説明

荷役車両

【課題】荷役装置とコンテナの重量を併せて計量するに際し、車両の走行安定性を保ちつつ、シャシフレームへ集中荷重が作用するのを防止することができる荷役車両を提供する。
【解決手段】コンテナCを地上と車体との間で積み降ろしする荷役装置1をシャシフレーム2上に搭載した荷役車両V。前記荷役装置1を支持するロードセルLと、前記シャシフレーム2上面に配設されており、且つ、その上面に前記ロードセルLを配置するための凹部30が形成された計量フレーム3と、この計量フレーム3の凹部30近傍において当該計量フレーム3に固定された補強部31、33、41、43とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷役車両に関する。さらに詳しくは、車台(シャシフレーム)上に搭載されるコンテナを、当該車台と地上との間で積み降ろしすることができるようにした、脱着式コンテナを備えた荷役車両であって、当該コンテナの重量を計量することができる荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャシフレーム上に搭載される荷役フレームに、リフトアームを前後に起伏回動可能に軸支し、このリフトアームの先部にフックアームを前後に回動可能に設けた、脱着式コンテナを備えた荷役車両が知られている。この荷役車両では、前記フックアーム先端に設けられたフックをコンテナの係合部に係脱可能に係合させ、リフトアームを前後に起伏回動させることにより、コンテナを荷役フレーム上から地上に降ろし、または地上に載置されているコンテナを荷役フレーム上に積み込んでいる。
【0003】
かかる荷役車両は、主として、事業所などでコンテナ内に積載された廃棄物を処理施設又は処分場に搬送するのに用いられており、従来、コンテナ単位で処理料金が設定されていたが、廃棄物(内容物)の量により搬送や処理のコストが異なってくることから、最近では、コンテナ内に積載された廃棄物の重量に応じて課金することが行われている。
この場合、コンテナ内の内容物の計量を行うために、コンテナ自体にロードセルなどの重量計を付設すると、すべてのコンテナについて重量計が必要となり、高価なものになってしまう。
【0004】
そこで、ロードセルを車両に搭載し、コンテナを車体上(走行位置)まで積み込んだときに当該コンテナの重量をロードセルで計量することが提案されている(特許文献1参照)。この特許文献1記載の荷役車両では、シャシフレーム上に固定されたサブフレームの前後左右の4箇所にロードセルを設け、コンテナを車体上に完全に積み込んだ走行位置において、前記4つのロードセルの検出値からコンテナの重量を計量している。
そして、特許文献1記載の荷役車両では、荷役装置を構成するサブフレーム上にロードセルを配設しているので、シャシフレームに作用する荷重を分散させることができ、集中荷重による当該シャシフレームへの悪影響を防止することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2007−15445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の荷役車両では、前記荷役装置とコンテナとが接触する可能性があるため精度の高い計量結果を得るのが難しい。
これに対し、前記サブフレームを含む荷役装置ごとコンテナを計量することにより計量の精度を上げることができるが、シャシフレーム上に直接ロードセルを配設し、このロードセルによりサブフレームを支持すると、シャシフレームに集中荷重が作用するため、当該シャシフレームに悪影響が及ぶことがある。
【0007】
そこで、シャシフレーム上に計量フレームを配置し、この計量フレームの上面にロードセルを配設することで、シャシフレームに作用する荷重を分散させることが考えられる。
しかしながら、高さ方向の寸法を大きくして、剛性を高くした計量フレームを用いると、荷重を分散させる範囲を広くして、シャシフレームへの影響を小さくすることができるが、車両の重心が高くなることから、走行安定性が損なわれる惧れがある。
【0008】
