苗移植機
【課題】 従来の苗植フレーム部から縦植付フレーム後端部の苗植付具の駆動軸まで伝動チェーンにて駆動力を伝動する構成では、縦植付フレームの上下幅は広い構成とせざるを得ず、縦植付フレーム上部に配置されている苗植付具が苗を取出す苗取出ガイドが圃場面から離れた構成となってしまうので、苗植付具による苗の植付けが不安定となる要因となっていた。
【解決手段】苗植フレーム14に複数の縦植付フレーム31を後方に向けて延出し、複数の各縦植付フレーム31の各後端部に苗植付具17を装着し、各苗植付具17が各縦植付フレーム31の上部に配置された苗取出ガイド34に形成した苗取出口39から一株分の苗を取出して圃場に移植する構成とした苗移植機において、各縦植付フレーム31内に前後方向に縦回転軸48と伝動チェーン58とを設けて苗植付具17へ駆動力を伝達する構成とした苗移植機。
【解決手段】苗植フレーム14に複数の縦植付フレーム31を後方に向けて延出し、複数の各縦植付フレーム31の各後端部に苗植付具17を装着し、各苗植付具17が各縦植付フレーム31の上部に配置された苗取出ガイド34に形成した苗取出口39から一株分の苗を取出して圃場に移植する構成とした苗移植機において、各縦植付フレーム31内に前後方向に縦回転軸48と伝動チェーン58とを設けて苗植付具17へ駆動力を伝達する構成とした苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数条植えの苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、田植機等の苗移植機において、苗植フレームから複数の縦植付フレームを後方に向けて延出して設け、この各縦植付フレームの各後端部に苗植付具を装着したものがある。
【0003】
そして、この縦植付フレーム内に伝動チェーンを設けて、苗植フレーム部から縦植付フレーム後端部の苗植付具の駆動軸まで駆動力を伝動する構成としていた。
【特許文献1】特開平5−168311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、苗植フレーム部から縦植付フレーム後端部の苗植付具の駆動軸まで伝動チェーンにて駆動力を伝動する構成では、伝動チェーンの回転時の干渉を防止する為に、縦植付フレームの上下幅は広い構成とせざるを得なかった。その為、縦植付フレーム上部に配置されている苗植付具が苗を取出す苗取出ガイドが圃場面から離れた構成となってしまうので、苗植付具が苗取出ガイドの苗取出口から一株分の苗を取出して圃場に植付けるまでの距離が長くなり、苗植付具による苗の植付けが不安定となる要因となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、乗用型走行車体10の後部に昇降リンク11を介して苗植装置12を昇降自在に装着し、乗用型走行車体10側からPTO軸29にて該苗植装置12の苗植フレーム14に駆動力を伝達し、苗植フレーム14に複数の縦植付フレーム31を後方に向けて延出し、該複数の各縦植付フレーム31の各後端部に苗植付具17を装着し、該各苗植付具17が各縦植付フレーム31の上部に配置された苗取出ガイド34に形成した苗取出口39から一株分の苗を取出して圃場に移植する構成とした苗移植機において、各縦植付フレーム31内に前後方向に縦回転軸48と伝動チェーン58とを設けて苗植付具17へ駆動力を伝達する構成とした苗移植機としたものである。
【0006】
従って、縦植付フレーム31内の伝動構成を前後方向に設けた縦回転軸48と伝動チェーン58とにより構成することによって、全体を伝動チェーンのみにより伝動する場合に比較して、伝動チェーンの伝動距離が短くなるので伝動チェーンの伸びによる伝動トラブルが少なくなって、良好な苗植付具17の駆動が行なわれ適正な苗植付け作業が行える。
【0007】
請求項2記載の発明は、苗取出ガイド34の下方に縦回転軸48を配置した請求項1記載の苗移植機としたものである。
従って、請求項1記載の作用に加えて、苗取出ガイド34の下方部分の縦植付フレーム31の上下幅を狭く構成できるので、苗取出ガイド34を低い位置にして圃場面に近づけることができ、苗植付具17が苗取出ガイド34の苗取出口39から一株分の苗を取出して圃場に植付けるまでの距離が短くなるので、苗植付具17による苗の植付けが適正に行なわれる。
【発明の効果】
【0008】
上記のように苗移植機を構成することにより、苗植付具17の駆動が適正に行なわれて、良好な苗の移植作業が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい一つの実施形態について説明する。
図面は本発明を用いた一実施例のイグサ苗移植機であって、育苗箱に入れた床土に縦横所定ピッチで一株分づつのイグサ苗を挿して所定期間育苗したイグサマット状苗を圃場に移植するものである。
【0010】
乗用型走行車体10の後側に昇降リンク11を介して苗植装置12を連結する。この苗植装置12は、昇降リンク11の後端にローリング軸13周りに回動可能に連結される苗植フレーム14上に、苗を載せて繰出供給する繰出ベルト15を有した多条植形態の苗タンク16と、この各苗タンク16の後下端に繰り出される苗を分離して土壌面に挿植する苗植付具17等を設ける。この縦植付フレーム14の下側には、土壌面を滑走しながら均平する中央部のセンタフロート18、及び左右両側のサイドフロート19が設けられている。乗用型走行車体10中央部の運転席20支持するエンジンカバー21の下には、エンジン22を搭載し、ステアリングハンドル23の操作で操向される左右前輪24と左右後輪25を配置して、エンジン22の駆動にて走行する四輪駆動走行形態の構成としている。
【0011】
