説明

落雷発生表示装置

【課題】送電線鉄塔への落雷回数を表示する落雷発生表示装置を安価に提供する。
【解決手段】鉄塔に落雷があった場合に、落雷が発生したことを表示する落雷発生表示装置1であって、落雷を検知する毎に落雷信号を発生する落雷検知部10と、初期状態において落雷信号を最初に入力すると、当該入力時点を起点として所定時間経過した時点で自身を初期状態に設定するとともに、リセット信号を出力するタイマー部30と、落雷信号の入力回数を示す落雷回数信号を出力するとともに、タイマー部からのリセット信号を入力すると、入力回数が0回の落雷回数信号を出力するカウンタ部20と、点灯と消灯が可能な表示器70と、カウンタ部から0回を示す落雷回数信号を入力すると表示器を消灯状態にし、1回以上を示す落雷回数信号を入力すると当該信号が示す回数に応じて表示器の点灯態様を変化させる表示制御部40とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄塔への落雷を検知して落雷が発生したことを表示する落雷発生表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送電線の保守管理のため、送電線の各鉄塔には、例えば、閃絡表示器(登録商標)等と呼ばれる落雷があったか否かを表示する装置(以下、落雷発生表示装置)が設置されている。落雷発生表示装置としては、火薬式閃絡表示器がよく知られている。この火薬式閃絡表示器は、落雷によって鉄塔部材に流れる雷電流による誘導電流をコイルで増幅し、このコイルの先に取り付けたフィラメントの熱により火薬を発火爆発させる。そして、閃絡の表示は、この爆風で表示器の蓋と赤色などに着色された表示布を外部に飛ばして垂れ下げさせることにより行われる。
【0003】
送電線の保守管理者は、ヘリコプターに搭乗するなどして巡回し、各鉄塔の閃絡表示器を双眼鏡などを使って目視で検査する。表示器の蓋と表示布が外部に垂れ下がった状態の閃絡表示器があれば、落雷の事実を認知し、その落雷があった鉄塔を特定することができる。なお、以下の特許文献1には、一つの鉄塔に落雷の機会ごとに順番に動作する複数の火薬式閃絡表示器を備えた落雷発生表示装置(火薬駆動式閃絡回数表示装置)について記載されている。この表示装置によれば、複数の火薬式閃絡表示器が順番に動作するごとに、数字が書かれた表示板を表示布に代わって表示することで、一つの鉄塔において発生した落雷回数を確認することができるようになっている。
【0004】
しかしながら、特許文献1を含め、従来の火薬式閃絡表示器では、一度動作してしまうと、垂れ下がった表示布や動作済みの表示板を動作前の状態に戻したり、火薬補充したりするなど、人の手で落雷発生表示装置を初期状態に復帰させる作業が必要となる。
【0005】
そこで、以下の特許文献2には、火薬を用いた機械式の落雷発生表示装置に代わり、電気回路で構成されて、鉄塔に落雷があった場合にその旨を無線伝送する落雷発生表示装置(閃絡表示装置)について記載されている。この装置は、各鉄塔に取り付けられ、落雷があるとその旨の信号を微弱電波にて無線送信する送信器を備えている。そして、鉄塔ごとに異なる周波数の送信信号が送信するように構成されている。それによって保守管理者は、受信機を持って巡回し、送信信号を受信することで落雷の有無を確認し、受信した送信信号の周波数によって落雷のあった鉄塔を特定することができる。また、タイマーを内蔵し、落雷を検知してから所定時間経過すると送信を中止して初期状態に自動復帰できるようにもなっている。
【特許文献1】特許第3847370号公報
【特許文献2】特公平7−38010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、閃絡表示器を順次作動させているため、自動復帰できないという問題に加え、落雷の累積回数を確認できても、その落雷が連続して起きたものなのか、全く別の時期に起きたものであるのかを把握することができない、という問題がある。また、特許文献2に記載の技術では、各鉄塔に高価な送信機を設置する必要があり、設置対象となる鉄塔の数が多ければ、膨大な設置コストがかかる。さらに、鉄塔ごとに異なる周波数の電波を使用しているため、鉄塔ごとに送信周波数を調整する煩雑な作業が必要となる。受信機についても、すべての周波数を走査しながら受信しなくてはならず、速やかに落雷の事実を確認することができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、落雷発生表示装置を各鉄塔に設置し、その各鉄塔における落雷発生表示装置の動作状態を巡回しながら目視で行うことで落雷のあった鉄塔と特定する、という従来の保守管理方法を採用する際、落雷の有無を確実に目視で判断でき、かつ、その落雷が1回であるのかあるいは複数回であったのかを確実に確認したいと考えた。
