芳香剤容器
【課題】使用姿勢を変更してもゲル状芳香剤から分離した水分を容器外に漏れ出させることなく使用できる芳香剤容器を提供する。
【解決手段】揮散成分を揮散しつつ水分を分離しながら収縮するゲル状芳香剤１２を収容した箱状の容器本体１１を、周囲に外側揮散開口２１が設けられたカバー体２２の内部に装着して用いる芳香剤容器１０であって、容器本体１１は、底部１３と、底部１３の周縁部１３ａから立設する周壁部１４と、揮散開口１５が形成される天面部１６とを備えており、底部１３は、周縁部１３ａとの間に肩部１７を介在させて下段底部１８が設けられた２段構造を有している。周壁部１４の一部１４０には、周壁部揮散開口２９が形成されている。容器本体１１のカバー体２２への装着方向を規制する、カバー体２２の内側の一対の位置決めガイド台３１と、容器本体１１のコの字形状の一対の側辺部の肩部１７とによる装着方向規制手段２０が設けられている。
【解決手段】揮散成分を揮散しつつ水分を分離しながら収縮するゲル状芳香剤１２を収容した箱状の容器本体１１を、周囲に外側揮散開口２１が設けられたカバー体２２の内部に装着して用いる芳香剤容器１０であって、容器本体１１は、底部１３と、底部１３の周縁部１３ａから立設する周壁部１４と、揮散開口１５が形成される天面部１６とを備えており、底部１３は、周縁部１３ａとの間に肩部１７を介在させて下段底部１８が設けられた２段構造を有している。周壁部１４の一部１４０には、周壁部揮散開口２９が形成されている。容器本体１１のカバー体２２への装着方向を規制する、カバー体２２の内側の一対の位置決めガイド台３１と、容器本体１１のコの字形状の一対の側辺部の肩部１７とによる装着方向規制手段２０が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、芳香剤容器に関し、特に、ゲル状芳香剤を収容した箱状の容器本体を含む芳香剤容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
芳香剤、消臭剤等の薬剤を吸収した粒状ゲルを収容して、揮散成分を揮散させる容器が種々開発されている（例えば、特許文献１参照）。これらのゲル状の芳香剤等を収容した容器では、ゲル状の芳香剤等は、一般に揮散成分を揮散しつつ界面活性剤や溶剤等の水分を分離させるものであり、また揮散成分は、容器の上部（天面部）に設けられた揮散開口から揮散させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００７−１７５３１０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、ゲル状の芳香剤等の薬剤は、一般に揮散成分を揮散しつつ界面活性剤や溶剤等の水分を分離させるものであり、当該水分が容器外に漏れ出ないようにする為に、揮散開口を容器の天面部に設けるほかなかった。従って、容器を使用場所に応じて、立てて使用したり、横にして使用したりするといった容器の使用姿勢を柔軟に変更することは困難であった。
【０００５】
本発明は、使用場所に応じて、容器の使用姿勢を柔軟に変更できる芳香剤容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、揮散成分を揮散しつつ水分を分離しながら収縮するゲル状芳香剤を収容した箱状の容器本体を、周囲に外側揮散開口が設けられたカバー体の内部に装着して用いる芳香剤容器であって、前記容器本体は、底部と、該底部の周縁部から立設する周壁部と、揮散開口が形成される天面部とを備えており、前記底部は、前記周縁部との間に肩部を介在させて下段底部が設けられた２段構造を有しており、前記周壁部の一部には、周壁部揮散開口が形成されており、且つ前記容器本体の前記カバー体への装着方向を規制する装着方向規制手段が容器本体及びカバー体に設けられている芳香剤容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【０００７】
