説明

色温度の高いセラミックメタルハライドランプ

本発明は、高圧放電ランプに関する。この高圧放電ランプは金属ハロゲン化物の封入物を含んでおり、ハロゲンとしてヨウ素(I)又は臭素(Br)が用いられる。その上、キセノン(Xe)及び水銀(Hg)が使用される。金属ハロゲン化物としては、少なくともガドリニウム(Gd)及びツリウム(Tm)の希土類元素のほかに、ナトリウム(Na)から成るハロゲン化物が用いられる。付加的にはホルミウム(Ho)、プラセオジム(Pr)、インジウム(In)及びタリウム(Tl)も用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による高圧放電ランプに関する。このようなランプは、殊に全般照明のための、セラミック放電容器又は石英ガラス容器を備えた高圧放電ランプである。
【背景技術】
【0002】
EP1153415B1には、金属ハロゲン化物の封入物を用いた高圧放電ランプが開示されている。この高圧放電ランプには、水銀(Hg)及びヨウ化テルビウム(TbI3)のほかに、ナトリウム(Na)又はリチウム(Li)から成る封入物が用いられる。色温度は、4825Kと7070Kとの間の昼光領域である。演色指数(CRI)は87と93との間である。発光効率はわずかに61lm/Wと76lm/Wとの間でしかない。上記文献では、水銀(Hg)及びアルゴン(Ar)のほかに、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化ガドリニウム(GdI3)及びヨウ化タリウム(TlI)を用いたJP51−086281も引用されている。
【0003】
発明の開示
本発明の課題は、色温度が少なくとも5000Kの昼光領域に達する金属ハロゲン化物の封入物を含む高圧放電ランプを提供することである。
【0004】
前記課題は、請求項1に記載の特徴によって解決される。
【0005】
殊に有利な実施形態は従属請求項に明らかである。
【0006】
本発明によれば、有利には5500Kと6500Kとの間の色温度の昼光色のために封入物が用いられており、この封入物には、ナトリウム(Na)、ツリウム(Tm)及びガドリニウム(Gd)から成るハロゲン化物が金属ハロゲン化物として使用される。
【0007】
放電容器はセラミックから成る。アスペクト比(内部長さ/内径)は、有利には2と8との間である。封入ガスとして希ガス、有利には50hPaと500hPaとの間の圧力のキセノン(Xe)又はアルゴン(Ar)が用いられる(コールド)。一般的には、有利にはキセノン(Xe)単独又はほとんどキセノン(Xe)から成っている希ガスの混合物も用いることができる。キセノン(Xe)はアルゴン(Ar)に比べて熱損失がわずか(約1lm/Wと3lm/Wとの間)であることにより一層高い発光効率を得られるが、アルゴン(Ar)よりも高価である。
【0008】
電極間の領域において測定される管壁負荷は、有利には20W/cmと40W/cmとの間である。
【0009】
封入物は、金属ハロゲン化物としてナトリウム(Na)及び希土類元素(RE)の成分を含んでいる。希土類元素として、少なくともガドリニウム(Gd)及びツリウム(Tm)が用いられる。ここでは、ガドリニウム(Gd)とツリウム(Tm)とのモル比は0.1と1との間、殊に有利には0.2と0.8との間である。希土類元素全てとナトリウムとのモル比は、有利には0.2と5との間、殊に有利には0.3と3との間である。付加的な希土類元素(RE)として、プラセオジム(Pr)及び/又はホルミウム(Ho)が適しており、これらの希土類元素の総量の割合は最大でそれぞれ10Mol%である。
【0010】
その上、封入物はインジウム(In)及びタリウム(Tl)を含んでいてもよい。殊に有利には、封入物のうちの2Mol%から20Mol%までがインジウム(In)である。
【0011】
ハロゲンとして、ヨウ素及び/又は臭素が用いられる。殊に有利には、臭素のモルの割合は50%以下である。
【0012】
色温度は、5000K以上、有利には5500Kと6500Kとの間の昼光領域である。本発明による金属ハロゲン化物の封入物を用いると、演色指数は80より大きく、発光効率は90lm/Wを超える。
【0013】
本発明のコンセプトは、とりわけ15Wと400Wとの間の小電力のランプに適している。
【0014】
以下にて、複数の実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】放電容器を備えた高圧放電ランプを示した図
【図2】図1によるランプのスペクトル図
【0016】
発明を実施するための有利な形態
図1には、メタルハライドランプ1が概略的に示されている。このメタルハライドランプ1は、2つの電極(図示せず)が挿入されたセラミック放電容器2から成る。この放電容器は、それ自体公知であるように、引き込み部を含む2つの端部4及び中心部3を備えている。放電容積体(Entladungsvolumen)のアスペクト比は5である。
【0017】
放電容器2は、外管7によって囲まれている。放電容器2は外管内で、短い電流供給部11a及び長い電流供給部11bを含む支持部によって支持され、ねじ込み口金5を用いて封止されている。
【0018】
放電容器は、典型的には、ツリウム(Tm)、タリウム(Tl)、ナトリウム(Na)、インジウム(In)及びガドリニウム(Gd)から成るヨウ化物(5mg/cmと50mg/cmとの間)と、水銀(Hg)(1mg/cmと10mg/cmとの間)とを含む封入物を含んでいる。希ガスとして、キセノン(Xe)が250hPaの圧力下で用いられる(コールド)。
【0019】
詳細な調製は表1において示されている。
【表1】

