説明

荷保管用ラックの荷支持装置

【課題】荷収納区画の左右両隔壁枠2の内側に荷出し入れ方向に長い左右一対の荷受け部材3が水平に架設された荷保管用ラックの荷支持装置に免震構造を採用して耐震性を高める。
【解決手段】荷収納区画1の左右両隔壁枠2の内側に左右一対の荷受け部材3が吊下用リンク9a,9bにより、それぞれ荷収納区画1の前後奥行き方向(X方向)に一定範囲内で前後揺動自在に吊り下げられた荷保管用ラックの荷支持装置であって、隔壁枠2側には、荷受け部材3が重力で安定する垂下位置よりも前方に揺動した位置で当該荷受け部材3を受け止める制止手段12が設けられた構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右両隔壁枠間に形成された荷収納区画に荷支持台が架設された荷保管用ラックの荷支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の荷保管用ラックにおいて、地震時にラックが荷収納区画の前後奥行き方向(荷出し入れ方向)に揺れることによって、保管中の荷が当該ラックの通路側(ラックに沿って設けられた入出庫用クレーンの走行通路のある側)へ荷支持台上を滑動して落下する事故が発生している。このような事故を未然に防止する一つの手段として、各荷収納区画が備える荷支持台を免震構造とすることが考えられている。例えば特許文献1に記載されるように、荷支持台を吊下用リンクで前後揺動自在に吊り下げる免震構造が考えられている。
【特許文献1】実開昭63−178205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載された従来の構成における免震構造では、荷支持台を吊り下げる吊下用リンクが鉛直に垂下する姿勢から前後何れの方向にも揺動し得る構造であって、このため、僅かなラックの揺れに対しても長時間荷支持台が揺れ続けることになり、揺れの減衰効果が全く期待できないので、実用的な免震効果が得られなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得る荷保管用ラックの荷支持装置を提供することを目的とするものであって、請求項1に記載の荷保管用ラックの荷支持装置は、荷収納区画1の左右両隔壁枠2の内側に左右一対の荷受け部材3が吊下用リンク9a,9bにより、それぞれ荷収納区画1の前後奥行き方向(X方向)に一定範囲内で前後揺動自在に吊り下げられた荷保管用ラックの荷支持装置であって、隔壁枠2側には、荷受け部材3が重力で安定する垂下位置よりも前方に揺動した位置で当該荷受け部材3を受け止める制止手段12が設けられた構成となっている。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、具体的には請求項2に記載のように、前記制止手段12は、荷受け部材3の下方に面した底面(帯状水平板部3aの底面)に面接触して当該荷受け部材3を受け止める支持面16aを有するものとすることができる。この場合、請求項3に記載のように、前記吊下用リンク9a,9bは、隔壁枠2を構成する前後一対の支柱材4a,4b間に架設された上側水平部材7に軸支し、前記制止手段12の支持面16aは、隔壁枠2を構成する前後一対の支柱材4a,4b間に架設された下側水平部材8に設けることができる。更にこの場合、請求項4に記載のように、前記上側水平部材7と下側水平部材8とは、隔壁枠2を構成する前後一対の支柱材4a,4bそれぞれに取り付けられた前後一対の取付部材13に両端部を取り付けて一体化することができる。
【0006】
