説明

花卉用容器カバー

【課題】切花を見栄え良く陳列することが可能なバケツカバーを提供する。
【解決手段】水揚げバケツを収容するカバー本体11には、側壁板13の下部13aに2組の貫通孔群15,16が形成されるとともに、側壁板13の上部13bに1組の貫通孔群17が形成される。これらの貫通孔群15〜17は貫通孔20a〜25aとこれに対向する貫通孔20b〜25bによって構成される。また、カバー本体11の各貫通孔群15〜17には、略コ字状に折り曲げられた棒状部材12を挿し込むことが可能となっている。側壁板13の下部13aに設けられる貫通孔群15,16に棒状部材12を挿し込むことにより、棒状部材12によって水揚げバケツを底上げすることが可能となる。さらに、側壁板13の上部13bに設けられる貫通孔群17に棒状部材12を挿し込むことにより、棒状部材12によってカバー本体11の開口部11aを仕切ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花卉の陳列容器を収容する花卉用容器カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
卸売業者から販売店に配送された切花は、水揚げバケツ等の陳列容器に収容した状態で販売されている。このような切花は贈り物として購入されることも多いため、特許文献1に記載されるようなフラワースタンドを用いて切花を見栄え良く陳列することが重要となっている。
【0003】
ところで、水揚げバケツは黒色や深緑色などのプラスチック製が多く、このような水揚げバケツを露出させることは、陳列された切花の見栄えを損なう要因となっていた。そこで、販売店においては、水揚げバケツよりも一回り大きなバケツカバーを用いて水揚げバケツを覆うことにより、切花の見栄えを向上させるようにしている。
【特許文献1】特開2002−17536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、切花に応じて様々な寸法の水揚げバケツが用意されるため、水揚げバケツ毎に様々な寸法のバケツカバーを準備することは、販売店の販売コストを増大させる要因となっていた。また、様々な寸法のバケツカバーを店頭に並べることは、購入者に対して乱雑な印象を与えるおそれもあり、切花を販売する上で好ましいことではない。
【0005】
本発明の目的は、コストを抑制しながら花卉を見栄え良く陳列することが可能な花卉用容器カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の花卉用容器カバーは、花卉の陳列容器を収容する花卉用容器カバーであって、前記陳列容器を囲う側壁に第1貫通孔とこれに対向する第2貫通孔とが形成されるカバー本体と、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とに通され、前記カバー本体に掛け渡される棒状部材とを有することを特徴とする花卉用容器カバー。
【0007】
本発明の花卉用容器カバーは、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは前記側壁の下部に形成され、前記棒状部材によって前記陳列容器を底上げすることを特徴とする。
【0008】
本発明の花卉用容器カバーは、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは前記側壁の上部に形成され、前記棒状部材によって前記カバー本体の開口部を仕切ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カバー本体に対して第1貫通孔とこれに対向する第2貫通孔とを形成し、棒状部材を第1貫通孔と第2貫通孔とに通してカバー本体に掛け渡すようにしたので、棒状部材によって陳列容器を底上げしたり、棒状部材によってカバー本体の開口部を仕切ったりすることが可能となる。これにより、各種陳列容器に対する花卉用容器カバーの汎用性を高めるとともに、花卉を見栄え良く陳列することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である花卉用容器カバーを示す斜視図であり、図2〜図4は花卉用容器カバーの使用状態を示す説明図である。
【0011】
まず、図1に示すように、花卉用容器カバーとしてのバケツカバー10は、底付き円筒状に形成されるカバー本体11と、このカバー本体11に組み付けられる略コ字状の棒状部材12とによって構成されている。カバー本体11は、緩やかなテーパ状に丸められた側壁としての側壁板13と、この側壁板13の下端を閉塞する底板14とによって形成されている。また、カバー本体11を構成する側壁板13の下部13aには2組の貫通孔群15,16が形成されており、側壁板13の上部13bには1組の貫通孔群17が形成されている。なお、図示するカバー本体11にあっては、ブリキ板やステンレス板などの金属材料を用いて形成されているが、プラスチックなどの樹脂材料を用いて形成しても良い。
【0012】