本発明の芳香剤容器によれば、使用姿勢を変更してもゲル状芳香剤等の薬剤から分離した水分を容器外に漏れ出すことなく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】本発明の好ましい一実施形態に係る芳香剤容器の分解斜視図である。
【図２】（ａ）は本発明の好ましい一実施形態に係る芳香剤容器の容器本体の正面図、（ｂ）は（ａ）のＡ−Ａ線断面図、（ｃ）は底面図である。
【図３】容器本体を底部側から視た斜視図である。
【図４】容器本体の分解斜視図である。
【図５】縦にした使用状態を説明する容器本体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
本発明の好ましい一実施形態に係る芳香剤容器１０は、図１に示すように、好ましくは、球形粒状のゲル状芳香剤１２（図４参照）を多数収容した箱状の容器本体１１と、容器本体１１を着脱可能に収容するカバー体２２とからなり、容器本体１１に形成された揮散開口から揮散成分を揮散させて、芳香作用を発揮させるものである。また、本実施形態の芳香剤容器１０は、揮散成分の揮散が進行してゲル状芳香剤１２から分離した界面活性剤や溶剤等の水分が容器本体１１から漏れ出ることを防止できる機能を備えている。
【００１０】
すなわち、本実施形態の芳香剤容器１０は、揮散成分を揮散しつつ水分を分離しながら収縮するゲル状芳香剤１２を収容した箱状の容器本体１１を、周囲に外側揮散開口２１が設けられたカバー体２２の内部に装着して用いる容器であって、容器本体１１は、底部１３と、該底部１３の周縁部１３ａから立設する周壁部１４と、揮散開口１５が形成される天面部１６とを備えており、底部１３は、図２（ａ）〜（ｃ）及び図３にも示すように、周縁部１３ａとの間に肩部１７を介在させて下段底部１８が設けられた２段構造を有しており、周壁部１４の一部１４０には、周壁部揮散開口２９が形成されており、且つ容器本体１１のカバー体２２への装着方向を規制する装着方向規制手段２０が容器本体１１及びカバー体２２に設けられている。
【００１１】
詳述すると、容器本体１１は、矩形又は正方形（本実施形態では略正方形）の平面形状を有すると共に、矩形又は正方形の一辺に沿った周縁部１３ａから立設する周壁部１４０に周壁部揮散開口２９が形成されている。また、容器本体１１の底部１３の周縁部１３ａと下段底部１８との間の肩部１７は「コの字」を形成している。当該「コの字」は、周壁部揮散開口２９が形成された周壁部１４０の一辺を底辺として、矩形又は正方形の連続した三辺に沿って形成されている。この「コの字」の肩部１７が容器本体の装着方向規制手段２０となる。一方、カバー体２２は矩形又は正方形（本実施形態では略正方形）の平面形状を有する中空六面体形状の箱体として形成されており、カバー体２２の内側の底面角部に、蓋部材３０によって開閉可能な開口面から奥部に向って延設する一対の位置決めガイド台３１が両側に設けられている。当該位置決めガイド台３１が、装着される容器本体１１の肩部１７と係合して、カバー体２２の装着方向規制手段２０となる。
【００１２】
さらに詳述すると、２段構造となった、平面視して略正方形の底部１３には、連続した三辺に沿った部分において周縁部１３ａと下段底部１８との間に平坦な「コの字」形の肩部１７が介在して設けられている。「コの字」形の底辺にあたる肩部１７０に接続している周壁部１４０には、周壁部揮散開口２９が開口形成されている。そして、底辺にあたる肩部１７０と対向する辺の縁部１３０ａにおいては、肩部を介在させることなく、下段底部１８と、周壁部揮散開口２９が開口形成されていない周壁部１４とが直接接続している。これらによって、下段底部１８は、底部１３の下方から平面視すると「凸」形の形状を備えている。
【００１３】
なお、カバー体２２の矩形又は正方形の平面形状や、容器本体１１の矩形又は正方形の平面形状には、略矩形又は略正方形の平面形状も含まれる。
【００１４】
