説明

色つき炎ロウソクのロウソク本体組成物、その製造方法およびその色つき炎ロウソク

【課題】新規な色つき炎ロウソクのロウソク本体組成物、該ロウソク本体組成物から製造された新規な色つき炎ロウソク及び該色つき炎ロウソクの製造方法を提供すること。
【解決手段】色つき炎ロウソクのロウソク本体組成物であって、以下の成分:
主燃焼剤 60〜95質量%
発色剤 1〜10質量%
ショ糖脂肪酸エステル 1〜10質量%
脂肪酸グリセライド 1〜10質量%
高級脂肪アルコール 1〜10質量%
エッセンスパウダー 適量
を含み、ここで前記質量パーセントは前記組成物の総質量を基準として計算される、ロウソク本体組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な色つき炎ロウソクのロウソク本体組成物およびその使用に関するものである。さらに特には、本発明は改善された生産安全性、燃焼安全性および炎の安定性を伴う色つき炎ロウソクのロウソク本体組成物およびその使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の色つき炎ロウソクは主燃焼剤、発色剤およびその他補助剤から形成されており、赤、黄、青、緑等のような色の炎を伴って燃焼する。色つき炎ロウソクの処方およびその製造プロセスに関して、多くの特許が公開されている。例えば、中国特許出願公開第CN 1073201A号明細書は色つき炎ロウソクおよびその製造を開示し、前記色つき炎ロウソクは主燃焼剤として有機多塩基酸エステル、強度改質剤として高級脂肪酸または脂肪高級アルコール、離型剤として高級脂肪酸アミド、燃焼芯改質剤として金属酸化物および発色剤として金属、有機塩もしくはそれらの錯体を含んでいる。しかしながら、この前記先行技術の中で開示された色つき炎ロウソクは脆弱かつ柔軟性に乏しく、そして不安定な炎を伴って燃焼する。この観点より、本発明者は中国特許出願第02124149.X号明細書で新規な色つき炎ロウソクおよびその製造を開示し、前記色つき炎ロウソクは高い強度と柔軟性を有し、そしてそれゆえにその製造および販売中に簡単に圧壊することはない。しかしながら、すべての従前の色つき炎ロウソクの製造は従来の溶融成形する工程を含み、そしてそれゆえにDIY品には適さない。
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第1073201号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記で述べた状況下で、本発明の発明者は、DIY品の製造要件に適した色つき炎ロウソクの発展を目指して、色つき炎ロウソクの分野における広範囲にわたる研究を実施した。そして結果として本発明の発明者は、この色つき炎ロウソクのロウソク本体の製造中にショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸グリセライドおよび高級脂肪アルコールを加えることによって、熱をかけて成形することなく、はっきりした炎を有する色つき炎ロウソクを得られることを発見した。本発明は上記の発見をもとに完成した。
【0005】
本発明の目的は新規な色つき炎ロウソクのロウソク本体組成物を提供することである。本発明によるロウソク本体組成物は、直接的に圧縮金型成形してもよく、または任意の容器にバルク材料の形態で提供してもよく、そしてロウソクの燃焼芯と結合することによって色つき炎ロウソクとなる。そしてさらに、このロウソクはDIY品の製造要件に適したものである。従来の固形色つき炎ロウソクと比較すると、熱をかけて形成する工程が免除され、そしてそれゆえにこの色つき炎ロウソクを製造するためのプロセスは単純化され、そして環境汚染の問題が大いに回避される。
【0006】
本発明の別の目的は、上述のロウソク本体組成物から製造された新規な色つき炎ロウソクを提供することである。これは良好な着火特性、きれいでかつはっきりした炎および炎の高い保持性を有し、そしてそれゆえに環境に優しい製品である。
【0007】
本発明のさらに別の目的は、上述の色つき炎ロウソクの製造方法を提供することである。これは固形色つき炎ロウソクに従来採用されていたような熱をかけて形成する工程を必要とせず、そしてそれゆえに製造を単純化し、そして環境汚染の問題が大いに回避される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明は一の実施態様において、主燃焼剤、界面活性剤としてショ糖脂肪酸エステル、抗酸化物質と抗白カビ剤として脂肪酸グリセライド、燃焼補助剤として高級脂肪アルコール、発色剤およびエッセンスのような従来の補助剤を含む、色つき炎ロウソクのロウソク本体組成物を提供する。