そして、運転席20の前方及び左右側方に配置したステップフロア26の前部左右側には補給苗載台27を設けて、収容搭載する苗を後方の苗タンク16へ補給可能にしている。前記昇降リンク11は平行リンク形態に構成されて、乗用型走行車体10との間に設けられるリフトシリンダ28の伸縮によって昇降する構成としている。車体10の後部にはPTO軸29を設けて、前記苗植装置12の苗植フレーム14に設けられるローリング軸13の軸芯上の入力軸30を連動して、苗植装置12の各連動部に動力を伝動する。
【0012】
前記苗植フレーム14には、3つの縦植付フレーム31を後方に向けて延出して設け、この3つの各縦植付フレーム31の各後端部に、駆動回転クランク17aと揺動クランク17bにて昇降駆動される苗植付具17が装着されている。苗植フレーム14の上側には機体横方向に沿うリードカム軸32や苗タンク16の横移動を案内支持する支持フレーム33、及び苗取出ガイド34を設け、このリードカム軸32の伝動回転によって苗タンク16を苗植付条間隔にわたって左右往復移動させる。6条植え形態に仕切られる苗タンク16の底部には、繰出ベルト15が下部の駆動軸35と上部の遊転軸36間に張設されて、ラチェット機構37を介して間欠的に駆動される。各縦植付フレーム31の後端部には、上記左右両側に駆動回転クランク17aの回転によって昇降駆動される一対の苗植付具17が設けられ、この植付爪17を前記苗取出ガイド34に形成の苗取出口39と圃場との間を植付軌跡を描いて作動させることによって、各苗タンク16の繰出ベルト15によって繰り出される苗を分離保持して挿植することができる。
【0013】
ここで、各縦植付フレーム31の構成について説明する。基部が苗植フレーム14に固定されて後方に向けて片持ち状に延設された縦植付フレーム31は、左右のケース体31a・31bをボルト45にて固定して構成されている。
【0014】
苗植フレーム14内に左右方向に設けた駆動軸46の第1駆動ベベルギヤ47と縦植付フレーム31の前部に縦方向に回転自在に支架した縦回転軸48の前部に設けた第1従動ベベルギヤ49とを噛合させて、駆動軸46の回転動力を縦回転軸48に伝動している。そして、縦回転軸48の後方に左右方向に設けた第1横軸50aと第2横軸50bとを回転自在に支架し、縦回転軸48の後部に設けた第2駆動ベベルギヤ51と第1横軸50aに設けた第2従動ベベルギヤ52とを噛合させ、第1横軸50aと第2横軸50bとに各々設けたギヤ53・54を噛合させて、第2横軸50bに動力を伝動する構成としている。そして、該第2横軸50bに設けた駆動スプロケット55と苗植付具17の駆動軸56に設けた従動スプロケット57との間に伝動チェーン58を設けて、苗植付具17の駆動軸56に回転動力を伝達する構成としている。
【0015】
前記駆動回転クランク17aは、該苗植付具17の駆動軸56に固定されている。そして、揺動クランク17bは、縦植付フレーム31の後部に設けた回動支軸59に上端を回転自在に枢支し、下端を苗植付具17の後部に回転自在に装着されている。従って、苗植付具17は、駆動軸56の回転動力にて駆動回転クランク17aが回転して、該駆動回転クランク17aの回転により揺動クランク17bが前後方向に揺動して、苗植付具17は苗タンク16に載置されたイグサマット状苗を苗取出ガイド34の苗取出口39から一株分づつ取出して、圃場に植付ける軌跡Aを作動する構成としている。
【0016】
尚、駆動回転クランク17aには、駆動軸56の反対方向に向けて一体的にバランサ17cが設けられており、苗植付具17が円滑に作動する構成となっている。そして、イグサ苗移植機の場合条間が21cmと狭いので(田植機の場合は条間が30cm)、隣接する苗植付具17間の空間は狭くなっている。従って、該バランサ17cの揺動クランク17b下端が苗植付具17の後部に回転自在に装着されている枢支部位に対応する部分を凹部としてあり、狭い隣接する苗植付具17間の空間内にバランサ17cが配置できる構成となっている。
【0017】
また、図9に示すように、揺動クランク17b下端を苗植付具17の後部の外側部に装着する構成とすれば、苗植付具17と縦植付フレーム31との間の空間が広くなって、大きなバランサ17cを配置でき、苗植付具17を更に円滑に作動することができるので、良好な苗移植作業が行える。
【0018】
上記のように縦植付フレーム31内の伝動構成を縦方向に設けた縦回転軸48と伝動チェーン58とにより構成することによって、全体を伝動チェーンのみにより伝動する場合に比較して、伝動チェーンの伝動距離が短くなるので伝動チェーンの伸びによる伝動トラブルが少なくなって、良好な苗植付具17の駆動が行なわれ適正な苗植付け作業が行える。また、苗取出ガイド34の下方部分の伝動を縦回転軸48にて行なうと、該苗取出ガイド34の下方部分の縦植付フレーム31の上下幅を狭く構成できるので、苗取出ガイド34を低い位置にして圃場面に近づけることができ、苗植付具17が苗取出ガイド34の苗取出口39から一株分の苗を取出して圃場に植付けるまでの距離が短くなるので、苗植付具17による苗の植付けが適正に行なわれる。尚、苗取出ガイド34の最下端部が図8に示すように縦植付フレーム31の左右のケース体31a・31bをボルト45にて固定する部分の間に配置された構成となっており、苗取出ガイド34が更に低い位置になって、苗植付具17が苗取出ガイド34の苗取出口39から一株分の苗を取出して圃場に植付けるまでの距離が短くなり、苗植付具17による苗の植付けが適正に行なわれるようになっている。
【0019】
