説明

芳香剤装置

【課題】芳香剤が周囲に飛散せず、しかも必要な時に好みの強度で香りを嗅ぐことができ、更に紙、布等の芳香剤保持部材を繰り返し利用できる芳香剤装置を提供する。
【解決手段】芳香剤装置1は、容器本体2内に芳香剤を噴射するスプレー3を収容し、位置決め部材6によって噴射方向を固定する構成になっている。また、容器本体2内には芳香剤保持部材4が保持具5と一体に引き出し可能に装着されている。使用に際しては、スプレー3を容器本体2外から操作し、芳香剤を芳香剤保持部材4に向けて噴射させる。この後、芳香剤保持部材4を保持具5と一体に容器本体2外に引き出し、香りを嗅ぎ、嗅ぎ終わった後に容器本体2内に差し込んで繰り返し利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香りを発散させる芳香剤装置に関し、特に香り見本として好ましく用いられ、芳香剤が周囲に飛散せず、芳香剤の不要な消費、不要な揮散を防止するように構成した芳香剤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、芳香剤を収容した容器から大気中に芳香を揮散させ、香りを楽しむ芳香剤容器が提案されている。
【0003】
下記特許文献1には、アロマ溶液と、該アロマ溶液を入れるための中空容器と、該中空容器の上方部に装着され、上部に鼻空吸入用の孔を有するノズル体と、前記中空容器に挿入する多孔質担持体と、前記中空容器を密閉するキャップを備えた「携帯式アロマキャリア」が開示されている。この「携帯式アロマキャリア」は、芳香液を持ち運び、必要な時に鼻から吸入することができる。
【0004】
また、下記特許文献2には、芳香剤を収納し、バルブを開閉するステムを具えたエアゾール容器と、ステム係合筒を具え、吸収体を具えた吸着揮散体とからなり、前記ステム係合筒にステムに連通する噴出孔を設け、微細な通路を形成した多孔体を取着している「芳香剤装置」が開示されている。この「芳香剤装置」は、芳香液を入れたエアゾール容器と吸着揮散体が一体化されている。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3132292号公報
【特許文献2】特開2006−33968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の「携帯式アロマキャリア」は、担持体に含まれる芳香液の量が決まっており、香りの強度の調節が困難である。
【0007】
また、特許文献2に記載の「芳香剤容器」は、バルブは常時開放され、吸着揮散体も常時露出しているため、常に香りを揮散させた状態にあり、また、香りの強度も調節することができない。
【0008】
一方、芳香剤容器の使用形態は、室内等で個人が香りを楽しむ他にも、香り見本の提供のため、化粧品店や食品店の店頭等で使用されることがある。この場合、ある芳香剤の香りを嗅いでから別の芳香剤の香りを嗅ぐこともあり、前の香りが必要以上に周囲に飛散すると、香りの判断のさまたげになる。従って、芳香液を常時揮散させている芳香剤容器や、揮散量を調節できない芳香剤容器は、前記使用形態に適していない。更に、容器が転倒して芳香液がこぼれたり、また、スプレーの噴射量が多いと芳香液が衣服に付着する等の問題点もあり、芳香液が周囲に飛散することは好ましくない。
【0009】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、芳香剤が外部に飛散したりこぼれたりせず、不要時には芳香剤の揮散を抑制でき、必要なときにのみ芳香剤を揮散させて香りを嗅ぐことができ、香りの強度を調節できる芳香剤装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 芳香剤を収容し押動部の押動に対応して噴射口から前記芳香剤を噴射するスプレーと、
閉空間を画成し前記スプレーを収納する容器本体と、
前記スプレーの前記押動部を前記容器本体の外部から押動操作する操作部と、
前記容器本体に装脱自在に装着され、装着時に前記スプレーの前記噴射口に対向する位置に位置決めされて噴射された前記芳香剤を保持する芳香剤保持部材と、
を備えたことを特徴とする芳香剤装置。
【0011】
