説明

葉物野菜の凍結品製造装置

【課題】ほうれん草や小松菜などの葉物野菜を加熱処理及び水除去処理をした後に凍結させる凍結品製造装置に関する技術である。
【解決手段】蒸気又は90℃以上の温水で加熱処理後の葉物野菜に付着した水を除去する水除去装置2として、空気流通室4と、空気流通室4内に設けた葉物野菜を載置して搬送する水除去用搬送装置6と、葉物野菜に50℃〜80℃で相対湿度50%以下の温風を吹付ける空気吹付装置7とを備えて、空気流通室4内を流通する温風により、葉物野菜に付着した水を除去するようにして、損傷が少なく、うま味成分の流出の少ない良好な品質の葉物野菜の凍結品を製造することのできるようにしたのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ほうれん草や小松菜などの葉物野菜の凍結品製造装置に係り、特に、蒸気又は90℃以上の温水で加熱処理後の葉物野菜に付着した水を除去する水除去装置として、空気流通室と、空気流通室内に設けた葉物野菜を載置して搬送する水除去用搬送装置と、葉物野菜に空気を吹付ける空気吹付装置とを備えて、空気流通室内を流通する空気により、葉物野菜に付着した水を除去するようにした葉物野菜の凍結品製造装置に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
従来、ほうれん草や小松菜などの葉物野菜の冷凍方法として、割砕された原料野菜を沸騰水中に短時間浸漬し連続して、直ちに、冷水中に短時間の浸漬処理をし、次に遠心脱水機を使用して遠心脱水処理をし、急速冷凍処理を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、野菜を遠心脱水処理する遠心脱水機は周知である(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
さらに、従来の製造装置の一例として、図8及び図9に示す、ほうれん草や小松菜などの葉物野菜の凍結品製造装置が実用に供されている。
図8において、図面の左端が一次洗浄及び根切工程50である。
この一次洗浄付根切工程50で、作業員51は入荷したほうれん草52を載置した棚53からほうれん草52をとって、一次洗浄槽54でほうれん草52に付着した土などを洗浄して根切用搬送装置55に投入する。
【0004】
作業員51はほうれん草52を根切用搬送装置55に投入するに当たっては、根切機56の刃が上下動する位置に、ほうれん草52の根の切取位置が合致するようにするのである。
根切用搬送装置55で搬送されたほうれん草52は根切機56で根切りが行われる。
【0005】
一次洗浄及び根切工程50を経たほうれん草52は中継用搬送装置57により一次トリミング工程60に搬送される。
一次トリミング工程60で、作業員61は中継用搬送装置57から一次トリミング用搬送装置62に移されたほうれん草52の枯葉などの一次トリミングを行う。
【0006】
一次洗浄及び根切工程50は根切機56の設置の制約から2系統としており、一次トリミング工程60は前半を2系統とし、後半を合流させて1系統としている。
一次トリミング工程60を経たほうれん草52は二次洗浄工程65を経て最終洗浄工程70に搬送される。
【0007】
二次洗浄工程65では、二次洗浄用搬送装置66で搬送されるほうれん草52はシャワー式洗浄装置67により二次洗浄がなされる。
最終洗浄工程70では、最終洗浄用搬送装置71で搬送されるほうれん草52は泡立った水槽を備えたバブリング洗浄装置72により最終洗浄がなされる。
【0008】
最終洗浄工程70を経たほうれん草52は中継用搬送装置73により二次トリミング工程75に搬送される。
二次トリミング工程75で、作業員76は中継用搬送装置73から二次トリミング用搬送装置77に移されたほうれん草52の枯葉などの二次トリミングを行うとともに、次工程の切断工程80に備えてほうれん草52を二次トリミング用搬送装置77上で分散させる。
【0009】
切断工程80では、切断用搬送装置81で搬送されるほうれん草52はスライサーからなる切断装置82により適宜の大きさに切断される。
切断工程80で切断されたほうれん草は加熱用分散工程85で、作業員86によりネット状の加熱分散用搬送装置87上に均一な厚みとなるように分散され、次の加熱処理工程90に搬送される。
【0010】
