説明

苗移植機

【課題】展開した植付装置を安定した操作姿勢によって確実に固定することができる折畳式多条植付用の苗移植機を提供する。
【解決手段】苗移植機は、複数の植付装置を機体に並列して搭載するとともに共通の植付主軸70を備え、この植付主軸70とともに外側端の植付装置が折畳み可能に構成され、上記外側端の植付装置に伝動する植付主軸70の折畳み可能な外側部を展開支持位置に固定するための規制部221aを形成したロックアーム221を設け、このロックアーム221は、その規制部221aが固定位置から解除位置に及ぶ範囲Aを揺動可能に軸支する軸支部を備え、固定位置においてその規制部221aと軸支部を植付主軸70の前側に上下に振り分けて配置したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗供給タンクと植付機構とによる植付ユニットを並列搭載し、外側端の植付ユニットを折畳み可能に構成した折畳式多条植付用の苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
苗供給タンクと植付機構とによる植付ユニットを並列搭載し、外側端の植付ユニットを折畳み可能に構成した苗移植機が知られている。例えば、特許文献1に示されるものは、後下がりの苗供給タンクとその下端後方で苗を受ける植付機構とによる植付ユニットを走行可能な機体に並列して搭載し、苗タンクの下端で共通伝動する植付主軸を備え、外側端の植付ユニットを植付主軸とともに折畳み可能に構成し、機体幅を縮小してコンパクトに格納することができる。
【0003】
また、植付主軸の折畳部を展開支持状態に固定するための規制部を形成したロックアームを設け、このロックアームは、その規制部について固定から解除に及ぶ範囲を揺動可能に軸支することにより、ロックアームの操作によって外側端の植付ユニットを展開固定して植付け稼動することができる。
【特許文献1】特開平10−295128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記ロックアームは、植付主軸に近接する必要から苗供給タンクと植付機構の下方に配置され、また、展開した植付ユニットを確実に固定するために大きな操作力を要することから、作業者は低位置のロックアームの操作のための不安定な作業を強いられるという問題があった。
【0005】
解決しようとする問題点は、展開した植付装置を安定した操作姿勢によって確実に固定することができる折畳式多条植付用の苗移植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、後下がりに傾斜する苗載部の下端後方でその苗を取出して植付けする植付装置を植付け条と対応して機体に並列して搭載するとともに、これら横並びの植付装置に共通伝動する植付主軸をその前端近傍に備え、外側端の植付装置を植付主軸とともに内側に折畳み可能に構成した苗移植機において、上記外側端の植付装置に伝動する植付主軸の折畳み可能な外側部を展開支持位置に固定するための規制部を形成したロックアームを設け、このロックアームは、その規制部が固定位置から解除位置に及ぶ範囲を揺動可能に軸支する軸支部を備え、固定位置においてその規制部と軸支部を植付主軸の前側に上下に振り分けて配置したことを特徴とする。上記ロックアームは、苗載部の下側で植付主軸の前側の開放空間に臨んで配置される。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記ロックアームは、固定位置においてその規制部から機体前側に突出するように屈曲してなる揺動操作用の把持部を備えることを特徴とする。上記ロックアームは、規制部に近接する把持部を介して規制部に効率よく操作力が作用する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の苗移植機は、ロックアームが植付主軸の前側の開放空間に臨んで配置されることから、作業者はロックアームを固定位置まで無理なく揺動操作することができる。
【0009】
請求項2の苗移植機は、請求項1の効果に加え、ロックアームの規制部に近接する把持部を介して規制部に効率よく操作力を作用することができるので、ロックアームを固定位置まで容易に操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2は本発明の適用例であるの田植機である苗移植機を表している。この苗移植機1は、車体2の後側に昇降リンク装置3を介して10条植の苗植付部4が昇降可能に装着され、車体2の後部上側に施肥装置5が設けられている。
【0011】
四輪駆動車両である車体2は、機体の前部にミッションケース10を配し、該ミッションケースの左右側方に設けた前輪ファイナルケース13,13に前輪14,14を取り付けるとともに、ミッションケース10の背面部にメインフレーム15の前端部を固着し、該メインフレームの後端部にローリング自在に支持された後輪ギヤケース19,19に主後輪20,20及び補助内後輪21,21、補助外後輪22,22を取り付けている。
【0012】
エンジン25はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジンの回転動力が、第一ベルト伝動装置及び第二ベルト伝動装置によりミッションケース10へ伝達される。ミッションケース10に伝達された回転動力は、該ケース内のトランスミッションにて変速された後、走行動力と作業動力とに分離して取り出される。そして、走行動力は、前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪14,14を駆動するとともに、後輪ギヤケース19,19に伝達されて後輪20,20を駆動する。また、作業動力は、作業伝動軸を介して車体2の右側後部に設けた植付クラッチケースに伝達し、それから植付伝動軸によって苗植付部4へ伝達するとともに、施肥伝動機構によって施肥装置5へ伝達する。
【0013】
エンジン25の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に操縦座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪14,14を操向操作するハンドル33が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は、その上を人が移動可能なメインステップ35になっている。また、メインステップ35の後部左右外側にはメインステップ35とほぼ同レベルの拡張ステップ36,36が設けられている。そして、この拡張ステップ36,36の外側下方に、昇降用の足掛け37,37が設けられている。さらに、メインステップ35及び拡張ステップ36,36の後側には、これらステップの後部高さとほぼ同レベルのリヤステップ及び補助リヤステップが設けられている。なお、補助リヤステップは、収納のため内側に折りたたみ可能になっている。
【0014】
昇降リンク装置3は、メインフレーム15の後端部に固定のリンクベースフレーム50に上リンク51及び下リンク52,52を回動自在に取り付け、これらリンクの後端部に縦リンク53を連結している。そして、縦リンク53の下端部から後方に突出する軸受部に苗植付部側に設けたローリング軸が回転自在に挿入連結され、苗植付部4がローリング軸を中心にしてローリング自在に装着されている。メインフレーム15と上リンク51に一体のスイングアーム57との間に設けた昇降油圧シリンダ56を伸縮させると、上リンク51及び下リンク52,52が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0015】