本実施形態では、容器本体１１は、図２〜図４に示すように、好ましくは合成樹脂製の成形品であって、角部が弧状に面取りされた略正方形の平面形状を有する箱状に形成される。また容器本体１１は、略正方形の底部１３と、底部１３の弧状に面取りされた周縁部１３ａ及び縁部１３０ａから上方に連続して立設する周壁部１４，１４０とからなり、周壁部１４，１４０は、上方に向けて外側にやや傾いた状態で立設していると共に、周壁部１４，１４０の上端の周縁リブ１４ａによって縁取りされた天面部１６は、揮散開口１５を形成可能な開口面となっている。例えば、ゲル状芳香剤１２を収容した後に、開口面となった天面部１６を覆って、複数の揮散開口１５が開口形成された被覆シート２３を、周壁部１４の上端の周縁リブ１４ａに貼着支持させて取り付けることにより、天面部１６に略均等に分散配置された複数の揮散開口１５が容易に形成されることになる。
【００１５】
また、本実施形態では、２段構造となった略正方形の底部１３は、周縁部１３ａと下段底部１８との間に介在する平坦な肩部１７が、略同じ幅で「コの字」形に設けられている。これによって、下段底部１８は、底部１３の中央部分まで延設して配置されると共に、下段底部１８は、肩部１７から一段下がって凹状に設けられることにより、ゲル状芳香剤１２から分離した水分を液溜めする液溜り部２４（図２（ｃ）参照）を形成することになる。
【００１６】
液溜り部２４の深さＨは、ゲル状芳香剤１２から分離する水分量の他、薬剤等を吸収させる前の粒状吸収体の直径によっても定められる。すなわち、液溜り部２４に粒状吸収体を適量充填した後に容器本体１１の上部より薬剤等を充填する際に、充填される薬剤の勢いにより粒状吸収体が容器本体１１から飛び出さない程度の深さＨが必要である。例えば、薬剤等を吸収させる前の粒状吸収体の直径が２〜３ｍｍの場合には、深さＨが４〜１０ｍｍが好ましい。
【００１７】
周壁部揮散開口２９は、当該芳香容器１０を使用する前においては、剥離可能な貼着シートを周壁部１４０に貼り付けることによって閉塞されており、この貼着シートを芳香剤容器１０の使用時に引き剥がすことによって、揮散開口を形成する。
【００１８】
そして、本実施形態では前述のように、「コの字」形の底辺にあたる肩部１７０に接続している周壁部１４０には、周壁部揮散開口２９が開口形成されている。これによって、容器本体１１をカバー体２２に装着し、例えば図５に示すように、容器本体１１の周壁部揮散開口２９が形成された周壁部１４０を上にして、立てた状態で芳香剤容器１０を使用した場合でも、上面の周壁部揮散開口２９から揮散成分を揮散させることが可能になる。ここで、容器本体１１の開口面となった天面部１６を覆う被覆シート２３に形成された揮散開口１５（図１参照）の内、立てた状態で最も下側に配置される揮散開口１５０よりも下方の部分が、液溜り部２４’として機能することになり、これによって、図５に示すように立て置きした場合も、容器本体１１の底部１３を下側に配置した平置き状態で芳香剤容器１０を使用した場合と同様の作用効果が奏されることになる。
【００１９】
本実施形態では、容器本体１１が装着されるカバー体２２は、図１に示すように、好ましくは合成樹脂製の成形品であって、蓋部材３０によって開閉可能な中空六面体形状の箱体として形成される。カバー体２２の周囲には、蓋部材３０の部分も含めて外側揮散開口２１が設けられており、容器本体１１から揮散された揮散成分を、これらの外側揮散開口２１を介して外気に揮散させることができるようになっている。
【００２０】
また、前述のように本実施形態では、カバー体２２の内側の底面角部には、蓋部材３０によって開閉可能な開口面から奥部に向って延設して、一対の位置決めガイド台３１が、装着方向規制手段２０として両側に設けられている。芳香剤容器１０の使用時に、例えば容器本体１１の周壁部揮散開口２９を閉塞する貼着シートを引き剥がして周壁部揮散開口２９を形成した後に、底部１３に設けられた「コの字」形の一対の側辺にあたる部分の肩部１７を装着方向規制手段２０として、一対の位置決めガイド台３１の上面に各々載置した状態で、周壁部揮散開口２９が形成された「コの字」形の底辺にあたる部分の周壁部１４０の側から容器本体１１をカバー体２２に装着することにより、装着された容器本体１１の周囲には、カバー体２２との間に、揮散成分をスムーズに通過させるスペースが容易に確保される。