最下段に形成される貫通孔群15は、第1貫通孔である2つの貫通孔20a,21aと第2貫通孔である2つの貫通孔20b,21bとによって構成されており、これらの貫通孔20a,21aと貫通孔20b,21bとは相互に対向している。同様に、下から2段目に形成される貫通孔群16は、第1貫通孔である2つの貫通孔22a,23aと第2貫通孔である2つの貫通孔22b,23bとによって構成されており、これらの貫通孔22a,23aと貫通孔22b,23bとは相互に対向している。また同様に、最上段に形成される貫通孔群17は、第1貫通孔である2つの貫通孔24a,25aと第2貫通孔である2つの貫通孔24b,25bとによって構成されており、これらの貫通孔24a,25aと貫通孔24b,25bとは相互に対向するようになっている。なお、例えばカバー本体11の全高を約380mmとすると、貫通孔群15はカバー本体11の下端から約25mmの高さ位置に形成され、貫通孔群16はカバー本体11の下端から約95mmの高さ位置に形成され、貫通孔群17はカバー本体11の下端から約365mmの高さ位置に形成されているが、これらの全高や高さ位置に限られることはなく、適宜変更しても良いことはいうまでもない。
【0013】
また、カバー本体11に組み付けられる棒状部材12は、カバー本体11の各貫通孔20a〜25bに対して挿入される一対の挿入棒部12a,12bと、これらの挿入棒部12a,12bを連結する連結部12cとを備えている。隣り合う貫通孔20a〜25bの間隔は等しく形成されており、棒状部材12はいずれの貫通孔群15〜17に対しても挿入することが可能となっている。そして、この棒状部材12をカバー本体11の貫通孔群15〜17に対して挿し込むことにより、カバー本体11の内側に挿入棒部12a,12bが掛け渡されるようになっている。なお、図示する棒状部材12にあっては、ステンレスやスチールなどの金属棒を折り曲げて形成しているが、パイプ状の金属棒を折り曲げて形成するようにしても良い。
【0014】
続いて、バケツカバー10の使用方法について説明する。図2〜図4に示すように、バケツカバー10は、側壁板13の下部13aに高さ位置の異なる2組の貫通孔群15,16を備えるため、高さ寸法が異なる3種類の水揚げバケツ(陳列容器)B1〜B3に対応させることが可能となる。図2(A)および(B)に示すように、カバー本体11に近い高さ寸法H1を備える水揚げバケツB1を収容する場合には、棒状部材12を組み付けることなくカバー本体11単体で使用する。そして、図3(A)および(B)に示すように、水揚げバケツB1よりも低い高さ寸法H2を備える水揚げバケツB2を収容する場合には、最下段の貫通孔群15に対して棒状部材12を挿し込むことにより、水揚げバケツB2を高さ寸法Haだけ底上げした状態で使用することが可能となる。さらに、図4(A)および(B)に示すように、水揚げバケツB2よりも低い高さ寸法H3を備える水揚げバケツB3を収容する場合には、下から2段目の貫通孔群16に対して棒状部材12を挿し込むことにより、水揚げバケツB3を高さ寸法Hbだけ底上げした状態で使用することが可能となる。
【0015】
このように、水揚げバケツB1〜B3を囲う側壁板13に高さ位置の異なる2組の貫通孔群15,16を形成するようにしたので、棒状部材12の挿入位置に応じて水揚げバケツB1〜B3を底上げすることができ、様々な大きさの水揚げバケツB1〜B3に対して1つのバケツカバー10を対応させることが可能となる。これにより、販売店が準備するバケツカバー10の数を削減することができるため、コストを抑制しながらバケツカバー10を用いて切花(花卉)Fを見栄え良く陳列することが可能となる。しかも、図2(B)〜図4(B)に示すように、水揚げバケツB1〜B3の高さ寸法H1〜H3が異なる場合であっても、ほぼ同じ高さ位置に切花Fを陳列することができるため、切花Fの見栄えを向上させることが可能となる。なお、貫通孔群15,16の数を増減させることにより、対応させることが可能な水揚げバケツの種類を増減させても良い。
【0016】
また、棒状部材12によって水揚げバケツB1〜B3を底上げするだけでなく、棒状部材12を上部13bの貫通孔群17に挿入して水揚げバケツB1〜B3の上方に掛け渡すことにより、カバー本体11の開口部11aを棒状部材12によって仕切ることも可能である。ここで、図5(A)は貫通孔群17に対して棒状部材12を挿入する前の状態を示す斜視図であり、図5(B)は貫通孔群17に対して棒状部材12を挿入した後の状態を示す斜視図である。図5(A)に示すように、販売が進むことによって水揚げバケツB1内の切花Fが閑散とした状態になると、切花Fの見栄えを損なうおそれがあるため、図5(B)に示すように、貫通孔群17に対して棒状部材12を挿入するようにしている。このように、貫通孔群17に棒状部材12を挿入することにより、少ない切花Fをまとめて配置することができるため、少ない切花Fを見栄え良く陳列することが可能となる。さらに、貫通孔群17に対して棒状部材12を挿入した場合には、カバー本体11の開口部11aを3つに仕切ることができるため、異なる種類の切花Fを1つの水揚げバケツB1に綺麗に収容して販売することも可能となる。
【0017】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、図示する場合には、カバー本体11に対して3組の貫通孔群15〜17を形成するようにしているが、貫通孔群の数を4組以上に増加しても良く、貫通孔群の数を2組以下に削減しても良い。たとえば、図6(A)のカバー本体30に示すように、貫通孔群17に加えて側壁板13の上部13bに貫通孔群31を形成することにより、2つの棒状部材12が交わるように組み付けると、カバー本体30の開口部30aを更に多くの区画に仕切ることができるため、少ない切花を中央にまとめて配置したり、多数種の切花を1つの水揚げバケツに見栄え良く収容したりすることが可能となる。
【0018】
