草刈機やエッジトリマー等に用いる切断ヘッド
草刈機やエッジトリマー等に用いられ、切断ワイヤ(300)を通す通路(112)と、ワイヤを支持する少なくとも一つの湾曲表面(120)とを備え、表面は、前記通路から前記ワイヤが出る出口部(115)とヘッドの周辺部との間に延在している切断ヘッドである。本発明によると、通路(A)は、ヘッドの回転軸(C)からオフセットするよう延在し、これにより前記回転軸に最も近い縁により構成される内縁を形成し、前記内縁は、ヘッドが回転している間、ワイヤの通過縁に対応し、湾曲部は、前記内縁から延在している。このことにより、ヘッドの直径を大きくすることなく湾曲部の湾曲半径の半径を小さくすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、草刈機やエッジトリマーといった植物をカットする装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この型の装置において、貯蔵部、すなわち繰り出される個々の束の形状を有する一つ又はそれ以上の切断ワイヤは、装置を駆動するモータにより回転する切断ヘッドに堅固に取り付けられ、回転軸に対して略放射状に延在している。
【0003】
基本的な実施の形態において、ワイヤ放出通路は、ヘッドの表面周辺に取り付けられた金属等からなるワイヤ穴により形成されており、ワイヤ穴を通ってヘッドからワイヤの束が放出されている。
【0004】
装置が使用されている間、切断ヘッドは高速で回転し、特に植物の堅い破片(例えば幹)や障害物(例えば岩)により切断ワイヤには高い圧力がかかっている。 このような状況では、ワイヤは、遠心力により半径方向に離脱しやすい。そのため、ワイヤはワイヤ穴の近傍で極端に強くかつ頻繁に折り曲げられるため、しばしば、この場所で切れる。
【0005】
このため、操作者は、(個々のワイヤの束が使用されている場合には)ワイヤを取り替えるか、ヘッドの内部に配置される供給部(糸巻き装置)から新しい長さのワイヤを持ってくる必要があり、そのため操作者の指が直接接近しにくいワイヤ穴近傍でワイヤが切れると操作はかなり困難になる。
【0006】
どちらの場合であっても、この操作はこのように面倒である。
【0007】
切断ヘッドは、湾曲したワイヤ支持部がワイヤ放出口の両側に設けられ、そのことにより上述したように力をかけられる際にワイヤにかかる屈曲力を制限することができるよう、開発されている。このことにより実際に、ワイヤにかかる力を減らすことができ、ワイヤの切れる頻度を減らすことができる。先行技術には、そのような湾曲部に適合するヘッドの例が示されている。
【0008】
これらの先行技術における湾曲部は、小さな直径の円形断面を有するポリアミドのワイヤを用いる場合には有益であることはわかる。このようなワイヤは、過度の疲労を受けることなく湾曲部の湾曲に沿って容易に曲がる。
【0009】
対照的に、(下草をきれいにしたり、とても長い芝生を切断する等の)荒い仕事に用いる切断ワイヤ、すなわち、大きな断面及び/又は(切断部における堅い材料である歯や、ノイズを減らす突起部や凹部等のような)特別な部材が設けられているワイヤには非常に非効率である。そのワイヤは、疲労を受けずにはほとんど曲がることができず、また疲労を受けずに湾曲部にかろうじて沿うこともできない。
【0010】
同時に、切断ヘッドの直径を大幅に増やすことなく湾曲部の湾曲半径を増やすことはできず、そのように切断ヘッドの直径が増えることは、特に大きさ、重さ及び価格の理由から好ましくない。ヘッドの回転軸とその周縁との間に、湾曲部とワイヤを取付けるための部材(特に個々の束のための遮断物や曲がりくねった通路、繰り出し機構を設けるならば繰り出しリール)の両方を設ける必要がある場合には、湾曲部はかなり小さな湾曲半径しか持つことができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、先行技術のこのような制限を緩和し、ヘッドの直径を大きくする必要のない小さな湾曲半径(そして、一又はそれ以上に増加する湾曲半径)を有するワイヤ放出口の湾曲部を備えた切断ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のため、本発明は、草刈機やエッジトリマーに用いる切断ヘッドにおいて、切断ワイヤ(300)を通す通路(112)と、前記ワイヤを支持する少なくとも一つの湾曲表面(120)とを備え、前記表面は、前記通路から前記ワイヤが出る出口部(115)と、前記ヘッドの周辺部との間に延在し、前記通路(A)は、前記ヘッドの回転軸(C)からオフセットするよう延在し、これにより前記回転軸に最も近い縁により構成される内縁を形成し、前記内縁は、ヘッドが回転している間、ワイヤの通過縁に対応し、前記湾曲部は、前記内縁から延在していることを特徴とする切断ヘッドである。
【0013】
好ましいが限定しない切断ヘッドの態様は以下のようなものである。
【0014】
ワイヤ通路は、略直線である。
【0015】
ワイヤ通路は、ヘッドの回転中心から所定の距離だけ離れた位置に配置され、湾曲表面(120)は、少なくとも一部で前記距離よりも大きな湾曲半径を有する。
【0016】
湾曲部は、一定の又は可変の湾曲半径を有する。
【0017】
湾曲部は、ワイヤ通路及び/又はヘッドの周辺部に略接線方向で連結する。
【0018】
第二の湾曲部が、通路の内縁に対向する外縁とヘッドの周辺部との間に設けられている。
【0019】
二つのワイヤ通路と、各々の湾曲部とが設けられている。
【0020】
二つの切断ワイヤは、ヘッドの回転軸の両側方に配置され、各々の通路のワイヤ放出口(115)は、幾何学的にヘッドの逆側に配置されている。
【0021】
切断ワイヤは、多角形の横断面を有する。
【0022】
切断ワイヤは、3mmよりも大きな幅を有する。
【0023】
本発明は、上述された切断ヘッドと、前記ヘッドを回転させるモータとを備えたことを特徴とする草刈機やエッジトリマー等の植物用切断装置も提供する。
【0024】
本発明の他の態様、目的、有益な点は、限定しない実施の形態や添付図面を参照として、本発明の好ましい実施の形態に関する以下の詳細な記載からより明白に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
主要なこととして、図面において、同一または同様の要素又は部分は、可能であれば、同じ参照番号により同定されている。
【0026】
図1乃至図3には、参照番号100として包括的に示される本発明による草刈機やエッジトリマー等に用いる切断ヘッドが示されており、切断ヘッドは、本質的に完全に慣習的な方法で固定装置と共同する対応するプレートだけでなく、固定装置202(ワッシャー、ナット、回転機構)のために設けられる駆動シャフト200の末端に取り付けるのに適している。
【0027】
ここで、切断ヘッドは、駆動シャフト200の回転軸と同軸を有する二つのディスク形状部110a、110bをかぶせて組み立てることにより得られ、切断ヘッドは、二つのディスク形状部の正面をお互いに合わせて、後述するようにワイヤの束を通してこれらの束を保持するように配置される。
