蓄光成形体
【課題】遠所に発光を知らしめる。
【解決手段】所定の発光方向Rの遠所に発光を知らしめるために、蓄光顔料を含有した樹脂を成形した蓄光成形体10であって、発光方向Rに光を発光する発光面16が、凹部12と凸部14とが交互に繰り返して配置された、周期的な凹凸面に成形されている。平滑な発光面を備える蓄光成形体に比べてより遠くの場所に発光を知らしめることができる。
【解決手段】所定の発光方向Rの遠所に発光を知らしめるために、蓄光顔料を含有した樹脂を成形した蓄光成形体10であって、発光方向Rに光を発光する発光面16が、凹部12と凸部14とが交互に繰り返して配置された、周期的な凹凸面に成形されている。平滑な発光面を備える蓄光成形体に比べてより遠くの場所に発光を知らしめることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光エネルギを蓄えて発光する蓄光体に関し、蓄光顔料を含有した樹脂成形体の製造分野に属する。
【背景技術】
【0002】
例えば、蓄光顔料を含有した樹脂成形体(以下、「蓄光成形体」と称する。)を利用したものとして、特許文献1に記載のものがある。これは、合板と板形状の蓄光成形体とを交互に重ねて接着剤により接着し、接着方向に切断して製造された複合パネルであり、複合パネル表面に露出する蓄光成形体の表面が発光する。
【0003】
【特許文献1】特開2004−249644公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の蓄光成形体の発光面(複合パネル表面に露出する蓄光成形体の表面)は、細長い形状であるため、発光量が小さいと、暗闇において遠所から見た場合に発光していることがわからないことがある。
【0005】
発光量を大きくするために、蓄光顔料の含有量を大きくすることが考えられるが、これは蓄光成形体の製造コストが大きくなるとともに、成形性にも影響することがある。
【0006】
そこで、本発明は、蓄光顔料の含有量を大きくすることなく、発光量を大きくすることができる、蓄光顔料を含有した樹脂からなる蓄光成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、蓄光顔料を含有した樹脂を成形した蓄光成形体であって、発光面が周期的な凹凸面であることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蓄光成形体において、発光面の周期的な凹凸方向が一方向であることを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の蓄光成形体において、発光面を保護する透明樹脂層を有することを特徴とする。
【0010】
さらにまた、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の蓄光成形体において、蓄光成形体が、木口材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、蓄光成形体の発光面が周期的な凹凸面に成形されている。発光面を所定の発光方向に対して直交する仮想平面に投影したときの投影面積が同一であれば、平滑な発光面を備える蓄光成形体に比べて、投影面積あたりの発光量は大きい。したがって、遠所からでも蓄光成形体の発光を確認することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明によれば、発光面の周期的な凹凸方向が一方向であるため、蓄光成形体は、例えば、該一方向と直交する方向に押出する押出成形装置によって製造することができる。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、透明樹脂層により発光面が保護される。
【0014】
なお、本明細書において、「透明」と言う語句は、無色透明、着色透明、半透明などを含み、光が透過するという意味である。
【0015】
さらにまた、請求項4に記載の発明によれば、蓄光成形体である木口材が接合された家具などの構造物は、急な暗闇においてその所在を知らしめることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明に係る一実施形態の蓄光成形体を示している。
【0017】
蓄光成形体10は、板状の部材であって、所定の発光方向Rに直交する表面に形成された、表面と平行な方向Wに並列に配置された発光方向Rと逆方向に突出して湾曲する湾曲面形状の複数の凹部12と、その凹部12の間それぞれに形成された凸部14とを備える、言い換えると周期的な凹凸面の発光面16を備える部材である。所定の発光方向Rは、蓄光成形体10の発光を知らしめたい方向である。本明細書において、「周期的」という語句は、「交互に繰り返す」ことを意味し、ここでは、凹部12と凸部14が交互に配置され、それを繰り返していることを表す。
【0018】
蓄光成形体10は、例えばメタクリル系樹脂などの透明な樹脂に、例えばアルミン酸金属系などからなる蓄光顔料を含有させた(分散させた)ものの成形体である。例えば、本実施の形態の蓄光成形体10においては、方向RとWそれぞれに直交する方向に押出する押出成形装置によって成形される。
