説明

荷電装置及び空気処理装置

【課題】拡散荷電方式の放電を安定して行うことができる荷電装置、及び空気処理装置を提案する。
【解決手段】荷電装置は、空気通路を流れる被処理空気中の浮遊粒子を帯電させるための荷電部(21)と、荷電部(21)の放電電極(25)と対向電極(26)とに電圧を印加する電源手段(27)とを備え、放電電極(25)で発生したイオンを荷電部(21)の下流側へ拡散させる拡散荷電方式の放電を行う。荷電装置は、放電電極(25)で発生したイオンが対向電極(26)へ衝突しないように電源手段(27)の電圧を変化させる電圧制御部(29)を更に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理空気中の浮遊粒子を帯電させる荷電装置、及びこの荷電装置を備えた空気処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、塵埃等の浮遊粒子を帯電させる荷電装置を備えた空気処理装置が知られている。この空気処理装置として、いわゆる拡散荷電方式の荷電装置を備えたものがある。
【0003】
特許文献1には、この種の空気処理装置が開示されている。この空気処理装置では、被処理空気が流れる空気通路に、拡散荷電方式の放電を行うための荷電装置が配置されている。この荷電装置は、放電電極と対向電極とを備えている。両電極に電圧が印加されると、これらの電極の間に電界が形成される。荷電装置では、放電電極から発生したイオンや電子が被処理空気中へ放出されて拡散する、いわゆる拡散荷電方式の放電が行われる。即ち、拡散荷電方式の放電では、イオンや電子等が被処理空気中に含まれた状態(電気的にニュートラルとならない状態)で室内空間へ拡散される。その結果、室内空間に存在する塵埃等の浮遊粒子が帯電される。帯電後の塵埃は荷電装置に吸入され、電気集塵機等に捕集される。
【特許文献1】特開2006−116492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように拡散荷電方式の荷電装置では、放電電極から発生したイオン等を空気中へ放出して拡散させている。ところが、この種の荷電装置では、放電電極から発生したイオン等が対向電極へ到達してしまい、被処理空気中へ充分に拡散されないことがある。その結果、荷電装置では、放電電極から発生したイオン等が対向電極へ衝突する、いわゆる衝突荷電方式の放電が行われてしまい、拡散荷電方式の放電を充分に行うことができないという問題が生じる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、いわゆる拡散荷電方式の放電を安定して行うことができる荷電装置、及びこの荷電装置を備えた空気処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、空気通路を流れる被処理空気中の浮遊粒子を帯電させるための荷電部(21)と、該荷電部(21)の放電電極(25)と対向電極(26)とに電圧を印加する電源手段(27)とを備え、放電電極(25)で発生したイオンを荷電部(21)の下流側へ拡散させる拡散荷電方式の荷電装置を対象とし、上記放電電極(25)で発生したイオンが対向電極(26)へ衝突しないように上記電源手段(27)の電圧を変化させる電圧制御部(29)を更に備えていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明では、電源手段(27)から放電電極(25)と対向電極(26)とに電圧が印加されると、放電電極(25)からイオンが発生し、このイオンが荷電部(21)の下流側へ拡散する。ここで、電源手段(27)から単純に所定の電圧が両電極(25,26)に印加されると、放電電極(25)から発生したイオンが対向電極(26)へ到達してしまい、拡散荷電方式の放電が安定しない虞がある。そこで本発明では、放電電極(25)から発生したイオンが対向電極(26)へ衝突しないように、電圧制御部(29)が、電源手段(27)の電圧を変化させる。これにより、放電電極(25)から発生したイオンが、被処理空気中に拡散し易くなる。このようにして拡散したイオンは、被処理空気中の浮遊粒子を帯電させる。帯電した浮遊粒子は、例えば電気集塵機等によって捕集される。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、上記電圧制御部(29)は、上記荷電部(21)で放電時間Td[sec]での放電が間欠的に行われるように上記電源手段(27)の電圧を変化させるように構成され、上記放電電極(25)と対向電極(26)との間の距離をL[m]とし、該放電電極(25)から発生するイオンの移動速度をVi[m/sec]とすると、上記放電時間Td[sec]が、L[m]/Vi[m/sec]よりも小さいことを特徴とする。
【0009】
第2の発明の荷電部(21)では、放電が間欠的に行われる。ここで、この荷電部(21)での一回毎の放電の時間(放電時間Td)は、放電電極(25)と対向電極(26)との間の距離L[m]を、イオンの移動速度Vi[m/sec]で除した値(L/Vi)よりも小さくなっている。なお、ここでいうイオンの移動速度Viは、放電に伴って発生するイオンが空気中で移動する際の速度である。従って、上記(L/Vi)は、放電電極(25)から発生したイオンが対向電極(26)へ到達するまでの間に要する理論上の時間(以下、イオン到達時間と称する)を意味する。
