説明

苗植機

【課題】苗植機の上下制御やローリング制御には、車体の圃場面からの上下高さを検出する高さセンサや左右方向の傾斜を検出する傾斜センサを設けている。この傾斜センサとしては、振子構成のセンサが一般的に知られているが、この傾斜検出の精度や感度の調節が難しく、また、制御構成が複雑となるものであった。
【解決手段】左右車輪10の相対高さを変更して機体の左右傾斜を制御するローリングアクチュエータ17と上下作動して圃場に苗を植付ける左右苗植付ホッパー3を設けた苗植機において、該左右苗植付ホッパー3による左右の各苗植付位置を鎮圧する左右鎮圧具4を設け、該左右鎮圧具4の上下動と各々連携して作動する左右センサーアーム47を間隔を開けて設け、該左右センサーアーム47の間隔変動にて機体の傾きを検出してローリングアクチュエータ17を作動させる車体姿勢制御装置を設けた苗植機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体の姿勢を制御する姿勢制御装置を備えた苗植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
左右の走行車輪を有する左右車輪ケースを、接地センサの検出によって上下動して車体を上下制御させると共に、傾斜センサによって車体の左右傾斜の検出によって、片側の車輪ケースを上下動して車体をローリング制御させる姿勢制御装置の技術が知られている。
【特許文献1】特開2002ー46661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
苗植機の上下制御やローリング制御には、車体の圃場面からの上下高さを検出する高さセンサや、左右方向の傾斜を検出する傾斜センサを設けている。そして、この傾斜センサとしては、振子構成のセンサが一般的に知られているが、この傾斜検出の精度や感度の調節が難しく、また、制御構成が複雑となるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、左右車輪10の相対高さを変更して機体の左右傾斜を制御するローリングアクチュエータ17と上下作動して圃場に苗を植付ける左右苗植付ホッパー3を設けた苗植機において、該左右苗植付ホッパー3による左右の各苗植付位置を鎮圧する左右鎮圧具4を設け、該左右鎮圧具4の上下動と各々連携して作動する左右センサーアーム47を間隔を開けて設け、該左右センサーアーム47の間隔変動にて機体の傾きを検出してローリングアクチュエータ17を作動させる車体姿勢制御装置を設けた苗植機とした。
【0005】
従って、請求項1に記載の発明は、左右苗植付ホッパー3の昇降による苗植付作用時に、左右鎮圧具4によって植付土壌面を鎮圧して適性に苗を姿勢良く植付ける。このとき、左右鎮圧具4が、各々圃場面の高さに応じて上下動して、一定に高さに作用するように鎮圧し、鎮圧するに伴って、左右の苗植圃場面の高さや、傾斜を検出して、ローリングアクチュエータ17を作動させて前記左右車輪10の相対高さを変更して、機体を所望の左右傾斜姿勢に維持するようにローリング制御する。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、左右センサーアーム47を各々同軸心回りに回動自在に構成して、その先端部を間隔を空けて平行状に延出し、該左右センサーアーム47の平行状に延出した部位の各々にセンサーワイヤ50のアウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bを設けると共に、該アウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bを左右センサーアーム47の回動軸心に接近及び離反する方向に移動及び固定自在に設けて、センサーワイヤ50にて左右センサーアーム47の間隔変動を検出する構成とした請求項1記載の苗植機とした。
【0007】
従って、請求項1記載の作用に加えて、センサワイヤ50を左右センサアーム47から外すことなく、アウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bを各々左右センサアーム47に対して移動させるだけで簡単に車体姿勢制御の感度調節を行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