【0019】
なお、本発明は、蓄光成形体10の材料の樹脂や蓄光顔料、および蓄光成形体の成形方法や製造方法は限定しない。蓄光成形体が光エネルギを蓄えて(蓄光し)、蓄えた光エネルギを放出(発光)することができれば、樹脂や蓄光顔料の種類は問わない。また、周期的な凹凸面が形成できるのであれば成形方法は問わず、型成形でもよい。
【0020】
また、凹部12の形状は発光方向Rと逆方向に凸の湾曲面形状であるが、これに限定されない。また同様に、凸部14の形状も限定されない。例えば、図2に示すように、所定の発光方向Rに直交する表面に形成された、表面と平行な方向Wに並列に配置された発光方向Rに突出して湾曲する湾曲面形状の複数の凸12’と、その凸部12’の間それぞれに形成された凹部14’とを備える蓄光成形体10’であってもよい。また、例えば、発光面の断面がサインカーブで示される曲線であってもよい。
【0021】
本実施の形態によれば、所定の発光方向Rに対して直交する仮想平面に投影した発光面の投影面の面積が同一であれば(図中の投影面Pは、発光面16を投影したもの)、平滑な発光面を備える蓄光体に比べて、投影面の面積あたりの発光量(投影面を通過する光量)は大きい。これは、上記投影面の面積が同一という条件のもと、発光面16を周期的な凹凸面にすることにより、発光面16の面積が平滑な発光面の面積に比べて大きくなることによる。したがって、平滑な発光面を備える蓄光成形体の発光がわからないような遠所からでも、本実施の形態の、発光面16が周期的な凹凸面である蓄光成形体10は、その発光が確認される。
【0022】
また、本実施の形態によれば、上記の効果は暗闇において発揮されるものであるが、別の効果、すなわち明時において発揮する効果もある。
【0023】
蓄光顔料を溶融した樹脂内に一様に含有させる(分散させる)と、一部の蓄光顔料が凝集し、樹脂の成形後、分散班と呼ばれる点が成形体表面に現れることがある。このような分散班は、成形体表面が平滑であれば目立ちやすく成形体の意匠性を損なうことがあるが、本実施の形態の発光面のように、周期的な凹凸面であればその分散班は見えにくく目立ちにくい。これは、周期的な凹凸面が光を乱反射させることにより、分散班が視認しにくくなることによる。
【0024】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0025】
例えば、上述の実施形態においては、発光面の周期的な凹凸面の凹凸方向は一方向(W方向)であったが、これに限定されない。例えば、図3に示すように、複数方向であってもよい。
【0026】
図3に示す蓄光成形体110は、所定の発光方向Rに対して直交する表面に、表面に平行な方向であって互いに直交し合う方向WとDに対して周期的な凹凸面の発光面116を有する。
【0027】
具体的には、発光面116の凹凸形状は、頂点114aを有し、頂点114aを中心として配置される三角形形状の4つの面114bからなる、いわゆるピラミッド型の凸部114を方向WとDに複数並べた形状である。なお、凸形状のピラミッド型でなくてもよく、凹形状のピラミッド(四角すい形状のくぼみ)が方向WとDに複数並べた形状であってもよい。また、例えば、方向WとDに複数並べなれる凸部はドーム形状(ピラミッドのように頂点や平面を備えていない曲面のみの形状)であってもよい。
【0028】
蓄光成形体110においても、上述の蓄光成形体10と同様に、平滑な発光面を備える蓄光成形体に比べて、より遠所にその発光を知らしめることができる。
【0029】
また、周期的な凹凸面の発光面を保護するために、その発光面に透明な樹脂層を成形してもよい。なお、ここで言う「透明」は、無色透明、着色透明、半透明などを言い、光が透過するものであればよい。例えば赤色に着色された着色透明が該当する。
【0030】
例えば、図4は、蓄光成形体10の発光面16の上に透明樹脂層220を成形した蓄光成形体210を示している。透明樹脂層220は、所定の発光方向Rに対して直交する表面222を備えている。透明樹脂層220の材料は、光を透過させるものであれば、どのような樹脂であってもよい。
【0031】
最後に、説明してきた、および/または図示してきた蓄光成形体は板形状であったが、シートのように可撓可能な厚さのものであってもよい。本発明は、凹部や凸部の形状および大きさ、さらに蓄光成形体の大きさおよび形状を限定しておらず、広義には、発光を知らしめたい方向に光を発する発光面が周期的な凹凸面である蓄光成形体である。
【0032】
また、このような本発明の蓄光成形体は、種々の用途に使用でき、例えば家具の天板などの板部材の側面に接合される木口材として使用することができる。
【0033】
図5は、木口材である蓄光成形体を部分的に示している。
【0034】
木口材(蓄光成形体)310は、例えば家具の天板SBの側面FPに、接着剤よる接着などの方法によって接合される、天板SBの側面FPの長手方向Lに長い帯状の部材である。
【0035】