【0010】
本発明では、荷電部(21)で間欠的に行われる放電の放電時間Tdが、イオン到達時間(L/Vi)よりも短いため、放電の開始と共にイオンが発生してこの放電が終了した時点では、未だ発生したイオンが対向電極(26)へ到達していないことになる。つまり、本発明では、イオンが対向電極(26)へ到達する前に一回の放電が終了するため、イオンが対向電極(26)へ衝突し難くなる。従って、荷電部(21)では、被処理空気中へのイオンの拡散が促進される。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、上記電圧制御部(29)は、上記荷電部(21)で放電を行うためのON電圧と該荷電部(21)の放電を休止させるためのOFF電圧とを上記電源手段(27)からパルス状に出力させるように構成され、上記ON電圧の印加時間Ton[sec]が、上記L[m]/Vi[m/sec]よりも小さいことを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、電源手段(27)からON電圧とOFF電圧とがパルス状に出力されることで、荷電部(21)で間欠的な放電が行われる。本発明では、ON電圧の印加時間Tonが、上述したイオン到達時間(L/Vi)よりも小さくなっている。ここで、荷電部(21)での放電時間Tdは、ON電圧の印加時間Tonと同等かこれよりも短い時間となる。このため、印加時間Tonをイオン到達時間(L/Vi)よりも短くすることで、荷電部(21)での放電時間Tdが、イオン到達時間(L/Vi)よりも確実に短くなる。その結果、上述の如く、放電電極(25)から発生したイオンが対向電極(26)へ到達してしまうことが防止される。
【0013】
第4の発明は、第2の発明において、上記荷電部(21)は、上記放電電極(25)から電子を放出してマイナスのイオンを発生させるように構成され、上記放電電極(25)から放出される電子の移動速度をVe[m/s]とすると、上記放電時間Td[sec]が、L[m]/Ve[m/sec]よりも小さいことを特徴とする。
【0014】
第4の発明の荷電部(21)では、放電電極(25)から電子が放出されてマイナスのイオンが発生する、いわゆるマイナス放電が行われる。従って、荷電部(21)では、放電電極(25)から対向電極(26)へ向かって、イオンだけでなく電子も放出される。ここで、この荷電部(21)での一回ごとの放電時間Tdは、放電電極(25)と対向電極(26)との間の距離L[m]を電子の移動速度Ve[m/sec]で除した値(L/Ve)よりも小さくなっている。なお、ここでいう電子の移動速度Veは、放電に伴って発生する電子が空気中で移動する際の速度である。従って、上記(L/Ve)は、放電電極(25)から発生した電子が対向電極(26)へ到達するまでの間に要する理論上の時間(以下、電子到達時間と称する)を意味する。
【0015】
本発明では、荷電部(21)で間欠的に行われる放電の放電時間Tdが、電子到達時間(L/Ve)よりも短いため、放電が始まり電子が発生してこの放電が終了した時点では、未だ電子が対向電極(26)へ到達していないことになる。また、電子の移動速度Veは、イオンの移動速度Viよりも小さいため、電子到達時間L/Veはイオン到達時間L/Viと比較して短い時間となる。このため、放電が始まりイオンが発生してこの放電が終了した時点では、未だイオンも対向電極(26)へ到達していないことになる。以上のように、本発明では、イオン及び電子が対向電極(26)へ到達する前に一回の放電が終了するため、イオンと電子との双方が対向電極(26)へ衝突し難くなる。
【0016】
第5の発明は、第4の発明において、上記電圧制御部(29)が、上記荷電部(21)で放電を行うためのON電圧と荷電部(21)の放電を休止させるためのOFF電圧とを上記電源手段(27)からパルス状に出力させるように構成され、上記ON電圧の印加時間Ton[s]が、上記L/Veよりも小さいことを特徴とする。
【0017】
第5の発明では、電源手段(27)からON電圧とOFF電圧とがパルス状に出力されることで、荷電部(21)で間欠的な放電が行われる。本発明では、ON電圧の印加時間Tonが、上述した電子到達時間(L/Ve)よりも短くなっている。ここで、荷電部(21)での放電時間Tdは、ON電圧の印加時間Tonと同等からこれよりも短い時間である。このため、印加時間Tonを電子到達時間(L/Ve)よりも短くすることで、荷電部(21)での放電時間Tdが、電子到達時間(L/Ve)よりも確実に短くなる。その結果、上述の如く、放電電極(25)から発生した電子やイオンが対向電極(26)へ到達してしまうことが防止される。
【0018】
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記放電電極(25)は、先端が先鋭な突起部(25a,25b)を有していることを特徴とする。
【0019】
第6の発明では、放電電極(25)の先端に突起部(25a,25b)が形成されるため、突起部(25a,25b)の先端近傍での電界の密度が高くなり、イオンが被処理空気中へ拡散し易くなる。
【0020】
第7の発明は、第6の発明において、上記放電電極(25)の突起部(25b)は、上記荷電部(21)の下流側を向いていることを特徴とする。
