説明

船舶運航計画作成方法および装置

【課題】複数船舶(船団)が所定の期間に輸送する物量から、輸送に最適な寄港順序とその航路の航海数をもとめること、および求められた航路別の航海数を実現することと揚げ地到着間隔を均等化することを同時に両立する船舶の運航計画とを作成する、船舶運航計画作成方法および装置を提供することを目的とする。
【解決手段】輸送対象物の積み地、揚げ地、および輸送量から、少なくとも船舶の積載可能量、船舶数を含む時刻に依存しない制約条件を考慮して寄港順序および航海数を求める最適航海数決定工程と、該最適航海数決定工程で求められた寄港順序と航海数から、運航計画を作成する最適運航計画作成工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の量の荷物を複数の船舶によって配送するに当たり、寄港順序、航海数、荷役タイミングを最適に決定する、船舶運航計画作成方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工業製品および半製品の輸送にあたっては船舶による輸送が大きな比重を占めており、この運航計画および管理を効率的に行うことは重要である。効率的な運航を行うためには、船舶の運航計画の他、バースプランなど積み地/揚げ地の運用も総合的に考慮した計画管理が必要である。しかしながら、これらを個別に最適化する仕組みは見られるものの、全体を見て効率的な運航計画を作成し管理することは依然として困難な課題として残っており、熟練者の判断に委ねられているケースが多いのが現状である。
【0003】
こうした課題を解決するための取り組みとして、例えば、特許文献1には、特定の船について予め定めた寄港順選択ルールに基づきシミュレーションベースで複数の運航計画案を作成し、その中で最も判定基準に適合した計画を採用する技術が開示されている。
【0004】
また特許文献2には、船舶の運航計画問題を積み地、揚げ地の在庫量制約の下で航海ルートを適切に選択することによりコスト最小化を行う整数計画問題として比較的短期間を対象にモデル化し、各時点での最適解を逐次的につなぎ合わせることにより運航計画を作成する技術が開示されている。
【0005】
また特許文献3には、船舶の長期間にわたる運航計画問題を、配船担当者により予め暫定的に作成された配船計画を、計画修正候補船の航海日程を許容範囲の中で修正する技術が開示されている。
【0006】
さらに特許文献4には、線形計画法により船舶を含む運航計画を作成する技術が開示されている。
【0007】
なお、以下に上述の特許文献とともに、発明の開示で参照する非特許文献についても、あわせて記載する。
【特許文献1】特開平5−12308号公報
【特許文献2】特開2000−172745号公報
【特許文献3】特開2006−111387号公報
【特許文献4】特開2000−57220号公報
【非特許文献1】「混合整数計画法(MIP)を使おう:モデル化の実際とその背景」、数理モデル研究所、野末尚次、ILOG Optimization seminar 資料、http://www.math-model.co.jp/ILOG_OPT_Seminer_2006_Rev.pdf
【非特許文献2】K.Nonobe, and T.Ibaraki, "Formulation and tabu search algorithm for the resource constrained project scheduling problem", Essays and Surveys in Metaheuristics, Kluwer Academic Publishers, pp.557-588, 2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
船舶の運航計画作成問題は、数理最適化技法を1段階適用することで、原理的には可能であるが、現実的な時間では求解できないNP(Non-deterministic Polynomial)困難な問題に分類される。すなわち、計画作成対象期間のすべての時刻にわたって、さまざまな制約条件を満たす必要があるため、対象とする船舶数や荷物が多くなればなるほど、あるいは計画作成対象期間が長くなればなるほど解を求めることが困難になる。
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、経験的に最適解を与えるであろうと思われる寄港順選択ルールを予め定め、シミュレーションベースで複数の運航計画案を作成し評価する方法であるため、最適性については保証がないという課題がある。
【0010】
また、特許文献2に開示されている技術は、計画作成対象期間を短い期間に分割し、それぞれの期間で最適と思われる運航をつなげていくことにより総合的にコスト最適化を図ろうとするものであるため、先に決めた航海のために後になって積み地/揚げ地で在庫の過不足や船舶の競合・待機等を引き起こす可能性がある。また、積み地/揚げ地の作業休止時間や複数船競合時の待機時間の扱いなど整数計画問題としての定式化が複雑になるという課題がある。
【0011】
また、特許文献3に開示されている技術は、ゼロから運航計画を作成することはせずに、配船担当者により予め作成された暫定計画を、ある許容範囲の中で修正してゆく方法であるため、運航計画は、暫定計画と許容範囲に大きく左右され、結果として得られる運航計画は、必ずしも最適なものにはならない。また、ゼロから運航計画を作成しなければならない新規な運航計画に対しては、有用でないことは言うまでもない。現状ではベテラン配船担当者が暫定計画を作成しており、本来は担当者の技量に左右されないことが望ましいことは明らかである。