加熱処理工程90では、ほうれん草は加熱分散用搬送装置87でスチームブランチング室91内を搬送される際にスチームブランチングを行う加熱処理装置92によりほうれん草の下方から噴出されるスチームで加熱処理がなされる。
この加熱処理工程90における加熱は、製造した凍結品を解凍したときに加熱調理をすることなく調味料をかけてそのまま食べられる程度に行うのであり、もちろん好みにより解凍後にバター炒めや汁物に入れるなどの再加熱をしてもよく、加熱処理工程90で加熱処理されたほうれん草は冷却工程95に搬送される。
【0011】
冷却工程95では、ほうれん草は冷却用搬送装置96により冷却水槽97内を通って冷却され、一時貯留部98に一時貯留され(図8の右端)、図9の左端に示す次工程の脱水工程100に移る。
脱水工程100では、作業員101は一時貯留部98に一時貯留されているほうれん草を遠心脱水機102に収納して遠心脱水を行う。
【0012】
脱水工程100でバッチ処理により遠心脱水されたほうれん草は、凍結用分散工程105を経て凍結工程110で処理される。
凍結用分散工程105では、作業員106は、遠心脱水機102の脱水籠の内周壁に押付けられて塊状になったほうれん草をホグシしながら凍結分散用搬送装置107に均一な厚みとなるように分散させる。
【0013】
凍結分散用搬送装置107により搬送されるほうれん草は凍結工程110に搬送される。
凍結工程110では、IQFフリーザー(図示せず)によりほうれん草をバラ凍結するようにしている。
【0014】
IQFフリーザーは断熱された凍結庫111内でネット状の凍結用搬送装置112上のほうれん草に下方から冷凍装置(図示せず)からの低温空気を吹付けてほうれん草を上下動させながらバラ凍結させるのである。
凍結工程110で凍結された凍結ほうれん草は振動しながら搬送する振動搬送装置114により包装工程115に搬送される。
【0015】
包装工程115では、バケット式搬送装置116により凍結ほうれん草をコンピュータ計量器117に供給し、コンピュータ計量器117で設定量を計量して、給袋包装機118により包装する。
包装工程115で凍結ほうれん草を設定量に包装された凍結品は検査用搬送装置119により検査工程120に搬送される。
【0016】
検査工程120では、凍結品の異物の混入の有無を検査するX線検査装置121、金属の混入の有無を検査する金属検査装置122及び重量が設定範囲内であるか否かを検査する重量検査装置123により、包装された凍結品を全数検査する。
これらX線検査装置121、金属検査装置122、重量検査装置123で、凍結品に異物若しくは金属の混入又は重量の設定範囲外を検出したときは、当該凍結品は自動的に検査用搬送装置119から下方又は側方に排出される。
【0017】
検査工程120で合格した凍結品はターンテーブル130に送られ、作業員131により作業台132上で出荷用箱133に所定数ずつ箱詰めさる。
凍結品を詰込んだ出荷用箱133は出荷用搬送装置134からパレット135に載置され、図示していないが、フォークリフトで冷凍庫に冷凍保管される。
【0018】
なお、93はスチームブランチング室91に設けられた点検窓、113は凍結庫111に設けられた点検扉、124は包装工程115及び検査工程120における稼動状態及び検査状態を監視する監視員である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平8−280325号公報(段落0039、0048、0054)
【特許文献2】特開平7−327652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従来の葉物野菜の凍結品製造装置又は凍結品製造方法では、ほうれん草や小松菜などの洗浄及び切断された葉物野菜を沸騰水又はスチームで加熱処理を行い、冷却水で冷却し、遠心脱水機で遠心脱水処理をした後に、凍結処理を行って凍結品を製造している。
このようにして製造した従来の凍結品は、凍結処理前の水除去を遠心脱水機で行っているため、遠心力による葉の折れや茎の潰れなどの損傷が発生するとともに、葉物野菜そのものの成分も排出して、商品価値が損なわれるという問題があった。
【0021】
また、遠心脱水機で水除去を行った葉物野菜は遠心脱水機の脱水籠の内周壁に押付けられた状態であるため、バラ凍結前に人手によるホグシが必須となるという問題もあった。