【0021】
第7の発明では、被処理空気が流れる空気通路において、放電電極(25)の突起部が荷電部(21)の下流側を向くように配設される。このため、放電電極(25)から発生したイオンが荷電部(21)の下流側へ送られ易くなり、イオンが被処理空気中へ拡散し易くなる。
【0022】
第8の発明は、第1乃至第7のいずれか1つの発明において、上記対向電極(26)は、頂点角度が鈍角となる多角形又は円形の断面形状を有する柱状に形成されていることを特徴とする。
【0023】
第8の発明では、柱状の対向電極(26)の断面形状が、頂点角度が鈍角となる多角形又は円形に形成される。これにより、対向電極(26)の外周面では、鋭角な角部が形成されないので、このような角部の近傍で電界が集中してしまうこともない。その結果、イオンが被処理空気中へ拡散し易くなる。
【0024】
第9の発明は、第1乃至第8のいずれか1つの発明において、上記荷電部(21)では、上記対向電極(26)が放電電極(25)よりも上流側寄りに配置されていることを特徴とする。
【0025】
第9の発明の荷電部(21)では、放電電極(25)の上流側に対向電極(26)が配置される。このため、放電電極(25)から発生したイオンは、対向電極(26)とは反対側(下流側)へ流れやすくなる。その結果、イオンが被処理空気中へ拡散し易くなる。
【0026】
第10の発明は、被処理空気中の浮遊粒子を帯電させるための荷電装置(20)と、帯電させた浮遊粒子を捕集する電気集塵部(30)とを備えた空気処理装置を対象とする。そして、この空気処理装置は、上記荷電装置(20)が、第1乃至第9のいずれか1つの発明の荷電装置で構成されていることを特徴とする。
【0027】
第10の発明では、空気処理装置の荷電装置として、第1乃至第9のいずれか1つの発明の荷電装置が用いられる。このため、荷電装置では、放電電極(25)から発生したイオンが対向電極(26)へ到達してしまうことが防止され、いわゆる拡散荷電方式の放電が促される。拡散したイオンは浮遊粒子の帯電に利用される。帯電後の浮遊粒子は、電気集塵部(30)に捕集される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、拡散荷電方式の荷電装置において、放電電極(25)から発生するイオンが対向電極(26)へ衝突しないように、電源手段(27)の電圧を変化させているので、拡散荷電方式の放電を安定して行うことができる。これにより、比較的細かい粒径の浮遊粒子を帯電させることができ、また、放電に伴ってオゾン等の副生成物が発生してしまうことも防止できる。
【0029】
特に第2の発明では、荷電部(21)で間欠的に放電を行うと共に、放電時間TdをL(電極間距離)/Vi(イオン移動速度)よりも小さくしている。これにより、本発明によれば、放電の開始と同時に放電電極(25)から発生したイオンが、この放電の終了時において対向電極(26)へ到達してしまうのを防止できる。その結果、いわゆる衝突荷電方式の放電を防止でき、拡散荷電方式の放電が更に安定化される。
【0030】
更に第3の発明では、電源手段(27)からON電圧とOFF電圧とをパルス状に出力させ、ON電圧の印加時間Tonを上記のL/Viよりも小さくしている。これにより、本発明によれば、放電時間Tdを確実にL/Viよりも小さくでき、拡散荷電方式の放電を安定化できる。
【0031】
また、第4の発明では、放電時間TdをL(電極間距離)/Ve(電子移動速度)よりも小さくしている。これにより、本発明によれば、放電の開始と同時に放電電極(25)から発生した電子が、この放電の終了時において対向電極(26)へ到達してしまうのを防止できる。つまり、本発明では、イオンが対向電極(26)へ衝突してしまうことと、電子が対向電極(26)へ衝突してしまうこととの双方を防止できるので、拡散荷電方式の放電が更に安定する。特に、第5の発明では、ON電圧の印加時間TonをL/Veよりも小さくしているので、放電時間Tdを確実にL/Veよりも小さくすることができ、拡散荷電方式の放電を安定化できる。
【0032】
第6の発明によれば、放電電極(25)に突起部(25a,25b)を設けたので、該突起部(25a,25b)の先端部の電界を集中させることができ、被処理空気中へのイオン等の拡散を促すことができる。特に第7の発明によれば、突起部(25b)が荷電部(21)の下流側を向いているため、突起部(25b)の先端から放出されたイオン等を下流側へ流して拡散させることができる。
【0033】
また、第8の発明によれば、柱状の対向電極(26)の断面形状を、頂点角度が鈍角となる多角形又は円形としているため、対向電極(26)の近傍での電界の集中を抑制できる。その結果、イオン等が対向電極(26)へ到達してしまうのを一層確実に防止できる。更に、第9の発明では、対向電極(26)を放電電極(25)よりも上流側寄りに配置したので、放電電極(25)から対向電極(26)側へ向かうイオン等を被処理空気によって下流側へ送ることができる。従って、第8や第9の発明によれば、拡散荷電方式の放電を更に促すことができる。
【0034】
