苗植機
【課題】 苗植嘴形態では、植付形態が比較的草丈の長い野菜苗を植付対象とするために、長い植付リンクの先端部に苗植嘴を設けて、高い植付行程を昇降する構成となり、植付リンクの植付抵抗や、振動等を生じ易く、能率のよい安定した植付作業を維持し難い。特に、車体のフレーム構成を細いハンドルフレーム等を用いた形態として、このハンドルフレームの上側に苗供給装置や、これら植付装置を搭載装着すると、機体フレームの構成が剛性不足で不安定となって、苗植付作用は一層安定し難いものである。
【解決手段】 前部に搭載のエンジン1から後方上部のハンドル3にわたるメインフレーム4の後部上に、苗植伝動ケース7を取付け、この苗植伝動ケース7に、前端部に苗植嘴11を有して昇降する植付リンク12の後端部を植付基軸10により支持すると共に、中間部をクランク軸27によって連動駆動することを特徴とする苗植機の構成とする。
【解決手段】 前部に搭載のエンジン1から後方上部のハンドル3にわたるメインフレーム4の後部上に、苗植伝動ケース7を取付け、この苗植伝動ケース7に、前端部に苗植嘴11を有して昇降する植付リンク12の後端部を植付基軸10により支持すると共に、中間部をクランク軸27によって連動駆動することを特徴とする苗植機の構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、構成を軽量、簡単化して、しかも安定した苗植付を行わせる苗植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前部のミッションケース部から後方のハンドル部に渡って湾曲するメインハンドルフレーム上方前部に、苗植装置や植付装置等を配置する苗植機構成の技術や、後端部に苗植嘴を有した植付リンクを、クランク軸の回転によって、前端の植付基軸の周りに昇降回動させて後側へ押し付けるようにして苗植作動させる技術、及び、植付リンクの一部を前後に揺動させて苗植嘴の植付角度姿勢を変化する技術等(例えば、特許文献1、2参照)が知られている。
【特許文献1】特開2005ー237347号公報(第3頁、図3)。
【特許文献2】特開平11ー225519号公報(第2頁、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
苗植機は、作業の特徴上、特にレタスや、キャベツ、タマネギ等野菜苗移植用として苗植機では、苗を収容保持する形態の苗植嘴を用いるが、この苗植嘴形態では、植付形態が比較的草丈の長い野菜苗を植付対象とするために、長い植付リンクの先端部に苗植嘴を設けて、高い植付行程を昇降する構成となり、植付リンクの植付抵抗や、振動等を生じ易く、能率のよい安定した植付作業を維持し難い。特に、車体のフレーム構成を細いハンドルフレーム等を用いた形態として、このハンドルフレームの上側に苗供給装置や、これら植付装置を搭載装着すると、機体フレームの構成が剛性不足で不安定となって、苗植付作用は一層安定し難いものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、前部に搭載のエンジン1から後方上部のハンドル3にわたるメインフレーム4の後部上に、苗植伝動ケース7を取付け、この苗植伝動ケース7に、前端部に苗植嘴11を有して昇降する植付リンク12の後端部を植付基軸10により支持すると共に、植付リンク12の後端部を揺動軸39によって連動駆動し、中間部をクランク軸27によって連動駆動し、前記苗植伝動ケース7には、前部の入力軸24から後方の植付リンク12の植付基軸10部側にわたって、この苗植付リンク12を昇降駆動する昇降クランク軸27と、この植付リンク12を前後揺動する揺動軸39とを、これらの順序で配置して連動することを特徴とする苗植機とする。
【0005】
エンジン1によって走行車輪を駆動すると共に、苗植伝動ケース7の伝動機構を経て、植付リンク12を昇降駆動して苗植付作業を行う。車体の前進と共に、この苗植伝動ケース7に対する植付リンク12の昇降作動は、後端部の植付基軸10の周りに前端部の苗植嘴11が昇降して、上昇位置で供給された苗を保持して土壌面へ突挿して、この土壌面に植付穴を形成しながら苗植付を行う。このとき前端に苗植嘴11を有した植付リンク12は、土壌面との間の植付抵抗を受ける位置において、土壌面を機体の進行方向と同調するように前側から後側へ掻き進むようにして駆動されて苗植付け作動する。
【0006】
また、入力軸24の駆動によって、昇降クランク軸27が伝動回転されて、植付リンク12を後端部の植付基軸10の周りに昇降回動する。さらに、後端部の揺動軸39が駆動されて、この植付リンク12の昇降動と一定の連動関係のもとに、この植付リンク12自体を前後に移動させて、前端部の苗植嘴11を前後に揺動し、車体走行停止時におけるこの苗植嘴11の土壌面部での植付作動軌跡において、苗植嘴11が前側上位から土壌面へ突刺して、後側上方へ作動するようになる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明は、植付リンク12の中間部をクランク軸27によって駆動することにより、苗植嘴11の昇降植付作動を後側の植付基軸10の周りに回動させて行わせるものであるから、前後に長い植付リンク12の振動や、横揺れ等を少なくして円滑な植付作動を行わせることができると共に、苗植伝動ケース7、及び植付リンク12等をメインフレーム4の後部上に取付けて、前方のミッションケース等とは独立した独立的構成として、構成を簡単、軽量化することができ、植付性能を高く維持して、安定した苗植付を行わせることができる。
【0008】