さらに、人手によるホグシを行うために加熱処理した葉物野菜を冷却水中で冷却しなければならず、葉物野菜のうま味成分を流出させてしまい美味しくなくなるという問題もあった。
【0022】
本発明は、このような従来の葉物野菜の凍結品製造装置又は凍結品製造方法が有していた課題を解決しようとするものであり、蒸気又は90℃以上の温水で加熱処理後の葉物野菜に付着した水を除去する水除去装置として、空気流通室と、空気流通室内に設けた葉物野菜を載置して搬送する水除去用搬送装置と、葉物野菜に空気を吹付ける空気吹付装置とを備えて、空気流通室内を流通する空気により、葉物野菜に付着した水を除去するようにして、良好な品質の葉物野菜の凍結品を製造することのできる製造装置とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
請求項1に係る本発明の葉物野菜の凍結品製造装置は、葉物野菜を洗浄する洗浄装置と、葉物野菜を切断する切断装置と、洗浄及び切断された葉物野菜を蒸気又は90℃以上の温水で加熱処理する加熱処理装置と、加熱処理された葉物野菜に付着した水を除去する水除去装置と、水を除去された葉物野菜をバラ凍結させる凍結装置とを備えた葉物野菜の凍結品製造装置において、
水除去装置は、空気を取入れる空気取入口と空気を排出する空気排出口とを備えた空気流通室と、空気流通室内に設けた葉物野菜を載置して搬送する水除去用搬送装置と、葉物野菜に空気を吹付ける空気吹付装置とを備えて、空気流通室内を流通する空気により、葉物野菜に付着した水を除去するようにしたものである。
【0024】
請求項2に係る本発明の葉物野菜の凍結品製造装置は、請求項1に係る本発明の構成に加え、水除去用搬送装置は多数の空気流通孔を有する帯状部を備え、
葉物野菜に空気を吹付ける空気吹付装置は水除去用搬送装置の搬送方向と交差する方向に空気吹付スリットを備えた空気吹付部材から形成し、該空気吹付部材を水除去用搬送装置の上下に設け、
葉物野菜に吹付ける空気は50℃〜80℃で相対湿度50%以下の温風としたものである。
【0025】
請求項3に係る本発明の葉物野菜の凍結品製造装置は、請求項1又は2に係る本発明の構成に加え、水除去用搬送装置には帯状部を上下に振動させる加振装置を設けたものである。
【0026】
請求項4に係る本発明の葉物野菜の凍結品製造装置は、請求項1〜3のいずれかに係る本発明の構成に加え、加熱処理装置は洗浄及び切断された葉物野菜を加熱用搬送装置で搬送しながら蒸気で加熱処理を行い、
加熱処理装置で加熱処理がなされた葉物野菜を強制冷却することなく連続して水除去用搬送装置に中継する中継用搬送装置を備えたものである。
【0027】
請求項5に係る本発明の葉物野菜の凍結品製造装置は、請求項1〜4のいずれかに係る本発明の構成に加え、凍結装置は、水除去装置からの葉物野菜を予冷する予冷部と、予冷部で予冷された葉物野菜をバラ凍結する凍結部とを備えたものである。
【0028】
請求項6に係る本発明の葉物野菜の凍結品製造装置は、請求項1〜5のいずれかに係る本発明の構成に加え、葉物野菜はほうれん草又は小松菜としたものである。
【発明の効果】
【0029】
請求項1に係る本発明の葉物野菜の凍結品製造装置は、洗浄及び切断され蒸気又は90℃以上の温水で加熱処理後の葉物野菜に付着した水を除去する水除去装置として、空気流通室と、空気流通室内に設けた葉物野菜を載置して搬送する水除去用搬送装置と、葉物野菜に空気を吹付ける空気吹付装置とを備えて、空気流通室内を流通する空気により、葉物野菜に付着した水を除去するようにして、良好な品質の葉物野菜の凍結品を省力化しながら製造することができるようにしたのである。
特に、凍結前の葉物野菜に付着した水の除去を、従来のように遠心脱水機を使用することなく、空気流通室を流通する空気により行うようにしたので、遠心力による葉の折れや茎の潰れなどの損傷を防止するとともに、葉物野菜そのものの成分の排出も防止して、品質の良好な葉物野菜の凍結品を製造できるようにしたのである。
また、従来のように遠心脱水機の脱水籠の内周壁に押付けられた葉物野菜をバラ凍結前にホグシを行う人手も必要なくなり、凍結品の製造を省力化できるのである。
さらに、葉物野菜を冷却水中で冷却し、葉物野菜のうま味成分を流出させてしまうこともなくなり、美味しい凍結品を製造することができるのである。