第10の発明によれば、拡散荷電方式の放電によって浮遊粒子を帯電させると共に、このようにして帯電させた浮遊粒子を捕集する空気処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0036】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係る荷電装置について説明する。図1に示すように、この荷電装置(20)は、被処理空気中の浮遊粒子を帯電させるものである。荷電装置(20)は、被処理空気中の浮遊粒子を帯電させるための荷電部(21)を備えている。荷電部(21)は、被処理空気が流れるダクト(またはケーシング)(2)内の空気通路(13)に設けられている。荷電部(21)は、放電電極(25)と対向電極(26)とを有している。なお、荷電装置(20)においては、複数組の放電電極(25,25,…)及び対向電極(26,26,…)を設けるようにしても良い。
【0037】
放電電極(25)は、薄板状であって、外形が概ね鋸歯状に形成された電極を構成している。具体的には、図2に示すように、放電電極(25)は、帯板状の基板部(25c)と該基板部(25c)の幅方向における両縁部に設けられた突起部(25a,25b)とが一体的に形成されて構成されている。基板部(25c)は、空気流れと直交する方向に延びる平板状に形成されている。突起部(25a,25b)は、先端が先鋭となった三角形状の突起によって構成されている。なお、突起部(25a,25b)には、その先端や角部にアールを付けるようにしても良い。突起部(25a,25b)は、空気流れの上流側に位置する上流側放電部(25a)と、空気流れの下流側に位置する下流側放電部(25b)とで構成されている。また、本実施形態では、上流側放電部(25a)と下流側放電部(25b)とが、基板部(25c)を挟んで幅方向に対称となるように配設されている。また、複数の突起部(25a,25b)は、所定の間隔を介して基板部(25c)の長手方向に配列されている。
【0038】
対向電極(26)は、略正円形の横断面を有する細長い柱状ないし棒状に形成されている。対向電極(26)は、空気流れと直交し、且つ放電電極(25)と平行となるように延びている。また、対向電極(26)は、放電電極(25)よりも上流側寄りに配置されている。本実施形態では、2つの対向電極(26)が、放電電極(25)の突起部(25a)を挟むように配設されている。より詳細には、2つの対向電極(26)は、複数の上流側放電部(25a)の各先端部を通る仮想平面上において、放電電極(25)から等間隔に配列されている。
【0039】
また、荷電装置(20)は、電源手段としての高圧のパルス電源(27)を備えている(図1を参照)。パルス電源(27)には、放電電極(25)と対向電極(26)とが電気的に接続されている。具体的には、放電電極(25)は、パルス電源(27)のマイナス極に接続されている。また、対向電極(26)は、パルス電源(27)のプラス極に接続されている。このパルス電源(27)のプラス極は、アースによって接地されている。即ち、本実施形態では、放電電極(25)がマイナス電位となり、対向電極(26)がゼロ電位となっている。パルス電源(27)は、放電電極(25)よりも対向電極(26)の方が高い電位となるように、両者の電極(25,26)へ電圧を印加する。これにより、荷電部(21)は、放電電極(25)から電子を放出してマイナスのイオンを発生させるように構成されている。
【0040】
また、荷電部(21)では、いわゆる拡散荷電方式の放電が行われる。この拡散荷電方式の放電では、放電電極(25)から発生した電子や、この電子と反応して生成されたイオンが、対向電極(26)にほとんど到達/衝突せずに荷電部(21)の下流側へ送られる(例えば図3を参照)。
【0041】
本実施形態の荷電装置(20)は、パルス電源(27)の電圧(出力電圧)を変化させるための電圧制御部(29)を有している。具体的には、電圧制御部(29)は、荷電部(21)で放電を行うためのON電圧と、荷電部(21)の放電を休止させるためのOFF電圧とを、パルス電源(27)からパルス状に交互に出力させるように構成されている(図4を参照)。これにより、荷電部(21)では、間欠的な放電が繰り返し行われる。電圧制御部(29)は、放電電極(25)から発生したイオンや電子が、対向電極(26)へ衝突しないようにパルス電源(27)の電圧を変化させる(詳細は後述する)。
【0042】
−運転動作−
実施形態1の荷電装置(20)の基本的な運転動作について説明する。荷電装置(20)の運転時には、ダクト(2)内の空気通路(13)を被処理空気が流れている。また、パルス電源(27)からは、放電電極(25)及び対向電極(26)へ電圧が印加される。
【0043】
図3に示すように、荷電部(21)では、放電電極(25)と対向電極(26)との間で拡散荷電方式の放電が行われる。つまり、両電極(25,26)へ電圧が印加されると、放電電極(25)から放電が生起され、放電電極(25)からイオンや電子が発生する。これらのイオンや電子は、対向電極(26)へ衝突しないようにして被処理空気中へ拡散される。このような拡散荷電方式の放電は、主としてサブミクロンオーダー(1μm未満)の浮遊粒子を帯電させ易い特性を有する。従って、この荷電装置(20)では、比較的細かい粒径の浮遊粒子がマイナスに帯電される。
【0044】
〈拡散荷電放電の安定化について〉