【0009】
本発明は第二の実施態様において、上述のロウソク本体組成物から形成されるロウソク本体およびロウソク燃焼芯を含む、色つき炎ロウソクを提供する。
【0010】
本発明は第三の実施態様において、上述のロウソク本体組成物を直接的に圧縮金型成形すること、またはこれを容器にバルク材料の形態で提供しそしてそれからロウソク燃焼芯と結合させることを含む、本発明による色つき炎ロウソクを製造するためのプロセスを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明による色つき炎ロウソクのロウソク本体組成物は以下の成分を含む:
主燃焼剤 60〜95質量%
発色剤 1〜10質量%
ショ糖脂肪酸エステル 1〜10質量%
脂肪酸グリセライド 1〜10質量%
高級脂肪アルコール 1〜10質量%
エッセンスパウダー 適量
ここで、前記質量パーセントは前記組成物の総質量を基準として計算される。
【0012】
本発明によるロウソク本体組成物で使用することができる主燃焼剤は当該技術において従来から採用されているものであり、そしてそれらの例はパラホルムアルデヒド、エチルヒドロキシホルメート、パラフィン、セレシン、エチルカーバメート(ウレタン)、無水ソルビン酸、有機多塩基酸エステル、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレンテトラミン(ウロトロピン)、ステアリン酸、酢酸ビニル−エチレンコポリマー樹脂(EVA)等およびこれらの混合物、好ましくはエチルカーバメートおよびシュウ酸ジ−C1〜5アルキル、コハク酸モノ−C1〜5アルキル、クエン酸トリ−C1〜8アルキル等のような有機多塩基酸エステル、およびこれらの混合物、さらに好ましくはシュウ酸ジメチル、コハク酸モノメチル、クエン酸トリメチル、もっとも好ましくはクエン酸トリメチルを含んでもよい。この主燃焼剤は、該組成物の総質量を基準として、60〜95質量%、好ましくは65〜95質量%、さらに好ましくは75〜95質量%の量で使用される。
【0013】
本発明によるロウソク本体組成物で使用することができるショ糖脂肪酸エステルは、特にショ糖C10〜30脂肪酸エステル、より好ましくはモノエステルまたはジエステル、トリエステル等のようなマルチエステルである。本発明の特別な実施態様では、ロングニファインケミカル社(中国 上海)が市販するSEシリーズのショ糖脂肪酸エステル、特にSE11からSE15、より好ましくはSE11が採用され(ここで「11」または「15」のような数字は親水親油バランス値(すなわちHLB値)を意味する)、その量は該組成物の総質量を基準として、1〜10質量%、好ましくは1〜3質量%である。
【0014】
本発明によるロウソク本体組成物で使用することができる脂肪酸グリセライドは、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライドと脂肪酸トリグリセライドであり、好ましくは脂肪酸モノグリセライドであり、その量は該組成物の総質量を基準として、1〜10質量%、好ましくは1〜3質量%である。
【0015】
本発明によるロウソク本体組成物で使用することができる高級脂肪酸アルコールは、C10〜30脂肪アルコール、好ましくはC12、C16、C18脂肪アルコールまたはそれらの混合物、より好ましくはオクタデカノールであり、その量は該組成物の総質量を基準として、1〜10質量%、好ましくは1〜4.5質量%である。
【0016】
本発明によるロウソク本体組成物で使用することができる発色剤は当該技術において従来から採用されているものであり、そしてそれらの例は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、硼素(B)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、セシウム(Cs)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)もしくはアンチモン(Sb)の蟻酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩等のような有機塩、ハロゲン化塩(例えば塩化物、臭化物等)、酸塩化塩、硝酸塩、硫酸塩等のような無機塩、または上述の金属の錯体、またはそれらの混合物であってもよく、その量は該組成物の総質量を基準として、1〜10質量%、好ましくは1.5〜8質量%である。
【0017】
