苗植機
【課題】 苗植機の車体姿勢の制御には、傾斜センサとして、液面気泡形態や、振子形態等のセンサを用いることが一般的であるが、この傾斜検出の制度調整が安定し難く、制御構成が煩雑である。
【解決手段】 左、右車輪ケースを、車体に対して上下揺動可能に設けた苗植機において、苗植嘴による左、右各苗植付位置を培土する培土ディスク4、乃至鎮圧する鎮圧ロールの上下揺動によってピッチング制御、及びローリング制御することを特徴とする。
【解決手段】 左、右車輪ケースを、車体に対して上下揺動可能に設けた苗植機において、苗植嘴による左、右各苗植付位置を培土する培土ディスク4、乃至鎮圧する鎮圧ロールの上下揺動によってピッチング制御、及びローリング制御することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、苗植機の車体の姿勢を制御する姿勢制御装置に関するもので、簡単な構成とするものである。
【背景技術】
【0002】
左、右の走行車輪を有する車輪ケースを、接地センサの検出によって上下動して車体をピッチング制御させると共に、傾斜センサによって車体の左右傾斜の検出によって、片側の車輪ケースを上下動して車体をローリング制御させる形態とする技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【特許文献1】特開2002ー46661号公報(第3頁、図2)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
苗植機のピッチング制御や、ローリング制御は、車体の上下高さを検出する高さセンサや、左右方向の傾斜を検出する傾斜センサを設け、しかも、この傾斜センサとして、液面気泡形態や、振子形態等のセンサを用いることが一般的であるが、この傾斜検出の制度調整が安定し難く、制御構成が煩雑である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、左右一方の車輪(10)を左右他方の車輪(10)に対して上下動させるローリングシリンダ(17)を設けた苗植機において、接地して苗植嘴(3)による左右の各苗植付位置を培土する培土具(4)又は鎮圧する鎮圧具(5)を設け、該培土具(4)又は鎮圧具(5)を上下揺動自在に支持するアーム(41,83)を左右各々設け、該アーム(41,83)と一体回動する左右各々の軸(40)を同一直線上で回動するよう設け、該軸(40)の機体左右方向内側端を近づけて配置し、軸(40)の機体左右方向内側端にセンサーアーム(47)を各々設け、この一対のセンサーアーム(47)の一方にアウター、他方にインナーを取り付けて一対のセンサーアーム(47)の回動角度差で操作されるセンサーワイヤ(50)を設け、該センサーワイヤ(50)の作動によりローリングシリンダ(17)を作動させる車体姿勢制御装置を設けることを特徴とする苗植機とする。苗植嘴(3)の昇降による苗植付作用時には、培土具(4)によって植付土壌面を培土して苗植付姿勢を固定し、又は、植付土壌面を鎮圧して平坦に均平して苗植付姿勢を一定し易くする。このとき、これら左、右の培土具(4)や、鎮圧具(5)が、各々土壌面の高さに応じて上下動して、一定に高さ、乃至深さ位置等に維持作用するように培土し、鎮圧するに伴って、これら左、右の苗植土壌面の高さや、傾斜を検出して、前記左右の車輪(10)を上下に揺動させて、車体(2)を所望の左右傾斜姿勢に維持するようにローリング制御する。
【0005】
請求項2に記載の発明は、前記左、右複条の苗植付位置を培土する培土具(4)、又は鎮圧する鎮圧具(5)を、苗植付土壌面の高さ、及び左右傾斜を検出するセンサとして制御する構成にしている。前記左、右の各培土具(4)、又は鎮圧具(5)は、各左、右の苗植位置毎に独立的に上下揺動して、この揺動位置の高さの差異によって植付土壌面の高さや、左右傾斜を検出して、この土壌面の傾斜検出によって前記車輪ケース(1)を上下動して車体(2)のローリング制御を行うものである。
【0006】
請求項3に記載の発明は、前記左、右車輪ケース(1)の非苗植位置への揺動によって、左、右両培土具(4)、乃至鎮圧具(5)を非接地高さへ上昇するように連動構成にしている。前記のようなローリング制御作動、乃至作動後において、苗植装置部を土壌面上へ高く上昇させるときは、左右の車輪ケース(1)を下動させて車体(2)を非苗植姿勢に上昇させる。このとき、左、右の培土具(4)、乃至鎮圧具(5)が非作用姿勢位置へ連動上昇されて、車体(2)の走行旋回等の邪魔にならない形態となる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明は、左、右複条の苗植付土壌面培土する培土具4、又は鎮圧する鎮圧具5の高低位置、乃至高低差によって、苗植嘴3による苗植付け高さ位置、乃至この苗植付部の左右傾斜状態を的確に検出して、前記車輪10を上下動して、車体2をローリング制御し、安定した機体姿勢の制御を行わせることができ、苗植姿勢を維持することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、特別構成の接地センサや、傾斜センサ等を設けることなく、左、右複条植え形態の苗植付位置を培土具4、又は鎮圧具5を利用して、ピッチング制御や、ローリング制御のセンサとすることができ、苗植装置3の高さ、左右傾斜姿勢を検出させて、簡潔で、安価な構成とすることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、左、右の車輪ケース1の非苗植位置への揺動によって、左右両培土具4、又は鎮圧具5を非接地高さ位置へ上昇させることができるため、これら苗植付土壌面部の培土や、鎮圧を行わないようにすることができると共に、この車体2を上昇させた状態での苗植装置の苗植深さ位置や、傾斜状態等を検出しない形態とすることができ、非ピッチング形態、及び非ローリング形態として安定した走行姿勢とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図例に基づいて、車体2は、前部にエンジン6、及びミッションケース7を配置して、後端部にハンドル8を設け、このミッションケース7の両側に張出するアクスルハウジング9周りに上下揺動する車輪ケース1を設け、この車輪ケース1の後端部に車輪10を軸11装して、これら左右の車輪10と、車体2前端部に軸12装の左右の前輪13とによって走行するハンド走行形態に構成している。