一方、重心を低くするために、計量フレームの高さ方向の寸法を抑えると、剛性が小さくなって荷重を分散させる範囲が狭くなり、その結果、シャシフレームに対して集中荷重と同様の荷重を与えることになり、軽量フレーム採用のメリットがない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、荷役装置とコンテナの重量を併せて計量するに際し、車両の走行安定性を保ちつつ、シャシフレームへ集中荷重が作用するのを防止することができる荷役車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の荷役車両は、コンテナを地上と車体との間で積み降ろしする荷役装置をシャシフレーム上に搭載した荷役車両であって、
前記荷役装置を支持するロードセルと、
前記シャシフレーム上面に配設されており、且つ、その上面に前記ロードセルを配置するための凹部が形成された計量フレームと、
この計量フレームの凹部近傍において当該計量フレームに固定された補強部と
を備えており、この補強部が、前記凹部の車幅方向の内側及び外側の少なくとも一方に設けられていることを特徴としている。
【0011】
本発明の荷役車両では、シャシフレーム上面に配設した計量フレームを介して荷重をシャシフレームに伝達するに際し、当該計量フレームの上面に凹部を形成し、この凹部にロードセルを配置しているので、高さ方向の寸法の増加を抑えることができ、これにより車両の重心が高くなるのを抑えて、車両の走行安定性を確保することができる。
また、前記凹部を形成することにより当該凹部周辺の計量フレームの剛性が小さくなるが、凹部近傍(凹部の車幅方向の内側及び外側の少なくとも一方)における当該計量フレームに補強部を固定しているので、この補強部により凹部周辺の剛性を高めることができる。その結果、凹部周辺においてシャシフレームに集中荷重が作用するのを防止することができる。
【0012】
前記凹部が、シャシフレームを支持する後部車両支持部の上方に配置されているのが好ましい。この場合、荷重の一部を後部車両支持部に支持させることができるので、計量フレームのサイズを小さくして、その分計量フレームの軽量化をはかることができる。これにより、荷役装置を軽量化して、積載量を増加させることができる。
【0013】
前記計量フレームが、車両進行方向に沿って車幅方向左右に並設された一対の縦部材と、この縦部材に形成された凹部におけるロードセル配置箇所の車両進行方向の前部同士及び後部同士をそれぞれ連結する横部材とを含んでいるのが好ましい。この場合、前記凹部を含む部分がフレーム構造となるので、当該凹部に加わるねじれに抵抗することができ、当該ねじれによるロードセルの計量誤差を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の荷役車両によれば、車両の走行安定性を保ちつつ、シャシフレームへ集中荷重が作用するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の荷役車両の実施の形態を詳細に説明する。
図1〜5は、本発明の一実施の形態に係る荷役車両Vの側面説明図であり、コンテナCの積込み完了時(走行時)の状態(図1)、コンテナCの積込み開始直前の状態(図2)、コンテナCの積込み途中の状態(図3〜4)、及びコンテナCのダンプ時の状態(図5)をそれぞれ示している。
【0016】
前記荷役車両Vは、コンテナCを地上と車体との間で積み降ろしする荷役装置1をシャシフレーム2上に搭載しており、このシャシフレーム2の前部に運転室Dが設けられている。そして、この運転室Dの後方において、前記シャシフレーム2上に、後に詳述する計量フレーム3を介して、荷役装置1を構成する荷役フレーム4が搭載されている。
【0017】
荷役フレーム4は、図6に示されるように、左右(車両進行方向に向かって左右。以下同様)の縦桁4aと、この縦桁4aを連結する複数の横桁4bとによって方形の枠状に形成されている。荷役フレーム4の後端左右には、案内ローラ5が回転自在に軸支されている。これらの案内ローラ5によって、荷役フレーム4上に脱着可能に搭載されるコンテナCが誘導案内される。
【0018】
前記荷役フレーム4の後部には、ダンプアーム6が後方に傾動可能に設けられている。このダンプアーム6は、左右の縦桁の後端に横桁を一体に形成して前端を開放した平面視フォーク状に形成されており、その後端が、前記左右の案内ローラ5の回転軸線と同じ軸線回りに前後方向に傾動できるように軸支されている。前記ダンプアーム6の前端部寄りの中間部には、ブラケットを介して単一の角筒体からなるリフトアーム7の後端(基端)が前後方向に起伏回動自在に軸支されている。
【0019】