左右方向中央部の縦植付フレーム31の下側にはセンタフロート18を設け、左右外側の縦植付フレーム31の下側にはサイドフロート19が配置されている。これら各フロート18,19は、苗植フレーム14の下側を横方向に沿う支持軸40周りに上下回動調節可能に設けられる支持アーム41の後端に設けたフロート軸42によってその前部が上下揺動自在に支持される。センタフロート18、及びサイドフロート19には、後部上にブラケット43を取り付けて、このブラケット43を各フロート18,19毎に対応して設けられる支持アーム41にフロート軸42によって枢支する。これら各フロート軸42は、苗植付具17の昇降作動位置近くに設けられ、各フロート18,19の前部上下揺動による苗植付具17の支持高さの変化が少ないように構成している。このようにして、センタフロート18、サイドフロート19は、各別にフロート軸42周りに前部が上下揺動自在に支架されるが、このうちセンタフロート18の前部上下揺動によって、リンク機構44を介して、前記リフトシリンダ28の油圧回路の制御弁を作動させて、このセンタフロート18が大きく上動すると、このリフトシリンダ28を伸ばして苗植装置12を上昇し、又、センタフロート18が下動すると、リフトシリンダ28を縮少して苗植装置12を下降して、圃場の耕盤の深浅変化に拘らず略一定した苗植付深さを維持するように制御する構成としている。
【0020】
次に、前記繰出ベルト15を間歌駆動するラチェット機構37の構成について、説明する。
苗タンク16がリードカム軸32の回転によって左、右横端部に移動案内されたとき、このラチェット機構37を作動させて、駆動軸35を一定角度回動し、繰出ベルト15を一横株並列分だけ後下方の苗取出ガイド34側へ繰出すように構成するものである。前記駆動軸35上にラチェットホイル65と、揺動力ムアーム66を設け、このカムアーム66に設けられる駆動爪67を該ラチェットホイル65に押圧させて係合させる。このカムアーム66を、リードカム軸32からアーム68、リンクロッド69を介して連動回動することにより、駆動爪67でラチェットホイル65を一定角度繰出側へ間欠的に回動することができる。このカムアーム66にはカム70が形成される。このラチェットホイル65の外周に弾発係合するストッパー用の従動爪71,72が、苗タンク16側部のブラケット73に枢支されている。カムアーム66によってラチェットホイル65を繰出側Kへ回動するときは、このカム70が従動爪72を外方へ押し外して、繰出側K方向の回動を許すように構成している。ラチェットホイル65が繰出側Kへ回動される毎に、これら従動爪71,72が係合して、このラチェットホイル65の回動を係上して、繰出ベルト15の繰出位置を固定し、正確な苗の分離及び苗の植付けを行わせる。
【0021】
このようなラチェット機構37において、このラチェットホイル65の回動角度を変更することによって繰出ベルト15の繰出側Kへの回動量を変えて、苗繰出量を多、少に変更可能に構成している。前記リンクロッド69先端の連動ピン74を、カムアーム66に形成の長穴75に係合させる。この長穴75は、カムアーム66の揺動軸心部である駆動軸35に対して略放射方向に向けて形成されて、この長穴75に沿って連動ピン74を移動して、この連動ピン74の駆動軸35の軸芯からのアーム長さを変更して位置決めすることができる。連動ピン74は、リンクロッド69を回動自在に連結すると共に、カムアーム66の長穴75に対する嵌合連結位置を移動可能にして、ナット76で締付けて位置決め固定することができる。前記苗移植機において、水稲苗移植機の仕様では、この連動ピン74の移動A3,B3によって、カムアーム66のアーム長比が変るため、水稲苗では苗繰出量が少なくなり、イグサ苗では多くなる。このようなリンクロッド69のアーム68に対する連結リンクピン77部は、スプリング78を介して弾発回動のアーム79が連結されて、前記カムアーム66を常時復帰側へ回動付勢している。これらラチェットホイル65と、カムアーム66、駆動爪67、及び各従動爪71,72等の関係構成、及び関係位置を変えることなくして、連動ピン74の長穴75に対する位置移動によって、苗繰出ベルト15の回動量を変更することができ、構成、及び操作を簡単化することができる。
【0022】
このような繰出ベルト15は、苗タンク16の運転席20側に向けて延設した操作レバー80の操作によって、リンクロッド81を介して前記アムアーム66を揺動回動するように連動構成している。運転者が運転席20側から操作レバー80操作しながら、繰出ベルト15を手動回動して苗補給することができ、苗植伝動が停止されている場合や、苗タンク16の横移動の途中位置等で苗補給するとき、苗補給を容易に行うことができる。
【0023】
前記苗タンク16の苗載部上方には、苗押え杆82を苗浮き上がり防止の苗押さえ状態と非作用状態とに上下回動可能に設けている。この苗押え杆82は、6条植形態の苗タンク16において、2条植毎の苗タンク16を一体にして3組に構成して、各組毎の苗押え杆82を回動可能にして、苗タンク16下端横側部の支持ステー83に対して支持軸84で枢支させる。各苗押え杆82の支持軸84の一側端にはストッパアーム85を設けて、支持ステー83の係上部86,87に係合させることができ、この苗押え杆82の起立位置、又は倒伏位置を係上する。この各支持軸84の左右端部を軸受するソケット88,89を各支持ステー83に取付ける。苗タンク16の左右両端部に取付けるソケット88は、一側端に鍔部90、及びボルト部91を形成して、支持ステー83に形成のソケット穴に嵌合させて、各支持ステー83の外側からナット92で締め付けて取付ける。又、苗タンク16幅中間部の支持ステー83には、単なる円筒状のソケット89を一体に取付ける。左右両側の苗タンク16の支持軸84は、これらソケット88,89にわたって嵌合支持し、中間部の苗タンク16土に取付けられる支持軸84は、両端部を同形態のソケット89間にわたって嵌合支持させる。従って、これら左右両側部はソケット88を共用して取付けることができると共に、中間部はソケット89を共用して取付けることができる。
【0024】