この左右の車輪ケース1を一体的に取り付けるアクスルハウジング9には、ハウジングアーム14を有して、前記ミッションケース7の後側に突出のピッチングシリンダ15に設けたピッチングアーム16の左右両端との間をローリングシリンダ17と、ロッド18とで各々連結して、このピッチングシリンダ15を伸縮することによって左右両車輪10を車体2に対して昇降回動できる形態としている。又これら前後に対向するハウジングアーム14と、ピッチングアーム16の側端部との間を連結する一側部の前記ローリングシリンダ17の伸縮によって、この側の車輪10を、他側部の前記ロッド18によって連結された側の車輪10に対して昇降させて、車体2をローリングさせて、車体2の左右傾斜を水平にしたり、土壌面に対して平行状にすることができ、車体2の左右傾斜姿勢を制御することができる。そして、このようなピッチング制御や、ローリング制御は、苗植位置の土壌面を培土する培土ディスク4や、鎮圧する鎮圧ロール5によって、土壌面の高さや、左右傾斜状態を検出して行わせるものである。
【0011】
ここにおいて、左、右車輪ケース1を、車体2に対して上下揺動可能に設けた苗植機において、苗植嘴3による左、右各苗植付位置を培土する培土具である培土ディスク4、乃至鎮圧する鎮圧具である鎮圧ロール5の上下揺動によってピッチング制御、及びローリング制御する構成である。苗植嘴3の昇降による苗植付作用時には、培土ディスク4によって植付土壌面を培土して苗植付姿勢を固定し、又は、植付土壌面を鎮圧して平坦に均平して苗植付姿勢を一定し易くする。このとき、これら左、右の培土ディスク4や、鎮圧ロール5が、各々土壌面の高さに応じて上下動して、一定に高さ、乃至深さ位置等に維持作用するようにピッチング制御しながら、培土し、鎮圧する。又、これら左、右の苗植土壌面の傾斜を検出して、前記左右の車輪ケース1を上下に揺動させて、車体2を左、右方向に水平状に、又は土壌面と左右平行状に維持するようにローリング制御する。
【0012】
又、前記左、右複条の苗植付位置を培土する培土ディスク4、又は鎮圧する鎮圧ロール5を、苗植付土壌面の高さや、左右傾斜を検出するセンサとして制御する構成にしている。前記左、右の各培土ディスク4、又は鎮圧ロール5は、各左、右一体的に上下揺動して植付土壌面の高さをを検出して、又は、左、右の苗植位置毎に独立的に上下揺動して、この揺動位置の高さの差異によって植付土壌面の左右傾斜を検出して、これらの土壌面の傾斜検出によって前記車輪ケース1を上下動して車体2のピッチング制御、乃至ローリング制御を行うものである。
【0013】
又、前記左、右車輪ケース1の非苗植位置への揺動によって、左、右両培土ディスク4、乃至鎮圧ロール5を非接地高さへ上昇するように連動構成にしている。前記のようなピッチング制御作動、ローリング制御作動、乃至作動後において、苗植装置部を土壌面上へ高く上昇させるときは、左右の車輪ケース1を下動させて車体2を非苗植姿勢に上昇させる。このとき、左、右の培土ディスク4、乃至鎮圧ロール5が非作用姿勢位置へ連動上昇されて、車体2の走行旋回等の邪魔にならない形態となる。
【0014】
前記苗植嘴3は、左右一定間隔位置に配置の二条植え形態として、左右車輪10間の後側幅域にわたって配置している。車体2の後部には、ターンテーブル形態に苗カップ19を連接して回転搬送する苗供給装置20を設け、この苗供給装置20の下側中央部に苗植嘴3を左右二条植形態に配置している。この苗カップ19を左右方向へ回転することによって、車体2上部の補助苗受台21に予め搭載されている苗トレイから苗を取出しながら各苗カップ19へ供給する。この各苗カップ19が回転して苗植嘴3の上側に位置したときは、カップ底部のシャッタが開かれて、収容していた苗を下側の苗植嘴3に落下供給する形態である。この苗植嘴3は、苗植ブラケット22に対して前後へ開閉回動可能に設けられて、上側に前記苗カップ19から供給される苗を落下案内するホッパ23を有し、苗植伝動ケース24に対して平行リンクアーム25、26を介して昇降駆動する構成としている。前記苗植伝動ケース24は車体2フレーム部に対して装着して、前記ミッションケース7部から伝動構成される。この伝動機構の一部によって回転されるクランクアーム軸27によってロッド28を介して上側のリンクアーム25が昇降回動されて、苗植嘴3を植付作動する。前記苗植ブラケット22のレバー29と下側のリンクアーク26の基端部に形成のアーム30との間はワイヤ31で連結して、苗植嘴3の昇降に伴って、この苗植嘴3を開閉するものである。前記クランクアーム軸27の回転によって苗植嘴3を略楕円形状の植付軌跡線Dを描いて昇降させると共に、この上死点位置から下降する行程ではこの苗植嘴3を閉鎖状態とし、上昇行程では開くように作動させる。
【0015】
このような、苗植嘴3の前側には、この苗植付位置の前側土壌面を鎮圧する鎮圧ロール5を設け、各苗植嘴3の後側には、これら苗植嘴3によって土壌面Aに形成されて苗植付された植付穴を培土する培土ディスク4を設ける。この培土ディスク4は、各苗植付位置に対して左右一対の、左右対称状形態とし、ディスク軸32の周りに回転自在に構成して、前側を左右に開き、かつ上側を左右に開くように傾斜させた構成としている。前記車体2には補助席33や、ステップ34等を配置して、作業者が搭乗して補助苗受台21の苗を苗供給装置20の苗カップ19へ補給することができる形態としている。
【0016】
次に、主として図1、図2に基づいて、前記車体2の後部に取付ブラケット38によって取付ける培土フレーム39に、横方向に沿う六角軸形態の左右一対のディスクアーム軸40を、内側端を突合わせた形態にして回動自在に設ける。そして、培土ディスク4は、このディスクアーム軸40の周りにアームボス42を嵌合のディスクアーム41の後端に配置している。このアームボス42をセットボルト43の締め付けによって、横軸方向へ移動固定可能に設け、培土ディスク4の培土位置を左右に移動調節することができる。各ディスクアーム41の後端部を左右門形状のリヤフレーム44を形成して、このリヤフレーム44の左右両側部に前記左右一対の培土ディスク4を配置して、ディスク軸32で回転自在に支持する。このリヤフレーム44は、植付苗の上部を左右にまたいで前進方向へ移動することができる。又、このリヤフレーム44上には支持アーム46によって、バランスウエイト45を嵌合支持して、培土圧力を調整できる構成としている。
