説明

艶消し塗工紙

【課題】 適度の白紙光沢度と優れた印刷光沢度を有する、軽量化した艶消し塗工紙の提供することにある。
【解決手段】 填料として無定型シリケートを紙重量当たり3〜12重量%含有し、製紙パルプとして機械パルプを10重量%以上含有する原紙上に、塗工顔料の体積基準粒径が0.4〜4.2μmの範囲に65%以上含まれる顔料の塗工層を設けた塗工紙を、剛性ロール温度150℃以上のソフトニップカレンダーで処理してなるダル調艶消し塗工紙。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷用艶消し塗工紙に関し、軽量ダル調艶消し塗工紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、印刷物に対し、写真や図案を多用し、更にカラー化するなどにより、視覚的に内容を強力に伝達しようとする(以下視覚化という)強い要望がある。一方、省資源、輸送および郵送コストなどの点から印刷物の軽量化に対しても強い要望がある。この二つの要望は相反するものであって、視覚化に適するグレードの塗工紙は原紙坪量、塗工量とも多く、軽量化の要望にそぐわない。塗工紙は、高光沢塗工紙と艶消し塗工紙に大別される。高光沢塗工紙は、従来高級印刷に用いられていたアート紙、スーパーアート紙などであり、印刷仕上がりは白紙光沢も印刷光沢も高いグロス調である。艶消し塗工紙は白紙光沢と印刷光沢によりダル調、マット調がある。マット調は、白紙面、印刷面ともに光沢が低くフラットで落ち着いた感じの印刷物で、ダル調は、白紙光沢度は低いが、印刷光沢度は高いという、グロス調とマット調の中間のものである。ダル調は、従来のグロス調のものより落ち着いた高級感が好まれ、近年需要が増えている。例えばダルアート紙として坪量157g/m、両面塗工量40〜50g/m、密度(緊度)1.18g/cmのダルアート紙の典型的品質は、75°光沢度35%、60°印刷光沢度55%(4色重刷部)となっている(印刷と用紙188頁紙業タイムス社 1996年発行)。
【0003】このダル調の艶消し塗工紙を軽量化しようとして、例えば上記ダルアート紙の原紙坪量および塗工量を半分にして総坪量60g/mのものとすると、印刷光沢度が著しく低下して10〜30%程度となり、不透明度が低下して裏写りの問題が発生するおそれが増大し、さらに、剛度が不足して印刷機への通紙性が不安定となって安定した印刷操業性が保てなくなる。総坪量60g/mのままで、印刷光沢度を改善すべく、塗工層の塗工量を多くすれば、その分原紙坪量を下げざるを得ず、ますます不透明度と剛度が不足し実用にならない。この不透明度と剛度が実用的な程度にまで改善すべく原紙坪量を増加させれば、その分今度は塗工量を極めて少なくせざるを得ず、表面の被覆性が不足して印刷光沢度が極めて低い不鮮明な画像となってしまう。また、不透明度を改善する方法として、原紙に不透明性が大きい二酸化チタンのような無機填料を内添する方法が公知であるが、無機填料を内添すると原紙の密度は逆に増大し剛度が低下してしまう。 不透明度と剛度を保ちながら原紙を軽量化する方法として、特公昭52−118116号公報に中空の合成有機物のカプセルを配合する方法が開示され、また、抄紙時のドライヤーの熱で発泡させる合成有機発泡性填料(例えば商品名EXPANSEL、日本フィライト株式会社製)を配合する方法が知られている。しかし、これらの方法は、抄紙時の乾燥条件など、安定した操業条件を得ることが困難であり、大量生産が必要な品種には適当とはいえない。また、填料ではないが、特開平8−13380号公報に微細フィブリル化セルロースを添加する方法が提案されている。しかしこの方法では、微細フィブリル化セルロースを別に調整する必要があり、さらに抄紙時にパルプのフリーネスをCSF400ml以上、好ましくはCSF500ml以上にする必要があるが、機械パルプを多く配合した紙料ではフリーネスを調整することが困難であって、機械パルプを使用する中質紙などへの工業的適用はできない。
【0004】このように、従来の技術の単なる応用では所望の特性を持った軽量化したダル調塗工紙を得ることはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況に鑑みて、本発明の課題は、実用に適した不透明度、剛度を有する、低白紙光沢にも関わらず相対的に高い印刷光沢度を有する軽量ダル調艶消し塗工紙を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明等は、上記課題について鋭意研究した結果、製紙用パルプとして機械パルプを10重量%以上含有し、填料として無定型シリカを紙重量当たり3〜12重量%含有した原紙上に、顔料粒子が体積基準で0.4〜4.2μmの範囲に65%以上含まれる粒径分布を有する顔料の塗工層を設けた塗工紙であって、この塗工紙を剛性ロールの温度が150℃以上のソフトニップカレンダーで処理することにより低坪量でも低密度で紙厚があり、従って不透明度と剛度を実用に足る状態に保つことができ、白紙光沢度は低いままで、相対的に印刷光沢度が高い画像を得ることができ、前記課題が解決されることを見いだし本発明を完成した。