説明

苗移植機

【課題】苗トレイから灌水した水が滴り落ちて、覆土輪及び覆土輪の前方にある土壌が濡れるのを防止する苗移植機を提供すること。
【解決手段】
苗トレイの苗ポットから苗取爪によりセル成型苗を順次挟持して取出して、植付体に受け渡すことにより、植付体によりセル成型苗を圃場に移植すると共に、移植圃場部を植付体の作動範囲の後方に配設した覆土輪にて覆土するように構成した苗移植機において、苗トレイと覆土輪との間に水垂れ受板を介設している。このようにして、灌水した苗トレイを苗載台に載せた時に滴り落ちる水を、苗トレイと覆土輪との間に介設した水垂れ受板で受けるため、覆土輪が水に濡れるのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場内の畝にセル成型苗を移植する苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、苗移植機の一形態として、セル成型苗収容部を有する苗トレイを上方から下方へ縦送りする苗トレイ縦送り機構と、苗トレイを左右方向に横送りする苗トレイ横送り機構とを具備して、各セル成型苗収容部からセル成型苗を取り出して圃場に植え付け可能としたものがある。
【0003】
そして、かかる苗移植機は、苗トレイの苗ポットから苗取爪によりセル成型苗を順次挟持して取出して、植付体に受け渡すことにより、植付体によりセル成型苗を圃場に移植すると共に、移植圃場部を植付体の作動範囲の後方に配設した覆土輪にて覆土するように構成している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−253010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記した苗移植機では、苗トレイを載せる苗載台の下方に覆土輪があり、灌水した苗トレイを苗載台に載せた時に、水または水分を含んだ土が滴り落ちて、覆土輪及び覆土輪の前方の土壌を濡らしてしまうおそれがある。そして、覆土輪及び覆土輪の前方の土壌が水で濡れた状態で、覆土輪を畝上で回転させると、雪だるま式に覆土輪の周面に土が付着してしまい、その結果、覆土輪が土を覆土する機能を果たせなくなってしまう不都合が生じる。
【0006】
この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、苗トレイから灌水した水が滴り落ちて、覆土輪及び覆土輪の前方にある土壌が濡れるのを防止する苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、苗トレイの苗ポットから苗取爪によりセル成型苗を順次挟持して取出して、植付体に受け渡すことにより、植付体によりセル成型苗を圃場に移植すると共に、移植圃場部を植付体の作動範囲の後方に配設した覆土輪にて覆土するように構成した苗移植機において、苗トレイと覆土輪との間に水垂れ受板を介設したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記水垂れ受板は、苗トレイ送り機構を支持する送り機構フレームに取り付けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、上記水垂れ受板は、前部を送り機構フレームに固定して、後端縁を自由端としたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、上記水垂れ受板は、苗トレイからの水垂れを、下方の覆土輪の前方に滴下しないように少なくとも前端縁をその他部より高い形状に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
(1)請求項1記載の本発明では、苗トレイの苗ポットから苗取爪によりセル成型苗を順次挟持して取出して、植付体に受け渡すことにより、植付体によりセル成型苗を圃場に移植すると共に、移植圃場部を植付体の作動範囲の後方に配設した覆土輪にて覆土するように構成した苗移植機において、苗トレイと覆土輪との間に水垂れ受板を介設している。
【0012】