よって、本発明は、左右苗植付け圃場面を鎮圧する左右鎮圧具4の高低差によって、圃場面の左右傾斜状態を的確に検出して、左右車輪10の相対高さを変更して簡潔な構成で安定した車体姿勢制御を行わせることができ、適確な苗の植付け作業が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施の一形態の2条植え苗植機を以下に説明する。尚、以下の説明では、操縦ハンドル8を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン6を配置した側を前とする。そして、機体後部において機体前部側に向って立つ作業者の右手側を右とし、左手側を左とする。
【0010】
車体2は、前部にエンジン6、及びミッションケース7を配置して、後端部に操縦ハンドル8を設け、このミッションケース7の両側に張出する左右アクスルハウジング9周りに各々上下揺動する左右車輪ケース1を設け、この車輪ケース1の後端部に設けた車軸11に車輪10を軸装して、これら左右の車輪10と、車体2前端部に設けた前輪軸12に軸装した左右の前輪13とによって走行する構成にしている。
【0011】
この左右車輪ケース1を各々一体的に取り付ける左右アクスルハウジング9には、左右ハウジングアーム14を設けて、前記ミッションケース7の後側に突出の上下油圧シリンダ15に設けた機体左右方向に配置した連動アーム16の左右両端との間をローリングアクチュエータとしてのローリングシリンダ17と、ロッド18とで各々連結して、この上下油圧シリンダ15を伸縮することによって左右両車輪10を車体2に対して同時に昇降できる構成としている。尚、ローリングシリンダ17は、機体左側(上下油圧シリンダ15の左側)に設けられている。
【0012】
また、一方のハウジングアーム14と連動アーム16の側端部との間を連結する一側部の前記ローリングシリンダ17の伸縮によって、この側の車輪10を、他側部の前記ロッド18によって連結された側の車輪10に対して昇降させて、車体2をローリングさせて、車体2の左右傾斜を水平にしたり、土壌面に対して平行状にすることができ、車体2の左右傾斜姿勢を制御することができる。そして、このような上下制御は、後述の上下センサ5の検出により行い、ローリング制御は、苗植位置の植付けた苗に対して左右側部から鎮圧作用を行なう鎮圧具4によって左右傾斜状態を検出して行うものである。
【0013】
ここにおいて、左右車輪ケース1を、車体2に対して上下揺動可能に設けた苗植機において、機体左右方向に2つ並列して配置した左右苗植付ホッパー3による左右各苗植付位置を鎮圧する左右鎮圧具4の上下揺動によってローリング制御する構成である。苗植付ホッパー3の昇降によって圃場に植付けた苗の左右側方を鎮圧具4によって鎮圧し、苗植付姿勢を安定した状態とする。このとき、左右の苗植付位置を各々鎮圧する左右鎮圧具4を、苗植付土壌面の左右傾斜を検出するセンサとして機能する構成にしている。左右の各鎮圧具4は、左右の苗植位置毎に独立的に上下揺動して、この揺動位置の高さの差異によって植付土壌面の左右傾斜を検出して、これらの土壌面の傾斜検出によって前記一方の車輪ケース1を上下に揺動させて、車体2を土壌面と左右平行状に維持するようにローリング制御する。
【0014】
また、前記左右車輪ケース1の非苗植位置への揺動(左右車輪10を最下動させて機体を最も上昇させた状態)によって、左右両鎮圧具4を非接地高さへ上昇するように連動構成している。即ち、機体を高く上昇させるときは、左右車輪ケース1を最下動させて車体2を非苗植姿勢に上昇させ、左右鎮圧具4が非作用姿勢位置へ連動して上昇され、車体2の走行旋回の邪魔にならない状態となり、容易に機体の旋回が行える。
【0015】
前記苗植付ホッパー3は、左右一定間隔位置に配置の2条植え構成として、左右車輪10間の後側幅内に配置している。車体2の後部には、ターンテーブル構成に複数の苗カップ19を連接して回転搬送する苗供給装置20を設け、この苗供給装置20の機体後側の下側に苗植付ホッパー3を左右に2つ配置している。この苗カップ19を左右方向へ回転することによって、車体2上部の補助苗受台21に予め搭載されている苗トレイから苗を取出しながら各苗カップ19へ供給する。この各苗カップ19が回転して苗植付ホッパー3の上側に位置したときは、カップ底部のシャッタが開かれて、収容していた苗を下側の苗植付ホッパー3に落下供給する構成である。
【0016】
この苗植付ホッパー3は、苗植ブラケット22に対して左右へ開閉回動可能に設けられて、上側に前記苗カップ19から供給される苗を落下案内するホッパ23を有し、苗植伝動ケース24に対して平行リンクアーム25、26を介して昇降駆動する構成としている。前記苗植伝動ケース24は車体2フレーム部に固着して、前記ミッションケース7部から伝動構成される。この伝動機構の一部によって回転されるクランクアーム軸27によってロッド28を介して上側のリンクアーム25が昇降回動されて、苗植付ホッパー3を上下方向に軌跡Pにて植付作動する。
