説明

荷締め用ベルトのチャック装置

【課題】超大形タイヤ等の超大形被運搬物を運搬車で運搬する際に超大形被運搬物を動揺しないよう荷台に荷締め用ベルトを用いて堅固に固定するための荷締め用ベルトのチャック装置に関する。
【解決手段】固定側チャック部2と可動側チャック部4とに着脱可能に取り付けたチャックシュー5,6のチャック面7,8により荷締め用ベルトBが強力にチャックされるようになっており、特に両チャックシュー5,6のチャック面7,8がステンレス溶射層9,10によって平面状に形成されてなるため、ステンレス溶射層9,10の硬度特性と摩擦特性とによって平面状チャック面7,8に均等なチャック力を効果的に作用させることができると共に、効果的な滑り止め機能を発揮して、荷締め用ベルトBを平面状チャック面7,8に抜け止め状態で確実にチャックすることができる構造となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超大形タイヤ等の超大形被運搬物を運搬車で運搬する際に超大形被運搬物を動揺しないよう荷台に荷締め用ベルトを用いて堅固に固定するための荷締め用ベルトのチャック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、本発明と技術分野を異にするが、例えば国際分類H02G1/00に該当する特許文献1にその一例を示す電線保守用の際に持ちいられる周知の掴持器の構造を利用して、本発明の分野である荷締め用ベルトのチャック装置を提案するものである。
【0003】
荷締め用ベルトを用いて超大形被運搬物を荷台に固定するための作業は、特許文献1に示されるように、保守しようとする箇所の電線を周知の張線器と掴線器とによって緊張状態に掴持する方法を略そのまま利用するものである。
【0004】
すなわち、超大形被運搬部を荷台の側壁に荷締め用ベルトによって作業者の手作業で可能な限り緊張状態に連結するが、このように被運搬物を荷台に手作業で可能な範囲で緊張状態に荷締め用ベルトによって連結するだけでは、被運搬物が運搬時の激しい振動や衝撃を受けると、被運搬物の動揺や不測には転動を避けることができない。そこで、被運搬物が動揺しない程度に荷締め用ベルトの緊張力を高める必要がある。
【0005】
この場合、荷締め用ベルトの適当な箇所に並行して特許文献1にその一例が示される周知の張線器を配置し、該張線器の両端部を夫々周知の掴線器を用いて荷締め用ベルトに掴持させ、この状態で上記張線器を操作して荷締め用ベルトの緊張力を高め、被運搬物が運搬時の激しい振動や衝撃に耐える程度に被運搬物を荷台に荷締め用ベルトによって堅固に荷締めすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008ー306797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、特許文献1に示されるような従来周知の構造の掴線器を用いて荷締め用ベルトに緊張力を付与するよう操作することが可能なように考えられるが、従来の掴線器は、その掴持面が電線の断面に合致するように断面略U字状の凹面溝に形成されており、尚且つ電線の滑りを防止するために凹面溝に直交する鋸歯状の凹凸面が凹面溝長手方向に沿って形成されている。
【0008】
一方荷締め用ベルトは、所謂平ベルトであり、材質もポリプロピレン等の硬質合成樹脂からなものが大半であるから、従来周知の掴線器の凹面溝に掴持させることは困難であり、尚且つ凹面溝に形成されている鋸歯状の凹凸面によって荷締め用平ベルトを傷つける恐れが多分にある。
【0009】
本発明は、従来周知の掴線器の構造を利用するものであるが、その掴持面、すなわちチャック面を荷締め用ベルトのチャックに効果的に適合した荷締め用ベルトのチャック装置を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の荷締め用ベルトのチャック装置は、固定側チャック部2を有するチャック本体1と、該チャック本体1に回転自在に連結されると共に、引っ張り手段Pにより一方向への回動力を付与される作動部材3と、該作動部材3の一方向への回動により前記固定側チャック部2に対し近接する方向に変位されて、荷締め用ベルトBの一端部を前記固定側チャック部2と共にチャックする可動側チャック部4とを備え、前記固定側チャック部2とこれに対向する可動側チャック部4との互いの対向面に夫々別部材からなる固定側チャックシュー5と可動側チャックシュー6とが着脱可能に取り付けられ、該固定側チャックシュー5と可動側チャックシュー6との互いの対向面がチャック面7,8を形成すると共に、該チャック面7,8がステンレス溶射層9,10によって平面状に形成されてなることを特徴とするもである。
