説明

船舶

【課題】転舵角を大きくした際に転舵に要する力を抑え易く、転舵装置を小型化し易い転舵装置を備えた船舶を提供する。
【解決手段】上下方向に配設されたスイベル軸18廻りに転舵可能に装着された船舶推進装置15と、転舵装置20とを備え、この転舵装置20が、船体幅方向に移動可能な移動部材36と、船舶推進装置15に固定されたステアリングブラケット28とを有し、ステアリングブラケット28と移動部材36とが連結部30において連結され、移動部材36が船体幅方向に駆動されることにより、ステアリングブラケット28が連結部30を力点として船体幅方向の力を受けて回動し、船舶推進装置15が転舵される船舶であり、連結部30からスイベル軸18までの離間距離が、ステアリングブラケット28の回動に応じて変化可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、船舶推進装置をスイベル軸廻りに転舵させる転舵装置が設けられた船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、船尾に装着された船外機は、トリム装置を介して上下方向に配設されたスイベル軸廻りに回動可能に支持され、操船者のステアリングの操舵操作に対応して駆動される転舵装置により転舵されるように構成されている。このような船外機の転舵装置として、船外機の近傍に船体幅方向に移動可能に移動部材を設け、船外機にステアリングブラケットを固定し、このステアリングブラケットを移動部材により船外機と一体にスイベル軸廻りで回動させることにより転舵されるものが知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、モータにより駆動されて船体幅方向に移動可能なラックケースを設け、船外機に固定されたステアリングブラケットをこのラックケースに固定されたガイドプレートに連結することにより、転舵装置が構成されている。
【0004】
このような転舵装置では、操船者がハンドルを回動させて操舵すると、この操舵操作に対応して駆動モータによりラックケースが船体幅方向の左右に移動し、駆動モータの転舵荷重によりステアリングブラケットをスイベル軸廻りで回動させ、その転舵トルクにより船外機を転舵させている。
【特許文献1】特許第2959044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、船外機は転舵時に水圧等により負荷を受けるが、この負荷は転舵状態等に応じて変化するものであり、例えば転舵角や転舵速度が大きい程、負荷は増大する。特に、速い転舵速度で大きな転舵角に転舵する場合や、加減速時に転舵する場合等には、より大きな負荷を受け易い。
【0006】
そのため、駆動モータ等の駆動部材を用いて駆動する場合には、転舵時に船外機に大きな荷重を受けた場合でも転舵可能にするため、十分に大きな転舵荷重が得られる駆動部材を用いる必要がある。ここでは、駆動モータを用いる場合、得られる駆動荷重はモータの性能に応じて上限がある上、温度等のモータ状態によりその性能が低下する。そのため、所望の駆動速度を確保しつつ十分な転舵加重を得るには、より大きなモータを用いることになり、転舵装置が大型化し易いなどの問題点があった。
【0007】
そこで、この発明は、転舵角を大きくした際に転舵に要する転舵加重を抑え易く、転舵装置を小型化し易い船舶を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する請求項1に記載の発明は、上下方向に配設されたスイベル軸廻りに転舵可能に装着された船舶推進装置と、該船舶推進装置を転舵させる転舵装置とを備え、該転舵装置は、船体幅方向に移動可能な移動部材と、前記船舶推進装置に固定されて前記スイベル軸廻りに回動可能なステアリングブラケットとを有し、該ステアリングブラケットと前記移動部材とが連結部において連結され、前記移動部材が前記船体幅方向に駆動されることにより、前記ステアリングブラケットが前記連結部を力点として前記船体幅方向の転舵荷重を受けて回動させられ、前記船舶推進装置が転舵される船舶において、前記連結部から前記スイベル軸までの離間距離が、前記ステアリングブラケットの回動に応じて変化可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記連結部は、前記ステアリングブラケットに設けられたスライド嵌合部と、前記移動部材に設けられて前記スライド嵌合部