本発明によるロウソク本体組成物で使用することができるエッセンスは当該技術において従来から採用されているパウダー状のものである。パウダーエッセンスの例はレモンエッセンスパウダー、バニラエッセンスパウダー、オレンジエッセンスパウダー、ストロベリーエッセンスパウダー等を含み、その量は例えば該組成物の総質量を基準として、0.001〜0.1質量%、好ましくは0.005〜0.05質量%のような、当該技術において従来から採用されている量である。
【0018】
上記の成分に加えて、本発明によるロウソク本体組成物は、五酸化バナジウム、三酸化クロム等のような当該技術において従来から採用されている酸化促進剤を、当該技術において従来から採用されている量で含むこともできる。
【0019】
本発明による色つき炎ロウソクのロウソク燃焼芯は、綿(コットン)の燃焼芯のような当該技術において従来から採用されているものでもよい。本発明による色つき炎ロウソクで使用されるロウソク燃焼芯は、当該技術における従来方法に従って、上記発色剤またはその他試薬の溶液に浸すことによって前処理を受けてもよい。特に好ましい実施態様では、本発明による色つき炎ロウソクのロウソク燃焼芯は、10質量%過酸化水素水溶液に10分間浸してから空気乾燥することによって前処理がされ、それによって着火特性と炎の安定性が大幅に高められる。
【0020】
本発明によるロウソク本体組成物は直接的に圧縮金型成形され、または任意の容器にバルク材料の形態で提供されそしてそれからロウソク燃焼芯と結合されて、色つき炎ロウソクを形成してもよい。あるいは、本発明によるロウソク本体組成物はDIY品の製造に適したものである。
【0021】
色つき炎ロウソクの従前の製造方法と比較すると、本プロセスは、熱をかけて形成する工程を必要とせず、そしてそれゆえに単純化され、そして環境汚染の問題を大幅に回避する。
【0022】
従前の色つき炎ロウソクと比較すると、本発明による色つき炎ロウソクは、良好な着火特性、きれいでかつはっきりした炎および炎の高い保持性を有し、そして環境に優しい製品である
【実施例】
【0023】
本発明は以下の例によってさらに明らかにされるが、本発明の範囲を限定するものとして解釈されない。
【0024】
例1
赤い炎を伴うロウソクのロウソク本体のための処方は以下のとおりである:
クエン酸トリメチル 94.98%
プロピオン酸リチウム 1.5%
ショ糖脂肪酸エステル(SE11) 1%
ステアリン酸モノグリセライド 1%
オクタデカノール 1.5%
バニラエッセンスパウダー 0.02%
【0025】
上記の成分を容器に室温で加え、そしてそれからロウソク本体組成物を形成するために均質に混合した。ロウソク本体組成物をその後、10質量%過酸化水素水溶液に10分間浸してから空気乾燥することによって既に前処理した綿の燃焼芯が入っている金型へバルク材料の形態で加え、あるいはそのような前処理した綿の燃焼芯が入っている金型で直接的に圧縮金型成形し、最終的な色つき炎ロウソクを得た。
【0026】
例2
黄色の炎を伴うロウソクのロウソク本体のための処方は以下のとおりである:
クエン酸トリメチル 94.98%
酢酸ナトリウム 1.5%
ショ糖脂肪酸エステル(SE11) 1%
ステアリン酸モノグリセライド 1%
オクタデカノール 1.5%
レモンエッセンスパウダー 0.02%
この色つき炎ロウソクは例1と同じ方法で作製した。
【0027】
例3
青い炎を伴うロウソクのロウソク本体のための処方は以下のとおりである:
クエン酸トリメチル 94.98%
硫酸アルミニウムカリウム 1.5%
ショ糖脂肪酸エステル(SE11) 1%
ステアリン酸モノグリセライド 1%
オクタデカノール 1.5%
オレンジエッセンスパウダー 0.02%
この色つき炎ロウソクは例1と同じ方法で作製した。
【0028】
例4
緑色の炎を伴うロウソクのロウソク本体のための処方は以下のとおりである:
クエン酸トリメチル 94.98%
ホウ酸 1.5%
ショ糖脂肪酸エステル(SE11) 1%
ステアリン酸モノグリセライド 1%
オクタデカノール 1.5%
オレンジエッセンスパウダー 0.02%
この色つき炎ロウソクは例1と同じ方法で作製した。
【0029】
例5
スミレ色(バイオレット)の炎を伴うロウソクのロウソク本体のための処方は以下のとおりである:
クエン酸トリメチル 94.98%
塩化カリウム 1.5%
ショ糖脂肪酸エステル(SE11) 1%
ステアリン酸モノグリセライド 1%
オクタデカノール 1.5%
ストロベリーエッセンスパウダー 0.02%
この色つき炎ロウソクは例1と同じ方法で作製した。
【0030】
例6
赤紫色(マジェンタ)の炎を伴うロウソクのロウソク本体のための処方は以下のとおりである:
クエン酸トリメチル 94.98%
硝酸ストロンチウム 1.5%
ショ糖脂肪酸エステル(SE11) 1%
ステアリン酸モノグリセライド 1%
オクタデカノール 1.5%
バニラエッセンスパウダー 0.02%
