説明

苗移植機

【課題】 本発明は、作業条件等に拘らず、苗取出口へ適正な苗量(苗本数)を精度良く供給し、適正な苗量で圃場に苗を植え付けることができるようにすることを課題とする。
【解決手段】 苗の端部を受ける苗受枠81と、該苗受枠81に備える苗取出口78と、苗受枠81の上側で該苗受枠81に沿って左右移動して苗を前記苗取出口78に供給する苗載台80と、苗載台80の左右移動端で該苗載台80上の苗を苗受枠81側へ移送する苗移送装置79と、該苗移送装置79による苗の移送量を変更する苗移送量変更装置135と、苗取出口78に供給された苗を植付ける苗植付装置とを設けた苗移植機において、苗載台80上の苗の量を判別する苗量センサ140を設け、該苗量センサ140の検出に基づいて苗載台80上の苗の量が多いとき苗移送装置79の苗の移送量が小さくなるように苗移送量変更装置135を制御する苗移送量制御装置を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
苗移植機の一例である乗用型田植機において、苗の端部を受ける苗受枠と、該苗受枠に備える苗取出口と、苗受枠の上側で前記苗受枠に沿って左右移動して苗を前記苗取出口に供給する苗載台と、苗載台の左右移動端で該苗載台上の苗を苗受枠側へ移送するアクチュエータで構成される苗移送装置と、苗取出口に供給された苗を植付ける苗植付装置と、苗移送装置の移送方向への苗載台上の苗の移動量を検出する苗移動量センサを設け、苗移動量センサの検出に基づいて苗移送装置が苗を所定の移送量で移送するよう苗移送装置の苗移送量を制御する制御装置を設けたものが知られている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−197849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記背景技術によると、床部が軟弱な苗を移送するときや苗載台上の苗の重量が大きいとき、苗載台上で苗が圧縮され、苗取出口に供給される植付一株あたりの苗量(苗本数)が多くなるおそれがある。また、苗移送装置の作動速度が速いと、苗移送装置の苗の移送にスリップが生じて実際の苗の移送量が小さくなる傾向がある。
【0004】
そこで、本発明は、作業条件等に拘らず、苗取出口へ適正な苗量(苗本数)を精度良く供給し、適正な苗量で圃場に苗を植え付けることができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、苗の端部を受ける苗受枠(81)と、該苗受枠(81)に備える苗取出口(78)と、苗受枠(81)の上側で該苗受枠(81)に沿って左右移動して苗を前記苗取出口(78)に供給する苗載台(80)と、苗載台(80)の左右移動端で該苗載台(80)上の苗を苗受枠(81)側へ移送する苗移送装置(79)と、該苗移送装置(79)による苗の移送量を変更する苗移送量変更装置(135)と、苗取出口(78)に供給された苗を植付ける苗植付装置(37)とを設けた苗移植機において、苗載台(80)上の苗の量を判別する苗量センサ(140)を設け、該苗量センサ(140)の検出に基づいて苗載台(80)上の苗の量が多いとき苗移送装置(79)の苗の移送量が小さくなるように苗移送量変更装置(135)を制御する苗移送量制御装置(138)を設けた苗移植機とした。
【0006】
従って、請求項1に記載の苗移植機は、苗載台(80)上に苗を搭載した状態で、該苗載台(80)を苗受枠に沿って移動させて苗を所定の苗取出口(78)へ一株分ずつ供給し、苗植付装置(37)が前記苗取出口(78)へ供給された一株分の苗を取り出して圃場に移植する。苗移送装置(79)により、苗載台(80)の左右移動端で該苗載台(80)上の苗を苗受枠(81)側へ移送する。このとき、苗移送量制御装置(138)により、苗量センサ(140)の検出に基づいて苗載台(80)上の苗の量が多いと、苗移送装置(79)の苗の移送量が小さくなるように苗移送量変更装置(135)を制御する。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、苗移送装置(79)の移送方向への苗載台(80)上の苗の移動量を検出する苗移動量センサ(137)を設け、苗移送量制御装置(138)は、苗移動量センサ(137)の検出に基づいて苗移送装置(79)が苗を所定の移送量で移送するよう苗移送量変更装置(135)を制御する構成とした請求項1に記載の苗移植機とした。
【0008】