に嵌合された嵌合体とを有し、該嵌合体は前記スイベル軸に対して放射方向に移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記ステアリングブラケットは、前記船舶推進装置に固定された第1のブラケットアームと、前記移動部材に回動可能に連結されて前記第1のブラケットアームと伸縮可能に接続された第2のブラケットアームとを備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成に加え、前記第1及び第2のブラケットアームの一方は、他方側に向けて開口する筒状穴を有し、前記第1及び第2のブラケットアームの他方は、前記筒状穴に摺動可能に収容された摺動部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、ステアリングブラケットと移動部材とが連結部において連結されており、この連結部からスイベル軸までの離間距離がステアリングブラケットの回動に応じて変化可能に構成されているので、転舵角を変化させる際、ステアリングブラケットの回動角に応じて力点の位置を変化させ、移動部材によりステアリングブラケットを回動させるのに要する転舵荷重を変化させることが可能である。そのため、より大きな転舵トルクが必要なときでも転舵荷重を小さく抑えることが可能であり、移動部材の駆動装置への負荷を軽減して転舵装置を小型化し易い。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、連結部がステアリングブラケットに設けられたスライド嵌合部と、移動部材に設けられてスライド嵌合部に嵌合された嵌合体とを有し、この嵌合体がスイベル軸に対して放射方向に移動可能に構成されているので、嵌合体がスライド嵌合部内でスライドすることにより、連結部のスイベル軸までの離間距離を変化させることができ、転舵角が大きい範囲で移動部材によりステアリングブラケットを回動させるのに要する転舵荷重を抑えることが可能である。
【0014】
請求項3又は4に記載の発明によれば、ステアリングブラケットが船舶推進装置に固定された第1のブラケットアームと、移動部材に回動可能に連結されて第1のブラケットアームと伸縮可能に接続された第2のブラケットアームとを備えているので、第1のブラケットアームと第2のブラケットアームとが伸縮することにより、連結部のスイベル軸までの離間距離を変化させることができ、転舵角が大きい範囲で、移動部材によりステアリングブラケットを回動させるのに要する転舵荷重を抑えることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0016】
図1乃至図4は実施の形態1を示す。
【0017】
図1において、符号10は船舶であり、船体11の前方側にステアリング装置12を備えた操船部13を有すると共に、船尾に船舶推進装置としての船外機15を有している。船外機15は、船尾板16に固定されたクランプブラケット17に、トリム・チルト装置19を介して装着されており、トリム・チルト装置により船体前後方向に傾倒可能な状態で上下方向にスイベル軸18が配設され、このスイベル軸18廻りに回動することにより、転舵可能に構成されている。
【0018】
船外機15近傍の前側位置には、船外機15を転舵させるための転舵装置20が設けられている。この転舵装置20は、ステアリング装置12のハンドル12aの操舵角が操舵角検出センサ21により検出されて、ケーブル22を介して伝達されると、操舵角に対応して船外機15を転舵させるように構成されている。
【0019】
このような転舵装置20は、図2及び図3に示すように、船外機15に固定されて、船外機15と一体にスイベル軸18廻りに回動可能なステアリングブラケット28と、このステアリングブラケット28を回動させるための駆動部27とを備え、これらが連結部30において連結されている。
【0020】
駆動部27は、トリムチルト装置19のチルト軸23の両端部側に固定された一対の支持部材24によりチルト軸23と平行に配設されたボール螺子からなる移動軸25と、この移動軸25に沿って船体幅方向に移動可能に装着された移動ユニット26とを備えている。
【0021】