苗植付部4は、フレームを兼ねる伝動ケース60、苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ所定の苗取口に供給する苗載部80、苗取口に供給された苗を圃場に植付ける植付装置200,…、苗植付けに先行して泥面を整地するフロート210,…等を備えている。収納時の左右幅を縮小するために、苗載部80を含む苗植付部4の各部はその外側部分を内側に折りたためるようになっている。
【0016】
伝動ケース60は、左右中央部に位置する苗載部駆動ケース61の背面に中央配置すなわち左側から3番目のユニット伝動部62−3の前端部を固着し、また苗載部駆動ケース61の左右側面に第一連結パイプ63,63の内端部を固着し、その第一連結パイプ63,63の外端部にユニット伝動部62−2,62−4の前部内面を固着し、そのユニット伝動部62−2,62−4の前部外面に第二連結パイプ64,64の内端部を固着し、その第二連結パイプ64,64の外端部にユニット伝動部62−1,62−5の前部内面を固着している。伝動ケース60の上側に苗載部80が支持されていると共に、各ユニット伝動部62−1〜62−5の後部に支承されている植付駆動軸65,…の左右突出部に左側から1番目の植付装置200−1〜10番目の植付装置200−10が取り付けられている。
【0017】
車体2のミッションケース10より伝動される苗植付部駆動用動力が、伝動ケース60の入力部に伝動される。その回転動力が、苗載部駆動ケース61の下部を貫通してユニット伝動部62−2〜62−4の前部と第一連結パイプ63,63の内部に支承されているセンター部の植付軸69に伝えられ、更に、左側から2番目の畦クラッチ71−2〜4番目の畦クラッチ71−4によって植付軸69と伝動入・切可能なチエン72…を介してユニット伝動部62−2〜62−4の各植付駆動軸65,…へ伝動される。また、植付軸69の回転動力が、両外側位置の畦クラッチ71−1,71−5によって、第二連結パイプ64,64の内部とユニット伝動部62−1,62−5の前部に支承されているサイド部の植付主軸70,70に伝動入・切可能に伝えられ、更に植付主軸70,70からチエン72,72を介してユニット伝動部62−1,62−5の植付駆動軸65,65へ伝動される。
【0018】
また、植付軸69の回転は、後記苗縦送り装置101,…を駆動する苗縦送り駆動軸73と、苗載部80を左右移動させる横移動棒74とに伝動される。
【0019】
各畦クラッチ71,…は個別に入・切操作するようになっているので、植付条PL1〜PL10を2条づつの単位で植付け・非植付けを切り替えられる。外側2条分すなわち左側から1番目と5番目の畦クラッチ71−1,71−5を操作する畦クラッチレバー75−1,75−5は車体2に設けられ、中央6条分の畦クラッチ71−2〜71−4を操作する畦クラッチレバー75−2〜75−4は苗植付部4に設けられ、それぞれの操作レバーと畦クラッチのクラッチピン76,…とを操作ワイヤ77,…で結んでいる。
【0020】
苗載部80は、前側が上位となるよう傾斜して設けられており、仕切壁81,…によって各苗植付条ごとの左側から1番目の苗載部80−1〜10番目の苗載部80−10に区分されている。苗載部80は苗載面の裏面側で左右動自在に支持されている。その支持構造は、苗載面の裏面側下部に左右方向に設けた横枠82に係合摺接部材84,…を固着し(図5に図示)、該係合摺接部材をユニット伝動部62,…の上に設けた左右に長い苗受板83に左右に摺動自在に係合させていると共に、ユニット伝動部62−2,62−4に基部が支持された苗載部支持フレーム85に取り付けたローラ86,…を苗載面の裏面上部に固着した左右方向の断面コ字状の上部レール87に係合させている。前記横移動棒74の両端部に取り付けた連結部材74a,74aが横枠82に固着の取付部材88,88に連結させてあり(図9に図示)、横移動棒74が左右往復動することにより苗載部80も苗受板83に沿って左右往復動する。なお、各苗載面の上端部には、延長苗載せ部89,…が苗載面側へ回動可能に取り付けられている。
【0021】
前記苗受板83は、図5に示すごとく、係合摺接部材84,…が係合する断面長方形の基台部83aと、苗載部上の苗の下端面を受け止める断面L字状の本体部83bとを一体成形したものであり、各苗載部80に対応させて10箇所にコ字状に切り欠かれた苗取口90,…が形成されている。苗載部80が左右往復動することにより、各苗載部80の下端部に位置する苗がこの苗取口90,…に順次供給される。植付装置200の後記株挿具202が苗取口90を通過し、苗を一株分に分割して取り出す。また、図6に示すごとく、苗取口90の縁部左右側にゴム製の苗取ガイド91,91が取り付けられていると共に、苗取口90の縁部前側に株挿具202の先端軌跡に沿う形状に形成された金属線材製の背面ガイド92が取り付けられている。
【0022】
苗受板83の支持部の構造は下記のようになっている(図5参照)。すなわち、ユニット伝動部62,…に固着のブラケット94,…に苗受板上下動ガイドプレート95,…を取り付け、該ガイドプレートに対し上下に摺動自在に苗受板取付部材96,…を設け、さらに該取付部材96,…に苗受板83を取り付けている。また、ブラケット94,…には左右方向の苗取り量調節軸97が回転自在に嵌合しており、該苗取り量調節軸に固着した苗受板上下動アーム98,…の先端部が苗受板取付部材96,…にピン99にて連結されている。図示を省略した苗取り量調節レバーを用いて苗取り量調節軸97を回転させると、苗受板取付部材96,…と苗受板83が苗載部80と平行に上下移動し、それにより株挿具202による苗取り量が調節される。
【0023】
各苗載部80−1〜80−10の裏面側下部には、苗載部の下端部に位置する横1列分の苗が全て移植されると苗を下方に移送するベルト式の苗縦送り装置101,…がそれぞれ設けられている。この苗縦送り装置101は、図5及び図6に示すように外周部に小突起が形成された無端の苗送りベルト102を駆動ローラ103と従動ローラ104に張架し、引っ張りスプリング105によって従動ローラ104の回転軸104aを苗送りベルト102が張る方向に引っ張っている。駆動ローラ103が取り付けられているローラ駆動軸103aには駆動アーム107がラチェット機構108を介して取り付けられている。また、図8に示すように前記苗縦送り駆動軸73には苗縦送りアーム109,…が一体に取り付けられており、該苗縦送りアームの先端部にローラ110,…が支持されている。苗載部80が左右行程の端部に到達すると、駆動アーム107がローラ110に接当し、ローラ駆動軸103aが所定角度回転させられ、これによって苗送りベルト102が所定量だけ作動するようになっている。ローラ110が駆動アーム107から離れると、トルクスプリング111の張力によって駆動アーム107が駆動前の姿勢に戻る。また、前記畦クラッチ71を操作する操作具71aとワイヤ112を介して連動する作動停止部材113が設けられており、畦クラッチ71が「切」に操作されると、この作動停止部材113が従動ローラ104に係合して苗送りベルト102が送り作動しないようになる。
【0024】
各苗載部の上面側下部には、苗が浮き上がるのを防止する苗押え具115と、最下段に位置する苗の葉を受けて葉が下方に垂れ下がらないように持ち上げる抵抗棒116,…とが設けられている。苗押え具115は、仕切壁81,81に突設した支柱117,117に回動自在に支持されており、図5において実線で示す苗押え作用状態と同図において鎖線で示す苗押え非作用状態とに切り替えられるようになっている。
【0025】
この苗移植機1は、運搬時や格納時に苗植付部4の左右幅を縮小させるための構成が各所に施されている。まず、苗載部80の左右端部をりたたみむ構成について説明する(図6〜図10参照)。
【0026】