【００２１】
そして、上述の構成を有する本実施形態の芳香剤容器１０によれば、カバー体２２に装着された容器本体１１を、カバー体２２を立てたり寝かしたりして、平置きから立て置きに、或いは立て置きから平置きに使用姿勢を変更しながら使用しても、ゲル状芳香剤等の薬剤から分離した水分を容器外に漏れ出させることなく使用することができる。
【００２２】
すなわち、本実施形態によれば、容器本体１１の底部１３は、周縁部１３ａとの間に肩部１７を介在させて下段底部１８が設けられた２段構造を有しているので、例えば平置き状態で使用された際に、下段底部１８を液溜り部２４としてゲル状芳香剤１２から分離した水分を漏れ出させることなく液溜めしつつ、揮散開口１５，２９から容器本体１１の内部を経た、揮散成分を揮散させる空気の流れを生じさせることが可能になる。また例えば立て置き状態で使用された際に、最も下側に配置される揮散開口１５０よりも下方の部分を液溜り部２４’として機能させて、ゲル状芳香剤１２から分離した水分を漏れ出させることなく液溜めしつつ、揮散開口１５，２９から容器本体１１の内部を経た、揮散成分を揮散させる空気の流れを生じさせることが可能になる。
【００２３】
また、本実施形態によれば、カバー体２２の内側の底面角部に設けられた一対の位置決めガイド台３１による装着方向規制手段２０と、容器本体１１の「コの字」形に設けられた肩部１７による装着方向規制手段２０が設けられており、容器本体１１の底部１３を平面視すると下段底部１８が「凸」形となっているので、カバー体２２に容器本体１１を装着する際に、カバー体２２への挿入方向を明確にすることが可能になる。さらに、容器本体１１をカバー体２２に装着して、図５に示す容器本体１１を立てた状態で芳香剤容器１０を使用する場合でも、周壁部揮散開口２９が形成された周壁部１４０の向きが明確になっているので、例えば蓋部材３０を下面に配置させることにより、周壁部揮散開口２９を上に向けて芳香剤容器１０が設置されるように容易に誘導することが可能になる。
【００２４】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、周壁部揮散開口２９は必ずしも、「コの字」形の底辺にあたる肩部１７０に接続している周壁部１４０に形成されている必要はなく、容器本体１１のカバー体２２への挿入方向と周壁部揮散開口２９との位置関係が明確であれば、別の周壁部に形成されていても良い。また、容器本体は、略矩形又は略正方形の平面形状を有している必要は必ずしも無い。さらにカバー体は、矩形又は正方形の平面形状を有する中空六面体形状の箱体である必要はなく、中空部分に容器本体を装着できれば、カバー体の外形が例えば楕円柱状等の中空六面体形状以外の形状であっても良い。
【符号の説明】
【００２５】
１０ 芳香剤容器
１１ 容器本体
１２ ゲル状芳香剤
１３ 底部
１３ａ 底部の周縁部
１３０ａ 縁部
１４ 周壁部
１４０ 周壁部揮散開口が形成された周壁部
１５ 揮散開口
１６ 天面部
１７ 肩部
１７０ コの字形の底辺にあたる部分の肩部
１８ 下段底部
２０ 装着方向規制手段
２１ 外側揮散開口
２２ カバー体
２３ 被覆シート
２４，２４’ 液溜り部
２９ 周壁部揮散開口
３０ 蓋部材
３１ 位置決めガイド台
【技術分野】
【０００１】
本発明は、芳香剤容器に関し、特に、ゲル状芳香剤を収容した箱状の容器本体を含む芳香剤容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