移動ユニット26は、移動軸25を囲んで装着されたハウジング31を有し、このハウジング31内には、移動軸25のボール螺子に螺合してハウジング31に回転可能に支持された回転移動子32が設けられており、この回転移動子32が図示しないDD型モータにより回転されることにより、ハウジング31が移動可能となっている。また、ハウジング31の外部には、一対の突起部34間にチルト軸23と平行に支点ピン35が設けられ、この支点ピン35に、移動部材としての連結ブラケット36が、ハウジング31に対して固定連結され、且つ左右方向に移動不能な状態で支持されている。
【0022】
連結ブラケット36は、図3に示すように、船外機15側に上片36aと下片36bとを有し、その間にステアリングブラケット28の先端側を収容可能な間隙36cが形成されている。この間隙36cには、後述するステアリングブラケット28のスライド嵌合部39とスライド可能に嵌合される嵌合体としての嵌合支柱37が、上片36aと下片36bとに架設されて配置されている。この嵌合支柱37は連結ブラケット36に対して移動不能となっている。
【0023】
一方、ステアリングブラケット28は、スイベル軸18から移動軸25側に延び、その先端側に連結ブラケット36の嵌合支柱37と嵌合可能なスライド嵌合部39が設けられている。ここでは、船外機15がスイベル軸18に固定されており、ステアリングブラケット28はスイベル軸18に固定されることにより、船外機15に固定されている。
【0024】
また、スライド嵌合部39は、スイベル軸18の放射方向に沿って形成された長孔からなり、スイベル軸18までの距離が異なる位置間に、連結ブラケット36の嵌合支柱37の外径と略等しい一定幅で連続して設けられている。
【0025】
このようなステアリングブラケット28と連結ブラケット36との連結部30は、ステアリングブラケット28の先端側が、連結ブラケット36の間隙36cに収容されると共に、嵌合支柱37がスライド嵌合部39に貫通して配置されることにより構成されている。ここでは、ステアリングブラケット28の先端側が連結ブラケット36の上片36aと下片36bとに摺接すると共に、嵌合支柱37がスライド嵌合部39の両側辺に摺接している。そのため、連結ブラケット36が任意の位置で保持されると、ステアリングブラケット28が一定の位置にガタツキなく保持されることが可能になっている。
【0026】
次に、このような構成の船舶10の転舵装置20の動作について説明する。
【0027】
図4に仮想線で示すように、操船部13のステアリング装置12の操舵角が0度で船外機15の転舵角が0度の状態からステアリング装置12により操舵すると、その操舵角が操舵角検出センサ21で検出されて、ケーブル22を介して転舵装置20に伝達される。すると、移動ユニット26では回転移動子32がDD型モータにより操舵角に対応した所定量回転駆動され、図4に実線で示すように、移動ユニット26が移動軸25に沿って所定量船体幅方向に移動される。
【0028】
これにより、移動ユニット26の連結ブラケット36が移動し、連結部30において嵌合支柱37がスライド嵌合部39を押厚することにより、この連結部30を力点としてステアリングブラケット28が船体幅方向の転舵荷重Fを受けてスイベル軸18廻りに回動する。これにより転舵トルクが与えられ、ステアリングブラケット28と共に船外機15が、ステアリング装置12の操舵角に対応する転舵角θまで転舵される。
【0029】
このとき、図4に示すように、転舵を開始した状態では、連結ブラケット36の嵌合支柱37はステアリングブラケット28のスライド嵌合部39の最もスイベル軸18に近接した最小の離間距離L1の位置に配置されている。このとき、移動ユニット26により転舵荷重Fでステアリングブラケット28を船体幅方向Aに押圧した場合、得られる転舵トルクTはL1・Fcosθとなる。
【0030】
そして、転舵中には、嵌合支柱37が連結ブラケット36に対して固定して設けられているため、移動軸25に沿う矢印A方向に直線的に移動する。これに対し、ステアリングブラケット28はスイベル軸18を中心に矢印B方向に回動するため、嵌合支柱37がスライド嵌合部39に対してスイベル軸18から離間する方向にスライドする。そのため、転舵角が増加するほど、嵌合支柱37はスライド嵌合部39のスイベル軸18からの離間距離が増加し、スイベル軸18からより遠い位置でステアリングブラケット28を押厚し、転舵荷重を与えることになる。
【0031】
最大に転舵して転舵角θに達する状態では、嵌合支柱37はスライド嵌合部39の最もスイベル軸18から離間した離間距離L2の位置を押圧して、ステアリングブラケット28を回動させる。移動ユニットにより一定の転舵荷重Fでステアリングブラケット28を船体幅方向Aに押圧した場合、このときの転舵角θで得られる転舵トルクTはL2・Fcosθとなる。