【0017】
前記苗植ブラケット22のレバー29と下側のリンクアーク26の基端部に形成のアーム30との間はワイヤ31で連結して、苗植付ホッパー3の昇降に伴って、この苗植付ホッパー3を開閉するものである。前記クランクアーム軸27の回転によって苗植付ホッパー3を略楕円形状の植付軌跡Pを描いて昇降させると共に、この上死点直前位置から下降する行程ではこの苗植付ホッパー3を閉鎖状態とし、最下降位置で開き上昇行程は開いたままである。
【0018】
左右苗植付ホッパー3の後方には、各々、これら左右苗植付ホッパー3によって土壌面(畝)Aに植付けられた苗の左右側方を鎮圧及び覆土する左右鎮圧具4を設ける。この鎮圧具4は、各苗植付位置に対して左右一対の、左右対称状構成とし、支軸32の周りに回転自在に構成して、前側及び上側を左右に開くように傾斜させた構成としている。前記車体2には座席33や、ステップ34等を配置して、作業者が搭乗して補助苗受台21の苗を苗供給装置20の苗カップ19へ補給することができる構成としている。
【0019】
次に、主として図1及び図2に基づいて、左右鎮圧具40の装着構成及び作用について説明する。
前記車体2の後部に取付ブラケット38によって取付ける鎮圧フレーム39に、横方向に沿う六角軸構成の左右一対の鎮圧アーム軸40を、内側端を向かい合わせた状態で回動自在に設ける。そして、鎮圧具4は、この鎮圧アーム軸40に嵌合したアームボス42に前端を溶接固定した鎮圧アーム41の後端に設けている。このアームボス42をセットボルト43の締め付けによって、横軸方向へ移動固定可能に設け、左右鎮圧具4の鎮圧位置を左右に移動調節することができる。
【0020】
各鎮圧アーム41の後端部を背面視で門形状のリヤフレーム44に形成して、このリヤフレーム44の左右両側部に前記左右一対の鎮圧具(鎮圧輪)4を配置して、支軸32で回転自在に支持している。このリヤフレーム44は、畝Aに植付けた苗の上部を左右にまたいで前進方向へ移動することができる構成となっている。又、このリヤフレーム44上には支持アーム46によって、複数個のバランスウエイト45を嵌合支持して、バランスウエイト45の装着数を変えて鎮圧圧力を調整できる構成としている。
【0021】
前記左右各鎮圧アーム軸40の内端部には各々一体回動する左右センサアーム47を設け、各センサアーム47の後端部は各々が平行状になるように構成されており、一方のセンサアーム47にローリングバルブ48を切替え作動させるセンサワイヤ50のアウターワイヤ受け50aを装着し、他方のセンサアーム47にセンサワイヤ50のインナーワイヤ受け50bを装着している。従って、左右鎮圧具4が同方向に上下動する時は、各センサアーム47の後端部間隔が変化しないので、センサワイヤ50はローリングバルブ48を切替え作動しない。また、左右の畝A上面の高さが異なって左右鎮圧具40の上下移動量が異なる場合には、各センサアーム47の後端部間隔が変化するので、センサワイヤ50はローリングバルブ48を切替え作動する。例えば、右鎮圧具4が左鎮圧具4の位置よりも上動した場合(畝Aは機体左右方向で右側が高い場合)には、各センサアーム47の後端部間隔が狭まり、センサワイヤ50のインナーワイヤIN−Wが押されてローリングバルブ48を切替え作動して、ローリングシリンダ17を縮小作動させ、左車輪10を下動させて機体が畝に機体左右方向で平行になるようにローリング制御する。逆に、左鎮圧具4が右鎮圧具4の位置よりも上動した場合(畝Aは機体左右方向で左側が高い場合)には、各センサアーム47の後端部間隔が広がり、センサワイヤ50のインナーワイヤIN−Wが引かれてローリングバルブ48を切替え作動して、ローリングシリンダ17を伸ばす方向に作動させ、左車輪10を上動させて機体が畝に機体左右方向で平行になるようにローリング制御する。
【0022】
また、各センサアーム47の平行状に設けられた後端部には、各々前後方向の長穴47aが各々設けられており、該各長穴47aに各々上記のアウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bが前後方向に移動及び締め付けノブボルト50cにて位置固定自在に設けられている。
【0023】