左側から3番目の苗載部80−3と4番目の苗載部80−4を仕切る仕切壁81−4は、内側の部位81aと外側の部位81bとに分割されており、内側の部位81aは中央部の苗載部80−4〜80〜8と一体に形成され、外側の部位81bは左外側3条の苗載部80−1,80−2,80−3と一体に形成されている。この仕切壁81−4は、仕切壁81−9を除く他の仕切壁よりも苗載面に対して高く形成されている。そして、内側と外側の両部位81a,81bの上端部に形成した筒状部120a,120b,…に1本の回動軸121を挿通して設け、この回動軸121を中心として左外側3条の苗載部80−1,80−2,80−3を上側内向きに反転させ、当該部分を左側から4番目乃至6番目の苗載部80−4,80−5,80−6の上に重なり合う状態に折りたたむようにしている。左側から5番目乃至7番目の仕切壁81−5,81−6,81−7に設けた支柱117,…の頂部には凹状の支柱受け122,…が固着されており、左外側3条の苗載部が折りたたまれたとき仕切壁81−1,81−2,81−3に設けた支柱117,…の頂部がこの支柱受け122,…に係合する。
【0027】
また、右から2番目の苗載部80−9と3番目の苗載部80−8を仕切る仕切壁81−9は、内側の部位81aと外側の部位81bとに分割されており、内側の部位81aは中央部の苗載部80−4〜80−8と一体に形成され、外側の部位81bは右外側2条の苗載部80−9,80−10と一体に形成されている。この仕切壁81−9は仕切壁81−4よりも更に苗載面に対して高く形成されている。そして、内側と外側の両部位81a,81bの上端部に形成した筒状部120a,120b,…に1本の回動軸121を挿通して設け、この回動軸121を中心として右外側2条の苗載部80−9,80−10を上側内向きに反転させ、当該部分を右から3番目と4番目の苗載部80−7,80−8の上に重なり合う状態に折りたたむようにしている。一番左側の仕切壁81−1の底面に凹状の支柱受け122が固着されており、右外側2条の苗載部が折りたたまれたときに一番右側の仕切壁81−11に設けた支柱117の頂部がこの支柱受け122に係合する。また、仕切壁81−8の設け支柱117の頂部と仕切壁81−10に設けた支柱117の頂部を補助支柱123で連結して、苗載部80−9,80−10を支える。
【0028】
なお、前記筒状部の配置に関し、内側の部位81aと対応する筒状部120aと外側の部位81bと対応する筒状部120bは上下3組に分けて配置され、上から120b,120a,120b,120a,120a,120bの順に並んでいる。また、上2組の筒状部120a,120b間には隙間がないが、最下部の筒状部120a,120bには隙間Sが設けられている。これは次の理由による。すなわち、苗受板83のL状本体部83bは側面視で鋭角になっているので、左外側3条の苗載部80−1,80−2,80−3及び右外側2条の苗載部80−9,80−10をそのままの位置では反転させることができず、L状本体部83bとの干渉を避けるために苗載部の傾斜に沿って隙間S分だけ押し上げた状態で上記苗載部を反転させるためである。
【0029】
図9における82は前記横枠で、この横枠は中央部の苗載部80−4〜80−8と左右外側部の苗載部80−1,80−2,80−3(或は80−9,80−10)の境界部近傍で中央部分82Aと外側部分82Bに分離している。そして、中央部分82Aの左右両端部に前記取付部材88が固着されていると共に、外側部分82Bの内端部に取付部材88に対向させて固定部材124が固着されている。固定部材124には左右に貫通する丸孔125が穿設され、また取付部材88には前記丸孔125の延長線上にねじ孔126が穿設されている。先端部にねじが切られた固定棒127を外側から固定部材124の丸孔125に挿入し、その先端ねじ部を取付部材88のねじ孔126に螺合させることにより、左右外側部の苗載部80−1,80−2,80−3(或は80−9,80−10)を中央部の苗載部80−4〜80−8に固定する。なお、固定棒127の適所に小径部127aが形成されており、左右外側部の苗載部を折りたたむに際して固定棒127をねじ孔126から引き抜くと、この小径部127aにノックピン128の先端が係合するため、固定棒127がそれ以上抜けないようになっている。小径部127aの外側の壁面はテーパ状になっているので、固定棒127を押し込むことはできる。図中の129はノックピン128を固定棒側に付勢するスプリングである。
【0030】
図10における131は苗載部の裏面上部に設けた横パイプで、この横パイプも中央部の苗載部80−4〜80−8と左右外側部の苗載部80−1,80−2,80−3(或は80−9,80−10)の境界部近傍で中央部分131Aと外側部分131Bに分離している。そして、中央部分131Aの中空部内端側に雄ねじ部材132が嵌装されている。先端部にねじ孔133が形成された固定棒134を外側から横パイプ131内に挿入し、そのねじ孔133を雄ねじ部材132に螺合させることにより、左右外側部の苗載部80−1,80−2,80−3(或は80−9,80−10)を中央部の苗載部80−4〜80−8に固定する。この固定棒134の抜落ち防止機構は、前記固定棒127のそれと同様で、スプリング136で付勢されたノックピン137を固定棒134の小径部134aに係合させるようになっている。
【0031】
左右外側部の苗載部を展開した状態では、中央部の苗縦送り装置101Aと左右外側部の苗縦送り装置101Bが伝動連結されるように構成されている(図6参照)。すなわち、中央部の苗縦送り装置101Aのローラ駆動軸103aAは、その内端部に駆動アーム107がラチェット機構108を介して取り付けられていると共に、外端部にクラッチ爪を備えた駆動クラッチ体140が一体に取り付けられている。駆動クラッチ体140には、外側部のローラ駆動軸103aBに取り付けた従動クラッチ体141が咬み合うようになっている。従動クラッチ体141は、外側部のローラ駆動軸103aBに一体回転するように嵌合し、かつ軸心方向に摺動可能で、スプリング142によって軸端側に付勢されている。したがって、駆動クラッチ体140,従動クラッチ体141の両クラッチ体を連結する際に、双方のクラッチ爪同士が突き合っても、従動クラッチ体141が逃げることができるので、駆動クラッチ体140,従動クラッチ体141の位相が合っていなくても無理なく連結すると共に、迅速に咬み合い状態になる。
【0032】
苗載部支持フレーム85は、図5に示すように、ユニット伝動部62−2,62−4に基部が固着された縦フレーム85a,85aの上部に横フレーム85bを水平に設け、該横フレームの左右端部に回動フレーム85c,85cを回動自在に設けた構成で、縦フレーム85a,85aの上端部に中央部の苗載部80−4〜80−8を支持するローラ86,86が取り付けられ、また回動フレーム85c,85cの先端部に左右外側の苗載部80−1,80−2,80−3(或は80−9,80−10)を支持するローラ86,86が取り付けられている。
【0033】
左右外側の苗載部を支持するローラ86は、図11に示すごとく、そのローラ軸86aが回動フレーム85cのローラ軸孔に軸方向に摺動自在に嵌合しており、ローラ軸86aに遊嵌するスプリング86bにて回動フレーム85cから離れる方向に付勢されローラ軸86aに挿通した割りピン86cによって抜止めされている。ローラ軸86aの端部には、指掛け86dが固着されている。この指掛け86dに指を掛けてローラ軸86aを下方に引き下げると、ローラ86が上部レール87のコ字状凹部から外れる。
【0034】
横フレーム85bと回動フレーム85cの連結部は、横フレーム85b側の軸85dに回動フレーム85c側の筒部85eが回動自在かつ軸方向に摺動自在に嵌合している。筒部85eには波状のカム85fが一体に形成されており、軸85dに直交させて挿通したピン85gがこのカム85fに接当するようにスプリング85hによって筒部85eが上向きに付勢されている。常時は、カム85fの凹部にピン85gが係合し、回動フレーム85cが左右側方を向く状態で安定するようになっている。その安定状態よりも回動フレーム85cが苗載部側に回動しないようにするストッパ85iがカム85fに固着されている。