このように、灌水した苗トレイを苗載台に載せた時に滴り落ちる水を、苗トレイと覆土輪との間に介設した水垂れ受板で受けるため、覆土輪が水に濡れるのを防止することができる。また、苗トレイを載せる苗載台の最下部が覆土輪の上方に位置するため、その最下部と覆土輪との間に介設した水垂れ受板により直接覆土輪が水に濡れるのを防止することができる。さらに、苗取爪によるセル成型苗の挟持作動により、苗ポットから水が垂れるのを水垂れ受板で受けるので、覆土輪が水に濡れるのを防止することができる。
【0013】
(2)請求項2記載の本発明では、水垂れ受板は、苗トレイ送り機構を支持する送り機構フレームに取り付けているので、苗載台の近くに取り付けることができ、確実に水を受けることができる。また、覆土輪との前後左右方向の位置関係が変わらないため覆土輪の必要最小限な部分だけを覆うことができ、コストや軽量化の面で有利である。さらに、水垂れ受板を覆土輪の取付フレームに取り付けると、覆土輪の畝への追従による上下運動を妨げる恐れがあるが、苗トレイ送り機構を支持する送り機構フレームに取り付けると、上記問題を解消することができる。
【0014】
(3)請求項3記載の本発明では、水垂れ受板の前部を固定することで覆土輪の前方に水が落ちないようにすることができ、また、もう一方を自由端にすることでフレームに沿うように配置することができ、苗ポットの下方の構造が複雑で狭い空間でも上記水垂れ受板を存在させることができる。
【0015】
(4)請求項4記載の本発明では、水垂れ受板は、苗トレイからの水垂れを、下方の覆土輪の前方に滴下しないように少なくとも前端縁をその他部より高い形状に構成としているので、覆土輪に水を付着させることなく、水を機体の後方に確実に落とすことができる。これにより、覆土輪の前方に水が垂れて土が濡れることにより覆土輪に水が付着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施例1における苗移植機の全体構成を示した側面図である。
【図2】この発明の実施例1における苗移植機の全体構成を示した平面図である。
【図3】この発明の実施例1における苗移植機の苗トレイと覆土輪との間に介設した水垂れ受板の構成を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る最良形態としての苗移植機は、苗トレイの苗ポットから苗取爪によりセル成型苗を順次挟持して取出して、植付体に受け渡すことにより、植付体によりセル成型苗を圃場に移植すると共に、移植圃場部を植付体の作動範囲の後方に配設した覆土輪にて覆土するようにしている。
【0018】
そして、特徴的構造として、苗トレイと覆土輪との間に水垂れ受板を介設している。
【0019】
また、水垂れ受板は、苗トレイ送り機構を支持する送り機構フレームに取り付けている。さらに、水垂れ受板は、前部を送り機構フレームに固定し、後端縁を自由端としている。さらに、水垂れ受板は、苗トレイからの水垂れを、下方の覆土輪の前方に滴下しないように少なくとも前端縁をその他部より高い形状に構成している。
【実施例1】
【0020】
以下に、本発明の実施例1を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1に示すAは、本発明に係る苗移植機であり、同苗移植機Aは、走行部1と、同走行部1の後部に配設した苗供給部2と、同苗供給部2の前方位置に配設した苗移植部3とを具備して、走行部1を圃場Gにて自走させながら、苗供給部2から供給されるセル成型苗Nを苗移植部3により圃場Gの畝面U(移植圃場部)に移植するようにしている。
【0022】
走行部1は、機体フレーム4の前部に左右一対の前車輪支持アーム(図示せず)を介して前車輪6,6を取り付けると共に、後部に左右一対の後車輪支持アームとしての後車輪駆動ケース7,7を介して後車輪8,8を取り付けており、これら前・後車輪6,6,8,8は、昇降機構(図示せず)に連動連結して、同昇降機構9が昇降センサとしても機能する鎮圧輪(図示せず)の畝面Uに沿った昇降動作量に基づいて、前・後車輪6,6,8,8を昇降させることにより、苗移植部3によるセル成型苗Nの植付深さを一定に保持することができるようにしている。
【0023】
そして、機体フレーム4上の前部にエンジン10を搭載し、同エンジン10の後方位置にミッションケース11を配設すると共に、同ミッションケース11をエンジン10に連動連結し、同ミッションケース11に上記後車輪駆動ケース7,7と上記苗供給部2と苗移植部3とを連動連結している。12はボンネット、13は予備苗載台である。