また、支持ステー83には、苗タンク16の苗取出口39部上方位置に、苗を苗植付具17の作動軌跡Aから離れる方向に傾斜させる苗抵抗棒110が設けられている。該苗抵抗棒110は、チョウボルト111にて固定及び回動自在の支持体112に固定されており、このイグサ苗移植機でイグサ苗を移植する時は、チョウボルト111を緩めて苗抵抗棒110が案内溝113の上端に位置する状態とし、チョウボルト111を締めて固定する。すると、硬いイグサ苗を少しだけ後方に傾斜させる状態となって、適正なイグサ苗の植付け作業が行える。そして、このイグサ苗移植機で水稲苗を移植する時は、チョウボルト111を緩めて苗抵抗棒110が案内溝113の下端に位置する状態とし、チョウボルト111を締めて固定する。すると、柔らかな水稲苗を大きく後方に傾斜させて苗の葉が苗植付具17と干渉して傷むことを防止でき、適正な水稲苗の植付け作業が行える。
【0025】
次に、苗タンク16の繰出ベルト15の駆動を部分的に停止する各条クラッチ93の構成を説明する。
6条植え用のイグサ苗移植機であるから、苗タンク16は6つの苗載部16-1,16-2,16-3,16−4,16−5,16−6にて構成されており、各苗載部16−1〜16−6は仕切壁部16aにて仕切られた構成となっている。
【0026】
前記繰出ベルト15は、その駆動軸35に装着されて各条クラッチ93を介して回転されるベルト駆動ロール94と上部の遊転軸36に外嵌合されたベルト従動ロールとに巻き掛けて設けられ、ベルト駆動ロール94の回転にてその上に載置されたイグサマット状苗を一株分の幅だけ下方に送る構成としている。
【0027】
そして、各条クラッチ93の従動クラッチ爪部93aが設けられた従動体95は、内部に従動クラッチ爪部93aが設けられ、その外形は円筒形状に構成されていて、前記ベルト駆動ロール94の側端部の内部に嵌合して固定された構成となっている。そして、該従動体95は、仕切壁部16aの側方から嵌め込んで繰出ベルト15の下方部で仕切壁部16aにボルト96にて固定した鉄製のコ字状軸受け体97にて回転自在に支持する構成としている。尚、軸受け体97の仕切壁部16a側壁に接当する部位は、該仕切壁部16aと繰出ベルト15との間の空間部に配置された構成となっており、各条クラッチ93部の支持構成を狭い仕切壁部16aに構成できるものとなっている。
【0028】
一方、各条クラッチ93の駆動クラッチ爪部93bは、駆動軸35と一体回転するように該駆動軸35上でスライド自在に設けられた駆動体98の先端部に形成されている。そして、該駆動体98は、別途設けられた操作レバーの操作にて作動する操作ワイヤー99の先端部に連携された作動アーム100にて、軸方向に移動して駆動クラッチ爪部93bが従動クラッチ爪部93a部に係合する状態と離れる状態とに切換えられる構成となっている。従って、上記の操作レバーにて、各条クラッチ93は、各々独立して駆動状態と非駆動状態とに切換えられ、苗タンク16の各苗載部の繰出ベルト15は各別に苗送り作動状態と非作動状態とに切換えられる。
【0029】
最後に、図12及び図13に基づいて他の実施例として、各縦植付フレーム31の構成について説明する。
苗植フレーム14内に左右方向に設けた駆動軸46の駆動ギヤ120とカウンター軸121に従動ギヤ121とを噛合させ、該カウンター軸121に設けた駆動スプロケット122と苗植付具17の駆動軸56に設けた従動スプロケット57との間に伝動チェーン58を設けて、苗植付具17の駆動軸56に回転動力を伝達する構成としている。
【0030】
このように長い距離を伝動チェーン58にて動力を伝達する構成とすると、チェーンが弛むので、伝動チェーン58の上方及び下方に鋼鈑製バネ材の上チェーンスラッシュ130及び下チェーンスラッシュ131が設けてあり、チェーンを張る構成としている。そして、特に、鋼鈑製バネ材の中チェーンスラッシュ132を回転している伝動チェーン58の内側に設けたので、上下に位置して回転する伝動チェーン58が互いに干渉することが防止でき、且つ、上下幅を狭く構成した縦植付フレーム31内に長い伝動チェーン58を配置できるので、苗取出ガイド34を低い位置にして圃場面に近づけることができ、苗植付具17が苗取出ガイド34の苗取出口39から一株分の苗を取出して圃場に植付けるまでの距離が短くなり、苗植付具17による苗の植付けが適正に行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】イグサ苗移植機の全体側面図である。
【図2】イグサ苗移植機の全体平面図である。
【図3】繰出ベルト駆動部の拡大側面図と、その一部の断面図である。
【図4】カムアーム操作連動部の側面図である。
【図5】苗押え杆部の平面図と、その一部の拡大断面図である。
【図6】苗押え杆部の側面図である。
【図7】要部の平断面図である。
【図8】要部の側断面図である。
【図9】縦植付フレーム後部の平断面図である。
【図10】苗タンクの拡大平面図である。
【図11】苗タンクの拡大平断面図である。
【図12】他の例を示す縦植付フレームの平断面図である。
【図13】他の例を示す縦植付フレームの側断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 乗用型走行車体
11 昇降リンク
12 苗植装置
14 苗植フレーム
17 苗植付具
29 PTO軸
31 縦植付フレーム
34 苗取出ガイド
39 苗取出口
48 縦回転軸
58 伝動チェーン
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数条植えの苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、田植機等の苗移植機において、苗植フレームから複数の縦植付フレームを後方に向けて延出して設け、この各縦植付フレームの各後端部に苗植付具を装着したものがある。
【0003】
そして、この縦植付フレーム内に伝動チェーンを設けて、苗植フレーム部から縦植付フレーム後端部の苗植付具の駆動軸まで駆動力を伝動する構成としていた。