又、請求項5に記載のように、隔壁枠2側には、荷受け部材3の隔壁枠2側に面する垂直面(下側垂直板部3bの内側垂直面)に前後方向相対摺動自在に当接する振れ止め用垂直案内面17aを設けることができる。この場合、請求項6に記載のように、前記制止手段12の支持面16aと前記振れ止め用垂直案内面17aとは、隔壁枠2を構成する前後一対の支柱材4a,4b間に架設された共通の水平部材(下側水平部材8)に設けることができる。更にこの場合、請求項7に記載のように、荷受け部材3は、荷受け面を構成する帯状水平板部3aと、この帯状水平板部3aの内側辺から垂下する下側垂直板部3bと、前記帯状水平板部3aの外側辺から立ち上がる上側垂直板部3cとから構成し、前記吊下用リンク9a,9bは上側垂直板部3cに軸支し、前記帯状水平板部3aの底面に制止手段12の支持面16aを当接させ、前記下側垂直板部3bの内側垂直面に前記振れ止め用垂直案内面17aを当接させることができる。又、請求項8に記載のように、前記制止手段12の支持面16aと前記振れ止め用垂直案内面17aとは、隔壁枠2を構成する前後一対の支柱材4a,4b間に架設された共通の水平部材(下側水平部材8)の上側面に付設された長さ方向複数枚の滑り板16と、当該水平部材(下側水平部材8)の垂直外側面に付設された長さ方向複数枚の滑り板17とで構成することができる。
【0007】
更に、請求項9に記載のように、隔壁枠2を構成する前後一対の支柱材4a,4bは、互いに対向する内側が開放した横断面形状に構成し、前記水平部材(上側水平部材7や下側水平部材8)は、前後両支柱材4a,4bの側壁板部4cに取り付けられた取付部材13に長さ方向両端部を支持させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る荷保管用ラックの荷支持装置によれば、ラックが地震発生時に荷収納区画の前後奥行き方向(荷受け部材の長さ方向)に揺れ動いたとき、ラック(隔壁枠)と荷を支持している荷受け部材との間に前後方向の相対移動が生じ、荷を支持している荷受け部材がラックと一体に同一速度、同一振幅で前後方向に揺れ動くことがなくなる。即ち、ラック(隔壁枠)が前方(荷収納区画が開放している通路側)に揺動するときは、荷受け部材は前後揺動領域の後端位置に重力による慣性により制止されているので、隔壁枠及び吊下用リンクと一体に前方に揺動するが、ラック(支持部材)が後方に揺動するときは、荷を搭載している荷受け部材は慣性によりその位置で留まろうとするので、隔壁枠側から見て荷受け部材は、吊下用リンクの前方への揺動を伴って重力に抗して相対的に前方に揺動することになる。換言すれば、隔壁枠側に荷受け部材が固定されているときのように、ラック(隔壁枠)が後方に揺動するときに荷受け部材上の荷が慣性で当該荷受け部材上を前方に滑動することがなくなり、荷受け部材そのものが搭載している荷と一体に隔壁枠に対し相対的に前方に揺動することになる。そして、ラック(隔壁枠)が後方に揺動し始めた後、荷を搭載している荷受け部材に作用している前方への慣性力よりも吊り下げられている荷受け部材に作用する後方への重力による付勢力が勝ったとき、荷を搭載している荷受け部材が重力で隔壁枠に対しを後方に追従揺動し、元の吊下位置に復帰する。
【0009】
上記作用の繰り返しにより、ラックが地震発生時に荷収納区画の前後奥行き方向(荷受け部材の長さ方向)に揺れ動いたときに、荷受け部材及び当該荷受け部材上の荷が一体に前方に揺れ動くことにより、慣性で荷が荷受け部材上を通路側へ滑動し、場合によっては通路側へ落下してしまう恐れがなくなり、所期の免震効果が得られる。勿論、吊下用リンクの揺動を伴って荷受け部材が前方に相対的に揺動した後は、当該荷受け部材に作用している重力による付勢力が荷受け部材を元の吊下位置に自動復帰させるので、荷受け部材上で荷が滑動しない限り荷の位置が前後方向に不測に変動することはなく、安全に荷を継続保管することができる。
【0010】