【0024】
また、機体フレーム4の後端部には、図1及び図2に示すように、支持体14を介して左右一対のハンドル支持フレーム15,15を後上方へ向けて延設し、両ハンドル支持フレーム15,15の後端部に平面視U状に形成したハンドル16を取り付けており、同ハンドル16の下部間に下部レバーガイド支持体17を架設し、同下部レバーガイド支持体17に植深調節レバーガイド体18と株間調節レバーガイド体19と主変速レバーガイド体(図示せず)とを左右方向に隣接させて配置している。
【0025】
そして、ハンドル16の上部間に上部レバーガイド支持体24を架設し、同上部レバーガイド支持体24の左側部に植付クラッチレバーガイド体25を配置する一方、右側部に昇降レバーガイド体26を配置している。
【0026】
左右一対のハンドル支持フレーム15,15の下方に前後方向に伸延する覆土輪支持体34を架設して、同覆土輪支持体34に覆土輪33を取り付けている。
【0027】
苗供給部2は、図1に示すように、左右一対のハンドル支持フレーム15,15の中途部間に配設しており、苗トレイTを縦搬送する縦搬送機構35と、同縦搬送機構35を横搬送する横搬送機構36とを装備している。
【0028】
縦搬送機構35は、図1に示すように、縦方向及び横方向に整然と苗ポットPを形成した苗トレイTを、前下方へ向けて苗ポットPの間隔毎に縦搬送して、後述する苗移植部3により苗ポットP中のセル成型苗Nを畝面Uに移植し、空になった苗トレイTは後下方へ折り返し状に搬送するようにしている。
【0029】
横搬送機構36は、図1及び図2に示すように、縦搬送機構35の下方に配置しており、左右方向に軸線を向けて縦搬送機構35に連動連結した横送り軸37と、同横送り軸37の中途部に連動連結すると共に、同横送り軸37を軸線方向に横移動させる横移動体38とを具備して、同横送り軸37の外周面には、螺旋状の横送り溝(図示せず)を形成している。
【0030】
また、横搬送機構36は、上記左右一対のハンドル支持フレーム15,15からを各左右に延設させた横搬送機構支持フレーム97にブラケット98を介して取り付けられている。そして、横搬送機構36は、図2に示すように、エンジン10からの動力が図示しないドライブシャフトを通して伝達され、さらに図示しないギヤケース内のベベルギヤを介して伝達されることにより横搬送機構36の横送り軸37を横移動させるようにしている。
【0031】
そして、図1に示すように、横搬送機構36と縦搬送機構35との間には縦送り連動機構39を介設しており、同縦送り連動機構39は、横搬送機構36の横送り軸37が一側端部まで横移動した際に、縦搬送機構35を一方向にのみ一定量だけ回転させて、苗トレイTを苗ポットPの一段分だけ縦送りするようにしている。
【0032】
このようにして、苗トレイTに形成した苗ポットPの横一列分だけ横移動させた後に、苗ポットPの一段分だけ縦送りし、再度、横一列分だけ横移動させた後に、苗ポットPの一段分だけ縦送りするという作動を繰り返すようにしている。
【0033】
苗移植部3は、図3に示すように、苗供給部2の苗載台40に載せられた苗トレイTからセル成型苗Nを取り出す苗取出機構5と、同苗取出機構5により取り出されたセル成型苗Nを受けて畝面Uにセル成型苗Nを植え付ける植付機構71とを具備している。
【0034】
そして、苗取出機構5は、図1に示すように、後述する駆動ケース45に苗取出伝動チェン(図示せず)を介して連動連結した苗取ロータケース(図示せず)と、同苗取ロータケースに連動連結した開閉カム(図示せず)と、同開閉カムにより開閉作動される左右一対の苗爪体を有する苗取爪100と、各苗爪体に挿嵌した押し出し体(図示せず)とを具備している。
【0035】
植付機構71は、図1に示すように、ミッションケース11にチェンケース(図示せず)を連動連結し、同チェンケースに植付ロータケース(図示せず)を連動連結し、同植付ロータケースに開閉カム(図示せず)を連動連結し、同開閉カムに開孔器としての植付体32を連動連結しており、同植付体32は、前後一対の植付体形成片を開閉自在に形成して、上記開閉カムにより閉塞した状態にてセル成型苗Nを受けると共に、畝面Uを開孔し、開閉カムにより開放した状態にて上昇させることにより畝面Uにセル成型苗Nを残して植付を完了させることができるようにしている。