また、苗植伝動ケース7はメインフレーム4に直接取付けて、入力軸24を前側に位置するため、この入力軸24への伝動構成が取り易く、この入力軸24から駆動負荷の大きいクランク軸27を駆動し、この後端部の駆動負荷の小さい揺動軸39を駆動するものであるから、伝動効率を良好に維持すると共に、苗植付伝動ケース7を小形、軽量に成形することができ、このクランク軸27で昇降植付リンク12の中間部を連動して昇降作動するため、昇降植付リンク12の振動や、横揺れ等を少なくして、苗植嘴11の正確な植付作動を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図例に基づいて、苗植機機体は、前部にエンジン1を搭載し、後部にハンドル3を有したメインフレーム4の左右両側部に、上下搖動可能の車輪13を配置し、上部に苗供給装置5及び植付装置6を配置して、レタス等の野菜苗を一条植え形態に植付るものである。メインフレーム4は、丸パイプ材からなり、前後中央部を下側に弧状に湾曲させて、前端部をミッションケース2の下部に連結し、後端上部に操縦用のハンドル3を取付ける。このミッションケース2はメインフレーム4上に起立して設けるが、このメインフレーム4の前端部が後下がり傾斜に形成されているため、このミッションケース2も略直交状態に後上り傾斜に形成される。このミッションケース2の下部両側に張り出すアクスルハウジング14を一体構成し、この外側に車輪伝動ケース15を後方に向けて上下回動自在に支持する。各車輪伝動ケース15の後端部に車輪13を車軸16に軸装する。ミッションケース2の前側にはエンジン1を搭載し、このエンジン1によってミッションケース2の伝動機構を連動し、これらアクスルハウジング14、及び車輪伝動ケース15の伝動機構を介して車輪13を駆動することができる。ミッションケース2の後部には、ピッチングシリンダ17、及びシーソアーム18を設け、これらシーソアーム18の左右両端部と、左右の車輪伝動ケース15のケースアーム19との間を、ロッド20、及びローリングシリンダ21で連結し、これらピッチングシリンダ17の伸縮によって、左右の車輪13を昇降制御し、又、ローリングシリンダ21の伸縮によって左右各車輪13の昇降差を変えて、車体をローリング制御させることができる。エンジン1の前部下方には左右一対の補助輪22を回転、走行自在に設けて、車体の前部を支持する。
【0010】
ここにおいて、この発明にかかる苗植機は、前部に搭載のエンジン1から後方上部のハンドル3にわたるメインフレーム4の後部上に、苗植伝動ケース7を取付け、この苗植伝動ケース7に、前端部に苗植嘴11を有して昇降する植付リンク12の後端部を植付基軸10により支持すると共に、中間部をクランク軸27によって連動駆動することを特徴とする。エンジン1によって走行車輪を駆動すると共に、苗植伝動ケース7の伝動機構を経て、植付リンク12を昇降駆動して苗植付作業を行う。車体の前進と共に、この苗植伝動ケース7に対する植付リンク12の昇降作動は、後端部の植付基軸10の周りに前端部の苗植嘴11が昇降して、上昇位置で供給された苗を保持して土壌面へ突挿して、この土壌面に植付穴を形成しながら苗植付を行う。このとき前端に苗植嘴11有した植付リンク12は、土壌面との間の植付抵抗を受ける位置において、土壌面を機体の進行方向と同調するように前側から後側へ掻き進むようにして駆動することとなり、苗植付け作動が円滑に行われる。
【0011】
又、前記苗植伝動ケース7には、前部の入力軸24から後方の植付リンク12の植付基軸10部側にわたって、この苗植付リンク12を昇降駆動する昇降クランク軸27と、この植付リンク12を前後揺動する揺動軸39とを、これらの順序で配置して連動することを特徴とする。入力軸24の駆動によって、昇降クランク軸27が伝動回転されて、植付リンク12を後端部の植付基軸10の周りに昇降回動する。さらに、後端部の揺動軸39が駆動されて、この植付リンク12の昇降動と一定の連動関係のもとに、この植付リンク12自体を前後に移動させて、前端部の苗植嘴11を前後に揺動し、車体走行停止時におけるこの苗植嘴11の土壌面部での植付作動軌跡において、苗植嘴11が前側上位から土壌面へ突挿して、後側上方へ作動するようになる。
【0012】
前記メインフレーム4の後部上には、取付ブラケット23によって苗植伝動ケース7を前方上部に向けて取り付ける。この苗植伝動ケース7の中央前部には入力軸24を有して、前記ミッションケース2の後上部の出力軸25との間を自在継手等を介して伝動軸8で連結して伝動する。又、この苗植伝動ケース7の上側に苗供給装置5を連動するスプロケット軸26を設け、左右両側部には、植付アーム12を駆動するクランク軸27を設ける。
【0013】
前記苗供給装置5は、この苗植伝動ケース7の上側部を左右方向にわたってコンベアテーブル28を設け、育苗された苗を収容して搬送する苗カップ29を配置したカップコンベア30を設け、このカップコンベア30のコンベア軸31を前記苗植伝動ケース7のスプロケット軸26からチエン32連動する。このカップコンベア28は水平面上に沿って左右方向に回転Aしながら、この前行程の中央部の供給位置Bでカップ29底部を開口して、収容している苗を苗植嘴11上のホッパー33ヘ一定のタイミングで落下供給するように構成している。
【0014】
前記苗植伝動ケース7の前部には前側の入力軸24からベベルギヤ40を介して伝動のクランク軸27を設けて、このクランク軸27の側端部のクランクアーム41に連結のクランクロッド35を、植付リンク12に連結する。又、このクランク軸27上には、ベベルギヤ42を介してカップコンベア30のスプロケット軸26を伝動し、チエン43を介して後部の揺動軸10を伝動するように構成している。又、該入力軸24側のベベルギヤ40からクランク軸27への伝動を入り、切りする植付クラッチ44を設け、操作ピン45と、これによって作動されるクラッチカム46とによって、この植付クラッチ44を入り、切りしてクランク軸27を駆動して苗植作用を行わせたり、又、停止することができる。
【0015】