而して、上記請求項1に記載の本発明の構成によれば、吊下用リンクで吊り下げられた荷受け部材は、隔壁枠側の制止手段により、当該荷受け部材が重力で安定する垂下位置よりも前方に揺動した位置で受け止められているので、荷受け部材には、前後揺動領域の後端位置に重力で付勢する付勢力が作用することになり、この付勢力よりも大きな前方への外力が荷受け部材に作用しない限り荷受け部材が前方に揺動することがない。従って、ラックが僅かに揺動するだけでは荷受け部材がそれに伴って前後に揺れ動くことがなくなり、障害を伴う恐れのあるような大きな前後方向の揺れが発生したときのみ、所期の免震効果を発揮させることができる。又、平常時には、前後に揺動する恐れのない安定状態にある荷受け部材に対して荷の積み下ろし作業が行えるので、荷の積み下ろし作業を安全におこなうことができる。勿論、バネや重錘、粘弾性体、ガスダンパーなどの特別な付勢手段を併用することなく実施することができるので、容易且つ安価に免震機能を得ることができる。尚、場合によっては、吊下用リンクを制止手段で受け止められる方向に付勢する補助的な付勢手段を併用することは可能である。
【0011】
尚、荷受け部材の後方に面する側辺を受け止めて、重力で後方に揺動しようとする当該荷受け部材を所定の位置に制止させることもできるが、請求項2に記載の構成によれば、前後揺動領域の後端位置で安定しているときの荷受け部材に作用する荷重を当該荷受け部材の底面から制止手段の支持面を介してラックの隔壁枠側に受け止めさせることができ、平常時には、荷受け部材やこれを吊り下げる吊下用リンク、或いはその支点軸などに無理な荷重を作用させないで済み、荷支持装置の耐久性を高めることができる。この場合に請求項3に記載の構成によれば、吊下用リンクや制止手段の隔壁枠に対する取付構造が簡単なものになり、容易に実施することができる。更に、請求項4に記載の構成によれば、吊下用リンクや制止手段の隔壁枠に対する取付作業が一層容易に成る。
【0012】
又、荷受け部材を吊下用リンクで吊り下げる関係で、荷受け部材の吊下位置(吊下用リンクの位置)に対して当該荷受け部材の荷受け面は隔壁枠側から相当離れることになり、従って、荷受け部材上に作用する荷重で吊下用リンクや荷受け部材に左右横方向の曲げ力が作用し、これに打ち勝つためには、吊下用リンクや荷受け部材自体を相当頑強に構成するか又は、左右一対の荷受け部材を荷の積み下ろしに影響しない構造で互いに連結一体化しなければならず、相当のコストアップを免れないが、請求項5に記載の構成によれば、荷受け部材上に作用する荷重で当該荷受け部材が隔壁枠側へ変位しようとする力を隔壁枠側の振れ止め用垂直案内面で受け止めさせることができる。従って、吊下用リンクや荷受け部材自体を軽量安価に構成し得ると共に、左右一対の荷受け部材を荷の積み下ろしに影響しない構造で互いに連結一体化するような必要もなくなり、本発明を容易に実施することができる。
【0013】
上記の請求項5に記載の構成を採用する場合、請求項6に記載の構成によれば、前記制止手段の支持面と前記振れ止め用垂直案内面とを含む荷支持装置全体の構造が簡単になり、隔壁枠に対する取付作業も容易になる。更に、請求項7に記載の構成によれば、荷受け部材自体の構造も簡単になり且つ軽量に構成することができると共に、荷支持装置全体の占有空間を小さくして、ラック全体の収納効率を高めることにも役立つ。
【0014】
又、請求項8に記載の構成によれば、荷受け部材の前後揺動する時の制止手段の支持面と振れ止め用垂直案内面とに摩擦抵抗を少なくすることができ、所期の免震作用を確実に発揮させることができる。
【0015】
更に、請求項9に記載の構成によれば、ラックの隔壁枠を構成する支柱材の側壁板部の左右横方向の弾性変形を利用して、地震発生時のラックの左右横方向の揺れに対し、水平部材と共に荷を搭載した荷受け部材をラックに対して左右横方向に相対移動させることができるので、免震効果をより一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明の荷支持装置が適用できるラックの基本的な構成を示しており、1は上下左右両方向に碁盤目状に配置された荷収納区画であって、左右横方向に隣接する荷収納区画1間には垂直に隔壁枠2が立設され、上下に隣接する荷収納区画1は、左右一対の荷受け部材3によって区切られている。