木口材(蓄光成形体)310は、急な暗闇において家具の所在を知らしめるために、反天板方向に突出して湾曲する、木口材の幅方向に並列した湾曲形状の複数の凸部312と、その凸部312の間に形成された複数の凹部314とからなる発光面316を有する。なお、図中においては、凸部は、木口材の幅方向に並列に配置されているが、長手方向に並列配置してもよい。
【0036】
また、蓄光成形体が木口材である場合、発光面の凸部は、鋭角な形状よりも、図5に示すような曲面からなる凸部のほうが好ましい。凸部が鋭角形状である場合、怪我させることがあるためである。代わりとして、または凸部が鋭角形状である場合、発光面を保護する(意匠性を上げる)ために、上述するように、発光面を平滑な表面を備える透明樹脂層で覆ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように本発明によれば、遠所に発光を知らしめることができる。したがって、蓄光性を備える部材を有する構造物の生産分野において好適に利用される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施の形態の蓄光成形体を示す図である。
【図2】本発明の別の実施の形態の蓄光成形体を示す図である。
【図3】本発明のさらに別の実施の形態の蓄光成形体を示す図である。
【図4】透明樹脂層に覆われた蓄光成形体の例を示す図である。
【図5】木口材である蓄光成形体を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
10 蓄光成形体
12 凹部
14 凸部
16 発光面
18 表面
R 発光方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、光エネルギを蓄えて発光する蓄光体に関し、蓄光顔料を含有した樹脂成形体の製造分野に属する。
【背景技術】
【0002】
例えば、蓄光顔料を含有した樹脂成形体(以下、「蓄光成形体」と称する。)を利用したものとして、特許文献1に記載のものがある。これは、合板と板形状の蓄光成形体とを交互に重ねて接着剤により接着し、接着方向に切断して製造された複合パネルであり、複合パネル表面に露出する蓄光成形体の表面が発光する。
【0003】
【特許文献1】特開2004−249644公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の蓄光成形体の発光面(複合パネル表面に露出する蓄光成形体の表面)は、細長い形状であるため、発光量が小さいと、暗闇において遠所から見た場合に発光していることがわからないことがある。
【0005】
発光量を大きくするために、蓄光顔料の含有量を大きくすることが考えられるが、これは蓄光成形体の製造コストが大きくなるとともに、成形性にも影響することがある。
【0006】
そこで、本発明は、蓄光顔料の含有量を大きくすることなく、発光量を大きくすることができる、蓄光顔料を含有した樹脂からなる蓄光成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、蓄光顔料を含有した樹脂を成形した蓄光成形体であって、発光面が周期的な凹凸面であることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蓄光成形体において、発光面の周期的な凹凸方向が一方向であることを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の蓄光成形体において、発光面を保護する透明樹脂層を有することを特徴とする。
【0010】
さらにまた、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の蓄光成形体において、蓄光成形体が、木口材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、蓄光成形体の発光面が周期的な凹凸面に成形されている。発光面を所定の発光方向に対して直交する仮想平面に投影したときの投影面積が同一であれば、平滑な発光面を備える蓄光成形体に比べて、投影面積あたりの発光量は大きい。したがって、遠所からでも蓄光成形体の発光を確認することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明によれば、発光面の周期的な凹凸方向が一方向であるため、蓄光成形体は、例えば、該一方向と直交する方向に押出する押出成形装置によって製造することができる。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、透明樹脂層により発光面が保護される。
【0014】
なお、本明細書において、「透明」と言う語句は、無色透明、着色透明、半透明などを含み、光が透過するという意味である。
【0015】
さらにまた、請求項4に記載の発明によれば、蓄光成形体である木口材が接合された家具などの構造物は、急な暗闇においてその所在を知らしめることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明に係る一実施形態の蓄光成形体を示している。