前記リフトアーム7は、荷役フレーム4の左右中間部を前後方向に延びており、その後部はダンプアーム6と前後方向に重なり合っているが、その大部分はダンプアーム6よりも前方に延設されている。荷役フレーム4の前部と、リフトアーム7の中間部との間には、復動油圧シリンダからなる一対のリフトシリンダ8が連結されている。これらのリフトシリンダ8は、リフトアーム7の左右両側を前後方向に延びており、それらの同調伸縮作動により、図2〜4に示されるように、リフトアーム7を回動中心、すなわち軸支部回りに前後に起伏回動させることができる。
【0020】
リフトアーム7の前端部には、フックアーム10の基端が前後方向に回動可能に連結されている。このフックアーム10は、側面視L字状に形成されており、その先端にフック11が一体に設けられている。このフック11は、コンテナCの前面上部に設けられたリフトバー22に係脱自在である。
【0021】
前記リフトアーム7の前部と、フックアーム10の中間部との間には、当該フックアーム10を駆動させるための駆動手段である、復動油圧シリンダからなるフックシリンンダ12が連結されている。このフックシリンダ12の伸縮作動により、フックアーム10をシャシフレーム2の前後方向に起伏回動させることができ、これによりコンテナCを、荷役フレーム4上を後方に移動させることができる。
【0022】
前記リフトアーム7、フックアーム10及びダンプアーム6の左右両側には、これらのアームに跨って当該リフトアーム7とダンプアーム6とを前後方向に直線状に一体に固縛し、またその固縛を解除するための左右一対の固縛機構(図示せず)が設けられている。
前記コンテナCは、有蓋の箱状に形成されており、その前部両側及び後部両側は、補強桁20により補強されている。コンテナCの後面は開放されており、その開放面はリヤゲート21により閉じられている。また、コンテナCの前壁上部に、前記フックアーム10のフック11と係脱可能な係合部であるリフトバー22が設けられている。コンテナCの底部の前後には、キャスタからなる複数の走行輪23が軸支されている。
【0023】
本実施の形態に係る荷役車両Vは、荷役装置1がロードセルLのみにより支持されており、ロードセルLを用いてコンテナCと荷役装置1とを併せた重量を計量しており、前記ロードセルLは、シャシフレーム2上に配設された計量フレーム3に配設されている。
この計量フレーム3は、図7〜8に示されるように、左右の縦部材3aと、この縦部材3aを連結する4本の横部材3bとによって略枠状に形成されている。縦部材3a及び横部材3bは、いずれも角筒体からなっており、互いに溶接により接合されている。計量フレーム3の前部左右と後部左右には、ロードセルLを配置するための凹部30が形成されている。すなわち、凹部30は、計量フレーム3の前部左右と後部左右の4箇所に形成されており、各凹部30にロードセルLが配置される。
【0024】
図11は、計量フレーム3の前部に形成される凹部30を示しており、図12は、同じく計量フレーム3の後部に形成される凹部30を示している。計量フレーム3の前部では、縦部材3aの切断端面に横部材3bの端部側面が溶着されており、一対の横部材3bの端部側面(縦部材3aの切断端面が溶着された側面と反対側の側面)間に断面L字状の型鋼からなる第1補強部材31が溶着されている。この第1補強部材31の短辺上面に、帯状の鋼板からなる載置台32が溶着されている。また、第1補強部材31の長辺の背面(短辺が延設される側と反対側の面)には、断面略コの字状の型鋼からなる第2補強部材33が溶着されている。第2補強部材33は、図9に示されるように、その開口側が前記第1補強部材31の長辺の背面に当接するように、当該第1補強部材31に溶着されている。
【0025】
そして、前記載置台32と第1補強部材31の長辺とによって、ロードセルLを配置するための凹部30が形成されている。なお、図11において、34は、縦部材3aと横部材3bの接合部分を補強するための3角形状の鋼板からなる補強材である。
【0026】
