説明

芳香族化合物及び紫外線吸収剤

【課題】広い波長範囲で紫外線を吸収し、かつ天然由来原料を用いた化合物及びこの化合物を用いた紫外線吸収剤の提供を目的とする。
【解決手段】芳香族化合物は、式(1)で表される芳香族化合物である。
【化1】


(式(1)中R1,R2は、水素原子、炭素数1〜40の直鎖もしくは分岐のアルキル基のいずれかを示し、R3,R4およびR6は、水素原子、水酸基、炭素数1〜40の直鎖もしくは分岐のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、R5はアミノ基、水酸基、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、Xは酸素原子またはNHを示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族化合物及び紫外線吸収剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地上に降り注ぐ紫外線はその波長の違いにより中波長のUV−B(290nm〜320nm)ならびに長波長のUV−A(320nm〜400nm)に分けられるが、それぞれ生体やプラスチックなどに様々な影響を及ぼすことが知られている。例えば生体に対しては、UV−Bは皮膚内へ透過することにより水泡の形成や色素の沈着を誘発するとされており、UV−Aは人間の真皮にまで到達することで即時黒化作用を引き起こし、さらには皮膚の老化やガン化を促進させるということが知られている。
【0003】
また、各種プラスチックに対しては、屋外においては太陽光、そして屋内においては蛍光灯からの紫外線に暴露されることにより、プラスチック中の官能基や残留触媒が励起され、これらはプラスチックの劣化を促進し、その結果、プラスチック自身の寿命を短くする。更に、紫外線は、透明な包装用フィルムにより包装された食品や衣類の該包装フィルムを透過して鮮度の低下や変質を引き起こしている。
【0004】
このように有害な紫外線から生体やプラスチックなどを保護するため、従来サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、安息香酸誘導体など、主に枯渇資源である原油等を原料とする紫外線吸収剤が利用されてきた。また、天然由来の紫外線吸収剤としては、米ぬか由来物質であるフェルラ酸およびその誘導体が存在している。この米ぬか由来物質であるフェルラ酸等の紫外線吸収剤を化粧品組成物に利用した技術が下記特許文献1に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−15453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記サリチル酸誘導体等の原油等を原料とする従来の紫外線吸収剤は、400nm付近の長波長の紫外線を効率的に吸収することができず、また、枯渇資源である原油などを原料とするために今後の原油価格の上昇も懸念されるだけでなく、クリーンな社会の構築を進めるうえで解決していかなくてはならない問題である。
【0007】
また、フェルラ酸およびその誘導体を用いた天然由来の紫外線吸収剤は、中波長のUV−Bに吸収特性が対応しており、長波長のUV−A側に吸収端を有する紫外線吸収剤としては不十分である。
【0008】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、広い波長範囲で紫外線を吸収し、かつ天然由来原料を用いた化合物及びこの化合物を用いた紫外線吸収剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る芳香族化合物は、式(1)で表される芳香族化合物である。
【化1】

(式(1)中R1,R2は、水素原子、炭素数1〜40の直鎖もしくは分岐のアルキル基のいずれかを示し、R3,R4およびR6は、水素原子、水酸基、炭素数1〜40の直鎖もしくは分岐のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、R5はアミノ基、水酸基、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、Xは酸素原子またはNHを示す。)
【0010】
また、本発明に係る芳香族化合物は、式(2)で表される芳香族化合物である。
【化2】

(式(2)中R1,R2,R7およびR8は、水素原子、炭素数1〜40の直鎖もしくは分岐のアルキル基のいずれかを示し、R3,R4,R9およびR10は、水素原子、水酸基、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、R5およびR11は、水酸基、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、Xは酸素原子またはNHを示す。)
【0011】
そして、本発明に係る芳香族化合物は、式(3)で表される芳香族化合物である。
【化3】