【0008】
また、落雷発生表示装置には、落雷の時期を特定するため、最初の落雷を起点として所定期間内に落雷が何度あったのかを表示したり、その期間満了後は、自動的に初期状態、すなわち落雷待機状態に復帰したりする機能が必要であるとも考えた。もちろん、数多くの鉄塔に設置する必要性から、送信器や受信機、あるいはキャラクタ表示が可能なディスプレイなどの複雑で高価な装置を付帯せず、可能な限り、簡素な構成として安価で故障しにくい構成とすることも必要であると考えた。本発明は、このような考察に基づいて創作された。
【0009】
第1の発明は、鉄塔に取り付けられ、当該鉄塔に落雷があった場合に、落雷が発生したことを表示する落雷発生表示装置であって、
前記鉄塔への落雷を検知するとともに、落雷を検知する毎に落雷信号を発生する落雷検知部と、
初期状態において、前記落雷検知部が発生する落雷信号を最初に入力すると、当該入力時点を起点として所定時間経過した時点で自身を初期状態に設定するとともに、リセット信号を出力するタイマー部と、
前記落雷検知部が発生した落雷信号を入力し、その入力回数を示す落雷回数信号を出力するとともに、タイマー部からのリセット信号を入力すると、入力回数が0回の落雷回数信号を出力するカウンタ部と、
点灯と消灯が可能な表示器と、
カウンタ部から落雷回数信号を入力し、当該落雷回数信号が0回であるときは前記表示器を消灯状態にし、1回以上を示す落雷回数信号を入力すると当該信号が示す回数に応じて前記表示器の点灯態様を変化させる表示制御部と、
を備えた落雷発生表示装置としている。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記表示制御部は、落雷回数保持部と、表示器駆動部とを含み、
落雷回数保持部は、カウンタ部からの落雷回数信号が所定回数未満を示す場合には、当該落雷回数信号が示す回数を記憶して当該記憶回数を示す回数保持信号を継続的に出力するとともに、所定回数以上である場合は、当該所定回数を記憶して当該記憶回数を示す回数保持信号を継続的に出力し、
表示器駆動部は、前記落雷回数保持部が出力する回数保持信号応じて前記表示器の点灯態様を変化させる落雷発生表示装置とした。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、前記表示器は一つであり、前記表示器駆動部は、回数保持信号が示す回数に応じて表示器の点灯態様を、消灯、常時点灯、点滅の何れかに変化させるとともに、点滅状態においては、落雷回数に応じて点灯と消灯の時間間隔を可変制御する落雷発生表示装置とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、送電線の鉄塔に落雷があった場合に、落雷が発生した事実だけではなく、落雷の回数を表示することが可能な落雷発生表示装置を安価に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
===落雷発生表示装置の概要===
図1に、本発明の実施形態における落雷発生表示装置の概略構成を示した。当該落雷発生表示装置1は、送電鉄塔に設置され、落雷検知部10と、カウンタ部20と、タイマー30と、表示制御部40と、点灯動作を行う表示器70とを基本構成として備えている。そして、送電鉄塔に落雷があると、その落雷回数に応じて表示器70の点灯態様を変化させることで、所定期間内における落雷の事実と落雷の回数を表示するものである。
【0014】
本実施形態では、落雷があってからその確認のための巡回検査に取りかかるまでに、長い時間が掛からないこと、および、装置の構成を可能な限り簡素にして低コスト化を達成すること、などに鑑み、一度の検査で落雷が1回か2回以上の複数回であるかを判断するための必要最小限の構成を備えている。また、落雷の有無や回数を表示するための表示器70についても一つとし、その一つの表示器70でも確実に1回と2回以上の落雷を判別できるように、表示器70の点灯態様を変化させている。以下、本実施形態における落雷発生表示装置1の具体的な構成について説明する。
【0015】
===落雷発生表示装置の回路構成==
本実施形態の落雷発生表示装置1は、例えば、太陽電池などを電源として動作する。当該落雷発生表示装置1において、避雷器12を備えた落雷検知部10は、落雷によって鉄塔に流れる雷電流をコイル11によって誘導・増幅し、その誘導起電流が抵抗13に流れることで抵抗13の両端に発生する電位差をコンパレータ14によって比較する。コンパレータ14は、波形整形回路として、閾値以上の電圧が端子Linに入力されていれば、所定電圧の信号を端子Loutより出力する。すなわち、落雷が発生して雷電流が鉄塔に流れるごとに、一つのパルスからなる信号(落雷信号)をLoutより出力する。
