説明

色調ゲージ

【課題】 色相学的に好適な配色バランスの学習効果が期待でき、加えて、着色紙のラインナップ数(同一色相における)や、カラーマーカーペン等のラインナップ数(同一色相における)にあわせて、微妙な色選びが容易にできる色調ゲージを提供すること。
【解決手段】 色相環1bが彩色された基板1aの外周部に、その色相環1bを構成する夫々の色相毎に該基板1a裏面側へ折り畳み可能な舌片1cが設けられてなる色相板1と、基板1a中央部を中心として回動可能に設けられ色相環1bを用いて配色バランスや補色関係を指し示す線図3aが施された略円板状の指針板3とを備える。さらに、舌片1cに、着色紙のラインナップ数(同一色相における)や、カラーマーカーペン等のラインナップ数(同一色相における)にあわせた色で彩色する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色相学的に好適な配色バランス等を報知させる色調ゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、色相学的に好適な配色バランス等を報知させる色調ゲージがある。この色調ゲージは、例えば、12色の純色よりなる色相環の中央部に、円板状のゲージ本体を回転自在に設け、このゲージ本体に、配色を表示する複数の罫線を設けて構成されており、ゲージ本体を回転させて目的色に罫線を合せることにより、目的色を基調とした色の配色が容易に選択できるようになっている。この色調ゲージは、例えば、絵画用のパレットの一部に設けられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−53000号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、昨今、写真を使ったクラフトとして、スクラップブッキング(アルバム作りのクラフト)が流行している。
【0005】
このスクラップブッキングは、アルバムページにストーリーを持たせたりして、娯楽性に富んだものであるが、着色紙の選択や、文字やイラストを描くカラーマーカーペン等の色の組み合わせ(カラーマッチング)が作品のセンスとなり、重要な要素となっている。
【0006】
そこで、色相学的に好適な配色バランス等が把握できる色調ゲージを用いることによって、誰にでも簡単にセンスの良いスクラップブッキングが可能になる。
【0007】
しかしながら、従来の色調ゲージは、単に、色相環の中央部に、配色を表示する複数の罫線を設けた円板状のゲージ本体を回転自在に設けたものであるため、色相学的に好適な配色バランスを指し示した以外の色相も同じ彩色面積で表示されたままであり、その結果、従来の色調ゲージは、他の色相が邪魔して印象の弱いものであった。
【0008】
したがって、ユーザーは、好適な配色バランスが記憶しづらく、常に色調ゲージを頼ることとなり、色相学的な学習効果の向上が期待できない。
【0009】
また、その一方で、スクラップブッキング等を行う場合、着色紙のラインナップ数(同一色相における)や、カラーマーカーペン等のラインナップ数(同一色相における)にあわせて、微妙な色選びが容易にできる色調ゲージが提供できれば極めて利便性が高くなる。
【0010】
そこで本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決できる色調ゲージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記技術課題を達成するために、本発明にかかる色調ゲージは、下記の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1にかかる色調ゲージは、色相環が彩色された基板の外周部に、その色相環を構成する夫々の色相毎に該基板裏面側へ折り畳み可能な舌片が設けられてなる色相板と、前記基板中央部を中心として回動可能に設けられ、前記色相環を用いて配色バランスや補色関係を指し示す線図が施された略円板状の指針板とを備えてなることを特徴とする。
請求項2にかかる色調ゲージは、請求項1において、前記基板の裏面に、折り畳まれた前記舌片の先部を係止させる係止部が設けられていることを特徴とする。
請求項3にかかる色調ゲージは、請求項1または2において、前記舌片に彩色された色相は、異ならせた複数の彩度でもって、または/および、異ならせた複数の明度でもって、彩色されていることを特徴とする。
請求項4にかかる色調ゲージは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記線図は、正三角形状、二等辺三角形状、正方形状、長方形状に形成され夫々の頂点で配色パターンを指し示す図形と、補色関係を指し示す矢印とを備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、色相環が彩色された基板の外周部に、その色相環を構成する夫々の色相毎に該基板裏面側へ折り畳み可能な舌片が設けたことにより、指針板が指し示した所望する配色バランス以外の色相が彩色された舌片を、基板裏面側に折り畳むことによって、所望した配色バランスからなる色相のみが浮き立つ。したがって、見た目の印象が強まり、配色バランスの学習効果を向上することができる。