(式中R1,R2およびR7は、水素原子、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基のいずれかを示し、R3、R4およびR10は、水素原子、水酸基、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、R5およびR11は、水酸基、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、Xは酸素原子またはNHを示す。)
【0012】
更に、本発明に係る紫外線吸収剤は、前記した各構成の芳香族化合物を含有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る紫外線吸収剤によれば、式(1)、(2)、(3)のいずれかで示す芳香族化合物を含有するので、広い波長範囲で紫外線を吸収可能であり、かつ非石油由来物質として安定供給可能な桂皮酸誘導体から合成されることから天然由来原料から生成される物質を用いた紫外線吸収剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の最良の実施形態を以下に説明する。
式(1)、(2)、(3)において、R1,R2,R7およびR8は水素原子、炭素数1〜40、好ましくは1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基のいずれかを示す。炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基の具体例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−メチル−1−ブチル、2−エチル−1−ヘキシル、ラウリル、オクタデシル、エイコシル、イソプロピル、イソブチル、シクロヘキシル、イソノルボルニル、t−ブチル、アダマンチルなどを挙げることができる。
【0015】
また、式(1)、(2)、(3)において、R3,R4,R6,R9およびR10は、水素原子、水酸基、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示す。炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基の具体例は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、2−メチル−1−ブトキシ、2−エチル−1−ヘキシルオキシ、ラウリルオキシ、オクタデシルオキシ、エイコシルオキシ等の第一級アルコキシル基、イソプロピルオキシ、イソブトキシ、シクロヘキシルオキシ、イソノルボルニルオキシ等の第二級アルコキシル基、さらにはt−ブトキシ、アダマンチルオキシといった第三級アルコキシル基などを挙げることができる。
【0016】
式(1)、(2)、(3)において、R5およびR11は、アミノ基、水酸基、炭素数1〜40の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示す。アミノ基の具体例は、N,N−ジメチルアミノ基、N−メチルアミノ基など挙げられ、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基の具体例は、上述したR3,R4,R6,R9およびR10の具体例として示したものと同一のものが挙げられる。
【0017】
また式(1)、(2)、(3)において、Xは酸素原子またはNHを示す。
【0018】
式(1)、(2)、(3)で示す化合物の具体例を以下に挙げるが、本実施形態にかかる芳香族化合物はこれらの化合物に限定されるものではない。尚、以下に示す芳香族化合物においてa,b,c,d,e,h,i,j,k,m,nは0〜40の整数である。
【化4】

【0019】
【化5】

【0020】
【化6】

【0021】
式(1)、(2)、(3)に示す芳香族化合物の原料は桂皮酸誘導体であり、多くは天然中に存在する化合物である。具体例として、4−ヒドロキシ桂皮酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸などが挙げられる。また、前記桂皮酸誘導体は紫外線を吸収する部位である芳香環を有し、かつ非石油由来物質として安定供給可能な化合物群である。
【0022】
更に、前記桂皮酸誘導体は、カルボン酸、フェノール性の水酸基、二重結合など、それぞれ反応性の異なる官能基をその分子内に同時に有しているため、反応性の異なる各官能基ごとに、異なる性質を付与することができ、その機能や、融点、溶解性などの物性を比較的自由に設定可能であるという特徴を有する。
【0023】
式(1)、(2)、(3)で示す芳香族化合物はこの桂皮酸誘導体から得られ、原料である桂皮酸誘導体より官能基の数が多くなっていることから、より物性や機能の制御が容易となる。
【0024】
こうした天然由来の桂皮酸の1つであるフェルラ酸およびその誘導体のフェルラ酸エステル類は、320nm付近に最大吸収を持ち、360nm付近にその吸収端を有する化合物である。このことから、これらの化合物は中波長のUV−Bに対する天然の紫外線吸収剤として注目されてきた。
【0025】
本実施形態に係る式(1)、(2)、(3)に示す芳香族化合物は、これらフェルラ酸ならびにフェルラ酸エステル類と同様320nm付近にその最大吸収波長を有するが、その吸光度はフェルラ酸及びフェルラ酸誘導体より大きくなっており、またその吸収端は400nm付近にまで達する。さらに鋭意検討することにより、その吸光度を最大限まで大きくするとともに、従来はほとんど存在しなかったような450nm付近の紫外線まで吸収可能な物質の開発に成功した。
【0026】
すなわち、有害な紫外線である長波長UV−Aおよび中波長であるUV−Bを同時に効率よく吸収する紫外線吸収剤の開発を行い、また、近年需要の高まっている400nm以上の長波長領域の紫外線を効率的に吸収する材料の開発に成功したのである。
【0027】
本実施形態に係る式(1)に示す芳香族化合物を製造する際には、例えば、前記桂皮酸誘導体を金属触媒の存在下溶媒中に分散し、所定時間還流を行った後、析出固体を濾別し、得られた溶液を減圧下で濃縮する。この濃縮により得られた残査を精製することにより第1中間生成物を得、該第1中間生成物を塩基性溶媒に溶解し、無水酢酸等の保護試薬を滴下し、その後室温で攪拌を行う。所定時間経過後加水し、塩酸などで酸性化し、有機溶媒で抽出、水洗を行う。得られた有機層を減圧蒸留することで第2中間生成物を得る。
【0028】
得られた第2中間生成物をDDQなどの酸化剤とともに溶媒に溶解し、所定時間還流を行った後、析出した固体を濾別することで得られた溶液を減圧下で濃縮する。この濃縮により得られた残査を精製することにより目的生成物としての式(1)で示す芳香族化合物を得ることができる。
【0029】
更に、上記方法により得られた式(1)で示す芳香族化合物について、該芳香族化合物の有する所定の官能基を他の官能基に置換する反応を行うことによって、式(1)で示す他の芳香族化合物を得ることができる。
【0030】
本実施形態に係る式(2)に示す芳香族化合物を製造方法は、上記方法により得られた式(1)に示す芳香族化合物を溶媒に溶解し、酸化剤を加え攪拌を行う。その後、溶媒を留去し、得られた残査を精製することにより目的生成物としての式(2)で示す芳香族化合物を得ることができる。
【0031】
本実施形態に係る式(1)、(2)、(3)に示す芳香族化合物は、紫外線吸収剤としての利用が可能であり、太陽光や蛍光灯にさらされるような各種プラスチック(合成樹脂)に所定量混合することで、広い波長範囲の紫外線を吸収可能となり、該プラスチックの劣化などを抑止可能である。具体的には、ガラス代替用の透明プラスチック、もしくはそのコーティング剤、内外装用の樹脂、または包装用フィルムなどに本実施形態に係る式(1)、(2)、(3)に示す芳香族化合物を所定量混合することなどを挙げることができる。
【0032】
また、本実施形態に係る式(1)、(2)、(3)に示す芳香族化合物は、近年需要の増えている配線基盤の積層化に伴う裏写り防止剤(光遮蔽剤)としての用途も期待できる。
【0033】
以下の実施例は本発明の内容を詳細に説明しているが、これらは本発明の内容を制限するものではない。
【実施例1】
【0034】
下記化学式(4)で表される芳香族化合物の合成。
【化7】