従って、請求項2に記載の苗移植機は、請求項1に記載の苗移植機の作用に加えて、苗移動量センサ(137)の検出に基づいて苗移送装置(79)が苗を所定の移送量で移送する。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、苗植付装置(37)の作動速度を判断する植付速度センサ(24a)を設け、苗移送量制御装置(138)は、植付速度センサ(24a)の検出に基づいて苗植付装置(37)の作動速度が高速のとき苗移送装置(79)の苗の移送量が大きくなるように苗移送量変更装置(135)を制御する構成とした請求項1又は2に記載の苗移植機とした。
【0010】
従って、請求項3に記載の苗移植機は、請求項1又は2に記載の苗移植機の作用に加えて、苗植付装置(37)の作動速度が高速のとき苗移送装置(79)の苗の移送量が大きくなる。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、苗載台(80)上の適宜の位置で苗が減少したことを検出する苗減少センサ(136)を苗移動量センサ(137)より苗移送装置(79)の移送方向上手側に設け、苗移送量制御装置(138)は、苗減少センサ(136)により苗が減少したことを検出したとき苗移動量センサ(137)の検出に基づいて苗移送量変更装置(135)を制御しない構成とした請求項2に記載の苗移植機とした。
【0012】
従って、請求項4に記載の苗移植機は、請求項2に記載の苗移植機の作用に加えて、苗移動量センサ(137)の位置より移送方向下手側まで苗が減少して該苗移動量センサ(137)が苗の移送量を検出できないときに、該苗移動量センサ(137)に基づいて苗の移送量を制御するようなことを防止する。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、苗移動量センサ(137)を外周面が苗に接触することにより回転する回転角度検出型のセンサで構成し、苗移送装置(79)の苗の最大移送量よりも苗移動量センサ(137)の外周長が大きくなるよう構成した請求項2又は4に記載の苗移植機とした。
【0014】
従って、請求項5に記載の苗移植機は、請求項2又は4に記載の苗移植機の作用に加えて、苗移送装置(79)の1回の苗の移送で苗移動量センサ(137)が1回転以上するようなことがなく、苗の移送量を誤検知するのを防止できる。
【0015】
また、請求項6に係る発明は、苗量センサ(140)により苗載台(80)に補給された苗の枚数を計数する構成とした請求項1乃至5の何れかに記載の苗移植機とした。
従って、請求項6に記載の苗移植機は、請求項1乃至5の何れかに記載の苗移植機の作用に加えて、苗量センサ(140)により使用する苗の枚数を計数できる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によると、苗載台(80)上の苗の量が多いとき、当該苗の自重で当該苗が圧縮されて苗の密度が高くなるが、苗移送装置(79)の苗の移送量を小さくなるように制御するので、苗取出口(78)に供給される植付一株あたりの苗量(苗本数)を適正にすることができ、一株あたりの苗本数を適正にして苗を植え付けることができる。
【0017】
請求項2に係る発明によると、請求項1の発明の効果に加えて、苗移動量センサ(137)により実際に苗が移送される移送量に基づいて苗移送装置(79)の苗の移送量を制御するので、苗の移送量の適正化が図れる。
【0018】
請求項3に係る発明によると、請求項1又は2の発明の効果に加えて、苗植付装置(37)の作動速度が高速のとき、それに伴って苗移送装置(79)の作動が高速になって苗移送装置(79)の苗の移送にスリップが生じ、実際の苗の移送量が小さくなるのを防止し、苗の移送量の適正化が図れる。
【0019】
請求項4に係る発明によると、請求項2の発明の効果に加えて、苗移動量センサ(137)の位置より移送方向下手側まで苗が減少して該苗移動量センサ(137)が苗の移送量を検出できないときに、該苗移動量センサ(137)に基づいて苗の移送量を制御するようなことを防止し、苗の移送量の制御を適正に行える。
【0020】
請求項5に係る発明によると、請求項2又は4の発明の効果に加えて、苗移送装置(79)の1回の苗の移送で苗移動量センサ(137)が1回転以上するようなことがなく、苗の移送量を誤検知することなく精度良く検出できる。
【0021】
請求項6に係る発明によると、使用する苗の枚数を計数するのを苗量センサ(140)で兼用して行える。従って、苗の使用枚数を、苗量センサ(140)を兼用して簡単な構成で検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。
図1及び図2は、6条植えの施肥装置付きの乗用型の田植機(1)を示すものであり、この乗用型の田植機(1)は、走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介して苗植付部(4)が昇降可能に装着され、走行車体(2)の後部上側に施肥装置(5)の本体部分が設けられている。