前記植付リンク12は上下一対のリンクアーム12a、12bから平行状に構成し、この上側のリンクアーム12aの後端部を揺動軸39に支持し、前端部を苗植嘴11の嘴基体47上部にピン48連結し、又、下側のリンクアーム12bの後端部を植付基軸10に支持し、前端部を該嘴基体47下部にピン49で連結して、平行四点リンク機構形態に構成している。前記クランクロッド35は、この上部のリンクアーム12aの中間部にピン50連結している。又、揺動軸39は偏心軸カム形態で、この揺動軸39の回転によって、前記苗植付軌跡線Dの下端部と上端部とにおいてリンクアーム12aを前後に移動させて、苗植嘴11の下端部を前後に揺動させて、上下に長い楕円形状形態の苗植付軌跡線Dを描いて作動するように構成している。又、前記揺動軸39の周りには、開閉カム51を設けて、該植付リンク12に沿って設ける開閉リンク52を連動して、苗植嘴11を嘴基体47に対して開閉ピン53の周りにスプリング54に抗して左右に開閉するように構成している。この苗植嘴11の開閉タイミングは、植付軌跡線Dの上端部では閉鎖し、下端部では左右に開くように構成している。
【0016】
苗植作用時に、入力軸24を伝動し、苗植クラッチ40を入りにすると、クランク軸27が回転して、苗供給装置5、及び苗植付装置6が伝動作動される。クランク軸27の回転によって平行リンク形態の植付リンク12が後側の植付基軸10、及び揺動軸39の周りに昇降回動され、この植付リンク12の前端部の苗植嘴11を平行状態を維持して昇降し、苗植付作動する。この苗植嘴11の昇降において下端部では揺動軸39により上側の植付リンク12aが前側へ押されて、苗植嘴11はピン49の周りに後側へ回動されて、この苗植嘴11の先端部を土壌面Gの前側上位から突入して後側へ揺動させながら上昇するように作動させる。したがって、このとき車体の前進走行速度との合成において、このような苗植嘴11の土壌中での後側への掻込み揺動を吸収して、苗植嘴11は土壌面Gでの停止位置において苗植付を行うように作動する。又、この苗植嘴11は昇降によって開閉カム51により作動される開閉リンク52を介して、ピン53周りに左右に開閉して、上昇位置でホッパー33が上方の苗カップ29から苗の供給を受ける状態から、下降して土壌面Gに苗植穴を形成するまでの行程では閉鎖状態にあり、この土壌面の苗植穴を形成して苗を植付ける状態から上昇する行程において左右に開くようになる。そして、この苗植嘴11の下端部は、苗植付軌跡線D(車体走行停止時の作動)のように、前上位から下降して土壌面Gに突入し、この土壌面G中で左右、又は前後に開いて、苗植穴を形成すると共に、収容保持苗をこの苗植穴へ植付けて、更に後側へ移行しながら上昇するように作動する。
【0017】
前記苗供給装置5のコンベアテーブル28は、ブラケット36を介して苗植伝動ケース7との間を連結支持する。前記連結フレーム9の上部に補給苗を載置する苗載枠38を設け、この苗載枠38の後部をコンベアテーブル28上方に接近させている。運転者はハンドル3の横前部Yに立って、この苗載枠38上の苗を取りながらカップコンベア30の各苗カップ29に供給して苗植作業を行わせる。この場合、前記メインフレーム4、及びハンドル3を一側(右側)にオフセットしているため苗カップ29に対する苗補給を行い易くする。前記クランク軸27の駆動によってスプロケット軸26、及びチエン32が伝動されて、カップコンベア30を回転Aする。前記のように苗供給した各苗カップ29が、車幅中央部の苗供給位置Bの直上に位置すると、この苗カップ29底部が開かれて、収容苗を下側の上昇位置にある苗植嘴11に落下供給する。この苗植嘴11によって形成された苗植付穴は後側の左右一つの培土輪37によって苗元に培土される。この培土輪37を支持する支持フェレーム34は、前記メインフレーム4の下側部にそって設けられ、前端部をミッションケース2部に一体に取付けている。
【0018】
次に、主として図4、図5、図6に基づいて、前記メインフレーム4をミッションケース2の横側から後方上部へ直線状に突出して、この後端部に苗供給伝動ケース60を取付けて、このケース60の上側に円形ターンテーブル形態のコンベアテーブル28を支持する。又、苗植伝動ケース7は、ミッションケース2の後側から後方上部へ向けて該メインフレーム4と平行状に突出して設け、このケース7の横側に沿うようにして植付リンク12を設ける。この植付リンック12は植付基軸10部を前側に設定すると共に、苗植嘴11を後方に位置させた構成としている。又、前記車体のピッチングや、ローリングを行わせるピッチングシリンダ17、ローリングシリンダ21等をこの伝動ケース7の上側に沿うように設けて、機体構成のコンパクト化を図っている。このピッチングシリンダ17のシリンダヘッド部は、この伝動ケース7のブラケット61に対して支持させている。
【0019】
前記苗植伝動ケース7は、ミッションケース2側からの連動を入力する入力軸24と、これから安全クラッチ65、及び植付クラッチ44等を経て伝動されるクランク軸27や、揺動軸39等を軸装して、植付リンク12を駆動する構成とし丁る。又、このクランク軸27からチエン66を介して前記後方の苗供給伝動ケース60の入力軸67を連動する。この伝動ケース60には、変速ギヤ68を有する変速軸69と、植付操作クラッチ70を有する軸62とを配置している。この軸62からスプロケット軸26を連動して前記コンベアテーブル28を駆動するように構成する。該変速ギヤ68は苗植付株間間隔を変更するに時切替るものである。又、この株間間隔を変更する時に入力軸67と変速軸69との間にわたって掛け換える株間交換ギヤ63を設けている。この株間交換ギヤ63で大まかな株間間隔を変更しておいて、この苗供給伝動ケース60の下部設けた株間切替レバー72で、変速ギヤ68を切替ることによってこの株間間隔の小調節を行うことができる。又、この株間交換ギヤ63に代えて、このコンベアテーブル28の苗カップ29が苗植嘴11のホッパー33上に位置して苗を落下供給する時の回転速度を減速する伝動するSQギヤを取付ける構成とすることもできる。又、該植付操作クラッチ70によって伝動される軸62の一側端のクランクアームには、ワイヤー64を連結して、このワイヤー64を前記苗植伝動ケース7側の植付クラッチ44の操作ピン45に連結して、この植付クラッチ44を連動操作するように構成している。ハンドル3部のクラッチレバー71を操作して、植付操作クラッチ70を切りにした時は、コンベアテーブル28の回転を停止すると共に、植付クラッチ44が切りの状態になって苗植嘴11は上昇位置で停止して植付作用を行わない。又、このクラッチ70を入りにした時は、コンベアテーブル28が駆動されると共に、植付クラッチ44が入りの状態になって苗植嘴11の植付作動が行われる。