【0035】
更に、前記外側2条部分の苗送りベルト作動停止用ワイヤ112の中間部が、回動フレーム85cの適所に固定されている。このため、左右外側の苗載部を支持するローラ86が上部レール87のコ字状凹部から外れた状態で苗載部の外側2条部分を折りたたむと、ワイヤ112に引かれて回動フレーム85cが後方に回動する。この時、ピン85gが波状のカム85fに沿って摺動するため、回動フレーム85cの回動は滑らかに行われる。
【0036】
次に、図12〜14に基づき、伝動ケース60の左右端折曲げ部の構造について説明する。第二連結パイプ64は、植付伝動ケース62−2(或は62−4)側の内側パイプ64Aと植付伝動ケース62−1(或は62−5)側の外側パイプ64Bとからなり、両パイプの接合部の上方に位置する前後方向の回動支点軸170を支点にして、内側パイプ64Aに対し外側パイプ64Bが上側に回動可能になっている。回動支点軸170は、その中央部が外側パイプ64Bの回動支点軸支持部171に穿設した回動支点軸挿通孔172に挿通され、その前後端部が内側パイプ64Aに固着した前後の連結プレート174,175にそれぞれ設けたベアリング176,176によって回転自在に支承されている。
【0037】
回動支点軸170の前後中央部には平面状の面取り部170aが形成されており、回動支点軸支持部171の上面側からねじ込んだ回動支点軸固定ボルト178の先端部を上記面取り部170aに係合させ、回動支点軸170を上下方向にガタつかないように固定している。また、連結プレート174,175の外面側からねじ込んだベアリング固定ボルト179,179によって、前記ベアリング176,176を固定することにより、回動支点軸170が左右方向にガタつかないようにしている。
【0038】
両パイプ64a,64bの接合部は、内側パイプ64A側のテーパ状凸部183と外側パイプ64B側のテーパ状凹部184が嵌合する構造になっている。接合部の下方に、ロックナット185a,185aにて内側パイプ64Aに螺着された左右一対の調節ボルト185,185が設けられており、この調節ボルトの頭部で外側パイプ64Bの内端面下部を受けている。調節ボルト185,185のねじ込み量を変更することにより、内側パイプ64Aに対する外側パイプ64Bの左右及び上下の傾きを調節することができる。
【0039】
第二連結パイプ64が真っ直ぐな状態では、内側パイプ64Aに基部が左右軸回り回動自在に支持されている固定ハンドル351に固着された固定用プレート188に、外側パイプ64Bにロックナット189aにて螺着された固定用ボルト189の頭部が当接することにより、内外両パイプ64A,64Bが離れないように固定する。
【0040】
上記状態から、固定ハンドル351を下側に回動させると、第二連結パイプ64の固定が解除される。その状態で、内側パイプ64Aに対し外側パイプ64Bを上側に90度折り曲げると、外側パイプ64Bに設けられているロックピン193の先端部が連結プレート174に形成されているロックピン穴174aに嵌り込み、その姿勢で第二連結パイプ64が固定される。
【0041】
植付主軸70は、第二連結パイプ64の折曲げ部の位置で内側部70Aと外側部70Bに分かれており、内側パイプ64Aと外側パイプ64Bが接合する状態では爪クラッチ194にて両部70A,70Bが連結され、第二連結パイプ64を折り曲げると、爪クラッチ194が外れて外側部70Bは外側パイプ64Bと共に回動するようになっている。爪クラッチ194は内側部70A側の爪194aと外側部70B側の爪194bとが一箇所でだけ噛み合う構成であるので、内側部70Aと外側部70Bを連結する際に爪クラッチ194の噛み合わせを誤り、外側2条すなわち左側から1番目と2番目の植付装置200−1,200−2(或は左側から9番目と10番目の植付装置200−9,200−10)の作動の位相がずれることが防止される。
【0042】
図16はフロート支持軸の分割部の構造を表す図である。フロート支持軸211は、センターフロート210C及びミッドフロート210M,210Mを支持する中央部分211Aと、サイドフロート210S,210Sを支持する左右端部分211B,211Bとからなり、両部にそれぞれ固着した断面U字状の連結具260,261を互いに係合させてある。連結具260,261は前後に長く成形されているので、植付深さレバー215の操作による中央部分211Aの回動が左右端部分211B,211Bへ確実に伝達される。また、この構成にすると、連結具260,261の内側に形成された前後に連通する空間部262を通って泥が後方に抜けるため、泥等を咬み込むことによる連結不良が生じない。
【0043】
伝動ケース60の左右端部を上側に回動させて折り曲げると、それに連動して折りたたみ部211B,211Bも上側に折りたたまれ、また伝動ケース60の左右端部を本体側に連結すると、それに連動して両部211A,211Bが連結される。このように、フロート支持軸211については折りたたみ時及び戻し時に操作を行わなくてもよいので、水田作業機全般の左右幅縮小作業の労力が軽減される。なお、フロート支持軸211を折りたたむ際には、植付深さレバー215を運搬位置すなわちフロート210,…が持ち上がる位置に操作して行う。この時、連結具260,261が回動支点軸170と平行になるようしてあるので、フロート支持軸211を折りたたんだときに連結具260,261が下方に突出せず邪魔にならない。
【0044】
上記苗移植機1は、以上の構成により、運搬時や格納時には次のようにして機体の両サイド2条ずつを折りたたんで左右幅を縮小する(図17)。
(1)補助ステップ、(2)固定具、肥料貯蔵部、施肥ホース、(3)苗載せ枠、(4)拡張ステップ、側部足掛け、(5)マーカ支持フレーム、線引きマーカ、サイドマーカ、等を事前に収納準備する。
(6)補助内後輪21,21補助外後輪22,22を内側にスライドさせる。
(7)左端部2条分の苗載部80を上側内向きに反転させると共に、右端部2条分の苗載部80を上側内向きに反転させ、苗載部80を折りたたむ。これに伴って、苗載部支持フレーム85の回動フレーム85c,85cが後方に回動させられる。
(8)苗載部駆動機構を作動させて、折りたたまれた苗載部80の中心が車体の左右中心になるようにする。
(9)係止具、被係止具164から外し、苗取り量調節軸の折りたたみ部分97B,97Bを外側に引き抜く。そして、連結解除状態維持レバー166を操作して、苗取り量調節軸97を連結解除状態にロックする。
(10)苗受板83の取外し部分83B,83Bを取り外す。
(11)伝動ケース60の第二連結パイプ64を中間部で上側に約90度折り曲げ、最外側のユニット伝動部62−1,62−5とそれに取り付けられている外側2条の植付装置200−1,200−2,200−9,200−10を上方へ回動させる。これに連動して、苗取り量調節軸の折りたたみ部分97B,97Bが上側に折りたたまれると共に、フロート支持軸211の左右端部分211B,211Bがサイドフロート210S,210Sごと上側に回動する。
【0045】
(ロックアーム)
苗移植機の苗植付部4は、苗載部80と植付装置200とを植付け条と対応して並列配置し、横並びの苗載部80の下端で共通伝動する植付主軸であるサイド部の植付主軸70を備え、外側端の植付装置200を植付主軸70とともに内側に折畳み可能に構成される。
【0046】