フェルラ酸メチル2.1g、Ag2O 1.0gをトルエン15mLおよびアセトン10mLの混合溶液中に分散し、12時間不活性ガス中で還流した。反応溶液を室温まで戻した後、析出固体を濾別し、得られた溶液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより第1中間生成物1.0gを得た。
【0035】
この第1中間生成物0.5gをピリジン10mLに溶解し、無水酢酸2mLを滴下した後室温で攪拌を行った。2時間後水100mLを加え、さらに6N−HClで酸性化した後酢酸エチルで抽出、水洗を行った。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧蒸留することで第2中間生成物0.55gを得た。
【0036】
得られた第2中間生成物0.5gおよびDDQ0.3gをジオキサン100mLに溶解し、20時間還流した。室温まで戻した後に析出固体を濾別し、得られた溶液を減圧下で濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより目的生成物としての式(4)に示す芳香族化合物0.3gを得た。得られた芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.84 (1H, d, J=2.0 Hz), 7.81 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.79 (1H, d, J=1.2 Hz), 7.68 (1H, dd, J=2.0, 8.4 Hz), 7.15 (1H, d, J=8.4 Hz), 7.03 (1H, d, J=1.2 Hz), 6.47 (1H, d, J=16.0 Hz), 4.05 (3H, s), 3.96 (3H, s), 3.94 (3H, s), 3.84 (3H, s), 2.35 (3H, s); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 168.62, 167.42, 163.97, 160.61, 150.75, 145.36, 145.33, 144.25, 141.57, 131.56, 129.06, 127.63, 122.61, 122.41, 117.22, 116.19, 113.82, 109.24, 106.100, 56.12, 51.86, 51.72, 20.68
【実施例2】
【0037】
下記化学式(5)で表される芳香族化合物の合成。
【化8】