(2) 前記芳香剤保持部材は、前記容器本体内に装脱自在に装填される保持具に取付けられていることを特徴とする前記(1)に記載の芳香剤装置。
【0012】
(3) 芳香剤を収容し押動部の押動に対応して噴射口から芳香剤を噴射するスプレーと、
一端が開口部に形成され、他端が閉塞された筒状体の一部に軸方向に弾性的に変形する蛇腹部が設けられた前記スプレーを収容する容器本体と、
前記開口部を開閉するように前記容器本体に着脱自在に装着され、装着状態で前記スプレーの前記噴射口に対向する内側面を有する蓋体と、
前記蓋体の内側面に設けられた芳香剤保持部材と、
を備え、
前記蓋体を軸方向に押圧することにより前記容器本体を軸方向に短縮させるとともに前記スプレーの前記押動部を押動して前記芳香剤を前記芳香剤保持部材に噴射する
ことを特徴とする芳香剤装置。
【0013】
前記(1)の構成によれば、芳香剤が周囲に飛散せずに必要に応じてスプレーにより芳香剤保持部材に向けて芳香剤を噴射した後、芳香剤保持部材を容器本体から抜き出して香りを嗅ぐことができる。また、前記スプレーの前記押動部を前記容器本体外から押動操作する操作部を設けたことにより、容器本体の外から操作部を押すことで、芳香剤が芳香剤保持部材に向けて確実に噴射される。
【0014】
前記(2)の構成によれば、芳香剤を噴射された芳香剤保持部材を保持具と一体に抜き出してから香りを嗅ぎ、香りを嗅いだ後は容器本体内に再度装填することができ、芳香剤保持部材の繰り返し利用が可能になる。
【0015】
前記(3)の構成によれば、スプレーの芳香剤噴出口が蓋体の内側面に設けられた芳香剤保持部材に対向している。従って、芳香剤を噴射した後、蓋体を外して香りを嗅ぐことができる。
【0016】
また、スプレーの噴射方向を固定する必要はなく、位置決め部材等は不要である。更に、容器本体自体が蛇腹構造により伸縮変形するので、容器本体に取付けられた蓋体を押すことにより、スプレーを操作することができ、容器全体の構造の簡略化、小型化、部品点数の削減を図ることができる。
【0017】
前記(1)の構成において、前記スプレーの前記噴射口を前記芳香剤保持部材に対向する位置に位置決めする位置決め部材を設けた構成であってもよい。
【0018】
この構成によれば、前記スプレーの前記噴射口を前記芳香剤保持部材に対向する位置に位置決めする位置決め部材を設けたことにより、芳香剤が芳香剤保持部材に向けて確実に噴射される。
【0019】
また、前記(1)の構成において、前記容器本体は、前記噴射口に対向する開口が設けられ、板状の保持具が、前記容器本体の外側面から前記開口を閉塞する位置に直線移動または回動により位置決めされる構成であってもよい。
【0020】
この構成によれば、前記容器本体は、前記噴射口に対向する開口が設けられ、板状の保持具が、前記容器本体の外側面から前記開口を閉塞する位置に直線移動または回動により位置決めされるので、板状の保持具を芳香剤揮散位置に簡単に移動させることができる。また、芳香剤保持部材は常に容器本体の外側面に在るので、芳香剤を噴射した後、容器本体を手で持って香りを嗅ぐことができる。
【0021】
また、前記(1)の構成において、前記容器本体は、前記噴射口に対向する開口が設けられるとともに該開口を閉塞するように前記容器本体に着脱自在に装着される保持部材用容器を更に備えられ、前記芳香剤保持部材は、前記保持部材用容器内に設けられている構成であってもよい。
【0022】
この構成によれば、前記容器本体は、前記噴射口に対向する開口が設けられるとともに該開口を閉塞するように前記容器本体に着脱自在に装着される保持部材用容器を更に備えられ、前記芳香剤保持部材は、前記保持部材用容器内に設けられているので、芳香剤保持部材に芳香剤を噴射した後、保持部材用容器と一体に芳香剤保持部材を取り外して香りを嗅ぐことができ、香りを嗅いだ後に保持部材用容器を容器本体に再度装着して繰り返し利用することができる。
【0023】
本発明における芳香剤保持部材は、その材質として芳香剤を充分に含浸して保持でき、且つ芳香剤を揮散できるものであればいずれのものでも使用でき、例えば、プラスチック、パルプ等の有機質材料やセラミック、ガラス等の無機質材料の多孔性材料を用いることができる。本発明においてはパルプ製のものが保持力があり揮散がより安定していて安価であるので好ましい。また、本発明における芳香剤保持部材は、適宜取り替えることができる。