【0030】
請求項2に係る本発明の葉物野菜の凍結品製造装置は、請求項1に係る本発明の効果に加え、水除去用搬送装置は多数の空気流通孔を有する帯状部を備え、
葉物野菜に空気を吹付ける空気吹付装置は水除去用搬送装置の搬送方向と交差する方向に空気吹付スリットを備えた空気吹付部材から形成し、該空気吹付部材を水除去用搬送装置の上下に設け、
葉物野菜に吹付ける空気は50℃〜80℃で相対湿度50%以下の温風であるしたから、葉物野菜に付着した水を葉物野菜の表裏から乾燥した温風により短時間で除去することができるのである。
【0031】
請求項3に係る本発明の葉物野菜の凍結品製造装置は、請求項1又は2に係る本発明の効果に加え、水除去用搬送装置には帯状部を上下に振動させる加振装置を設けたから、葉物野菜の水除去用搬送装置上での重なりを低減して、葉物野菜に付着した水を効率よく除去することができるのである。
【0032】
請求項4に係る本発明の葉物野菜の凍結品製造装置は、請求項1〜3のいずれかに係る本発明の効果に加え、加熱処理装置は洗浄及び切断された葉物野菜を加熱用搬送装置で搬送しながら蒸気で加熱処理を行い、加熱処理装置で加熱処理された葉物野菜を強制冷却することなく連続して水除去用搬送装置に中継する中継用搬送装置を備えたから、葉物野菜に付着した水を葉物野菜の温度の高い状態で除去するので、さらに効率よく葉物野菜に付着した水を除去することができるのである。
【0033】
請求項5に係る本発明の葉物野菜の凍結品製造装置は、請求項1〜4のいずれかに係る本発明の効果に加え、凍結装置は、水除去装置からの葉物野菜を予冷する予冷部と、予冷部で予冷された葉物野菜をバラ凍結する凍結部とを備えたから、葉物野菜を凍結するための冷凍装置の運転経費を低減することができ、凍結品の製造を省エネルギーで行うことができるのである。
【0034】
請求項6に係る本発明の葉物野菜の凍結品製造装置は、請求項1〜5のいずれかに係る本発明の効果に加え、葉物野菜はほうれん草又は小松菜としたから、凍結品として取扱いの難しい軟弱で需要の多い野菜の凍結品の製造を良好な品質を保持しながら行うことができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係る葉物野菜の凍結品製造装置の一部を示す図で、(a)は概略平面図、(b)概略正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る葉物野菜の凍結品製造装置の他部を示す図で、(a)は一部を断面とした概略平面図、(b)は一部を断面とした概略正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る葉物野菜の凍結品製造装置の一部を構成する水除去装置を示す平面断面図である。
【図4】図3の正面断面図である。
【図5】図3の側面断面図である。
【図6】図3に示す水除去装置の一部を構成する加振装置を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る水除去装置の一部を構成する空気吹付部材の変形例を示し、(a)は変形例1を示す斜視図、(b)は変形例2を示す斜視図である。
【図8】従来の葉物野菜の凍結品製造装置の一部を示す図で、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図である。
【図9】従来の葉物野菜の凍結品製造装置の他部を示す図で、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態を添付した図面により詳細に説明する。
図1〜図6は、本発明の実施の形態に係る図面であり、図1は葉物野菜の凍結品製造装置の一部を示す図で、図1(a)は一部を断面とした概略平面図、図1(b)は一部を断面とした概略正面図、図2は図1の右端に続く他部を示す図で、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図、図3は葉物野菜の凍結品製造装置の一部を構成する水除去装置を示す平面断面図、図4は図3の正面断面図、図5は図3の側面断面図、図6は図3に示す水除去装置の一部を構成する加振装置を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【0037】