【0023】
走行車体(2)は、駆動輪である各左右一対の前輪(6)及び後輪(7)を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース(8)が配置され、そのミッションケース(8)の左右側方に左右一対の前輪ファイナルケース(9)が設けられ、該前輪ファイナルケース(9)の変向可能な左右一対の前輪支持部から外向きに突出する前輪車軸に前輪(6)が取り付けられている。また、ミッションケース(8)の背面部にメインフレーム(10)の前端部が固着されており、そのメインフレーム(10)の後端左右中央部に前後水平に設けた左右一対の後輪ローリング軸を支点にして左右一対の後輪ギヤケース(12)がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース(12)から外向きに突出する後輪車軸に後輪(7)が取り付けられている。
【0024】
原動機となるエンジン(13)はメインフレーム(10)の上に搭載されており、該エンジン(13)の回転動力が、ベルト伝動装置(14)を介して正逆転切替可能な伝動装置となる油圧式の前後進無段変速装置(15)へ入力される。そして、該前後進無段変速装置(15)からの出力がミッションケース(8)に伝達される。ミッションケース(8)に伝達された回転動力は、該ミッションケース(8)内の伝動分岐部で走行用伝動経路と植付用伝動経路とに分岐して伝動され、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース(9)に伝達されて前輪(6)を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース(12)に伝達されて後輪(7)を駆動する。また、外部取出動力は、取出伝動軸(17)を介して走行車体(2)の後部に設けた植付クラッチケース(18)に伝達され、それから植付伝動軸(19)によって苗植付部(4)へ伝動されるとともに、施肥伝動機構によって施肥装置(5)へ伝動される。
【0025】
エンジン(13)の上部はエンジンカバー(20)で覆われており、その上に座席(21)が設置されている。座席(21)の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー(22)があり、その上方に前輪(6)を操向操作するハンドル(23)が設けられている。ハンドル(23)の右側には、前記前後進無段変速装置(15)を操作する前後進変速レバー(24)が設けられている。前後進変速レバー(24)の操作位置を検出する前後進変速レバーセンサ(24a)を設け、この前後進変速レバーセンサ(24a)は、後述する苗植付装置(37)の作動速度を判断する植付速度センサとなる。また、前後進変速レバー(24)のグリップ部には、苗植付部(4)の昇降操作及び作動の入切操作がおこなえる植付昇降操作スイッチが設けられている。エンジンカバー(20)及びフロントカバー(22)の下端左右両側は水平状のフロアステップ(26)になっている。また、走行車体(2)の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台(27)が設けられている。
【0026】
昇降リンク装置(3)は、1本の上リンク(70)と左右一対の下リンク(71)を備えている。これらの上リンク(70)及び下リンク(71)は、その基部側がメインフレーム(10)の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム(72)に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク(73)が連結されている。そして、縦リンク(73)の下端部に苗植付部(4)に回転自在に支承された連結軸(74)が挿入連結され、連結軸(74)を中心として苗植付部(4)がローリング自在に連結されている。メインフレーム(10)に固着した支持部材と上リンク(70)に一体形成したスイングアームの先端部との間に昇降油圧シリンダ(76)が設けられており、該昇降油圧シリンダ(76)を油圧で伸縮させることにより、上リンク(70)が上下に回動し、苗植付部(4)がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0027】
苗植付部(4)は8条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース(77)、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口(78)に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口(78)に供給すると苗送りベルト(79)により苗を下方に移送する苗載台(80)、苗取出口(78)に供給された苗を苗植付具(37a)で圃場に植付ける苗植付装置(37)等を備えている。