【0024】
本発明に用いることができる芳香剤の芳香成分としては、例えば、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油、イグサ、ヒノキ、シトロネラ、シトラール、シトロネラール、レモン、レモングラス、オレンジ、ユーカリ、ラベンダー等の精油成分及びそれらから得られる芳香成分を挙げることができる。必要に応じて併用できる消臭成分としては、例えば、メタクリル酸ラウリル、メチル化サイクロデキストリン、植物抽出エキス(例えば、ツバキ、バラ、キク、マツ、スギ、オオバコ等から得られるエキス)、植物精油(例えば、茶抽出物、カテキン、植物ポリフェノール、リナロール、メントール、ボルネオール)、界面活性剤等が挙げられる。
【0025】
芳香剤中における芳香成分は、製剤全重量に対して、例えば0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。芳香剤は、その他の添加剤として、グリセリン又はその誘導体、脂肪酸又はその誘導体、アルコール、多価アルコール又はこれらの誘導体、界面活性剤(例えば、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなど)、タール色素、ベンガラ等の色素、防腐剤等の保存剤などを含有することもできる。芳香剤は、更にキレート剤、粘度調整剤、比重調整剤、紫外線防止剤、酸化防止剤等を含んでいてもよい。本発明における芳香剤は、上記各成分を、水、アルコール、有機溶媒等を用いて適宜調整することができる。また、必要に応じて、液化石油ガス、ジメチルエーテル、圧縮ガス等の噴射剤を用いてエアゾール式としてもよい。
【発明の効果】
【0026】
以上に説明したように、本発明によれば、必要に応じてスプレーを操作し、芳香剤を芳香剤保持部材に向けて噴射し、芳香剤保持部材を保持具と一体で揮散位置に移動させて、芳香剤保持部材を鼻に近づけて香りを嗅ぐことができる。そして、香りを嗅いだ後は、芳香剤保持部材を芳香剤が揮散しない初期の状態にすることで、芳香剤が周囲に揮散することがない。
【0027】
更に、香りを強くしたい場合は、芳香剤保持部材に繰り返し芳香剤を噴射すればよく、香りの強度調節が可能である。
【0028】
また、芳香剤保持部材は繰り返し利用が可能であり、環境保全、省資源を図ることができる。
【0029】
また、芳香剤を収容したスプレーは、容器本体内に収容されているので、転倒したり、スプレーの噴射口から芳香剤が滴下したとしても容器周囲の汚れを防止することができ、店頭における清潔状態を保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
第1実施形態
図1は本発明に係る第1実施形態の芳香剤装置1の構成を示す分解斜視図、図2は芳香剤装置1の構成を示す断面図、図3(a)は板状の保持具の分解斜視図、図3(b)は板状の保持具の変形例の斜視図である。
【0031】
図1〜図3に示されるように、芳香剤装置1は、縦長の箱状に構成した容器本体2と、芳香剤を噴射するスプレー3と、噴射された芳香剤を保持する芳香剤保持部材4を備えた板状の保持具5と、前記スプレー3の押動部3aに固着され前記スプレー3による芳香剤の噴射方向を固定する位置決め部材6と、前記位置決め部材6に固着され前記スプレー3の押動部3aを手指等で押動操作する操作部7等を備えている。
【0032】
容器本体2は、例えば合成樹脂を用いて箱状に成型したものであり、容器本体2内の下部にはスプレー3の筒状部3bをがたつき無く保持する位置決め穴11を形成した保持部材12が設けられている。また容器本体2の上部には、ヒンジ13を介して板状の蓋部14が設けられている。そして蓋部14には、容器本体2内にスプレー3を収容して蓋部14を閉じたとき、押動部3aを挿通させる挿通孔15と、板状の保持具5を挿通させるための細長のスリット16が形成されている。
【0033】
更に、容器本体2の側面内部には、前記板状の保持具5を装脱自在に案内するガイド部17が形成されている。
【0034】