本発明の実施の形態に係る葉物野菜の凍結品製造装置は、全体を図1及び図2に示している。
図1及び図2に示す葉物野菜の凍結品製造装置は、図8及び図9に基づいて説明した従来の葉物野菜の凍結品製造装置とは、従来装置における冷却工程95、脱水工程100、凍結用分散工程105及び凍結工程110で相違する。
【0038】
以下、従来装置と同様な構成については、同一の符号を付して説明を省略し、従来装置と相違する工程について説明する。
図1及び図2において、加熱処理工程90でスチームブランチングを行う加熱処理装置92により加熱処理されたほうれん草は、強制冷却されることなく連続して水除去工程1を構成する水除去装置2に搬送されるようにしている。
【0039】
水除去装置2は、図3〜図6に示すように、水除去室3と、水除去室3に設けられた空気流通室4と空気調節室5と、空気流通室4に設けられたほうれん草を載置して搬送する水除去用搬送装置6と、水除去用搬送装置6により空気流通室4内を搬送されるほうれん草に空気を吹付ける空気吹付装置7とを備えている。
加熱処理装置92で加熱処理されたほうれん草は中継用搬送装置8により、水除去用搬送装置6に搬送されるのである。
【0040】
空気流通室4は空気を取入れる空気取入口9と空気を排出する空気排出口10とを備えている。
前記水除去用搬送装置6は、ほうれん草を載置して空気流通室4の入口11から出口12にほうれん草を搬送するようにしている。
【0041】
水除去用搬送装置6は、材質がポリエチレン等の樹脂製であり、多数の空気流通孔を有する帯状部13を備えた樹脂製のベルトから形成している。
多数の空気流通孔(図示せず)の開口率は20%〜45%程度が望ましく、この実施の形態では30%としている。
【0042】
なお、水除去用搬送装置6の材質をステンレススチールとしたネット状とすることもできる。
また、空気吹付装置7は水除去用搬送装置6の搬送方向(図3及び図4において左から右)と直交する方向(図4において上下方向)に空気吹付スリット14を設けた円管状の空気吹付部材15から形成し、該空気吹付部材15を水除去用搬送装置6の上下に設けている。
【0043】
空気吹付部材15はこの実施の形態では、水除去用搬送装置6の上方に9個、下方に6個設けており、各空気吹付部材15の空気調節室5側の端部は開口して前記空気取入口9を形成している。
また、空気吹付スリット14のスリット幅を3mm〜6mmとし、空気吹付スリット14の出口風速を20m/sec〜60m/secとするのである。
【0044】
水除去用搬送装置6には、帯状部13を上下に振動させる加振装置16が設けられている。
加振装置16は、図6に示すように、回転軸17と、回転軸17に直交して設けられた3本の回転アーム18と、各回転アーム18の両端に設けられた超高分子量ポリエチレン製の打撃部材19とを備えている。
【0045】
加振装置16は、図3に示すように、水除去用搬送装置6の下方2箇所に設けるのであり、空気吹付部材15と同様に、水除去用搬送装置6の搬送方向(図3及び図4において左から右)と直交する方向(図4において上下方向)に各回転軸17を設けて、各打撃部材19が帯状部13の下面を打撃して、帯状部13を上下に振動させるようにしている。
また、水除去室3には内部を前記空気流通室4と前記空気調節室5とに区画する区画壁20を設け、この区画壁20に前記空気取入口9及び空気排出口10を設けている。
【0046】
空気調節室5内には冷却器21、加熱器22、送風機23及び送風機23を駆動する電動機24を設けている。
冷却器21では、空気排出口10からの空気を下方から上方に流通させて地下水と熱交換させることにより冷却し、除湿するようにしている。
【0047】
空気流通室4でほうれん草に付着した水を蒸発させて温度下がり相対湿度が高くなった空気は、空気調節室5に設けた冷却器21により冷却して除湿することにより冷却器21の出口空気の絶対湿度を低くしている。
加熱器22では、冷却器21で冷却され除湿された空気を加熱して50℃〜80℃で相対湿度が50%以下の温風となるようにしており、加熱器22の熱源はこの実施の形態では蒸気である。
【0048】
加熱器22で加熱された温風は70℃程度で相対湿度30%程度が好ましい。
送風機23は、軸流送風機からなり、2基の送風機23を図3及び図4において左右に並設している。