【0020】
このような図5における苗植機は、前記コンベアテーブル28を円形状コンベアスプロケット形態に構成して、苗植嘴12を車幅の中央部に設けた一条植え形態に構成したものであるが、これを畝幅の広い作業形態にしたり、苗カップ29の多いカップコンベア30に切替るときは、アクスルハウジング14等の伸縮、乃至交換等によって、車輪13や、補助輪22等を外側へ移動設定して畝幅等に合わせることができ。又、該コンベアテーブル28のよこがわで、メインフレーム4の外側に位置してコンベアスプロケット73を軸支74して設け、これら左右のコンベアスプロケット28、73巻に長いカップコンベア30を張設することにより、前記スプロケット軸26の駆動によってこのカップコンベア30を回転Aすることができ、カップコンベア30の苗カップ29を増設することができる。又、このとき、左右二条植え形態にするには、前記苗植伝動ケース7のメインフレーム4側の外側に苗植付リンク12、及び苗植嘴11を装着して、左右二条植え形態に構成することができる。そして、これら一条植え、二条植えの何れの形態においても、作業者の各苗カップ29に対する苗補給位置Yは、メインフレーム4の前記コンベアテーブル28側の後部位置で、ハンドル3の外側において供給することができるため、苗植作業を円滑に、速やかに行うことができる。又、一条植え、二条植え等のしよう変更を簡単化することができる。
【0021】
次に、主として図7、図8に基づいて、前記苗植伝動ケース7をメインフレーム4の前部上に支持ブラケット80を介して取付支持し、この伝動ケース7の前端部を前記ピッチングシリンダ17部、乃至シーソアーム19部等の上側に位置するように重合形態に構成して、できるだけ前側に位置して設定する。この伝動ケース7の横側に植付リンク12、及び苗植嘴11等を装着し、後上部にコンベアテーブル28を配置支持して、このコンベアテーブル28の後部は連結ブラケット81を介してメインフレーム4の後端部に支持連結して、これら伝動ケース7、及びコンベアテーブル28等をアーチ形態に形成してメインフレーム4の上方に一体構成する。各植付リンク12、及びカップコンベア30は、この植付伝動ケース7のクランク軸27やスプロケット軸26等から伝動する。この形態では、伝動ケース7、及び苗植嘴11はもとより、培土輪37等を前側の車軸16部に接近させることができ、操向操作性を容易化することができ、前記ピッチングシリンダ17によって車輪13を下動Cさせて、後部苗植装置部を上昇させた状態では、この培土輪37部の後方突出を小さくして機体旋回操向時等での畦部等への接触、乃至衝突を少なくすることができる。又、前記苗載枠38を、伝動ケース7に対して支持ポール62を介して取付支持して、この苗載枠38の後端部をコンベアテーブル28上に臨ませるようにして、苗載枠38を後下り傾斜に設定することによって、作業者によるこの苗載枠38上から苗カップ29への苗供給を行い易い形態に構成している。
【0022】
次に、主として図9に基づいて、前記支持ポール83の上端部に支持する苗載枠38を、この支持ポール83上の周りに略180度域に旋回して、苗供給位置Yから最も離間した反対側位置の苗載枠38部を、この苗供給位置Y側へ引き寄せて苗供給作用を行い易い状態にするものである。又、この苗載枠38の横端部には後側へ引出可能の引出板85を設け、この引出板85部を後側へ引出すことによってこの苗載枠38上の苗の取出を行い易くしている。この形態では、苗載枠38の苗載面積を広くして多量の補給苗を収容することができ、かつ、苗供給作業を行い易くする。
【0023】
次に、主として図10、図11に基づいて、前記苗載枠38を支持ポール83上の支持枠87上で左右へ移動可能に設けたもので、苗取出位置Yでの苗供給作業を行い易くするものである。この苗載枠38は支持枠87上の適数の支持ローラ88によって左右移動自在に支持されて、この供給位置Y側に設ける支持ローラ88をハンドル89で回動操作することによって左右へ移動することができる。この苗枠38上には所定面積の苗箱90を用いて載せておくが、苗供給によってこの苗箱90が空になると、この空の苗箱90を苗供給位置Yの前側においてコンベアテーブル28の下側に設ける苗箱ホルダー91に収容することができる。又、前記苗載枠38は、支持ポール83の上端部に揺動軸92の周りに一定角度前後方向傾斜回動自在に支持されて、復帰スプリング95により後下り傾斜に附勢しておき、この苗載枠38と前記車輪伝動ケース15との間をケーブル94で連結して、前記ピッチングシリンダ17により車体を上昇することによって、ケーブル94を介して復帰スプリング95に抗して回動して、苗載枠38を前後水平状態に回動するように構成している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】苗植機の側面図。
【図2】その平面図。
【図3】苗植伝動ケース部の正面図。
【図4】一部別例を示す苗植機の側面図。
【図5】その苗植機の平面図。
【図6】その苗植装置部の伝動機構図。
【図7】一部別例を示す苗植機の側面図。
【図8】その苗植機の平面図。
【図9】一部別例を示す苗載枠部の平面図。
【図10】一部別例を示す苗載枠部の側面図と、この一部の斜視図。
【図11】その平面図。
【符号の説明】
【0025】
1 エンジン
2 ミッションケース
3 ハンドル
4 メインフレーム
7 苗植伝動ケース
10 植付基軸
11 苗植嘴
12 植付アーム
24 入力軸
27 クランク軸
30 揺動軸
【技術分野】
【0001】
この発明は、構成を軽量、簡単化して、しかも安定した苗植付を行わせる苗植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前部のミッションケース部から後方のハンドル部に渡って湾曲するメインハンドルフレーム上方前部に、苗植装置や植付装置等を配置する苗植機構成の技術や、後端部に苗植嘴を有した植付リンクを、クランク軸の回転によって、前端の植付基軸の周りに昇降回動させて後側へ押し付けるようにして苗植作動させる技術、及び、植付リンクの一部を前後に揺動させて苗植嘴の植付角度姿勢を変化する技術等(例えば、特許文献1、2参照)が知られている。