前記容器本体2内にスプレー3を収容する場合、容器本体2内に矢印Aで示すようにスプレー3を収容し、押動部3aの頂部に位置決め部材6を接着剤や接着テープ等で固定する。位置決め部材6は平板状であるが、その縦横寸法は容器本体2内に遊嵌するように設定されている。従って、押動部3aは噴射口3cの向きが芳香剤保持部材4に向けて固定される。このように、スプレー3は、下部が位置決め穴11に嵌合して安定に保持され、上部の押動部3aが位置決め部材6により芳香剤保持部材4に向けて位置決めされることになる。
【0035】
この状態で蓋部14を閉じると、図2に示すように蓋部14の上面に、操作部7が突出する。次いで、スリット16に矢印Bで示すように予め芳香剤保持部材4を保持した板状の保持具5を差し込む。この結果、図2に示すようにスプレー3の芳香剤噴出方向Cに対向する位置に、芳香剤保持部材4が位置決めされる。
【0036】
以上のように芳香剤装置1を組み立てた状態で、手指等により操作部7を下方に押すと、位置決め部材6を介して押動部3aが下方に押動され、図2に矢印Cで示すように芳香剤が噴出され、芳香剤保持部材4に含浸保持される。次いで手指を離すと、押動部3aが自動的に上方に、即ち元の位置に復帰して芳香剤噴出が停止する。
【0037】
そして、板状の保持具5の上端を摘んで引き上げると、芳香剤の香りを嗅ぐことができる。
【0038】
なお、板状の保持具5は、図3(a)に示すように、例えば厚肉の板5aの両面に薄肉の板5b、5bを重ね合わせて固着して構成されている。厚肉の板5aは帯状の芳香剤保持部材4を収容するための帯状の収容部5cを有し、薄肉の板5bはスプレー3の噴射口3cに対向する開口部5dを有する。芳香剤保持部材4は開口部5dから収容部5cに挿入される。厚肉の板5aの下端部には一対のストッパ5eが設けられており、板状の保持具5を引き上げたときに、容器本体2から抜け出ないようになっている。なお、ストッパ5eは薄肉の板5bに設けられてもよい。
【0039】
また、図3(b)は板状の保持具5の変形例を表す。板状の保持具5は、図3(b)に示すようにヒンジ5fを介して重ね合わせ得るように接続された2枚の板5g間に芳香剤保持部材4を挟み込む構成であってもよい。2枚の板5gには、それぞれ開口部5hが形成され、その開口位置は、図2に示すように組み立てた時、スプレー3の噴射口3cに対向するようになっている。
【0040】
そして、各開口部5d、5hは芳香剤保持部材4により塞がれるのであるから、前記のように芳香剤を噴射すると、芳香剤が芳香剤保持部材4に含浸保持されることになる。
【0041】
なお、板状の保持具5の構成は前記に限定されず、単に一枚の板に芳香剤保持部材4を接着した構成であってもよい。
【0042】
なお、蓋部14の挿通孔15及びスリット16は、押動部7及び板状の保持具5がそれぞれ挿通でき且つ気密に構成することが好ましく、気密に構成することにより、本体容器2内から芳香剤の香りが外部に漏れることを防止することができる。しかし、使用環境等により、芳香剤の香りが容器本体2内から外部に多少漏れても何ら問題がなければ、挿通孔15及びスリット16の高い気密性は要求されず、挿通孔15及びスリット16は完全に気密でなくてもよい。
【0043】
以上の説明から明らかなように、本実施形態における芳香剤装置1は、操作部7を押動しなければ芳香剤が噴出されない。従って、香りを嗅ぐ必要のない時は、芳香剤装置1の設置場所に不必要な香りが漂うことはない。また、香りを嗅ぐ必要があるときは、操作部7を押動して噴射口3cから芳香剤を芳香剤保持部材4に噴射する。そして、前記のように芳香剤を含浸保持させた芳香剤保持部材4を保持した板状の保持具5を引き出して香りを嗅ぐことにより、芳香剤の香りを満喫することができる。
【0044】
また、スプレー3は容器本体2内に収容され、板状の保持具5もガイド部17に沿って容器本体2内に収納されているので芳香剤装置1の周面及び周囲環境が汚れることがなく、板状の保持具5を鼻の近傍に寄せて香りを嗅ぎ取る場合、不潔感が生じない。更に、芳香剤は、必要な時にのみ噴出されるので、無駄な消費を防止できる。
【0045】
このため、本実施形態における芳香剤装置1は、例えば香水店、化粧品店、食品店等における香り見本として店頭に置く場合に好適である。更に、芳香剤、アロマテラピーとして個人で楽しむこともできる。
【0046】
なお、前記スプレー3としては、エアゾール式やポンプ式等を適用することができる。エアゾール式とする場合は、前記の噴射剤を用いればよい。