【0012】
さらに、特許文献4に開示されている技術は、使用する積載量別の船の隻数を最適化することができるが、時刻の概念を用いていないため、時間軸に沿った運航計画を作成することはできないという課題がある。
【0013】
一般に、最適化手法による運航計画では、現実の運航に求められているいくつかの条件、例えば出発/到着の等間隔性を盛り込むことが困難である。これは、効率化とは相反する目標だからである。
【0014】
本発明は、このような課題を鑑みなされたものであり、複数船舶(船団)が所定の期間に輸送する物量から、輸送に最適な寄港順序(航路)とその航路の航海数をもとめること、および求められた航路別の航海数を実現することと揚げ地到着間隔を均等化することを同時に両立する船舶の運航計画とを作成する、船舶運航計画作成方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の請求項1に係る発明は、積み地または揚げ地を共有する複数船舶の所定期間における運航を計画する船舶運航計画作成方法であって、輸送対象物の積み地、揚げ地、および輸送量から、少なくとも船舶の積載可能量、船舶数を含む時刻に依存しない制約条件を考慮して寄港順序および航海数を求める最適航海数決定工程と、該最適航海数決定工程で求められた寄港順序と航海数から、運航計画を作成する最適運航計画作成工程とを有することを特徴とする船舶運航計画作成方法である。
【0016】
また本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の船舶運航計画作成方法において、前記最適航海数決定工程では、予め設定された航路候補を入力するとともに、その航海数を限定することを特徴とする船舶運航計画作成方法である。
【0017】
さらに本発明の請求項3に係る発明は、積み地または揚げ地を共有する複数船舶の所定期間における運航を計画する船舶運航計画作成装置であって、輸送対象物の積み地、揚げ地、および輸送量から、少なくとも船舶の積載可能量、船舶数を含む時刻に依存しない制約条件を考慮して寄港順序および航海数を求める最適航海数決定処理手段と、該最適航海数決定手段で求められた寄港順序と航海数から、運航計画を作成する最適運航計画作成処理手段とを有することを特徴とする船舶運航計画作成装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、最適航海数決定工程では、船舶の積載可能量、稼働率、隻数、寄港可能性(特定の船でなければ入港できないなど)、1回あたりの荷役可能量(揚げ地のクレーン能力や保管能力による上下限)を制約条件として最適化問題を解くため、寄港順序とその航海数の決定は、担当者の技量によらない最適なものとすることができる。また、揚げ地での荷役の競合など時刻に依存する制約を取り込まず、積載可能量や使用可能隻数など時刻に依存しない制約のみを考慮し、時刻に依存する制約を最適運航計画作成工程に集約することで、最適化すべき変数の数を減少させることが可能になり、短時間で最適解を得ることができるという特徴をもつ。また、運航計画の作成をこの段階で分割することにより、たとえば1回あたり極少量の荷役を行う回数が多数に及ぶ港の出現を排除するなどの調整が可能になる。
【0019】
また、最適運航計画作成工程では、最適航海数決定工程(および担当者による調整)で求められた寄港順序と最適航海数を実現するために、計画作成期間中の船舶・港湾設備の検査等の非稼働時間を考慮して各寄港地での荷役時間を決定し、最適な運航計画を作成する。この段階では、すでに時間軸上に配置すべきスケジューリング対象のジョブ(以下、航海ジョブと呼ぶ)が判明しているため、各種のスケジューリングに特化したアルゴリズムの適用が可能になっている。
【0020】
さらに、最適航海数決定工程の対象とする寄港順序を、過去の実績(途中航海の遅れ、揚げ地での荷役の競合の可能性)を考慮して予め与えるため、対象港の順列・組み合わせで自動生成する場合に比べ、非現実的な寄港順序を予め排除することができ、さらに短時間で最適解を得ることができるという特徴を持つ。
【0021】
本発明は、計画作成期間全体にわたる運航計画を一度に最適化するため、従来の、シミュレーションにより運航計画を作成する方法や、その時点時点で最適と思われる運航計画をつなげて全体の運航計画を作成する方法で起こりうる、先に決めた航海のために後になって積み地/揚げ地で船舶の競合・待機等を引き起こす可能性がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面および数式を参照しながら、本発明を具体的に説明してゆく。図1は、本発明に係る船舶運航計画作成方法の全体処理フローを示す図である。最適航海数決定工程(Step1)、修正工程(Step2)、最適運航計画作成工程(Step3)の順で主な処理を行う。なお、最適航海数決定工程(Step1)においては、運航計画作成対象となる各船は、積載量、航行速度など同一のものは、同じとして処理し個別に扱わないことにより計算量を少なくし、最終的には最適運航計画作成工程(Step3)において、各船舶を個別に扱うという処理を行う。
【0023】
図1で先ず、輸送対象物の積み地、揚げ地、種類および輸送量(荷物数)などのデータを入力するとともに、マスタデータベースや作業用データベースから計画作成に必要なデータを読み込む。
【0024】
読み込まれるデータの1つである航路候補データベースは、自動生成あるいは人手により登録された寄港順序(航路とも呼ぶ)であり、たとえば以下に示す表1のようなものである。
【0025】
【表1】