原紙を構成するパルプは機械パルプを10重量%以上含有させることが必要である。機械パルプは化学パルプに比べ繊維が剛直なので、機械パルプを配合した原紙は抄紙工程でかかる各種の圧力で紙層が潰れることが少なく、全体として嵩高になるから、原紙内部の空隙量が増し、不透明度が向上し、同時に剛度も大きくなる。機械パルプの中でもグランドパルプは低密度化への寄与が高く好ましく用いることができる。機械パルプの配合量が10重量%未満では、填料やカレンダー条件を最適化しても十分な不透明度と剛度を得ることはできない。機械パルプは白色度や塗工適正等の点から製紙用パルプの60重量%以下とすることが好ましい。機械パルプの樹種は特に限定するものではないが、ガムウッド、メープル、バーチ等は繊維が粗大な分、原紙は低密度になりやすい。機械パルプ以外のパルプは特に限定するものではなく、化学パルプや古紙パルプを使用することができる。特に古紙パルプの使用は、古紙中の機械パルプを本発明の機械パルプとすることができる点、および資源の有効使用という点で好ましい。
【0007】填料は、上記パルプ条件の下において、原紙中に無定型シリケートを紙重量当たり3〜12重量%含有させる。3重量%未満では塗工原紙が低密度にならず、パルプ配合、カレンダー条件を最適化しても十分な低密度原紙を得ることができない。逆に12重量%を超えて配合した場合、パルプ重量当たりの填料粒子数が多くなり、繊維間結合が阻害される確率が高くなって塗工層を設けた後においても印刷作業性に適した表面強度を維持することができない。また、無定型シリケートの嵩比重は0.2〜0.8g/mlであることが望ましく、更に好ましくは0.4〜0.7g/mlである。嵩比重が0.2g/ml未満の無定型シリケートを含有する塗工原紙を使用した場合、塗工紙自体の表面強度が低下する。嵩比重が0.8g/mlを越える無定型シリケートを含有する塗工原紙を使用した場合、塗工紙の密度が高くなり目的とする低密度嵩高紙を得ることが困難となる。本発明の無定型シリケートは、含水ケイ酸の軽金属塩であって、含水ケイ酸ナトリウム、含水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸アルミニウムナトリウム、含水ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸マグネシウム等を例示することができる。これら無定型シリケートは、単独で使用しても、2種以上併用しても良い。
【0008】原紙の坪量は一般の塗工紙に用いられる30〜400g/m程度のものを適宜用いることができるが、本発明の効果が顕著となるのは、原紙の不透明性や通紙性が問題となってくる80g/m以下、特に25〜60g/mである。
【0009】塗工用顔料としては、体積基準で0.4〜4.2μmの範囲に65%以上含まれる粒径分布の顔料を使用することが重要である。体積基準で0.4〜4.2μmの範囲に入る粒子が65%以下であって、体積分布粒径が小さい粒子を多く含む顔料を使用した場合、白紙光沢度は高くなるが、体積分布粒径が大きい粒子が多い顔料を使用した場合と比較して、印刷面光沢度は低く、原紙被覆性も劣る。そのため、体積分布粒径が小さい粒子が多い顔料を使用し、塗工量を減らした場合、たとえ原紙坪量を増やしたとしても優れた白紙外観と印刷適性を備えた嵩高な艶消し塗工紙を製造することは困難である。また、体積基準で0.4〜4.2μmの範囲に入る粒子が65%以下であって、体積分布粒径が大きい粒子を多く含む顔料を使用した場合、印刷光沢度および原紙被覆性は良好になるが、体積分布粒径が小さい粒子が多い顔料を使用した場合と比較して白紙光沢度が低くなりすぎ、やはり優れた白紙外観と印刷適性を備えた嵩高な艶消し塗工紙を製造することは困難である。
【0010】本発明で用いられる顔料の種類は、この体積基準分布を満たすものであれば特に制限はなく、塗工用顔料として従来から用いられているカオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料、プラスチックピグメントなどの有機顔料であり、これらの顔料は必要に応じて単独又は二種以上混合して使用することができる。本発明においては、塗料の塗工適正や塗工紙の品質など所望の性質を得るため、通常複数の顔料を併用することが好ましいが、その場合顔料全体として粒子が体積基準で0.4〜4.2μmの範囲に65%以上含まれる粒径分布であることが重要である。本発明の顔料は粒径分布に特徴があり、通常用いられる塗工用顔料に比べて、比較的大きな粒径のものが多い分布を有するものであり、これらの分布をあらかじめ持っている顔料を選択して使用するか、あるいは分級して本発明で規定する範囲のものとして使用する。このようにすることにより、低塗工量でも原紙表面の被覆度を上げることができ、低白紙光沢度であるにも関わらず、相対的に高い印刷面光沢度を得ることができる。