芳香剤については、例えばラベンダーやペパーミント、レモン、オレンジ、アップル等の果物の香りの芳香剤、チョコレートやピーナッツバター等の食品の香りを発する芳香剤、化粧水等を適用してもよい。
【0047】
また、芳香剤保持部材4としては、例えば紙、綿、不織布、樹脂、繊維、セラミック等を用いることができ、芳香剤により変質しない材質を適用できる。
【0048】
第2実施形態
図4は芳香剤装置1の構成を示す斜視図である。本実施形態における芳香剤装置1の内部構造は、前記第1実施形態の構成と同様であってよい。ただし、容器本体2の側面に開口部21が設けられ、その外側に板状の保持具5を上下方向にスライド可能に保持するためのガイド部17が設けられている。容器本体2又は保持具5には、開口部21が露出しないように保持具5の位置を制限するストッパを設けてもよい。
【0049】
板状の保持具5には、前記同様に芳香剤保持部材4が設けられている。ただし、板状の保持具5の外面には開口部が形成されてなく、芳香剤保持部材4は容器本体2の開口部21側だけに露出しており、外面側には露出していない。
【0050】
芳香剤の香りを嗅ぐ場合は、前記同様に板状の保持具5をガイド部17に挿入し、開口部21を芳香剤保持部材4で塞ぐ位置に位置決めする。この状態で操作部7を手指で押動すると、図示しないスプレーから芳香剤が噴出し、芳香剤保持部4に染み込む。この状態で板状の保持具5を上方に引き出すことにより、芳香剤の香りを嗅ぐことができる。
【0051】
以上のように、本実施形態においても、前記第1実施形態と同様に、必要時にのみ、芳香剤の香りを簡便に、しかも周囲に飛散させることなく嗅ぐことができ、前記同様の効果が得られる。更に、本実施形態によれば、構成を更に簡略化することができる。
【0052】
スプレー3の構成、芳香剤の種類、芳香剤保持部材の材質等は、前記第1実施形態と同様であってよい。
【0053】
第3実施形態
図5は芳香剤装置1の構成を示す斜視図である。本実施形態における芳香剤装置1の内部構造は、前記第1実施形態で説明した構成と同様であってよい。ただし、容器本体2の側面には、第2実施形態と同様に開口部21が設けられている。
【0054】
一方、板状の保持具5はピン22を中心として、開口部21を形成した側面に沿うように回動する構成になっている。また、板状の保持具5にも前記同様に芳香剤保持部材4が設けられている。ただし、板状の保持具5の外面には開口部が形成されてなく、芳香剤保持部材4は容器本体2の開口部21側だけに露出しており、外面側には露出していない。
【0055】
この構成によれば、板状の保持具5が想像線で示す位置にある、開口部21を閉塞した状態で、操作部7を手指等で押動することにより、芳香剤が噴射されて芳香剤保持部材4に含浸保持されることになる。
【0056】
そして、芳香剤の香りを嗅ぐ場合は、実線で示すように板状の保持具5を回動させて、前記第2実施形態同様に容器本体2全体を手に持って芳香剤保持部材4を鼻の近傍に近づける。
【0057】
本実施形態によっても、前記第1及び第2実施形態同様の効果が得られる。更に、本実施形態によれば、構成を更に簡略化することができる。
【0058】
また、本実施形態を変形して、図6のように構成することもできる。なお、図6において先に説明した部材と同じ部材については、同符号を付しその説明は省略する。
【0059】
図6に示すように、容器本体2は円柱の1/4の形状に形成され、開口部21を有する面が扇形に形成されている。また、保持具5も同じ大きさの扇形に形成されている。そして、保持具5を回動させて芳香剤保持部材4を外部に露出させるとともに、開口部21を保持具5で閉塞することができる。この構成によれば、容器本体2内に噴射された芳香剤が、香りを嗅いでいるときに開口部21から外部に拡散することがない。
【0060】
第4実施形態
図7は本実施形態における容器本体1の構成を示す一部切り欠き斜視図、図8は容器本体1の一部拡大断面図である。
【0061】
容器本体1の側面には、円形の開口部21が設けられ、この開口部21に図7及び図8に示すようにコップ型保持具23が差し込み等により着脱自在に取付けられる。本実施形態における芳香剤保持部材4は、前記各実施形態とは異なり、コップ型保持具23内に装着されている。この場合、芳香剤保持部材4は、コップ型保持具23の内面に装着するものでもよいが、図8に示すように、コップ型保持具23内に充填するものであってもよい。