【0028】
図1にはシャフト200を組み立てる前の切断ヘッド100が示されており、図2と図3は各々、部分的な切取図と正面図により、シャフト上に取り付けられた切断ヘッドを示している。
【0029】
図4において、ディスク形状部110(図1乃至図3における部分110aと110bの一つ)は、切断ヘッドの完成品を構成している。駆動シャフト200を通すことのできる中心穴110が設けられている。
【0030】
この部分110は、一連の45°のベベル111、111’(外方ベベル)、111”(中心ベベル)を有し、内部では突出した部分の境界を決め、外部では凹んでいる部分の境界を決める。本実施の形態におけるベベルの全体的な外形は、円形であり、この外形から一定の距離の位置に固定されているディスクの外形に従っている。
【0031】
特に、二つのベベル111、111”は直線状にお互い隣接して延在しており、切断ワイヤ束通路の第一領域112の境界になっている。この通路は第一開口部113と第二開口部115において外部に対して開口し、切断ワイヤの束を放出している。領域112が沿って延在する軸Aは、ディスク形状部の中心CからDで示される一定の距離だけ離れて配置されている。
【0032】
開口部113において、ベベルの湾曲半径は小さくなっており、ワイヤの束が配置された場合には、ワイヤの束を単純に導く。
【0033】
ワイヤ放出口115において、ベベル111”は 湾曲した支持部120の形を定め、好ましくは傾斜を変えることなく一方でワイヤ通過部112と連結するとともに、他方で3つのベベルに連結して形成される円状の周辺部に連結している。湾曲した支持部120は、切断時、特に切断ヘッドの回転中に切断を妨げて壊れる原因となる障害物と接触する(切断ヘッドの回転方向は、矢印Fで示されている)場合に、ワイヤの束を支持している。本発明の一つの態様として、ワイヤ通路112が部分110の中心C、すなわち切断ヘッドの回転軸から横方向にオフセットしているので、湾曲した支持部120は、中心Cから幾何学的に延在したワイヤ通路を有する先行技術における湾曲半径よりも遥かにおおきな湾曲半径を有することができるのは重要である。
【0034】
特に先行技術においては、切断ヘッドの中心部は必然的にシャフトにより占有されているので、一方で切断ワイヤの束の固定部を設け、他方で湾曲した支持表面を設けるための軸方向の空間をほとんど得ることができなかった。
【0035】
これに対して、本発明の部材により、湾曲半径Rを遥かに大きくすることができ、湾曲半径Rを距離Dと(少なくとも部分的には)同等、又はかなり大きくすることができる。
【0036】
湾曲した支持部は、(異なる半径の円形部分を有する円、楕円、放射線等といった)あらゆる湾曲した幾何学形状であればよい。特に、一つ又はそれ以上の一定の湾曲した半径及び/又は連続的に変化する湾曲した半径であればよい。
【0037】
湾曲した支持部の湾曲はあまり突出していないので、ワイヤ素材にはあまり力がかからないため、ワイヤの束の疲労と同様に動きはかなり減り、このことは、切断するための(歯等の)部材及び/又は回転する際のノイズを減らす(凹部や突出部等の)部材及び/又は例えば消耗を防止するための(充填したポリアミド等の)異なる材料部を備える現在の切断ワイヤにとってはとても重要なことである。
【0038】
ディスク形状部110は、ワイヤの束の通路部112の断面において、後述するワイヤを固定するシューをうける空洞114も有している。ここでは、この空洞はワイヤ通過部に対し開口するとともに、逆側の側面においてワイヤ通路112の軸Aに対して一定の角度で配向している垂直で斜めになっていない表面と、軸Aから最も離れた表面116の末端に隣接した位置に、後に詳述するようにシュー圧力バネをくさびで留める一方のふさがった凹み117とを有している。
【0039】
また図4に示されるように、穴118は、同様に設計された一又はその他のディスク形状部110を組み立てるネジ又はスタッドを通すのに適している。
【0040】
最終的に図4には、上述した部材に対して180°回転させた対称を有し、第二のワイヤの束のためのいくつかの第二の通路、支持部、固定装置を有する部分110が示されており、これらの部材は、「プライム」符号のついた同じ参照符号により同定される。
【0041】
図5には、図4に示された部材を有する第一のディスク形状部110aと、鏡面対象の対応する部材を有する第二のディスク形状部110bとを、組立てられたときにこれらの全ての部材がもう一方の部分110aに含まれる対応した部材の上部に設けられるよう組立てることにより完成する切断ヘッドがより詳しく示されている。
【0042】
このような組立体は、一定の菱形をしたワイヤ束通路を形成する。略四角形であって、ヘッド内に形成される通路の横断面よりのわずかに小さな横断面の切断ワイヤの束を使用することにより、これらの通路は、各ワイヤの束の隆起部が切断効率を改善して切断するための誘導部を構成するように束を保持する。
【0043】
しかしながら、そのようなヘッドは、ワイヤ通路内でトラップされずに係合するならば、どのような横断面の切断ワイヤの束に使用されてもよい。
【0044】
図4に記載される部材を基にして、図5には、垂直方向に同じ高さに配置されるとともに、正確な半径方向から斜め方向であって正反対の方向へとヘッドからでている二つのワイヤを有する切断ヘッドが示されている。
【0045】
図6は、第三のヘッドの中間部を有する別のディスク形状部110cの正面図である。
【0046】
この部分110cは図4に示されたような二セットの部材を有し、各々は対面し、好ましくは90°オフセットしている。これらの部材セットの一方は部分110aと同様の部材を形成し、これらの部材セットの他方は部分110bと同様の部材を形成する。結果として、中間部110cに合わせるために、部分110aと110bの部材はお互いに90°オフセットしている。
【0047】
このように、完成された切断ヘッドは、正反対に対置した放出口を設けた二つのワイヤの束を有する上層と、正反対に対置した放出口を設け、二つのワイヤの束を有するとともに、第一の上層とは90°オフセットしている下層とを有する。
【0048】
この切断ヘッドは図7に正面図が示されている。この図には113acと113cbで示される二つの開口が示されており、90°オフセットするとともに、二つの高さに配置している。ワイヤを放出する開口はこの図には示されていない。
【0049】
二つの高さにワイヤを配置することにより、ワイヤ高さのプレーン間の距離を選ぶ場合、切断プラント材料を有益に切断することができる。特に、図7において、二つのワイヤ高さの各プレーン間Pab、Pbcの距離H2が(ほぼ通路の高さに対応する)ワイヤの高さH1の1.8倍以上であり、好ましくは同じ高さH1の5倍以下であれば、特に十分に切断することができる。たとえば、幅4mmの四角形の横断面を有するワイヤを用いた場合、対角線はほぼ5.6mmであり、切断プレーン間の高さ方向のオフセットは約10mmより大きくなる。
【0050】