【0017】
前記左右各ディスクアーム軸40の内端部には一体回動のセンサアーム47を設け、これら各センサアーム47は、前記ピッチングシリンダ15、及びローリングシリンダ17の油圧回路のピッチングバルブ48や、ローリングバルブ49等をセンサワイヤ50等で連結して、これらのバルブ48、49を作動して、ピッチング制御、ローリング制御するように構成している。両センサアーム47の一方にはセンサワイヤ50のインナワイヤを連結し、他方にはアウタワイヤを連結して、左右両センサアーム47が同位揺動するときは、ピッチングバルブ48を切替作動するが、ローリングバルブ49は切替作動しない形態に構成し、又、左右両センサアーム47が揺動角度を異にして作動するときは、ピッチングバルブ48の切替作動は行わないで、ローリングバルブ49のみ切替作動するように構成している。
【0018】
又、このピッチングバルブ49を作動するための接地センサを、これら培土ディスク4とは別個に設けて、苗植付土壌面の高さを検出すると共に、この接地センサによって該センサアーム47を揺動させて、ピッチングシリンダ15のピッチングバルブ48を切替作動してピッチング制御を行わせるように連動構成することも可能である。又、この接地センサを、前記苗植嘴3の前側に位置する鎮圧ロール5によって構成することもできる。
【0019】
前記左右の各センサアーム47の基端部には、各々リフトワイヤ51を連結して、各リフトワイヤ51を前記アクスルハウジング9の下側に突出のアーム52に連結している。このリフトワイヤ51の連結によって、前記左右の車輪ケース1の昇降により左右のセンサアーム47を上下に大きく回動して、左右各ディスクアーム41を強制回動することができる。又、このリフトワイヤ51は左右ののセンサアーム47とクロス状形態に連結している。左側のハウジングアーム14と、右側のセンサアーム47との間を一方のリフトワイヤ51で連結し、他方のリフトワイヤ51で、右側のハウジングアーム14と左側のセンサアーム47との間を連結している。又、これらのリフトワイヤ51の各アーム52に対する連結部は、ワイヤ51の連結片に長穴54を形成して、この長穴54にワイヤピン53を摺動自在に係合させている。センサアーム47が土壌面検出領域における制御域においてはリフトワイヤ51が押し引きされてもこれら長穴54によってリフトワイヤ51の作動を吸収することができるように構成している。
【0020】
前記ディスクアーム41を左右に移動調節する時は、この調節操作を容易にするために、ディスクアーム軸40の周りに切欠目印55を形成しておき、この目印55の位置にアームボス42の位置をあわせることによって的確な植付条位置への培土位置決めを行うことができる。
【0021】
又、前記センサアーム47をピッチングバルブ48に連動する形態例では、図3のように、前記左右のセンサアーム47とピッチングバルブ48のバルブアーム56との間に、ピッチングバルブ連動機構57を設ける形態である。ピッチングバルブアーム56に、ロッド58、スプリング59を介してアーム軸61の周りに回動自在の揺動アーム60を連結し、この揺動アーム60の左右両端部には回動ピン62の周りに左右回動自在のリンクロッド63を設けて、これら左右のリンクロッド63の後端を前記センサアーム47の前端部に連結している。前記揺動アーム60は、ロッド58の外側に前後摺動自在に嵌合させた筒体64に対して、アーム軸61の周りに揺動することができ、この揺動アーム60の両端部の回動ピン62と、筒体64に一体のアーム65の両端部との間には、スプリング66を掛け渡している。揺動アーム60はセンサアーム47の回動によってこのスプリング66に抗してアーム軸61の周りに回動されると共に、前記ロッド58を介してピッチングバルブアーム56を回動して、ピッチングシリンダ15のピッチングバルブ48を作動するものである。又、前記リフトワイヤ51がこれら揺動アーム60の左右両端部に連結されて、前記車輪ケース1と一体のアーム52と連結し、これら車輪ケース52が大きく下降回動されると左右両リフトワイヤ51を介して各センサアーム47を上側へ回動して、前記培土ディスク4や、鎮圧ロール5等の各センサの検出作用を受けない作動圏外の車体姿勢とするものである。
【0022】
次に、主として図7では、前記センサアーム47をデスクアーム軸40の上側へ突出させて、センサワイヤ50を介して制御バルブ48や、49へ連結し、又リフトワイヤ51を介してアクスルハウジング9へ連結して、これらのセンサアーム47が植付土壌面に対して接触し難い形態としている。又、これらのリフトワイヤ51の前後端部には、アウタワイヤ受けとの間にスプリング67、68を介装して、鎮圧荷重を上げることができる形態としている。更には、各ディスクアーム41のリヤフレーム44には支持アーム46が前後回動可能に構成されていて、バランスウエイト45の鎮圧荷重を調整することができる。
【0023】
次に、主として、図8に基づいて、前記ディスクアーム41を前後に伸縮させて、左右傾斜角度の検出精度を変更するように構成したものである。ディスクアーム41は六角軸形態で、ディスクアーム軸40側のソケット部70に対して伸縮自在で、セットボルト69によってこの伸縮位置を固定することができる。この外側には、ディスクアーム41に前後移動自在に嵌合しているスライドカラー72と、培土フレーム39部との間に渡って一定長さの連結ロッド71を連結し、これらセットボルト43、69等の操作によって、左右のディスクアーム41の位置を左右へ移動すると共に、前後長さを調節することによって、植付条間に応じて、培土ディスク4の位置を前後位置を変えることによって、培土ディスク4による左右傾斜の検出感度を変えることができる。条間が狭い場合は、ディスクアーム41を短くして、傾斜角度の検出感度を敏感にし、逆に、条間が広い場合は、ディスクアーム41を長くして、検出感度を鈍感にすることができる。
【0024】