【0062】
なお、一部に内部構造を示したように、スプレー3等の構成は、前記各実施形態と同様であってよい。
【0063】
芳香剤の香りを嗅ぐ場合は、図8に示すように開口部21にコップ型保持具23を装着した状態で、操作部7を手指で押動する。この結果、芳香剤が芳香剤保持部材4に向けて噴射され、芳香剤保持部材4に染み込む。
【0064】
次に、コップ型保持具23を開口部21から取り外し、鼻に近づけて香りを嗅ぐ。香りを嗅いだ後は、開口部21に再び装着して次の嗅ぎ取りに備える。
【0065】
本実施形態であっても、前記各実施形態と同様の効果が得られる。更に、本実施形態によれば、構成を更に簡略化することができる。
【0066】
更に、本実施形態は、図9のように構成することもできる。なお、図9において、先に説明した部材と同じ部材には、同符号を付してその説明は省略する。
【0067】
図9に示すように、断面L字形状の保持具5が容器本体2に回動可能に装着され、保持具5の内面には芳香剤保持部材4a,4bが装着されている。芳香剤保持部材4a,4bは、保持具5の閉じた状態での鉛直面5i及び水平面5jにそれぞれ装着されている。保持具5により開口21が閉塞された状態でスプレー3から噴射された芳香剤は、ノズル正面の芳香剤保持部材4aに含浸保持される。また、噴射された芳香剤の一部は、水平状態の芳香剤保持部材4bに落下して含浸保持される。そして、スプレー噴射後に保持具5を回動させて、芳香剤保持部材4a,4bを外部に露出させることにより、香りを嗅ぐことができる。
【0068】
この構成によれば、保持具5が容器本体2から脱落することがなく、また、芳香剤保持部材4a,4bを外部に露出させる作業も、保持具5を回動させるだけなので簡単である。
【0069】
第5実施形態
図10は芳香剤装置1の外観を示す斜視図、図11は内部構成を示す断面図、図12は使用形態を示す斜視図である。
【0070】
芳香剤装置1を構成する容器本体31は、軸方向(設置面に垂直方向)に弾性変形可能な樹脂により全体として筒体に形成されているが、一部が蛇腹構造32に形成されている。また、本実施形態は、単に容器本体31内にスプレー3を収納した構成であり、第1実施形態で説明した位置決め部材6、操作部7、保持部材12等は設けられていない。
【0071】
容器本体31の上端は、図11に示すように開口部33が形成され、その上部にスプレー3の押動部3a等が突出した構成になっている。そして、開口部33全体は蓋体34により覆われるのであるが、前記蓋体34の内側面の少なくとも垂直壁面に芳香剤保持部材4が接着等により備えられている。蓋体34の開口端の寸法は、開口部33全体を覆う状態で、開口部33の端部に図示のように嵌め込み得るように設定され、深さは図示の固定状態で頂部が押動部3aの先端に接触するか、或いは僅かな隙間が形成される程度に設定される。
【0072】
従って、図10及び図11に示すように蓋体34を容器本体31に装着した状態で、手指等により蓋体34の頂部を押すと、蓋体34が押動部3aを実線で示す位置から想像線で示すように押し下げる。この結果、矢印Cで示すように芳香剤が噴射され、芳香剤保持部材4に含浸保持される。
【0073】
本実施形態の構成では、芳香剤保持部材4が芳香剤噴射位置の周囲を360°の範囲にわたって囲っている。故に、芳香剤の噴射方向を一定の位置に固定する必要がなく、前記位置決め部材6等を省略して構造を簡略化することができる。また、収容されるスプレー3の大きさも限定されず、多種のサイズのスプレー3に対応できる。
【0074】
以上のように芳香剤を噴射した後、図12に示すように蓋体34を容器本体31から取り外し、芳香剤の香りを嗅ぐことができる。香りを嗅いだ後、蓋体34を開口部33に嵌め込み、前記同様の操作を繰り返すことにより、同じ芳香を繰り返し嗅ぐことができる。
【0075】
本実施形態の構成においても、前記各実施形態と同様に、芳香剤の垂れや衣服への付着を防止して周囲環境の汚れを防止できる上に、芳香の不要な揮散防止、芳香剤の節約等の種々の効果が得られる。また、構造が簡単であることから、部品点数の削減、作業工数の削減を図ることができる。
【0076】