この色つき炎ロウソクは例1と同じ方法で作製した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色つき炎ロウソクのロウソク本体組成物であって、以下の成分:
主燃焼剤 60〜95質量%
発色剤 1〜10質量%
ショ糖脂肪酸エステル 1〜10質量%
脂肪酸グリセライド 1〜10質量%
高級脂肪アルコール 1〜10質量%
エッセンスパウダー 適量
を含み、ここで前記質量パーセントは前記組成物の総質量を基準として計算される、ロウソク本体組成物。
【請求項2】
前記主燃焼剤がパラホルムアルデヒド、エチルヒドロキシホルメート、パラフィン、セレシン、エチルカーバメート(ウレタン)、無水ソルビン酸、有機多塩基酸エステル、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレンテトラミン(ウロトロピン)、ステアリン酸、酢酸ビニル−エチレンコポリマー樹脂(EVA)およびこれらの混合物からなる群から選択され、かつ前記組成物の総質量を基準として、65〜95質量%、好ましくは75〜95質量%の量で使用される、請求項1に記載されたロウソク本体組成物。
【請求項3】
前記主燃焼剤がエチルカーバメート、シュウ酸ジ−C1〜5アルキル、コハク酸モノ−C1〜5アルキル、クエン酸トリ−C1〜8アルキルおよびこれらの混合物からなる群から選択されてなる、請求項2に記載されたロウソク本体組成物。
【請求項4】
前記主燃焼剤がクエン酸トリメチルである、請求項3に記載されたロウソク本体組成物。
【請求項5】
前記ショ糖脂肪酸エステルがモノエステルまたはマルチエステルであり、かつ前記組成物の総質量を基準として1〜3質量%の量で使用される、請求項1から4のいずれか1項に記載されたロウソク本体組成物。
【請求項6】
前記ショ糖脂肪酸エステルがSE11からSE15、好ましくはSE11である、請求項5に記載されたロウソク本体組成物。
【請求項7】
前記脂肪酸グリセライドが脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライドまたは脂肪酸トリグリセライドであり、かつ前記組成物の総質量を基準として1〜3質量%の量で使用される、請求項1から4のいずれか1項に記載されたロウソク本体組成物。
【請求項8】
前記脂肪酸グリセライドが脂肪酸モノグリセライド、好ましくはステアリン酸モノグリセライドである、請求項7に記載されたロウソク本体組成物。
【請求項9】
前記高級脂肪アルコールがオクタデカノールであり、かつ前記組成物の総質量を基準として1〜4.5質量%の量で使用される、請求項1から4のいずれか1項に記載されたロウソク本体組成物。
【請求項10】
前記発色剤がリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、硼素(B)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、セシウム(Cs)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)もしくはアンチモン(Sb)の有機塩もしくは無機塩、上述の金属の錯体、またはそれらの混合物であり、かつ前記組成物の総質量を基準として1.5〜8質量%の量で使用される、請求項1から4のいずれか1項に記載されたロウソク本体組成物。
【請求項11】
色つき炎ロウソクの製造方法であって、請求項1から10のいずれか1項に記載されたロウソク本体組成物を直接的に圧縮金型成形すること、または該組成物を容器にバルク材料の形態で提供しそしてそれからロウソク燃焼芯と結合させること、を含んでなる色つき炎ロウソクの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載された方法によって得られる色つき炎ロウソクであって、ロウソク燃焼芯と請求項1から10のいずれか1項に記載されたロウソク本体組成物とを含み、該組成物は直接的に圧縮金型成形されるかまたは容器にバルク材料の形態で提供される、色つき炎ロウソク。
【請求項13】
前記ロウソク燃焼芯が10質量%過酸化水素水溶液に10分間浸してから空気乾燥することによって前処理がされる、請求項12に記載された色つき炎ロウソク。

【公開番号】特開2007−46055(P2007−46055A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−213324(P2006−213324)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(506268153)ジアンデ ジアシュアン アーティクルス カンパニー,リミティド (2)
【Fターム(参考)】