【0013】
また、舌片を係止させる係止部を設けたから、基板裏面側に折り畳んだ(不要な)舌片が開くのを防止することができる。さらに、すべての舌片を基板裏面側に折り畳み、係止部に係止することによってコンパクトな状態を維持するから、収納時の利便性を向上することができる。
【0014】
また、舌片に彩色された色相を、異ならせた複数の彩度でもって、または/および、異ならせた複数の明度でもって彩色することにより、微妙な配色バランス選びが容易にできる。特に、スクラップブッキング等を行う場合、着色紙やカラーマーカーペン等の同一色相におけるラインナップ数にあわせた数の彩色をこの舌片に施すことにより、極めて容易に、微妙な配色バランスの着色紙やカラーマーカーペンの選択ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明にかかる色調ゲージの実施の形態を説明する。本実施の形態にかかる色調ゲージは、着色紙やカラーマーカーペンを用いるスクラップブッキングに好適なものが例示されている。なお、図中、符号Aは色調ゲージを、符号1は色相板を、符号2は係止板(係止部)を、符号3は指針板を夫々示す。
【0016】
本実施の形態にかかる色調ゲージAは、図1に示すように、色相板1と、係止板2(係止部)と、指針板3とを備えて構成される。
【0017】
色相板1は、ポリエチレンコーティングされた紙材や薄板状の合成樹脂部材で略正12角形状に形成された基板1aの表面に、中心を通過する対角線でもって12等配された放射状の色相環1bが彩色されており、さらに、その各辺を折り曲げ基端1dとして略環状の舌片1cが基板1aと連続するように設けられてなる。この色相環1bの外周部には、“5Y”、“4YOr”といった夫々の色相を示す色記号が印字されている。
【0018】
また、この舌片1cには、舌片1cにおける折り曲げ基端1d側部を夫々の色相と連続した色相で彩色され、折り曲げ基端1d側から舌片1c頂部に向かう一方側を段階的に明度を上げた彩色がされると共に、折り曲げ基端1d側から舌片1c頂部に向かう他方側を段階的に明度を下げた彩色がされている。さらに、これらの段階的に明度を異ならせた夫々の彩色領域内には、明度を示す明度番号が印字されている。
【0019】
すなわち、図1に示すように、例えば“1R”の色相の場合、舌片1cにおける明度番号5の領域の色と色相板1に印字された“1R”の領域の色とが一致しており、舌片1cの明度番号1の領域に向かって漸次1Rにおける明度を上げた彩色がされ、他方、舌片1cの明度番号8の領域に向かって漸次1Rにおける明度を下げた彩色がされている。
【0020】
さらに、この上記した色記号と明度番号は、図示しない着色紙やカラーマーカーペンに付された色記号及び明度番号とに対応づけられており、当該色調ゲージAから所望した色の着色紙やカラーマーカーペン等が即座に選び出せるようになっている。
【0021】
本実施の形態では、この舌片1cに、複数の異なる明度でもって彩色されているが、複数の異なる彩度でもって彩色しても良く、さらに、複数の異なる明度及び彩度でもって彩色してもよい。なお、彩色パターンは特に限定されない。
【0022】
係止板2は、ポリエチレンコーティングされた紙材や薄板状の合成樹脂部材で構成され、色相板1の舌片1cが基板1a裏面側に折り畳まれた際、舌片1cの先部を係止板2と色相板1との間に挿し込んで係止させる所要の径からなる円板状を呈しており、係止板2の中心から上方に向かって突設されたピン2aを備えてなる。
【0023】
この係止板2に突設されたピン2aは、色相板1の中心に、且つ、裏面側から挿嵌されており、さらに、色相板1の裏面中心部と係止板2表面中心部とが接着されて、この係止板2と色相板1とが一体化されている。
【0024】
指針板3は、ポリエチレンコーティングされた紙材や薄板状の合成樹脂部材で略円板状に形成され、色相環1bを用いて配色バランスを指し示す図形と、補色関係を指し示す矢印とからなる線図3aが表面に印刷されている。この図形は、図1に示すように、正三角形状、二等辺三角形状、正方形状、長方形状に形成され、夫々の頂点に、色相環1bの色相を指し示す矢印が付されている。これらは色相学的に好適な配色バランスを指し示すものである。
【0025】
すなわち、正三角形の図形を用いた場合は、色相環を三等分する位置にある色を組み合わせた三色配色となり、色相が均等な位置にあるため、バランスの取れた配色になる(正三角形配色)。
【0026】
二等辺三角形の図形を用いた場合は、色相環でメインとして決めた色と、その色の反対色の両隣の色を組み合わせた三色配色となり、色相に類似性と対照性のバランスを作り出す配色になる(二等辺三角形配色)。
【0027】
正方形の図形を用いた場合は、色相環を四等分する位置にある色を組み合わせた四等配色となり、色相が均等な位置にあるため、バランスのとれた配色になる(正方形配色)。
長方形の図形を用いた場合は、2色の補色関係になる色を組み合わせた4色配色となり、色相に類似性が出る配色になる(長方形配色)。
【0028】
補色関係を指し示す矢印を用いた場合は、色相環でメインとして決めた色と、その反対色を組み合わせた補色色相配色となり、色みに対照的なイメージを与える。
