説明

草刈機の蔓草等切断具

【課題】草刈機に巻き付く蔓草等を使用中に簡単に切断除去すること。
【解決手段】シャフト13と切刃の間に、簡単に取付けることのできる鋏1,2を装着することにより、使用中に巻き付く蔓草を切断できる草刈機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯用エンジン草刈機のロータハウジング(14)と切刃との間に巻き付く蔓草等の切断具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯用草刈機のロータハウジング(14)と切刃との間に巻き付く蔓草等の切断具はコード式切刃(21)のハウジング部に刃物を取付け、回転力を利用して切断しようとしていたが、蔓草の繊維は非常に強く、かつ、片方がフリーな為、抵抗が少なく完全に機能できなかった。
【0003】
また、蔓草が巻き付くと、その抵抗力で切刃の回転が停止してしまうため、エンジンを停止し、携帯用草刈機を肩から外し、ナイフや鋏等で切除し、又エンジンを始動させなければならなかった。特に蔓草の種類によっては繊維がロータハウジング(14)と切刃の間に入り込んでしまい、分解して繊維を取り除く必要があった。
【0004】
そのような構造のため、出来るだけ蔓草の有る所を回避せざるを得なかった。巻きついた蔓草を草刈機本体に取付けた鋏によって必要な時、簡単に切断する事が望まれていた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ロータハウジング(14)と切刃との間に巻き付く蔓草等を該切刃の上面に僅かな空隙を設け、該切刃の回転中心側から外周方向に向けて配設された固定鋏(1)と該固定鋏(1)に回動自在に軸支された可動鋏(2)で鋏持し、切断する蔓草切断装置とした。
【0006】
また、固定鋏(1)の切刃長をコード式切刃(21)のハウジング(22)径に合わせることで、金属切刃(20)とコード式切刃(21)の両方に使用可能とした。
【0007】
携帯用エンジン草刈機のシャフト(13)に取付け具(4)にて装着可能とし、かつ、取付け具(4)の形状のみを機種毎に合わせるようにしたことで異なる機種への装着をも可能とした。
【0008】
スプリング(3)にて固定鋏(1)に対し開口する方向に回動付勢された可動鋏(2)と、該可動鋏(2)をスプリング(3)に抗して、切断方向に回動できるワイヤケーブル(10)を手元に配置する構成としたことで使用中のままでの切断を可能とした。
【0009】
コード式切刃(21)において、固定鋏(1)より外周側に配置し、該固定鋏(1)の刃先より高い位置となる刃先保護具(12)を取り付けることで蔓草から該固定鋏(1)の刃先を保護すると共に、該固定鋏(1)と該コード式切刃(21)の僅かな空隙にも蔓草の繊維等が入らないようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロータハウジング(14)と切刃との間に巻き付く蔓草等を該切刃の上面に僅かな空隙を設け、該切刃の回転中心側から外周方向に向けて配設された固定鋏(1)と該固定鋏(1)に回動自在に軸支された可動鋏(2)で鋏持し、切断するよう構成し、かつ、スプリング(3)にて固定鋏(1)に対し開口する方向に回動付勢された可動鋏(2)と、該可動鋏(2)をスプリング(3)に抗して、切断方向に回動できるワイヤケーブル(10)を手元に配置する構成としたことで使用中の状態で、適宜、簡単に巻きついた蔓草の切断ができる。また、基本的にはどのメーカの草刈機にも取付け具(4)を変えることですべての機種に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔第1実施例〕
図1は本発明の1実施例を示す携帯用草刈機の上面図であり、図2はその側面図である。図1、2において、(13)は中空のシャフトであり、その内側に(17)であるエンジンと接続され、エンジン(17)の回転を(14)であるロータハウジングに伝達する図示していない連結軸を保持している。(18)は草刈機を操作するためのハンドルで、(19)は肩に掛けるためのショルダーバンドである。
【0012】
ロータハウジング(14)はその内側に該連結軸とギア等で連動し回転する、図示していない回転軸が回動自在に軸支されている。回転軸には(21)であるコード式切刃がナット等で脱着可能に装着されており、エンジン(17)によって回転される。(22)はコード式切刃(21)のハウジングで、(23)は切刃コードである。
【0013】
通常、ロータハウジング(14)と切刃は軸方向に擦れないための隙間があり、切断された蔓草等がロータハウジング(14)に巻き付くと切刃の回転力により該隙間に巻き込んでしまい切刃が回転できなくなるという不具合が生ずる。
【0014】
図3は本発明による草刈機用の蔓草切断装置主要部上面図であり、図4はその側面図である。図3,4において、(4)である取付け具は(5)であるステーと、ステー(5)に溶接等で一体化されている(6)であるバンドから成り、シャフト(13)にバンド(6)と(7)であるバンド締め付けナットで脱着可能に固定されている。
【0015】
(1)である固定鋏は切刃の回転中心側から外周に向けて、ハウジング(22)の上面である(22a)と僅かな空隙を持つよう調整され、取付け具(4)に(8)である取付けボルトで固定されている。(2)である可動鋏は固定鋏(1)に回動可能に軸支され、鋏を構成している。(3)はスプリングで可動鋏(2)を開く方向に付勢している。この状態で切刃を回転し草刈りを行うと、切断された蔓草等がロータハウジング(14)に巻き付くと同時に固定鋏(1)と可動鋏(2)の間に入り込む。
【0016】