【0011】
また、請求項2に係る発明の荷締め用ベルトのチャック装置は、前記固定側チャックシュー5はステンレス溶射層9が形成されるチャック片部5aとその両端部から上向きに突設される側片部5b,5cとからなる断面上向きコ字状の鉄材又は鋼材製のブロック体からなり、前記固定側チャックシュー5の両側片部5b,5cを前記固定側チャック部2の左右側壁部2a,2bに沿うように嵌合して前記固定側チャックシュー5を固定側チャック部2にボルト11によって着脱可能に取り付けるようにした請求項1に記載の構成からなるものである。
【0012】
また、請求項3に係る発明の荷締め用ベルトのチャック装置は、前記可動側チャックシュー6はステンレス溶射層10が形成されるチャック片部6aとその両端部から下向きに突設される側片部6b,6cとからなる断面下向きコ字状の鉄材又は鋼材製のブロック体からなり、前記可動側チャックシュー6の両側片部6b,6cを前記可動側チャック部4の左右側壁部4a,4bに沿うように嵌合して前記可動側チャックシュー6を可動側チャック部4にボルト12によって着脱可能に取り付けるようにした請求項1に記載の構成からなるものである。
【0013】
また、請求項4に係る発明の荷締め用ベルトのチャック装置は、前記ステンレス溶射層9,10からなるチャック面7,8は摩擦用粗面に形成されてなる請求項1〜3の何れかに記載の構成からなるものである。
【発明の効果】
【0014】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明によれば、固定側チャック部2を有するチャック本体1と、該チャック本体1に回転自在に連結されると共に、引っ張り手段Pにより一方向への回動力を付与される作動部材3と、該作動部材3の一方向への回動により前記固定側チャック部2に対し近接する方向に変位されて、荷締め用ベルトBの一端部を前記固定側チャック部2と共にチャックする可動側チャック部4とを備えてなるため、引っ張り手段Pの引っ張り力に比例して両チャック部2,4による大きなチャック力が加わることになり、これにより両チャック部2,4に取り付けられた固定側及び可動側チャックシュー5,6のチャック面7,8によって荷締め用ベルトBが強力にチャックされることになる。特に両チャックシュー5,6のチャック面7,8がステンレス溶射層9,10によって凹面溝状ではなく平面状に形成されてなるため、ステンレス溶射層9,10の硬度特性と摩擦特性とによって平面状チャック面7,8に均等なチャック力を効果的に作用させることができると共に、荷締め用ベルトBを傷つけることなく、効果的な滑り止め機能を発揮して、荷締め用ベルトBを平面状チャック面7,8に抜け止め状態で確実にチャックすることができる。
【0015】
また、本発明によれば、溶射層の溶射材料として、ステンレスを採用したことを特徴とする。溶射材料として、セラミックやニッケルクロム系合金等があるが、これらの材料は硬質であるが、靱性に劣り欠けやすいという難点がある。これに対して、ステンレスが靱性が高く且つ他の溶射材料に比べて安価であるという利点があることが採用された主な理由である。
【0016】
更に、固定側チャックシュー5と可動側チャックシュー6とが固定側チャック部2と可動側チャック部4との着脱可能に取り付けられてなるため、荷締め用ベルトBの頻繁な荷締め作業によってステンレス溶射層9,10からなるチャック面7,8が磨耗して該溶射層9,10が剥離した場合には、新しいステンレス溶射層9,10を備えた固定側及び可動側チャックシュー5,6に取り替えるだけで、長期にわたって安定して使用することができる。
【0017】
また請求項2に係る発明によれば、前記固定側チャックシュー5はステンレス溶射層9が形成されるチャック片部5aとその両端部から上向きに突設される側片部5b,5cとからなる断面上向きコ字状の鉄材又は鋼材製のブロック体からなるため、固定側チャックシュー5そのものは安価な鉄材又は鋼材を使用することができ、該チャックシュー5の製作費を可能な限り低減することができる。又、前記固定側チャックシュー5の両側片部5b,5cを前記固定側及び可動側チャック部2の左右側壁部2a,2bに沿うように嵌合して前記固定側チャックシュー5を固定側チャック部2にボルト11によって着脱可能に取り付けるようにしたため、荷締め用ベルトBによる緊張方向の反力を固定側チャックシュー5の両側片部5b,5cが固定側チャック部2の左右側壁部2a,2bに当接することで固定側チャックシュー5によって安定して受けることができ、このことは例えボルト11が不測に弛緩して固定側チャック部2から脱落する恐れがあるとしても、少ないとも荷締め用ベルトBの荷締め作業中は、その緊張作用によって固定側チャックシュー5は固定側チャック部2から脱落することはない。