【0038】
フェルラ酸メチルに替えて、フェルラ酸エチルを原料に用いた以外は上記実施例1と同様に反応を行い、目的生成物としての式(5)に示す芳香族化合物を得た。得られた芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.83-7.81 (2H, m), 7.80 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.68 (1H, dd, J=2.0, 8.4 Hz), 7.15 (1H, d, J=8.4 Hz), 7.05 (1H, d, J=1.6 Hz), 6.46 (1H, d, J=16.0 Hz), 4.44 (2H, q, 7.2 Hz), 4.30 (2H, q, 7.2 Hz), 4.06 (3H, s), 3.93 (3H, s), 2.35 (3H, s), 1.44 (3H, t, 7.2 Hz), 1.37 (3H, t, 7.2 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 168.65, 167.05, 163.57, 160.53, 150.75, 145.35, 145.18, 144.29, 141.54, 131.62, 129.18, 127.76, 122.57, 122.52, 117.66, 116.32, 113.85, 109.56, 105.96, 60.98, 60.54, 56.14, 20.70, 14.36
【実施例3】
【0039】
下記化学式(6)で表される芳香族化合物の合成。
【化9】

【0040】
上記実施例1で得られた芳香族化合物0.2gをピロリジン2mLに溶解し、そのまま5分間攪拌を行った。その後水10mLを加え、1N−HClで中和した後、析出固体を濾別乾燥し、目的生成物として式(6)に示す芳香族化合物0.18gを得た。得られた芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.81 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.78 (1H, d, J=1.2 Hz), 7.76 (1H, d, J=2.0 Hz), 7.66 (1H, dd, J=2.0, 8.4 Hz), 7.03-7.00 (2H, m), 6.46(1H, d, J=16.0 Hz), 5.99 (1H, s), 4.05 (3H, s), 3.99 (3H, s), 3.96 (3H, s), 3.84 (3H, s); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 167.50, 164.28, 161.87, 148.01, 145.99, 145.52, 145.19, 143.98, 131.36, 129.29, 123.79, 121.04, 117.02, 116.14, 114.20, 112.12, 107.83, 105.79, 56.16, 56.09, 51.74, 51.72
【実施例4】
【0041】
下記化学式(7)で表される芳香族化合物の合成。
【化10】

【0042】
実施例2で得られた化合物を原料とした以外は上記実施例3と同様に反応を行い、目的生成物である式(7)に示す芳香族化合物を得た。得られた芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.80 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.80 (1H, d, J=1.2 Hz), 7.74 (1H, d, J=2.0 Hz), 7.66 (1H, dd, J =2.0, 8.4 Hz), 7.02(1H, d, J =1.2 Hz), 7.01(1H, d, J=8.4 Hz), 6.45(1H, d, J=16.0 Hz), 5.95 (1H, s), 4.43 (2H, q, 7.2 Hz), 4.30 (2H, q, 7.2 Hz), 4.05 (3H, s), 3.99 (3H, s), 1.45 (3H, t, 7.2 Hz), 1.37 (3H, t, 7.2 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 167.11, 163.88, 161.78, 147.96, 145.98, 145.33, 145.22, 144.01, 131.42, 129.42, 123.90, 121.17, 117.46, 116.29, 114.15, 112.13, 108.15, 105.65, 60.81, 60.53, 56.19, 56.11, 14.42, 14.38
【実施例5】
【0043】
下記化学式(8)で表される化合物の合成。
【化11】

【0044】
フェルラ酸メチルに替えて、フェルラ酸2−メチル−1−ブタノールを用いた以外は上記実施例1と同様に反応を行い中間生成物を得た後、その中間生成物を原料として実施例3と同様の反応を行い、目的生成物を得た。得られた式(8)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.84 (1H, d, J=1.2 Hz), 7.78 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.73 (1H, d, J=2.0 Hz), 7.65 (1H, dd, J=8.4, 2.0 Hz), 7.02-7.00 (2H, m), 6.46 (1H, d, J=16.0 Hz), 5.96 (1H, s), 4.29-4.02 (4H, m), 4.06 (3H, s), 3.99 (3H, s), 1.92-0.94 (18H, m); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 167.21, 164.04, 161.91, 147.94, 145.97, 145.21, 143.98, 131.45, 129.40, 123.91, 121.18, 117.52, 116.00, 114.14, 112.16, 108.24, 105.90, 69.55, 69.17, 56.17, 56.13, 34.27, 34.26, 26.23, 26.10, 16.62, 16.45, 11.26, 11.23
【実施例6】
【0045】
下記化学式(9)で表される化合物の合成。
【化12】