【0026】
航路には、それぞれ一意の航路コードが与えられ、必要な数だけの寄港地が寄港順にしたがって列挙されている。また、航路は、積載可能量、速度などの属性を同一とした複数の船舶のグループ(以下船型と呼ぶ)が関連付けられている。したがって、寄港順が同一でも船型が異なる場合は異なる航路となる。航路候補データベースを読み込んだ直後の最大航海数と最小航海数は設備能力や稼動条件のみから定まったものであるので、これを今回の運航計画作成に対する制約条件に修正するものであり、計画ごとに変化する。
【0027】
以下、最適航海数決定工程(Step1)、修正工程(Step2)、最適運航計画作成工程(Step3)の順に詳細に説明する。
【0028】
先ず最適航海数決定工程(Step1)では、与えられた輸送対象物(荷物種)の積み地、揚げ地、および輸送量(荷物数)から、最適な寄港順序(航路)とその航海数をもとめる問題を、混合整数計画法として定式化して、それを解くことで最適な寄港順序(航路)とその航海数をもとめる。
【0029】
定式化で用いる記号を、以下にまとめて示す。まず、変数を以下の(1)に示すように定義する。
【0030】
【数1】

【0031】
また、各種定数を以下に示すように定義する。
【0032】
【数2】

【0033】
さらに以上の記号を用いて、制約条件(制約1〜9)を以下のように定式化する。
【0034】
【数3】

【0035】
以上の制約条件は例示であり、対象に合わせて適宜追加および削除を行い、以下の最適化計算を行う。最適化計算にあたっては、例えば次のような評価関数(評価1〜4)を問題に応じて選択して最適化することとなる。
【0036】
【数4】