このような構成において、上述したようにワイヤ放出口の互いの角度がオフセットしている場合には、好ましく切断することができる。上述したように放出口が円周方向に規則的に間隔を置いて配置されることが好ましい。
【0051】
しかしながら、(上層の部材と下層の部材の間の角度のオフセットが90°でない場合に特におこる)ワイヤ放出口が不規則な間隔を置いて配置されている場合であっても、満足のいく結果を得ることができる。
【0052】
図8は図7における切断ヘッドを上方から見た概略図を示している。この切断ヘッドには、3つのワイヤの束300が挿入されており、ワイヤの束300はワイヤ放出口115から放出するとともに、開口部113近傍で止められている。この図には、ワイヤの束を受けるための湾曲した支持表面120も示されている。ヘッドの回転方向は矢印Fで示されている。
【0053】
さらに、前述されているように、部分110c型の二つ又はそれ以上の中間部と、二つの末端部110a、110を使用することにより、ヘッドは、あらゆる高さになることができる。
【0054】
例えば、上部と下部の部材が互いに60°オフセットしている中間部を使用し、上方部分と下方部分110a、110bの間に二つの中間部をもうけることにより、円周方向に規則的に配置したワイヤ放出口を有する3層の切断ヘッドを得ることができる。
【0055】
図8Aには、縦方向によって示された、個々のワイヤの束300に用いられるヘッドによって形成された湾曲した支持表面120の斜視図が示されている。
【0056】
湾曲した支持表面は、二つの隣接するディスク形状部110a、110bの湾曲した支持部120a、120b(図5に示されている型)により形成され、湾曲した支持表面は、各々の部分の45°のベベル111”に順次形成されている。
【0057】
そのため、湾曲した支持表面は、90°の角度を有するV字の断面を有し、この断面は通路の放出口におけるワイヤ300の横断面に調和している。このように、支持表面は、あらゆる場合、特に、ワイヤが植物からの抵抗をうけ、支持表面120上に支持されている場合に、切断するのに最適な方向にワイヤを保持するために使用されている。
【0058】
通常、湾曲した支持表面の断面はワイヤの横断面の型に合わせて適用される。この点に関して、円形の横断面を有するワイヤを用いる場合であっても、凹んだ円形断面を有する湾曲した支持部にワイヤを配置することができる。このことにより、ワイヤが前記部分に配置された場合には、切断面においてワイヤの軌道を安定させることにより、ワイヤにかかる疲労を小さくすることができるとともに、切断効率をよくすることができる。特に、このことにより、切断方向(使用時における垂直方向)に対して垂直方向にかかる無駄な動的エネルギーを解消することができる。
【0059】
図9及び図10には、一対のディスク形状部(一の切断レベルを持つ装置の基本構造における部分110aと110b)内に取り付けられているワイヤ固定機構が示されている。この機構は、本体内に配置されたシュー400を有し、シュー400は、一方のディスク形状部110a(図4参照)内に形成された空洞114と、他方のディスク形状部110b内に形成された対応するとともに並列する空洞とによって形成されている。
【0060】
このシュー400は、ワイヤ通路112の軸Aを横断して延在する複数の歯404を有するとともに、前記通路内112において係合された切断ワイヤ300をつかむ第一の面と、上述された第一の面に対して斜めに延在するとともに、本体の後面に配置され、二つのディスク形状部の表面116によって形成される反対の面とを有する。
【0061】
圧力バネ500は、二つのディスク形状部の一方が塞がっている凹み117により連結されて形成されるバネシートと、シューの最も高い部分に配置されるシューの圧力部に形成される凹み408との間で作動する。
【0062】
逆側の側面(前方側面)において、シューはより前方に配置された歯404から上方の斜めに配向している傾斜断面406を有する。
【0063】
予め好ましい長さに切断されているワイヤの切断束300は、放出口115から設けられたワイヤ通路112内で、図9に示す矢印F’の方向で係合されている。このようにして、ワイヤの束は、バネ500の(緩やかな)力と反対方向にシュー400の後部面を押し、本体の後面116、116に対してスライドさせることにより、ワイヤの束を通すのに必要な量だけシューを上昇させることができる。図9に示されるように、図9におけるワイヤの束の左方末端が開口部113に達するまで、ワイヤの束は押されることが好ましい。このようにして、操作者は、ワイヤが固定するシューを超えて十分に係合されていることを確認することができる。前方傾斜断面406によってワイヤの束が導かれることにより、ワイヤの束を正確にシュー400の歯側を通すことができる。
【0064】
典型的には、装置が作動している場合に植物に対する摩擦や衝撃によって、矢印F’の反対方向にワイヤの束に引力がかかるとすぐに、一方向のロックとして機能するシュー400は、歯404を介して把持することにより、増加する引力よりもかなり大きな保持力をワイヤの束300にかけることができ、これは、シューの表面402と共同して曲率効果を与える本体の傾斜表面116、116によるものである。
【0065】
スライドするシューを有する固定機構の特に有益な点は、かみ合うカムなどを有する既知の機構と比較して特に、一方では、シュー本体114、114の後部面116、116によりかなり堅固に支持されているシューによりワイヤの束にかかる保持力をかなり強くすることができるとともに、他方では、ワイヤ300の長さによって、歯404がワイヤと共同して作動する範囲を、既知のカム機構よりも遙かに大きくすることができる。
【0066】
他の有益な点は、(i)ワイヤの束は開口部115を通って通路に容易に挿入されるとともに、開口部113を通って通路から容易に取り除くことができ、開口部113、115はヘッドの周縁に配置されていることと、(ii)固定機構が通路とヘッドの周縁との間に配置され、切断装置上にヘッドを取り付けるための部材(シャフトとナットを設けるための凹み)が設けられるヘッドの中心部が、邪魔さないことである。
【0067】
図9及び図10に示される実施の形態において、図10に示されるように、ワイヤの束を保持する歯404はワイヤを直線状に横断する方向に延在している。
【0068】
他の有益な点によると、ワイヤ束係止部(スライドするシュー、回転するカム又は他のグリップ要素のいずれであっても)は、ワイヤをより良く保持するような形状をしている。
【0069】
このように、図9及び図10において歯404とワイヤとの共同作用は、シューに対向して配置しているワイヤの突起部の位置でのみ行われており、図11及び図12に示されるように、歯はワイヤの形状に合わせた断面を有している。これらの図面には、互いに90°で配向した凹み403を有する断面を形成する二列の歯404a、404bが示されている。結果として、各列の歯は、四角形の横断面の先端の部分において、ワイヤの全体表面や全体表面の実質的な部分と共同して作用するので、ワイヤを保持するためにシューとワイヤとが共同して作用する範囲は、かなり大きくなる。