【特許文献1】特開平5−168311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、苗植フレーム部から縦植付フレーム後端部の苗植付具の駆動軸まで伝動チェーンにて駆動力を伝動する構成では、伝動チェーンの回転時の干渉を防止する為に、縦植付フレームの上下幅は広い構成とせざるを得なかった。その為、縦植付フレーム上部に配置されている苗植付具が苗を取出す苗取出ガイドが圃場面から離れた構成となってしまうので、苗植付具が苗取出ガイドの苗取出口から一株分の苗を取出して圃場に植付けるまでの距離が長くなり、苗植付具による苗の植付けが不安定となる要因となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、乗用型走行車体10の後部に昇降リンク11を介して苗植装置12を昇降自在に装着し、乗用型走行車体10側からPTO軸29にて該苗植装置12の苗植フレーム14に駆動力を伝達し、苗植フレーム14に複数の縦植付フレーム31を後方に向けて延出し、該複数の各縦植付フレーム31の各後端部に苗植付具17を装着し、該各苗植付具17が各縦植付フレーム31の上部に配置された苗取出ガイド34に形成した苗取出口39から一株分の苗を取出して圃場に移植する構成とした苗移植機において、各縦植付フレーム31内に前後方向に縦回転軸48と伝動チェーン58とを設けて苗植付具17へ駆動力を伝達する構成とした苗移植機としたものである。
【0006】
従って、縦植付フレーム31内の伝動構成を前後方向に設けた縦回転軸48と伝動チェーン58とにより構成することによって、全体を伝動チェーンのみにより伝動する場合に比較して、伝動チェーンの伝動距離が短くなるので伝動チェーンの伸びによる伝動トラブルが少なくなって、良好な苗植付具17の駆動が行なわれ適正な苗植付け作業が行える。
【0007】
請求項2記載の発明は、苗取出ガイド34の下方に縦回転軸48を配置した請求項1記載の苗移植機としたものである。
従って、請求項1記載の作用に加えて、苗取出ガイド34の下方部分の縦植付フレーム31の上下幅を狭く構成できるので、苗取出ガイド34を低い位置にして圃場面に近づけることができ、苗植付具17が苗取出ガイド34の苗取出口39から一株分の苗を取出して圃場に植付けるまでの距離が短くなるので、苗植付具17による苗の植付けが適正に行なわれる。
【発明の効果】
【0008】
上記のように苗移植機を構成することにより、苗植付具17の駆動が適正に行なわれて、良好な苗の移植作業が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい一つの実施形態について説明する。
図面は本発明を用いた一実施例のイグサ苗移植機であって、育苗箱に入れた床土に縦横所定ピッチで一株分づつのイグサ苗を挿して所定期間育苗したイグサマット状苗を圃場に移植するものである。
【0010】
乗用型走行車体10の後側に昇降リンク11を介して苗植装置12を連結する。この苗植装置12は、昇降リンク11の後端にローリング軸13周りに回動可能に連結される苗植フレーム14上に、苗を載せて繰出供給する繰出ベルト15を有した多条植形態の苗タンク16と、この各苗タンク16の後下端に繰り出される苗を分離して土壌面に挿植する苗植付具17等を設ける。この縦植付フレーム14の下側には、土壌面を滑走しながら均平する中央部のセンタフロート18、及び左右両側のサイドフロート19が設けられている。乗用型走行車体10中央部の運転席20支持するエンジンカバー21の下には、エンジン22を搭載し、ステアリングハンドル23の操作で操向される左右前輪24と左右後輪25を配置して、エンジン22の駆動にて走行する四輪駆動走行形態の構成としている。
【0011】
そして、運転席20の前方及び左右側方に配置したステップフロア26の前部左右側には補給苗載台27を設けて、収容搭載する苗を後方の苗タンク16へ補給可能にしている。前記昇降リンク11は平行リンク形態に構成されて、乗用型走行車体10との間に設けられるリフトシリンダ28の伸縮によって昇降する構成としている。車体10の後部にはPTO軸29を設けて、前記苗植装置12の苗植フレーム14に設けられるローリング軸13の軸芯上の入力軸30を連動して、苗植装置12の各連動部に動力を伝動する。
【0012】
前記苗植フレーム14には、3つの縦植付フレーム31を後方に向けて延出して設け、この3つの各縦植付フレーム31の各後端部に、駆動回転クランク17aと揺動クランク17bにて昇降駆動される苗植付具17が装着されている。苗植フレーム14の上側には機体横方向に沿うリードカム軸32や苗タンク16の横移動を案内支持する支持フレーム33、及び苗取出ガイド34を設け、このリードカム軸32の伝動回転によって苗タンク16を苗植付条間隔にわたって左右往復移動させる。6条植え形態に仕切られる苗タンク16の底部には、繰出ベルト15が下部の駆動軸35と上部の遊転軸36間に張設されて、ラチェット機構37を介して間欠的に駆動される。各縦植付フレーム31の後端部には、上記左右両側に駆動回転クランク17aの回転によって昇降駆動される一対の苗植付具17が設けられ、この植付爪17を前記苗取出ガイド34に形成の苗取出口39と圃場との間を植付軌跡を描いて作動させることによって、各苗タンク16の繰出ベルト15によって繰り出される苗を分離保持して挿植することができる。
【0013】
ここで、各縦植付フレーム31の構成について説明する。基部が苗植フレーム14に固定されて後方に向けて片持ち状に延設された縦植付フレーム31は、左右のケース体31a・31bをボルト45にて固定して構成されている。
【0014】