【特許文献1】特開2005ー237347号公報(第3頁、図3)。
【特許文献2】特開平11ー225519号公報(第2頁、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
苗植機は、作業の特徴上、特にレタスや、キャベツ、タマネギ等野菜苗移植用として苗植機では、苗を収容保持する形態の苗植嘴を用いるが、この苗植嘴形態では、植付形態が比較的草丈の長い野菜苗を植付対象とするために、長い植付リンクの先端部に苗植嘴を設けて、高い植付行程を昇降する構成となり、植付リンクの植付抵抗や、振動等を生じ易く、能率のよい安定した植付作業を維持し難い。特に、車体のフレーム構成を細いハンドルフレーム等を用いた形態として、このハンドルフレームの上側に苗供給装置や、これら植付装置を搭載装着すると、機体フレームの構成が剛性不足で不安定となって、苗植付作用は一層安定し難いものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、前部に搭載のエンジン1から後方上部のハンドル3にわたるメインフレーム4の後部上に、苗植伝動ケース7を取付け、この苗植伝動ケース7に、前端部に苗植嘴11を有して昇降する植付リンク12の後端部を植付基軸10により支持すると共に、植付リンク12の後端部を揺動軸39によって連動駆動し、中間部をクランク軸27によって連動駆動し、前記苗植伝動ケース7には、前部の入力軸24から後方の植付リンク12の植付基軸10部側にわたって、この苗植付リンク12を昇降駆動する昇降クランク軸27と、この植付リンク12を前後揺動する揺動軸39とを、これらの順序で配置して連動することを特徴とする苗植機とする。
【0005】
エンジン1によって走行車輪を駆動すると共に、苗植伝動ケース7の伝動機構を経て、植付リンク12を昇降駆動して苗植付作業を行う。車体の前進と共に、この苗植伝動ケース7に対する植付リンク12の昇降作動は、後端部の植付基軸10の周りに前端部の苗植嘴11が昇降して、上昇位置で供給された苗を保持して土壌面へ突挿して、この土壌面に植付穴を形成しながら苗植付を行う。このとき前端に苗植嘴11を有した植付リンク12は、土壌面との間の植付抵抗を受ける位置において、土壌面を機体の進行方向と同調するように前側から後側へ掻き進むようにして駆動されて苗植付け作動する。
【0006】
また、入力軸24の駆動によって、昇降クランク軸27が伝動回転されて、植付リンク12を後端部の植付基軸10の周りに昇降回動する。さらに、後端部の揺動軸39が駆動されて、この植付リンク12の昇降動と一定の連動関係のもとに、この植付リンク12自体を前後に移動させて、前端部の苗植嘴11を前後に揺動し、車体走行停止時におけるこの苗植嘴11の土壌面部での植付作動軌跡において、苗植嘴11が前側上位から土壌面へ突刺して、後側上方へ作動するようになる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明は、植付リンク12の中間部をクランク軸27によって駆動することにより、苗植嘴11の昇降植付作動を後側の植付基軸10の周りに回動させて行わせるものであるから、前後に長い植付リンク12の振動や、横揺れ等を少なくして円滑な植付作動を行わせることができると共に、苗植伝動ケース7、及び植付リンク12等をメインフレーム4の後部上に取付けて、前方のミッションケース等とは独立した独立的構成として、構成を簡単、軽量化することができ、植付性能を高く維持して、安定した苗植付を行わせることができる。
【0008】
また、苗植伝動ケース7はメインフレーム4に直接取付けて、入力軸24を前側に位置するため、この入力軸24への伝動構成が取り易く、この入力軸24から駆動負荷の大きいクランク軸27を駆動し、この後端部の駆動負荷の小さい揺動軸39を駆動するものであるから、伝動効率を良好に維持すると共に、苗植付伝動ケース7を小形、軽量に成形することができ、このクランク軸27で昇降植付リンク12の中間部を連動して昇降作動するため、昇降植付リンク12の振動や、横揺れ等を少なくして、苗植嘴11の正確な植付作動を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図例に基づいて、苗植機機体は、前部にエンジン1を搭載し、後部にハンドル3を有したメインフレーム4の左右両側部に、上下搖動可能の車輪13を配置し、上部に苗供給装置5及び植付装置6を配置して、レタス等の野菜苗を一条植え形態に植付るものである。メインフレーム4は、丸パイプ材からなり、前後中央部を下側に弧状に湾曲させて、前端部をミッションケース2の下部に連結し、後端上部に操縦用のハンドル3を取付ける。このミッションケース2はメインフレーム4上に起立して設けるが、このメインフレーム4の前端部が後下がり傾斜に形成されているため、このミッションケース2も略直交状態に後上り傾斜に形成される。このミッションケース2の下部両側に張り出すアクスルハウジング14を一体構成し、この外側に車輪伝動ケース15を後方に向けて上下回動自在に支持する。各車輪伝動ケース15の後端部に車輪13を車軸16に軸装する。ミッションケース2の前側にはエンジン1を搭載し、このエンジン1によってミッションケース2の伝動機構を連動し、これらアクスルハウジング14、及び車輪伝動ケース15の伝動機構を介して車輪13を駆動することができる。ミッションケース2の後部には、ピッチングシリンダ17、及びシーソアーム18を設け、これらシーソアーム18の左右両端部と、左右の車輪伝動ケース15のケースアーム19との間を、ロッド20、及びローリングシリンダ21で連結し、これらピッチングシリンダ17の伸縮によって、左右の車輪13を昇降制御し、又、ローリングシリンダ21の伸縮によって左右各車輪13の昇降差を変えて、車体をローリング制御させることができる。エンジン1の前部下方には左右一対の補助輪22を回転、走行自在に設けて、車体の前部を支持する。