次に、主として図9に基づいて、前記センサアーム47を、各ディスクアーム41の前端部から後側中央部へ向けて三角形態に突出させて後端部を交差させる。これら交差部において各々上下動可能にカラー73周りに枢支して、このカラー73の上端にはセンサワイヤ50のアウタ端と、片方のセンサアーム47とを受けると共に、センサワイヤ50のインナ端をこのカラー73内側を通して他方のセンサアーム47の先端部に連結する。これら左右のセンサアーム47は、各ディスクアーム41の揺動によって各別に上下揺動可能で、カラー73の上下方向に沿って移動して上下間隔を変更し、センサワイヤ50を押し引きしてローリングバルブ49を作動させる形態である。前記ディスクアーム軸40の内端部には、前記センサアーム47に代えるリフトアーム74が設けられて、リフトワイヤ51を連結する。
【0025】
次に、主として図10に基づいて、右側のディスクアーム41と、左側のディスクアーム41に一体回動のセンサアーム47とに、前記センサワイヤ5を連結したものである。このセンサアーム47のボス76部はディスク軸40に対して軸方向へ移動可能にして、セットボルト75で固定することができる。このボス76の周りにはリング溝77を形成し、この外周に前記ディスクアーム41のアームボス42を回動自在に嵌合して、右側のディスクアーム41を回動自在に軸支している。又、これらディスクアーム41、及びセンサアーム47の下側には、ディスクアーム軸40と一体のクランクアーム78を形成して、このクランクアーム48を、前記アクスルハウジング9のハウジングアーム14によってロッド79を介して揺動連動することにより上方回動させて、これら左右の培土ディスク4を非作業位置へリフトアップすることができる。
【0026】
次に、主として図11に基づいて、前記ディスクアーム41のアームボス42を、ディスクアーム軸40の左右両端側に上下回動自在にして支持し、このデスクアーム軸40に一体に構成のクランクアーム48を、両ディスクアーム41の後側下部に設けて、このクランクアーム48を前記ハウジングアーム14の回動により、ロッド79を介して回動することによって、両ディスクアーム41を掬い上げて非作業位置へリフトアップすることができる。又、このディスクアーム軸40の左右両端部にはピン80を抜き差しするピン孔81を配置形成して、左右のディスクアーム41の位置を移動させて、培土ディスク4の条間間隔を調節可能の形態としている。
【0027】
次に、主として図12、図3に基づいて、苗植付深さを変更調節操作する植付深さレバー82を有する培土フレーム39を、車体2の取付けブラケット38に対して上下回動調節可能に設け、この培土フレーム39の後側の左右ディスクアーム軸40の周りに、前記センサアーム47と、左右一対のディスクアーム41を設けると共に、このディスクアーム41の外側に回転自在に軸装した鎮圧ロール5を配置して、この鎮圧ロール5の接地揺動によって苗植付け土壌面の左右傾斜角を検出するように構成している。これら鎮圧ロール5の揺動によって各センサアーム47を連動し、更に、このセンサアーム47からセンサワイヤ50を介してローリングバルブ49へ連動し、又、前記図3に示すような構成のピッチングバルブ連動機構57を介してピッチングバルブアーム56へ連動し、かつ、前記車輪ケース1の回動によってリフトワイヤ51等を介してこれら鎮圧ロール5や、培土ディスク4等を非作業位置へリフトアップする形態に設けている。各鎮圧ロール5のアーム83は、セットボルト84によってディスクアーム軸40に対して固定することができ、ロール軸85は内側に長く形成して、ディスクアーム41の揺動域に位置させて、これら鎮圧ロール5を非作業位置へ上昇するとき、各培土ディスク4を共にリフトアップすることができるように構成している。
【0028】
次に、主として図13に基づいて、前記鎮圧ロール5のロール幅Aを後側の培土ディスク4の培土幅Bよりも広く形成したもので、培土ディスク4による培土製を作用を的確に行わせるものである。又、図14のように前記ロール軸85を各ディスクアーム軸40の両端部に対して回動自在のアーム83間に渡って軸受支持させて、このロール軸85の外側端部に鎮圧ロール5を回転自在に設ける。前記リフトワイヤ51を引くことによって、センサアーム47や、ディスクアーム軸40、及びアーム83等を、このデイスクアーム軸40の周りに上方へ回動して、このロール軸85によって各ディスクアーム41を掬い上げて非作業位置へリフトアップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】苗植機培土ディスク部の斜視図。
【図2】その一部の斜視図、平面図。
【図3】その一部別例を示す斜視図。
【図4】苗植機全体の側面図。
【図5】その平面図。
【図6】その苗植嘴部の斜視図。
【図7】その一部別例を示すセンサアーム部の斜視図と、バランスウエイト部の側面図。
【図8】その一部別例を示すディスクアーム部の斜視図。
【図9】その一部別例を示すセンサアーム部の斜視図と、その一部の背面図。
【図10】その一部別例を示すセンサアーム部の斜視図と、その一部の分解斜視図。
【図11】その一部別例を示すディスクアーム軸部の斜視図。
【図12】一部別例を示すセンサアーム部の斜視図。
【図13】一部別例を示すセンサアーム部の斜視図。
【図14】一部別例を示すセンサアーム部の斜視図。
【符号の説明】
【0030】
1 車輪ケース
2 車体
3 苗植嘴
4 培土ディスク
5 鎮圧ロール
【技術分野】
【0001】
この発明は、苗植機の車体の姿勢を制御する姿勢制御装置に関するもので、簡単な構成とするものである。
【背景技術】
【0002】
左、右の走行車輪を有する車輪ケースを、接地センサの検出によって上下動して車体をピッチング制御させると共に、傾斜センサによって車体の左右傾斜の検出によって、片側の車輪ケースを上下動して車体をローリング制御させる形態とする技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【特許文献1】特開2002ー46661号公報(第3頁、図2)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