【0037】
上記の定式化では、時刻を表す変数を含んでいないため、最適化すべき変数の数は極めて少なく、実用的な時間内で最適値を計算できる。また、航路候補はいかなる方法で作成してもよく、たとえば、対象寄港地の順列を自動生成したり、あるいは航海実績のある航路から選択するようにするとよい。
【0038】
以上のように定式化した最適化問題を最適航海数決定工程(Step1)で解くことで、評価関数を最適な値とする、航路ごとの航海数、各寄港地における荷物種ごとの積荷役数および揚荷役数と荷役時間が求まる。なお、ここでの解法としては種々あるが、例えば、非特許文献1に開示された解法を用いるようにすればよい。
【0039】
次に、修正工程(Step2)では、Step1の出力結果に必要な修正を加える。ここでいう必要な修正とは、最適化計算の制約条件として設定するのは難しい条件であり、自動計算では判断が難しいが人間による判断、例えば制約違反ではないが、非効率なために好ましくないという判断による修正である。修正の方法としては、例えば、航路候補を追加/変更し、最適航海数決定工程(Step1)の定式化に含まれる各種上下限値の修正を行い、再度最適航海数決定工程(Step1)を実行する、という方法をとる。そして、修正が完了した結果は、実行すべき航海ジョブとして最適運航計画作成工程(Step3)に渡される。ここで、航海ジョブとは、積荷時間、航海時間、揚荷時間、各作業の待ち時間などを含んだデータである。
【0040】
最適運航計画作成工程(Step3)では、修正工程(Step2)から渡された航海ジョブを、時間軸上に、各種競合を解消しながら配置し、実際の運航計画を作成する。すなわち、入力データとして、航海ジョブ、および寄港地の稼動時間帯と休日データ、個別船舶のドック/検査等の非稼動時間帯、各航海の目標完了日時を与え、これを複数船舶に割り付ける最適スケジューリング問題を解くこととなる。
【0041】
この間題は、スケジューリング問題としては一般的なものであり、各種の効率的解法が適用可能であり、例えば、非特許文献2に開示された解法を用いるようにすればよい。また、現実の運航に求められて出発/到着の等間隔性についても、先行する航海ジョブからの間隔を航海ジョブ間の先行関係としてあたえることが可能である。
【実施例】
【0042】
本発明を実際の船舶運航計画に適用した実施例を以下に示す。図2は、本実施例における装置構成例を示す図である。図中、主なものに符号を付し、1はマスタデータベース、2は作業用データベース、3は最適航海数決定処理手段、および4は最適運航計画作成処理手段をそれぞれ表す。
【0043】
入力手段から積地、揚地、荷物種、荷物数などの入力データが入力され、最適航海数決定処理手段3に送られる。
【0044】
マスタデータベース1は、船舶マスタ、港マスタ、および航行時間マスタからなり、データ記憶手段に記憶されている。船舶マスタは、個別船舶ごとに、船型、隻数、船名、積載可能荷物種、および積載可能荷物数を記録している。港マスタは、バースごとに、港名、バース数、寄港可能船型、休日、稼働時閤、荷役可能荷物種と荷役時間を記録している。そして航行時間マスタは、すべての港の組み合わせに対し、出発港、到着港、航行距離、船型別航行時間を記録している。
【0045】
また、作業用データベース2は航路候補データベースからなり、寄港順、荷役荷物種、荷役荷物数、荷役所要時間、および航行所要時間がデータ記憶手段に記憶されている。運航計画作成開始時点では寄港順のみ値が入っており、最適航海数決定処理手段3での最適航海数決定工程(Step1)の結果出力として、荷役荷物種、荷役荷物数、荷役所要時間、および航行所要時間が書き込まれる。これに、待ち時間のデータが付加されると航海ジョブデータになる。
【0046】
そして、評価関数としては、前述した運搬荷物量最大化、航海数最大化、(荷物数×輸送距離)最大化、および総所要時間最小化のなかから一つを選択し、最適航海数決定処理手段3に送られて最適航海数決定工程(Step1)を起動する。
【0047】
次に具体的な運航計画作成手順および内容を説明していく。まず、輸送対象物の積み地、揚げ地、種類および輸送量(荷物数)などを入力データとして以下に示す表2のように与え、評価関数として「(荷物数×輸送距離)最大化」を選び、最適航海数決定工程(Step1)を実行すると、表3、および表4の結果が出力される。航路候補データベースは上記表1に示したものを用いた。
【0048】
【表2】

【0049】
表3は、積み地−揚げ地−荷物種別の荷物が、どの航路に何個割り振られたか、その結果、各航路は何航海を行うべきか、そのときのサイクルタイムは何時間か、などの出力を示している。また、表4には、この場合の各寄港地の寄港回数を示す。この例(表3)では、Nl_02航路で運搬された荷物数が0となっており、この航路は使用する必要がないことをあらわしている(表3参照)。
【0050】
【表3】