【0020】
それに伴い、以下のランプの特性データが得られる。
【表2】

【0021】
このような封入物の場合、ヨウ化タリウム(TlI)及びヨウ化インジウム(InI)は場合によっては省くことができる。さらに、あり得る付加的な希土類元素金属はホルミウム(Ho)及びプラセオジム(Pr)である。
【0022】
このようなランプのスペクトルが図2において示されており、ここでは、波長に対する相対放射強度が記録されている。このスペクトルの表す色の色度座標は、x値が0.323であり、y値が0.343である。色温度は5950Kである。演色指数Raは81である。発光効率は91.5lm/Wである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化ナトリウム、希土類元素のハロゲン化物、水銀(Hg)及び希ガスを含む封入物が放電容積体内に封入されており、
該放電容積体を囲繞するセラミック放電容器を備えた高圧放電ランプにおいて、
前記封入物には希土類元素であるツリウム(Tm)及びガドリニウム(Gd)が同時に含まれており、
該ガドリニウム(Gd)とツリウム(Tm)との比率は、モルでみると0.1と1との間である、
ことを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
前記比率は0.2と0.8との間であり、その境界値も含まれる、請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項3】
前記ハロゲン化物はヨウ素(I)及び/又は臭素(Br)であり、有利には臭素(Br)は最大で50Mol%であり、
前記希ガスとして、キセノン(Xe)及び/又はアルゴン(Ar)が用いられる、請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
金属ハロゲン化物は希土類元素として、それぞれ最大10Mol%のホルミウム(Ho)及び/又はプラセオジム(Pr)を含んでいる、請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項5】
付加的に金属ハロゲン化物として、インジウム(In)及び/又はタリウム(Tl)のハロゲン化物が用いられる、請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項6】
前記水銀(Hg)の含有量は、1mg/cmと20mg/cmとの間である、請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項7】
前記希土類元素全てとナトリウム(Na)とのモル比は、0.2と5との間、有利には0.3と3との間である、請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項8】
前記ランプの演色指数は少なくとも80である、請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項9】
前記ランプの発光効率は少なくとも90lm/Wである、請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項10】
前記色温度は少なくとも5000K、殊に5500Kと6500Kとの間である、請求項1記載の高圧放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−507836(P2012−507836A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535071(P2011−535071)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064032
【国際公開番号】WO2010/052142
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(508096703)オスラム アクチエンゲゼルシャフト (92)
【氏名又は名称原語表記】OSRAM AG
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Str. 1, 81543 Muenchen Germany
【Fターム(参考)】