【0036】
そのような構成において、本発明の要旨は、苗トレイTと覆土輪33との間に水垂れ受板50を介設したことことにある。以下に水垂れ受板50の構成について図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
図3に示すように、左右一対のハンドル支持フレーム15,15には、上記した左右方向に延伸して配設された横搬送機構支持フレーム97,97をそれぞれ設けている。各横搬送機構支持フレーム97は、前フレーム片97aと、横フレーム片97bと、後フレーム片97cとで、平面視して「コ」の字に形成されている。そして、左右の横搬送機構支持フレーム97,97は、ハンドル支持フレーム15,15に対して、前フレーム片97aと後フレーム片97cとの開放端部を互いに対向させて固設されている。
【0038】
上記した各横搬送機構支持フレーム97の前フレーム片97aの中途部には、板状ブラケット51をそれぞれ垂設している。その板状ブラケット51には、断面略逆L字形状の支持ブラケット52が後方に向かって連設されており、その支持ブラケット52上に水垂れ受板50の前部側端部を載置し、ボルト・ナット53により水垂れ受板50を固設している。
【0039】
なお、水垂れ受板50は、使用時には上記ボルト・ナット53により固設されるが、破損したり老朽したりした場合にはボルト・ナット53を取り外して交換可能に設けている。
【0040】
このように、水垂れ受板50は、送り機構フレームである上記した横搬送機構支持フレーム97,97に板状ブラケット51及び支持ブラケット52を介して取り付けられているので、その横搬送機構支持フレーム97,97の近くには苗載台40が配設されているため、苗載台40から滴り落ちる水を確実に受けることができる。
【0041】
また、覆土輪33は、圃場の凹凸に対応するため上下方向に変動自在に設けているが、前後左右方向の位置は固定されているため、覆土輪33と水垂れ受板50との前後左右方向との位置関係が変動せず、水垂れ受板50は、覆土輪33の必要最小限な部分だけを覆うことができて、コストや軽量化の面で有利である。
【0042】
さらに、水垂れ受板50を覆土輪33の取付フレームに取り付けると、覆土輪33の畝面Uへの追従による上下運動を妨げる恐れがあるが、苗トレイ送り機構を支持する送り機構フレームである横搬送機構支持フレーム97,97に取り付けているので、上記問題を解消することができる。
【0043】
また、水垂れ受板50は、その全体が板形状を有し、平面視した形状が矩形を有している。その平面視して矩形の形状を有すると共に、その矩形の形状で覆土輪33全体をその上方で覆うように形成されている。
【0044】
すなわち、水垂れ受板50は、その左右幅が少なくとも左右一対の覆土輪33の投影平面における全体左右幅よりも大きく形成され、また、その前後幅が少なくとも左右一対の覆土輪33の投影平面における全体前後幅よりも大きく形成されている。これにより、一対の覆土輪33の全体をその上方から覆うことができ、覆土輪33に苗トレイTから落ちる水が直接付着するのを防止することができる。
【0045】
また、水垂れ受板50は、例えば、ラバー製などの柔軟な素材を使用することで、苗載台40の下方の構造が複雑で狭い空間でも、柔軟な素材によって形状を変形させて上記水垂れ受板50を存在させることができる。
【0046】
このように、苗トレイTと覆土輪33との間の水垂れ受板50を介設することにより、苗載台40から落ちた水を水垂れ受板50で受けるため、覆土輪33が濡れず水が付着するのを防止することができる。
【0047】
しかも、図3に示すように、苗トレイTを載せる苗載台40は、後上方に傾斜させて設けており、苗載台40の最下部Sが覆土輪33の上方に位置するように構成している。このように苗載台40の最下部Sが覆土輪33の上方に位置するため、その最下部Sから滴り落ちる水を水垂れ受板50により受けることにより、覆土輪33が直接水に濡れるのを防止することができる。
【0048】
さらに、水垂れ受板50は、横搬送機構支持フレーム97にボルト・ナットによりその前部を固定し、その後端縁は横搬送機構支持フレーム97に固定せずに自由端としている。このように、水垂れ受板50の前部を固定することで、覆土輪33の前方に水が落ちないようにすることができる。