また、この他に、色相環でメインとして決めた色の左右2色から4色までの色を使った類似色相配色があり、色みに類似性があるので調和しやすい配色になる。
【0029】
この指針板3は、図1及び図2に示すように、係止板2に突設されたピン2aに指針板3中心が挿嵌されて回動可能に支持されている(上記したピン2aに枢着されている)と共に、ピン2aの頭部がカシメられて、係止板2がピン2aから抜けないようになっている。なお、この指針板3は、舌片1cの折り曲げ基端1dより内側に且つ基端近傍に、指針板3外周縁が位置する所要の径からなっている。
【0030】
次に、以上のように構成された本実施の形態にかかる色調ゲージAの使用例について説明する。なお、この使用例は、着色紙やカラーマーカーペンを用いるスクラップブッキングを例に説明する。
【0031】
まず、すべての舌片1cを開いた状態にし、指針板3を回動して、正三角形状、二等辺三角形状、正方形状、長方形状等のいずれかの線図3aの頂点に付された矢印を所望する色相に合わせる。または、すべての舌片1cを閉じた状態で、指針板3の外周端より外側に見えている色相環1bを頼りに、指針板3を回動して、所望する色相に矢印を合わせる。
【0032】
例えば、正三角形状に引かれた線図3aを利用する場合、この正三角形状に引かれた線図3aの一頂点に付された矢印を所望した色相に合わせる。このようにすることにより、この色相と、他の頂点に付された2箇所の矢印が指し示した色相(2色)を合わせた3色の配色が、色相学的に好適な配色バランスとなり、ユーザーは色選びの際の参考情報を得る。
【0033】
このとき、矢印で指し示された3色以外の9色の舌片1cを基板1a裏面側に折り畳み、舌片1cが開かないように、係止板2と色相板1との間に舌片1cの先部を挿し込んで係止する。このようにすることで、所望した配色バランスからなる3色のみが浮き立つことになり、その結果、見た目の印象が強まって配色バランスの学習効果が向上する(図3参照)。なお、正方形状、長方形状の線図3aを利用した場合、舌片1cの折り畳み個所は、当然のことながら指し示された4色以外8色部分の舌片1cを折り畳むことになる。
【0034】
さらに、矢印で指し示された3色の夫々の舌片1c内に彩色された複数の異なる明度に対し、所望の明度の色相を夫々選び出す。このとき、色相環1bに印字された色番号と所望した明度の明度番号を読み取り、それと合致した色番号及び明度番号の着色紙やカラーマーカーペンを選び出す。このようにして、色相学が不知のユーザーでも、調和の取れた色彩感覚でもって、センスの良い作品作りが可能になる。
【0035】
そして、色調ゲージAの使用が終了したら、図4に示すように、すべての舌片1cを基板1a裏面側に折り畳み、係止板2に係止して、所望の場所へ収納する。
【0036】
以上、本実施の形態にかかる色調ゲージAを説明したが、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施の形態にかかる色調ゲージを示し、すべての舌片を開いた状態の色調ゲージの正面図である。
【図2】図1における横断面図である。
【図3】色選定時における色調ゲージの正面図である。
【図4】すべての舌片を折り畳んだ状態の色調ゲージの正面図である。
【符号の説明】
【0038】
A 色調ゲージ
1 色相板
1a 基板
1b 色相環
1c 舌片
1d 折り曲げ基端
2 係止板
2a ピン
3 指針板
3a 線図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色相環が彩色された基板の外周部に、その色相環を構成する夫々の色相毎に該基板裏面側へ折り畳み可能な舌片が設けられてなる色相板と、
前記基板中央部を中心として回動可能に設けられ、前記色相環を用いて配色バランスや補色関係を指し示す線図が施された略円板状の指針板と
を備えてなることを特徴とする色調ゲージ。
【請求項2】
前記基板の裏面に、折り畳まれた前記舌片の先部を係止させる係止部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の色調ゲージ。
【請求項3】
前記舌片に彩色された色相は、異ならせた複数の彩度でもって、または/および、異ならせた複数の明度でもって、彩色されていることを特徴とする請求項1または2記載の色調ゲージ。
【請求項4】
前記線図は、正三角形状、二等辺三角形状、正方形状、長方形状に形成され夫々の頂点で配色パターンを指し示す図形と、補色関係を指し示す矢印とを備えてなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の色調ゲージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−315194(P2006−315194A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−137247(P2005−137247)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(000142920)株式会社呉竹 (24)