【0017】
各隔壁枠2は、前後一対の支柱材4a,4bを連結部材5によって互いに連結したラチス構造のものであって、荷収納区画1の背面側では、各隔壁枠2の後側支柱材4bが水平や斜めの連結部材6で連結され、荷収納区画1の正面側、即ち、荷収納区画1に対して荷の出し入れを行う入出庫用クレーンの走行通路側では、荷収納区画1に対する荷の出し入れに邪魔にならないレベルで水平連結材(図示省略)で各隔壁枠2の前側支柱材4aどうしが連結されることが知られている。左右一対の荷受け部材3は、荷収納区画1に対する荷の出し入れ方向、即ち、荷収納区画1の前後奥行き方向(X方向)に長い棒状のもので、その前後両端部が、外側に隣接する隔壁枠2に支持される。
【0018】
以下、本発明の一実施形態を具体的に説明すると、図2に示すように、隔壁枠2の前後両支柱材4a,4b間には、上側水平部材7と下側水平部材8とが架設され、上側水平部材7には、その前後両端近くに前後一対の吊下用リンク9a,9bの上端側が左右横方向の水平支点軸10a,10bにより軸支され、各荷受け部材3は、その前後両端部が前記吊下用リンク9a,9bの下端側に左右横方向の水平支点軸11a,11bにより軸支され、上側水平部材7、荷受け部材3、及び前後一対の吊下用リンク9a,9bにより平行四辺形リンクが形成されており、荷受け部材3は、隔壁枠2に対して前後に平行揺動運動することができる。
【0019】
下側水平部材8には、荷受け部材3を、吊下用リンク9a,9bが鉛直に垂下する安定位置よりも少し前方に揺動した位置において受け止める制止手段12が介装されている。従って、吊下用リンク9a,9bの前後揺動を伴う荷受け部材3の前後揺動領域の後端位置で制止手段12により受け止められた荷受け部材3には、重力により更に後方へ揺動させようとする付勢力が働いている状態であり、荷受け部材3は、当該付勢力により前記前後揺動領域の後端位置に保持されている。
【0020】
前記上側水平部材7は、図3〜図6に示すように倒立L形材から成り、隔壁枠2の前後一対の支柱材4a,4bの側部に取り付けられた前後一対の取付部材13の側面に前後両端部が固定されている。下側水平部材8は、図3〜図6に示すように、上側水平部材7とは向きが逆の倒立L形材から成り、前記前後一対の取付部材13の側面下端部から水平横向きに固着突設されたアーム材14の遊端部に前後両端部が固定されている。尚、隔壁枠2の前後両支柱材4a,4bは、図6に示すように、互いに対向する内側が開放する横断面形状のもので、前記上下両水平部材7,8の両端部を一体化する前後一対の取付部材13は、支柱材4a,4bの横向きに突出する横断面角形の側壁板部4cに外嵌する状態でピン15により係止されている。
【0021】
荷受け部材3は、荷受け面を構成する帯状水平板部3aと、この帯状水平板部3aの内側辺から垂下する下側垂直板部3bと、前記帯状水平板部3aの外側辺から立ち上がる上側垂直板部3cとから成るもので、前記吊下用リンク9a,9bは、上側垂直板部3cの外側に隣接する状態で水平支点軸11a,11bにより軸支されている。而して、図3に示すように当該荷受け部材3は、その帯状水平板部3aが下側水平部材8の上側水平板部8aの上に重なると共に、下側垂直板部3bが下側水平部材8の垂直板部8bの外側に隣接するように位置する。この荷受け部材3と下側水平部材8との間に介装された制止手段12は、前記下側水平部材8の上側水平板部8a上で当該水平部材8の長さ方向前後両端部と中央位置との3箇所に付設された、硬質合成樹脂などの摩擦抵抗の小さな素材から成形された滑り板16によって構成され、荷受け部材3の帯状水平板部3aの底面が各滑り板16の上側面、即ち、制止手段12の支持面16aに面接触状態に当接して支持されている。
【0022】
