説明

花卉野菜類の簡易育成具

【課題】 所要のプランター内に花卉や野菜の種子が混合敷設された培地ユニットを装着のうえ加水するのみで、花卉の開花や野菜の育成収穫できる花卉や野菜等の簡易育成具を提供する。
【解決手段】 所要のプランターと、このプランター内に単数若しくは複数で装着しえる寸法形状で、全体が密閉フィルムで密閉され、その内側の外包材が吸水滅失素材からなり且その内部に軽量な培土と肥料が混合され、而も良好に発芽生育できるような間隙で吸水崩壊材に種子が挟持された種子シートとが混合敷設された培地ユニットとからなり、該培地ユニットの密閉フィルムを剥除のうえプランター内に装着し加水するのみで開花若しくは育成収穫の可能な、花卉野菜類の簡易育成具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は花卉や野菜類を極めて簡便に育成することの可能な育成具に係るもので、更に詳しくは適宜のプランター内に培地ユニットを装着し加水のみで多種に亘る花卉や野菜類を簡便に育成できる簡易育成具に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国では成長経済期とともに都市化が急速に拡大化し、現状の首都圏では略7%の国土面積に対し略1/3に相当する人口が集中するに至っており、かかる都市部への集中に伴って土地の有効利用が不可欠となり、これにより店舗や事務所はもとより住居までも重構造高層化建物に移行され、とりわけ都市部や都市近傍には膨大数のマンションや団地建物が林立している。
ところで近年においては地球温暖化はもとより、都市部においては緑地はもとより地面までもが大幅に減少し、反面において道路や建物等のコンクリート化が増大したことから、太陽光の照り返しが激しく、而も店舗や事務所ばかりか住居からの冷暖房に係る熱風等の排出とも相俟ってヒートアイランド化現象も増長されている。
【0003】
これがため新規建築建物においては所要の緑地を確保する設計思想に変更がなされているものの、ヒートアイランドを増長する主要としてはコンクリート道路に加えて、成長期に膨大数に建設された中層若しくは低層陸屋根建物とされている。
これがためこれら建物に対しては屋上緑化が提唱されているものの、かかる中層並びに低層陸屋根建物は構造強度も不十分なため極めて軽量な屋上緑化施設が要請されること、及びこれら建物も立替え時期を迎えていること等より十分な実施には至っていない。
【0004】
他方都市部の重構造高層化建物による住居においてはコンクリート構造による殺伐さや空虚さから自然感や癒しが強く希求されており、更には緑化によるヒートアイランド化防止のうえからも僅かなベランダスペース等においても花卉や野菜等の栽培指向が富みに高まっている。
これがためデパートやスーパーを初めホームセンターや雑貨店等に亘って園芸栽培セットや花卉栽培セット等の多種多様なものが展示販売されてなるが、これら園芸栽培セットや花卉栽培セットは、適宜素材と内容量からなるプランター若しくは鉢体と、育成栽培する花卉や野菜に適合すると考えられる数種の培土と、育成促進のための数種に亘る肥料及び花卉や野菜等の種子が展示されてなる態様であるから、購買者はある程度の知識をもとにプランターを初め培土、肥料、種子等を購入のうえ、プランター内への培土の充填量の調整や肥料の選択とその混合割合の調整、播種間隙や播種深さ等を勘案しつつ育成栽培せねばならない。とりわけこれら園芸栽培セットや花卉栽培セットには特段の保水機能も無いため、水切れによる枯死も多々発生する。
【0005】
然るにかかる育成栽培具では十分な予備知識や経験が無い者には極めて扱い難く、且仮令育成栽培のための培土や肥料の調整をなして播種したとしても栽培者各自の調整誤差も極めて大きく従って育成状況ばかりか開花や収穫等にも大きな差異が生まれる状況にある。そして、長期に亘り都市部で成長した若者やその結婚家族を初め都市部高層住宅での居住者等は花卉園芸の栽培体験も皆無に近く、従って反面において鉢花飾り等簡単なものについては積極的に利用されている。
【0006】
発明者等はかかる実情に鑑み研究を重ねた結果、自然感や癒し作用の高い花卉類や野菜類の種子を吸水滅失素材からなる外包材内に、その育成に適した軽量培土と肥料を混合充填し、且予め所要の採播間隔を保持しえるよう吸水崩壊材に挟持させたうえ混合敷設させて培地ユニットとなし、この培地ユニットを所要のプランター内に装着させ加水するのみで、十分な保水性も保持され花卉や野菜を安定して開花させ若しくは収穫しえることを究明し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は所要のプランター内に花卉や野菜の培地ユニットを装着させて加水するのみで、花卉や野菜を安定して開花させ若しくは収穫しえる花卉野菜類の簡易育成具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために本発明が採用した技術手段は、適宜素材と寸法形状からなるプランターと該プランター内に単数若しくは複数個で装着しえる寸法形状で全体が密閉フィルム材で密閉されてなり、その外包材が吸水滅失素材からなり、その内部には混合される種子の育成に優れる軽量培土並びに肥料と、所要の育成間隙を以って発芽生長できるように吸水崩壊材に種子が挟持配置された種子シートとが混合敷設された培地ユニットと、該培地ユニットをプランター内に適宜装着させたうえ加水するのみで、所望の花卉を開花させ若しくは野菜類を育成収穫することの可能な、花卉野菜類の簡易育成器に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述の如き構成からなるため、以下の如き効果を発揮する。即ち培地ユニットはその全体が密閉フィルム材で密閉されてなるため、長期に亘って保存が可能であるばかりか、その全体形状がプランター内に単数で若しくは複数個に装着しえる寸法形状に形成されてなるとともに、その外包材が吸水減失素材から形成され、且その内部には育成する花卉若しくは野菜等の育成に最適で軽量な培土と肥料が混合され、而も花卉や野菜の種子が最適な発芽生長間隙を以って育成可能なよう吸水崩壊材に挟持された種子シートも混合埋設されてなるから、実用使用に際しては本発明培土ユニットの密閉フィルム材を除去のうえ、適宜のプランター内に適宜に組合せて配位装着させて加水するのみで、何等の栽培技術を要することなく老若男女を問わず誰でも好みの花卉を開花させ若しくは野菜等の育成収穫が可能となる。加えて培地ユニットは軽量であるから育成作業はもとより運搬作業等も簡便になしえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
吸水滅失素材からなる外包材内に軽量な培土と脂量が適宜容量割合で、且吸水崩壊材に花卉若しくは野菜の種子が、適宜間隙で挟持分散配置された種子シートが混合敷設されたうえ、全体が密閉フィルム材で密閉された培土ユニットを、プランター内に装着し加水して使用する。
【実施例1】
【0011】
以下に本発明実施例を図とともに説明すれば、図1は本発明の培地ユニットの断面説明図、図2は同培地ユニットの説明図であって、該培地ユニット1は所望のプランター3内に単数若しくは複数個で装着しえる形状及び寸法で形成されるとともに、加水4のみで花卉の開花や野菜等の育成収穫を図るため、加水4による水分を十分に吸水保持して育成を高めるとともに、育成後には吸水滅失せしめて培土2と同化せしめて廃棄問題を消除し、而も育成時にはその内部に所要容量の培土2並びに肥料3及び花卉や野菜の種子3が所要の育成間隙を以って発芽生育できるよう吸水崩壊材3Bに所要間隙に挟持され分散配置された種子シート2Cとが混合敷設された状態で収納されるよう外包材1Bが形成されている。そして本発明においては、花卉の開花や野菜等の育成収穫はその花卉や野菜等種類により周年に亘って育成されるものであるから、予め形成した培地ユニット1は、その保管中に吸水若しくは吸湿により発芽せぬよう密閉状態に保持させる必要上、密閉フィルム材1Aにより密閉された構成からなるものである。
【0012】
そこでかかる構成を更に詳しく説明すれば、培地ユニット1はその培地2内に混合されてなる花卉や野菜の種子の内から好みの培地ユニット1を選択し、その外表面全体を密閉してなる密閉フィルム1Aを剥除したうえ、適宜のプランター3内に装着させたうえ加水4のみにより開花させ若しくは育成収穫させるものである。
これがため培地ユニット1はプランター3内に単数で若しくは複数で装着できるような寸法及び形状に形成される。そして該培地ユニット1はプランター3内に容易に装着しえる寸法形状を保持しえるような保形性と、且加水4によりその水分を十分に保水しえるとともに、使用後は吸水滅失して培土2と同化し廃棄処理の問題を消化しえる外包材1Bが望まれることから、該外包材1Bとしてはボール紙やピートモス成形材等が好都合である。
【0013】
そしてかかる外包材1B内には、適宜の花卉や野菜類が加水4のみによって十分に育成し開花や収穫が可能なように培土2と肥料2B並びに花卉や野菜が健苗育成し開花や収穫がなしえるような種子シート2Cが混合敷設されている。
この培土2は極めて広範囲に亘るものが提案されるが、本発明においては取扱作業や運搬等を簡便となすうえから軽量な培土2が望まれることから図3に示す如く廃棄土等からなる培土2に見掛比重が略0.1のパーライトからなる改良材2Aを略20乃至30容量%割合で混合した物を初め、該パーライトからなる改良材2Aに代えて竹繊維を同等容量割合に混合させた物も使用でき、更には培土2自体をピートモスやバカラ或いはバーク等で代替使用すると開花や収穫後の培土2もゴミとしての廃棄や可能となり、而も開花や育成収穫には差支えない。
【0014】