【0046】
実施例3で得られた芳香族化合物100mgをTHF1mLに溶解し、そこに水酸化ナトリウム100mgを水10mLに溶解した溶液を加え、室温で8時間攪拌を行った。その後1N−HClで中和し、析出固体を濾別乾燥することにより、目的物80mgを得た。得られた式(9)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ 7.77 (1H, d, J=1.2 Hz), 7.72 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.69 (1H, d, J=2.0 Hz), 7.49 (1H, dd, J=2.0, 8.4 Hz), 7.42(1H, d, J=1.2 Hz), 6.93 (1H, d, J=8.4 Hz), 6.63 (1H, d, J=16.0 Hz), 4.03 (3H, s), 3.90 (3H, s), 3.85 (3H, s); 13C NMR (100MHz, DMSO-d6) δ 167.70, 163.55, 161.07, 149.41,147.12, 144.96, 144.49, 143.06, 131.65, 128.61, 122.92, 119.37, 118.85, 115.55, 115.33, 113.27, 107.02, 106.36, 56.17, 51.77
【実施例7】
【0047】
下記化学式(10)で表される化合物の合成。
【化13】

【0048】
実施例3で得られた化合物100mgをTHF1mLに溶解し、そこに水酸化ナトリウム100mgを水10mLに溶解した溶液を加え、乾留下8時間攪拌を行った。その後1N−HClで中和し、析出固体を濾別乾燥することにより、目的物70mgを得た。
得られた式(19)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ 7.76 (1H, d, J=1.2 Hz), 7.72 (1H, d, J=2.0 Hz), 7.69 (1H, d, J =16.0 Hz), 7.49 (1H, dd, J =2.0, 8.4 Hz), 7.40(1H, d, J =1.2 Hz), 6.92(1H, d, J=8.4 Hz), 6.59(1H, d, J=16.0 Hz), 4.03 (3H, s), 3.84 (3H, s); 13C NMR (100MHz, DMSO-d6) δ 167.82, 164.84, 160.83, 149.34, 147.20, 145.12, 144.74, 143.24, 131.60, 129.41, 123.06, 119.83, 118.88, 115.74, 115.44, 113.58, 108.20, 106.38, 56.34, 55.87
【実施例8】
【0049】
下記化学式(11)で表される化合物の合成。
【化14】

【0050】
実施例7で得られた化合物150mgをメタノール25mLに分散させ、そこに硫酸を4滴加えて50度で3時間攪拌した。室温に戻した後減圧下で濃縮を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより目的物102mgを得た。得られた式(11)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ 7.79-7.75 (2H, m), 7.73 (1H, d, J=2.0 Hz), 7.50 (1H, dd, J=2.0, 8.4 Hz), 7.44 (1H, d, J=1.2 Hz), 6.92 (1H, d, J=8.4 Hz), 6.70 (1H, d, J=16.0 Hz), 4.03 (3H, s), 3.84 (3H, s), 3.75 (3H, s); 13C NMR (100MHz, DMSO-d6) δ 166.93, 164.85, 160.71, 149.32, 147.20, 145.39, 145.13, 143.36, 131.33, 129.47, 123.03, 119.83, 117.43, 116.19, 115.44, 113.56, 108.35, 106.34, 56.35, 55.86, 51.64, 30.88
【実施例9】
【0051】
下記化学式で表される化合物の合成。
【化15】

【0052】
メタノールに替えてC1225OHを用いた以外は上記実施例8と同様に試験を行い目的生成物を得た。得られた式(12)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.75 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.41 (1H, dd, J=2.0, 8.4 Hz), 7.37 (1H, d, J=2.0 Hz), 7.33 (1H, d, J=1.2 Hz), 6.99 (1H, d, J=8.4 Hz), 6.97 (1H, d, J=1.2 Hz), 6.87 (1H, s), 6.42 (1H, d, J=16.0 Hz), 5.78 (1H, s), 4.22 (2H, t, J=6.8 Hz), 4.07 (3H, s), 4.01 (3H, s), 1.75-0.86 (22H, m); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 167.28, 157.33, 146.73, 146.61, 145.33, 145.29, 145.09, 131.42, 130.57, 122.48, 119.03, 116.95, 114.80, 114.48, 107.59, 105.06, 100.14, 64.70, 56.17, 56.08, 31.92, 29.66, 29.64, 29.60, 29.55, 29.35, 29.31, 28.78, 26.01, 22.69, 14.12
【実施例10】
【0053】
下記化学式(13)で表される化合物の合成。
【化16】