【0070】
より一般的には、あらゆる凹んだ断面は、ワイヤの横断面の形状に関係なくワイヤをより良く受けるために、シュー400の歯の高さに配置されている。
【0071】
図13には、中心が湾曲して凹んだ断面を有するシュー400の歯の部分と、この凹みの両側に配置された凸状の断面を有する二列の歯404a、404bとが示されている。この場合、歯とワイヤとの二列の接触面により把持力が主に増加する。
【0072】
図11、図12及び図13に示される固定するためのシューにより、記載されたように菱形として設けられた四角形の横断面のワイヤだけでなく、他の多くの横断面をしたワイヤ、特に円形の横断面をしたワイヤに対するワイヤを保持する効率が改善された。
【0073】
図14はその部分について、円形の横断面を有する切断ワイヤを用い、ワイヤを受けるのに適した凸部を有し、ワイヤの湾曲半径と歯の断面の湾曲半径が好ましくは互いに等しくなっている歯の列が使用されている場合を示している。
【0074】
ワイヤに接触する凹んだ断面部分を有するワイヤの係止部は、シューだけでなくカム等の他の要素にも使用することができることがわかる。
【0075】
このように、図15及び図16には、回転軸401上に取り付けられたカム400の助力を受け、圧力バネ500により作動する円形の横断面を有する切断ワイヤ300の固定部が示されている。 歯404は、軸401により形成される回転軸に対して偏心軸をもつ円形部分に配置されている。
【0076】
この実施の形態において、カムは、互いの延在方向に略直線となった2列の歯404a、404bを有しており(図16参照)、これらの列は、中心溝403により分離されていることが示されている。このような歯の断面により、ワイヤの多くの形状に対し、ワイヤをさらに良く留めることができる。
【0077】
当然のことだが、本発明は記載されて示された実施の形態に限定されず、当業者は多くの変形例や修正例を提供することができる。
【0078】
さらに、上述された新しい切断ヘッドの異なる態様は、頻繁に、互いに独立して実行され、また異なる方法で組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施の形態による切断ヘッドの3つの側面図。
【図2】本発明の一実施の形態による切断ヘッドの3つの側面図。
【図3】本発明の一実施の形態による切断ヘッドの3つの側面図。
【図4】本発明による切断ヘッドの一部を構成するディスク形状部の概略平面図。
【図5】切断ヘッドから組み立てられる二つのディスク形状部の断面図。
【図6】他の二つの部分を用いて本発明による別の切断ヘッドを形成することのできるディスク形状中間部の概略断面図。
【図7】組み立てられた状態にある別の切断ヘッドの断面図。
【図8】4つの切断ワイヤの束を有する図7に示された切断ヘッドの概略平面図。
【図8A】一つの束に用いられる切断ヘッドにより決められる湾曲した支持部の斜視図。
【図9】ワイヤの束の固定装置に適した図4に示されるディスク形状部の詳細図。
【図10】図9におけるX−X線に沿った横断面図。
【図11】ワイヤの固定装置の実施の形態の第一の変形例を示す横断面図。
【図12】図11における固定装置に属する固定部材の斜視図。
【図13】ワイヤの固定装置の実施の形態の第二の変形例を示す横断面図。
【図14】ワイヤの固定装置の第三の変形例を示す横断面図。
【図15】ワイヤの固定装置の第四の変形例を示す平面図。
【図16】図15におけるXVI- XVI線に沿った断面図。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、草刈機やエッジトリマーといった植物をカットする装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この型の装置において、貯蔵部、すなわち繰り出される個々の束の形状を有する一つ又はそれ以上の切断ワイヤは、装置を駆動するモータにより回転する切断ヘッドに堅固に取り付けられ、回転軸に対して略放射状に延在している。
【0003】
基本的な実施の形態において、ワイヤ放出通路は、ヘッドの表面周辺に取り付けられた金属等からなるワイヤ穴により形成されており、ワイヤ穴を通ってヘッドからワイヤの束が放出されている。
【0004】
装置が使用されている間、切断ヘッドは高速で回転し、特に植物の堅い破片(例えば幹)や障害物(例えば岩)により切断ワイヤには高い圧力がかかっている。 このような状況では、ワイヤは、遠心力により半径方向に離脱しやすい。そのため、ワイヤはワイヤ穴の近傍で極端に強くかつ頻繁に折り曲げられるため、しばしば、この場所で切れる。
【0005】
このため、操作者は、(個々のワイヤの束が使用されている場合には)ワイヤを取り替えるか、ヘッドの内部に配置される供給部(糸巻き装置)から新しい長さのワイヤを持ってくる必要があり、そのため操作者の指が直接接近しにくいワイヤ穴近傍でワイヤが切れると操作はかなり困難になる。
【0006】
どちらの場合であっても、この操作はこのように面倒である。
【0007】
切断ヘッドは、湾曲したワイヤ支持部がワイヤ放出口の両側に設けられ、そのことにより上述したように力をかけられる際にワイヤにかかる屈曲力を制限することができるよう、開発されている。このことにより実際に、ワイヤにかかる力を減らすことができ、ワイヤの切れる頻度を減らすことができる。先行技術には、そのような湾曲部に適合するヘッドの例が示されている。
【0008】
これらの先行技術における湾曲部は、小さな直径の円形断面を有するポリアミドのワイヤを用いる場合には有益であることはわかる。このようなワイヤは、過度の疲労を受けることなく湾曲部の湾曲に沿って容易に曲がる。
【0009】
対照的に、(下草をきれいにしたり、とても長い芝生を切断する等の)荒い仕事に用いる切断ワイヤ、すなわち、大きな断面及び/又は(切断部における堅い材料である歯や、ノイズを減らす突起部や凹部等のような)特別な部材が設けられているワイヤには非常に非効率である。そのワイヤは、疲労を受けずにはほとんど曲がることができず、また疲労を受けずに湾曲部にかろうじて沿うこともできない。
【0010】
同時に、切断ヘッドの直径を大幅に増やすことなく湾曲部の湾曲半径を増やすことはできず、そのように切断ヘッドの直径が増えることは、特に大きさ、重さ及び価格の理由から好ましくない。ヘッドの回転軸とその周縁との間に、湾曲部とワイヤを取付けるための部材(特に個々の束のための遮断物や曲がりくねった通路、繰り出し機構を設けるならば繰り出しリール)の両方を設ける必要がある場合には、湾曲部はかなり小さな湾曲半径しか持つことができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、先行技術のこのような制限を緩和し、ヘッドの直径を大きくする必要のない小さな湾曲半径(そして、一又はそれ以上に増加する湾曲半径)を有するワイヤ放出口の湾曲部を備えた切断ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のため、本発明は、草刈機やエッジトリマーに用いる切断ヘッドにおいて、切断ワイヤ(300)を通す通路(112)と、前記ワイヤを支持する少なくとも一つの湾曲表面(120)とを備え、前記表面は、前記通路から前記ワイヤが出る出口部(115)と、前記ヘッドの周辺部との間に延在し、前記通路(A)は、前記ヘッドの回転軸(C)からオフセットするよう延在し、これにより前記回転軸に最も近い縁により構成される内縁を形成し、前記内縁は、ヘッドが回転している間、ワイヤの通過縁に対応し、前記湾曲部は、前記内縁から延在していることを特徴とする切断ヘッドである。
