説明

蓄光粉体塗料とその塗装方法

【課題】 被塗物への膜厚を一定化させて仕上りを良好にすると共に、塗装作業中に発生する塗料のロスを軽減することができる蓄光粉体塗料とその塗装方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の蓄光粉体塗料は、アクリル樹脂系粉体と蓄光剤と添加剤とを混合して形成されることを特徴とする。
また、本発明の蓄光粉体塗料の塗装方法は、被塗物に静電気を帯電させ、かかる被塗物に前記蓄光粉体塗料を静電粉体塗装することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄光粉体塗料とその塗装方法に関し、特に、塗膜厚を一定化することにより高度の仕上りが得られ、また塗装作業の流動性により作業効率を高めると共に、塗料ロスの軽減を実現することができる蓄光粉体塗料とその塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、蓄光剤を粉体化するにあたり、永年にかけて鋭意研究が為されてきた。その理由として、蓄光剤を撹拌して粉体化する際、材質の硬い蓄光剤により撹拌機の壁面が削り取られ、その削り取られた粉体が蓄光剤内に混入するという問題が生じた。そのため、全体が灰色化し蓄光輝度を低下させ、商品価値を下げてしまう欠点があった。
【0003】
また従来、昼間または明るい状況では被塗物を見る角度によって、光輝感に差のあるカラーブロック効果が得られ、夜間または暗い状況では長い時間、光りが当たらなくても蓄光コート層として形成された塗膜を視認できる蓄光性が良好な、蓄光性塗膜形成方法およびこの方法により得られる蓄光性塗装物がある(例えば、特許文献1参照)。
上掲特許文献1には、基材上に、蓄光性顔料を含有した蓄光コート層を形成した後、この蓄光コート層上に干渉性顔料を含有した干渉クリヤーコート層を形成し、さらにその上にトップクリヤーコート層を形成する蓄光性塗膜形成方法及び蓄光性塗装物が開示されている。
【特許文献1】特開2001−31894号公報(第1−2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記方法にて形成された塗膜は、蓄光コート層上にクリヤーコート層とトップクリヤーコート層を設けるため、表面に形成される塗膜が複数層になり、塗装工程や塗料が増えコスト高に繋がるという欠点が生じた。また、塗装された塗膜が溶剤塗装となるため、膜厚が一定化されず仕上りが不安定になるという問題もあった。
【0005】
そこで本発明は上記の点に鑑み、被塗物への膜厚を一定化させて仕上りを良好にすると共に、作業中に発生する塗料のロスを軽減することができる蓄光粉体塗料とその塗装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために本発明の蓄光粉体塗料は、アクリル樹脂系粉体と蓄光剤と添加剤とを混合して形成されることを特徴とする。
また、本発明の蓄光粉体塗料の塗装方法は、被塗物に静電気を帯電させ、かかる被塗物に前記蓄光粉体塗料を静電粉体塗装することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
蓄光粉体塗料は、アクリル樹脂系粉体と蓄光剤と添加剤とを混合して形成されるため、蓄光剤を粉体化する際、撹拌機の内壁磨耗を軽減し、輝度の高い良質な蓄光粉体塗料が形成できる。
【0008】
また、被塗物に前記蓄光粉体塗料を静電粉体塗装することにより、被塗物への膜厚を一定化させて仕上りを良好にし、作業における塗料のロスや作業時間を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の蓄光粉体塗料とその塗装方法の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1に示す蓄光粉体塗料1は、被塗物Aに形成された塗膜が夜間において幻想的な蛍光色を自然発光できるもので、前記蓄光粉体塗料1は、アクリル樹脂系粉体と蓄光剤と添加剤とを混合して形成される。
【0010】
アクリル樹脂系粉体は、アクリル樹脂またはポリエステル樹脂を主成分とするもので、熱硬化性タイプまたは熱可塑性タイプであれば特に制限はない。また蓄光剤は、光を蓄え自然発光が可能な素材、例えば、アルミン酸ストロンチューム系の蓄光剤が挙げられる。またその他、周知の金属化合物や希土類を複数混合し、汎用の展色剤を混合して生成されるものが使用される。また添加剤には、摩擦緩和剤、塗面調整剤、硬化触媒、防錆顔料等の塗料用添加剤等が使用される。
【0011】
また前記蓄光粉体塗料1におけるアクリル樹脂系粉体と蓄光剤と添加剤との混合比は、特に限定されたものではないが、例えばアクリル樹脂系粉体60〜55:蓄光剤45〜40:添加剤5の範囲内にすることが好ましい。
【0012】
次に、本発明の蓄光粉体塗料の塗装方法を図2に基づき説明する。
静電粉体塗装の方法としては、先ず前処理として、アルコール等で被塗物A表面の汚れを拭取る。次に、汎用の静電粉体塗装機10にて被塗物Aに電源11を接続し、−70〜−80KVの電圧を付加させて帯電させる。帯電後、塗布量119〜153g/mとなるように蓄光粉体塗料1をエアーガンBで吹き付ける。この際、蓄光粉体塗料1は静電気により被塗物Aの表面に効率よく付着されるので、塗膜が一定化されて仕上りが良好になると共に、塗装作業時における塗料のロスが軽減される。
【0013】
吹付後、被塗物Aを170℃×20分の焼付条件で熱硬化させることで、被塗物Aの表面に70〜90μmとなる乾燥膜厚を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の蓄光粉体塗料の拡大断面図である。
【図2】静電粉体塗装機の略図である。
【符号の説明】
【0015】
1 蓄光粉体塗料
10 静電粉体塗装機
11 電源
A 被塗物
B エアーガン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル樹脂系粉体と蓄光剤と添加剤とを混合して形成されることを特徴とする蓄光粉体塗料。
【請求項2】
被塗物に静電気を帯電させ、かかる被塗物に前記蓄光粉体塗料を静電粉体塗装することを特徴とする塗装方法。

【図1】
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【図2】
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