【0028】
苗載台(80)は、苗載面の裏側でその裏面側下部に左右方向に設けた苗受枠となる横枠(81)に沿って左右動自在に支持されている。また、この苗載台(80)は、上下に延びる複数の仕切り壁部(80a)を備えており、該仕切り壁部(80a)により区分されて各条の苗載部(80b)が構成され、8条分の苗を搭載できる構成となっている。尚、前記横枠(81)に8条分の前記苗取出口(78)が設けられている。伝動ケース(77)の左右両側から突出して該伝動ケース(77)内の動力でリードカム(82a)を横方向に左右往復移動させるリードカム軸(82)が設けられ、リードカム(82a)と苗載台(80)とが連結されていて、リードカム軸(82)が駆動回転することにより苗載台(80)が左右往復動するようにしている。リードカム軸(82)は、その一端部(左端部)が伝動ケース(77)で支持されている。
【0029】
苗載台(80)の裏面側の上下には、左右方向に長い上側左右移動用案内部材(120)及び下側左右移動用案内部材(121)がそれぞれ固着して設けられている。上側左右移動用案内部材(120)は、側面視で下側が切り欠かれた断面形状に形成されており、下側から支持される回転自在の支持ローラ(122)が係合している。この支持ローラ(122)は、上側左右移動用案内部材(120)に沿う適宜位置(4か所)に複数個(4個)設けられ、伝動ケース(77)の上側に固着された苗載台支持フレーム(123)の上部に取り付けられている。下側左右移動用案内部材(121)は、横枠(81)に上側から載る。従って、苗載台(80)は、支持ローラ(122)と横枠(81)とにより左右方向に移動可能に支持されている。
【0030】
苗載台支持フレーム(123)には苗載台(80)が左右移動端に到達したことを検出する左右各々の移動端センサ(131)を設け、該移動端センサ(131)は苗載台(80)の左右方向端部の裏面側に突出する仕切り壁部(80a)が当たって検出する構成となっている。
【0031】
苗送りベルト(79)は、駆動ローラ(84)と従動ローラ(85)に巻き掛けられている。駆動ローラ(84)は左右方向の苗送り駆動軸(86)と一体回転するように設けられている。苗送り駆動軸(86)は、各2条毎に設けられ、各々のラチェット機構(87)により、苗送りベルト(79)が苗送りする方向にだけ回転を伝達するようになっている。従って、苗送りベルト(79)が、苗載台(80)の左右移動端で該苗載台(80)上の苗を苗受枠(81)側へ移送する苗移送装置となる。
【0032】
苗送りベルト(79)の駆動機構は下記の構成となっている。すなわち、伝動ケース(77)の左右両側からそれぞれ突出して回転駆動する駆動側アーム(88)が設けられている。尚、伝動ケース(77)の右側の駆動側アーム(88)は、リードカム軸(82)を介して回転駆動する。また、苗送り駆動軸(86)の上側には左右方向の中継軸(89)が各2条毎に設けられ、それに従動側アーム(90)が取り付けられている。中継軸(89)と苗送り駆動軸(86)とは、各々第一アーム(91)並びに第二アーム(92)及びリンク(93)とからなるリンク機構(94)により伝動連結されている。
【0033】
苗載台(80)が左右移動行程の端部に到達すると、駆動側アーム(88)が従動側アーム(90)にその下側から当たって、中継軸(89)を所定角度回転させる。その回転がリンク機構(94)及びラチェット機構(87)を介して苗送り駆動軸(86)に伝達される。これにより、苗送りベルト(79)が所定量だけ作動する。尚、苗載台(80)が左右移動両端部でそれぞれ苗送り動力を伝達できるように、1個の駆動側アーム(88)に対して左右に2個の従動側アーム(90)が同一の中継軸(89)上に設けられている。駆動側アーム(88)が従動側アーム(90)から離れると、中継軸(89)に係止したスプリングの張力によって中継軸(89)及び従動側アーム(90)は駆動前の位置に戻る。
【0034】
尚、リンク機構(94)及びラチェット機構(87)は、右側2条分のものは苗載台(80)の右端部、中央2条分のものは右から3条目の苗載部(80b)の右端部、左側2条分のものは苗載台(80)の右端部に配置されている。中央2条分のリンク機構(94)及びラチェット機構(87)は、左右一方側(左側)に偏位する伝動ケース(77)の苗送り伝動部(77a)に対して左右他方側(右側)に偏位して配置されるので、苗載台(80)と伝動ケース(77)を前後に近づけながら、伝動ケース(77)に干渉しないようにできる。ラチェット機構(87)には、各々2条分の苗送りベルト(79)の駆動を入切する苗送りクラッチを備えている。従って、該苗送りクラッチを操作する苗送りクラッチワイヤ(132)が、ラチェット機構(87)から苗載台(80)の裏面側で該苗載台(80)に沿って設けられている。尚、苗送りクラッチワイヤ(132)の他端は、各2条毎の植付を入切する畦クラッチレバー(133)に連結されている。この畦クラッチレバー(133)は、走行車体(2)の後部に計3本設けられ、各々の畦クラッチレバーセンサ(133a)により操作位置を検出できる構成となっている。