従って、ノブボルト50cを緩めて、各アウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bを各センサアーム47の前方向に移動させて固定すると、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化に対して、インナーワイヤーIN−Wの押し引き量が少なくなるので、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化が大きくないとローリング制御が作動しないような鈍感なローリング制御状態となり、逆に、ノブボルト50cを緩めて、各アウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bを各センサアーム47の後方向に移動させて固定すると、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化に対して、インナーワイヤーIN−Wの押し引き量が多くなるので、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化が小さくてもローリング制御が作動するような敏感なローリング制御状態となる。よって、センサワイヤ50を各センサアーム47から外すことなく、単に各アウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bを各センサアーム47上をスライド移動させるだけで簡単にローリング制御の感度調節を行うことができる。尚、各センサアーム47には、感度調節位置を示すマークMが刻印されている。
【0024】
また、上下油圧シリンダ15を伸縮することによって左右両車輪10を車体2に対して同時に昇降させる上下制御は、機体と圃場面(畝A上面)との間隔を検出する上下センサ5の検出により、上下バルブ49を切替えて行う。
【0025】
即ち、鎮圧フレーム39の前部に溶接固定した支持アーム39aの先端に上下センサ支持板5aを機体左右方向に設けた支持軸5bにて回動自在に支持し、該上下センサ支持板5aの左右両側に各々左右上下センサ5をボルト5cにて左右位置調節自在に設けている。そして、左右上下センサ5の圃場面(畝A面)の高さ変動検出にて、支持軸5b回りに上下センサ支持板5aが回動すると、その回動を連結ロッド5dを介して上下バルブ49が切替え作動する構成となっている。
【0026】
即ち、左右上下センサ5の下端が圃場面(畝A面)と接地しており、圃場面(畝A面)が高くなると、左右上下センサ5の下端が上動して、上下センサ支持板5aを支持軸5b回りにイ方向に回動させ、連結ロッド5dを押して上下バルブ49を切替え作動し、上下油圧シリンダ15を伸びる方向に作動させて左右車輪10を下動させて、機体と圃場面(畝A面)との間隔が適切な位置になるように上下制御する。逆に、圃場面(畝A面)が低くなると、左右上下センサ5の下端が下動して、上下センサ支持板5aを支持軸5b回りに反イ方向に回動させ、連結ロッド5dを引いて上下バルブ49を切替え作動し、上下油圧シリンダ15を縮小する方向に作動させて左右車輪10を上動させて、機体と圃場面(畝A面)との間隔が適切な位置になるように上下制御する。
【0027】
そして、左右上下センサ5の下端の圃場接地部5’は、各々左右鎮圧具4の前方に位置するように左右位置調節して設け、左右上下センサ5の下端の圃場接地部5’にて均された圃場面(畝A面)に左右苗植付ホッパー3が苗を植付け、その後を左右鎮圧具4が鎮圧作用する。従って、左右上下センサ5は、前部予備鎮圧作用の機能もある。尚、左右上下センサ5の下端の圃場接地部5’の左右幅B1は鎮圧具4の幅B2よりも広くなるように構成している。
【0028】
また、上下センサ5を左右に分割して設けた理由は、例えば、左右車輪10が2畝跨いで走行し、その2畝に各々苗を植付ける場合に、左右上下センサ5の下端の圃場接地部5’は各々その2畝の上面に接地するようにして苗植付け作業を行えば、左右車輪10が跨いだ2畝の何れの畝高さも検出できるので、その2畝に対する上下制御が適正に行えて適切な苗の植付け作業が行える。更に、その左右車輪10が跨いだ2畝に各々左右鎮圧具4が接地してローリング制御を行なうので、左右車輪10が跨いだ2畝に対する上下制御及びローリング制御が行われて、その2畝に対して適切な苗植付け深さで適切に苗の植付け作業が行える。
【0029】