【0010】
ここにおいて、この発明にかかる苗植機は、前部に搭載のエンジン1から後方上部のハンドル3にわたるメインフレーム4の後部上に、苗植伝動ケース7を取付け、この苗植伝動ケース7に、前端部に苗植嘴11を有して昇降する植付リンク12の後端部を植付基軸10により支持すると共に、中間部をクランク軸27によって連動駆動することを特徴とする。エンジン1によって走行車輪を駆動すると共に、苗植伝動ケース7の伝動機構を経て、植付リンク12を昇降駆動して苗植付作業を行う。車体の前進と共に、この苗植伝動ケース7に対する植付リンク12の昇降作動は、後端部の植付基軸10の周りに前端部の苗植嘴11が昇降して、上昇位置で供給された苗を保持して土壌面へ突挿して、この土壌面に植付穴を形成しながら苗植付を行う。このとき前端に苗植嘴11有した植付リンク12は、土壌面との間の植付抵抗を受ける位置において、土壌面を機体の進行方向と同調するように前側から後側へ掻き進むようにして駆動することとなり、苗植付け作動が円滑に行われる。
【0011】
又、前記苗植伝動ケース7には、前部の入力軸24から後方の植付リンク12の植付基軸10部側にわたって、この苗植付リンク12を昇降駆動する昇降クランク軸27と、この植付リンク12を前後揺動する揺動軸39とを、これらの順序で配置して連動することを特徴とする。入力軸24の駆動によって、昇降クランク軸27が伝動回転されて、植付リンク12を後端部の植付基軸10の周りに昇降回動する。さらに、後端部の揺動軸39が駆動されて、この植付リンク12の昇降動と一定の連動関係のもとに、この植付リンク12自体を前後に移動させて、前端部の苗植嘴11を前後に揺動し、車体走行停止時におけるこの苗植嘴11の土壌面部での植付作動軌跡において、苗植嘴11が前側上位から土壌面へ突挿して、後側上方へ作動するようになる。
【0012】
前記メインフレーム4の後部上には、取付ブラケット23によって苗植伝動ケース7を前方上部に向けて取り付ける。この苗植伝動ケース7の中央前部には入力軸24を有して、前記ミッションケース2の後上部の出力軸25との間を自在継手等を介して伝動軸8で連結して伝動する。又、この苗植伝動ケース7の上側に苗供給装置5を連動するスプロケット軸26を設け、左右両側部には、植付アーム12を駆動するクランク軸27を設ける。
【0013】
前記苗供給装置5は、この苗植伝動ケース7の上側部を左右方向にわたってコンベアテーブル28を設け、育苗された苗を収容して搬送する苗カップ29を配置したカップコンベア30を設け、このカップコンベア30のコンベア軸31を前記苗植伝動ケース7のスプロケット軸26からチエン32連動する。このカップコンベア28は水平面上に沿って左右方向に回転Aしながら、この前行程の中央部の供給位置Bでカップ29底部を開口して、収容している苗を苗植嘴11上のホッパー33ヘ一定のタイミングで落下供給するように構成している。
【0014】
前記苗植伝動ケース7の前部には前側の入力軸24からベベルギヤ40を介して伝動のクランク軸27を設けて、このクランク軸27の側端部のクランクアーム41に連結のクランクロッド35を、植付リンク12に連結する。又、このクランク軸27上には、ベベルギヤ42を介してカップコンベア30のスプロケット軸26を伝動し、チエン43を介して後部の揺動軸10を伝動するように構成している。又、該入力軸24側のベベルギヤ40からクランク軸27への伝動を入り、切りする植付クラッチ44を設け、操作ピン45と、これによって作動されるクラッチカム46とによって、この植付クラッチ44を入り、切りしてクランク軸27を駆動して苗植作用を行わせたり、又、停止することができる。
【0015】
前記植付リンク12は上下一対のリンクアーム12a、12bから平行状に構成し、この上側のリンクアーム12aの後端部を揺動軸39に支持し、前端部を苗植嘴11の嘴基体47上部にピン48連結し、又、下側のリンクアーム12bの後端部を植付基軸10に支持し、前端部を該嘴基体47下部にピン49で連結して、平行四点リンク機構形態に構成している。前記クランクロッド35は、この上部のリンクアーム12aの中間部にピン50連結している。又、揺動軸39は偏心軸カム形態で、この揺動軸39の回転によって、前記苗植付軌跡線Dの下端部と上端部とにおいてリンクアーム12aを前後に移動させて、苗植嘴11の下端部を前後に揺動させて、上下に長い楕円形状形態の苗植付軌跡線Dを描いて作動するように構成している。又、前記揺動軸39の周りには、開閉カム51を設けて、該植付リンク12に沿って設ける開閉リンク52を連動して、苗植嘴11を嘴基体47に対して開閉ピン53の周りにスプリング54に抗して左右に開閉するように構成している。この苗植嘴11の開閉タイミングは、植付軌跡線Dの上端部では閉鎖し、下端部では左右に開くように構成している。
【0016】
苗植作用時に、入力軸24を伝動し、苗植クラッチ40を入りにすると、クランク軸27が回転して、苗供給装置5、及び苗植付装置6が伝動作動される。クランク軸27の回転によって平行リンク形態の植付リンク12が後側の植付基軸10、及び揺動軸39の周りに昇降回動され、この植付リンク12の前端部の苗植嘴11を平行状態を維持して昇降し、苗植付作動する。この苗植嘴11の昇降において下端部では揺動軸39により上側の植付リンク12aが前側へ押されて、苗植嘴11はピン49の周りに後側へ回動されて、この苗植嘴11の先端部を土壌面Gの前側上位から突入して後側へ揺動させながら上昇するように作動させる。したがって、このとき車体の前進走行速度との合成において、このような苗植嘴11の土壌中での後側への掻込み揺動を吸収して、苗植嘴11は土壌面Gでの停止位置において苗植付を行うように作動する。又、この苗植嘴11は昇降によって開閉カム51により作動される開閉リンク52を介して、ピン53周りに左右に開閉して、上昇位置でホッパー33が上方の苗カップ29から苗の供給を受ける状態から、下降して土壌面Gに苗植穴を形成するまでの行程では閉鎖状態にあり、この土壌面の苗植穴を形成して苗を植付ける状態から上昇する行程において左右に開くようになる。そして、この苗植嘴11の下端部は、苗植付軌跡線D(車体走行停止時の作動)のように、前上位から下降して土壌面Gに突入し、この土壌面G中で左右、又は前後に開いて、苗植穴を形成すると共に、収容保持苗をこの苗植穴へ植付けて、更に後側へ移行しながら上昇するように作動する。