この折畳部には、その拡大側面図を図18に示すように、外側端の植付装置200に伝動する植付主軸70の外側部70Bを展開状態に固定するための規制部221aを形成したロックアーム221を設け、このロックアーム221は、その規制部221aの固定位置から解除位置に及ぶ範囲Aを揺動可能に軸支する軸支部223を備え、固定位置においてその規制部221aと軸支部223を植付主軸70の前側位置に上下に振り分けて配置する。また、ロックアーム221は、固定位置においてその規制部221aから機体前側に突出するように屈曲してなる揺動操作用の把持部224を形成する。
【0047】
上記構成のロックアーム221は植付主軸70の前側の開放空間に臨んで配置されることから、作業者はロックアーム221を固定位置まで無理なく揺動操作することができる。また、上記構成のロックアーム221は、規制部221aに近接する把持部224を介して規制部221aに効率よく操作力を作用することができるので、ロックアーム221を固定位置まで容易に操作することができる。
【0048】
(植付伝動ケース)
植付伝動ケース62については、部分破断により表した拡大側面図を図19に示すように、植付駆動軸65についてスプリング232の押圧力でライニング233を押し付けるブレーキ機構を後部カバー234に構成する。このブレーキ機構により、交換が容易な構成によって植込杆のシャクリを軽減することができる。
【0049】
(植付け深さ調節)
フロート210には、要部拡大側面図を図20に示すように、高さを変更するアクチュエータとしてのモータ241を取付け、ダイヤルで高さ設定可能に構成する。また、図21の側面図に示すように、マグネットスイッチによる折畳み牽制スイッチ242を固定側に設け、可動側に対応してマグネット243を取付ける。このスイッチ信号により、折畳んだ時に最深の高さ位置に制御して展開時に噛み合いやすくすることができ、その結果、深さレバーが不要となり、また、操作が1つ減ることにより折畳みが容易となる。
【0050】
(接近センサー)
苗植付部4には、その後部に後ろ向きに接近センサー251を設け(図1、図2参照)、移動物体を検出した場合は、図22のシステム構成図に示すように、植付クラッチモータ252によって苗植付部4の稼動を停止するとともに、上下動作も停止するように、制御部Cを構成する。このようにして、苗植付部4の近傍に人がいる場合に、その安全を確保することができる。
【0051】
(マーカ)
メカ式マーカの操作装置について、要部拡大側面図を図23に示すように、マーカを収納するカムを引っ張るためのケーブル253を追加する。レバーはステップの畦クラッチレバー横に設ける。このレバー操作により、苗植付部4を上げなくてもマーカを収納することができるので、苗植付部4を上げないと収納できないといとう従来の問題が解消され、植付け作業中であっても、必要に応じてマーカを収納して作業をすることができる。
【0052】
(苗箱式苗移植機)
次に、植付部のピッチング調節機構について説明する。
まず、ピッチング調節機構の適用対象となる苗カップ供給による苗箱式苗移植機の例について、新たに対応符号を付した図24〜図31の図面に基づき説明する。
【0053】
本発明を実施する苗移植機1は、8条植えの施肥苗移植機であって、車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、車体2の後部には施肥装置5の肥料ホッパ5aと、各条ごとに肥料を繰り出す肥料繰出装置5bが配設されている。
【0054】
車体2は、駆動回転する左右一対の操向可能な前輪6,6と駆動回転する左右一対の後輪7,7を備え、前後フレーム8上の前側にミッションケース9、その後側にエンジンEが搭載され、エンジンEの回転動力は、第一ベルト伝動装置10、第二ベルト伝動装置11を介してミッションケース9内に伝動されるようになっている。そして、ミッションケース9内のミッションで変速された動力が前輪6,6及び後輪7,7に伝達されると共に、伝動軸9a、中間ギヤケース9b、伝動軸9cを介して苗植付部4に伝動される。車体2の前側には前輪6,6を操向操舵するステアリングハンドル12が設けられ、また、該ハンドル12の後側には操縦者が着座する操縦座席13が設置されている。14はステップフロア、15は予備苗載部、16は線引きマーカ、17は噴霧用水タンクを示す。
【0055】
また、L1はミッションを切り替えるチェンジレバー、L2は変速レバー、L3は植付部の伝動入・切及び植付部を昇降させる植付昇降レバー、L4は植付部の作業状態と非作業状態とを切り替えるフィンガアップレバー、L5は植付部昇降制御の感度を調節する副感度調節レバー、L6は植付部の下降を規制する下降ロックレバー、Dは対地昇降制御の感度を調節する感度調節ダイヤルである。
【0056】
苗植付部4は、8条植えの構成で、昇降用油圧シリンダ26によって昇降用油圧(電磁)バルブ27を介して上下に昇降する構成であり、隣接する2条づつで共用の後下がりに傾斜した上下2段の苗箱供給部30,30…が左右並列に4組設けられ、これら各組の苗箱供給部の後端部に苗箱主搬送部31,31…が接続されて苗箱搬送路が構成されている。各苗箱主搬送部31は、上下2段の苗箱供給部30,30から順に1個づつ供給される苗箱を前半は下向きに搬送し、途中で搬送方向を徐々に変え、後半は上向きに搬送する側面視略U字条に形成されている。苗箱搬送部31の終端部に接続して、後記苗取出位置Pで苗を取り出された後の空の苗箱を複数個上下に重ねた状態で収容することのできる空箱収容枠38が設けられている。空箱ガイドレール39aと39bとの繋ぎ目に対応する部位には、空箱を上側から案内するガイド体40が設けられ、苗箱の周回移動が円滑に行われるようにしている。ところで、苗が取出された後の空の苗箱は、空箱ガイドレール39がU字状に上方に屈曲するよう設けているので、再び上方に搬送されていき、その上端部から排出される空の苗箱は、空箱収容枠38内に収容されることになる。
【0057】
なお、この種の苗移植機に使用される苗箱Cとしては、縦横に多数配列した育苗ポットC1に苗が一株づつ収容された可撓性を有する苗トレイが使用される。
苗箱供給部30にある苗箱を主搬送部31へ供給する苗箱供給装置29が備えられている。苗箱供給部30,30の底面には空転ローラ20,…が設けられていて、載置されている苗箱が自重で後方に滑り落ちるようになっている。各苗箱供給部30の後端部には、苗箱主搬送部31の搬送路へ苗箱を供給する供給装置29として、苗箱の左右縁部を把持して苗箱を主搬送部側に繰り出す左右各一対の供給ローラ21,22と、該供給ローラの前方に位置し、外周部に形成された突起がポットとポットの隙間に下側から係合して苗箱を送る幅広の送りローラ23とが設けられている。上下苗箱供給部の下側供給ローラ22及び送りローラ23は、それぞれモータM1,M2で回転駆動される。
【0058】
また、各苗箱主搬送部31に対応して、苗箱を苗箱搬送路に沿って搬送させる苗箱送り装置32と、苗箱主搬送部31の苗取出位置Pで搬送中の苗箱からポット横一列分づつ苗を取り出す苗取出装置33と、取り出された苗を下側前方に弧を描くような軌跡でもって搬送する苗搬送装置34と、該苗搬送装置から苗を抜き出す苗抜き装置35と、該苗抜き装置によって抜き出される横1列分の半分づつ左右両側に横送りする苗横送り装置36と、該苗横送り装置によって供給される苗を取って圃場に植え付ける植付装置37が設けられている。
【0059】
駆動ケース41と一体のフレーム42の下側左右水平部分から植付伝動フレーム45が後方に延出され、駆動ケース41の上面には苗載部支持フレーム46が固着され、これで上下2段の苗箱供給部(供給台)30を支持している。ローリング支持軸24は、フレーム42の左右中央部分に固着の植付部支持ブラケット48に取り付けた軸受ケース50に回動自在に軸受され、植付部全体がローリング自在に支持されている。この植付部全体は、駆動ケース41上に設けた水平センサ43の検出値に基づきこの検出値が設定値に維持されるように、制御装置からの操作信号によりローリングモータ25を正逆転駆動することで、該植付部がローリングスプリング28を介して支持軸24回りに左右ローリング制御されるようになっている。なお、前記水平センサ43は、植付部の脱着部より後側に設置するようにしておくことで、植付部を交換しても作動の狂いをなくすことができる。