なお、上記第1〜第5の各実施形態は、香り見本のように必要時のみに香りを嗅ぐ場合に好ましく用いられるが、上記各実施形態において、一定時間保持具を引き出した状態に維持して芳香剤を揮散させて用いることも可能である。
【0077】
この場合、スプレーにより芳香剤を噴射された芳香剤保持部材は、位置固定用の爪を設ける等、容器本体から外に出ている状態を保持されるように構成される。そして、芳香剤保持部材による芳香剤の保持量が少なくなったときに、芳香剤保持部材をスプレーの噴射口に対向させて、芳香剤を噴射して適宜量を芳香剤保持部材に供給し、その後、芳香剤保持部材を外部に露出するように固定して、芳香剤を揮散させる。したがって、揮散させる芳香剤の量を簡単に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態を示す芳香剤装置の分解斜視図である。
【図2】芳香剤装置の断面図である。
【図3】(a)は板状の保持具の一例を示す分解斜視図、(b)は板状の保持具の変形例の斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示す芳香剤装置の展開図である。
【図5】本発明の第3実施形態を示す芳香剤装置の斜視図である。
【図6】図5に示す装置の変形例の斜視図である。
【図7】本発明の第4実施形態を示す芳香剤装置の一部切り欠き斜視図である。
【図8】図7に示す芳香剤装置の構成を示す断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態の変形例の要部断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態を示す芳香剤装置の斜視図である。
【図11】図10に示す芳香剤装置の構成を示す断面図である。
【図12】図10に示す芳香剤装置の使用形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
1 芳香剤装置
2、31 容器本体
3 スプレー
4 芳香剤保持部材
5 板状の保持具
6 位置決め部材
7 操作部
11 位置決め穴
12 保持部材
13 ヒンジ
14 蓋部
15 挿通孔
16 スリット
17 ガイド部
21 開口部
22 ピン
23 コップ型保持具
32 蛇腹構造
33 開口部
34 蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香剤を収容し押動部の押動に対応して噴射口から前記芳香剤を噴射するスプレーと、
閉空間を画成し前記スプレーを収納する容器本体と、
前記スプレーの前記押動部を前記容器本体の外部から押動操作する操作部と、
前記容器本体に装脱自在に装着され、装着時に前記スプレーの前記噴射口に対向する位置に位置決めされて噴射された前記芳香剤を保持する芳香剤保持部材と、
を備えたことを特徴とする芳香剤装置。
【請求項2】
前記芳香剤保持部材は、前記容器本体内に装脱自在に装填される保持具に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の芳香剤装置。
【請求項3】
芳香剤を収容し押動部の押動に対応して噴射口から前記芳香剤を噴射するスプレーと、
一端が開口部に形成され、他端が閉塞された筒状体の一部に軸方向に弾性的に変形する蛇腹部が設けられた前記スプレーを収容する容器本体と、
前記開口部を開閉するように前記容器本体に着脱自在に装着され、装着状態で前記スプレーの前記噴射口に対向する内側面を有する蓋体と、
前記蓋体の内側面に設けられた芳香剤保持部材と、
を備え、
前記蓋体を軸方向に押圧することにより前記容器本体を軸方向に短縮させるとともに前記スプレーの前記押動部を押動して前記芳香剤を前記芳香剤保持部材に噴射する
ことを特徴とする芳香剤装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−297098(P2009−297098A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152113(P2008−152113)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【Fターム(参考)】