【0013】
好ましいが限定しない切断ヘッドの態様は以下のようなものである。
【0014】
ワイヤ通路は、略直線である。
【0015】
ワイヤ通路は、ヘッドの回転中心から所定の距離だけ離れた位置に配置され、湾曲表面(120)は、少なくとも一部で前記距離よりも大きな湾曲半径を有する。
【0016】
湾曲部は、一定の又は可変の湾曲半径を有する。
【0017】
湾曲部は、ワイヤ通路及び/又はヘッドの周辺部に略接線方向で連結する。
【0018】
第二の湾曲部が、通路の内縁に対向する外縁とヘッドの周辺部との間に設けられている。
【0019】
二つのワイヤ通路と、各々の湾曲部とが設けられている。
【0020】
二つの切断ワイヤは、ヘッドの回転軸の両側方に配置され、各々の通路のワイヤ放出口(115)は、幾何学的にヘッドの逆側に配置されている。
【0021】
切断ワイヤは、多角形の横断面を有する。
【0022】
切断ワイヤは、3mmよりも大きな幅を有する。
【0023】
本発明は、上述された切断ヘッドと、前記ヘッドを回転させるモータとを備えたことを特徴とする草刈機やエッジトリマー等の植物用切断装置も提供する。
【0024】
本発明の他の態様、目的、有益な点は、限定しない実施の形態や添付図面を参照として、本発明の好ましい実施の形態に関する以下の詳細な記載からより明白に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
主要なこととして、図面において、同一または同様の要素又は部分は、可能であれば、同じ参照番号により同定されている。
【0026】
図1乃至図3には、参照番号100として包括的に示される本発明による草刈機やエッジトリマー等に用いる切断ヘッドが示されており、切断ヘッドは、本質的に完全に慣習的な方法で固定装置と共同する対応するプレートだけでなく、固定装置202(ワッシャー、ナット、回転機構)のために設けられる駆動シャフト200の末端に取り付けるのに適している。
【0027】
ここで、切断ヘッドは、駆動シャフト200の回転軸と同軸を有する二つのディスク形状部110a、110bをかぶせて組み立てることにより得られ、切断ヘッドは、二つのディスク形状部の正面をお互いに合わせて、後述するようにワイヤの束を通してこれらの束を保持するように配置される。
【0028】
図1にはシャフト200を組み立てる前の切断ヘッド100が示されており、図2と図3は各々、部分的な切取図と正面図により、シャフト上に取り付けられた切断ヘッドを示している。
【0029】
図4において、ディスク形状部110(図1乃至図3における部分110aと110bの一つ)は、切断ヘッドの完成品を構成している。駆動シャフト200を通すことのできる中心穴110が設けられている。
【0030】
この部分110は、一連の45°のベベル111、111’(外方ベベル)、111”(中心ベベル)を有し、内部では突出した部分の境界を決め、外部では凹んでいる部分の境界を決める。本実施の形態におけるベベルの全体的な外形は、円形であり、この外形から一定の距離の位置に固定されているディスクの外形に従っている。
【0031】
特に、二つのベベル111、111”は直線状にお互い隣接して延在しており、切断ワイヤ束通路の第一領域112の境界になっている。この通路は第一開口部113と第二開口部115において外部に対して開口し、切断ワイヤの束を放出している。領域112が沿って延在する軸Aは、ディスク形状部の中心CからDで示される一定の距離だけ離れて配置されている。
【0032】
開口部113において、ベベルの湾曲半径は小さくなっており、ワイヤの束が配置された場合には、ワイヤの束を単純に導く。
【0033】
ワイヤ放出口115において、ベベル111”は 湾曲した支持部120の形を定め、好ましくは傾斜を変えることなく一方でワイヤ通過部112と連結するとともに、他方で3つのベベルに連結して形成される円状の周辺部に連結している。湾曲した支持部120は、切断時、特に切断ヘッドの回転中に切断を妨げて壊れる原因となる障害物と接触する(切断ヘッドの回転方向は、矢印Fで示されている)場合に、ワイヤの束を支持している。本発明の一つの態様として、ワイヤ通路112が部分110の中心C、すなわち切断ヘッドの回転軸から横方向にオフセットしているので、湾曲した支持部120は、中心Cから幾何学的に延在したワイヤ通路を有する先行技術における湾曲半径よりも遥かにおおきな湾曲半径を有することができるのは重要である。
【0034】
特に先行技術においては、切断ヘッドの中心部は必然的にシャフトにより占有されているので、一方で切断ワイヤの束の固定部を設け、他方で湾曲した支持表面を設けるための軸方向の空間をほとんど得ることができなかった。
【0035】
これに対して、本発明の部材により、湾曲半径Rを遥かに大きくすることができ、湾曲半径Rを距離Dと(少なくとも部分的には)同等、又はかなり大きくすることができる。
【0036】
湾曲した支持部は、(異なる半径の円形部分を有する円、楕円、放射線等といった)あらゆる湾曲した幾何学形状であればよい。特に、一つ又はそれ以上の一定の湾曲した半径及び/又は連続的に変化する湾曲した半径であればよい。
【0037】
湾曲した支持部の湾曲はあまり突出していないので、ワイヤ素材にはあまり力がかからないため、ワイヤの束の疲労と同様に動きはかなり減り、このことは、切断するための(歯等の)部材及び/又は回転する際のノイズを減らす(凹部や突出部等の)部材及び/又は例えば消耗を防止するための(充填したポリアミド等の)異なる材料部を備える現在の切断ワイヤにとってはとても重要なことである。
【0038】
ディスク形状部110は、ワイヤの束の通路部112の断面において、後述するワイヤを固定するシューをうける空洞114も有している。ここでは、この空洞はワイヤ通過部に対し開口するとともに、逆側の側面においてワイヤ通路112の軸Aに対して一定の角度で配向している垂直で斜めになっていない表面と、軸Aから最も離れた表面116の末端に隣接した位置に、後に詳述するようにシュー圧力バネをくさびで留める一方のふさがった凹み117とを有している。
【0039】
また図4に示されるように、穴118は、同様に設計された一又はその他のディスク形状部110を組み立てるネジ又はスタッドを通すのに適している。
【0040】
最終的に図4には、上述した部材に対して180°回転させた対称を有し、第二のワイヤの束のためのいくつかの第二の通路、支持部、固定装置を有する部分110が示されており、これらの部材は、「プライム」符号のついた同じ参照符号により同定される。