一方、計量フレーム3の車両後方の凹部30までは、縦部材3aにより構成されており、この端面に方形の鋼板からなる蓋部材40が溶着されており、この蓋部材40に断面L字状の型鋼からなる第1補強部材41が溶着されている。そして、この第1補強部材41の後端部が横部材3bの端部側面に溶着されている。前記第1補強部材41の短辺上面に、帯状の鋼板からなる載置台42が溶着されており、また、第1補強部材41の長辺の背面には、断面略コの字状の型鋼からなる第2補強部材43が溶着されている。第2補強部材43は、図10に示されるように、その開口側が前記第1補強部材41の長辺の背面に当接するように、当該第1補強部材41に溶着されている。計量フレーム3の後部においては、シャシフレーム2と計量フレーム3の固縛用のUボルト(図示せず)を取り付けるためのスペースを確保するために、前記第2補強部材43の背面に横部材3bの切断端面が溶着されている。
本実施の形態では、第1補強部材31、41及び第2補強部材41、43からなる、凹部30の補強部は、当該凹部30の車幅方向内側に設けられている。従って、デッドスペースを活用して補強部の配置が可能となる。
【0027】
そして、前記載置台42と第1補強部材41の長辺とによって、ロードセルLを配置するための凹部30が形成されている。なお、図12において、44は、縦部材3aと横部材3bの接合部分を補強するための3角形状の鋼板からなる補強材である。
前記4箇所の凹部30の車両前後方向の寸法は、いずれも後述するロードセルLの長手方向の寸法と略同じであり、各凹部30の前後に横部材3bが固定される構成となっている。これにより、計量フレーム3全体がねじれても、前記横部材3bに挟まれた凹部30や、第1補強部材31、41及び第2補強部材33、43からなる補強部がねじれにくくなる。その結果、凹部30上面に配置されるロードセルLのねじれを減少し、検出誤差を小さくすることができる。
【0028】
また、図9及び図11に示されるように、第1補強部材31及び第2補強部材33は、いずれもシャシフレーム2よりも上方であり、且つ荷役フレーム4よりも下方に配置されている。換言すれば、第1補強部材31及び第2補強部材33は、いずれもシャシフレーム2上端面よりも下方に突出せず、且つ荷役フレーム4下端面よりも上方に突出していない。このように、両補強部材が干渉しないように配置されていることから、シャシフレーム2及び荷役フレーム4の設計が容易になる。
また、載置台32を中実のプレートで構成しているので当該載置台32の変形を抑制することができ、これにより、ロードセルLによる計量誤差を低減させることができる。さらに、載置台32が中実のプレートからなっているので、当該載置台32にねじ穴を形成して、ロードセルLをボルトで固定することができる。したがって、シャシフレーム2側にボルトの頭部などを突出させることなく、ロードセルLを固定させることができる。
【0029】
図13は、前記4箇所の凹部30にそれぞれ配置されるロードセルLの説明図であり、(a)は平面説明図、(b)は側面説明図である。ロードセルLは、前記載置台32、42に固定される帯状の鋼板からなる下部材51と、この下部材51上面にキャップボルト52により固定される角柱状の上部材53とを備えている。上部材53の下面の中央付近には、当該上部材53の全幅に亘る凹所ないしは切欠が形成されており、上部材53を下部材51上面に配置したときに、前記凹所ないしは切欠と下部材51上面とにより、スリット54が形成される。そして、このスリット54の上側表面にひずみゲージ55が貼付されている。このひずみゲージ55に、その一端が制御装置(図示せず)の入力部に接続された配線の他端が接続されている。
【0030】
ロードセルLは、自身に加わった荷重に応じた電圧値を出力し、当該ロードセルLの出力電圧を制御装置へ入力することにより、個々のロードセルLに負荷された荷重を知ることができ、本実施の形態の場合、制御装置が4個のロードセルLへの荷重を合計する演算を行うことで、コンテナCと荷役装置1との総重量を得ることができる。前述したように、ロードセルLにはスリット54が設けられており、当該ロードセルLに荷重が作用すると、図14に模式的に示されるように、前記スリット54の上側の面に貼付されたひずみゲージ55も変形する。ロードセルLに圧縮荷重Cpが作用すると、図14の(a)に示されるように、ひずみゲージ55が引張変形し、当該ひずみゲージ55の抵抗値を増加させることで、ロードセルLの出力電圧Vが増加する。この増加率は、例えば圧縮荷重10tに対して、+1.7mVに設定することができる。一方、ロードセルLに引張荷重Tが作用すると、図14の(b)に示されるように、ひずみゲージ55が圧縮変形し、当該ひずみゲージ55の抵抗値を減少させることで、ロードセルLの出力電圧Vが減少する。この減少率は、例えば圧縮荷重10tに対して、−1.7mVに設定することができる。なお、ロードセルLへの荷重がない状態での出力電圧は±0Vである。