【0017】
蓄光成形体10は、板状の部材であって、所定の発光方向Rに直交する表面に形成された、表面と平行な方向Wに並列に配置された発光方向Rと逆方向に突出して湾曲する湾曲面形状の複数の凹部12と、その凹部12の間それぞれに形成された凸部14とを備える、言い換えると周期的な凹凸面の発光面16を備える部材である。所定の発光方向Rは、蓄光成形体10の発光を知らしめたい方向である。本明細書において、「周期的」という語句は、「交互に繰り返す」ことを意味し、ここでは、凹部12と凸部14が交互に配置され、それを繰り返していることを表す。
【0018】
蓄光成形体10は、例えばメタクリル系樹脂などの透明な樹脂に、例えばアルミン酸金属系などからなる蓄光顔料を含有させた(分散させた)ものの成形体である。例えば、本実施の形態の蓄光成形体10においては、方向RとWそれぞれに直交する方向に押出する押出成形装置によって成形される。
【0019】
なお、本発明は、蓄光成形体10の材料の樹脂や蓄光顔料、および蓄光成形体の成形方法や製造方法は限定しない。蓄光成形体が光エネルギを蓄えて(蓄光し)、蓄えた光エネルギを放出(発光)することができれば、樹脂や蓄光顔料の種類は問わない。また、周期的な凹凸面が形成できるのであれば成形方法は問わず、型成形でもよい。
【0020】
また、凹部12の形状は発光方向Rと逆方向に凸の湾曲面形状であるが、これに限定されない。また同様に、凸部14の形状も限定されない。例えば、図2に示すように、所定の発光方向Rに直交する表面に形成された、表面と平行な方向Wに並列に配置された発光方向Rに突出して湾曲する湾曲面形状の複数の凸12’と、その凸部12’の間それぞれに形成された凹部14’とを備える蓄光成形体10’であってもよい。また、例えば、発光面の断面がサインカーブで示される曲線であってもよい。
【0021】
本実施の形態によれば、所定の発光方向Rに対して直交する仮想平面に投影した発光面の投影面の面積が同一であれば(図中の投影面Pは、発光面16を投影したもの)、平滑な発光面を備える蓄光体に比べて、投影面の面積あたりの発光量(投影面を通過する光量)は大きい。これは、上記投影面の面積が同一という条件のもと、発光面16を周期的な凹凸面にすることにより、発光面16の面積が平滑な発光面の面積に比べて大きくなることによる。したがって、平滑な発光面を備える蓄光成形体の発光がわからないような遠所からでも、本実施の形態の、発光面16が周期的な凹凸面である蓄光成形体10は、その発光が確認される。
【0022】
また、本実施の形態によれば、上記の効果は暗闇において発揮されるものであるが、別の効果、すなわち明時において発揮する効果もある。
【0023】
蓄光顔料を溶融した樹脂内に一様に含有させる(分散させる)と、一部の蓄光顔料が凝集し、樹脂の成形後、分散班と呼ばれる点が成形体表面に現れることがある。このような分散班は、成形体表面が平滑であれば目立ちやすく成形体の意匠性を損なうことがあるが、本実施の形態の発光面のように、周期的な凹凸面であればその分散班は見えにくく目立ちにくい。これは、周期的な凹凸面が光を乱反射させることにより、分散班が視認しにくくなることによる。
【0024】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0025】
例えば、上述の実施形態においては、発光面の周期的な凹凸面の凹凸方向は一方向(W方向)であったが、これに限定されない。例えば、図3に示すように、複数方向であってもよい。
【0026】
図3に示す蓄光成形体110は、所定の発光方向Rに対して直交する表面に、表面に平行な方向であって互いに直交し合う方向WとDに対して周期的な凹凸面の発光面116を有する。
【0027】
具体的には、発光面116の凹凸形状は、頂点114aを有し、頂点114aを中心として配置される三角形形状の4つの面114bからなる、いわゆるピラミッド型の凸部114を方向WとDに複数並べた形状である。なお、凸形状のピラミッド型でなくてもよく、凹形状のピラミッド(四角すい形状のくぼみ)が方向WとDに複数並べた形状であってもよい。また、例えば、方向WとDに複数並べなれる凸部はドーム形状(ピラミッドのように頂点や平面を備えていない曲面のみの形状)であってもよい。
【0028】
蓄光成形体110においても、上述の蓄光成形体10と同様に、平滑な発光面を備える蓄光成形体に比べて、より遠所にその発光を知らしめることができる。
【0029】
また、周期的な凹凸面の発光面を保護するために、その発光面に透明な樹脂層を成形してもよい。なお、ここで言う「透明」は、無色透明、着色透明、半透明などを言い、光が透過するものであればよい。例えば赤色に着色された着色透明が該当する。
【0030】
例えば、図4は、蓄光成形体10の発光面16の上に透明樹脂層220を成形した蓄光成形体210を示している。透明樹脂層220は、所定の発光方向Rに対して直交する表面222を備えている。透明樹脂層220の材料は、光を透過させるものであれば、どのような樹脂であってもよい。