【0041】
図5には、図4に示された部材を有する第一のディスク形状部110aと、鏡面対象の対応する部材を有する第二のディスク形状部110bとを、組立てられたときにこれらの全ての部材がもう一方の部分110aに含まれる対応した部材の上部に設けられるよう組立てることにより完成する切断ヘッドがより詳しく示されている。
【0042】
このような組立体は、一定の菱形をしたワイヤ束通路を形成する。略四角形であって、ヘッド内に形成される通路の横断面よりのわずかに小さな横断面の切断ワイヤの束を使用することにより、これらの通路は、各ワイヤの束の隆起部が切断効率を改善して切断するための誘導部を構成するように束を保持する。
【0043】
しかしながら、そのようなヘッドは、ワイヤ通路内でトラップされずに係合するならば、どのような横断面の切断ワイヤの束に使用されてもよい。
【0044】
図4に記載される部材を基にして、図5には、垂直方向に同じ高さに配置されるとともに、正確な半径方向から斜め方向であって正反対の方向へとヘッドからでている二つのワイヤを有する切断ヘッドが示されている。
【0045】
図6は、第三のヘッドの中間部を有する別のディスク形状部110cの正面図である。
【0046】
この部分110cは図4に示されたような二セットの部材を有し、各々は対面し、好ましくは90°オフセットしている。これらの部材セットの一方は部分110aと同様の部材を形成し、これらの部材セットの他方は部分110bと同様の部材を形成する。結果として、中間部110cに合わせるために、部分110aと110bの部材はお互いに90°オフセットしている。
【0047】
このように、完成された切断ヘッドは、正反対に対置した放出口を設けた二つのワイヤの束を有する上層と、正反対に対置した放出口を設け、二つのワイヤの束を有するとともに、第一の上層とは90°オフセットしている下層とを有する。
【0048】
この切断ヘッドは図7に正面図が示されている。この図には113acと113cbで示される二つの開口が示されており、90°オフセットするとともに、二つの高さに配置している。ワイヤを放出する開口はこの図には示されていない。
【0049】
二つの高さにワイヤを配置することにより、ワイヤ高さのプレーン間の距離を選ぶ場合、切断プラント材料を有益に切断することができる。特に、図7において、二つのワイヤ高さの各プレーン間Pab、Pbcの距離H2が(ほぼ通路の高さに対応する)ワイヤの高さH1の1.8倍以上であり、好ましくは同じ高さH1の5倍以下であれば、特に十分に切断することができる。たとえば、幅4mmの四角形の横断面を有するワイヤを用いた場合、対角線はほぼ5.6mmであり、切断プレーン間の高さ方向のオフセットは約10mmより大きくなる。
【0050】
このような構成において、上述したようにワイヤ放出口の互いの角度がオフセットしている場合には、好ましく切断することができる。上述したように放出口が円周方向に規則的に間隔を置いて配置されることが好ましい。
【0051】
しかしながら、(上層の部材と下層の部材の間の角度のオフセットが90°でない場合に特におこる)ワイヤ放出口が不規則な間隔を置いて配置されている場合であっても、満足のいく結果を得ることができる。
【0052】
図8は図7における切断ヘッドを上方から見た概略図を示している。この切断ヘッドには、3つのワイヤの束300が挿入されており、ワイヤの束300はワイヤ放出口115から放出するとともに、開口部113近傍で止められている。この図には、ワイヤの束を受けるための湾曲した支持表面120も示されている。ヘッドの回転方向は矢印Fで示されている。
【0053】
さらに、前述されているように、部分110c型の二つ又はそれ以上の中間部と、二つの末端部110a、110を使用することにより、ヘッドは、あらゆる高さになることができる。
【0054】
例えば、上部と下部の部材が互いに60°オフセットしている中間部を使用し、上方部分と下方部分110a、110bの間に二つの中間部をもうけることにより、円周方向に規則的に配置したワイヤ放出口を有する3層の切断ヘッドを得ることができる。
【0055】
図8Aには、縦方向によって示された、個々のワイヤの束300に用いられるヘッドによって形成された湾曲した支持表面120の斜視図が示されている。
【0056】
湾曲した支持表面は、二つの隣接するディスク形状部110a、110bの湾曲した支持部120a、120b(図5に示されている型)により形成され、湾曲した支持表面は、各々の部分の45°のベベル111”に順次形成されている。
【0057】
そのため、湾曲した支持表面は、90°の角度を有するV字の断面を有し、この断面は通路の放出口におけるワイヤ300の横断面に調和している。このように、支持表面は、あらゆる場合、特に、ワイヤが植物からの抵抗をうけ、支持表面120上に支持されている場合に、切断するのに最適な方向にワイヤを保持するために使用されている。
【0058】
通常、湾曲した支持表面の断面はワイヤの横断面の型に合わせて適用される。この点に関して、円形の横断面を有するワイヤを用いる場合であっても、凹んだ円形断面を有する湾曲した支持部にワイヤを配置することができる。このことにより、ワイヤが前記部分に配置された場合には、切断面においてワイヤの軌道を安定させることにより、ワイヤにかかる疲労を小さくすることができるとともに、切断効率をよくすることができる。特に、このことにより、切断方向(使用時における垂直方向)に対して垂直方向にかかる無駄な動的エネルギーを解消することができる。
【0059】
図9及び図10には、一対のディスク形状部(一の切断レベルを持つ装置の基本構造における部分110aと110b)内に取り付けられているワイヤ固定機構が示されている。この機構は、本体内に配置されたシュー400を有し、シュー400は、一方のディスク形状部110a(図4参照)内に形成された空洞114と、他方のディスク形状部110b内に形成された対応するとともに並列する空洞とによって形成されている。
【0060】
このシュー400は、ワイヤ通路112の軸Aを横断して延在する複数の歯404を有するとともに、前記通路内112において係合された切断ワイヤ300をつかむ第一の面と、上述された第一の面に対して斜めに延在するとともに、本体の後面に配置され、二つのディスク形状部の表面116によって形成される反対の面とを有する。
【0061】
圧力バネ500は、二つのディスク形状部の一方が塞がっている凹み117により連結されて形成されるバネシートと、シューの最も高い部分に配置されるシューの圧力部に形成される凹み408との間で作動する。
【0062】
逆側の側面(前方側面)において、シューはより前方に配置された歯404から上方の斜めに配向している傾斜断面406を有する。
【0063】