苗植フレーム14内に左右方向に設けた駆動軸46の第1駆動ベベルギヤ47と縦植付フレーム31の前部に縦方向に回転自在に支架した縦回転軸48の前部に設けた第1従動ベベルギヤ49とを噛合させて、駆動軸46の回転動力を縦回転軸48に伝動している。そして、縦回転軸48の後方に左右方向に設けた第1横軸50aと第2横軸50bとを回転自在に支架し、縦回転軸48の後部に設けた第2駆動ベベルギヤ51と第1横軸50aに設けた第2従動ベベルギヤ52とを噛合させ、第1横軸50aと第2横軸50bとに各々設けたギヤ53・54を噛合させて、第2横軸50bに動力を伝動する構成としている。そして、該第2横軸50bに設けた駆動スプロケット55と苗植付具17の駆動軸56に設けた従動スプロケット57との間に伝動チェーン58を設けて、苗植付具17の駆動軸56に回転動力を伝達する構成としている。
【0015】
前記駆動回転クランク17aは、該苗植付具17の駆動軸56に固定されている。そして、揺動クランク17bは、縦植付フレーム31の後部に設けた回動支軸59に上端を回転自在に枢支し、下端を苗植付具17の後部に回転自在に装着されている。従って、苗植付具17は、駆動軸56の回転動力にて駆動回転クランク17aが回転して、該駆動回転クランク17aの回転により揺動クランク17bが前後方向に揺動して、苗植付具17は苗タンク16に載置されたイグサマット状苗を苗取出ガイド34の苗取出口39から一株分づつ取出して、圃場に植付ける軌跡Aを作動する構成としている。
【0016】
尚、駆動回転クランク17aには、駆動軸56の反対方向に向けて一体的にバランサ17cが設けられており、苗植付具17が円滑に作動する構成となっている。そして、イグサ苗移植機の場合条間が21cmと狭いので(田植機の場合は条間が30cm)、隣接する苗植付具17間の空間は狭くなっている。従って、該バランサ17cの揺動クランク17b下端が苗植付具17の後部に回転自在に装着されている枢支部位に対応する部分を凹部としてあり、狭い隣接する苗植付具17間の空間内にバランサ17cが配置できる構成となっている。
【0017】
また、図9に示すように、揺動クランク17b下端を苗植付具17の後部の外側部に装着する構成とすれば、苗植付具17と縦植付フレーム31との間の空間が広くなって、大きなバランサ17cを配置でき、苗植付具17を更に円滑に作動することができるので、良好な苗移植作業が行える。
【0018】
上記のように縦植付フレーム31内の伝動構成を縦方向に設けた縦回転軸48と伝動チェーン58とにより構成することによって、全体を伝動チェーンのみにより伝動する場合に比較して、伝動チェーンの伝動距離が短くなるので伝動チェーンの伸びによる伝動トラブルが少なくなって、良好な苗植付具17の駆動が行なわれ適正な苗植付け作業が行える。また、苗取出ガイド34の下方部分の伝動を縦回転軸48にて行なうと、該苗取出ガイド34の下方部分の縦植付フレーム31の上下幅を狭く構成できるので、苗取出ガイド34を低い位置にして圃場面に近づけることができ、苗植付具17が苗取出ガイド34の苗取出口39から一株分の苗を取出して圃場に植付けるまでの距離が短くなるので、苗植付具17による苗の植付けが適正に行なわれる。尚、苗取出ガイド34の最下端部が図8に示すように縦植付フレーム31の左右のケース体31a・31bをボルト45にて固定する部分の間に配置された構成となっており、苗取出ガイド34が更に低い位置になって、苗植付具17が苗取出ガイド34の苗取出口39から一株分の苗を取出して圃場に植付けるまでの距離が短くなり、苗植付具17による苗の植付けが適正に行なわれるようになっている。
【0019】
左右方向中央部の縦植付フレーム31の下側にはセンタフロート18を設け、左右外側の縦植付フレーム31の下側にはサイドフロート19が配置されている。これら各フロート18,19は、苗植フレーム14の下側を横方向に沿う支持軸40周りに上下回動調節可能に設けられる支持アーム41の後端に設けたフロート軸42によってその前部が上下揺動自在に支持される。センタフロート18、及びサイドフロート19には、後部上にブラケット43を取り付けて、このブラケット43を各フロート18,19毎に対応して設けられる支持アーム41にフロート軸42によって枢支する。これら各フロート軸42は、苗植付具17の昇降作動位置近くに設けられ、各フロート18,19の前部上下揺動による苗植付具17の支持高さの変化が少ないように構成している。このようにして、センタフロート18、サイドフロート19は、各別にフロート軸42周りに前部が上下揺動自在に支架されるが、このうちセンタフロート18の前部上下揺動によって、リンク機構44を介して、前記リフトシリンダ28の油圧回路の制御弁を作動させて、このセンタフロート18が大きく上動すると、このリフトシリンダ28を伸ばして苗植装置12を上昇し、又、センタフロート18が下動すると、リフトシリンダ28を縮少して苗植装置12を下降して、圃場の耕盤の深浅変化に拘らず略一定した苗植付深さを維持するように制御する構成としている。
【0020】
次に、前記繰出ベルト15を間歌駆動するラチェット機構37の構成について、説明する。
苗タンク16がリードカム軸32の回転によって左、右横端部に移動案内されたとき、このラチェット機構37を作動させて、駆動軸35を一定角度回動し、繰出ベルト15を一横株並列分だけ後下方の苗取出ガイド34側へ繰出すように構成するものである。前記駆動軸35上にラチェットホイル65と、揺動力ムアーム66を設け、このカムアーム66に設けられる駆動爪67を該ラチェットホイル65に押圧させて係合させる。このカムアーム66を、リードカム軸32からアーム68、リンクロッド69を介して連動回動することにより、駆動爪67でラチェットホイル65を一定角度繰出側へ間欠的に回動することができる。このカムアーム66にはカム70が形成される。このラチェットホイル65の外周に弾発係合するストッパー用の従動爪71,72が、苗タンク16側部のブラケット73に枢支されている。カムアーム66によってラチェットホイル65を繰出側Kへ回動するときは、このカム70が従動爪72を外方へ押し外して、繰出側K方向の回動を許すように構成している。ラチェットホイル65が繰出側Kへ回動される毎に、これら従動爪71,72が係合して、このラチェットホイル65の回動を係上して、繰出ベルト15の繰出位置を固定し、正確な苗の分離及び苗の植付けを行わせる。
