説明

荷役車輌における積載物の重量測定装置

【課題】現場などで精度の高い正確な積載物の重量測定を迅速に且つ簡単に行うことのできる荷役車輌における積載物の重量測定装置を提供する。
【解決手段】荷役装置2に備えられたダンプシリンダ24の伸縮動作によりコンテナCを車体1上と地上との間で積降ろし自在になされた荷役車輌において、車体1の後端部には、コンテナCを車体1と地上との間で円滑に積降ろすための支持ローラ11が設けられるとともに、この支持ローラ11には当該支持ローラ11に作用するコンテナCの重量を測定する測定手段が設けられ、測定手段によるコンテナCの重量測定データに基づいてコンテナCに積載した積載物の重量を測定するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車輌における積載物の重量測定装置に関し、特にコンテナ内に積載された積載物の重量を精度良く測定することができる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテナを積降ろし自在に搭載する荷役車輌において、当該コンテナに積載された積載物の重量を測定する装置としては次のような装置がある(例えば、特許文献1参照)。具体的には、コンテナを所定の一定角度傾動させ、この状態でダンプシリンダに作用する油圧を計測することにより、積載物の重量を換算するようにしている。
【0003】
そして、上述した装置による重量測定よりも現場での精度の高い正確な積載物の重量測定を行うことを目的として、荷役装置を、コンテナの積込動作に係わらず当該コンテナを予め定めた第1の位置と第2の位置とに変位可能に構成し、これら第1の位置と第2の位置でのダンプシリンダに作用する負荷に基づいてコンテナの重量を測定するようにしたものが提供されていた(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−233640号公報
【特許文献2】特開2005−75171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のものでは、コンテナの積込動作とは別に当該コンテナを予め定めた第1の位置と第2の位置とに変位させてコンテナの重量を測定するため、重量測定に時間を要し、現場などにおいて迅速な対応ができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、現場などで精度の高い正確な積載物の重量測定を迅速に且つ簡単に行うことのできる荷役車輌における積載物の重量測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明の荷役車輌における積載物の重量測定装置は、荷役装置に備えられたダンプシリンダの伸縮動作によりコンテナを車体上と地上との間で積降ろし自在になされた荷役車輌において、前記車体の後端部には、コンテナを当該車体と地上との間で円滑に積降ろすための支持ローラが設けられるとともに、この支持ローラには当該支持ローラに作用するコンテナの重量を測定する測定手段が設けられ、測定手段によるコンテナの重量測定データに基づいてコンテナに積載した積載物の重量を測定するように構成されたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンテナに積載された積載物の重量を精度良く測定することができ、しかも既存の荷役車輌にも簡単に適用することができる。また、精度の高い積載物の重量測定をコンテナの通常の積込み動作を利用して迅速に且つ簡単にできるので、回収現場などにおいても正確なゴミ(積載物)の重量測定が簡単にでき、これによってゴミ回収の有料化に対して大きく寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、コンテナを搭載した荷役車輌を示している。
【0010】
荷役車輌は、その車体1と地上との間でコンテナCを積降ろすとともに、コンテナC内の積載物を排出するための荷役装置2が設けられてなるものである。
【0011】
荷役装置2は、コンテナCが搭載された状態において水平に配置されるアウタアーム21と、同状態において垂直に配置された垂直部22bを有する略L字状に形成された伸縮アーム22とを備えている。
【0012】
アウタアーム21は、車体1の後部に回動自在に支持されたダンプフレーム2aを介してその後端部が回動自在に支持されている。
【0013】