又、下側水平部材8の垂直板部8bの外側には、前記制止手段12を構成する滑り板16と同一の滑り板17が、水平部材8の長さ方向に関して各滑り板16と同一位置に付設され、各滑り板17の垂直外側面が、荷受け部材3の下側垂直板部3bの内側垂直面に隣接する振れ止め用垂直案内面17aを構成している。これら各滑り板16、17は、四隅を貫通して下側水平部材8側に設けられたネジ孔に螺合する取付ネジ16b,17bで取り付けられているが、当然、各取付ネジは滑り面16,17の作用面(支持面16a、振れ止め用垂直案内面17a)には突出しないように構成されている。
【0023】
上記構成によれば、制止手段12の各滑り板16を介して下側水平部材8に受け止められてる荷受け部材3は、図5に示すように、ラック(隔壁枠2)の前後方向の揺れによって、当該制止手段12で受け止められる前後揺動領域の後端位置から前方の範囲内で、吊下用リンク9a,9bの平行揺動運動を伴って、重力に抗して前後に揺動することができるが、一定以上に前方へ揺動するのを防止するために、換言すれば、荷受け部材3の前後揺動領域の前端位置を規制するために、一定量だけ前方に荷受け部材3が揺動したときに、例えば吊下用リンク9a,9bの内の少なくとも一方の側辺に当接してそれ以上の前方への揺動を阻止するストッパー18を荷受け部材3の上側垂直板部3cの内側に突設しておくことができる。このストッパー18は、上側水平部材7に突設することもできるし、吊下用リンク9a,9bではなく直接荷受け部材3の例えば上側垂直板部3cの上側辺に当接するように上側水平部材7に付設することもできる。
【0024】
地震などによりラックが荷収納区画1の前後奥行き方向(X方向)に揺れ動いたとき、詳細は先に説明した通り、荷を支持している荷受け部材3と、当該荷受け部材3を吊り下げているラック(隔壁枠2)側の上側水平部材7や荷受け部材3を下側から支持している下側水平部材8との間に前後方向の相対揺動が生じ、荷受け部材3に対し当該荷受け部材3上に搭載されている荷が慣性により前方に滑動しなくなるか又は滑動距離が短くなり、荷が荷受け部材3上から前方の通路側(荷収納区画1の開放している側)に落下するなどの危険な事態を回避できるという所期の免震効果が得られる。尚、前方に揺動した荷受け部材3が重力で元の後退限に復帰して下側水平部材8の制止手段12で受け止められたときに荷が慣性で荷受け部材3上を後方に滑動することは考えられるが、最初に説明したように、荷収納区画1の後側、即ち、通路側とは反対側は、ラチス構造の連結部材6や壁板材、或いはラックの設置位置によっては建物の壁などにより閉じられた状態(少なくとも荷が荷収納区画1内から後方には飛び出すことができない状態)が普通であるから、実用上は支障がない。
【0025】
又、上記実施形態では、左右一対の荷受け部材3が互いに離れる外側へ変位することは、下側水平部材8側の振れ止め用垂直案内面17aと荷受け部材3側の垂直側面(下側垂直板部3bの内側垂直面)との当接により阻止されており、荷受け部材3が前後に揺動するときには、下側水平部材8側の振れ止め用垂直案内面17aと荷受け部材3側の垂直側面(下側垂直板部3bの内側垂直面)とが前後方向に相対的に摺接移動する。又、荷受け部材3が重力で前後揺動領域の後端位置に復帰した状態では、当該荷受け部材3の底面(帯状水平板部3aの底面)と下側水平部材8側の水平の支持面16aとが面接触する状態で安定的に支持される。
【0026】
尚、場合によっては、両荷受け部材3間に跨がって荷を載置させたり、当該荷を取り出す、ランニングフォークなどの移載装置による荷の積み下ろしに影響しない状態で、左右一対の荷受け部材3どうしを連結部材により互いに連結一体化しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】A図は荷保管用ラックの基本構成を説明する要部の横断平面図、B図は同要部の正面図である。
【図2】A図は本発明の一実施形態に係る荷支持装置を示す一部切欠き平面図、B図は同荷支持装置の片側を示す側面図である。