(10)はワイヤーで、引っ張られることでスプリング(3)の付勢力に抗して可動鋏(2)を固定鋏(1)の方向に回動し、固定鋏(1)と可動鋏(2)の間に入り込んでいる巻きついた蔓草等を鋏持し、切断できるよう構成されている。ワイヤー(10)は(9)であるブラケットに固定された(11)であるワイヤーホルダーを通し、ハンドル18に固定されている(16)である鋏レバーと接続されているため、鋏レバー(16)を作動させることで使用者が手元で鋏を駆動できる。ブラケット(9)はステー(5)で一体に形成しても良い。
【0017】
図5はコード式切刃(21)に(12)である刃先保護具を装着した時の本発明による草刈機用の蔓草切断装置主要部上面図であり、図6はその側面図である。図5,6において、刃先保護具(12)はハウジング(22)の上面に取付けられる。固定鋏(1)の刃先よりも外周側、すこし高い位置に(12a)である突起が設けてあり、蔓草から固定鋏(1)の刃先を保護すると共に、固定鋏(1)の下側への蔓草の回り込みを防いでいる。もちろん、ハウジング(22)を同形状に成形しても同じ効果がえられる。
【0018】
図7は切刃が(20)である金属切刃の場合の本発明による実施例主要部上面図であり、図8はその側面図である。金属刃(20)の場合も刃先保護具(12)をその上面に装着することでコード式切刃(21)と同様に構成できる。
【0019】
図9は取付け具(4)の外観図であり、本発明の蔓草等の切断鋏を位置調整しながら取付けられる(5a)、(5b)である固定用ボルトのための長穴と取付けのためのバンド(6)が設けられている。
【0020】
上記構成により、切刃で刈られた蔓草などはロータハウジング(4)に巻きつきながら、固定鋏(1)と可動鋏(2)の間に鋏持されるため、適宜使用者が鋏レバー(16)を操作することにより、巻きついた蔓草などを切断できる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
草刈機の蔓草切断装置として、シャフト(13)に取付け具(4)にて簡単に装着可能でき、かつ、取付け具(4)の形状のみを機種毎に合わせることにより異なる機種への装着も可能である。固定鋏(1)と可動鋏(2)の切刃長をコード式切刃のハウジング(22)径以下にすることで、金属切刃とコード式切刃(21)の両方に使用できることから、蔓草切断装置ユニットとしてすでに販売されている草刈機にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施例である携帯用草刈機の全体構成を示す上面図である。
【図2】この発明の一実施例である携帯用草刈機の全体構成を示す側面図である。
【図3】この発明の蔓草切断装置の主要部構成を示す上面図である。
【図4】この発明の蔓草切断装置の主要部構成を示す側面図である。
【図5】この発明の一実施例である刃先保護具(12)搭載時の上面図である。
【図6】この発明の一実施例である刃先保護具(12)搭載時の側面図である。
【図7】この発明の一実施例である金属切刃(20)での主要部上面図である。
【図8】この発明の一実施例である金属切刃(20)での主要部側面図である。
【図9】この発明の一実施例である取付け具(4)の平面図である。
【符号の説明】
【0023】
1:固定鋏
2:可動鋏
3:スプリング
4:取付け具
5:ステー
6:バンド
7:バンド締め付けナット
8:取付けボルト
9:ブラケット
10:ワイヤーケーブル
11:ワイヤーホルダー
12:刃先保護具
13:シャフト
14:ロータハウジング
16:鋏レバー
17:エンジン
18:ハンドル
19:ショルダーバンド
20:金属刃
21:コード式切刃
22:ハウジング
23:切刃コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
草刈機において、ロータハウジング(14)と切刃との間に巻き付く蔓草等を該切刃の上面に僅かな空隙を設け、該切刃の回転中心側から外周方向に向けて配設された固定鋏(1)と該固定鋏(1)に回動自在に軸支された可動鋏(2)で鋏持し、切断するよう構成したことを特徴とする草刈機用の蔓草切断装置。
【請求項2】
固定鋏(1)の切刃長をコード式切刃のハウジング(22)径以下にすることで、金属切刃とコード式切刃(21)の両方に使用可能としたことを特徴とする請求項1に記載した草刈機用の蔓草切断装置。
【請求項3】
携帯用エンジン草刈機のシャフト(13)に取付け具(4)にて装着可能とし、かつ、取付け具(4)の形状のみを機種毎に合わせることにより異なる機種への装着を可能としたことを特徴とする請求項1乃至2に記載した草刈機用の蔓草切断装置。
【請求項4】
スプリング(3)にて固定鋏(1)に対し開口する方向に回動付勢された可動鋏(2)と、該可動鋏(2)をスプリング(3)に抗して、切断方向に回動できるワイヤケーブル(10)を手元に配置する構成としたことで遠隔操作を可能とした請求項1、2乃至3に記載した草刈機用の蔓草切断装置。
【請求項5】
請求項1、2、3乃至4に記載された蔓草切断装置を搭載したことを特徴とする携帯用エンジン草刈機。
【請求項6】
草刈機において、固定鋏(1)より外周側に配置し、該固定鋏(1)の刃先より高い位置となる刃先保護具(12)を切刃に取り付けることで該固定鋏(1)と該切刃の僅かな空隙にも蔓草の繊維等が入らないようにしたことを特徴とする請求項5に記載した携帯用エンジン草刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−204278(P2006−204278A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49672(P2005−49672)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(301052700)株式会社埼玉富士 (7)
【Fターム(参考)】