【0049】
水除去工程1で付着した水を除去されたほうれん草は、次に図2に示す凍結工程25を構成する凍結装置26に搬送されるようにしている。
凍結装置26は、凍結庫27と、凍結庫27内を断熱壁28で区画して形成された予冷部29及び凍結部30と、凍結用搬送装置31と、予冷用冷却器(図示せず)と、IQFフリーザー(図示せず)とを備えている。
【0050】
凍結庫27内は、凍結用搬送装置31の入口側32が予冷部29で前記予冷用冷却器を設けており、凍結用搬送装置31の出口側33が凍結部30で前記IQFフリーザーを設けている。
凍結用搬送装置31に載置されて凍結庫27内を搬送されるほうれん草は、予冷部29を搬送される際に0℃〜20℃程度に予冷され、凍結部30を搬送される際にマイナス18℃以下にバラ凍結される。
【0051】
凍結工程25でバラ凍結された凍結ほうれん草は、従来装置と同様に、包装工程115及び検査工程120を経て、凍結品として出荷されるのである。
なお、34は凍結庫27に設けられた点検扉である。
【0052】
次に、上記のように構成した実施の形態に係るほうれん草の凍結品製造装置の作用について説明する。
ほうれん草52は、一次洗浄及び根切工程50で一次洗浄及び根切りを行われ、次に、一次トレミング工程60で枯葉などの一次トレミングを行われ、次に、二次洗浄工程65及び最終洗浄工程70で二次洗浄及び最終洗浄を行われ、次に、二次トレミング工程75で枯葉などの最終トレミングを行われ、次に、切断工程80で適宜大きさに切断され、次に、加熱用分散工程85で分散され、次に、加熱処理工程90でスチームで加熱処理され、次に、水除去工程1で表面に付着した水を温風により除去され、次に、凍結工程25で予冷及び凍結され、次に、包装工程115で包装され、次に、検査工程120で検査され、検査に合格した凍結品として冷凍庫に保管されるのである。
【0053】
上記した各工程、特に水除去工程1では、空気吹付装置7によりほうれん草に吹付ける空気を50℃〜80℃で相対湿度50%以下の温風でほうれん草の表裏に付着した水をほうれん草に損傷を生ずることなく短時間で除去し、さらに、加振装置16によりほうれん草の水除去用搬送装置6上での重なりを低減して、ほうれん草に付着した水をより効率よく除去するのである。
また、加熱処理されて温度の高い状態のほうれん草を強制冷却することなく連続して温度の高い状態で付着した水を効率よく除去するのである。
【0054】
次に、図7に基づいて、本発明の実施の形態に係る水除去装置2の一部を構成する空気吹付部材15の変形例を説明する。
図7(a)は変形例1を示す斜視図、図7(b)は変形例2を示す斜視図である。
【0055】
上記実施の形態では、空気吹付部材15は円管状であって長手方向に空気吹付スリット14を設けているが、変形例1及び変形例2では、空気吹付部材34、35をダクト形状として、空気吹付スリット36、37を平行に複数形成している。
また、変形例1の空気吹付スリット36は断面が漏斗状のガイド部38を設けており、変形例2の空気吹付スリット37は断面が先細ノズル状のガイド部39を設けている。
【0056】
空気吹付部材34、35には、空気吹付スリット36、37をそれぞれ3個形成したが、2個でも4個以上でもよい。
なお、40、41は空気吹付部材34、35に設けた空気取入口である。
【0057】
以上の実施の形態では、ほうれん草の凍結品製造装置について説明したが、この凍結品製造装置は、ほうれん草に変えて小松菜、菊菜など葉物野菜の凍結品を製造できることはもちろんである。
また、以上の実施の形態では、加熱処理をスチームブランチングにより行ったが、沸騰水を含む90℃以上の温水により加熱処理を行ってもよい。
なお、加熱処理は沸騰水を含む温水よりもスチームの方が葉物野菜からの成分の流出が少なく品質のよい凍結品とすることができる。
【0058】
また、以上の実施の形態では、多数の空気流通孔を有する帯状部を備えた水除去用搬送装置と、空気吹付スリットを備えた空気吹付部材から形成した空気吹付装置とを用いて、葉物野菜に吹付ける空気を50℃〜80℃で相対湿度50%以下の温風としたが、無孔の水除去用搬送装置と、常温の空気を葉物野菜の水平方向又は上方向若しくは下方向から吹付ける空気吹付装置とを用いてもよい。
さらに、以上の実施の形態では、凍結装置は予冷部と凍結部とを備えているが、予冷部をなくして凍結部のみとしてもよい。