【0054】
実施例7で得られた化合物200mgを0.5N−NaOH水溶液3.5mLに溶解し、さらに水を加えてトータル10mLにした。そこに氷冷下無水酢酸100μL加えたのち10分、さらに室温で80分攪拌を行った。その後、水を25mL加えた後6N−HClで中和し、析出固体を濾別乾燥させることにより目的生成物162mgを得た。得られた式(13)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ 7.83 (1H, d, J=2.0 Hz), 7.80 (1H, d, J=1.2 Hz), 7.71 (1H, d, J=15.6 Hz), 7.57 (1H, dd, J=2.0, 8.4 Hz), 7.45 (1H, d, J=1.2 Hz), 7.27 (1H, d, J=8.4 Hz), 6.61 (1H, d, J=15.6 Hz), 4.04 (3H, s), 3.85 (3H, s), 2.31 (3H, s)
【実施例11】
【0055】
下記化学式(14)で表される化合物の合成。
【化17】

【0056】
実施例10で得られた芳香族化合物が89mgと、C1225OHが170mgと、トリフェニルホスフィンが260mgとをジクロロメタン10mL中に分散させ、そこにアゾジイソプロピルジカルボキシレートの40%トルエン溶液を500mg滴下した後一晩室温で攪拌を行った。その後減圧下で濃縮を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより目的生成物を70mgを得た。得られた式(14)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.82 (1H, d, J=1.2 Hz), 7.82 (1H, d, J=2.0 Hz), 7.79 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.67 (1H, dd, J=2.0, 8.4 Hz), 7.14 (1H, d, J=8.4 Hz), 7.05 (1H, d, J=1.2 Hz), 6.46 (1H, d, J=16.0 Hz), 4.36 (2H, t, J=6.8 Hz), 4.23 (2H, t, J=6.8 Hz), 4.06 (3H, s), 3.93 (3H, s), 2.35 (3H, s), 1.83-0.87 (46H, m)
【実施例12】
【0057】
下記化学式(15)で表される化合物の合成。
【化18】

【0058】
実施例7で得られた化合物50mg、C2041OHを155mg、さらにトリフェニルホスフィン140mgをジクロロメタン15mL中に分散させ、そこにアゾジイソプロピルジカルボキシレートの40%トルエン溶液を265mg滴下した後一晩室温で攪拌を行った。その後減圧下で濃縮を行い、得られた残渣にアセトン50mLを加え、析出固体を濾別乾燥することにより目的生成物153mgを得た。得られた式(15)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
【実施例13】
【0059】
下記化学式(16)で表される化合物の合成。
【化19】

【0060】
2041OHに替えて2-エチル-1-ヘキサノールを用いた以外は上記実施例12と同様に反応を行うことによって目的生成物を得た。得られた式(16)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.85 (1H, d, J=1.2 Hz), 7.77 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.68-7.66 (2H, m), 7.02 (1H, d, J=1.2 Hz), 6.95 (1H, d, J=9.2 Hz), 6.46 (1H, d, J=16.0 Hz), 4.32-3.93 (6H, m), 4.06 (3H, s), 3.94 (3H, s), 1.89-0.88 (45H, m); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 167.27, 164.13, 162.06, 151.16, 148.93, 145.22, 145.15, 144.02, 131.45, 129.45, 123.36, 121.38, 117.59, 115.81, 113.37, 112.04, 108.32, 106.07, 76.30, 71.80, 67.14, 66.89, 56.36, 56.16, 39.03, 38.91, 30.57, 30.47, 30.39, 28.98, 23.97, 23.85, 23.75, 23.05, 23.01, 22.96, 14.08, 14.04, 11.05, 11.04, 10.95
【実施例14】
【0061】
下記化学式(17)で表される化合物の合成。
【化20】