【0032】
以上のような船舶10によれば、転舵角を増加すると、転舵角に応じてスイベル軸18からより離間した位置に転舵荷重Fを与えてステアリングブラケット28を回動させることができるため、より大きな転舵トルクTを得ることができる。そのため、大きな転舵角で転舵させることにより船外機15に大きな転舵トルクが必要なときでも、移動ユニット26によりステアリングブラケット28を回動させるのに要する転舵荷重Fを抑えつつ転舵トルクTを確保することができ、DD型モータを小型化して転舵装置20の小型化を図り易い。
【0033】
なお、上記実施の形態1では、転舵角を増加した場合の例について説明したが、減少する場合であっても同様であり、転舵角の絶対値が増加する際、スイベル軸18からの連結部30の離間距離が増加することにより、この発明の効果を得ることができる。
【0034】
また、上記では、移動軸25がチルト軸23と平行に配設されることにより、転舵角θが0度の状態で、連結ブラケット36の嵌合支柱37とスイベル軸18との距離が最も近接した位置に配置されるように構成したが、この移動軸25の配置は特に制限されることなく、適宜変更可能である。例えば、船外機15のスクリューの回転方向により、右に転舵する場合と左に転舵する場合とで転舵荷重に差が生じる場合、転舵荷重が小さくなる側に転舵された状態で、連結ブラケット36の嵌合支柱37とスイベル軸18との距離が最も近接した位置に配置されるように、移動軸25を斜めに傾斜して配設することも可能である。このようにすれば、転舵荷重が大きくなる側では、連結ブラケット36の嵌合支柱37とスイベル軸18との距離をより大きくすることができて、転舵荷重をより抑えることが可能である。
【0035】
また、上記では、転舵角の増加に従動して連結部30のスイベル軸18からの離間距離を増加するように構成したが、連結部を各種の駆動手段により能動的に移動させるように構成することも可能である。
【0036】
更に、上記では、移動部材である連結ブラケット36をDD型モータにより移動させてているが、特に限定されるものではなく、移動部材を船体幅方向に移動できる手段であれば適宜選択することが可能である。
[発明の実施の形態2]
【0037】
図5は、この発明の実施の形態2を示す。この発明の実施の形態2は、ステアリングブラケット45が異なる他は、発明の実施の形態1と同様の構成を有している。
【0038】
この実施の形態2のステアリングブラケット45は、船外機15に固定された第1のブラケットアーム46と、移動ユニット26の連結ブラケット36に連結ピン48により回動可能に連結されて第1のブラケットアーム46に接続された第2のブラケットアーム47とを備えている。このステアリングブラケット45では、連結ブラケット36に固定された連結ピン48と第2のブラケットアーム47とが連結されることにより連結部40が構成されている。
【0039】
第1のブラケットアーム46は、一端側で船外機15に固定され、他端側に第2のブラケットアーム47側に向けて開口した筒状穴部49を有している。この筒状穴部49は、スイベル軸18の放射方向に沿って一定の断面形状で延び、第2のブラケットアーム47側端部の開口部49aが縮小されている。
【0040】
一方、第2のブラケットアーム47は、一端側で連結ピン48に連結され、他端側に第1のブラケットアーム46の筒状穴部49に収容されて筒状穴部49の内部で摺動可能な摺動部51を有しており、軸部52が筒状穴部49の開口部49aを摺動可能に貫通して配置されている。摺動部51の側周面には、筒状穴部49内で摺動性を確保するための摺動部材53が装着されている。
【0041】
このような構成を有するステアリングブラケット45では、第2のブラケットアーム47の摺動部51が第1のブラケットアーム46の筒状穴部49内で摺動することにより、第2のブラケットアーム47の第1のブラケットアーム46からの突出量を変化させることができるため、ステアリングブラケット45が伸縮可能で、連結部40とスイベル軸18との間の離間距離を変化させることができる。
【0042】