予め好ましい長さに切断されているワイヤの切断束300は、放出口115から設けられたワイヤ通路112内で、図9に示す矢印F’の方向で係合されている。このようにして、ワイヤの束は、バネ500の(緩やかな)力と反対方向にシュー400の後部面を押し、本体の後面116、116に対してスライドさせることにより、ワイヤの束を通すのに必要な量だけシューを上昇させることができる。図9に示されるように、図9におけるワイヤの束の左方末端が開口部113に達するまで、ワイヤの束は押されることが好ましい。このようにして、操作者は、ワイヤが固定するシューを超えて十分に係合されていることを確認することができる。前方傾斜断面406によってワイヤの束が導かれることにより、ワイヤの束を正確にシュー400の歯側を通すことができる。
【0064】
典型的には、装置が作動している場合に植物に対する摩擦や衝撃によって、矢印F’の反対方向にワイヤの束に引力がかかるとすぐに、一方向のロックとして機能するシュー400は、歯404を介して把持することにより、増加する引力よりもかなり大きな保持力をワイヤの束300にかけることができ、これは、シューの表面402と共同して曲率効果を与える本体の傾斜表面116、116によるものである。
【0065】
スライドするシューを有する固定機構の特に有益な点は、かみ合うカムなどを有する既知の機構と比較して特に、一方では、シュー本体114、114の後部面116、116によりかなり堅固に支持されているシューによりワイヤの束にかかる保持力をかなり強くすることができるとともに、他方では、ワイヤ300の長さによって、歯404がワイヤと共同して作動する範囲を、既知のカム機構よりも遙かに大きくすることができる。
【0066】
他の有益な点は、(i)ワイヤの束は開口部115を通って通路に容易に挿入されるとともに、開口部113を通って通路から容易に取り除くことができ、開口部113、115はヘッドの周縁に配置されていることと、(ii)固定機構が通路とヘッドの周縁との間に配置され、切断装置上にヘッドを取り付けるための部材(シャフトとナットを設けるための凹み)が設けられるヘッドの中心部が、邪魔さないことである。
【0067】
図9及び図10に示される実施の形態において、図10に示されるように、ワイヤの束を保持する歯404はワイヤを直線状に横断する方向に延在している。
【0068】
他の有益な点によると、ワイヤ束係止部(スライドするシュー、回転するカム又は他のグリップ要素のいずれであっても)は、ワイヤをより良く保持するような形状をしている。
【0069】
このように、図9及び図10において歯404とワイヤとの共同作用は、シューに対向して配置しているワイヤの突起部の位置でのみ行われており、図11及び図12に示されるように、歯はワイヤの形状に合わせた断面を有している。これらの図面には、互いに90°で配向した凹み403を有する断面を形成する二列の歯404a、404bが示されている。結果として、各列の歯は、四角形の横断面の先端の部分において、ワイヤの全体表面や全体表面の実質的な部分と共同して作用するので、ワイヤを保持するためにシューとワイヤとが共同して作用する範囲は、かなり大きくなる。
【0070】
より一般的には、あらゆる凹んだ断面は、ワイヤの横断面の形状に関係なくワイヤをより良く受けるために、シュー400の歯の高さに配置されている。
【0071】
図13には、中心が湾曲して凹んだ断面を有するシュー400の歯の部分と、この凹みの両側に配置された凸状の断面を有する二列の歯404a、404bとが示されている。この場合、歯とワイヤとの二列の接触面により把持力が主に増加する。
【0072】
図11、図12及び図13に示される固定するためのシューにより、記載されたように菱形として設けられた四角形の横断面のワイヤだけでなく、他の多くの横断面をしたワイヤ、特に円形の横断面をしたワイヤに対するワイヤを保持する効率が改善された。
【0073】
図14はその部分について、円形の横断面を有する切断ワイヤを用い、ワイヤを受けるのに適した凸部を有し、ワイヤの湾曲半径と歯の断面の湾曲半径が好ましくは互いに等しくなっている歯の列が使用されている場合を示している。
【0074】
ワイヤに接触する凹んだ断面部分を有するワイヤの係止部は、シューだけでなくカム等の他の要素にも使用することができることがわかる。
【0075】
このように、図15及び図16には、回転軸401上に取り付けられたカム400の助力を受け、圧力バネ500により作動する円形の横断面を有する切断ワイヤ300の固定部が示されている。 歯404は、軸401により形成される回転軸に対して偏心軸をもつ円形部分に配置されている。
【0076】
この実施の形態において、カムは、互いの延在方向に略直線となった2列の歯404a、404bを有しており(図16参照)、これらの列は、中心溝403により分離されていることが示されている。このような歯の断面により、ワイヤの多くの形状に対し、ワイヤをさらに良く留めることができる。
【0077】
当然のことだが、本発明は記載されて示された実施の形態に限定されず、当業者は多くの変形例や修正例を提供することができる。
【0078】
さらに、上述された新しい切断ヘッドの異なる態様は、頻繁に、互いに独立して実行され、また異なる方法で組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施の形態による切断ヘッドの3つの側面図。
【図2】本発明の一実施の形態による切断ヘッドの3つの側面図。
【図3】本発明の一実施の形態による切断ヘッドの3つの側面図。
【図4】本発明による切断ヘッドの一部を構成するディスク形状部の概略平面図。
【図5】切断ヘッドから組み立てられる二つのディスク形状部の断面図。
【図6】他の二つの部分を用いて本発明による別の切断ヘッドを形成することのできるディスク形状中間部の概略断面図。
【図7】組み立てられた状態にある別の切断ヘッドの断面図。
【図8】4つの切断ワイヤの束を有する図7に示された切断ヘッドの概略平面図。
【図8A】一つの束に用いられる切断ヘッドにより決められる湾曲した支持部の斜視図。
【図9】ワイヤの束の固定装置に適した図4に示されるディスク形状部の詳細図。
【図10】図9におけるX−X線に沿った横断面図。
【図11】ワイヤの固定装置の実施の形態の第一の変形例を示す横断面図。
【図12】図11における固定装置に属する固定部材の斜視図。
【図13】ワイヤの固定装置の実施の形態の第二の変形例を示す横断面図。
【図14】ワイヤの固定装置の第三の変形例を示す横断面図。
【図15】ワイヤの固定装置の第四の変形例を示す平面図。
【図16】図15におけるXVI- XVI線に沿った断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
草刈機やエッジトリマーに用いる切断ヘッドにおいて、
切断ワイヤ(300)を通す通路(112)と、
前記ワイヤを支持する少なくとも一つの湾曲表面(120)とを備え、
前記表面は、前記通路から前記ワイヤが出る出口部(115)と、前記ヘッドの周辺部との間に延在し、
前記通路(A)は、前記ヘッドの回転軸(C)からオフセットするよう延在し、これにより前記回転軸に最も近い縁により構成される内縁を形成し、
前記内縁は、前記ヘッドが回転している間、前記ワイヤの通過縁に対応し、
前記湾曲部は、前記内縁から延在していることを特徴とする切断ヘッド。