【図3】荷支持装置の片側を示す正面図である。
【図4】荷支持装置の片側の要部を示す一部切欠き側面図である。
【図5】同要部の荷受け部材が前方に揺動した状態を示す一部切欠き側面図である。
【図6】同要部の一部切欠き平面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 荷収納区画
2 隔壁枠
3 荷受け部材
3a 帯状水平板部
3b 下側垂直板部
3c 上側垂直板部
4a,4b 隔壁枠の支柱材
7 上側水平部材
8 下側水平部材
9a,9b 吊下用リンク
12 制止手段
13 取付部材
14 アーム材
16,17 滑り板
16a 支持面
17a 振れ止め用垂直案内面
18 ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷収納区画の左右両隔壁枠の内側に左右一対の荷受け部材が吊下用リンクにより、それぞれ荷収納区画の前後奥行き方向に一定範囲内で前後揺動自在に吊り下げられた荷保管用ラックの荷支持装置であって、隔壁枠側には、荷受け部材が重力で安定する垂下位置よりも前方に揺動した位置で当該荷受け部材を受け止める制止手段が設けられている、荷保管用ラックの荷支持装置。
【請求項2】
前記制止手段は、荷受け部材の下方に面した底面に面接触して当該荷受け部材を受け止める支持面を有する、請求項1に記載の荷保管用ラックの荷支持装置。
【請求項3】
前記吊下用リンクは、隔壁枠を構成する前後一対の支柱材間に架設された上側水平部材に軸支され、前記制止手段の支持面は、隔壁枠を構成する前後一対の支柱材間に架設された下側水平部材に設けられている、請求項2に記載の荷保管用ラックの荷支持装置。
【請求項4】
前記上側水平部材と下側水平部材とは、隔壁枠を構成する前後一対の支柱材それぞれに取り付けられた前後一対の取付部材に両端部が取り付けられて一体化されている、請求項3に記載の荷保管用ラックの荷支持装置。
【請求項5】
隔壁枠側には、荷受け部材の隔壁枠側に面する垂直面に前後方向相対摺動自在に当接する振れ止め用垂直案内面が設けられている、請求項2〜4の何れか1項に記載の荷保管用ラックの荷支持装置。
【請求項6】
前記制止手段の支持面と前記振れ止め用垂直案内面とは、隔壁枠を構成する前後一対の支柱材間に架設された共通の水平部材に設けられている、請求項5に記載の荷保管用ラックの荷支持装置。
【請求項7】
荷受け部材は、荷受け面を構成する帯状水平板部と、この帯状水平板部の内側辺から垂下する下側垂直板部と、前記帯状水平板部の外側辺から立ち上がる上側垂直板部とから成るもので、前記吊下用リンクは上側垂直板部に軸支され、前記帯状水平板部の底面に制止手段の支持面が当接し、前記下側垂直板部の内側垂直面に前記振れ止め用垂直案内面が当接する、請求項6に記載の荷保管用ラックの荷支持装置。
【請求項8】
前記制止手段の支持面と前記振れ止め用垂直案内面とは、隔壁枠を構成する前後一対の支柱材間に架設された共通の水平部材の上側面に付設された長さ方向複数枚の滑り板と、当該水平部材の垂直外側面に付設された長さ方向複数枚の滑り板とで構成されている、請求項6又は7に記載の荷保管用ラックの荷支持装置。
【請求項9】
隔壁枠を構成する前後一対の支柱材は、互いに対向する内側が開放した横断面形状のものであって、前記水平部材は、前後両支柱材の側壁板部に取り付けられた取付部材に長さ方向両端部が支持されている、請求項3〜8の何れか1項に記載の荷保管用ラックの荷支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−50129(P2008−50129A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228795(P2006−228795)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】