【0031】
最後に、説明してきた、および/または図示してきた蓄光成形体は板形状であったが、シートのように可撓可能な厚さのものであってもよい。本発明は、凹部や凸部の形状および大きさ、さらに蓄光成形体の大きさおよび形状を限定しておらず、広義には、発光を知らしめたい方向に光を発する発光面が周期的な凹凸面である蓄光成形体である。
【0032】
また、このような本発明の蓄光成形体は、種々の用途に使用でき、例えば家具の天板などの板部材の側面に接合される木口材として使用することができる。
【0033】
図5は、木口材である蓄光成形体を部分的に示している。
【0034】
木口材(蓄光成形体)310は、例えば家具の天板SBの側面FPに、接着剤よる接着などの方法によって接合される、天板SBの側面FPの長手方向Lに長い帯状の部材である。
【0035】
木口材(蓄光成形体)310は、急な暗闇において家具の所在を知らしめるために、反天板方向に突出して湾曲する、木口材の幅方向に並列した湾曲形状の複数の凸部312と、その凸部312の間に形成された複数の凹部314とからなる発光面316を有する。なお、図中においては、凸部は、木口材の幅方向に並列に配置されているが、長手方向に並列配置してもよい。
【0036】
また、蓄光成形体が木口材である場合、発光面の凸部は、鋭角な形状よりも、図5に示すような曲面からなる凸部のほうが好ましい。凸部が鋭角形状である場合、怪我させることがあるためである。代わりとして、または凸部が鋭角形状である場合、発光面を保護する(意匠性を上げる)ために、上述するように、発光面を平滑な表面を備える透明樹脂層で覆ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように本発明によれば、遠所に発光を知らしめることができる。したがって、蓄光性を備える部材を有する構造物の生産分野において好適に利用される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施の形態の蓄光成形体を示す図である。
【図2】本発明の別の実施の形態の蓄光成形体を示す図である。
【図3】本発明のさらに別の実施の形態の蓄光成形体を示す図である。
【図4】透明樹脂層に覆われた蓄光成形体の例を示す図である。
【図5】木口材である蓄光成形体を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
10 蓄光成形体
12 凹部
14 凸部
16 発光面
18 表面
R 発光方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄光顔料を含有した樹脂を成形した蓄光成形体であって、
発光面が周期的な凹凸面であることを特徴とする蓄光成形体。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄光成形体において、
発光面の周期的な凹凸方向が一方向であることを特徴とする蓄光成形体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蓄光成形体において、
発光面を保護する透明樹脂層を有することを特徴とする蓄光成形体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の蓄光成形体において、
蓄光成形体が、木口材であることを特徴とする蓄光成形体。
【請求項1】
蓄光顔料を含有した樹脂を成形した蓄光成形体であって、
発光面が周期的な凹凸面であることを特徴とする蓄光成形体。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄光成形体において、
発光面の周期的な凹凸方向が一方向であることを特徴とする蓄光成形体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蓄光成形体において、
発光面を保護する透明樹脂層を有することを特徴とする蓄光成形体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の蓄光成形体において、
蓄光成形体が、木口材であることを特徴とする蓄光成形体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2008−290403(P2008−290403A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139983(P2007−139983)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(591100448)パネフリ工業株式会社 (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(591100448)パネフリ工業株式会社 (31)
【Fターム(参考)】
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