【0016】
このパルス状の落雷信号は、バイナリカウンタからなるカウンタ部20のクロックパルスとして端子CLKに入力される。本実施形態では、2ビットのバイナリカウンタを使用しており、最下位の桁に対応する出力端子をa端子、その上の桁に対応する端子をb端子とし、初期状態、すなわち10進法の「0」、二進法の「00」に相当する(a,b)=(Low,Low)から、落雷信号がCLKに入力される毎に(High,Low)、(Low,High)、(High,High)、(Low,Low)・・・の順に変化する。
【0017】
表示制御部40は、このカウンタ部20の信号出力状態に応じて表示器70の点灯態様を変化させるための回路を含んで構成されている。表示器70には、例えば、高輝度タイプのLEDが使用できる。表示制御部40は、二つのRSフリップフロップ(FF)で構成される落雷回数保持部(以下、保持部)50と、LED70の点灯態様を入力信号に応じて消灯、常時点灯、点滅の3つの態様に変化させるためのLED駆動部60を含んでいる。LED駆動部60は、発振回路や分周回路を含んで所定周期のパルス列を発生させる発振部61と、この発振部61を信号経路の上流側として順に接続される前段のAND回路62、NAND回路63、および後段のAND回路64から構成されている。そして、本実施形態では、落雷の回数が0回、1回、2回以上に応じて、LED70を消灯、常時点灯、点滅状態に変化させる。すなわち、複雑な表示器を用いなくても、点灯と消灯の2状態を組み合わすだけで落雷の事実に加え、落雷の回数も確認することができるようになっている。
【0018】
カウンタ部20とともに落雷信号が入力されるタイマー部30は、初期状態において、最初の落雷信号であるクロックパルスが入力端子Tsetに入力されると、計時動作を開始し、あらかじめ設定されている所定時間が経過した時点で、自身を初期状態にリセットして計時待機状態にするとともに、出力端子res-outよりリセット信号を出力する。
===落雷発生表示装置の動作===
以下に、上記回路構成の落雷発生表示装置1の動作について、落雷が発生するごとに変化する各端子における信号の状態と、LED70の点灯態様との関係によって説明する。
【0019】
表1に各端子における信号状態と点灯態様との関係を示した。
【表1】

【0020】
<落雷待機状態>
落雷が0回のとき、すなわち落雷待機状態では、カウンタのabの各出力は双方ともLow状態(L)である。保持部50を構成する二つのFFは、カウンタのa出力とb出力を自身のS入力(S1,S2)に入力している。それぞれのR入力(R1,R2)は、タイマー部30のリセット信号出端子res-outと接続されており、この例では、リセット信号出力res-outは、初期状態、あるいは計時動作を開始してから所定期間が経過するまでの間はLを維持する。また、二つのFFのQ出力(Q1,Q2)は、初期状態において、双方ともLである。したがって、二つのFFのそれぞれのQ出力(Q1,Q2)からの信号を入力する二つのAND回路(62,64)からの信号出力(Y1,Y2)はともにLであり、後段のAND回路63の出力Y2に接続されているLED70は消灯状態となる。
【0021】
<1回目の落雷>
落雷待機状態から当該落雷発生表示装置1が設置されている鉄塔に1回目の落雷があると、落雷検知部10のコンパレータ14から落雷信号として一つのパルスがカウンタ部20のCLKとタイマー部30のTsetに入力される。カウンタ部20は、このパルスによって10進法の「1」、すなわち2進法の「01」として、a出力のみをHigh状態(H)にする。タイマー部30は計時動作を開始する。
【0022】
カウンタ部20のa出力からのH信号は、当該a出力に接続されている保持部50の1段目のFF51のS入力s1に入力される。当該FF51のR入力R1はLなので、FF51のQ出力Q1は、Hとなり、LからHになる。2段目のFF52は、S入力S2、R入力R2ともにLであるので、Q出力Q2はLのままで保持される。
【0023】
LED駆動部60では、前段のAND回路62の三つの入力(A1,B1,C1)の内のC1には保持部50の後段のFF52のQ出力(Q2)のLが入力されているため出力Y1はLである。その結果、NAND回路63の二つの入力(A2,B2)がともにLとなるので、出力Y2がHとなる。そして、後段のAND回路64の二つの入力A3とB3には、NAND回路63からのHと保持部50における1段目のFF51のQ出力Q1からのHとが入力され、当該後段のAND回路64の出力Y3からH信号が出力される。それによって、LED70は、常時点灯状態となる。
【0024】