本実施形態の荷電装置(20)では、上記の拡散荷電方式の放電が安定して行われるように、電圧制御部(29)がパルス電源(27)の電圧を変化させている。ここで、本実施形態では、図4に示すように、パルス電源(27)のON電圧の一回毎の印加時間Tonが、放電電極(25)と対向電極(26)との間の距離L[m]を、イオンの移動速度Vi[m/sec]で除した値(即ち、L/Vi)よりも小さくなるように、パルス電源(27)の電圧が変化する。
【0045】
具体的には、本実施形態のパルス電源(27)は、そのパルス波形の周波数fが1000Hz、そのデューティー比pが25%に設定されている。従って、このパルス電源(27)では、荷電部(21)で放電を行うためのON電圧の一回毎の印加時間Ton[sec]が、(p/100)/f=0.25×10−3 となる。
【0046】
これに対し、本実施形態では、放電電極(25)から対向電極(26)までの間の距離L[m]が、約30[mm](即ち、0.03[m])に設定されている。また、上記Viは、イオンが空気中を移動する際の一般的な速度であり、例えばこのイオンの速度は10[m/sec]である。従って、本実施形態では、上記L/Viが、0.03/10=3.0×10−3 となる。ここで、L/Viは、放電電極(25)で発生したイオンが対向電極(26)へ到達するまでに要する理論上の時間(以下、イオン到達時間という)である。
【0047】
以上のように、本実施形態では、パルス電源(27)のON電圧の印加時間Tonが、イオン到達時間L/Viよりも短くなっている。これにより、荷電部(21)では、拡散荷電方式の放電が促進されている。この点について更に詳細に説明する。
【0048】
図4に示すように、荷電部(21)で間欠的に行われる一回毎の放電の時間(放電時間Td[sec])は、パルス電源(27)から電圧が印加される時間と同等かそれよりもやや小さい時間となる。つまり、放電時間Td[sec]は、パルス電源(27)の印加時間Ton[sec]以下となる。従って、上記の如くTon<L/Viの関係が成立すると、実質的にはTd<L/Viの関係も成立する。即ち、本実施形態では、荷電部(21)での放電時間Tdが、イオン到達時間L/Viよりも小さくなっている。
【0049】
このようにすると、荷電部(21)で放電が開始されてから、この放電が終了する(即ち、放電時間Tdが経過する)時点では、荷電部(21)から発生したイオン(6)は、未だ対向電極(26)に到達していない状態となる(図5を参照)。つまり、荷電部(21)では、イオン(6)が対向電極(26)に到達していない時点で放電が終了する。これにより、次の放電が開始される直前には、放電電極(25)と対向電極(26)との間に残留していたイオン(6)が、被処理空気に流されて荷電部(21)の下流側に拡散する。このようにして、本実施形態では、放電電極(25)から発生したイオン(6)が、対向電極(26)に衝突せずに次々と被処理空気中へ拡散していく。その結果、荷電部(21)では、拡散荷電方式の放電が安定して行われる。
【0050】
これに対し、仮に荷電部(21)において、放電時間Td≧イオン到達時間L/Viの関係が成立していたとする(図8を参照)。この場合、一回の放電が開始してからこの放電が終了する時点において、放電電極(25)から発生したイオン(6)が対向電極(26)へ衝突/到達してしまうことになる(図9を参照)。従って、このような荷電部(21)では、放電電極(25)から発生したイオン(6)が対向電極(26)へ衝突する、いわゆる衝突荷電方式の放電が生じてしまい、拡散荷電方式の放電を安定して行うことができない。
【0051】
以上の対比のように、本実施形態では、パルス電源(27)の印加時間Ton(放電時間Td)をイオン到達時間L/Tiよりも短くしたので、拡散荷電での放電を促進することができる。
【0052】
次に、本実施形態の荷電装置(20)と比較対象となる荷電装置とについて、拡散荷電電流の割合を対比した試験結果について説明する。ここで、「拡散荷電電流」とは、放電電極(25)を流れる電流(図1のa点を流れる電流)をIaとし、対向電極(26)を流れる電流(図1のb点を流れる電流)をIbとした場合に、被処理空気中へ拡散した電流(即ち、Ia−Ib)を示すものであり、拡散荷電方式の放電の度合を示す指標である。本実施形態のパルス電源(周波数f=1000Hz/デューティー比=25%)では、DC電源と比較して拡散荷電電流の割合が55%上昇し、拡散荷電方式の放電が安定して行われた。また、本実施形態と同様にして、Ton<L/Viの関係を満たす他のパルス電源(周波数f=2000Hz/デューティー比=50%)についても、DC電源と比較して拡散荷電電流の割合が37%上昇した。
【0053】
また、図6は、本実施形態の荷電装置(20)と比較対象となる荷電装置とについて、放電に要した放電電流[μA]と集塵効率との関係を表したグラフである。図6から明らかなように、Ton<L/Viの関係を満たすパルス電源(周波数f=1000Hz/デューティー比=25%、及び周波数f=2000Hz/デューティー比=50%)では、DC電源と比較すると、比較的低い放電電流で比較的高い集塵効率を得ている。つまり、本実施形態の荷電装置(20)では、電力消費を抑えながら高い集塵効率を得ることができる。
【0054】
−実施形態1の効果−