【0018】
また請求項3に係る発明によれば、前記可動側チャックシュー6はステンレス溶射層10が形成されるチャック片部6aとその両端部から下向きに突設される側片部6b,6cとからなる断面下向きコ字状の鉄材又は鋼材製のブロック体からなるため、可動側チャックシュー6そのものは安価な鉄材又は鋼材を使用することができ、可動側チャックシュー6の製作費を可能な限り低減することができる。又、前記可動側チャックシュー6の両側片部6b,6cを前記可動側チャック部4の左右側壁部4a,4bに沿うように嵌合して前記可動側チャックシュー5,6を可動側チャック部2,4にボルト12によって着脱可能に取り付けるようにしたため、荷締め用ベルトBによる緊張方向の反力を可動側チャックシュー6の両側片部6b,6cが可動側チャック部4の左右側壁部4a,4bに当接することで可動側チャックシュー6によって安定して受けることができ、このことは例えボルト12が不測に弛緩して可動側チャック部4から脱落する恐れがあるとしても、少ないとも荷締め用ベルトBの荷締め作業中は、その緊張作用によって可動側チャックシュー6は可動側チャック部4から脱落することはない。
【0019】
また請求項4に係る発明によれば、前記ステンレス溶射層9,10からなる平面状チャック面7,8は摩擦用粗面に形成されてなるため、荷締め用ベルトBは、平面状摩擦用粗面の摩擦力によって、より効果的な滑り止め機能を発揮して、荷締め用ベルトBを平面状チャック面7,8に強力な抜け止め状態で確実にチャックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の正面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】同要部縦断正面図である。
【図4】同要部縦断側面図である。
【図5】同要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の好適な一実施形態を、図1ないし図5を参照しながら詳細に説明すると、図1は、本発明の一実施形態に係る荷締め用ベルトBの一端部をチャックするチャック装置を示す正面図であり、このチャック装置は、固定側チャック部2の左右両端部から取付片部13及び支持片部14が夫々下方へ向けて一体に延設されたチャック本体1と、ほぼ三角形状を有してその三角形の第1の角部3aが枢軸15を介して上記取付片部13の下端部に回動自在に連結された作動部材である作動レバー部材3と、この作動レバー部材3の第2の角部3bに連結ピン16を介して回動自在に取り付けられた可動側チャック部4と、一端部(図の下端部)が支軸17を介して上記作動レバー部材3の第3の角部3cに回動自在に連結され、且つ上記支持片部14の挿通孔14aに挿通された連結部材18とを主構成要素として構成される。
【0022】
上記連結部材18の他端部(図の右端部)には、後述の引っ張り手段Pへの連結部(連結孔19)が設けられている。又、チャック本体1の取付片部13と作動レバー部材3との間には、ねじりコイルばね20が、作動レバー部材3をチャック本体1に対し枢軸15を支点として図1の反時計方向に回動付勢する状態に配設されている。すなわち、ねじりコイルばね20は、自体のコイル部に枢軸15を挿通させて保持された状態で、両端部が取付片部13および作動レバー部材3の図示しない係止孔に夫々係止されている。又、可動側チャック部4と作動レバー部材3との間には、前記ねじりコイルばね20よりばね力の弱いねじりコイルばね21が可動側チャック部4の側壁と作動レバー部材3の側壁に該コイルばね21の両端部が当接するようにして可動側チャック部4を連結ピン16を支点として反時計方向に回動付勢する状態に配設されている。
【0023】
上記固定側チャック部2には、図3〜図5に示すように、チャック片部5aと両端部が上向きに突設した側片部5b,5cとからなる上向きコ字状の鉄材又は鋼材製のブロック体からなる固定側チャックシュー5が、その両側片部5b,5cが固定側チャック部2の左右側壁部2a,2bに沿うように嵌合して、そのチャック片部5aが、これに設けたボルト孔11aに螺合するボルト11によって固定側チャック部2に着脱可能に取り付けられている。