2041OHに替えてメタノールを用いた以外は上記実施例12と同様に反応を行うことによって目的生成物を得た。得られた式(17)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.82 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.80 (1H, d, J=1.2 Hz), 7.74-7.71 (2H, m), 7.02 (1H, d, J=1.2 Hz), 6.97 (1H, d, J=9.2 Hz), 6.47 (1H, d, J=16.0 Hz), 4.06 (3H, s), 3.98 (3H, s), 3.97 (3H, s), 3.96 (3H, s), 3.84 (3H, s) ; 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 167.50, 164.26, 161.82, 151.08, 148.41, 145.51, 145.24, 144.08, 131.42, 129.29, 123.21, 121.54, 117.08, 116.16, 112.48, 110.51, 108.08, 105.84, 56.12, 56.09, 55.97, 51.78, 51.74
【実施例15】
【0062】
下記化学式(18)で表される化合物の合成。
【化21】

【0063】
2041OHに替えてエタノールを用いた以外は上記実施例12と同様に反応を行うことによって目的生成物を得た。得られた式(18)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
【実施例16】
【0064】
下記化学式(19)で表される化合物の合成。
【化22】

【0065】
2041OHに替えてC1225OHを用いた以外は上記実施例12と同様に反応を行うことによって目的生成物を得た。得られた式(19)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.82 (1H, d, J=1.2 Hz), 7.79 (1H, d, J=15.6 Hz), 7.69-7.67 (2H, m), 7.02 (1H, d, J=1.2 Hz), 6.95 (1H, d, J=9.2 Hz), 6.45 (1H, d, J=15.6 Hz), 4.36 (2H, t, J=6.8 Hz), 4.22 (2H, t, J=6.8 Hz), 4.09 (2H, t, J=6.8 Hz), 4.06 (3H, s), 3.96 (3H, s), 1.90-0.86 (69H, m)
【実施例17】
【0066】
下記化学式(20)で表される化合物の合成。
【化23】

【0067】
実施例5で得られた芳香族化合物47mgを15mLのCH2Cl2に溶解し、そこにCu(OH)Cl・TMEDA25mgを加え、室温で15時間攪拌を行った。溶媒を留去した後プレパラティブTLCで精製を行い、目的生成物43mgを得た。得られた式(20)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.86 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.83 (2H, d, J=1.2 Hz), 7.77 (2H, d, J=16.0 Hz), 7.75 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.00(2H, d, J=1.2 Hz), 6.45(2H, d, J=16.0 Hz), 6.43 (2H, s), 4.25-3.97 (8H, m), 4.03 (6H, s), 4.02 (6H, s), 1.89-0.91 (36H, m); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 167.23, 164.01, 161.65, 146.60, 145.41, 145.27, 145.25, 144.05, 131.42, 129.45, 125.53, 123.36, 120.98, 117.48, 116.02, 108.48, 106.01, 69.64, 69.18, 56.43, 56.13, 34.30, 34.26, 26.24, 26.12, 16.62, 16.48, 11.30, 11.23
【実施例18】
【0068】
下記化学式(21)で表される化合物の合成。
【化24】

【0069】
実施例5で得られた芳香族化合物に替えて実施例3で得られた芳香族化合物を原料とた以外は上記実施例17と同様に反応を行い、目的生成物を得た。得られた式(21)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.85 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.81 (2H, d, J=1.2 Hz), 7.81 (2H, d, J=16.0 Hz), 7.73 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.01 (2H, d, J =1.2 Hz), 6.46 (2H, d, J=16.0 Hz), 6.31 (1H, s), 4.06 (6H, s), 4.03 (6H, s), 3.98 (6H, s), 3.83 (6H, s); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 167.49, 164.23, 161.52, 146.55, 145.52, 145.42, 145.22, 144.08, 131.40, 129.40, 125.48, 123.30, 120.90, 117.05, 116.12, 111.83, 108.12, 105.91, 56.42, 56.09, 51.82, 51.72
【実施例19】
【0070】
下記化学式(22)で表される化合物の合成。
【化25】

【0071】
実施例5で得られた芳香族化合物に替えて実施例4で得られた芳香族化合物を原料とした以外は上記実施例17と同様に反応を行い、目的生成物を得た。得られた式(22)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.85 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.81 (2H, d, J=1.6 Hz), 7.79 (2H, d, J=16.0 Hz), 7.74 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.61 (2H, d, J=1.6 Hz), 6.44 (2H, d, J=16.0 Hz), 6.31 (2H, s), 4.43 (4H, q, J=7.2 Hz), 4.29 (4H, q, J=7.2 Hz), 4.05 (6H, s), 4.03 (6H, s), 1.41 (6H, t, J=3.2 Hz), 1.36 (6H, t, J=3.2 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 167.10, 163.81, 161.41, 146.50, 145.35, 145.32, 145.23, 144.08, 131.40, 129.48, 125.48, 123.28, 120.98, 117.44, 116.26, 111.88, 108.41, 105.76, 60.85, 60.50, 56.43, 56.10, 14.38, 14.36
【実施例20】
【0072】
下記化学式(23)で表される化合物の合成。
【化26】

