説明

花火および花火セット

【課題】花火本体あるいは花火の包装を見れば、どの生産者が製造した花火なのか判断することが可能な花火を提供する。
【解決手段】手持ち花火1は、本体部111と着火リボン112により構成されている。本体部111の着火リボン側近傍には肖像121及びメッセージ文122が表示されている。肖像121は、生産者の顔写真を印刷したものである。メッセージ文122には「私が作りました。私の写真の方向から炎が出ます。」の文とともに「○□△○(生産者の名前)」が表示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花火に関する。更に詳しくは、花火の外装に生産者等が表示された花火に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、農作物の包装等において生産者表示が行われている。これは、特定生産者の栽培方法や土壌改良あるいは食の安全性確保等の努力によって秀でた食味を持つに至った農産物を、他の生産者の農産物と区別するために行うものである。つまり、生産者表示は他の生産者の農産物との識別標識であり、味や鮮度の質を担保するものである。
生産者表示を施すことにより、店頭等で農作物を購入する際に、消費者は前回購入して美味しかった生産者の農産物、あるいは美味しいと評判のある生産者の農産物を選択することができる。また、安全な農作物を求める消費者にとっては、例えば、無農薬農法を行っている生産者の生産した農作物を選択する手掛かりとなる。
上記農産物の生産者表示の発明としては、下記特許文献1に示すものが提案されている。
【特許文献1】登録実用新案第3017062号公報
【0003】
一方、花火業界における消費者が求めるものは、花火の炎色の美しさ、炎色の変化の楽しさである。この炎色の美しさ等は火薬の配合によってそれぞれ異なるものであり、花火生産者の技量や火薬の配合センスが問われるところである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、現在は、消費者が花火を購入する際に、会社名で花火を特定することはできても、実際にどの花火生産者が作った花火かを見分ける方法はないのが現状である。このため、好みの炎色を発する等の花火を見つけ気に入ったとしても、次回購入時にその花火を作った花火生産者を特定して該花火生産者の製作した花火を選択することができない。
【0005】
また、花火は子供が好む玩具であるが、遊戯中に火傷の危険を伴うものであるため、製品の品質には万全の管理が必要である。
しかし、近年花火業界では安い輸入花火の流通量が増加傾向にあるため製品管理が事実上困難であり、花火輸出国のなかには日本より低い安全基準を採用する生産国の花火もあるため、発火不良等の事故が起きる心配もある。
このため、購入時において、安全な花火を製作している国内花火生産者の花火を選択できれば遊戯時の安全性が向上し、ひいては消費者保護に繋がる。
【0006】
更にまた、現在我が国では製造物責任法が施行されているが、現在流通している花火は遊戯方法の注意書きを細かい字体で表示している場合が多いため読みにくく、消費者が誤った使用方法によって火傷等した場合、製造者である花火生産者が訴えられるような事態を招く恐れがある。
【0007】
(発明の目的)
そこで、本発明の目的は、花火本体あるいは花火の包装を見れば、どの生産者が製造した花火なのか判断することが可能な花火を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的としては、花火の包装等を一見するだけで遊戯方法等が簡単に理解でき、花火を使用する消費者の安全性向上に寄与する花火を提供することにある。
【0009】
更にまた、本発明の他の目的としては、異なる種類の花火を詰め合わせた花火セットであっても、各花火の生産者等を判別することができる花火セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
第1の発明にあっては、
花火本体または/および花火包装体に、生産者の肖像を表示していることを特徴とする、
花火である。
【0011】
第2の発明にあっては、
肖像の表示箇所を、特定箇所に限定していることを特徴とする、
第1の発明に係る花火である。
【0012】
第3の発明にあっては、
花火本体または/および花火包装体に、使用上の注意等の製品情報を表示しており、製品情報は、その内容を理解しやすいような字体、字の大きさ、配色等を選択し、配置していることを特徴とする、
第1または第2の発明に係る花火である。
【0013】
第4の発明にあっては、
二種類以上の花火を収容する花火セットであって、
花火本体、花火包装体、花火固定部材の中から選ばれた一又は二以上に、