【0035】
また、苗植付部(4)の苗載台(80)の前側には、横枠(81)を上下動させて苗植付装置(37)が苗取出口(78)で取り出す一株あたりの苗の量を変更する苗取り量変更レバー(134)を設けている。この苗取り量変更レバー(134)の操作位置を、苗取り量変更レバーセンサ(134a)が検出する構成となっている。
【0036】
駆動側アーム(88)は、伝動ケース(77)の苗送り伝動部(77a)の左右両側の適宜位置に左右各々2個ずつ設けられている。右外側の駆動側アーム(88)は、苗載台(80)が左右移動右端に移動したとき、右の中継軸(89)の右側の従動側アーム(90)に当たる。右内側の駆動側アーム(88)は、苗載台(80)が左右移動右端に移動したとき、中央の中継軸(89)の右側の従動側アーム(90)に当たると共に、苗載台(80)が左右移動左端に移動したとき、右の中継軸(89)の左側の従動側アーム(90)に当たる。左内側の駆動側アーム(88)は、苗載台(80)が左右移動左端に移動したとき、中央の中継軸(89)の左側の従動側アーム(90)に当たると共に、苗載台(80)が左右移動右端に移動したとき、左の中継軸(89)の右側の従動側アーム(90)に当たる。左外側の駆動側アーム(88)は、苗載台(80)が左右移動左端に移動したとき、左の中継軸(89)の左側の従動側アーム(90)に当たる。従って、計6個の従動側アーム(90)に対して、駆動側アーム(88)の個数を4個として数を削減させている。
【0037】
尚、左右各々の中継軸(89)における左右各々の従動側アーム(90)は、該中継軸(89)の左右中央部に配置しているが、左右中央の中継軸(89)における左右の従動側アーム(90)は、該中継軸(89)の左右両端部に配置している。これにより、左右移動で振り分けて伝動ケース(77)の左右両側(内側)の駆動側アーム(88)から左右中央の中継軸(89)へ動力を伝達することができると共に、左右内側の駆動側アーム(88)を左右の中継軸(89)へ動力を伝達するアームとして兼用できる。また、各中継軸(89)の左右の従動側アーム(90)を、各中継軸(89)において略左右対称な位置に配置でき、各2条毎で略左右中央に配置される後述する苗移動量変更モータ(135)による苗送り量の変更設定を高精度で行える。
【0038】
苗載台(80)の各条の苗載部(80b)の苗送りベルト(79)近くの適宜位置には、各々苗減少センサ(136)を設けている。この苗減少センサ(136)は、苗の有無を検出することにより、苗載台(80)上の適宜の位置で苗が減少したことを検出する。また、右から1条目、4条目及び6条目の苗載部(80b)の苗送りベルト(79)近くの適宜位置には、各々苗移動量センサ(137)を設けている。この苗移動量センサ(137)は、スプリング(138)で苗側(上側)に回動する側に付勢されたセンサ取付アーム(139)の先端に設けられ、外周面が苗の底面に接触して回転するローラ式であり、その回転角度を検出する回転角度検出型のセンサ(ポテンショメータ)を備え、苗送りベルト(79)の苗の移送方向への苗載台(80)上の苗の移動量を検出する。尚、後述する苗移動量変更モータ(135)による苗送りベルト(79)の苗の最大移送量よりも、苗移動量センサ(137)の外周長が大きくなるよう構成されている。
【0039】
該苗移動量センサ(137)は、回転角度を0度以上360度未満の角度値として検出し、苗送り作動の前後の角度値から苗の移動量を検出するセンサであるが、苗送り作動の前後で0度の角度値をまたいで検出した場合でも検出できるように、制御部(138)により、360度と苗送り作動前の角度値の差及び苗送り作動後の角度値と0度の差の両方の差を加算して演算するようにしている(演算式:(苗の移動量)={360度―(苗送り作動前の角度値)}+{(苗送り作動後の角度値)―0度})。これにより、角度値を検出するだけの簡単なセンサ(ポテンショメータ)で、苗の移動量を検出できる。
【0040】
また、苗移動量センサ(137)を苗送りクラッチに近い位置の条に設け、苗移動量センサ(137)の防護フレームを兼ねる後述する苗移送量変更モータ(135)のモータ支持フレーム(139)を、右から1条目、4条目及び6条目の苗載部(80b)の裏面側のみに設け、モータ支持フレーム(139)の内側に、苗送りクラッチワイヤ(132)を通して、モータ支持フレーム(139)が苗送りクラッチワイヤ(132)の防護フレームも兼ねた構成としている。
