づいて、前記制御システム(2)内で前記制御信号(13)の計算を続けるために、前記通信線(6)が前記船舶モデル(4’)の新しくシミュレートされたセンサ信号(7’)を前記制御システム(2)に送り戻すように構成され、前記通信線(6)は前記遠隔の試験検査室(40)への制御信号(13’)のような前記制御信号の形式で、前記制御システム(2)からの応答を送信するように構成されることを特徴とする制御システム。
【請求項19】
前記信号線(12)から前記制御システム(2)に向かう1つ以上の前記センサ信号(7)を切断するように構成されたスイッチ(15a)を備える請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記命令信号線(11)から前記制御システム(2)に向かう1つ以上の前記命令信号(10)を切断するように構成された第2のスイッチ(15b)を備える請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記制御システム(2)から前記信号線(14)を通って送られる1つ以上の前記制御信号(13)を切断するように構成された第3のスイッチ(15c)を備える請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記船舶(4)の前記動的なパラメータ(5)が、前記アクチュエータ(3)に対する前記制御信号(13)を計算するために前記制御システム(2)の前記アルゴリズム(31)の中に入力される請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記遠隔の試験検査室(40)がシミュレータ(30)を備えている請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
前記遠隔の試験検査室(40)から1つ以上の前記シミュレートされたセンサ信号(7’)を送るための前記通信線(6)が、前記遠隔の試験検査室(40)上の第1のリアルタイムインターフェース(6a)に接続される又はそこから切断されるように構成される請求項18に記載のシステム。
【請求項25】
前記通信線(6)が前記船舶(4)上の第2のリアルタイムインターフェース(6b)に接続される及びそこから切断されるように構成され、前記第2のリアルタイムインターフェース(6b)が前記スイッチ(15a)を通って前記制御システム(2)に向かう前記信号線(11)に接続されるように構成される請求項18に記載のシステム。
【請求項26】
前記シミュレートされた命令信号(9’)を前記遠隔の試験検査室(40)から前記リアルタイムインターフェース(6a)を通り前記通信線(6)を介し、かつ前記リアルタイムインターフェース(6b)を通り前記制御システム(2)に送るためのシミュレートされた命令入力装置(10’)を備える請求項18に記載のシステム。
【請求項27】
前記制御システム(2)の中の前記アルゴリズム(31)の全部又は一部が、前記遠隔の試験検査室(40)から前記通信線(6)を介して修正、較正、又は交換されるように構成される請求項18に記載のシステム。
【請求項28】
前記制御信号(13)が、1つ以上のプロペラ(16)又はスラスタ(17)に対する軸速度(13a、13b)と、舵(18)、スラスタ(17)、又は場合によっては他の制御装置に対する角度(13c)との形式の信号(13a,13b,13c)を含む請求項18に記載のシステム。
【請求項29】
前記センサが、
前記船舶(4)の位置(7a)を決定するための、GPS受信機(8a)、水中音響位置センサ(8h)、積分加速度センサなどの位置センサ(8a)と、
前記船舶(4)の進路(7b)を決定するための、例えばジャイロコンパス又は何らかの他のコンパスなどの進路センサ(8b)と、
前記船舶(4)の速度(7c)を決定するための速度センサ(8c)又は積分加速度センサと、
(相対的な)風速(7d)及び風向(7e)を示すアネモメータ(8d、8e)と、
ロール角度(7f)を示すロール角度センサ(8f)と、
ピッチ角度(7g)を示すピッチ角度センサ(8g)と
から1つ以上のセンサを含む請求項18に記載のシステム。
【請求項30】
前記遠隔の試験検査室(4)が、前記センサ信号(7、7’)に対する前記制御システム(2)からの前記制御信号及びステータス信号(13’、19’)の形式の応答をログするためのデータロガー(15)を含む請求項18に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−512244(P2006−512244A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563064(P2004−563064)
【出願日】平成15年12月30日(2003.12.30)
【国際出願番号】PCT/NO2003/000445
【国際公開番号】WO2004/059411
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(505249942)マリン・サイバネティクス・アクティーゼルスカブ (5)