【0017】
前記苗供給装置5のコンベアテーブル28は、ブラケット36を介して苗植伝動ケース7との間を連結支持する。前記連結フレーム9の上部に補給苗を載置する苗載枠38を設け、この苗載枠38の後部をコンベアテーブル28上方に接近させている。運転者はハンドル3の横前部Yに立って、この苗載枠38上の苗を取りながらカップコンベア30の各苗カップ29に供給して苗植作業を行わせる。この場合、前記メインフレーム4、及びハンドル3を一側(右側)にオフセットしているため苗カップ29に対する苗補給を行い易くする。前記クランク軸27の駆動によってスプロケット軸26、及びチエン32が伝動されて、カップコンベア30を回転Aする。前記のように苗供給した各苗カップ29が、車幅中央部の苗供給位置Bの直上に位置すると、この苗カップ29底部が開かれて、収容苗を下側の上昇位置にある苗植嘴11に落下供給する。この苗植嘴11によって形成された苗植付穴は後側の左右一つの培土輪37によって苗元に培土される。この培土輪37を支持する支持フェレーム34は、前記メインフレーム4の下側部にそって設けられ、前端部をミッションケース2部に一体に取付けている。
【0018】
次に、主として図4、図5、図6に基づいて、前記メインフレーム4をミッションケース2の横側から後方上部へ直線状に突出して、この後端部に苗供給伝動ケース60を取付けて、このケース60の上側に円形ターンテーブル形態のコンベアテーブル28を支持する。又、苗植伝動ケース7は、ミッションケース2の後側から後方上部へ向けて該メインフレーム4と平行状に突出して設け、このケース7の横側に沿うようにして植付リンク12を設ける。この植付リンック12は植付基軸10部を前側に設定すると共に、苗植嘴11を後方に位置させた構成としている。又、前記車体のピッチングや、ローリングを行わせるピッチングシリンダ17、ローリングシリンダ21等をこの伝動ケース7の上側に沿うように設けて、機体構成のコンパクト化を図っている。このピッチングシリンダ17のシリンダヘッド部は、この伝動ケース7のブラケット61に対して支持させている。
【0019】
前記苗植伝動ケース7は、ミッションケース2側からの連動を入力する入力軸24と、これから安全クラッチ65、及び植付クラッチ44等を経て伝動されるクランク軸27や、揺動軸39等を軸装して、植付リンク12を駆動する構成とし丁る。又、このクランク軸27からチエン66を介して前記後方の苗供給伝動ケース60の入力軸67を連動する。この伝動ケース60には、変速ギヤ68を有する変速軸69と、植付操作クラッチ70を有する軸62とを配置している。この軸62からスプロケット軸26を連動して前記コンベアテーブル28を駆動するように構成する。該変速ギヤ68は苗植付株間間隔を変更するに時切替るものである。又、この株間間隔を変更する時に入力軸67と変速軸69との間にわたって掛け換える株間交換ギヤ63を設けている。この株間交換ギヤ63で大まかな株間間隔を変更しておいて、この苗供給伝動ケース60の下部設けた株間切替レバー72で、変速ギヤ68を切替ることによってこの株間間隔の小調節を行うことができる。又、この株間交換ギヤ63に代えて、このコンベアテーブル28の苗カップ29が苗植嘴11のホッパー33上に位置して苗を落下供給する時の回転速度を減速する伝動するSQギヤを取付ける構成とすることもできる。又、該植付操作クラッチ70によって伝動される軸62の一側端のクランクアームには、ワイヤー64を連結して、このワイヤー64を前記苗植伝動ケース7側の植付クラッチ44の操作ピン45に連結して、この植付クラッチ44を連動操作するように構成している。ハンドル3部のクラッチレバー71を操作して、植付操作クラッチ70を切りにした時は、コンベアテーブル28の回転を停止すると共に、植付クラッチ44が切りの状態になって苗植嘴11は上昇位置で停止して植付作用を行わない。又、このクラッチ70を入りにした時は、コンベアテーブル28が駆動されると共に、植付クラッチ44が入りの状態になって苗植嘴11の植付作動が行われる。
【0020】
このような図5における苗植機は、前記コンベアテーブル28を円形状コンベアスプロケット形態に構成して、苗植嘴12を車幅の中央部に設けた一条植え形態に構成したものであるが、これを畝幅の広い作業形態にしたり、苗カップ29の多いカップコンベア30に切替るときは、アクスルハウジング14等の伸縮、乃至交換等によって、車輪13や、補助輪22等を外側へ移動設定して畝幅等に合わせることができ。又、該コンベアテーブル28のよこがわで、メインフレーム4の外側に位置してコンベアスプロケット73を軸支74して設け、これら左右のコンベアスプロケット28、73巻に長いカップコンベア30を張設することにより、前記スプロケット軸26の駆動によってこのカップコンベア30を回転Aすることができ、カップコンベア30の苗カップ29を増設することができる。又、このとき、左右二条植え形態にするには、前記苗植伝動ケース7のメインフレーム4側の外側に苗植付リンク12、及び苗植嘴11を装着して、左右二条植え形態に構成することができる。そして、これら一条植え、二条植えの何れの形態においても、作業者の各苗カップ29に対する苗補給位置Yは、メインフレーム4の前記コンベアテーブル28側の後部位置で、ハンドル3の外側において供給することができるため、苗植作業を円滑に、速やかに行うことができる。又、一条植え、二条植え等のしよう変更を簡単化することができる。
【0021】