【0059】
また、以上の実施の形態では、加振装置により水除去用搬送装置の帯状部を上下に振動させるようにしたが、加振装置を省略してもよく、葉物野菜の重なりを低減する別の機構、例えば水除去用搬送装置を分割して、上流側を上段に、下流側を下段にして、上流側から下流側に葉物野菜を落下させる際に重なりを低減するようにすることもできる。
また、以上の実施の形態では、加熱処理工程の前段階に一次洗浄及び根切工程、一次トレミング工程、二次洗浄工程、最終洗浄工程、二次トリミング工程、切断工程及び加熱用分散工程をこれらの順に設けているが、これら工程全てが必須ではなく、要は凍結品としての品質を保持するために必要な洗浄と切断がなされればよく、かつ、洗浄と切断の順序はいずれが先でもよく、トレミングは工場入荷前に行っておれば省略することもできる。
【符号の説明】
【0060】
2 水除去装置
4 空気流通室
6 水除去用搬送装置
7 空気吹付装置
8 中継用搬送装置
9 空気取入口
10 空気排出口
13 帯状部
14 空気吹付スリット
15 空気吹付部材
16 加振装置
26 凍結装置
29 予冷部
30 凍結部
35 空気吹付部材
36 空気吹付部材
37 空気吹付スリット
38 空気吹付スリット
67 シャワー式洗浄装置
72 バブリング洗浄装置
82 切断装置
92 加熱処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
葉物野菜を洗浄する洗浄装置と、葉物野菜を切断する切断装置と、洗浄及び切断された葉物野菜を蒸気又は90℃以上の温水で加熱処理する加熱処理装置と、加熱処理された葉物野菜に付着した水を除去する水除去装置と、水を除去された葉物野菜をバラ凍結させる凍結装置とを備えた葉物野菜の凍結品製造装置において、
水除去装置は、空気を取入れる空気取入口と空気を排出する空気排出口とを備えた空気流通室と、空気流通室内に設けた葉物野菜を載置して搬送する水除去用搬送装置と、葉物野菜に空気を吹付ける空気吹付装置とを備えて、空気流通室内を流通する空気により、葉物野菜に付着した水を除去するようにしたことを特徴とする葉物野菜の凍結品製造装置。
【請求項2】
水除去用搬送装置は多数の空気流通孔を有する帯状部を備え、
葉物野菜に空気を吹付ける空気吹付装置は水除去用搬送装置の搬送方向と交差する方向に空気吹付スリットを設けた空気吹付部材から形成し、該空気吹付部材を水除去用搬送装置の上下に設け、
葉物野菜に吹付ける空気は50℃〜80℃で相対湿度50%以下の温風であることを特徴とする請求項1に記載の葉物野菜の凍結品製造装置。
【請求項3】
水除去用搬送装置には帯状部を上下に振動させる加振装置を設けていることを特徴とする請求項1又は2に記載の葉物野菜の凍結品製造装置。
【請求項4】
加熱処理装置は洗浄及び切断された葉物野菜を加熱用搬送装置で搬送しながら蒸気で加熱処理を行い、
加熱処理装置で加熱処理された葉物野菜を強制冷却することなく連続して水除去用搬送装置に中継する中継用搬送装置を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の葉物野菜の凍結品製造装置。
【請求項5】
凍結装置は、水除去装置からの葉物野菜を冷却空気で冷却する予冷部と、予冷部で冷却された葉物野菜をバラ凍結する凍結部とを備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の葉物野菜の凍結品製造装置。
【請求項6】
葉物野菜はほうれん草又は小松菜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の葉物野菜の凍結品製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−152089(P2011−152089A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16329(P2010−16329)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(510026600)フードテクノエンジニアリング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】