【0060】
各ユニットの下方には、植付作業時に圃場面を整地しながら滑走する4個のフロート52,52,53,53が設けられ、支持アーム56の後端部に上下回動自在に枢着されている。これらフロートの左右両側には、各条の苗植付位置の近傍の圃場面に施肥用の溝を形成する作溝器54,…と、その後側に施肥ガイド5cとが取り付けられ、この施肥ガイド5cには肥料繰り出し装置5bからの肥料を移送する施肥ホース5dが連設されている。
【0061】
苗箱送り装置32は、左右一対の送り爪60,60及び係止爪61,61とからなり、送り爪60,60は苗箱搬送路に沿って上下に往復動し、下動するときには苗箱の左右端縁部にポットのピッチと同ピッチで穿設された苗箱送り用の角孔に係合し、上動するときは角孔との係合が外れて次の角孔まで乗り越すように作動する。係止爪61,61は、送り爪60,60の動作と連動し、送り爪60,60が下動するときには、角孔から外れ、送り爪60,60が上動するときには、角孔に係合して苗箱を支えるように作動する。これら送り爪60,60及び係止爪61,61の作動により、苗箱搬送路31に沿って苗箱がポット配列の1ピッチ分づつ間欠的に送られる。この苗箱送り装置32の送り作動は、後記苗取出装置33の苗押出しピン72,…が苗箱のポット内に挿入されていない時に行われる。また、送り爪60,60及び係止爪61,61の搬送上手側には、係止爪61,61が先行する苗箱の角孔から抜け出るのに連動して苗箱搬送路に突出し、苗箱搬送路31を滑り落ちてくる後続の苗箱を一旦受け止める遮断爪63,63が設けられている。
【0062】
苗箱送り装置32の作動機構は、駆動ケース41の上部を貫通する第一伝動軸64に苗箱送りカム65を設け、苗箱作動アーム66に回動自在に支承されたローラ67をカム65の外周面に常時当接するように苗箱送り作動アーム66をスプリング68で付勢している。苗箱送りカム65の回転により、苗箱送り作動アーム66が揺動し、その苗箱送り作動アーム66の揺動が苗箱送り駆動軸69を介して苗箱送り駆動アーム70,70に伝えられ、送り爪60,60を上下に往復動させる。カム65がローラ67を押す時に送り爪60,60が下動して苗箱を送るようになっている。
【0063】
送り爪60が最下点に下動した時、苗箱送り駆動アーム70で感知スイッチ71を押すように設けてあり、そして、この感知スイッチ71が押されないと、警報音を発するように連動構成しておくことができる。この構成によると、苗箱供給部での箱詰まり等により、苗箱送り不良をおこした時に、送り爪60の駆動アーム70が感知スイッチ71を押さなくなるので、警報ブザーにてオペレータに知らせることができ、連続欠株等の植付不良を防止できる。
【0064】
苗箱供給部30,30と苗箱主搬送部31の搬送路には、苗箱の有無を検出する苗箱検出センサSW1〜SW7が設けられている。SW1(SW5)は、上段(下段)苗箱供給部30に苗箱が載置されているとき苗箱有りとなる。SW2(SW6)は、上段(下段)の供給ローラ21,22が苗箱を把持しているとき苗箱有りとなる。SW3は、上段搬送路と下段搬送路の合流部に設けられていて、上段又は下段の供給ローラ21,22が苗箱を開放する寸前まで繰り出しているとき苗箱有りとなる。
【0065】
SW4は、SW3の位置と苗取出位置Pの直前位置との間に設けられていて、上段又は下段の供給ローラ21,22が苗箱を開放した直後に苗箱有りとなる。また、この苗箱検出センサSW4は、接触式のセンサにて構成され、このセンサの接触作用部tが遮断爪63の作用位置の搬送上手側から下手側にかけて位置するように配置されてあり、そして、このセンサが苗箱無しを検出すると、これに連動して苗箱供給装置29の供給ローラ21,22の作動により次の苗箱を繰り出し供給するようになっている。このようにして供給される苗箱が遮断爪63によって受け止められる直前に至っては、接触式検出センサ自体の押圧スプリング力によって接触抵抗を受けることになり、苗箱に制動作用が付与されて落下速度が緩和さるようになっている。
【0066】
SW7は、苗箱送り駆動アーム70を駆動する苗箱作動アーム66の位置を検出する検出センサで、つまり、送り爪60及び係止爪61の作動位置を検出するセンサであり、苗箱作動アーム66が上動したときに押されてOFFになる構成である。
【0067】
図27に示す構成例において、苗箱検出センサSW1〜SW7、フロート迎い角センサは、図28に示すように、コントローラに接続されている。そして、各センサからの情報に基づき、コントローラがモータM1,M2、苗減少ランプ、減少ブザー、及び昇降用油圧バルブに出力する。図29は、コントローラにおける制御のフローチャートであって、各検出センサSW1〜SW7からの入力を読み込み、それを図30に示す動作表と比較し、該当する入力条件のパターンに応じて出力を行う。いづれの入力条件にも該当しない時には出力は行なわない。
【0068】
図30に示す動作表において、SW1〜SW6については、「0」は苗箱無し、「1」は苗箱有り、空白部は苗箱無し又は苗箱有りとする。SW7については、「1」はOFF時とし、空白部はON又はOFF時とする。また、「優先」はプログラム処理上のフラグで、その切換条件はNO.8とNO.13とする。「優先」の空白部は「1」又は「2」とし、電源投入時の「優先」は「1」とする。
【0069】
植付作業を行う前に、上段搬送路に苗箱を1個装填すると共に、上下両苗箱供給部に苗箱を2個づつ載置する。この作業開始状態では、SW1〜SW7は「1」、優先は「1」となっており、いづれの入力条件にも該当しないので、モータM1,M2は停止している。上記状態から植付作業を開始すると、送り爪60と係止爪61が作動して、苗箱を1ピッチづつ間欠的に送る。これと同期して植付部4の各部が作動し、苗取出位置Pで苗箱の横一列分づつのポットから苗を取出し、それを圃場に植え付ける。作業が進行して、苗取出し中の苗箱(第一苗箱)の最後尾が苗取出位置Pの直前位置まで来て、SW3及びSW4が「0」になると、NO.5の入力条件となり、モータM1が作動する。これにより、上段苗箱供給部の次の苗箱(第二苗箱)が上段搬送部に繰り出される。この第二苗箱を開放する寸前まで繰り出すと、第二苗箱の先頭部が上下搬送路の合流部に達し、SW3が「1」になる。この状態は、SW1〜SW6については、NO.6−1の入力条件に該当している。従って、送り爪60の送り作動時即ち係止爪61が苗箱を支えていない時にはモータM1が一旦停止し、その後、係止爪61が苗箱を支えた状態で且つ苗箱遮断爪63が苗箱搬送路内に突入して苗箱の下端を受け止める状態になっている時(SW7が「1」)になった時点でモータM1が再作動して、第二苗箱を開放する。すると、第二苗箱は遮断爪63にて一旦受け止められる。
【0070】
そして、第二苗箱を開放してSW2が「0」になると、NO.4の入力条件に切り替わり、モータM1の作動が継続され、次の第3苗箱の先頭部が供給ローラに把持される。すると、SW2が「1」になり、いづれの入力条件にも該当しなくなるので、モータM1は停止する。このようにして作業が進行し、第三苗箱の再後尾が苗取出位置Pの直前位置を通過し、SW3及びSW4が「0」になると、NO.13の入力条件となり、「優先」が「1」から「2」に切り替わる。すると、今度はモータM2が作動し、下段苗箱供給部の苗箱(第4苗箱)を繰り出す。 以下、上段苗箱供給部の第二苗箱、第三苗箱を上段搬送部に供給する場合と同様に、モータM2が適時作動して、下段苗箱供給部の第四苗箱、第五苗箱が順に下段搬送部に供給され、それぞれの苗箱から苗が取り出される。最後の第五苗箱が下段供給ローラから開放されると、NO.1の入力条件となり、苗減少ランプに出力する。苗減少ランプが点灯すると、上下苗供給部に苗補給する。また、苗減少ランプが点灯しても苗補給せず、第五苗箱の最後尾が苗取出位置Pの直前位置を通過してSW3及びSW4が「0」になると、NO.3の入力条件が4秒以上継続されることになるので、条件が成立してから4秒後に苗減少ブザーに出力する。