また、支持軸5bと右上下センサ5下端の圃場接地部5’との距離L1よりも、支持軸5bと左上下センサ5下端の圃場接地部5’との距離L2の方が長くなるように、左右上下センサ5を配置している。これは、ローリングシリンダ17が機体左側に設けられているので、機体左側はローリング制御の影響による上下動の変化量が大きいが、機体右側はローリング制御による影響が少ないことから、ローリング制御の影響の大きく受ける左上下センサ5下端の圃場接地部5’との距離L2の方を長くして、ローリング制御の影響を受け難くしている。これによって、適正な機体の上下制御が行える。
【0030】
一方、前記各左右センサアーム47の基端部には、各リフトワイヤ51のインナーワイヤ51a後端を連結して、各リフトワイヤ51のアウターワイヤ51bの前端を前記左右アクスルハウジング9に設けた左右ハウジングアーム14に各々連結し、各リフトワイヤ51のインナーワイヤ51a前端は機体に固定している。この各リフトワイヤ51の連結によって、前記左右車輪ケース1の昇降により左右のセンサアーム47を上下に大きく回動して、左右各鎮圧アーム41を上方に向けて強制回動することができ、機体旋回時に左右車輪10を最下動させて機体を上昇させた時、自動的に左右鎮圧具4が上方に収納回動されて機体の旋回が容易に行える。
【0031】
前記鎮圧アーム41を左右に移動調節する時は、この調節操作を容易にするために、鎮圧アーム軸40の周りに切欠目印55を形成しておき、この目印55の位置にアームボス42の位置をあわせることによって的確な植付条位置への鎮圧位置決めを行うことができる。
【0032】
次に、図7に示す畝A上面を均す均し体60を設けた例を説明する。均し体60以外の構成は、上例と全く同じである。
畝A上面に接地して左右植付け位置を均す均し体60は、左右鎮圧アーム軸40の内端部側に各々回動自在に設けられた左右ボス部61に基部を各々溶接固定した左右均し体支持アーム62の後端部に溶接固定されている。63は左右ボス部61の左右移動を規制するスナップピンである。
【0033】
そして、左右均し体60は、機体の左右に平面視で左右端が前方に位置し中央側が後方に位置するようにハ字状に配置されており、左右均し体60の対向する中央部には空間部Kが形成されている。また、左右均し体60は、左右苗植付ホッパー3よりも機体前方に配置されており、左右苗植付ホッパー3が苗を植付ける前に畝A上面にある固まった土塊などを畝A中央部に集めながら畝A上面を均し、前記空間部Kから集めた土塊などを畝Aの中央に排出する。従って、畝A中央に土が溜まるので、中耕時にこの畝中央部の土を使用できて作業性が良く中耕作業が行える。
【0034】
また、左右均し体60の左右ボス部61及び左右均し体支持アーム62は機体中央位置に配置したので、左右鎮圧具4の左右位置調節の邪魔にならず、植付け条間調節が自由に行えて苗移植作業の適応性が拡大する。
【0035】
64は左右センサアーム47に各々基部を溶接固定し先端部を左右均し体支持アーム62の下側に位置させた左右上動用アームであって、前記左右車輪ケース1の昇降により左右のセンサアーム47を上下に大きく回動して、左右各鎮圧アーム41を上方に向けて強制回動する時に一緒に該左右上動用アーム64にて左右均し体60が上方に持ち上げられて、機体旋回時に左右車輪10を最下動させて機体を上昇させた時、自動的に左右鎮圧具4及び左右均し体60が上方に収納回動されて機体の旋回が容易に行える。
【0036】
次に、図8に示すスタンド70を設けた例を説明する。スタンド70以外の構成は、上例と全く同じである。
鎮圧フレーム39の左右側壁に正六角形の左右貫通穴71を設け、該左右貫通穴71に正六角軸72を貫通し、該正六角軸72の鎮圧フレーム39左側壁から突出した左端にスタンド操作ハンドル73を固定し、正六角軸72の鎮圧フレーム39右側壁から突出した右端にナット74にて位置規制した座金75を設け、座金75と鎮圧フレーム39右側壁との間に圧縮スプリング76を設けている。そして、正六角軸72にはスタンド70の基部に設けた左右ボス部70aを外嵌してボルト77にて左右位置を固定している。尚、左右ボス部70aには内部に正六角軸72に外嵌する正六角穴が設けられている。
【0037】
また、正六角軸72には六角部を削って円柱状にした部位を設けてあり、図8の状態では正六角軸72は鎮圧フレーム39の正六角形の左右貫通穴71に係合して回動しない状態であり(スタンド70が機体を支える作用状態)、この状態から作業者がスタンド操作ハンドル73を握って圧縮スプリング76に抗して正六角軸72を左方向に移動させると、正六角軸72の円柱状にした部位が左右貫通穴71に位置するようになって、作業者はスタンド操作ハンドル73を握って正六角軸72を自由に回動させることができ、仮想線に示す収納位置まで回動させた後に手を離すと正六角軸72は圧縮スプリング76にて右方向に移動し、再び正六角軸72は鎮圧フレーム39の正六角形の左右貫通穴71に係合して回動しない状態(スタンド70を収納した非作用状態)となる。スタンド70を非作用状態から作用状態にする場合も、上記と同じ要領で行う。