上記実施形態1では、荷電装置(20)において、放電電極(25)から発生したイオンが対向電極(26)へ衝突しないように、パルス電源(27)の電圧を変化させている。具体的には、パルス電源(27)のON電圧の印加時間TonをL/Viよりも小さくし、これにより、荷電部(21)での一回毎の放電時間TdをL/Viよりも小さくしている。このため、間欠的に行われる放電では、放電電極(25)から発生したイオンが対向電極(26)へ衝突してしまうことを防止できるので、いわゆる拡散荷電方式の放電を安定して行うことができる。
【0055】
また、放電電極(25)に突起部(25a,25b)を設けたので、該突起部(25a,25b)の先端部の電界を集中させることができ、被処理空気中へのイオン等の拡散を促すことができる。ここで、下流側放電部(25b)が荷電部(21)の下流側を向いているため、下流側放電部(25b)の先端から放出されたイオン等を下流側へ流して拡散させることができる。
【0056】
また、柱状の対向電極(26)の断面形状を、頂点角度が鈍角となる多角形又は円形としているため、対向電極(26)の近傍での電界の集中を抑制できる。その結果、イオン等が対向電極(26)へ到達してしまうのを一層確実に防止できる。また、対向電極(26)を放電電極(25)よりも上流側寄りに配置したので、放電電極(25)から対向電極(26)側へ向かうイオン等を被処理空気によって下流側へ送ることができる。従って、拡散荷電方式の放電を一層安定化させることができる。
【0057】
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2は、荷電装置(20)を空気浄化装置(10)に搭載したものである。空気浄化装置(10)は、被処理空気中の浮遊粒子を除去する空気処理装置を構成している。また、空気浄化装置(10)は、被処理空気中に含まれる臭気成分や有害成分を除去する。
【0058】
図7に示すように、空気浄化装置(10)は、中空状のケーシング(11)を備え、このケーシング(11)に複数の機能部品が収納されている。このケーシング(11)には、一端部に空気吸込口(12a)が形成され、他端部に空気吹出口(12b)が形成されている。また、空気吸込口(12a)は、ケーシング(11)の一壁面における両端部にそれぞれ形成されている。各空気吸込口(12a)には、被処理空気中に含まれる塵埃(浮遊粒子)のうち比較的粒径の大きなものを捕捉するプレフィルタ(14)がそれぞれ設けられている。
【0059】
ケーシング(11)内には、空気吸込口(12a)から空気吹出口(12b)に向かって空気が流れる空気通路(13)が形成されている。この空気通路(13)には、空気の流れ方向の上流側から下流側へ向かって順に、荷電装置(20)、整流部材(18)、集塵部(30)、吸着部材(15)、そして遠心ファン(シロッコファン)(17)が配置されている。上記空気通路(13)は、ケーシング(11)に対して上下(または左右)から空気吸込口(12a)に入った後に空気吹出口(12b)の方向へ向かってほぼ直角に屈曲し、シロッコファン(17)のところで空気吹出口(12b)の方向へ向かってさらに屈曲するようになっている。
【0060】
空気通路(13)では、2つの空気吸込口(12a)に対応するように、2つの荷電装置(20)が設けられている。各荷電装置(20)の荷電部(21)は、上記実施形態1の荷電装置(20)と同様の構成となっている。つまり、荷電装置(20)には、上記実施形態1と同様にして、放電電極(25)及び対向電極(26)が設けられている(図1〜3を参照)。また、本実施形態の空気浄化装置(10)は、上記実施形態1と同様にして、パルス電源(27)及び電圧制御部(29)を備えている。
【0061】
整流部材(18)は、各荷電部(21)の下流側に配置されており、各荷電部(21)側から屈曲するように流れた被処理空気を整流する。集塵部(30)は、第1電極(31)と第2電極(32)と直流高圧電源(図示省略)とを有している。第1電極(31)は、直流高圧電源のマイナス極に接続され、第2電極(32)は直流高圧電源のプラス極に接続されている。また、直流高圧電源のプラス極側は接地されている。第1電極(31)と第2電極(32)は、電極板を等間隔で交互に配置したものでもよいし、第2電極(32)を格子状にして各格子内の小さな空間に棒状ないし針状の第1電極(31)を配置したものでもよい。
【0062】
吸着部材(15)は、詳細は図示していないが、空気の流れ方向に沿って多数の微細な空気流通孔を有するハニカム状の基材の表面に、臭気成分を吸着するゼオライトなどの吸着剤の微粉末が担持されたものである。この吸着部材(15)には、吸着剤とともに、脱臭触媒の微粉末も担持されている。この吸着部材(15)は、空気中の臭気物質の一部が、集塵部(30)で捕捉されずにすり抜けてきた場合に、その臭気物質を吸着剤で捕捉し、その表面上で脱臭触媒の作用によって分解する。この脱臭触媒には、荷電部(21)の放電によって発生する熱や光,オゾンなどの活性物質等によって活性化して臭気成分の分解反応を促進する熱触媒や光触媒を用いることができる。
【0063】
吸着部材(15)の下流側には、シロッコファン(17)への空気の流入ガイドとしてのベルマウス(19)が配置されている。このベルマウス(19)によりシロッコファン(17)に導入された空気が、このシロッコファン(17)により流れの向きを変えて、空気吹出口(12b)からケーシング(11)の外へ吹き出されるようになっている。
【0064】
−運転動作−