【0031】
制御装置は、ロードセルLにより得られるコンテナCと荷役装置1との総重量から、予め当該制御装置の記憶手段に記憶されている荷役装置1の重量を減算することにより、積載物の重量、すなわちコンテナCの重量(コンテナ自体の重量+内容物の重量)を算出し、さらにこの値から空のコンテナCの重量を減算することにより、コンテナC内に積載されている内容物の重量を算出する。得られたコンテナCの重量及び内容物の重量は、液晶ディスプレイなどの表示手段に表示される。この表示されたコンテナCの重量より、ユーザは、過積載であるか否かを容易に知ることができる。なお、過積載であるときに、ランプやブザーなどの警報手段を用いてユーザに警報を発するようにすることもできる。また、前記内容物の重量は、処理費用を算出する際に利用される。
【0032】
つぎに、前述した荷役車両VにおけるコンテナCの積込み操作及び積み降ろし操作について説明する。
まず、コンテナCを車両から積み下ろす場合、荷役車両Vのシャシフレーム2上にコンテナCが搭載されている状態(図1参照)からフックシリンダ12の伸長作動によりフックアーム10を後方に傾動すると、コンテナCはこのフックアーム10により、左右の案内ローラ5上を後方に押されて、後方に移動する。さらにフックアーム10を後方に回動させると、前記固縛装置が解除され、リフトアーム7はダンプアーム6に対して自由に回動できるようになる。
【0033】
ついで、リフトシリンダ8を伸長作動させると、リフトアーム7はフックアーム10とともに傾動する。これによりコンテナCは、左右の案内ローラ5に案内されて4シャシフレーム2上を後方に移動し、ついでコンテナCは左右の案内ローラ5の回転中心を支点として後方に移動し、その後部下縁が地上に着地する(図3参照)
リフトシリンダ8が伸長を継続して最伸長して後方回動終端位置(図2参照)に至れば、フックアーム10は下向きとなって、コンテナCは地上に降ろされる。ここで、フックアーム10先端のフック11をリフトバー22より外せば、コンテナCは荷役車両Vから分離される。
【0034】
なお、荷役フレーム4上にコンテナCが搭載されている状態、すなわちフックアーム10が格納位置にある状態(図1参照)のままリフトシリンダ8を伸長すれば、前記固縛装置は固縛状態を維持してダンプアーム6とリフトアーム7とを一体に固縛しているので、図5に示されるように、両アーム6、7は一体となって後方に傾動し、コンテナCをダンプ上げさせて、当該コンテナC内の収容物を外部に排出することができる。
【0035】
一方、地上に降ろされているコンテナCをシャシフレーム2上に積み込む場合、地上に降ろされているコンテナCの前方に、適宜の間隔をあけて荷役車両Vを縦列駐車させた後、リフトアーム7をフックアーム10とともに後方終端位置までフル回動させる。
つぎに、荷役車両Vを後退させ、フックアーム10を揺動操作するなどして当該フックアーム10先端のフック11をコンテナCの前端部のリフトバー22に係合させる。その後、リフトシリンダ8の収縮作動によりリフトアーム7をフックアーム10とともに前方に回動させると、コンテナCは持ち上げられつつ荷役車両V側に移動し(この移動途中においては、コンテナCの重量はフック11と地面により支持される)、やがてコンテナCの底部が案内ローラ5に接触して、当該案内ローラ5に案内されつつさらに荷役車両V側に移動する(図3参照。コンテナCが案内ローラ5に案内されつつ移動しているとき、当該コンテナCの重量は、フック11、案内ローラ5及び地面により支持される)。
【0036】
引き続きリフトシリンダ8を収縮作動させると、コンテナCの走行輪23が地上から離れる(図4参照)。このとき、コンテナCの重量は、フック11と案内ローラ5により、すなわち荷役装置1のみで支持され、当該コンテナCの重量は前記案内ローラ5及びフック11(フックアーム10)を介して、荷役装置1の重量とともに、計量フレーム3上のロードセルLに負荷される。したがって、コンテナCの走行輪23が地上から離れた時点でコンテナCの重量を計量することができる。
【0037】