そのため、操船部13のステアリング装置12の操舵角が0度で船外機15の転舵角が0度の状態では、図5に仮想線で示すように、第1のブラケットアーム46と第2のブラケットアーム47とが最も収縮した状態で、連結ピン48が最もスイベル軸18に近接した最小の離間距離L1の位置に配置されている。そして、転舵時に、連結ピン48が移動軸25に沿って矢印A方向に移動すると、連結ピン48がスイベル軸18から離間することができ、最大に転舵した状態では、連結ピン48が最もスイベル軸18から最大に離間した離間距離L2の位置に達する。
【0043】
従って、このようなステアリングブラケット45を備えた実施の形態2の船舶10であっても、実施の形態1と同様に、大きな転舵角で転舵させることにより船外機15の大きな負荷を受けた際、移動ユニット26によりステアリングブラケット28を回動させるのに要する転舵荷重を抑えることができ、DD型モータを小型化して転舵装置20の小型化を図ることが可能である。
【0044】
また、このステアリングブラケット45では、第2のブラケットアーム47の摺動部51が第1のブラケットアーム46の筒状穴部49の内面に当接すると共に、軸部52が筒状穴部49の開口部49aに当接することにより、第2のブラケットアーム47が2箇所で第1のブラケットアームに支持されているため、第1のブラケットアーム46に対して第2のブラケットアーム47の倒れが生じ難く、精度よく転舵操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の実施の形態1の転舵装置を装着したボートの概略平面図である。
【図2】同実施の形態1の転舵装置の概略平面図である。
【図3】同実施の形態1の転舵装置の要部を示す平面図である。
【図4】同実施の形態1の転舵装置の図3の要部の側面図である。
【図5】この発明の実施の形態2の転舵装置のステアリングブラケットを示す平面図である。
【符号の説明】
【0046】
10 船舶
11 船体
12 ステアリング装置
15 船外機
18 スイベル軸
20 転舵装置
25 移動軸
26 移動ユニット
28、45 ステアリングブラケット
30、40 連結部
36 連結ブラケット
37 嵌合支柱
39 スライド嵌合部
46 第1のブラケットアーム
47 第2のブラケットアーム
48 連結ピン
49 筒状穴部
51 摺動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に配設されたスイベル軸廻りに転舵可能に装着された船舶推進装置と、該船舶推進装置を転舵させる転舵装置とを備え、該転舵装置は、船体幅方向に移動可能な移動部材と、前記船舶推進装置に固定されて前記スイベル軸廻りに回動可能なステアリングブラケットとを有し、該ステアリングブラケットと前記移動部材とが連結部において連結され、前記移動部材が前記船体幅方向に駆動されることにより、前記ステアリングブラケットが前記連結部を力点として前記船体幅方向の転舵荷重を受けて回動させられ、前記船舶推進装置が転舵される船舶において、
前記連結部から前記スイベル軸までの離間距離が、前記ステアリングブラケットの回動に応じて変化可能に構成されていることを特徴とする船舶。
【請求項2】
前記連結部は、前記ステアリングブラケットに設けられたスライド嵌合部と、前記移動部材に設けられて前記スライド嵌合部に嵌合された嵌合体とを有し、該嵌合体は前記スイベル軸に対して放射方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記ステアリングブラケットは、前記船舶推進装置に固定された第1のブラケットアームと、前記移動部材に回動可能に連結されて前記第1のブラケットアームと伸縮可能に接続された第2のブラケットアームとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の船舶。
【請求項4】
前記第1及び第2のブラケットアームの一方は、他方側に向けて開口する筒状穴を有し、前記第1及び第2のブラケットアームの他方は、前記筒状穴に摺動可能に収容された摺動部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の船舶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−149814(P2008−149814A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338279(P2006−338279)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000176213)ヤマハマリン株式会社 (256)