<2回目の落雷>
さらに、タイマー部30において所定時間が経過する前に、2回目の落雷が発生したとする。この落雷によってコンパレータ14から2回目の落雷信号が出力され、その落雷信号がカウンタ部20のCLK端子に2回目のパルスとして入力される。カウンタ部20は、「2」を表現するように、各出力aとbからそれぞれLとHを出力する。1段目のFF51のR入力R1はHからLへ変化するが、タイマー部30が時間計測中で、リセット信号をLに維持しているため、S入力S1もL状態となり、1回目の落雷によってHになったQ出力Q1がそのままHで保持される。一方、2段目のFF52のS入力S2には、Lだったカウンタ部20の出力bからHが入力され、R入力R2がLであるので、Q出力Q2は、信号状態をLからHに変化する。
【0025】
LED駆動部60において、前段の3入力タイプのAND回路62の入力端子(A1,B1,C1)には、それぞれ、発信部61からの所定周期のパルス列、すなわちHとLが所定周期で交互に変化する信号(H/L)と、保持部50の二つのFF(51,52)のそれぞれのQ出力(Q1,Q2)からのHとが入力され、当該AND回路62は、発信部61からのH/L信号を出力する。
【0026】
NAND回路63の二つの入力端子A2とB2には、それぞれ、このH/L信号と2段目のFF52のQ出力Q2からのH信号とが入力され、その出力Y2は、入力したパルス列のHとLが反転したパルス列L/H信号を出力する。そして、後段のAND回路64には、このL/H信号と、2段目のFF52のQ出力Q2からのH信号とが入力され、L/H信号をLED70に接続される端子Y3より出力する。それによってLED70は、発信部61からのパルス列の周期で明滅する点滅状態となる。
【0027】
<3回目以降の落雷>
保持部50の二つのFF(51,52)は、それぞれのS入力(S1,S2)とR入力(R1,R2)がそれぞれLとHにならない限り、Q出力(Q1,Q2)の状態を保持する。したがって、3回以上の落雷があっても、LED70は、2回目の落雷と同様に、発信部61からのパルス列の周期で明滅する点滅状態を続ける。
【0028】
以上により、送電鉄塔の保守管理者は、各鉄塔に設置されている落雷発生表示装置1のLED70の点灯状態を目視で確認することで、消灯状態であれば落雷が無かったことを、点灯状態であれば1回の落雷があったことを、点滅状態であれば2回以上の落雷があったことを、それぞれ認知することができる。
【0029】
<リセット動作>
タイマー部30は、最初の落雷があってから所定時間が経過すると、リセット信号を出力する。本実施形態ではH信号を出力する。このH信号は、カウンタ部20のリセット入力resと保持部50の二つのFF(51,52)のR入力(R1,R2)に入力される。カウンタ部20は、リセット入力resにH信号が入力されるとカウンタの計数値を「0」にリセットし、aとbの各出力をともにLにする。すなわち、保持部50の二つのFF(51,52)のS入力(S1,S2)にLが入力される。そして、当該二つのFF(51,52)は、S入力(S1,S2)にL、R入力(R1,R2)にHがそれぞれ入力され、二つのFF(51,52)のQ出力(Q1,Q2)はともにLとなる。このようにして、落雷発生表示装置1は、自身を落雷待機状態に自動復帰させる。
【0030】
なお、タイマー部30が計測を開始してからリセット信号を出力するまでの時間(リセット周期)は、当該落雷発生表示装置1が0回と1回と2回以上の落雷を判別する構成であること、保守管理業務の休業期間中に落雷が発生する可能性があること、などを考慮すると、週末(例えば、金曜日17:00)から翌週の業務開始時点(例えば、翌週月曜日10:00)までの期間における落雷を確認できる程度の期間であればよく、本実施形態では、約3日(72時間)〜4日(96時間)程度のリセット周期を想定している。
【0031】
===その他の実施形態===
上記実施形態では、リセット周期において判別できる落雷の回数(落雷判別回数)は、実質的に1回である。すなわち、2回以上の落雷については一律に同じ態様でLED70を点滅させていたが、落雷判別回数をより多くすることも可能である。例えば、図2に示すように、保持部50bを三つのFF(51〜53)と、カウンタ部20の二つの出力(a,b)を入力するAND回路54とにより構成し、このAND回路54の出力Y4を三つ目のFF53のS入力S3に接続する。また、R入力R3には上記実施形態と同様にタイマー部30におけるリセット信号出力res-outを接続する。
【0032】