伸縮アーム22は、前記アウタアーム21内に挿入された水平部22aと、この水平部22aの前端部から立設された垂直部22bとで略L字状に形成されており、水平部22aが図示しない伸縮シリンダによりアウタアーム21に対して長手方向に伸縮自在になされている。
【0014】
垂直部22bは、その先端にコンテナCに設けられた係合ピンC1と係脱自在なフック23が設けられている。
【0015】
また、前記アウタアーム21と車体1との間には、ダンプシリンダ24(図3乃至図5参照)が連設されており、このダンプシリンダ24の伸縮動作により荷役装置2がその後端部を中心にして前後方向に回動自在に構成されている。
【0016】
コンテナCは、上面が開放された開放式のものや、上面も閉じられた密閉式のものなどが用いられ、積載物を排出可能なように後壁が開閉自在になされている。また、前壁上部に前記係合ピンC1が設けられるとともに、底面前部に支持脚C2が、底面後部にローラC3が設けられている。
【0017】
さらに、車体1の後端部には、コンテナCを当該車体1と地上との間で円滑に積降ろすための支持ローラ11が設けられている。
【0018】
そして、この荷役車輌によるコンテナCの積降ろしは、まず、図1に示すようにコンテナCを搭載した状態で、図2に示すように伸縮シリンダにより伸縮アーム22の水平部22aをアウタアーム21に対して縮退させて車体1上のコンテナCを後方に所定長さスライドさせる。この後、図3に示すようにダンプシリンダ24よりアウタアーム21を伸縮アーム22とともに上方に回動させてコンテナCを傾動させる。これによりコンテナCを図4に示すように車体1上から地上に降ろすことができる。また、上述と逆の動作により地上のコンテナCを車体1上に積込む(引上げる)ことができる。
【0019】
一方、コンテナC内に積載された積載物を排出する場合には、コンテナCを車体1上に積込んだ状態で、図示しない固縛装置によりアウタアーム21とダンプフレーム2aとを一体的に固縛し、伸縮アーム22をアウタアーム21に対して縮退させることなく、図5に示すように荷役装置2全体を上方に回動させてコンテナCを傾動させることで、このコンテナC内の積載物を排出する。
【0020】
ところで、上述した荷役車輌には、コンテナCに積載された積載物の重量を測定する本発明の主要部である積載物の重量測定装置が搭載されている。
【0021】
この重量測定装置は、図6に示すように、前記支持ローラ11に作用する重量(負荷)を測定する測定手段としてのロードセル3と、このロードセル3の検出結果に基づいてコンテナCの重量を演算する演算装置4と、演算結果を表示する表示装置5とを備えている。
【0022】
ロードセル3は、図7及び図8に示すように左右の支持ローラ11間に連結されたローラシャフト12を支持する軸受け13の底部に配置することによって車体1上に設けられており、支持ローラ11に作用するコンテナCの重量をローラシャフト12、軸受け13を介して測定するようにしている。
【0023】
演算装置4は、上記ロードセル3からの測定信号が入力される演算部41と、記憶部42とを備えている。
【0024】
演算部41には、上記ロードセル3からの測定信号の他、操作部6からのコンテナの積降ろし信号も入力され、この演算部41では、上記積降ろし信号によって入力されるロードセル3からの測定信号に基づいて記憶部42を通じてコンテナCの重量を後述するように換算し、この結果を表示装置5に出力する。つまり、操作部6からの操作信号によって作動するコンテナCの積降ろし動作に伴って重量測定を開始する。
【0025】
ここで、この重量測定装置による測定原理について説明する。
【0026】
コンテナCを積込む(引上げる)際には、コンテナCの姿勢変化に伴ってロードセル3によって測定されるコンテナCの重量変化は図9に示すようになる。
【0027】
つまり、図9における領域Aは、図4に示すようにコンテナCが地上に載置されている状態であり、この場合、支持ローラ11にはコンテナCの負荷が作用していないのでロードセル3で測定される重量は0である。
【0028】
図9におけるポイントB1は、コンテナCが荷役装置2によって地上から徐々に持ち上げられることによって図3に示すようにコンテナCが支持ローラ11に支持されながらその後端部のローラC3だけが地上に接地した状態であり、この場合、支持ローラ11にはコンテナCの負荷が作用しているものの、コンテナCの負荷の一部が荷役装置2及び地上にも作用している。
【0029】