【0038】
左右の前輪13の間となる機体の前端部には畝Aの上面に接地して該畝Aの終端を検出する畝終端センサ80を設け、該畝終端センサ80は機体の前進により畝のないところに到達して畝上面を感知しなくなることにより畝の終端に到達したことを検出する構成となっている。この畝終端センサ80による畝の終端の検出に基づいて、主クラッチを自動的に切って左右の車輪10の駆動と左右苗植付ホッパー3並びに苗供給装置20の駆動を停止し、機体を停止させると共に、警報(例えばブザー等の警音)を出して作業者に告知する。これにより、座席33に座る作業者は、機体の進行方向に対して後ろ向きとなり、苗補給作業に集中しているため機体の前方を確認しにくく、機体が畝の終端に達したことに気づかず、周囲の構造物への衝突等の事故を発生させるおそれがあるが、前記畝終端センサ80により畝の終端で機体を自動停止すると共に警報で畝の終端に達したことを告知するため、安全に作業が行え、また機体の前方の状況及び畝の終端の位置を気にせずに苗供給装置20への苗補給作業を集中して行え、植付作業能率が向上する。前記畝終端センサ80は、機体の左右中央部に配置されており、左右苗植付ホッパー3が苗を植付ける左右苗植付け位置に亘る左右長さに構成(機体左右方向に長い円筒形状)しており、左右苗植付ホッパー3の苗植付け位置を前鎮圧する機能がある。また、左右車輪10が2畝跨いで走行し、その2畝に各々苗を植付ける場合に、畝終端センサ80はその2畝を共に検出でき、安全な植付け作業が行える。
【0039】
また、上記の例では左右苗植付ホッパー3が苗を植付ける左右苗植付け位置に亘る左右長さに構成(機体左右方向に長い円筒形状)したが、左右苗植付ホッパー3の各々の前方に左右畝終端センサ80が位置するように左右分割式の構成としても良い。その場合、条間調節をして左右苗植付ホッパー3の位置を機体左右方向に調節しても、それに対応できるように、左右畝終端センサ80も各々左右位置調節できるように構成する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】鎮圧具の斜視図である。
【図2】要部の拡大斜視図である。
【図3】要部の拡大平面図である。
【図4】苗植機全体の側面図である。
【図5】苗植機全体の平面図である。
【図6】苗植付ホッパーの斜視図である。
【図7】他の例を示す要部の斜視図である。
【図8】他の例を示す要部の斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
3 左右苗植付ホッパー
4 左右鎮圧具
10 左右車輪
17 ローリングアクチュエータ(ローリングシリンダ)
47 左右センサーアーム
50 センサーワイヤ
50a アウターワイヤ受け
50b インナーワイヤ受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右車輪(10)の相対高さを変更して機体の左右傾斜を制御するローリングアクチュエータ(17)と上下作動して圃場に苗を植付ける左右苗植付ホッパー(3)を設けた苗植機において、該左右苗植付ホッパー(3)による左右の各苗植付位置を鎮圧する左右鎮圧具(4)を設け、該左右鎮圧具(4)の上下動と各々連携して作動する左右センサーアーム(47)を間隔を開けて設け、該左右センサーアーム(47)の間隔変動にて機体の傾きを検出してローリングアクチュエータ(17)を作動させる車体姿勢制御装置を設けたことを特徴とする苗植機。
【請求項2】
左右センサーアーム(47)を各々同軸心回りに回動自在に構成して、その先端部を間隔を空けて平行状に延出し、該左右センサーアーム(47)の平行状に延出した部位の各々にセンサーワイヤ(50)のアウターワイヤ受け(50a)及びインナーワイヤ受け(50b)を設けると共に、該アウターワイヤ受け(50a)及びインナーワイヤ受け(50b)を左右センサーアーム(47)の回動軸心に接近及び離反する方向に移動及び固定自在に設けて、センサーワイヤ(50)にて左右センサーアーム(47)の間隔変動を検出する構成としたことを特徴とする請求項1記載の苗植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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