苗植機のピッチング制御や、ローリング制御は、車体の上下高さを検出する高さセンサや、左右方向の傾斜を検出する傾斜センサを設け、しかも、この傾斜センサとして、液面気泡形態や、振子形態等のセンサを用いることが一般的であるが、この傾斜検出の制度調整が安定し難く、制御構成が煩雑である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、左右一方の車輪(10)を左右他方の車輪(10)に対して上下動させるローリングシリンダ(17)を設けた苗植機において、接地して苗植嘴(3)による左右の各苗植付位置を培土する培土具(4)又は鎮圧する鎮圧具(5)を設け、該培土具(4)又は鎮圧具(5)を上下揺動自在に支持するアーム(41,83)を左右各々設け、該アーム(41,83)と一体回動する左右各々の軸(40)を同一直線上で回動するよう設け、該軸(40)の機体左右方向内側端を近づけて配置し、軸(40)の機体左右方向内側端にセンサーアーム(47)を各々設け、この一対のセンサーアーム(47)の一方にアウター、他方にインナーを取り付けて一対のセンサーアーム(47)の回動角度差で操作されるセンサーワイヤ(50)を設け、該センサーワイヤ(50)の作動によりローリングシリンダ(17)を作動させる車体姿勢制御装置を設けることを特徴とする苗植機とする。苗植嘴(3)の昇降による苗植付作用時には、培土具(4)によって植付土壌面を培土して苗植付姿勢を固定し、又は、植付土壌面を鎮圧して平坦に均平して苗植付姿勢を一定し易くする。このとき、これら左、右の培土具(4)や、鎮圧具(5)が、各々土壌面の高さに応じて上下動して、一定に高さ、乃至深さ位置等に維持作用するように培土し、鎮圧するに伴って、これら左、右の苗植土壌面の高さや、傾斜を検出して、前記左右の車輪(10)を上下に揺動させて、車体(2)を所望の左右傾斜姿勢に維持するようにローリング制御する。
【0005】
請求項2に記載の発明は、前記左、右複条の苗植付位置を培土する培土具(4)、又は鎮圧する鎮圧具(5)を、苗植付土壌面の高さ、及び左右傾斜を検出するセンサとして制御する構成にしている。前記左、右の各培土具(4)、又は鎮圧具(5)は、各左、右の苗植位置毎に独立的に上下揺動して、この揺動位置の高さの差異によって植付土壌面の高さや、左右傾斜を検出して、この土壌面の傾斜検出によって前記車輪ケース(1)を上下動して車体(2)のローリング制御を行うものである。
【0006】
請求項3に記載の発明は、前記左、右車輪ケース(1)の非苗植位置への揺動によって、左、右両培土具(4)、乃至鎮圧具(5)を非接地高さへ上昇するように連動構成にしている。前記のようなローリング制御作動、乃至作動後において、苗植装置部を土壌面上へ高く上昇させるときは、左右の車輪ケース(1)を下動させて車体(2)を非苗植姿勢に上昇させる。このとき、左、右の培土具(4)、乃至鎮圧具(5)が非作用姿勢位置へ連動上昇されて、車体(2)の走行旋回等の邪魔にならない形態となる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明は、左、右複条の苗植付土壌面培土する培土具4、又は鎮圧する鎮圧具5の高低位置、乃至高低差によって、苗植嘴3による苗植付け高さ位置、乃至この苗植付部の左右傾斜状態を的確に検出して、前記車輪10を上下動して、車体2をローリング制御し、安定した機体姿勢の制御を行わせることができ、苗植姿勢を維持することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、特別構成の接地センサや、傾斜センサ等を設けることなく、左、右複条植え形態の苗植付位置を培土具4、又は鎮圧具5を利用して、ピッチング制御や、ローリング制御のセンサとすることができ、苗植装置3の高さ、左右傾斜姿勢を検出させて、簡潔で、安価な構成とすることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、左、右の車輪ケース1の非苗植位置への揺動によって、左右両培土具4、又は鎮圧具5を非接地高さ位置へ上昇させることができるため、これら苗植付土壌面部の培土や、鎮圧を行わないようにすることができると共に、この車体2を上昇させた状態での苗植装置の苗植深さ位置や、傾斜状態等を検出しない形態とすることができ、非ピッチング形態、及び非ローリング形態として安定した走行姿勢とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図例に基づいて、車体2は、前部にエンジン6、及びミッションケース7を配置して、後端部にハンドル8を設け、このミッションケース7の両側に張出するアクスルハウジング9周りに上下揺動する車輪ケース1を設け、この車輪ケース1の後端部に車輪10を軸11装して、これら左右の車輪10と、車体2前端部に軸12装の左右の前輪13とによって走行するハンド走行形態に構成している。この左右の車輪ケース1を一体的に取り付けるアクスルハウジング9には、ハウジングアーム14を有して、前記ミッションケース7の後側に突出のピッチングシリンダ15に設けたピッチングアーム16の左右両端との間をローリングシリンダ17と、ロッド18とで各々連結して、このピッチングシリンダ15を伸縮することによって左右両車輪10を車体2に対して昇降回動できる形態としている。又これら前後に対向するハウジングアーム14と、ピッチングアーム16の側端部との間を連結する一側部の前記ローリングシリンダ17の伸縮によって、この側の車輪10を、他側部の前記ロッド18によって連結された側の車輪10に対して昇降させて、車体2をローリングさせて、車体2の左右傾斜を水平にしたり、土壌面に対して平行状にすることができ、車体2の左右傾斜姿勢を制御することができる。そして、このようなピッチング制御や、ローリング制御は、苗植位置の土壌面を培土する培土ディスク4や、鎮圧する鎮圧ロール5によって、土壌面の高さや、左右傾斜状態を検出して行わせるものである。
【0011】
ここにおいて、左、右車輪ケース1を、車体2に対して上下揺動可能に設けた苗植機において、苗植嘴3による左、右各苗植付位置を培土する培土具である培土ディスク4、乃至鎮圧する鎮圧具である鎮圧ロール5の上下揺動によってピッチング制御、及びローリング制御する構成である。苗植嘴3の昇降による苗植付作用時には、培土ディスク4によって植付土壌面を培土して苗植付姿勢を固定し、又は、植付土壌面を鎮圧して平坦に均平して苗植付姿勢を一定し易くする。このとき、これら左、右の培土ディスク4や、鎮圧ロール5が、各々土壌面の高さに応じて上下動して、一定に高さ、乃至深さ位置等に維持作用するようにピッチング制御しながら、培土し、鎮圧する。又、これら左、右の苗植土壌面の傾斜を検出して、前記左右の車輪ケース1を上下に揺動させて、車体2を左、右方向に水平状に、又は土壌面と左右平行状に維持するようにローリング制御する。
【0012】