【請求項2】
ワイヤ通路(112)は、略直線であることを特徴とする請求項1記載の切断ヘッド。
【請求項3】
ワイヤ通路(112)は、ヘッドの回転中心(C)から所定の距離(D)だけ離れた位置に配置され、
湾曲表面(120)は、少なくとも一部で前記距離よりも大きな湾曲半径(R)を有することを特徴とする請求項1記載の切断ヘッド。
【請求項4】
湾曲部(120)は、一定の湾曲半径を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の切断ヘッド。
【請求項5】
湾曲部(120)は、可変の湾曲半径を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の切断ヘッド。
【請求項6】
湾曲部(120)は、ワイヤ通路(112)に略接線方向で連結することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の切断ヘッド。
【請求項7】
湾曲部(120)は、ヘッドの周辺部に略接線方向で連結することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の切断ヘッド。
【請求項8】
第二の湾曲部(122)が、通路(112)の内縁に対向する通路(112)の外縁とヘッドの周辺部との間に設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の切断ヘッド。
【請求項9】
二つのワイヤ通路(112、112’)と、各々の湾曲部(120)とが設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の切断ヘッド。
【請求項10】
二つのワイヤ通路(112、112’)は、ヘッドの回転軸の両側方に配置され、
各々の通路のワイヤ放出口(115)は、幾何学的にヘッドの逆側に配置されていることを特徴とする請求項9記載の切断ヘッド。
【請求項11】
切断ワイヤ(300)は、多角形の横断面を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の切断ヘッド。
【請求項12】
切断ワイヤ(300)は、3mmよりも大きな幅を有することを特徴とする請求項11記載の切断ヘッド。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の切断ヘッドと、前記ヘッドを回転させるモータとを備えたことを特徴とする草刈機やエッジトリマーに用いられる植物用切断装置。
【請求項1】
草刈機やエッジトリマーに用いる切断ヘッドにおいて、
切断ワイヤ(300)を通す通路(112)と、
前記ワイヤを支持する少なくとも一つの湾曲表面(120)とを備え、
前記表面は、前記通路から前記ワイヤが出る出口部(115)と、前記ヘッドの周辺部との間に延在し、
前記通路(A)は、前記ヘッドの回転軸(C)からオフセットするよう延在し、これにより前記回転軸に最も近い縁により構成される内縁を形成し、
前記内縁は、前記ヘッドが回転している間、前記ワイヤの通過縁に対応し、
前記湾曲部は、前記内縁から延在していることを特徴とする切断ヘッド。
【請求項2】
ワイヤ通路(112)は、略直線であることを特徴とする請求項1記載の切断ヘッド。
【請求項3】
ワイヤ通路(112)は、ヘッドの回転中心(C)から所定の距離(D)だけ離れた位置に配置され、
湾曲表面(120)は、少なくとも一部で前記距離よりも大きな湾曲半径(R)を有することを特徴とする請求項1記載の切断ヘッド。
【請求項4】
湾曲部(120)は、一定の湾曲半径を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の切断ヘッド。
【請求項5】
湾曲部(120)は、可変の湾曲半径を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の切断ヘッド。
【請求項6】
湾曲部(120)は、ワイヤ通路(112)に略接線方向で連結することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の切断ヘッド。
【請求項7】
湾曲部(120)は、ヘッドの周辺部に略接線方向で連結することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の切断ヘッド。
【請求項8】
第二の湾曲部(122)が、通路(112)の内縁に対向する通路(112)の外縁とヘッドの周辺部との間に設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の切断ヘッド。
【請求項9】
二つのワイヤ通路(112、112’)と、各々の湾曲部(120)とが設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の切断ヘッド。
【請求項10】
二つのワイヤ通路(112、112’)は、ヘッドの回転軸の両側方に配置され、
各々の通路のワイヤ放出口(115)は、幾何学的にヘッドの逆側に配置されていることを特徴とする請求項9記載の切断ヘッド。
【請求項11】
切断ワイヤ(300)は、多角形の横断面を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の切断ヘッド。
【請求項12】
切断ワイヤ(300)は、3mmよりも大きな幅を有することを特徴とする請求項11記載の切断ヘッド。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の切断ヘッドと、前記ヘッドを回転させるモータとを備えたことを特徴とする草刈機やエッジトリマーに用いられる植物用切断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2006−515756(P2006−515756A)
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500333(P2006−500333)
【出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000770
【国際公開番号】WO2004/064492
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(504084306)スピード、フランス (7)
【氏名又は名称原語表記】SPEED FRANCE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000770
【国際公開番号】WO2004/064492
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(504084306)スピード、フランス (7)
【氏名又は名称原語表記】SPEED FRANCE
【Fターム(参考)】
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