そしてかかる培土2には育成のための花卉や野菜への育成を促進させるうえから更に肥料2Bが混合されている。この肥料2Bは通常の窒素分、リン酸分、加里分を主成分とする物であるが、当然に育成する花卉や野菜の種類によりその成分割合と混合量が決定されるが、混合量としては培土2の容量に対して0.1乃至5.0%容量割合が目処となる。
加えて肥料2Bは有機肥料でも無機肥料でも差支えは無いが、本発明においては培土2、肥料2B及び種子2Dが予め混合されて長期に保管されるものであるから、その保管期間中において吸水や吸湿により肥料2Bの発酵や種子2Dの発芽がなされぬよう、培土ユニット1全体には密閉フィルム1Aを1密閉包被させているが、より確実な発酵な防止のうえからは無機肥料が好都合である。
【0015】
更に本発明においては都市部における重構造高層住宅即ちマンションや団地等のベランダ等において、複雑な育成管理や手間を省きながら開花による癒しや収穫による喜びを享受するものであるから、適宜のプランター等に装着したうえは、加水4により確実な開花や育成収穫が可能なることが望まれるもので、これがためには種子2Dの発芽育成が過密に若しくは過粗になることがないよう、花卉や野菜等の種類による種子2Dの生長特性を十分に加味して、予め種子2D相互の間隔が配位された状態で種子シート2Cに挟持させ、外包材1B内に培土2と共に混合され敷設されることが望まれる。そしてかかる種子シート2Cの素材としては加水4により吸水崩壊しえるものが好適であって、具体的素材としては薄葉紙が挙げられる。
【0016】
加えて本発明は具体的な花卉や野菜の種子2Dが所要の間隔を保持して挟持配位された種子シート2Cが培土2と共に混合され敷設されてなる培土ユニット1を、適宜のプランター3内に装着のうえ加水4のみで開花や育成収穫を図るものであるが、一般的なプランター3は排水孔が無いため過剰な加水4に際しては根腐れの危険を孕むことから、外包材1Bの底面1Cに通気溝1Dを形成させることにより根腐れ防止が図れる。
図4はプランター3内に複数個の培地ユニット1、1a、1b、1cが装着された態様を示す説明図であり、図5には本発明の使用態様図が示されている。
【産業上の利用可能性】
【0017】
市場において使用されているプランター内に培地ユニットの密閉フィルムを剥除のうえ装着し、加水するのみで所望の花卉を開花させ若しくは野菜の育成収穫ができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】 培地ユニットの説明図である。
【図2】 培地ユニットの断面説明図である。
【図3】 パーライトの改良材が混合された培土の説明図である。
【図4】 プランター内への培地ユニットの装着説明図である。
【図5】 本発明の使用態様図である。
【符号の説明】
【0019】
1 培土ユニット
1A 密閉フィルム
1B 外包材
1C 外包材の底面
1D 通気溝
2 培土
2A 改良材
2B 肥料
2C 種子シート
2D 種子
3 プランター
4 加水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適宜素材と寸法形状に形成されたプランターと、該プランター内に単数若しくは複数個で装着しえる寸法形状からなり、全体が密閉フィルムにより密閉され、且その内側には所要の寸法形状に保形され吸水により滅失して培土と同化しえる吸水滅失素材からなる外包材が形成されてなり、而もこの外包材の内部には軽量な培土と肥料が混合充填されたうえ且所望の花卉若しくは野菜の種子が良好に発芽育成できる間隙に吸水崩壊材に挟持された種子シートが混合敷設された培土ユニットとからなり、該培土ユニットの密閉フィルムを剥除のうえプランター内に装着し、加水により花卉の開花若しくは野菜の育成収穫をなすことを特徴とする花卉野菜類の簡易育成具。
【請求項2】
軽量な培土が腐葉土にパーライト若しくは竹繊維が20乃至30容量%割合で混合された構成からなる、請求項1記載の花卉野菜類の簡易育成具。
【請求項3】
軽量な培土がピートモス、バカラ若しくはバークからなる、請求項1記載の花卉野菜類の簡易育成具。
【請求項4】
外包材がボール紙或いはピートモス若しくはバカラの成形板状材からなる、請求項1乃至請求項3記載の花卉野菜類の簡易育成具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−217714(P2011−217714A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99255(P2010−99255)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(510114158)日本水処理テクノ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】