【0021】
このようなラチェット機構37において、このラチェットホイル65の回動角度を変更することによって繰出ベルト15の繰出側Kへの回動量を変えて、苗繰出量を多、少に変更可能に構成している。前記リンクロッド69先端の連動ピン74を、カムアーム66に形成の長穴75に係合させる。この長穴75は、カムアーム66の揺動軸心部である駆動軸35に対して略放射方向に向けて形成されて、この長穴75に沿って連動ピン74を移動して、この連動ピン74の駆動軸35の軸芯からのアーム長さを変更して位置決めすることができる。連動ピン74は、リンクロッド69を回動自在に連結すると共に、カムアーム66の長穴75に対する嵌合連結位置を移動可能にして、ナット76で締付けて位置決め固定することができる。前記苗移植機において、水稲苗移植機の仕様では、この連動ピン74の移動A3,B3によって、カムアーム66のアーム長比が変るため、水稲苗では苗繰出量が少なくなり、イグサ苗では多くなる。このようなリンクロッド69のアーム68に対する連結リンクピン77部は、スプリング78を介して弾発回動のアーム79が連結されて、前記カムアーム66を常時復帰側へ回動付勢している。これらラチェットホイル65と、カムアーム66、駆動爪67、及び各従動爪71,72等の関係構成、及び関係位置を変えることなくして、連動ピン74の長穴75に対する位置移動によって、苗繰出ベルト15の回動量を変更することができ、構成、及び操作を簡単化することができる。
【0022】
このような繰出ベルト15は、苗タンク16の運転席20側に向けて延設した操作レバー80の操作によって、リンクロッド81を介して前記アムアーム66を揺動回動するように連動構成している。運転者が運転席20側から操作レバー80操作しながら、繰出ベルト15を手動回動して苗補給することができ、苗植伝動が停止されている場合や、苗タンク16の横移動の途中位置等で苗補給するとき、苗補給を容易に行うことができる。
【0023】
前記苗タンク16の苗載部上方には、苗押え杆82を苗浮き上がり防止の苗押さえ状態と非作用状態とに上下回動可能に設けている。この苗押え杆82は、6条植形態の苗タンク16において、2条植毎の苗タンク16を一体にして3組に構成して、各組毎の苗押え杆82を回動可能にして、苗タンク16下端横側部の支持ステー83に対して支持軸84で枢支させる。各苗押え杆82の支持軸84の一側端にはストッパアーム85を設けて、支持ステー83の係上部86,87に係合させることができ、この苗押え杆82の起立位置、又は倒伏位置を係上する。この各支持軸84の左右端部を軸受するソケット88,89を各支持ステー83に取付ける。苗タンク16の左右両端部に取付けるソケット88は、一側端に鍔部90、及びボルト部91を形成して、支持ステー83に形成のソケット穴に嵌合させて、各支持ステー83の外側からナット92で締め付けて取付ける。又、苗タンク16幅中間部の支持ステー83には、単なる円筒状のソケット89を一体に取付ける。左右両側の苗タンク16の支持軸84は、これらソケット88,89にわたって嵌合支持し、中間部の苗タンク16土に取付けられる支持軸84は、両端部を同形態のソケット89間にわたって嵌合支持させる。従って、これら左右両側部はソケット88を共用して取付けることができると共に、中間部はソケット89を共用して取付けることができる。
【0024】
また、支持ステー83には、苗タンク16の苗取出口39部上方位置に、苗を苗植付具17の作動軌跡Aから離れる方向に傾斜させる苗抵抗棒110が設けられている。該苗抵抗棒110は、チョウボルト111にて固定及び回動自在の支持体112に固定されており、このイグサ苗移植機でイグサ苗を移植する時は、チョウボルト111を緩めて苗抵抗棒110が案内溝113の上端に位置する状態とし、チョウボルト111を締めて固定する。すると、硬いイグサ苗を少しだけ後方に傾斜させる状態となって、適正なイグサ苗の植付け作業が行える。そして、このイグサ苗移植機で水稲苗を移植する時は、チョウボルト111を緩めて苗抵抗棒110が案内溝113の下端に位置する状態とし、チョウボルト111を締めて固定する。すると、柔らかな水稲苗を大きく後方に傾斜させて苗の葉が苗植付具17と干渉して傷むことを防止でき、適正な水稲苗の植付け作業が行える。
【0025】
次に、苗タンク16の繰出ベルト15の駆動を部分的に停止する各条クラッチ93の構成を説明する。
6条植え用のイグサ苗移植機であるから、苗タンク16は6つの苗載部16-1,16-2,16-3,16−4,16−5,16−6にて構成されており、各苗載部16−1〜16−6は仕切壁部16aにて仕切られた構成となっている。
【0026】
前記繰出ベルト15は、その駆動軸35に装着されて各条クラッチ93を介して回転されるベルト駆動ロール94と上部の遊転軸36に外嵌合されたベルト従動ロールとに巻き掛けて設けられ、ベルト駆動ロール94の回転にてその上に載置されたイグサマット状苗を一株分の幅だけ下方に送る構成としている。
【0027】
そして、各条クラッチ93の従動クラッチ爪部93aが設けられた従動体95は、内部に従動クラッチ爪部93aが設けられ、その外形は円筒形状に構成されていて、前記ベルト駆動ロール94の側端部の内部に嵌合して固定された構成となっている。そして、該従動体95は、仕切壁部16aの側方から嵌め込んで繰出ベルト15の下方部で仕切壁部16aにボルト96にて固定した鉄製のコ字状軸受け体97にて回転自在に支持する構成としている。尚、軸受け体97の仕切壁部16a側壁に接当する部位は、該仕切壁部16aと繰出ベルト15との間の空間部に配置された構成となっており、各条クラッチ93部の支持構成を狭い仕切壁部16aに構成できるものとなっている。