芳香剤、消臭剤等の薬剤を吸収した粒状ゲルを収容して、揮散成分を揮散させる容器が種々開発されている（例えば、特許文献１参照）。これらのゲル状の芳香剤等を収容した容器では、ゲル状の芳香剤等は、一般に揮散成分を揮散しつつ界面活性剤や溶剤等の水分を分離させるものであり、また揮散成分は、容器の上部（天面部）に設けられた揮散開口から揮散させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００７−１７５３１０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、ゲル状の芳香剤等の薬剤は、一般に揮散成分を揮散しつつ界面活性剤や溶剤等の水分を分離させるものであり、当該水分が容器外に漏れ出ないようにする為に、揮散開口を容器の天面部に設けるほかなかった。従って、容器を使用場所に応じて、立てて使用したり、横にして使用したりするといった容器の使用姿勢を柔軟に変更することは困難であった。
【０００５】
本発明は、使用場所に応じて、容器の使用姿勢を柔軟に変更できる芳香剤容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、揮散成分を揮散しつつ水分を分離しながら収縮するゲル状芳香剤を収容した箱状の容器本体を、周囲に外側揮散開口が設けられたカバー体の内部に装着して用いる芳香剤容器であって、前記容器本体は、底部と、該底部の周縁部から立設する周壁部と、揮散開口が形成される天面部とを備えており、前記底部は、前記周縁部との間に肩部を介在させて下段底部が設けられた２段構造を有しており、前記周壁部の一部には、周壁部揮散開口が形成されており、且つ前記容器本体の前記カバー体への装着方向を規制する装着方向規制手段が容器本体及びカバー体に設けられている芳香剤容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【０００７】
本発明の芳香剤容器によれば、使用姿勢を変更してもゲル状芳香剤等の薬剤から分離した水分を容器外に漏れ出すことなく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】本発明の好ましい一実施形態に係る芳香剤容器の分解斜視図である。
【図２】（ａ）は本発明の好ましい一実施形態に係る芳香剤容器の容器本体の正面図、（ｂ）は（ａ）のＡ−Ａ線断面図、（ｃ）は底面図である。
【図３】容器本体を底部側から視た斜視図である。
【図４】容器本体の分解斜視図である。
【図５】縦にした使用状態を説明する容器本体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
本発明の好ましい一実施形態に係る芳香剤容器１０は、図１に示すように、好ましくは、球形粒状のゲル状芳香剤１２（図４参照）を多数収容した箱状の容器本体１１と、容器本体１１を着脱可能に収容するカバー体２２とからなり、容器本体１１に形成された揮散開口から揮散成分を揮散させて、芳香作用を発揮させるものである。また、本実施形態の芳香剤容器１０は、揮散成分の揮散が進行してゲル状芳香剤１２から分離した界面活性剤や溶剤等の水分が容器本体１１から漏れ出ることを防止できる機能を備えている。
【００１０】
すなわち、本実施形態の芳香剤容器１０は、揮散成分を揮散しつつ水分を分離しながら収縮するゲル状芳香剤１２を収容した箱状の容器本体１１を、周囲に外側揮散開口２１が設けられたカバー体２２の内部に装着して用いる容器であって、容器本体１１は、底部１３と、該底部１３の周縁部１３ａから立設する周壁部１４と、揮散開口１５が形成される天面部１６とを備えており、底部１３は、図２（ａ）〜（ｃ）及び図３にも示すように、周縁部１３ａとの間に肩部１７を介在させて下段底部１８が設けられた２段構造を有しており、周壁部１４の一部１４０には、周壁部揮散開口２９が形成されており、且つ容器本体１１のカバー体２２への装着方向を規制する装着方向規制手段２０が容器本体１１及びカバー体２２に設けられている。
【００１１】