【0024】
また上記可動側チャック部4には、図3〜図5に示すように、チャック片部6aとその両端部が下向きに突設した側片部6b,6cとからなる下向きコ字状の鉄又は鋼材製のブロック体からなる可動側チャックシュー6が、その両側片部6b,6cが可動側チャック部4の左右側壁部4a,4bに沿うように嵌合して、そのチャック片部6aが、これに設けたボルト孔12aに螺合されるボルト12によって可動側チャック部4に着脱可能に取り付けられている。
【0025】
そして、本発明の特徴とする点であるが、固定側チャックシュー5と可動側チャックシュー6との互いの対向面がチャック面7,8を形成すると共に、該チャック面7,8がSUS304やSUS303等の規格のステンレス材を用いて吹きつけ溶射によって厚みが数ミクロンから数拾ミクロンの厚みのステンレス溶射層9,10が平面状に形成されている。このステンレス溶射層9,10からなるチャック面7,8は、仕上げ加工することなく表面が微細の凹凸面を形成する摩擦用粗面7a,8aに形成されてなる。
【0026】
このように、両チャックシュー5,6のチャック片部5a,6aのチャック面7,8をステンレス溶射層9,10によって形成するのは、ステンレスの特性を利用したものであり、優れた硬度特性、優れた靱性、及び耐食性、更に溶射皮膜の粒子の積層で形成された多孔質の摩擦特性に注目したものである。
【0027】
荷締め用ベルトを用いて超大形被運搬物を荷台に固定するための作業を説明すると、冒頭で述べたように、先ず、超大形被運搬部を荷台の側壁に荷締め用ベルトによって作業者の手作業で可能な限り緊張状態に連結し、次に、荷締め用ベルトの適当な箇所に並行して特許文献1にその一例が示される周知の張線器を配置し、該張線器の両端部を夫々本発明に係るチャック装置を用いて荷締め用ベルトに掴持させ、この状態で上記張線器を操作して荷締め用ベルトの緊張力を高め、被運搬物が運搬時の激しい振動や衝撃に耐える程度に被運搬物を荷台に荷締め用ベルトによって堅固に荷締めしようとするものである。
【0028】
具体的作業は、本発明に係る一対のチャック装置を、その一方のチャック装置が、図1に示すように連結部材18が図中右側に位置するように配置し、他方のチャック装置を、図1とは左右反対に連結部材18が左側に位置するように配置し、両チャック装置間に周知の引っ張り手段Pである特許文献1に示されるような張線器を配置して、該張線器(引っ張り手段P)の両端部を、上記両チャック装置の一方のチャック装置の右側に位置する連結部材18と、他方のチャック装置の左側に位置する連結部材18の各連結部(連結孔19)に連結する。
【0029】
しかる後に、図1〜図4に示すように、両チャック装置の夫々の固定側チャックシュー5と可動側チャックシュー6との間に、上述のように予め仮緊張状態の荷締め用ベルトBを挿通させて、そののちに、作動レバー部材3の保持を解除すると、可動側チャックシュー6はねじりコイル21の回動付勢力によって連結ピン16を支点として反時計方向に回動するようにして固定側チャックシュー5側に近接して荷締め用ベルトBを緩くチャックし、しかして作動レバー部材3は、ねじりコイルばね20の回動付勢力により更に可動側チャックシュー6が固定側チャックシュー5に近接移動して荷締め用ベルトBをより強くチャックし、これによって荷締め用ベルトBは、長手方向の所定距離間をあけて両チャック装置にチャックされ、この状態で両チャック装置間に介装された周知の引っ張り手段Pである張線器を作動させて引っ張り力Pを付与すると、それに比例して、連結部材18及びこれに支軸17により連結される作動レバー部材3を介して、可動側チャックシュー6を、図1及び図2に示すように矢印Q方向に強力に固定側チャックシュー5側に付勢力を付与し、両チャックシュー5,6間の荷締め用ベルトBへのチャック力を増大して、荷締め用ベルトBを両チャックシュー5,6によって確実にチャックさせることができると共に、引っ張り手段Pを更に作動させることによって両チャック装置間の荷締め用ベルトBが弛緩状態になり、これに伴って一方のチャック装置と超大形被運搬物との間の荷締め用ベルトB、及び他方のチャック装置と荷台との間の荷締め用ベルトBに、矢印Pa方向に大きな緊張力が負荷し、超大形被運搬物を強力に荷台に荷締めすることができる。
【0030】