【0028】
一方、各条クラッチ93の駆動クラッチ爪部93bは、駆動軸35と一体回転するように該駆動軸35上でスライド自在に設けられた駆動体98の先端部に形成されている。そして、該駆動体98は、別途設けられた操作レバーの操作にて作動する操作ワイヤー99の先端部に連携された作動アーム100にて、軸方向に移動して駆動クラッチ爪部93bが従動クラッチ爪部93a部に係合する状態と離れる状態とに切換えられる構成となっている。従って、上記の操作レバーにて、各条クラッチ93は、各々独立して駆動状態と非駆動状態とに切換えられ、苗タンク16の各苗載部の繰出ベルト15は各別に苗送り作動状態と非作動状態とに切換えられる。
【0029】
最後に、図12及び図13に基づいて他の実施例として、各縦植付フレーム31の構成について説明する。
苗植フレーム14内に左右方向に設けた駆動軸46の駆動ギヤ120とカウンター軸121に従動ギヤ121とを噛合させ、該カウンター軸121に設けた駆動スプロケット122と苗植付具17の駆動軸56に設けた従動スプロケット57との間に伝動チェーン58を設けて、苗植付具17の駆動軸56に回転動力を伝達する構成としている。
【0030】
このように長い距離を伝動チェーン58にて動力を伝達する構成とすると、チェーンが弛むので、伝動チェーン58の上方及び下方に鋼鈑製バネ材の上チェーンスラッシュ130及び下チェーンスラッシュ131が設けてあり、チェーンを張る構成としている。そして、特に、鋼鈑製バネ材の中チェーンスラッシュ132を回転している伝動チェーン58の内側に設けたので、上下に位置して回転する伝動チェーン58が互いに干渉することが防止でき、且つ、上下幅を狭く構成した縦植付フレーム31内に長い伝動チェーン58を配置できるので、苗取出ガイド34を低い位置にして圃場面に近づけることができ、苗植付具17が苗取出ガイド34の苗取出口39から一株分の苗を取出して圃場に植付けるまでの距離が短くなり、苗植付具17による苗の植付けが適正に行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】イグサ苗移植機の全体側面図である。
【図2】イグサ苗移植機の全体平面図である。
【図3】繰出ベルト駆動部の拡大側面図と、その一部の断面図である。
【図4】カムアーム操作連動部の側面図である。
【図5】苗押え杆部の平面図と、その一部の拡大断面図である。
【図6】苗押え杆部の側面図である。
【図7】要部の平断面図である。
【図8】要部の側断面図である。
【図9】縦植付フレーム後部の平断面図である。
【図10】苗タンクの拡大平面図である。
【図11】苗タンクの拡大平断面図である。
【図12】他の例を示す縦植付フレームの平断面図である。
【図13】他の例を示す縦植付フレームの側断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 乗用型走行車体
11 昇降リンク
12 苗植装置
14 苗植フレーム
17 苗植付具
29 PTO軸
31 縦植付フレーム
34 苗取出ガイド
39 苗取出口
48 縦回転軸
58 伝動チェーン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗用型走行車体(10)の後部に昇降リンク(11)を介して苗植装置(12)を昇降自在に装着し、乗用型走行車体(10)側からPTO軸(29)にて該苗植装置(12)の苗植フレーム(14)に駆動力を伝達し、苗植フレーム(14)に複数の縦植付フレーム(31)を後方に向けて延出し、該複数の各縦植付フレーム(31)の各後端部に苗植付具(17)を装着し、該各苗植付具(17)が各縦植付フレーム(31)の上部に配置された苗取出ガイド(34)に形成した苗取出口(39)から一株分の苗を取出して圃場に移植する構成とした苗移植機において、各縦植付フレーム(31)内に前後方向に縦回転軸(48)と伝動チェーン(58)とを設けて苗植付具(17)へ駆動力を伝達する構成としたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
苗取出ガイド(34)の下方に縦回転軸(48)を配置したことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項1】
乗用型走行車体(10)の後部に昇降リンク(11)を介して苗植装置(12)を昇降自在に装着し、乗用型走行車体(10)側からPTO軸(29)にて該苗植装置(12)の苗植フレーム(14)に駆動力を伝達し、苗植フレーム(14)に複数の縦植付フレーム(31)を後方に向けて延出し、該複数の各縦植付フレーム(31)の各後端部に苗植付具(17)を装着し、該各苗植付具(17)が各縦植付フレーム(31)の上部に配置された苗取出ガイド(34)に形成した苗取出口(39)から一株分の苗を取出して圃場に移植する構成とした苗移植機において、各縦植付フレーム(31)内に前後方向に縦回転軸(48)と伝動チェーン(58)とを設けて苗植付具(17)へ駆動力を伝達する構成としたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
苗取出ガイド(34)の下方に縦回転軸(48)を配置したことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−5714(P2008−5714A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176830(P2006−176830)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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