【0041】
苗移動量センサ(137)は、苗載部(80b)の左右中央に位置している。前記苗減少センサ(136)は、苗移動量センサ(137)を設けていない苗載部(80b)では該苗載部(80b)の左右中央に位置しているが、苗移動量センサ(137)を設けた苗載部(80b)では該苗載部(80b)の左右方向一側端に位置している。これにより、苗移動量センサ(137)を苗減少センサ(136)に優先して苗載部(80b)の左右中央に位置させて、苗の移動量を高精度で検出できるようにしている。各条の苗減少センサ(136)は、苗移動量センサ(137)より若干苗載台(80)に沿う上側位置に配置されている。
【0042】
また、苗移動量センサ(137)を設けた苗載部(80b)の苗送りベルト(79)より上側位置には、苗載部(80b)上の苗の量を判別する各々の苗量センサ(140)を設けている。この苗量センサ(140)は、横枠(81)から苗載台(80)に沿って苗1枚分上側の位置(横枠(81)から58cmの位置)に設けられ、その位置での苗の有無を検出することにより、苗載台(80)上の苗の量の大小を判別する。該苗量センサ(140)は、苗載部(80b)の左右中央に位置している。
【0043】
各2条毎の苗載部(80b)における左右中央の仕切り壁部(80a)の裏側には、2条毎に苗送りベルト(79)による苗の移送量を変更するための苗移送量変更モータ(135)を設けている。この苗移送量変更モータ(135)が、苗移送装置による苗の移送量を変更する苗移送量変更装置となる。苗移送量変更モータ(135)は、各2条毎の左右中央に配置されているので、苗送り量の変更を各2条毎に適正に精度良く行える。苗移送量変更モータ(135)のピニオン(135a)に噛み合って回動する扇形ギヤ(141)を設け、該扇形ギヤ(141)から連結ロッド(142)を介して中継軸(89)と一体回転する苗送り規制アームに連結している。尚、苗送り規制アームに設けた長孔(143)に、連結ロッド(142)を連結している。従って、苗移送量変更モータ(135)を駆動して扇形ギヤ(141)を回動させ、苗送り規制アームを長孔(143)を介して強制的に上側へ回動させると、苗送り作動で長孔(143)により中継軸(89)を回動させることができる。そして、駆動側アーム(88)が従動側アーム(90)から離れると、中継軸(89)及び従動側アーム(90)は、スプリングの張力で、規制部材となる長孔(143)の端部に連結ロッド(142)の端部が当たる位置まで戻る構成となっている。前記苗送り規制アームは、右側2条分は右側の従動側アーム(90)、左側2条分は左側の従動側アーム(90)と兼用し、中央2条分は専用の中央苗送り規制アーム(144)で構成している。従って、左右の苗送り規制アームは各々外側の従動側アーム(90)となるため、連結ロッド(142)の着脱等のメンテナンスが行い易い。
【0044】
苗載台(80)の苗載面(80c)の上側には、マット苗の床部の上面に当たって該マット苗を苗載面(80c)側へ押圧する苗押え具(130)が設けられている。この苗押え具(130)により、マット苗を苗送りベルト(79)側に適度に押圧し、苗送りベルト(79)で確実に精度良くマット苗を移送できるようにしている。
【0045】
苗植付部(4)の下部には、中央2条分の苗植付位置を整地するセンターフロート(100)、及び左右それぞれ外側2条分の苗植付位置を整地するサイドフロート(101)が設けられている。これらのフロートであるセンターフロート(100)及びサイドフロート(101)を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、センターフロート(100)及びサイドフロート(101)が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置(37)により苗が植付けられる。各フロートは圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート(100)の前部の上下動が上下動検出機構により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ(76)を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部(4)を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0046】