【0051】
【表4】

【0052】
もしも、何らかの理由でこの航路(Nl_02)で荷物を運搬する必要がある場合には、修正処理手段の修正工程(Step2)において、表1の航路候補のNl_02の、最小航海数を0ではなく必要な航海数に設定しなおして、再度最適航海数決定処理手段3での最適航海数決定工程(Step1)を実行すればよい。
【0053】
表1に示す航路コードNl_02の最小航海数を0から2に変更して再実行した場合の結果を、表5、および表6に示す。この結果と表3、表4とを比較すると、Nl_03の2航海をNl_02に単純に振り替えたものになっている。さらに詳細に両者の結果を評価すると、Nl_02航路およびNl_03航路はともに、港a2から港b1を経由して港b5にいたる航路を含んでいるが、港b1では荷役を行っていない(積地a2で揚地b1の荷物数がない)ことがわかる。すなわち、両航路ともに港a2から港b5にいたる途中の港b1への寄港は不要であることがわかる。
【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
したがって、修正処理手段の修正工程(Step2)では、このような不適切さがなくなるまで、航路候補を追加/変更し(例えば、Nl_02、Nl_03の寄港順に対し、a2−b1−b5という寄港順を、a2−b5という寄港順とする)、最適航海数決定工程(Step1)の定式化に含まれる各種上下限値の修正を行い、再度最適航海数決定工程(Step1)を実行する、という処理を繰り返す。
【0057】
このように、運航計画作成問題を、最適航海数決定工程が終了した段階で修正工程を行う様にして処理を分割したことにより、一度に最終的な運航計画作成まで実行する場合では、発見困難な不適切さを見つけ出し修正することも可能になる。
【0058】
次に、最適航海数決定工程(Step1)および修正工程(Step2)の実行結果が書き込まれた作業量データベース2の航路候補データベースと、マスタデータベース1の各マスタを読み込む。最適航海数決定工程(Step1)および修正工程(Step2)の実行結果が書き込まれた航路候補データベースは以下の表7のようになっている。なお、表7は、積荷役時間、航海時間、揚荷役時間、待ち時間などのデータを含んでいるため航海ジョブデータでもある。
【0059】
【表7】

【0060】
この段階で、航路候補データベースは航海ジョブのすべての情報を含んでいるので、これを最適運航計画作成手段4に内蔵されたスケジューリングエンジンへの入力データフォーマットに変換して、スケジューリングエンジンを起動する。この最適運航計画作成手段4は、内部的にはデータフォーマット変換部とスケジューリングエンジン部に分かれており、スケジューリングエンジンのみを、たとえば別のスケジューリングアルゴリズムを実装したスケジューリングエンジンに知り替えることが可能である。
【0061】
スケジューリングエンジンの実行結果は、時間軸上に最適配置された航海ジョブであり、運航予定表およびガントチャートの形で出力される。以下に示す表8は、任意の一隻の船舶の運航予定表の出力例、さらに図3は、出力されたガントチャートの例を示す図である。
【0062】
なお、本実施例における、入力手段、マスタデータベース、作業用データベース、最適航海数決定処理手段、修正処理手段、および4は最適運航計画作成処理手段は、一つの計算機にて構成されても良いし、複数の計算機に分散して構成されても良い。
【0063】
【表8】

【0064】
以上説明したように、本発明の運航計画作成方法によれば、運航計画作成を、最適航海数決定工程と、運航計画作成工程に分割して構成したので、以下のような特徴を持つものである。
(1)寄港順序(航路)とその航海数の決定は、担当者の技量によらない最適なものとすることができる。
(2)最適航海数決定工程の結果を評価し、不適切な航路を排除するなど、担当者に調整の機会を与えることが可能になる。
(3)最適航海数決定工程の結果は、一般的なスケジューリング問題の形になっており、各種の効率的解法が適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】

【図1】本発明に係る船舶運航計画作成方法の全体処理フローを示す図である。
【図2】本実施例における装置構成例を示す図である。
【図3】出力されたガントチャートの例を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 マスタデータベース
2 作業用データベース
3 最適航海数決定処理手段
4 最適運航計画作成処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積み地または揚げ地を共有する複数船舶の所定期間における運航を計画する船舶運航計画作成方法であって、
輸送対象物の積み地、揚げ地、および輸送量から、少なくとも船舶の積載可能量、船舶数を含む時刻に依存しない制約条件を考慮して寄港順序および航海数を求める最適航海数決定工程と、
該最適航海数決定工程で求められた寄港順序と航海数から、運航計画を作成する最適運航計画作成工程とを有することを特徴とする船舶運航計画作成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の船舶運航計画作成方法において、
前記最適航海数決定工程では、予め設定された航路候補を入力するとともに、その航海数を限定することを特徴とする船舶運航計画作成方法。
【請求項3】
積み地または揚げ地を共有する複数船舶の所定期間における運航を計画する船舶運航計画作成装置であって、
輸送対象物の積み地、揚げ地、および輸送量から、少なくとも船舶の積載可能量、船舶数を含む時刻に依存しない制約条件を考慮して寄港順序および航海数を求める最適航海数決定処理手段と、
該最適航海数決定手段で求められた寄港順序と航海数から、運航計画を作成する最適運航計画作成処理手段とを有することを特徴とする船舶運航計画作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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