【0011】このようにして得られた塗工紙は、弾性ロールと150℃以上に加熱した剛性ロールからなる高温ソフトニップカレンダーで表面仕上げを行うことが必要である。塗工紙の含有水分が適当であれば、剛性ロール温度が高いほど低いニップ圧あるいは短いニップ滞留時間で原紙あるいは塗工層を平滑化することができるが、150℃未満ではこの効果を得ることはできない。従来のスーパーカレンダーを使用して得られるのと同程度の白紙光沢度および印刷光沢度を、高温ソフトニップカレンダーで得るには、低ニップ圧かつ短いニップ滞留時間とすることができるから、塗工層および原紙の密度は低くなり、不透明度が高く、剛度がある低密度で嵩高な艶消し塗工紙となり、その上従来のスーパーカレンダーよりも処理速度が速く、巻取りの枠替えなどが省略できるため、効率よく生産でき操業性に優れる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の艶消し塗工紙は、化学パルプ、古紙パルプなどの製紙用パルプに機械パルプを10重量%以上配合し、叩解してパルプスラリーとし、これに無定型シリケートを原紙重量当たり3〜12重量%となるよう添加して紙料とする。填料は紙料スラリーの抄紙適性や強度特性を調節する目的で、無定型シリケート以外に少量のタルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタンを混合しようしても良い。
【0013】これらの紙料に必要に応じ通常抄紙工程で使用される薬品類、例えば紙力増強剤、サイズ剤、消泡剤、着色剤などを添加し、抄紙する。抄紙方法は特に限定されるものではなく、トップワイヤーなどを含む長網マシン、丸網マシン、この両者の併用マシン、ヤンキードライヤーマシンなどを用いて、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙方式で抄紙する。また、サイズプレス、ゲートロールコーター、プレメタリングサイズプレスを使用して、澱粉、ポリビニルアルコールなどを予備塗工した原紙や、顔料と接着剤を含む塗工液を一層以上予備塗工した原紙も使用することができる。
【0014】原紙上に、本発明の粒径分布を満たす単独または混合した顔料を接着剤および必要に応じて添加剤を配合した塗料を塗工する。接着剤は塗工紙用に従来から用いられている、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、あるいはポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体などの通常の塗工紙用接着剤1種以上を適宜選択して使用される。これらの接着剤は顔料100重量部当たり5〜50重量部、より好ましくは10〜30重量部程度の範囲で使用される。
【0015】また、必要に応じて配合する添加剤としては、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤が適宜使用される。
【0016】調整された塗工液は、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター等を用いて、一層もしくは二層以上を原紙上に両面塗工する。塗工量は、所望の特性に応じて決定されるが、本発明の場合およそ原紙坪量が60g/mの場合、6〜10g/m、40g/mの場合5〜8g/m程度の少ない塗工量で、十分な被覆性と、印刷面光沢度を得ることができる。
【0017】湿潤塗工層を乾燥させる方法としては、例えば上記加熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等の各種方式のドライヤを単独あるいは組み合わせて用いる。
【0018】本発明においては、上述した塗工原紙に塗工液を塗工乾燥した後、剛性ロール温度150℃以上の高温ソフトニップカレンダーで加圧仕上げする。剛性ロールとしては金属ロールが好ましい。高温ソフトニップカレンダーは、温度のみならずニップ滞留時間も重要である。この点から実際の操業では、ロール相当径300mm以上、弾性ロールのショアーD硬度80〜100、好ましくは85〜95であって、ロール相当径500mmに換算した場合、通紙速度400〜3000m/分。線圧30〜500kg/cm、カレンダー前塗工水分5〜8%で、カレンダーニップ数2以上で処理を行うことが好ましい。尚、ロール相当径とは、A.V.Lyonsらが下記の計算式で示した(1990 TAPPI Finishing and Converting, P5)ロール相当径(equivalent diameter)を指す。
(ロール相当径)=(ソフトロール径)×(チルドロール径)/{(ソフトロール径)+(チルドロール径)}