実施形態2の空気浄化装置(10)の運転中には、シロッコファン(17)が駆動される。その結果、被処理空気である室内空気が空気吸込口(12a)からケーシング(11)内に吸い込まれる。荷電部(21)では、上記実施形態1と同様にして、拡散荷電方式の放電が行われる。つまり、パルス電源(27)では、放電電極(25)から発生したイオンや電子が、対向電極(26)へ衝突しないように、ON電圧の印加時間Tonが、L/Viよりも小さくなっている。これにより、荷電部(21)で間欠的に行われる各放電では、放電電極(25)から発生したイオンが対向電極(26)へ到達する前に放電が終了する。その結果、対向電極(26)へのイオンの衝突が防止され、拡散荷電方式の放電が安定化する。
【0065】
被処理空気中へイオンが拡散すると、このイオンによって被処理空気中の塵埃が帯電する。帯電した塵埃は、集塵部(30)へ流入する。集塵部(30)では、プラスの電荷を帯びた第2電極(32)とマイナスの電荷を帯びた第1電極(31)とを有しているので、マイナスに帯電した塵埃等の浮流粒子をクーロン力で捕捉することができる。
【0066】
集塵部(30)を通過することにより被処理空気中の塵埃の殆どは除去されているが、集塵部(30)で捕捉されずに空気吹出口(12b)に向かう塵埃も存在する。このように集塵部(30)を通過してしまった塵埃は、吸着部材(15)によって捕捉される。また、吸着部材(15)は脱臭触媒も担持しており、そこで臭気成分も分解される。そして、塵埃が除去されて臭気成分も分解された被処理空気が空気吹出口(12b)から室内空間へ吹き出される。
【0067】
−実施形態2の効果−
上記実施形態2の空気浄化装置(10)においても、パルス電源(27)のON電圧の印加時間TonをL/Tiよりも小さくしている。これにより、荷電部(21)での一回毎の放電時間Tdが、イオン到達時間L/Tiよりも確実に小さくなるため、上記の如くイオンが対向電極(26)へ衝突してしまうのを防止できる。その結果、拡散荷電方式の放電によって塵埃等を帯電できる空気浄化装置(10)を提供することができる。
【0068】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0069】
〈電子の移動速度を考慮した構成〉
上記各実施形態では、イオンの移動速度Viを考慮して放電時間TdあるいはON電圧の印加時間Tonを決定している。しかしながら、放電電極(25)から発生する電子の移動速度Veを考慮するようにしても良い。即ち、上記の各実施形態のパルス電源(27)において、放電時間TdやON電圧の印加時間Tonを、L/Veよりも小さくするようにしても良い。ここで、Veは、放電電極(25)から放出される電子の移動速度であり、例えば1.87×10[m/sec]となっている。従って、放電電極(25)と対向電極(26)との間の距離LをVeで除した値は、放電電極(25)から発生した電子が対向電極(26)へ到達するまでに要する理論上の時間(以下、電子到達時間という)である。
【0070】
例えばパルス電源(27)のON電圧の印加時間TonをL/Veよりも小さくすると、一回毎の放電時間TdもL/Veよりも小さくなる。このようにすると、荷電部(21)では、放電電極(25)から放出された電子が対向電極(26)へ到達する前に放電が終了することになる。これにより、次の放電が開始される際には、放電電極(25)と対向電極(26)との間に残留していた電子が、被処理空気に流されて荷電部(21)の下流側に拡散する。
その結果、荷電部(21)では、対向電極(26)への電子の衝突が防止される。
【0071】
なお、電子の移動速度Veは、上記のイオンの移動速度Viよりも早くなる。このため、放電時間Tdを電子到達時間よりも短くすることで、対向電極(26)へのイオンの衝突も確実に防止されることになる。このため、この例の荷電装置(20)では、イオンと電子との双方を被処理空気中へ拡散することができ、拡散荷電方式の放電が更に促進されることになる。
【0072】
〈電源手段の他の構成〉
上記各実施形態では、ON電圧とOFF電圧とを矩形波状に交互に出力するパルス電源(27)を用いている。しかしながら、電源手段としては、正弦波形状や三角波形状の電圧を出力するものを用いても良い。
【0073】
また、上記各実施形態のパルス電源(27)の周波数f及びデューティー比は、単なる例示であり、例えば周波数f=1000Hz/デューティー比=50%のパルス電源や、周波数f=2000Hz/デューティー比=50%のパルス電源を採用することもできる。この場合にも、ON電圧の印加時間Tonが、L/Tiより小さいものが好適であり、更には印加時間Tonが、L/Teより小さいものが好ましい。
【0074】
〈その他の構成〉
上記実施形態の対向電極(26)は、正円形状の断面を有する柱状に形成されているが、楕円形や多角形の断面を有する柱状であっても良い。特に、対向電極(26)は、頂点角度が鈍角となる多角形の断面形状を有する柱状であることが好ましい。これにより、対向電極(26)の外周面には、先鋭な角部(エッジ)が形成されないので、対向電極(26)の外周において局所的に電界が集中してしまうのを防止できる。
【0075】
上述した荷電装置(荷電部)(20)では、放電電極(25)をマイナス電位として、対向電極(26)をアース電位としている。しかしながら、例えば放電電極(25)をマイナス電位として対向電極(26)をプラス電位としても良い。