又、前記左、右複条の苗植付位置を培土する培土ディスク4、又は鎮圧する鎮圧ロール5を、苗植付土壌面の高さや、左右傾斜を検出するセンサとして制御する構成にしている。前記左、右の各培土ディスク4、又は鎮圧ロール5は、各左、右一体的に上下揺動して植付土壌面の高さをを検出して、又は、左、右の苗植位置毎に独立的に上下揺動して、この揺動位置の高さの差異によって植付土壌面の左右傾斜を検出して、これらの土壌面の傾斜検出によって前記車輪ケース1を上下動して車体2のピッチング制御、乃至ローリング制御を行うものである。
【0013】
又、前記左、右車輪ケース1の非苗植位置への揺動によって、左、右両培土ディスク4、乃至鎮圧ロール5を非接地高さへ上昇するように連動構成にしている。前記のようなピッチング制御作動、ローリング制御作動、乃至作動後において、苗植装置部を土壌面上へ高く上昇させるときは、左右の車輪ケース1を下動させて車体2を非苗植姿勢に上昇させる。このとき、左、右の培土ディスク4、乃至鎮圧ロール5が非作用姿勢位置へ連動上昇されて、車体2の走行旋回等の邪魔にならない形態となる。
【0014】
前記苗植嘴3は、左右一定間隔位置に配置の二条植え形態として、左右車輪10間の後側幅域にわたって配置している。車体2の後部には、ターンテーブル形態に苗カップ19を連接して回転搬送する苗供給装置20を設け、この苗供給装置20の下側中央部に苗植嘴3を左右二条植形態に配置している。この苗カップ19を左右方向へ回転することによって、車体2上部の補助苗受台21に予め搭載されている苗トレイから苗を取出しながら各苗カップ19へ供給する。この各苗カップ19が回転して苗植嘴3の上側に位置したときは、カップ底部のシャッタが開かれて、収容していた苗を下側の苗植嘴3に落下供給する形態である。この苗植嘴3は、苗植ブラケット22に対して前後へ開閉回動可能に設けられて、上側に前記苗カップ19から供給される苗を落下案内するホッパ23を有し、苗植伝動ケース24に対して平行リンクアーム25、26を介して昇降駆動する構成としている。前記苗植伝動ケース24は車体2フレーム部に対して装着して、前記ミッションケース7部から伝動構成される。この伝動機構の一部によって回転されるクランクアーム軸27によってロッド28を介して上側のリンクアーム25が昇降回動されて、苗植嘴3を植付作動する。前記苗植ブラケット22のレバー29と下側のリンクアーク26の基端部に形成のアーム30との間はワイヤ31で連結して、苗植嘴3の昇降に伴って、この苗植嘴3を開閉するものである。前記クランクアーム軸27の回転によって苗植嘴3を略楕円形状の植付軌跡線Dを描いて昇降させると共に、この上死点位置から下降する行程ではこの苗植嘴3を閉鎖状態とし、上昇行程では開くように作動させる。
【0015】
このような、苗植嘴3の前側には、この苗植付位置の前側土壌面を鎮圧する鎮圧ロール5を設け、各苗植嘴3の後側には、これら苗植嘴3によって土壌面Aに形成されて苗植付された植付穴を培土する培土ディスク4を設ける。この培土ディスク4は、各苗植付位置に対して左右一対の、左右対称状形態とし、ディスク軸32の周りに回転自在に構成して、前側を左右に開き、かつ上側を左右に開くように傾斜させた構成としている。前記車体2には補助席33や、ステップ34等を配置して、作業者が搭乗して補助苗受台21の苗を苗供給装置20の苗カップ19へ補給することができる形態としている。
【0016】
次に、主として図1、図2に基づいて、前記車体2の後部に取付ブラケット38によって取付ける培土フレーム39に、横方向に沿う六角軸形態の左右一対のディスクアーム軸40を、内側端を突合わせた形態にして回動自在に設ける。そして、培土ディスク4は、このディスクアーム軸40の周りにアームボス42を嵌合のディスクアーム41の後端に配置している。このアームボス42をセットボルト43の締め付けによって、横軸方向へ移動固定可能に設け、培土ディスク4の培土位置を左右に移動調節することができる。各ディスクアーム41の後端部を左右門形状のリヤフレーム44を形成して、このリヤフレーム44の左右両側部に前記左右一対の培土ディスク4を配置して、ディスク軸32で回転自在に支持する。このリヤフレーム44は、植付苗の上部を左右にまたいで前進方向へ移動することができる。又、このリヤフレーム44上には支持アーム46によって、バランスウエイト45を嵌合支持して、培土圧力を調整できる構成としている。
【0017】
前記左右各ディスクアーム軸40の内端部には一体回動のセンサアーム47を設け、これら各センサアーム47は、前記ピッチングシリンダ15、及びローリングシリンダ17の油圧回路のピッチングバルブ48や、ローリングバルブ49等をセンサワイヤ50等で連結して、これらのバルブ48、49を作動して、ピッチング制御、ローリング制御するように構成している。両センサアーム47の一方にはセンサワイヤ50のインナワイヤを連結し、他方にはアウタワイヤを連結して、左右両センサアーム47が同位揺動するときは、ピッチングバルブ48を切替作動するが、ローリングバルブ49は切替作動しない形態に構成し、又、左右両センサアーム47が揺動角度を異にして作動するときは、ピッチングバルブ48の切替作動は行わないで、ローリングバルブ49のみ切替作動するように構成している。
【0018】
又、このピッチングバルブ49を作動するための接地センサを、これら培土ディスク4とは別個に設けて、苗植付土壌面の高さを検出すると共に、この接地センサによって該センサアーム47を揺動させて、ピッチングシリンダ15のピッチングバルブ48を切替作動してピッチング制御を行わせるように連動構成することも可能である。又、この接地センサを、前記苗植嘴3の前側に位置する鎮圧ロール5によって構成することもできる。
【0019】
前記左右の各センサアーム47の基端部には、各々リフトワイヤ51を連結して、各リフトワイヤ51を前記アクスルハウジング9の下側に突出のアーム52に連結している。このリフトワイヤ51の連結によって、前記左右の車輪ケース1の昇降により左右のセンサアーム47を上下に大きく回動して、左右各ディスクアーム41を強制回動することができる。又、このリフトワイヤ51は左右ののセンサアーム47とクロス状形態に連結している。左側のハウジングアーム14と、右側のセンサアーム47との間を一方のリフトワイヤ51で連結し、他方のリフトワイヤ51で、右側のハウジングアーム14と左側のセンサアーム47との間を連結している。又、これらのリフトワイヤ51の各アーム52に対する連結部は、ワイヤ51の連結片に長穴54を形成して、この長穴54にワイヤピン53を摺動自在に係合させている。センサアーム47が土壌面検出領域における制御域においてはリフトワイヤ51が押し引きされてもこれら長穴54によってリフトワイヤ51の作動を吸収することができるように構成している。