そして、当該構成において、カウンタ部20が「3」に相当する「11」、すなわち、aとbからともにHを出力した場合、三つのFF(51〜53)のそれぞれのQ出力(Q1〜Q3)は、すべてH信号を出力し、それ以降、タイマー部30からのリセット信号出力res-outがHとなって、そのHがR入力(R1〜R3)に入力されない限り、カウンタの出力(a,b)からの信号が変わってもこの状態を保持する。すなわち、落雷回数が0回、1回、2回、3回以上を判別することができる。
【0033】
なお、2回目と3回目以降とをLED70の点灯態様で区別するためには、発振部61からのパルスの周期やデューティ比などを変えることで、点滅するLED70の点灯と消灯の時間間隔を変えるなど、適宜な構成とすればよい。一例を挙げれば、発信部61を、周期やデューティ比が異なる2系統の発振信号を出力するように構成し、3段目のFF53のQ出力Q3を入力してその入力信号(LまたはH)に応じて一方の系統の発振信号をLED駆動部60の1段目のAND回路62のA1端子に入力させるスイッチを付加すればよい。もちろん、多ビットのカウンタを用いるとともに、LED70における点灯態様をさらに多く用意することで、より多くの落雷回数に対応できるようにすることも可能である。
【0034】
また、表示器は一つのLEDに限らず、輝度を大きくするために同時に点灯・消灯する複数個のLEDで構成してもよい。自己発光型の表示ではなく、液晶などを用いた反射型表示器であってもよい。もちろん、複数の表示器を用い、各表示器が、カウンタ部20から出力される落雷回数に応じた信号に従って、個別に点灯態様を変化するような回路構成も考えられる。
【0035】
なお、当然のことながら、タイマー部30のリセット周期は、保守管理者の業務形態や落雷発生表示装置1における落雷判別回数などに応じて適宜に設定できる。例えば、落雷判別回数が多い場合は、落雷が発生してから、巡回検査までの時間に余裕が生まれるので、リセット周期は、上記実施形態が想定している期間より長目に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態における落雷発生表示装置の回路構成図である。
【図2】本発明のその他の実施形態における落雷発生表示装置の要部回路構成図である。
【符号の説明】
【0037】
1 落雷発生表示装置
10 落雷検知部
20 カウンタ部
30 タイマー部
40 表示制御部
50 落雷回数保持部
60 表示器駆動回路
70 表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄塔に取り付けられ、当該鉄塔に落雷があった場合に、落雷が発生したことを表示する落雷発生表示装置であって、
前記鉄塔への落雷を検知するとともに、落雷を検知する毎に落雷信号を発生する落雷検知部と、
初期状態において、前記落雷検知部が発生する落雷信号を最初に入力すると、当該入力時点を起点として所定時間経過した時点で自身を初期状態に設定するとともに、リセット信号を出力するタイマー部と、
前記落雷検知部が発生した落雷信号を入力し、その入力回数を示す落雷回数信号を出力するとともに、タイマー部からのリセット信号を入力すると、入力回数が0回の落雷回数信号を出力するカウンタ部と、
点灯と消灯が可能な表示器と、
カウンタ部から落雷回数信号を入力し、当該落雷回数信号が0回であるときは前記表示器を消灯状態にし、1回以上を示す落雷回数信号を入力すると当該信号が示す回数に応じて前記表示器の点灯態様を変化させる表示制御部と、
を備えたことを特徴とする落雷発生表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、落雷回数保持部と、表示器駆動部とを含み、
落雷回数保持部は、カウンタ部からの落雷回数信号が所定回数未満を示す場合には、当該落雷回数信号が示す回数を記憶して当該記憶回数を示す回数保持信号を継続的に出力するとともに、所定回数以上である場合は、当該所定回数を記憶して当該記憶回数を示す回数保持信号を継続的に出力し、
表示器駆動部は、前記落雷回数保持部が出力する回数保持信号に応じて前記表示器の点灯態様を変化させる
ことを特徴とする落雷発生表示装置。
【請求項3】
請求項2において、前記表示器は一つであり、前記表示器駆動部は、回数保持信号が示す回数に応じて表示器の点灯態様を、消灯、常時点灯、点滅の何れかに変化させるとともに、点滅状態においては、落雷回数に応じて点灯と消灯の時間間隔を可変制御することを特徴とする落雷発生表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−264848(P2009−264848A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113034(P2008−113034)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】