施肥装置(5)は、肥料貯留タンク(粉粒体貯留タンク)(110)に貯留されている肥料(粉粒体)を各条の肥料繰出部(粉粒体繰出部)(63)によって一定量づつ繰り出し、その肥料を肥料移送ホース(粉粒体移送ホース)(111)でセンターフロート(100)及びサイドフロート(101)に取り付けた施肥ガイド(112)まで導き、施肥ガイド(112)の前側に設けた作溝体(113)によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に吐出するようになっている。モータ(114)で駆動のブロア(115)で発生させた圧力風を左右方向に長いエアチャンバ(116)を経由して肥料移送ホース(111)内に吹き込み、肥料移送ホース(111)内の肥料を苗植付部(4)側の肥料吐出口(施肥ガイド(112))へ強制的に移送するようになっている。施肥溝内に供給された肥料は、施肥ガイド(112)及び作溝体(113)の後方でセンターフロート(100)及びサイドフロート(101)に取り付けた覆土板(117)により覆土される。
【0047】
各条の施肥ガイド(112)及び作溝体(113)は、対応する苗植付装置(37)との位置関係(距離)を均一にして各条の肥効を均一化することが望ましいので、それぞれ前後方向において同じ位置(機体側面視で同じ位置)に配置される。同様に、各条の覆土板(117)も対応する施肥ガイド(112)、作溝体(113)及び苗植付装置(37)との位置関係を(距離)を均一にすることが望ましい。何故ならば、覆土板を前寄りに位置させて施肥ガイドに近づけ過ぎると、覆土板で押し寄せられる泥が施肥ガイド内に供給されて該施肥ガイドに泥が詰まるおそれがあり、覆土板を後寄りに位置させて施肥ガイドから離し過ぎると、覆土板で覆土するまでに圃場内の水等により施肥溝の底から肥料が若干浮き上がって、その結果覆土量が少なくなり、適切な肥効が得られなくなるおそれがあるからである。
【0048】
この乗用型の田植機(1)において、苗移動量センサ(137)は、移動端センサ(131)の検出に基づき、苗送りベルト(79)が前回の苗送り作動を完了させたタイミングから当回の苗送り作動が完了するまでの間、苗の移動量を検出し、検出した移動量を制御部(138)に入力する。制御部(138)は、入力された実移動量と苗取り量変更レバーセンサ(134a)から演算した設定移動量を比較し、実移動量が設定移動量より大きいときには次回の苗送り量が小さくなるように、逆に実移動量が設定移動量より小さいときには次回の苗送り量が大きくなるように、苗移送量変更モータ(135)へ出力し該苗移送量変更モータ(135)を作動させる。また、フロントカバー(22)に設けた苗送り量調節ダイヤル(145)により、該苗送り量調節ダイヤル(145)からの信号が制御部(138)に入力され、前記設定移動量を補正して変更できる構成となっている。畦クラッチレバーセンサ(133a)及び苗減少センサ(136)からの信号が制御部(138)に入力され、苗送りクラッチの伝動を切っているとき、又は各2条毎において何れか一方の苗減少センサ(136)により苗が減少したことを検出したとき、制御部(138)は、苗移送量変更モータ(135)へ出力して苗取り量変更レバーセンサ(134a)の検出に基づく基準位置に苗移送量変更モータ(135)を戻す。
【0049】
そして、苗量センサ(140)からの信号が制御部(138)に入力され、制御部(138)は、苗の量が多いとき(苗量センサ(140)の位置に苗があるとき)は設定移動量を小さく補正する。また、前後進変速レバーセンサ(24a)からの信号が制御部(138)に入力され、制御部(138)は、作業速度が速いときには設定移動量を大きく補正する。
【0050】
対応する2条の苗減少センサ(136)のうちの何れかの苗減少センサ(136)により苗が減少したことが入力されると、制御部(138)は、苗減少の警報を発すると共に、苗移動量センサ(137)の検出に拘らず、苗移送量変更モータ(135)へ出力して苗取り量変更レバーセンサ(134a)の検出に基づく基準位置に苗移送量変更モータ(135)を戻す。
【0051】
尚、制御部(138)は、全ての苗量センサ(140)がOFFからONになる回数を累計してカウントし、このカウント値を2倍して苗載台(80)に補給された概ねの苗の枚数を計数する構成としてもよい。これにより、作業者が苗の使用枚数を把握できたり、その使用枚数に応じて適正な苗枚数で植付作業が行えるように前記設定移動量を補正して苗送り量を変更したりすることができる。
【0052】
また、ハンドル(23)操作等に基づく機体旋回中でも苗移動量センサ(137)で苗の移動量を検出するようにしているので、更なる苗送り量の適正化が図れる。