【0019】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらの例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%はそれぞれ重量%を示す。
【0020】尚、得られた艶消し塗工紙について以下に示すような評価法に基づいて試験を行った。
(白紙光沢度)JIS P 8142に基づいて測定した。
(印刷光沢度)RI−II型印刷試験器を用い、東洋インキ製造株式会社製枚葉プロセスインキ(商品名TKハイエコー紅 MZ)を0.30cc使用して印刷を行い、一昼夜放置後、得られた印刷物の表面をJIS P 8142に基づて測定した。
(密度)JIS P 8118に基づいて測定した。
(強度)RI−II型印刷試験器を用い、東洋インキ製造株式会社製特殊インキ(商品名SMXタックグレード15)を0.40cc使用して印刷を行った後、裏取りを行い、剥け状態を以下の基準で目視評価した。
◎:極めて良好,○:良好,△:やや劣る,×:劣る(不透明度)JIS P 8138に基づいて測定し、評価は以下の基準で行った。
○:良好,△:やや劣る(剛度)JIS P8143に基づいて測定し、評価は以下の基準で行った。
○:良好,△:やや劣る[実施例1]
[塗工液の調成]エンジニアードカオリン(エンゲルハード社製 ECLIPS650, 体積分布粒径0.40〜4.20μm:65.3%)80部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製 FMT−90,体積分布粒径0.40〜4.20μm:71.9%)20部からなる顔料(体積分布粒径0.40〜4.20μm:66.6%)に、分散剤として対顔料でポリアクリル酸ソーダ0.2部を添加してセリエミキサーで分散し、固形分濃度が70%の顔料スラリーを調成した。このようにして得られた顔料スラリーに、非増粘型のスチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(ガラス転移温度15℃、ゲル含量75%)10部、およびヒドロキシエチルエーテル化澱粉(ペンフォード社製 PG295)6部を加え、さらに水を加えて濃度60%の塗工液を得た。
[原紙]填料として含水ケイ酸アルミニウムソーダを紙重量あたり4重量%(嵩比重 0.4g/ml)、タルクを6重量部含有し、製紙用パルプとして機械パルプを30重量%含有する坪量46g/mの中質紙を塗工原紙として用いた。
[塗工紙の製造]上記の原紙に前述の塗工液を片面当たりの塗工量が7g/mになるように、800m/分の塗工速度のブレードコーターで両面塗工を行い、紙水分が5.5%になるように乾燥した。
[カレンダー]次いで、ロール相当径400mm、金属ロール温度160℃、弾性ロールのショアー硬度85,通紙速度650m/分、線圧40kg/cmで、カレンダーニップ数2ニップの条件でソフトニップカレンダー処理を行い艶消し塗工紙を得た。
[実施例2]填料として含水ケイ酸アルミニウムソーダを紙重量あたり3重量%(嵩比重0.4g/ml)、タルクを7重量部含有し、製紙用パルプとして機械パルプを11重量%含有する中質紙を塗工原紙として使用した以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[実施例3]填料として含水ケイ酸アルミニウムソーダを紙重量あたり10重量%(嵩比重0.4g/ml)含有し、製紙用パルプとして機械パルプを40重量%含有する中質紙を塗工原紙として使用した以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[実施例4]填料として含水ケイ酸アルミニウムソーダを紙重量あたり4重量%(嵩比重0.4g/ml)、タルクを6重量部含有し、製紙用パルプとして新聞古紙パルプより得られた機械パルプを30重量%含有する中質紙を塗工原紙として使用した以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[実施例5]顔料として、ブラジル産カオリン(リオカピム社製 カピムDG, 体積分布粒径0.40〜4.20μm:68.4%)70部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製 FMT−75,体積分布粒径0.40〜4.20μm:69.5%)30部からなる顔料(体積分布粒径0.40〜4.20μm:68.7%)に、分散剤として対顔料でポリアクリル酸ソーダ0.2部を添加してセリエミキサーで分散し、固形分濃度が70%の顔料スラリーを調成した以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例1]填料として含水ケイ酸アルミニウムソーダを紙重量あたり1重量%(嵩比重0.4g/ml)、タルクを9重量部含有し、製紙用パルプとして機械パルプを15重量%含有する中質紙を塗工原紙として使用した以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例2]填