【0049】
また、図3に示すように、水垂れ受板50の前端縁Bは、苗載台40の最下部Sよりも側面視して前方に位置し、覆土輪33の前端縁Bよりも、前方に位置するので、覆土輪33が水に濡れるのを防止することができる。
【0050】
また、図3に示すように、苗トレイTが縦搬送機構35により縦送り時での最前方時の苗ポットPの位置と、水垂れ受板50の前端縁Bとを略同一にしている。このようにして、苗トレイTから水が覆土輪33の前方に滴り落ちるのを防止している。
【0051】
なお、苗トレイTが後下方に位置する場合においても、水が滴り落ちる場合があるが、そのときの苗トレイTは、覆土輪33の後方に位置するので、苗ポットPから滴り落ちる水により、覆土輪33が濡れたり、覆土輪33の前方の土壌が水に濡れたりするおそれが生じない。
【0052】
また、後端縁を自由端にすることで、図3に示すように、後上方に延設したハンドル支持フレーム15,15の形状に沿うように配置することができる。このようにして、苗載台40の下方の構造が複雑で狭い空間でも上記水垂れ受板50を存在させることができる。
【0053】
さらに、水垂れ受板50は、苗トレイTからの水垂れを、下方の覆土輪33の前方に滴下しないように少なくとも前端縁Bを、その他部である中央部及び後部よりも高い位置に形成して構成することもできる。これにより、覆土輪33の前方に水を付着させることなく、水を機体の後方に確実に落とすことができる。そして、覆土輪33の前方に水が垂れて土が濡れることにより、覆土輪33に水が付着するのを防止することができる。
【0054】
さらに、水垂れ受板50は、その略中央部を凹状湾曲面に形成することもできる。すなわち、水垂れ受板50は、その前端縁Bを最も上方に位置させ、略中央部を最も下方に位置させ、後端縁を前端縁Bと略中央部との間に位置させることにより、略中央部を凹状湾曲面に形成することができる。これにより、苗トレイTからの水を上記した凹状湾曲面で確実に受けることができる。また、少なくとも前部が凹状湾曲面よりも高位置になるようにしているので、凹状湾曲面により覆土輪33の後方に確実に水を流すことができる。
【0055】
以上の結果、実施例1における苗移植機は、灌水した苗トレイTを苗載台40に載せた時に滴り落ちる水や水分を含んだ土を、苗トレイTと覆土輪33との間に介設した水垂れ受板50で受けるため、覆土輪33が水に濡れるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0056】
A 苗移植機
T 苗トレイ
P 苗ポット
U 畝面(移植圃場部)
30 水垂れ受板
32 植付体
33 覆土輪
36 横搬送機構支持フレーム(送り機構フレーム)
100 苗取爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗トレイの苗ポットから苗取爪によりセル成型苗を順次挟持して取出して、植付体に受け渡すことにより、植付体によりセル成型苗を圃場に移植すると共に、移植圃場部を植付体の作動範囲の後方に配設した覆土輪にて覆土するように構成した苗移植機において、
苗トレイと覆土輪との間に水垂れ受板を介設したことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
上記水垂れ受板は、苗トレイ送り機構を支持する送り機構フレームに取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
上記水垂れ受板は、前部を送り機構フレームに固定し、後端縁を自由端としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の苗移植機。
【請求項4】
上記水垂れ受板は、苗トレイからの水垂れを、下方の覆土輪の前方に滴下しないように少なくとも前端縁をその他部より高い形状に構成したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の苗移植機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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