詳述すると、容器本体１１は、矩形又は正方形（本実施形態では略正方形）の平面形状を有すると共に、矩形又は正方形の一辺に沿った周縁部１３ａから立設する周壁部１４０に周壁部揮散開口２９が形成されている。また、容器本体１１の底部１３の周縁部１３ａと下段底部１８との間の肩部１７は「コの字」を形成している。当該「コの字」は、周壁部揮散開口２９が形成された周壁部１４０の一辺を底辺として、矩形又は正方形の連続した三辺に沿って形成されている。この「コの字」の肩部１７が容器本体の装着方向規制手段２０となる。一方、カバー体２２は矩形又は正方形（本実施形態では略正方形）の平面形状を有する中空六面体形状の箱体として形成されており、カバー体２２の内側の底面角部に、蓋部材３０によって開閉可能な開口面から奥部に向って延設する一対の位置決めガイド台３１が両側に設けられている。当該位置決めガイド台３１が、装着される容器本体１１の肩部１７と係合して、カバー体２２の装着方向規制手段２０となる。
【００１２】
さらに詳述すると、２段構造となった、平面視して略正方形の底部１３には、連続した三辺に沿った部分において周縁部１３ａと下段底部１８との間に平坦な「コの字」形の肩部１７が介在して設けられている。「コの字」形の底辺にあたる肩部１７０に接続している周壁部１４０には、周壁部揮散開口２９が開口形成されている。そして、底辺にあたる肩部１７０と対向する辺の縁部１３０ａにおいては、肩部を介在させることなく、下段底部１８と、周壁部揮散開口２９が開口形成されていない周壁部１４とが直接接続している。これらによって、下段底部１８は、底部１３の下方から平面視すると「凸」形の形状を備えている。
【００１３】
なお、カバー体２２の矩形又は正方形の平面形状や、容器本体１１の矩形又は正方形の平面形状には、略矩形又は略正方形の平面形状も含まれる。
【００１４】
本実施形態では、容器本体１１は、図２〜図４に示すように、好ましくは合成樹脂製の成形品であって、角部が弧状に面取りされた略正方形の平面形状を有する箱状に形成される。また容器本体１１は、略正方形の底部１３と、底部１３の弧状に面取りされた周縁部１３ａ及び縁部１３０ａから上方に連続して立設する周壁部１４，１４０とからなり、周壁部１４，１４０は、上方に向けて外側にやや傾いた状態で立設していると共に、周壁部１４，１４０の上端の周縁リブ１４ａによって縁取りされた天面部１６は、揮散開口１５を形成可能な開口面となっている。例えば、ゲル状芳香剤１２を収容した後に、開口面となった天面部１６を覆って、複数の揮散開口１５が開口形成された被覆シート２３を、周壁部１４の上端の周縁リブ１４ａに貼着支持させて取り付けることにより、天面部１６に略均等に分散配置された複数の揮散開口１５が容易に形成されることになる。
【００１５】
また、本実施形態では、２段構造となった略正方形の底部１３は、周縁部１３ａと下段底部１８との間に介在する平坦な肩部１７が、略同じ幅で「コの字」形に設けられている。これによって、下段底部１８は、底部１３の中央部分まで延設して配置されると共に、下段底部１８は、肩部１７から一段下がって凹状に設けられることにより、ゲル状芳香剤１２から分離した水分を液溜めする液溜り部２４（図２（ｃ）参照）を形成することになる。
【００１６】
液溜り部２４の深さＨは、ゲル状芳香剤１２から分離する水分量の他、薬剤等を吸収させる前の粒状吸収体の直径によっても定められる。すなわち、液溜り部２４に粒状吸収体を適量充填した後に容器本体１１の上部より薬剤等を充填する際に、充填される薬剤の勢いにより粒状吸収体が容器本体１１から飛び出さない程度の深さＨが必要である。例えば、薬剤等を吸収させる前の粒状吸収体の直径が２〜３ｍｍの場合には、深さＨが４〜１０ｍｍが好ましい。
【００１７】
周壁部揮散開口２９は、当該芳香容器１０を使用する前においては、剥離可能な貼着シートを周壁部１４０に貼り付けることによって閉塞されており、この貼着シートを芳香剤容器１０の使用時に引き剥がすことによって、揮散開口を形成する。
【００１８】