実施例18で得た芳香族化合物560mgをピリジン4mLに溶解し、そこに無水酢酸150μLを加え室温で一晩攪拌を行った。その後水を50mL加え、析出固体を洗浄、濾別乾燥することにより、目的化合物600mgを得た。得られた式(23)に示す芳香族化合物のスペクトルデータは次の通りである。
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.93 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.82 (2H, d, J=1.6 Hz), 7.81 (2H, d, J=16.0 Hz), 7.61 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.03 (2H, d, J=1.6 Hz), 6.47 (2H, d, J=16.0 Hz), 4.03 (6H, s), 3.98 (6H, s), 3.98 (6H, s), 3.83 (6H, s), 2.18 (6H, s); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ 168.22, 167.46, 163.95, 160.24, 151.10, 149.81, 145.37, 144.37, 139.56, 131.63, 130.91, 129.13, 127.17, 124.17, 117.27, 116.17, 113.55, 109.48, 106.21, 56.39, 56.10, 51.94, 51.74, 20.49
【0073】
図1に、実施例3において合成を行った化学式(6)で示す芳香族化合物の紫外線吸収スペクトルを太線で、従来紫外線吸収剤として使用されているフェルラ酸メチルの紫外線吸収スペクトル細線で示す。また、図2には実施例18において合成を行った化学式(21)で示す芳香族化合物の紫外線吸収スペクトルを太線で、図1と同じくフェルラ酸メチルの紫外線吸収スペクトルを細線で示す。
【0074】
図1,2より、実施例3,18で得られた化学式(6),(21)で示す芳香族化合物は全波長でフェルラ酸メチルより高い吸光度を示し、特にフェルラ酸メチルは吸収できない320nm〜400nmのUV−Aの紫外線についても高い吸収度を示していることが分かる。
【0075】
また、実施例1,2,4〜16において合成を行った式(1)で表される芳香族化合物の紫外線吸収スペクトルについても、図1と略同様の結果が得られた。よって、式(1)で表される芳香族化合物は全波長でフェルラ酸メチルより高い吸光度を示すとともに、UV−Aの紫外線についても高い吸収度を示していることが分かる。また、実施例17,19,20において合成を行った式(2)で表される芳香族化合物の紫外線吸収スペクトルについても、図2と略同様の結果が得られた。これより、式(1)と同様に、式(2)で表される芳香族化合物が全波長でフェルラ酸メチルより高い吸光度を示すとともに、UV−Aの紫外線についても高い吸収度を示していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0076】


【図1】本発明の一実施形態に係る芳香族化合物の紫外線波長に対する吸光度を示す図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る芳香族化合物の紫外線波長に対する吸光度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される芳香族化合物。
【化1】

(式(1)中R1,R2は、水素原子、炭素数1〜40の直鎖もしくは分岐のアルキル基のいずれかを示し、R3,R4およびR6は、水素原子、水酸基、炭素数1〜40の直鎖もしくは分岐のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、R5はアミノ基、水酸基、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、Xは酸素原子またはNHを示す。)
【請求項2】
式(2)で表される芳香族化合物。
【化2】

(式(2)中R1,R2,R7およびR8は、水素原子、炭素数1〜40の直鎖もしくは分岐のアルキル基のいずれかを示し、R3,R4,R9およびR10は、水素原子、水酸基、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、R5およびR11は、水酸基、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、Xは酸素原子またはNHを示す。)
【請求項3】
式(3)で表される芳香族化合物。
【化3】

(式中R1,R2およびR7は、水素原子、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基のいずれかを示し、R3、R4およびR10は、水素原子、水酸基、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、R5およびR11は、水酸基、炭素数1〜40の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、アセチル基のいずれかを示し、Xは酸素原子またはNHを示す。)
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の芳香族化合物を含有することを特徴とする紫外線吸収剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−209120(P2009−209120A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56347(P2008−56347)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(591023594)和歌山県 (62)
【Fターム(参考)】