生産者の肖像、または生産者の肖像と製品情報を表示しており、
該製品情報は、その内容を理解しやすいような字体、字の大きさ、配色等を選択し、配置しており、
花火の種類毎に生産者を判別できるよう構成されていることを特徴とする、
花火セットである。
【0014】
本明細書及び本特許請求の範囲にいう「花火」は、各種玩具花火のほか、例えば、花火大会で使用するような大がかりな打ち上げ花火及び仕掛け花火等を含む意味で使用している。
【0015】
本明細書及び本特許請求の範囲にいう「花火本体または/および花火包装体」は、花火本体または花火包装体のいずれか一方を含む場合もあるし、あるいは、花火本体および花火包装体の両方を含む意味で使用している。
【0016】
本明細書及び本特許請求の範囲にいう「包装体」は、花火本体を収納する袋、筺体その他の包装体等を含む意味で使用している。
【0017】
本明細書及び本特許請求の範囲にいう「特定箇所」は、例えば、棒状の吹き出し花火の場合、着火部または把持部のいずれか一方であって、当該箇所に肖像を印刷等することにより使用者が一瞥して着火部または把持部のいずれであるか判別できるような箇所を含む意味で使用している。
【0018】
本明細書及び本特許請求の範囲にいう「製品情報」は、花火を使用する際の着火部、または把持部、着火部及び把持部の判別、その他当該花火特有の動きや危険性を記載した、いわゆる遊戯方法あるいは注意書きを含む意味で使用している。
【0019】
本明細書及び本特許請求の範囲にいう「肖像」は、花火生産者の写真、似顔絵、コンピュータグラフィックスの似顔絵を含む意味で使用している。
【0020】
(作 用)
花火購入時に花火本体等に表示された生産者の肖像を見て、例えば過去に購入して炎色等が気に入っている花火生産者の花火を選択及び購入する。
【0021】
また、花火本体等に、生産者の肖像とともに製品情報がわかりやすいよう表示されているものは、花火使用時に該製品情報を参考にすることができる。
【0022】
更にまた、花火本体等の花火生産者等の肖像を表示したものであって、その生産者毎に肖像を表示する位置を特定箇所(例えば、炎吹き出し口または棒状花火の把持部等)に統一したものを使用する場合、肖像の表示位置を確認するだけで、炎吹き出し口または棒状花火の把持部等が判別できる。また、文字の読めない子供であっても、「肖像がある方が危険(あるいは安全)」と教えておけば、炎吹き出し口等を認識することができるため、遊戯時における使用者の安全向上に寄与する。
【0023】
更にまた、花火セットの場合、数種の花火の中から特定の花火生産者の花火を選択して使用することができる。生産者の肖像とともに製品情報がわかりやすいよう表示されている場合は、花火を使用するときに該製品情報を参考にすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、次の効果を奏する。
(1)花火本体等に生産者の肖像が表示されているので、該肖像によって花火生産者を判別することができるため、消費者は自分の気に入っている花火生産者の製作した花火を選択し購入することができる。
また、安全性の高い花火を求める消費者については、安全性の高い花火を提供する花火生産者の製品を購入時に判断できるため、消費者に安心感を与える効果が期待できる。
更にまた、消費者が特定生産者の花火を選択することにより、品質の悪い花火や安全性の低い花火は市場から淘汰されることになるため、花火生産者は品質向上及び安全管理に対する意識を刺激され、花火業界に関わる人の生産意欲活性化を促進する効果が期待できる。
(2)花火本体等の特定箇所に花火生産者等の肖像を表示したものは、その生産者毎に肖像を表示する位置を統一(例えば、炎吹き出し口近傍に肖像を表示する、あるいは棒状花火の場合、把持部に肖像を表示する等)していれば、文字の読めない子供であっても、炎吹き出し口が容易に判別できるため、遊戯時における使用者の安全向上に寄与する。
(3)花火本体等を一見すれば遊戯方法等の製品情報が簡単に理解できるため、遊戯時における使用者の安全向上に寄与する。
(4)花火の外装または/および固定部材に生産者の肖像及び製品情報がわかりやすいように表示されているため、多種類の花火を収納した花火セットであっても各花火の生産者等を判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施の形態を図面に基づき更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る実施例1の花火の斜視説明図及び一部拡大図である。
【実施例1】
【0026】
図1に示す手持ち花火1について説明する。
手持ち花火1は、本体部111と着火リボン112により構成されている。