前記積込み動作においては、フックアーム10の回動によるコンテナCの前方移動により、図示しないロック装置によってコンテナCと荷役フレーム4が係合され、当該コンテナCの跳ねあげを防止している。前記特許文献1記載の荷役車両では、サブフレームに固定されたロードセルがコンテナを支持することで当該コンテナの重量を計量しているが、ロック装置を介してサブフレームとコンテナが接触していることから、計量の精度が低くなる。これに対し、本実施の形態では、計量フレーム3に固定されたロードセルLが、コンテナCを搭載した荷役フレーム4を計量しており、荷役フレーム4はコンテナCのみと接触していることから、すなわちロック装置によって計量フレーム3と荷役フレーム4とが接触しないことから、高精度の計量を行なうことができる。
【0038】
なお、本実施の形態では、コンテナCと車両後端との接触を回避するために、前記案内ローラ5が車両後端部近傍に配置されており、車両後端部近傍において前記コンテナCの後端部を支持している(図15参照)。また、図15に示されるように、シャシフレーム2にスプリングハンガ17を固定し、スプリングハンガ17に板バネ15を介して後輪RTを支持することで地面の凹凸による車体の振動を吸収している。前記凹部30は、スプリングハンガ17がシャシフレーム2と固定される後部車両支持部16の上方に配置されているので、荷重の一部を後輪RTに直接支持させることができる。これにより、計量フレーム3のサイズを小さくして、その分計量フレーム3の軽量化をはかることができる。その結果、荷役装置1を軽量化して、積載量を増加させることができる。
【0039】
また、後部凹部が後部車両支持部16のうち、後後部車両支持部16aの上方に配置されていることから、当該後部凹部に配設され、荷役装置1及びコンテナCの重量を支持するロードセルLと案内ローラ5との距離が短くなり、これにより、荷役フレーム4の後部の変形が小さくなくため、当該荷役フレーム4の後部が破損するのを防止することができる。
後部凹部を後部車両支持部16のうち、後前部車両支持部16bの上方に配置することもできる。このとき、前部凹部と後部凹部の車両前後方向の距離を短くすることができ、荷役フレーム4がロードセルによって支持される距離も短くなり、荷役フレーム4の中央部の変形が小さくなるため、当該荷役フレーム4の中央部が破損するのを防止することができる。
【0040】
リフトシリンダ8の収縮作動完了後、フックシリンダ12を収縮作動させることにより、フックアーム10は格納位置に回動され、図1に示されるように、コンテナCの荷役車両Vへの積込みが完了する。
【0041】
本実施の形態に係る荷役車両Vでは、荷役装置1を支持するロードセルLがシャシフレーム2上に配設されており、制御装置によって、前記ロードセルLに負荷される重量から前記荷役装置1の重量が減算され、得られた結果が表示されるので、地上に載置されたコンテナCが地上から離れ、当該コンテナCの重量が荷役装置1に支持されるに至った時点で、すなわちコンテナ積込途中において、コンテナC及び荷役装置1の合計重量を計量することができる。したがって、従来の走行位置における計量に比べ、短時間でコンテナ内の積載物の重量を把握することができ、また過積載のチェックを行うことができる。
【0042】
また、シャシフレーム2上面に配設した計量フレーム3を介してコンテナC及び荷役装置1の荷重をシャシフレーム2に伝達しているので、当該シャシフレーム2に集中荷重が作用するのを防ぐことができる。その際、計量フレーム3の上面に凹部30を形成し、この凹部30にロードセルLを配置しているので、高さ方向の寸法の増加を抑えることができ、これにより車両の重心が高くなるのを抑えて、車両の走行安定性を確保することができる。なお、前記凹部30を形成することにより当該凹部30周辺の計量フレーム3の剛性が小さくなるが、本実施の形態では、凹部30近傍における当該計量フレーム3に、第1補強部材31、41及び第2補強部材33、43からなる補強部を固定しているので、この補強部により凹部周辺の剛性を高めることができる。その結果、凹部周辺においてシャシフレームに集中荷重が作用するのを防止することができる。
【0043】
また、計量フレーム3は、シャシフレーム2の左右の縦桁上面に配設された縦部材3aと、この縦部材3aに形成された凹部30におけるロードセル配置箇所の車両進行方向の前端同士及び後端同士をそれぞれ連結する横部材3bとを含んでいるので、前記凹部30を含む部分がフレーム構造となり、その結果、当該凹部30に加わるねじれに抵抗することができる。これにより、当該ねじれによるロードセルLの計量誤差を抑制することができる。
【0044】