そして、図9におけるポイントB2は、コンテナCの積込み途中においてコンテナCが地上から離れて当該コンテナCが支持ローラ11を支点としてバランスされる時の状態(例えば図10に示すようにコンテナCの重心Wが支持ローラ11の中心を通る鉛直線上に配置される状態)であり、この場合、支持ローラ11にはコンテナCの負荷が全て作用することになる。
【0030】
次に、図9におけるポイントB3は、コンテナCの積込み途中において当該コンテナCが上述した図10に示す状態よりも車体1上側に引き込まれた状態(図11参照)であり、この場合、支持ローラ11にはコンテナCの負荷が作用しているものの、コンテナCの負荷の一部が荷役装置2にも作用している。
【0031】
最後に、図9におけるポイントB4は、図2に示すようにコンテナCを車体1上に配置した状態であり、この場合、支持ローラ11にはコンテナCの負荷が作用しているものの、コンテナCの負荷の一部が車体1にも作用している。
【0032】
つまり、コンテナCの重量の全てが支持ローラ11に作用するポイントB2でロードセル3により測定する重量がピークになり、これをコンテナCの重量として換算し、このように換算した重量からコンテナC自体の重量を減算することで、このコンテナC内に積載されたゴミ(積載物)の重量を測定することができる。
【0033】
なお、コンテナC自体の重量は、当該コンテナCの種類毎にその重量を記憶部42に予め記憶させておくか、又は空コンテナを地上に下ろす際に上述した原理と同様にロードセル3によってピークになる重量を測定しておき、当該空コンテナを特定した上でその重量値を記憶部42に記憶させておくようにすればよい。
【0034】
このようにコンテナCの積込み動作中のロードセル3の測定による重量変化に基づいて当該コンテナCに積載されたゴミ重量を測定することで、従来のようにコンテナ位置をわざわざ変えながら測定する必要がなく、その分だけ重量測定を迅速に且つ簡単に行うことができる。
【0035】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲内において種々設計変更可能である。
【0036】
例えば、支持ローラ11を左右で分割して設けている場合は、ロードセル3もこれに対応し左右にそれぞれ設け、これら左右のロードセル3で測定した重量に基づいて前述と同様にしてコンテナCに積載されたゴミの重量を測定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】荷役車輌の全体構成を示す概略の側面図である。
【図2】荷役車輌のコンテナ積降ろし動作を説明するための側面図である。
【図3】荷役車輌のコンテナ積降ろし動作を説明するための側面図である。
【図4】荷役車輌のコンテナ積降ろし動作を説明するための側面図である。
【図5】荷役車輌のコンテナに積載された積載物の排出動作を説明するための側面図である。
【図6】積載物の重量測定装置の構成を示すブロック図である。
【図7】ロードセルの取付状態を示す概略図である。
【図8】ロードセルの取付状態を示すための図7におけるX−X断面図である。
【図9】コンテナ積込み時においてロードセルで測定されるコンテナ重量の変化を示す特性図である。
【図10】重量測定原理を説明するための積込み途中時の状態を示す図である。
【図11】重量測定原理を説明するための積込み途中時の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 車体
11 支持ローラ
2 荷役装置
24 ダンプシリンダ
3 ロードセル(測定手段)
C コンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役装置に備えられたダンプシリンダの伸縮動作によりコンテナを車体上と地上との間で積降ろし自在になされた荷役車輌において、
前記車体の後端部には、コンテナを当該車体と地上との間で円滑に積降ろすための支持ローラが設けられるとともに、この支持ローラには当該支持ローラに作用するコンテナの重量を測定する測定手段が設けられ、測定手段によるコンテナの重量測定データに基づいてコンテナに積載した積載物の重量を測定するように構成されたことを特徴とする荷役車輌における積載物の重量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−2913(P2008−2913A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171892(P2006−171892)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)