そして、本実施形態では前述のように、「コの字」形の底辺にあたる肩部１７０に接続している周壁部１４０には、周壁部揮散開口２９が開口形成されている。これによって、容器本体１１をカバー体２２に装着し、例えば図５に示すように、容器本体１１の周壁部揮散開口２９が形成された周壁部１４０を上にして、立てた状態で芳香剤容器１０を使用した場合でも、上面の周壁部揮散開口２９から揮散成分を揮散させることが可能になる。ここで、容器本体１１の開口面となった天面部１６を覆う被覆シート２３に形成された揮散開口１５（図１参照）の内、立てた状態で最も下側に配置される揮散開口１５０よりも下方の部分が、液溜り部２４’として機能することになり、これによって、図５に示すように立て置きした場合も、容器本体１１の底部１３を下側に配置した平置き状態で芳香剤容器１０を使用した場合と同様の作用効果が奏されることになる。
【００１９】
本実施形態では、容器本体１１が装着されるカバー体２２は、図１に示すように、好ましくは合成樹脂製の成形品であって、蓋部材３０によって開閉可能な中空六面体形状の箱体として形成される。カバー体２２の周囲には、蓋部材３０の部分も含めて外側揮散開口２１が設けられており、容器本体１１から揮散された揮散成分を、これらの外側揮散開口２１を介して外気に揮散させることができるようになっている。
【００２０】
また、前述のように本実施形態では、カバー体２２の内側の底面角部には、蓋部材３０によって開閉可能な開口面から奥部に向って延設して、一対の位置決めガイド台３１が、装着方向規制手段２０として両側に設けられている。芳香剤容器１０の使用時に、例えば容器本体１１の周壁部揮散開口２９を閉塞する貼着シートを引き剥がして周壁部揮散開口２９を形成した後に、底部１３に設けられた「コの字」形の一対の側辺にあたる部分の肩部１７を装着方向規制手段２０として、一対の位置決めガイド台３１の上面に各々載置した状態で、周壁部揮散開口２９が形成された「コの字」形の底辺にあたる部分の周壁部１４０の側から容器本体１１をカバー体２２に装着することにより、装着された容器本体１１の周囲には、カバー体２２との間に、揮散成分をスムーズに通過させるスペースが容易に確保される。
【００２１】
そして、上述の構成を有する本実施形態の芳香剤容器１０によれば、カバー体２２に装着された容器本体１１を、カバー体２２を立てたり寝かしたりして、平置きから立て置きに、或いは立て置きから平置きに使用姿勢を変更しながら使用しても、ゲル状芳香剤等の薬剤から分離した水分を容器外に漏れ出させることなく使用することができる。
【００２２】
すなわち、本実施形態によれば、容器本体１１の底部１３は、周縁部１３ａとの間に肩部１７を介在させて下段底部１８が設けられた２段構造を有しているので、例えば平置き状態で使用された際に、下段底部１８を液溜り部２４としてゲル状芳香剤１２から分離した水分を漏れ出させることなく液溜めしつつ、揮散開口１５，２９から容器本体１１の内部を経た、揮散成分を揮散させる空気の流れを生じさせることが可能になる。また例えば立て置き状態で使用された際に、最も下側に配置される揮散開口１５０よりも下方の部分を液溜り部２４’として機能させて、ゲル状芳香剤１２から分離した水分を漏れ出させることなく液溜めしつつ、揮散開口１５，２９から容器本体１１の内部を経た、揮散成分を揮散させる空気の流れを生じさせることが可能になる。
【００２３】
また、本実施形態によれば、カバー体２２の内側の底面角部に設けられた一対の位置決めガイド台３１による装着方向規制手段２０と、容器本体１１の「コの字」形に設けられた肩部１７による装着方向規制手段２０が設けられており、容器本体１１の底部１３を平面視すると下段底部１８が「凸」形となっているので、カバー体２２に容器本体１１を装着する際に、カバー体２２への挿入方向を明確にすることが可能になる。さらに、容器本体１１をカバー体２２に装着して、図５に示す容器本体１１を立てた状態で芳香剤容器１０を使用する場合でも、周壁部揮散開口２９が形成された周壁部１４０の向きが明確になっているので、例えば蓋部材３０を下面に配置させることにより、周壁部揮散開口２９を上に向けて芳香剤容器１０が設置されるように容易に誘導することが可能になる。