料として含水ケイ酸アルミニウムソーダを紙重量あたり13重量%(嵩比重0.4g/ml)含有し、製紙用パルプとして機械パルプを17重量%含有する中質紙を塗工原紙として使用した以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例3]填料として含水ケイ酸アルミニウムソーダを紙重量あたり5重量%(嵩比重0.4g/ml)、タルクを5重量部含有し、製紙用パルプとして機械パルプを8重量%含有する中質紙を塗工原紙として使用した以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例4]填料としてタルクを10重量部含有し、製紙用パルプとして機械パルプを20重量%含有する中質紙を塗工原紙として使用した以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例5]実施例1のソフトカレンダーのロール温度を120℃に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例6]顔料として、微粒クレー(エンゲルハード社製 MIRASHEEN, 体積分布粒径0.40〜4.20μm:60.2%)80部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製 FMT−90,体積分布粒径0.40〜4.20μm:71.9%)20部からなる顔料(体積分布粒径0.40〜4.20μm:62.5%)に、分散剤として対顔料でポリアクリル酸ソーダ0.2部を添加してセリエミキサーで分散し、固形分濃度が70%の顔料スラリーを調成した以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例7]顔料として、2級クレー(ドライブランチカオリン社製 DBコート, 体積分布粒径0.40〜4.20μm:57.6%)60部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製 FMT−90,体積分布粒径0.40〜4.20μm:71.9%)40部からなる顔料(体積分布粒径0.40〜4.20μm:63.3%)に、分散剤として対顔料でポリアクリル酸ソーダ0.2部を添加してセリエミキサーで分散し、固形分濃度が70%の顔料スラリーを調成した以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例8]顔料として、デラミネーテッドクレー(ドライブランチカオリン社製 DBプレート, 体積分布粒径0.40〜4.20μm:48.1%)25部、2級クレー(ドライブランチカオリン社製 DBコート, 体積分布粒径0.40〜4.20μm:57.6%)25部、微粒クレー(カダム社製 AMAZON, 体積分布粒径0.40〜4.20μm:53.8%)25部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製 FMT−90,体積分布粒径0.40〜4.20μm:71.9%)25部からなる顔料(体積分布粒径0.40〜4.20μm:57.9%)に、分散剤として対顔料でポリアクリル酸ソーダ0.2部を添加してセリエミキサーで分散し、固形分濃度が70%の顔料スラリーを調成した以外は、実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例9]市販されている坪量60.2g/mの日本製紙製微塗工紙「スーパーピレーヌDx」を比較に用いた。
[比較例10]市販されている坪量60.2g/mの日本製紙製微塗工紙「ピレーヌDx」を比較に用いた。
【0021】以上の効果を、表1に示した。
【0022】
【表1】


【0023】
【発明の効果】本発明の構成により、低密度かつ印刷光沢度が優れた艶消し塗工紙を効率よく得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 製紙用パルプとして機械パルプを10重量%以上含有し、填料として無定型シリカを紙重量当たり3〜12重量%含有した原紙上に、顔料粒子が体積基準で0.4〜4.2μmの範囲に65%以上含まれる粒径分布を有する顔料の塗工層を設けた塗工紙であって、この塗工紙を剛性ロールの温度が150℃以上のソフトニップカレンダーで処理してなる艶消し塗工紙。
【請求項2】 無定型シリケートの嵩比重が0.2〜0.8g/mlである請求項1記載の艶消し塗工紙。

【公開番号】特開2000−345493(P2000−345493A)
【公開日】平成12年12月12日(2000.12.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−23214(P2000−23214)
【出願日】平成12年1月31日(2000.1.31)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】