尚、苗量センサ(140)の検出により苗の量が多いとき、センターフロート(100)の迎い角を前下がり側に補正する等して、苗植付部(4)の昇降制御の制御感度を敏感側に補正するようにしてもよい。また、苗量センサ(140)の検出により苗の量が多いとき、苗取り量変更レバー(134)を自動的に作動させる等して、苗取り量が多くなるように補正してもよい。
【0053】
また、植付昇降操作スイッチにより苗植付部(4)を非作動状態にしたとき、前後進変速レバーセンサ(24a)により前後進変速レバー(24)を中立位置に操作して走行を停止させたことを検出したとき、あるいは苗移動量センサ(137)で検出した苗の移動量が極端に大きいときは、苗移動量センサ(137)による苗の移動量の検出を行わない構成としてもよい。これにより、苗載台(80)への苗補給時に誤検出するようなことを防止できる。
【0054】
尚、苗移動量センサ(137)のセンサ取付アーム(139)の回動角度を検出し、この回動角度によって設定移動量を補正する構成とすれば、苗の重量ひいては苗の水分状況に応じて、実際の苗の移動量が適正となるように制御することができる。
【0055】
また、苗移動量センサ(137)、苗量センサ(140)及び苗移送量変更モータ(135)等を各条毎に設け、苗の移動量を各条毎に制御してもよい。
尚、この発明の実施の形態は乗用型の田植機(1)について記述したが、本発明は乗用型の田植機に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】田植機の側面図
【図2】田植機の平面図
【図3】苗載台の苗送り伝動構成を分かりやすく示す正面図
【図4】苗載台の苗移送量変更装置を分かりやすく示す断面側面図
【図5】苗載台の苗移動量センサを分かりやすく示す断面側面図
【図6】ブロック図
【符号の説明】
【0057】
1:田植機、24a:前後進変速レバーセンサ、37:苗植付装置、78:苗取出口、79:苗送りベルト、80:苗載台、81:横枠、135:苗移送量変更モータ、136:苗減少センサ、137:苗移動量センサ、138:制御部、140:苗量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗の端部を受ける苗受枠(81)と、該苗受枠(81)に備える苗取出口(78)と、苗受枠(81)の上側で該苗受枠(81)に沿って左右移動して苗を前記苗取出口(78)に供給する苗載台(80)と、苗載台(80)の左右移動端で該苗載台(80)上の苗を苗受枠(81)側へ移送する苗移送装置(79)と、該苗移送装置(79)による苗の移送量を変更する苗移送量変更装置(135)と、苗取出口(78)に供給された苗を植付ける苗植付装置(37)とを設けた苗移植機において、苗載台(80)上の苗の量を判別する苗量センサ(140)を設け、該苗量センサ(140)の検出に基づいて苗載台(80)上の苗の量が多いとき苗移送装置(79)の苗の移送量が小さくなるように苗移送量変更装置(135)を制御する苗移送量制御装置(138)を設けた苗移植機。
【請求項2】
苗移送装置(79)の移送方向への苗載台(80)上の苗の移動量を検出する苗移動量センサ(137)を設け、苗移送量制御装置(138)は、苗移動量センサ(137)の検出に基づいて苗移送装置(79)が苗を所定の移送量で移送するよう苗移送量変更装置(135)を制御する構成とした請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
苗植付装置(37)の作動速度を判断する植付速度センサ(24a)を設け、苗移送量制御装置(138)は、植付速度センサ(24a)の検出に基づいて苗植付装置(37)の作動速度が高速のとき苗移送装置(79)の苗の移送量が大きくなるように苗移送量変更装置(135)を制御する構成とした請求項1又は2に記載の苗移植機。
【請求項4】
苗載台(80)上の適宜の位置で苗が減少したことを検出する苗減少センサ(136)を苗移動量センサ(137)より苗移送装置(79)の移送方向上手側に設け、苗移送量制御装置(138)は、苗減少センサ(136)により苗が減少したことを検出したとき苗移動量センサ(137)の検出に基づいて苗移送量変更装置(135)を制御しない構成とした請求項2に記載の苗移植機。
【請求項5】
苗移動量センサ(137)を外周面が苗に接触することにより回転する回転角度検出型のセンサで構成し、苗移送装置(79)の苗の最大移送量よりも苗移動量センサ(137)の外周長が大きくなるよう構成した請求項2又は4に記載の苗移植機。
【請求項6】
苗量センサ(140)により苗載台(80)に補給された苗の枚数を計数する構成とした請求項1乃至5の何れかに記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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