【００２４】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、周壁部揮散開口２９は必ずしも、「コの字」形の底辺にあたる肩部１７０に接続している周壁部１４０に形成されている必要はなく、容器本体１１のカバー体２２への挿入方向と周壁部揮散開口２９との位置関係が明確であれば、別の周壁部に形成されていても良い。また、容器本体は、略矩形又は略正方形の平面形状を有している必要は必ずしも無い。さらにカバー体は、矩形又は正方形の平面形状を有する中空六面体形状の箱体である必要はなく、中空部分に容器本体を装着できれば、カバー体の外形が例えば楕円柱状等の中空六面体形状以外の形状であっても良い。
【符号の説明】
【００２５】
１０ 芳香剤容器
１１ 容器本体
１２ ゲル状芳香剤
１３ 底部
１３ａ 底部の周縁部
１３０ａ 縁部
１４ 周壁部
１４０ 周壁部揮散開口が形成された周壁部
１５ 揮散開口
１６ 天面部
１７ 肩部
１７０ コの字形の底辺にあたる部分の肩部
１８ 下段底部
２０ 装着方向規制手段
２１ 外側揮散開口
２２ カバー体
２３ 被覆シート
２４，２４’ 液溜り部
２９ 周壁部揮散開口
３０ 蓋部材
３１ 位置決めガイド台
【特許請求の範囲】
【請求項１】
揮散成分を揮散しつつ水分を分離しながら収縮するゲル状芳香剤を収容した箱状の容器本体を、周囲に外側揮散開口が設けられたカバー体の内部に装着して用いる芳香剤容器であって、
前記容器本体は、底部と、該底部の周縁部から立設する周壁部と、揮散開口が形成される天面部とを備えており、前記底部は、前記周縁部との間に肩部を介在させて下段底部が設けられた２段構造を有しており、前記周壁部の一部には、周壁部揮散開口が形成されており、
且つ前記容器本体の前記カバー体への装着方向を規制する装着方向規制手段が容器本体及びカバー体に設けられている芳香剤容器。
【請求項２】
前記容器本体の装着方向規制手段は、前記容器本体の底部の周縁部と下段底部との間の前記肩部によって構成され、前記カバー体の装着方向規制手段は、カバー体に装着された容器本体の前記肩部と係合する位置に設けられた位置決めガイド台によって構成される請求項１記載の芳香剤容器。
【請求項１】
揮散成分を揮散しつつ水分を分離しながら収縮するゲル状芳香剤を収容した箱状の容器本体を、周囲に外側揮散開口が設けられたカバー体の内部に装着して用いる芳香剤容器であって、
前記容器本体は、底部と、該底部の周縁部から立設する周壁部と、揮散開口が形成される天面部とを備えており、前記底部は、前記周縁部との間に肩部を介在させて下段底部が設けられた２段構造を有しており、前記周壁部の一部には、周壁部揮散開口が形成されており、
且つ前記容器本体の前記カバー体への装着方向を規制する装着方向規制手段が容器本体及びカバー体に設けられている芳香剤容器。
【請求項２】
前記容器本体の装着方向規制手段は、前記容器本体の底部の周縁部と下段底部との間の前記肩部によって構成され、前記カバー体の装着方向規制手段は、カバー体に装着された容器本体の前記肩部と係合する位置に設けられた位置決めガイド台によって構成される請求項１記載の芳香剤容器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１０−２５３０５４（Ｐ２０１０−２５３０５４Ａ）
【公開日】平成２２年１１月１１日（２０１０．１１．１１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１０６８６０（Ｐ２００９−１０６８６０）
【出願日】平成２１年４月２４日（２００９．４．２４）
【出願人】（００００００９１８）花王株式会社 (8,290)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１１月１１日（２０１０．１１．１１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年４月２４日（２００９．４．２４）
【出願人】（００００００９１８）花王株式会社 (8,290)
【Ｆターム（参考）】
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