本体部111の着火リボン側近傍には肖像121及びメッセージ文122が表示されている。
肖像121は、生産者の顔写真を印刷したものである。
メッセージ文122には「私が作りました。私の写真の方向から炎が出ます。」の文とともに「○□△○(生産者の名前)」が表示されている。
【0027】
(作 用)
図1を参照して、手持ち花火1の作用を説明する。
店頭において、消費者は、手持ち花火1に表示された肖像121及びメッセージ文122を見て、花火生産者を識別し、購入する。つまり、消費者は特定の花火生産者の製作した花火であることを認識したうえでを入手することができる。
【0028】
花火を使用する際には、着火リボン112に着火する。この際、着火リボン112側には肖像121が配されているため使用者の目を引きやすく、炎が吹き出す場所への注意が喚起しやすい。
また、肖像121近傍にメッセージ文122が記載されており、メッセージ文122には使用上の注意等が記載されているため、使用者は更なる詳細な使用上の注意を認識しやすい。
【0029】
なお、本実施例では、花火本体に肖像及びメッセージ文を表示したが、これに限定するものではなく、例えば、一または二以上の花火本体を収納する包装体あるいは包装容器に肖像及びメッセージ文を表示しても良いし、包装及び花火本体の双方に肖像及びメッセージ文を表示してもよい。
【0030】
また、本実施例では、肖像等の表示手段として、肖像等を花火本体に直接印刷する方法を採用しているが、これに限定するものではなく、例えば、粘着テープ等の非粘着面に肖像等を印刷し、花火本体または包装体に付着させて表示する方法等であってもよい。
【実施例2】
【0031】
次に図2に示す箱入り花火2について説明する。
箱入り花火2は、箱210と、箱210内部に収納された花火本体220から構成されている。
箱210の一の側面には肖像211及びメッセージ文212が表示されている。肖像211は、生産者の顔写真である。
メッセージ文212には、「私が作りました。」の文とともに「□○△(生産者の名前)」が表示されている。
【0032】
花火本体220胴部は、肖像221とメッセージ文222が表示されている。
花火本体220の上部には、導火線223が設けられている。
【0033】
肖像221は、生産者の顔写真及び上方に向かって指差しした姿が表示されている。
メッセージ文222には、「指差した方向から火花が出ます。注意して下さい。」の文が表示されている。
【0034】
(作 用)
図2を参照して、箱入り花火2の作用を説明する。
なお、店頭で購入する際の作用については、手持ち花火1と同様であるため説明を省略する。
【0035】
箱入り花火2の使用時は、箱210から花火本体220を取り出す。花火本体220を地面等に設置後、導火線223に着火する。
その際に、花火本体220に表示された肖像221は上方に向かって指差ししており、メッセージ文222には「指差した方向から火花が出ます。注意して下さい。」の文が表示されているので、一見して花火使用時の注意が理解しやすい。
【0036】
なお、本実施例では、導火線を上部に設けた花火に肖像及びメッセージ文を表示したが、これに限定するものではなく、例えば、いわゆる打ち上げ花火のように花火本体下方に導火線が設けられたものの場合、該花火に応じた好適な位置に肖像及びメッセージ文を表示してもよい。
【実施例3】
【0037】
次に図3(a)に示す花火セット3について説明する。
花火セット3は、複数種類の花火41、花火42、花火43、花火44を数本ずつ収納しており、各花火は種類毎に各固定部材310、320、330によって台紙301に固定されている。
【0038】
台紙301は長方形の板状の紙により形成されており、短手方向両端を筺状に折り曲げて形成された上部補強部302、下部補強部303が設けられている。
【0039】
花火を固定するため台紙301の好適な部分に、各固定部材310、320、330を挿入する一対の差し込み孔313、323、333が形成されている。
相対する差し込み孔313、323、333の間隔は、各固定部材310、320、330の横幅よりも狭く形成されている。
【0040】
下部補強部303の中央部には、肖像表示部304が設けられており、肖像305が表示されている。
肖像表示部304は、下部補強部303中央部上面を円弧状に切り抜き、切り抜いた部分を正面方向に起こして形成されている。
【0041】
上記肖像表示部304を切り抜いた部分は、収納部306を構成する。該収納部306は、花火44を収納している。
【0042】
各固定部材310、320、330は略楕円状に形成された可撓性を有する板紙であり、その中央部には花火生産者の肖像311、321、331がそれぞれ印刷して表示されている。
【0043】