なお、荷役装置1を構成するリフトアーム7やフックアーム10として、他の公知の機構を適宜採用することでき、例えば、フックアーム10としてはスライド式のものを用いることもできる。さらに、ロードセルLとして、ビーム型(片持ち式)のロードセルを用いることもできる。
また、計量フレーム3の凹部30は、適当な補強部を配設することにより、当該計量フレーム3の縦部材3aの全長に亘って設けることができる。
さらに、計量フレーム3の補強部は、凹部30の車幅方向内側に限らず、車幅方向外側に設けてもよいし、内側及び外側の両方に設けてもよい。
また、補強部を設ける際に、第1補強部材31を用いずに角パイプや鋼板等を直接載置台32の側面に固定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】コンテナの積込み完了時(走行時)の状態を示す、本発明の荷役車両の一実施の形態の側面説明図である。
【図2】コンテナの積込み開始直前の状態を示す、図1の荷役車両の側面説明図である。
【図3】コンテナの積込み途中であって、当該コンテナの走行輪が地面に接触した状態を示す、図1の荷役車両の側面説明図である。
【図4】コンテナの積込み途中であって、当該コンテナの走行輪が地面から離れて、コンテナ後部が案内ローラに支持された状態を示す、図1の荷役車両の側面説明図である。
【図5】コンテナのダンプ時の状態を示す、図1の荷役車両の側面説明図である。
【図6】図1に示される荷役車両における荷役装置の平面説明図である。
【図7】軽量フレームの車幅方向片側の平面説明図である。
【図8】軽量フレームの側面説明図である。
【図9】図7のA−A線断面図である。
【図10】図7のB−B線断面図である。
【図11】軽量フレームにおける車両前側凹部の斜視説明図である。
【図12】軽量フレームにおける車両後側凹部の斜視説明図である。
【図13】ロードセルの説明図であり、(a)は平面説明図、(b)は側面説明図である。
【図14】ロードセルの作用を説明する図であり、(a)は圧縮荷重作用時、(b)は引張荷重作用時の説明図である。
【図15】図1に示される荷役車両の後輪付近の拡大説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 荷役装置
2 シャシフレーム
3 計量フレーム
4 荷役フレーム
4a 縦桁
4b 横桁
5 案内ローラ
6 ダンプアーム
7 リフトアーム
8 リフトシリンダ
9 軸支部
10 フックアーム
11 フック
12 フックシリンダ
15 板バネ
22 リフトバー
30 凹部
31 第1補強部材
32 載置台
33 第2補強部材
41 第1補強部材
42 載置台
43 第2補強部材
51 下部材
53 上部材
54 スリット
55 ひずみゲージ
C コンテナ
D 運転室
L ロードセル
RT 後輪
V 荷役車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナを地上と車体との間で積み降ろしする荷役装置をシャシフレーム上に搭載した荷役車両であって、
前記荷役装置を支持するロードセルと、
前記シャシフレーム上面に配設されており、且つ、その上面に前記ロードセルを配置するための凹部が形成された計量フレームと、
この計量フレームの凹部近傍において当該計量フレームに固定された補強部と
を備えており、この補強部が、前記凹部の車幅方向の内側及び外側の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする荷役車両。
【請求項2】
前記凹部が、シャシフレームを支持する後部車両支持部の上方に配置されている請求項1に記載の荷役車両。
【請求項3】
前記計量フレームが、車両進行方向に沿って車幅方向左右に並設された一対の縦部材と、この縦部材に形成された凹部におけるロードセル配置箇所の車両進行方向の前部同士及び後部同士をそれぞれ連結する横部材とを含んでいる請求項1〜2のいずれかに記載の荷役車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−296623(P2008−296623A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142012(P2007−142012)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)