そして、その際に、固定側チャックシュー5とこれに対向する可動側チャックシュー6との対向面であるチャック面7,8は、ステンレス溶射層9,10によって平面状に形成されてなるため、ステンレス溶射層9,10の硬度特性と摩擦特性とによって平面状チャック面7,8に均等なチャック力を効果的に作用させることができると共に、荷締め用ベルトBを傷つけることなく、効果的な滑り止め機能を発揮して、荷締め用ベルトBを平面状チャック面7,8に抜け止め状態で確実にチャックすることができることになる。
【0031】
更に、固定側チャックシュー5と可動側チャックシュー6とが固定側チャック部2と可動側チャック部4との着脱可能に取り付けられてなるため、荷締め用ベルトBの頻繁な荷締め作業によってステンレス溶射層9,10からなるチャック面7,8が磨耗して該溶射層9,10が剥離した場合には、新しいステンレス溶射層9,10を備えた固定側及び可動側チャックシュー5,6に取り替えるだけで、長期にわたって安定して使用することができる。なお実験の結果、荷締め作業を約3000回行うことによってステンレス溶射層9,10が剥げて荷締め作業に支障をきたすことになったので、この時点で両チャックシュー5,6を取り替えた。
【符号の説明】
【0032】
B 荷締め用ベルト
P 引っ張り手段(周知の張線器)
1 チャック本体
2 固定側チャック部
2a 固定側チャック部の側壁部
2b 固定側チャック部の側壁部
3 作動部材(作動レバー部材)
4 可動側チャック部
4a 可動側チャック部の側壁部
4b 可動側チャック部の側壁部
5 固定側チャックシュー
5a 固定側チャックシューのチャック片部
5b 固定側チャックシューの側片部
5c 固定側チャックシューの側片部
6 可動側チャックシュー
6a 可動側チャックシューのチャック片部
6b 可動側チャックシューの側片部
6c 可動側チャックシューの側片部
7 固定側チャックシューのチャック面
8 可動側チャックシューのチャック面
9 固定側チャックシュー側チャック面のステンレス溶射層
10 可動側チャックシュー側チャック面のステンレス溶射層
11 固定側チャックシューを固定側チャック部にボルト止めするためのボ ルト
12 可動側チャックシューを可動側チャック部にボルト止めするためのボ ルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側チャック部を有するチャック本体と、
該チャック本体に回転自在に連結される引っ張り手段により一方向への回動力を付与される作動部材と、
該作動部材の一方向への回動により前記固定側チャック部に対し近接する方向に変位されて、荷締め用ベルトの一端部を前記固定側チャック部と共にチャックする可動側チャック部とを備え、
前記固定側チャック部とこれに対向する可動側チャック部との互いの対向面に夫々別部材からなる固定側チャックシューと可動側チャックシューとが着脱可能に取り付けられ、
該固定側チャックシューと可動側チャックシューとの互いの対向面がチャック面を形成すると共に、該チャック面がステンレス溶射層によって平面状に形成されてなる荷締め用ベルトのチャック装置。
【請求項2】
前記前記固定側チャックシューはステンレス溶射層が形成されるチャック片部とその両端部から上向きに突設される側片部とからなる断面上向きコ字状の鉄材又は鋼材製のブロック体からなり、前記固定側チャックシューの両側片部を前記固定側チャック部の左右側壁部に沿うように嵌合して前記固定側チャックシューを固定側チャック部にボルトによって着脱可能に取り付けるようにした請求項1に記載の荷締め用ベルトのチャック装置。
【請求項3】
前記前記可動側チャックシューはステンレス溶射層が形成されるチャック片部とその両端部から下向きに突設される側片部とからなる断面下向きコ字状の鉄材又は鋼材製のブロック体からなり、前記可動側チャックシューの両側片部を前記可動側チャック部の左右側壁部に沿うように嵌合して前記可動側チャックシューを可動側チャック部にボルトによって着脱可能に取り付けるようにした請求項1に記載の荷締め用ベルトのチャック装置。
【請求項4】
前記ステンレス溶射層からなるチャック面は摩擦用粗面に形成されてなる請求項1〜3の何れかに記載の荷締め用ベルトのチャック装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−2009(P2011−2009A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144889(P2009−144889)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(591083772)株式会社永木精機 (65)