また、図1に示すカバー本体11にあっては、断面形状が円形となるように丸められているが、この断面形状に限られることはなく、図6(B)に示すように、6角形の断面形状を備えるカバー本体32を用いるようにしても良い。なお、他の多角形の断面形状を備えるカバー本体によってバケツカバーを構成しても良く、星形や楕円形の断面形状を備えるカバー本体によってバケツカバーを構成しても良い。
【0019】
また、前述した棒状部材12にあっては、略コ字状に折り曲げられた形状を有しているが、この形状に限られることはなく、略U字状に折り曲げるようにしても良く、図6(B)に示すように、直線状に伸びる棒状部材33を用いるようにしても良い。なお、図示する場合には、棒状部材33を貫通孔群17に挿し込むようにしているが、棒状部材33を貫通孔群15,16に挿し込むようにしても良いことはいうまでもない。また、図1に示す場合には、2本の挿入棒部12a,12bを備えた棒状部材12となっているが、3本以上の挿入棒部を備えた棒状部材を用いることも可能である。なお、この場合には、カバー本体11に対して挿入棒部の数に合わせた貫通孔を形成することはいうまでもない。
【0020】
また、図1に示す場合には、4つ以上の貫通孔によって1組の貫通孔群15〜17を形成しているが、これに限られることはなく、直線状の棒状部材33を用いる場合には、図6(C)のカバー本体34に示すように、第1貫通孔35aとこれに対向する第2貫通孔35bとによって1組の貫通孔群35を形成しても良く、第1貫通孔36aとこれに対向する第2貫通孔36bとによって1組の貫通孔群36を形成しても良い。さらに、図6(C)に示すように、貫通孔群35,36の位置を周方向にずらして形成することにより、カバー本体34に対して棒状部材33を交わるように組み付けても良い。
【0021】
なお、図1に示す場合には、1つの棒状部材12を複数の貫通孔群15〜17に対応させているが、個々の貫通孔群15〜17に合わせて挿入棒部12a,12bの長さ寸法や間隔を設定するようにしても良い。つまり、個々の貫通孔群15〜17に対して専用の棒状部材を設計するようにしても良い。また、これまで説明したカバー本体11,30,32,34にあっては、緩やかなテーパ状に形成されているが、外径寸法をほぼ一定に保った円筒状や多角柱状にカバー本体を形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態である花卉用容器カバーを示す斜視図である。
【図2】(A)および(B)は花卉用容器カバーの使用状態を示す説明図である。
【図3】(A)および(B)は花卉用容器カバーの使用状態を示す説明図である。
【図4】(A)および(B)は花卉用容器カバーの使用状態を示す説明図である。
【図5】(A)は上部の貫通孔群に対して棒状部材を挿入する前の状態を示す斜視図であり、(B)は上部の貫通孔群に対して棒状部材を挿入した後の状態を示す斜視図である。
【図6】(A)〜(C)は本発明の他の実施の形態である花卉用容器カバーを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
10 バケツカバー(花卉用容器カバー)
11 カバー本体
11a 開口部
12 棒状部材
12a,12b 挿入棒部
12c 連結部
13 側壁板(側壁)
13a 下部
13b 上部
14 底板
15〜17 貫通孔群
20a,21a 貫通孔(第1貫通孔)
20b,21b 貫通孔(第2貫通孔)
22a,23a 貫通孔(第1貫通孔)
22b,23b 貫通孔(第2貫通孔)
24a,25a 貫通孔(第1貫通孔)
24b,25b 貫通孔(第2貫通孔)
30 カバー本体
30a 開口部
31 貫通孔群
32 カバー本体
33 棒状部材
34 カバー本体
35,36 貫通孔群
35a,36a 第1貫通孔
35b,36b 第2貫通孔
B1〜B3 水揚げバケツ(陳列容器)
H1〜H3 高さ寸法
Ha,Hb 高さ寸法
F 切花(花卉)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
花卉の陳列容器を収容する花卉用容器カバーであって、
前記陳列容器を囲う側壁に第1貫通孔とこれに対向する第2貫通孔とが形成されるカバー本体と、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とに通され、前記カバー本体に掛け渡される棒状部材とを有することを特徴とする花卉用容器カバー。
【請求項2】
請求項1記載の花卉用容器カバーにおいて、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは前記側壁の下部に形成され、前記棒状部材によって前記陳列容器を底上げすることを特徴とする花卉用容器カバー。
【請求項3】
請求項1記載の花卉用容器カバーにおいて、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは前記側壁の上部に形成され、前記棒状部材によって前記カバー本体の開口部を仕切ることを特徴とする花卉用容器カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−282961(P2007−282961A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115375(P2006−115375)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(593038930)インパック株式会社 (7)