【0071】
以上のような経過を経て苗箱供給部の苗箱が主搬送部の所定位置まで自動供給されるが、この作業中において、上記苗取出し中の苗箱の最後尾が苗取出位置Pの直前位置まで来て、苗箱検出センサSW3及びSW4が「0」になると、NO.5(又はNO・10、NO・13)の入力条件となり、モータM1又はM2の作動により、苗箱供給部にある次の苗箱が主搬送部の所定位置に繰り出されることになるが、このとき、モータM1又はM2が所定時間(約5秒程度)以上作動しても、苗箱が所定位置まで送られて来ない場合には、苗箱検出センサSW3がOFF作動し、苗箱送り不良警報装置BZに出力してオペレータに告知するようにしている。これにより、オペレータは苗箱送り不良と判断して速やかに対処することができる。
【0072】
上記苗箱の自動供給装置において、上段搬送路と下段搬送路で苗箱を送るモータM1,M2の回転速度を切り替えできる構成としている。上段のモータM1の回転速度は、下段のモータM2の回転速度より遅くしている。つまり、図29に示すように、モータM2の連続出力に対し、モータM1のパルス出力によって回転速度を遅くしている。これは、上段搬送路は、下段搬送路に対し苗箱の落下する傾斜角度が大きいため、遮断爪に当たった時に苗箱の両端が破損し易い。自動供給時の上段を送るときは、モータM1の回転速度を遅くすることで、遮断爪に当たる時の速度が上下段共、同じになり、苗箱両端の破損を防ぐことができる。
【0073】
なお、図30に示すように、モータM2のパルス出力に対し、モータM1を微小パルス出力とすることによってこの回転速度を遅くすることもできる。また、モータの回転速度と検出センサSW1からSW2間の苗箱の自由落下速度を略同じにすることで、苗箱がモータ部のローラへ激突する時の衝撃力が少なくなり、苗箱の破損を防ぐことができる。
【0074】
なお、苗箱検出センサSWは、このセンサの接触作用部tが苗箱CのポットC1部に作用して感知する構成としてあり、前記SW1〜SW6の検出センサに利用することができる。これら各検出センサはポット部側面にて感知させるので、泥の影響を受けることがなく、ポット部は規則正しく成形された丸形状のため、確実に感知することができる。
【0075】
苗取出装置33は、苗箱横方向のポットに対し同数同ピッチで並んだ苗押出しピン72,…が、前後方向に摺動自在に支持された左右一対のスライド軸73,73と一体に作動するように設けられている。スライド軸73にはラック73aが形成され、そのラックに第一扇形ギヤ74が噛み合っている。また、第一扇形ギヤ74が取り付けられているギヤ軸75には、別の第二扇形ギヤ76が取り付けられ、第二扇形ギヤ76は、支持軸78に回動自在に支持された苗取出作動アーム79のギヤ部79aと噛み合っている。苗取出作動アーム79のギヤ部79aと反対側の端部にはローラ80が回転自在に支承されており、そのローラ80が苗取出カム81のガイド溝81aに嵌り込んでいる。苗取出カム81の回転によりスライド軸73,73が前後にスライドし、該スライド軸が後方にスライドするときに、苗押出しピン72,…が苗取出位置Pにある苗箱の横一列分のポットに対し、ポット底部の切れ目からポット内に挿入され、苗を後方に押し出す。
【0076】
また、前記ギヤ軸75には、ギヤ軸75以後の伝動系に所定以上の負荷がかかった場合には第一扇形ギヤ74からギヤ軸75への伝動を断つ安全クラッチ75aが設けられている。
【0077】
さらに、ギヤ軸75には、苗押出しピン72,…の前後スライドのストロークを調節する機構75b、左右のスライド軸73,73の位置を調節する機構75cとが設けられている。苗箱送りカム66と苗取出カム81は第一伝動軸64に回転自在に嵌合する共通の筒体64aに一体形成され、該筒体と第一伝動軸64を外部操作する定位置停止クラッチ64bによって伝動入・切可能に連結している。
【0078】
前記苗押出しピン72,…による苗取出位置Pの手前には苗箱の有無を検出するセンサスイッチSW8を設け(図27参照)ている。苗箱供給部に苗箱があって検出センサSW1又はSW5がON状態にあっても、前記SW8がOFFの場合には、苗箱送り不良として、主クラッチモータの駆動で走行クラッチを「切り」作動(同時に警報装置を作動するようにしてもよい。)して機体の走行を停止するように構成することもできる。従って、この走行停止によって、オペレータは苗箱送り不良であることを察知でき、速やかに対処することによって連続欠株を未然に防止することができる。
【0079】
また、苗押出しピン72とスライド軸73との間に荷重センサ126を設け、荷重センサの検出結果による荷重値が軽い場合は噴霧の時間を通常より長くするように設定している。押出しピンの押出し荷重が軽いと、ポットが崩れ易い状態になるので、噴霧の時間を長くし、苗ホルダーや苗送りベルト等への泥の付着を少なくして植付を安定させることができる。押出しピンの荷重センサ126及び植付昇降レバーセンサ127が制御部128の入力側に接続され、制御部の出力側には噴霧用電磁バルブ129が接続されている。植付昇降レバーセンサ127が「植付」作業状態であることを検出し、前回の噴霧時から所定時間経過後、押出しピン荷重センサ値が「大」(重)の時には、噴霧用電磁バルブ129を通常の時間開く信号を出力する。逆に、押出しピン荷重センサ値が「小」(軽)の場合には、噴霧用電磁バルブ129を長時間開く信号を出力する。
【0080】
なお、荷重センサが異常に重い値を検出した時には、警報ブザーを鳴らしてオペレータに報知するように構成することもできる。苗押出しピンが苗箱ポット部から芯ずれした位置を押し出すと、荷重センサが非常に重い検出値を出すので、これをオペレータに報知することによって植付不良を未然に防止することができる。
【0081】
苗搬送装置34は、苗押出しピン72,…により苗箱から押し出される苗の床土部を保持する苗ホルダー83を備えている。苗ホルダー83は上下2本づつの揺動リンク84,85に連結された支持部材86,86に左右両端が固定されており、上記揺動リンクの揺動により円弧軌跡を描いて往復動するようになっている。苗搬送装置の駆動機構は、第一伝動軸64の回転を、アーム88、伸縮ロッド89、アーム90を介して苗搬送伝動ケース91の入力軸92に反復回動運動として伝達し、更に、該入力軸92から一対の伝動ギヤ93、94を介して、揺動リンク85に取り付けられている苗搬送駆動軸95に反復回動運動を伝達するように構成されている。
【0082】
また、図26に示すように、前記苗ホルダー83は、苗植付時において、植付クラッチ又は畦クラッチを切った時の苗ホルダーの停止位置が、苗を取りに行く方向で洗浄ノズル116から噴水される噴水圏(イ)内にあって停止するように構成している。これによれば、苗を植え付けしていない状態のときでも苗ホルダーを効率よく洗浄でき、泥の付着が少なくなって苗のキャッチングが安定することになる。
【0083】
苗抜き装置35は、苗ホルダ83の苗保持部を前後に通り抜け可能な櫛状の苗叩き100を備えている。回動自在に設けた左右方向の苗叩き取付軸101に苗叩きアーム102を取り付け、更にその苗叩きアーム102に回動可能に取り付けた回動アーム103に苗叩き100を一体的に取り付けている。回動アーム103は長孔103aの範囲内でボルト102aを介して回動可能である。叩きアーム102に取り付けたローラ104が、カム軸105に取り付けられた苗叩きカム106のカム面に当接するようにスプリング107にて付勢している。苗叩きカム106が回転すると、該カムの凹部にローラ104嵌り込むときスプリング107の張力により苗叩き100が素早く下向きに回動し、直ぐに元の位置に復帰するように作動する。