【0076】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上説明したように、本発明は、被処理空気中の浮遊粒子を帯電させる荷電装置、及びこの荷電装置を備えた空気処理装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施形態1に係る荷電装置の概略の構成図である。
【図2】荷電装置の荷電部の概略の斜視図である。
【図3】荷電装置の概略の構成図であって、イオン等の発生状態を模式的に表したものである。
【図4】荷電装置のパルス電源の出力電圧、及び放電電流の波形を示したタイムチャートである。
【図5】放電電極から対向電極へ向かうイオンを模式的に表した説明図である。
【図6】異なる特性の電源毎における集塵効率及び放電電流を比較したグラフである。
【図7】実施形態2に係る空気浄化装置の全体構成を示す概略の構成図である。
【図8】比較例の電源の放電電流の波形を示したタイムチャートである。
【図9】比較例の荷電装置において、放電電極から対向電極へ向かうイオンを模式的に表した説明図である。
【符号の説明】
【0079】
10 空気浄化装置(空気処理装置)
13 空気通路
20 荷電部(荷電装置)
25 放電電極
25a 上流側放電部(突起部)
25b 下流側放電部(突起部)
26 対向電極
27 パルス電源(電源手段)
29 電圧制御部
30 集塵部(電気集塵部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気通路を流れる被処理空気中の浮遊粒子を帯電させるための荷電部(21)と、該荷電部(21)の放電電極(25)と対向電極(26)とに電圧を印加する電源手段(27)とを備え、放電電極(25)で発生したイオンを荷電部(21)の下流側へ拡散させる拡散荷電方式の荷電装置であって、
上記放電電極(25)で発生したイオンが上記対向電極(26)へ衝突しないように上記電源手段(27)の電圧を変化させる電圧制御部(29)を更に備えていることを特徴とする荷電装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記電圧制御部(29)は、上記荷電部(21)で放電時間Td[sec]での放電が間欠的に行われるように上記電源手段(27)の電圧を変化させるように構成され、
上記放電電極(25)と対向電極(26)との間の距離をL[m]とし、該放電電極(25)から発生するイオンの移動速度をVi[m/sec]とすると、
上記放電時間Td[sec]が、L[m]/Vi[m/sec]よりも小さいことを特徴とする荷電装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記電圧制御部(29)は、上記荷電部(21)で放電を行うためのON電圧と該荷電部(21)の放電を休止させるためのOFF電圧とを上記電源手段(27)からパルス状に出力させるように構成され、
上記ON電圧の印加時間Ton[sec]が、上記L[m]/Vi[m/sec]よりも小さいことを特徴とする荷電装置。
【請求項4】
請求項2において、
上記荷電部(21)は、上記放電電極(25)から電子を放出してマイナスのイオンを発生させるように構成され、
上記放電電極(25)から放出される電子の移動速度をVe[m/sec]とすると、
上記放電時間Td[sec]が、L[m]/Ve[m/sec]よりも小さいことを特徴とする荷電装置。
【請求項5】
請求項4において、
上記電圧制御部(29)は、上記荷電部(21)で放電を行うためのON電圧と荷電部(21)の放電を休止させるためのOFF電圧とを上記電源手段(27)からパルス状に出力させるように構成され、
上記ON電圧の印加時間Ton[sec]が、上記L[m]/Ve[m/sec]よりも小さいことを特徴とする荷電装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つにおいて、
上記放電電極(25)は、先端が先鋭な突起部(25a,25b)を有していることを特徴とする荷電装置。
【請求項7】
請求項6において、
上記放電電極(25)の突起部(25b)は、上記荷電部(21)の下流側を向いていることを特徴とする荷電装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つにおいて、
上記対向電極(26)は、頂点角度が鈍角となる多角形又は円形の断面形状を有する柱状に形成されていることを特徴とする荷電装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つにおいて、
上記荷電部(21)では、上記対向電極(26)が放電電極(25)よりも上流側寄りに配置されていることを特徴とする荷電装置。
【請求項10】
被処理空気中の浮遊粒子を帯電させるための荷電装置(20)と、帯電させた浮遊粒子を捕集する電気集塵部(30)とを備えた空気処理装置であって、
上記荷電装置(20)は、請求項1乃至9のいずれか1つの荷電装置で構成されていることを特徴とする空気処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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