【0020】
前記ディスクアーム41を左右に移動調節する時は、この調節操作を容易にするために、ディスクアーム軸40の周りに切欠目印55を形成しておき、この目印55の位置にアームボス42の位置をあわせることによって的確な植付条位置への培土位置決めを行うことができる。
【0021】
又、前記センサアーム47をピッチングバルブ48に連動する形態例では、図3のように、前記左右のセンサアーム47とピッチングバルブ48のバルブアーム56との間に、ピッチングバルブ連動機構57を設ける形態である。ピッチングバルブアーム56に、ロッド58、スプリング59を介してアーム軸61の周りに回動自在の揺動アーム60を連結し、この揺動アーム60の左右両端部には回動ピン62の周りに左右回動自在のリンクロッド63を設けて、これら左右のリンクロッド63の後端を前記センサアーム47の前端部に連結している。前記揺動アーム60は、ロッド58の外側に前後摺動自在に嵌合させた筒体64に対して、アーム軸61の周りに揺動することができ、この揺動アーム60の両端部の回動ピン62と、筒体64に一体のアーム65の両端部との間には、スプリング66を掛け渡している。揺動アーム60はセンサアーム47の回動によってこのスプリング66に抗してアーム軸61の周りに回動されると共に、前記ロッド58を介してピッチングバルブアーム56を回動して、ピッチングシリンダ15のピッチングバルブ48を作動するものである。又、前記リフトワイヤ51がこれら揺動アーム60の左右両端部に連結されて、前記車輪ケース1と一体のアーム52と連結し、これら車輪ケース52が大きく下降回動されると左右両リフトワイヤ51を介して各センサアーム47を上側へ回動して、前記培土ディスク4や、鎮圧ロール5等の各センサの検出作用を受けない作動圏外の車体姿勢とするものである。
【0022】
次に、主として図7では、前記センサアーム47をデスクアーム軸40の上側へ突出させて、センサワイヤ50を介して制御バルブ48や、49へ連結し、又リフトワイヤ51を介してアクスルハウジング9へ連結して、これらのセンサアーム47が植付土壌面に対して接触し難い形態としている。又、これらのリフトワイヤ51の前後端部には、アウタワイヤ受けとの間にスプリング67、68を介装して、鎮圧荷重を上げることができる形態としている。更には、各ディスクアーム41のリヤフレーム44には支持アーム46が前後回動可能に構成されていて、バランスウエイト45の鎮圧荷重を調整することができる。
【0023】
次に、主として、図8に基づいて、前記ディスクアーム41を前後に伸縮させて、左右傾斜角度の検出精度を変更するように構成したものである。ディスクアーム41は六角軸形態で、ディスクアーム軸40側のソケット部70に対して伸縮自在で、セットボルト69によってこの伸縮位置を固定することができる。この外側には、ディスクアーム41に前後移動自在に嵌合しているスライドカラー72と、培土フレーム39部との間に渡って一定長さの連結ロッド71を連結し、これらセットボルト43、69等の操作によって、左右のディスクアーム41の位置を左右へ移動すると共に、前後長さを調節することによって、植付条間に応じて、培土ディスク4の位置を前後位置を変えることによって、培土ディスク4による左右傾斜の検出感度を変えることができる。条間が狭い場合は、ディスクアーム41を短くして、傾斜角度の検出感度を敏感にし、逆に、条間が広い場合は、ディスクアーム41を長くして、検出感度を鈍感にすることができる。
【0024】
次に、主として図9に基づいて、前記センサアーム47を、各ディスクアーム41の前端部から後側中央部へ向けて三角形態に突出させて後端部を交差させる。これら交差部において各々上下動可能にカラー73周りに枢支して、このカラー73の上端にはセンサワイヤ50のアウタ端と、片方のセンサアーム47とを受けると共に、センサワイヤ50のインナ端をこのカラー73内側を通して他方のセンサアーム47の先端部に連結する。これら左右のセンサアーム47は、各ディスクアーム41の揺動によって各別に上下揺動可能で、カラー73の上下方向に沿って移動して上下間隔を変更し、センサワイヤ50を押し引きしてローリングバルブ49を作動させる形態である。前記ディスクアーム軸40の内端部には、前記センサアーム47に代えるリフトアーム74が設けられて、リフトワイヤ51を連結する。
【0025】
次に、主として図10に基づいて、右側のディスクアーム41と、左側のディスクアーム41に一体回動のセンサアーム47とに、前記センサワイヤ5を連結したものである。このセンサアーム47のボス76部はディスク軸40に対して軸方向へ移動可能にして、セットボルト75で固定することができる。このボス76の周りにはリング溝77を形成し、この外周に前記ディスクアーム41のアームボス42を回動自在に嵌合して、右側のディスクアーム41を回動自在に軸支している。又、これらディスクアーム41、及びセンサアーム47の下側には、ディスクアーム軸40と一体のクランクアーム78を形成して、このクランクアーム48を、前記アクスルハウジング9のハウジングアーム14によってロッド79を介して揺動連動することにより上方回動させて、これら左右の培土ディスク4を非作業位置へリフトアップすることができる。
【0026】
次に、主として図11に基づいて、前記ディスクアーム41のアームボス42を、ディスクアーム軸40の左右両端側に上下回動自在にして支持し、このデスクアーム軸40に一体に構成のクランクアーム48を、両ディスクアーム41の後側下部に設けて、このクランクアーム48を前記ハウジングアーム14の回動により、ロッド79を介して回動することによって、両ディスクアーム41を掬い上げて非作業位置へリフトアップすることができる。又、このディスクアーム軸40の左右両端部にはピン80を抜き差しするピン孔81を配置形成して、左右のディスクアーム41の位置を移動させて、培土ディスク4の条間間隔を調節可能の形態としている。
【0027】