次に、主として図7、図8に基づいて、前記苗植伝動ケース7をメインフレーム4の前部上に支持ブラケット80を介して取付支持し、この伝動ケース7の前端部を前記ピッチングシリンダ17部、乃至シーソアーム19部等の上側に位置するように重合形態に構成して、できるだけ前側に位置して設定する。この伝動ケース7の横側に植付リンク12、及び苗植嘴11等を装着し、後上部にコンベアテーブル28を配置支持して、このコンベアテーブル28の後部は連結ブラケット81を介してメインフレーム4の後端部に支持連結して、これら伝動ケース7、及びコンベアテーブル28等をアーチ形態に形成してメインフレーム4の上方に一体構成する。各植付リンク12、及びカップコンベア30は、この植付伝動ケース7のクランク軸27やスプロケット軸26等から伝動する。この形態では、伝動ケース7、及び苗植嘴11はもとより、培土輪37等を前側の車軸16部に接近させることができ、操向操作性を容易化することができ、前記ピッチングシリンダ17によって車輪13を下動Cさせて、後部苗植装置部を上昇させた状態では、この培土輪37部の後方突出を小さくして機体旋回操向時等での畦部等への接触、乃至衝突を少なくすることができる。又、前記苗載枠38を、伝動ケース7に対して支持ポール62を介して取付支持して、この苗載枠38の後端部をコンベアテーブル28上に臨ませるようにして、苗載枠38を後下り傾斜に設定することによって、作業者によるこの苗載枠38上から苗カップ29への苗供給を行い易い形態に構成している。
【0022】
次に、主として図9に基づいて、前記支持ポール83の上端部に支持する苗載枠38を、この支持ポール83上の周りに略180度域に旋回して、苗供給位置Yから最も離間した反対側位置の苗載枠38部を、この苗供給位置Y側へ引き寄せて苗供給作用を行い易い状態にするものである。又、この苗載枠38の横端部には後側へ引出可能の引出板85を設け、この引出板85部を後側へ引出すことによってこの苗載枠38上の苗の取出を行い易くしている。この形態では、苗載枠38の苗載面積を広くして多量の補給苗を収容することができ、かつ、苗供給作業を行い易くする。
【0023】
次に、主として図10、図11に基づいて、前記苗載枠38を支持ポール83上の支持枠87上で左右へ移動可能に設けたもので、苗取出位置Yでの苗供給作業を行い易くするものである。この苗載枠38は支持枠87上の適数の支持ローラ88によって左右移動自在に支持されて、この供給位置Y側に設ける支持ローラ88をハンドル89で回動操作することによって左右へ移動することができる。この苗枠38上には所定面積の苗箱90を用いて載せておくが、苗供給によってこの苗箱90が空になると、この空の苗箱90を苗供給位置Yの前側においてコンベアテーブル28の下側に設ける苗箱ホルダー91に収容することができる。又、前記苗載枠38は、支持ポール83の上端部に揺動軸92の周りに一定角度前後方向傾斜回動自在に支持されて、復帰スプリング95により後下り傾斜に附勢しておき、この苗載枠38と前記車輪伝動ケース15との間をケーブル94で連結して、前記ピッチングシリンダ17により車体を上昇することによって、ケーブル94を介して復帰スプリング95に抗して回動して、苗載枠38を前後水平状態に回動するように構成している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】苗植機の側面図。
【図2】その平面図。
【図3】苗植伝動ケース部の正面図。
【図4】一部別例を示す苗植機の側面図。
【図5】その苗植機の平面図。
【図6】その苗植装置部の伝動機構図。
【図7】一部別例を示す苗植機の側面図。
【図8】その苗植機の平面図。
【図9】一部別例を示す苗載枠部の平面図。
【図10】一部別例を示す苗載枠部の側面図と、この一部の斜視図。
【図11】その平面図。
【符号の説明】
【0025】
1 エンジン
2 ミッションケース
3 ハンドル
4 メインフレーム
7 苗植伝動ケース
10 植付基軸
11 苗植嘴
12 植付アーム
24 入力軸
27 クランク軸
30 揺動軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部に搭載のエンジン(1)から後方上部のハンドル(3)にわたるメインフレーム(4)の後部上に、苗植伝動ケース(7)を取付け、この苗植伝動ケース(7)に、前端部に植付嘴(11)を有して昇降する植付リンク(12)の後端部を植付基軸(10)に支持すると共に、植付リンク(12)の後端部を揺動軸(39)によって連動駆動し、中間部をクランク軸(27)によって連動駆動し、前記苗植伝動ケース(7)には、前部の入力軸(24)から後方の植付リンク(12)の植付基軸(10)部側にわたって、この苗植付リンク(12)を昇降駆動する昇降クランク軸(27)と、この植付リンク(12)を前後揺動する揺動軸(39)とを、これらの順序で配置して連動することを特徴とする苗植機。
【請求項1】
前部に搭載のエンジン(1)から後方上部のハンドル(3)にわたるメインフレーム(4)の後部上に、苗植伝動ケース(7)を取付け、この苗植伝動ケース(7)に、前端部に植付嘴(11)を有して昇降する植付リンク(12)の後端部を植付基軸(10)に支持すると共に、植付リンク(12)の後端部を揺動軸(39)によって連動駆動し、中間部をクランク軸(27)によって連動駆動し、前記苗植伝動ケース(7)には、前部の入力軸(24)から後方の植付リンク(12)の植付基軸(10)部側にわたって、この苗植付リンク(12)を昇降駆動する昇降クランク軸(27)と、この植付リンク(12)を前後揺動する揺動軸(39)とを、これらの順序で配置して連動することを特徴とする苗植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−54581(P2008−54581A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235329(P2006−235329)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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