各固定部材310、320、330は、花火41、花火42、花火43を台紙301との間に挟み込んで、各固定部材端部を差し込み孔313、323、333に挿入し係合させて各花火41、42、43を固定している。
【0044】
花火セット3は、合成樹脂製の袋307に収納されている。
【0045】
(作 用)
図3の拡大部分(b)を参照して、固定部材330を使用した花火43の固定方法を説明する。
【0046】
台紙3の所要箇所に設けられた差し込み孔333の幅に合わせて、同種類の花火43数本を並べる。
【0047】
固定部材330の一方の端部332を差し込み孔333の一方に挿入し、台紙3と固定部材330によって花火43を挟み込む。
花火43を挟み込んだ後、固定部材330の他方の端部332を差し込み孔333の他方に挿入する。
これにより、花火43は、固定部材330と台紙3によって挟み込まれて、収納位置を固定する。
【0048】
他の固定部材310及び320も同様の構造であり、上記固定部材330と同様の方法により、固定部材310、320を使用して花火41、花火42の収納位置を固定することができる。
【0049】
上記固定部材を使用することにより、1つの収納体の中に他種類の花火が収納されていても、収納された各花火についてそれぞれの生産者を判別することができる。
【0050】
なお、本実施例では、固定部材による花火の固定手段として、ほぼ楕円状に形成された紙片を台紙に設けられた差し込み孔に嵌め込み、固定手段と台紙の間に花火を挟み込んで固定する手段を採用したが、これに限定するものではなく、例えば、合成樹脂製の粘着テープであって、その表面に肖像を印刷したものを用いて花火を固定する等の手段であってもよい。
【0051】
また、本実施例では、台紙及び固定部材は紙を使用したが、これに限定するものではなく、例えば合成樹脂、ゴム、木材、竹材等の弾力性あるいは可撓性を有する素材により形成したものであってもよい。
【0052】
更にまた、本実施例では、固定部材として、ほぼ楕円状に形成したものを採用したが、これに限定するものではなく、例えば、可撓性を有する所要の長さの帯状に形成した固定部材を差し込み孔に挿入し、差し込み孔から固定部材が送り出されるように形成したものであってもよい。該固定部材は可撓性を有し、台紙に対して平らになろうとする働きを加えるため、固定する花火の本数が増減しても花火をしっかりと固定することができる。
【0053】
本実施例では、台紙を用いて花火を固定する手段を採用したが、これに限定するものではなく、例えば、袋の中に他種類の花火を入れ、各生産者の生産した花火毎に束にし、帯状に形成した固定手段により巻いて固定したもの等であってもよい。
【0054】
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る実施例1の花火の斜視説明図及び一部拡大図。
【図2】本発明に係る実施例2の花火の分解斜視説明図。
【図3】本発明に係る実施例3の花火セットの斜視説明図(a)及び一部拡大図(b)。
【符号の説明】
【0056】
1 手持ち花火
111 本体部
112 着火リボン
121 肖像
122 メッセージ文
2 箱入り花火
210 箱
211 肖像
212 メッセージ文
220 花火本体
221 肖像
222 メッセージ文
223 導火線
3 花火セット
301 台紙
302 上部補強部
303 下部補強部
304 肖像表示部
305 肖像
306 収納部
307 袋
310 固定部材
311 肖像
320 固定部材
321 肖像
330 固定部材
331 肖像
332 端部
333 差し込み孔
41 花火
42 花火
43 花火
44 花火

【特許請求の範囲】
【請求項1】
花火本体または/および花火包装体に、生産者の肖像を表示していることを特徴とする、
花火。
【請求項2】
肖像の表示箇所を、特定箇所に限定していることを特徴とする、
請求項1記載の花火。
【請求項3】
花火本体または/および花火包装体に、使用上の注意等の製品情報を表示しており、製品情報は、その内容を理解しやすいような字体、字の大きさ、配色等を選択し、配置していることを特徴とする、
請求項1、2記載の花火。
【請求項4】
二種類以上の花火を収容する花火セットであって、
花火本体、花火包装体、花火固定部材の中から選ばれた一又は二以上に、
生産者の肖像、または生産者の肖像と製品情報を表示しており、
該製品情報は、その内容を理解しやすいような字体、字の大きさ、配色等を選択し、配置しており、
花火の種類毎に生産者を判別できるよう構成されていることを特徴とする、
花火セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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