次に、主として図12、図3に基づいて、苗植付深さを変更調節操作する植付深さレバー82を有する培土フレーム39を、車体2の取付けブラケット38に対して上下回動調節可能に設け、この培土フレーム39の後側の左右ディスクアーム軸40の周りに、前記センサアーム47と、左右一対のディスクアーム41を設けると共に、このディスクアーム41の外側に回転自在に軸装した鎮圧ロール5を配置して、この鎮圧ロール5の接地揺動によって苗植付け土壌面の左右傾斜角を検出するように構成している。これら鎮圧ロール5の揺動によって各センサアーム47を連動し、更に、このセンサアーム47からセンサワイヤ50を介してローリングバルブ49へ連動し、又、前記図3に示すような構成のピッチングバルブ連動機構57を介してピッチングバルブアーム56へ連動し、かつ、前記車輪ケース1の回動によってリフトワイヤ51等を介してこれら鎮圧ロール5や、培土ディスク4等を非作業位置へリフトアップする形態に設けている。各鎮圧ロール5のアーム83は、セットボルト84によってディスクアーム軸40に対して固定することができ、ロール軸85は内側に長く形成して、ディスクアーム41の揺動域に位置させて、これら鎮圧ロール5を非作業位置へ上昇するとき、各培土ディスク4を共にリフトアップすることができるように構成している。
【0028】
次に、主として図13に基づいて、前記鎮圧ロール5のロール幅Aを後側の培土ディスク4の培土幅Bよりも広く形成したもので、培土ディスク4による培土製を作用を的確に行わせるものである。又、図14のように前記ロール軸85を各ディスクアーム軸40の両端部に対して回動自在のアーム83間に渡って軸受支持させて、このロール軸85の外側端部に鎮圧ロール5を回転自在に設ける。前記リフトワイヤ51を引くことによって、センサアーム47や、ディスクアーム軸40、及びアーム83等を、このデイスクアーム軸40の周りに上方へ回動して、このロール軸85によって各ディスクアーム41を掬い上げて非作業位置へリフトアップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】苗植機培土ディスク部の斜視図。
【図2】その一部の斜視図、平面図。
【図3】その一部別例を示す斜視図。
【図4】苗植機全体の側面図。
【図5】その平面図。
【図6】その苗植嘴部の斜視図。
【図7】その一部別例を示すセンサアーム部の斜視図と、バランスウエイト部の側面図。
【図8】その一部別例を示すディスクアーム部の斜視図。
【図9】その一部別例を示すセンサアーム部の斜視図と、その一部の背面図。
【図10】その一部別例を示すセンサアーム部の斜視図と、その一部の分解斜視図。
【図11】その一部別例を示すディスクアーム軸部の斜視図。
【図12】一部別例を示すセンサアーム部の斜視図。
【図13】一部別例を示すセンサアーム部の斜視図。
【図14】一部別例を示すセンサアーム部の斜視図。
【符号の説明】
【0030】
1 車輪ケース
2 車体
3 苗植嘴
4 培土ディスク
5 鎮圧ロール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一方の車輪(10)を左右他方の車輪(10)に対して上下動させるローリングシリンダ(17)を設けた苗植機において、接地して苗植嘴(3)による左右の各苗植付位置を培土する培土具(4)又は鎮圧する鎮圧具(5)を設け、該培土具(4)又は鎮圧具(5)を上下揺動自在に支持するアーム(41,83)を左右各々設け、該アーム(41,83)と一体回動する左右各々の軸(40)を同一直線上で回動するよう設け、該軸(40)の機体左右方向内側端を近づけて配置し、軸(40)の機体左右方向内側端にセンサーアーム(47)を各々設け、この一対のセンサーアーム(47)の一方にアウター、他方にインナーを取り付けて一対のセンサーアーム(47)の回動角度差で操作されるセンサーワイヤ(50)を設け、該センサーワイヤ(50)の作動によりローリングシリンダ(17)を作動させる車体姿勢制御装置を設けることを特徴とする苗植機。
【請求項2】
前記左、右副条の苗植付位置を培土する培土具(4)、又は鎮圧する鎮圧具(5)を、苗植付土壌面の高さ、及び左右傾斜を検出するセンサとして制御する車体姿勢制御装置を設けることを特徴とする請求項1に記載の苗植機。
【請求項3】
前記左、右車輪ケース(1)の非苗植位置への揺動によって、左、右両培土ディスク(4)、乃至鎮圧ロール(5)を非接地高さへ上昇するように連動構成したことを特徴とする請求項1、又は2に記載の苗植機。
【請求項1】
左右一方の車輪(10)を左右他方の車輪(10)に対して上下動させるローリングシリンダ(17)を設けた苗植機において、接地して苗植嘴(3)による左右の各苗植付位置を培土する培土具(4)又は鎮圧する鎮圧具(5)を設け、該培土具(4)又は鎮圧具(5)を上下揺動自在に支持するアーム(41,83)を左右各々設け、該アーム(41,83)と一体回動する左右各々の軸(40)を同一直線上で回動するよう設け、該軸(40)の機体左右方向内側端を近づけて配置し、軸(40)の機体左右方向内側端にセンサーアーム(47)を各々設け、この一対のセンサーアーム(47)の一方にアウター、他方にインナーを取り付けて一対のセンサーアーム(47)の回動角度差で操作されるセンサーワイヤ(50)を設け、該センサーワイヤ(50)の作動によりローリングシリンダ(17)を作動させる車体姿勢制御装置を設けることを特徴とする苗植機。
【請求項2】
前記左、右副条の苗植付位置を培土する培土具(4)、又は鎮圧する鎮圧具(5)を、苗植付土壌面の高さ、及び左右傾斜を検出するセンサとして制御する車体姿勢制御装置を設けることを特徴とする請求項1に記載の苗植機。
【請求項3】
前記左、右車輪ケース(1)の非苗植位置への揺動によって、左、右両培土ディスク(4)、乃至鎮圧ロール(5)を非接地高さへ上昇するように連動構成したことを特徴とする請求項1、又は2に記載の苗植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−284855(P2009−284855A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142635(P2008−142635)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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