【0084】
苗ホルダー83が移動軌跡下端に移動してきたとき、苗ホルダ83の各苗保持部に保持されている苗を苗叩き100が受け止め苗ホルダー83のみを通過させて苗を抜き出すと共に、苗叩き100が下向きに回動し、抜き出された苗を後記苗横送り装置36の苗送りベルト113,113上に叩き落とす。
【0085】
苗横送り装置36は、メインフレームに架設された苗横送り駆動軸110の駆動ローラ111と従動ローラ112とに巻き掛けた左右一対の苗送りベルト113,113を、それぞれの横送り作用部外側へ移動するように左右対称に設けている。横送り部の下側には落下する苗の重みでベルトが橈むのを防止する撓み防止板114が設けられている。苗抜き装置35により抜き落とされた横一列分の苗N,…は、各苗送りベルト113,113の上に整列で落下し、これを受けた苗送りベルト113,113が左右半分づつの苗をそれぞれ左右両側に搬送する。苗送りベルト113で搬送された苗Nは、一対の植付ガイド115,115の間に落し込まれる。
【0086】
苗送りベルト113,113の上方には該ベルトに付着した泥土を洗い流す洗浄ノズル116,…が設けられている。洗浄ノズル116,…が一体に形成された通水パイプ117は、その両端部に一体の取付プレート118をボルト119により植付部フレームに固定することにより支持されている。
【0087】
図31には、苗送りベルト113の周辺に泥が溜まると、その泥溜まりを検出する音波検出装置124が設けられている。この音波検出装置は泥溜まりを検出すると、警報ブザー等でオペレータに報知することで、オペレータはその泥溜まりを速やかに除去できるし、若しくは噴霧装置を作動して洗浄ノズルで洗い落すことができ、苗の植付不良を少なくすることができる。
【0088】
洗浄(噴霧)装置に用いられるフィルター160は、上下2重の濾過網161と162とからなり、下側の濾過網161は固定とし、上側の濾過網162は羽根車163の下端に取り付けられて軸芯164回りに自由回転自在に軸架され、水の入る勢いで旋回するようになっている。2重濾過網によるフィルターであっても、フィルターにゴミが詰まってしまい、使用の途中で水の流れがが悪くなる。本例のように、上記構成によると、フィルターの目詰りが、入ってくる水の勢いで回転する上側濾過網の回転と、これに伴う水の旋回流とによって防止できる。
【0089】
植付装置37は、植付伝動フレーム45の後端部に設けられた植付駆動軸120と一体回転する回転ケース121に一対の苗植込具122、122が取り付られ、苗植込具122、122が閉ループの先端軌跡を描いて移動する。各苗植込具122は、植付ガイド115,115の間に落し込まれた苗を交互に一株づつ取り、それを植付ガイド115,115の間を移動させて圃場に植え付ける。
【0090】
(ピッチング調節部)
多条植の苗植付部4は、車体2の後側に昇降リンク装置3を介してオーバーハング状に装着されており、多数の苗箱によって苗を供給する苗箱式苗移植機は、その苗載部の苗の量によってピッチング特性が変動し、バランスがくずれる場合があった。この問題を解決するために、昇降リンク装置3にピッチングシリンダ171を取付け(図24参照)て、苗載部に苗が多い時と少ない時でピッチングを変化させるように構成する。
【0091】
詳細には、要部拡大側面図を図32に示すように、昇降リンク装置3の上リンク172とヒッチ173との連結部を長穴174とし、その自由度の範囲でヒッチ173を傾斜させるようにピッチングシリンダ171を連結する。このピッチングシリンダ171の制御は、図33の制御内容の区分図に示すように、苗箱搬送部31の苗箱検出のセンサSW1またはセンサSW5のオンの個数が3〜5を標準として、それより少ない時に苗箱搬送部31を後下がりに、多い時に前下がりとしてピッチング調節することにより、苗箱搬送部31をバランスさせて安定して植付け走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】乗用施肥苗移植機の側面図
【図2】乗用施肥苗移植機の平面図
【図3】苗植付部の一部を省略した平面図
【図4】苗植付部の一部を省略した背面図
【図5】苗載部下部の側部断面図
【図6】図5におけるA矢視図
【図7】左右外端部の苗載部を折りたたんだ状態を示す苗載部の側面図
【図8】一部を省略して表した図7におけるA矢視図その2
【図9】中央部の苗載部と左右外側部の苗載部との上部連結部の断面図
【図10】中央部の苗載部と左右外側部の苗載部との下部連結部の断面図
【図11】苗載部支持フレームの要部の正面図
【図12】伝動ケースの折曲げ部の背面断面図
【図13】図12におけるS1−S1断面図
【図14】図12におけるS2−S2断面図
【図15】サイドフロートの取付部の側面図
【図16】フロート支持軸の分割部の(a)平面図、及び(b)平面図
【図17】左右幅縮小状態にある苗移植機の側面図
【図18】折畳部の拡大側面図
【図19】植付伝動ケースの部分破断により表した拡大側面図
【図20】フロートの要部拡大側面図
【図21】折畳み牽制スイッチの配置側面図
【図22】システム構成図
【図23】マーカ操作装置の要部拡大側面図
【図24】別の構成例の苗移植機の側面図
【図25】図24の苗移植機の上平面図
【図26】苗植付部の要部の側面図
【図27】苗箱供給部及び苗箱搬送部の側面図
【図28】苗箱供給の制御ブロック図
【図29】苗箱供給用フローチャート
【図30】各部材の動作区分図
【図31】苗叩き及び苗送りベルトの背面図
【図32】昇降リンク装置の要部拡大側面図
【図33】ピッチングシリンダの制御区分図
【符号の説明】
【0093】
1 苗移植機
70 植付主軸
70B 外側部
80 苗載部
200 植付装置
221 ロックアーム
221a規制部
223 軸支部
224 把持部
A 可動範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後下がりに傾斜する苗載部(80)の下端後方でその苗を取出して植付けする植付装置(200)を植付け条と対応して機体に並列して搭載するとともに、これら横並びの植付装置(200)に共通伝動する植付主軸(70)をその前端近傍に備え、外側端の植付装置(200)を植付主軸(70)とともに内側に折畳み可能に構成した苗移植機において、
上記外側端の植付装置(200)に伝動する植付主軸(70)の折畳み可能な外側部(70B)を展開支持位置に固定するための規制部(221a)を形成したロックアーム(221)を設け、このロックアーム(221)は、その規制部(221a)が固定位置から解除位置に及ぶ範囲(A)を揺動可能に軸支する軸支部(223)を備え、固定位置においてその規制部(221a)と軸支部(223)を植付主軸(70)の前側に上下に振り分けて配置したことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記ロックアーム(221)は、固定位置においてその規制部(221a)から機体前側に突出するように屈曲してなる揺動操作用の把持部(224)を備えることを特徴とする請求項1記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2010−119369(P2010−119369A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298323(P2008−298323)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】