蓄冷熱交換器
【課題】蓄冷材を収容する蓄冷体とチューブとを良好に接合できる蓄冷熱交換器を提供する。
【解決手段】冷媒が流通するチューブ45と、冷熱を蓄える蓄冷材50を収容する蓄冷体47と、チューブ45と蓄冷体47との間に介在され、チューブ45および蓄冷体47の双方に接合される中間機能部材6とを設け、中間機能部材6におけるチューブ45と接合される面の面積、および中間機能部材6における蓄冷体47と接合される面の面積の双方を、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた際の接触面積より小さくする。
【解決手段】冷媒が流通するチューブ45と、冷熱を蓄える蓄冷材50を収容する蓄冷体47と、チューブ45と蓄冷体47との間に介在され、チューブ45および蓄冷体47の双方に接合される中間機能部材6とを設け、中間機能部材6におけるチューブ45と接合される面の面積、および中間機能部材6における蓄冷体47と接合される面の面積の双方を、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた際の接触面積より小さくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクル装置に用いられる蓄冷熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空調装置には、冷凍サイクル装置が用いられている。この冷凍サイクル装置が停止している状態においても、限定された冷房を提供する試みがなされている。例えば、車両用空調装置では、走行用エンジンによって冷凍サイクル装置の圧縮機が駆動される。このため、車両が一時的に停車している間にエンジンが停止すると、冷凍サイクル装置が停止する。
【0003】
このような一時的な停車中に、限定された冷房を提供するために、冷凍サイクル装置の蒸発器に冷熱を蓄える蓄冷材を付加した蓄冷熱交換器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−274165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の蓄冷熱交換器は、蓄冷材を収容した蓄冷体にチューブおよびフィンを接触して熱交換させ、この熱交換により、蓄冷および放冷させる構成となっている。このような蓄冷熱交換器では、蓄冷体とチューブ、および蓄冷体とフィンがろう付けにより接合されている。ここで、蓄冷体とチューブのろう付け面積、および蓄冷体とフィンのろう付け面積が広すぎると、部分的にろう付けされない部分(ボイドや隙間等)が発生し、良好なろう付けが困難である。
【0006】
そして、このようなボイドや隙間に異物や凝縮水が停滞すると、次のような問題が発生する。すなわち、異物の停滞によって、その異物が付着した部分が腐食したり、異臭が発生したりする。また、凝縮水が凍結すると、凝縮水の体積膨張により、ボイドや隙間付近のろう付けされている部位が割れるという凍結割れが発生する。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、蓄冷材を収容する蓄冷体とチューブとを良好に接合できる蓄冷熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、冷媒が流通するチューブ(45)と、冷熱を蓄える蓄冷材(50)を収容する蓄冷体(47)と、チューブ(45)と蓄冷体(47)との間に介在され、チューブ(45)および蓄冷体(47)の双方に接合される中間機能部材(6)とを備え、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)と接合される面の面積、および中間機能部材(6)における蓄冷体(47)と接合される面の面積の双方が、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積より小さくなっていることを特徴としている。
【0009】
これによれば、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)と接合される面の面積、および中間機能部材(6)における蓄冷体(47)と接合される面の面積の双方が、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積より小さくなっているので、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを直接接触させた場合に比べてろう付け部分にボイドや隙間が形成され難くなる。したがって、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを良好に接合できる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の畜冷熱交換器において、中間機能部材(6)は、平板状に形成されており、チューブ(45)と対向する面と蓄冷体(47)と対向する面とを連通する穴(61)を有していることを特徴としている。
【0011】
このように、中間機能部材(6)に穴(61)を設けることにより、簡易な構成で、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)と接合される面の面積、および中間機能部材(6)における蓄冷体(47)と接合される面の面積の双方を、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積より小さくできる。
【0012】
なお、本請求項における穴(61)とは、中間機能部材(6)の内側に形成される周囲が閉じた穴のみを意味するものではなく、中間機能部材(6)の外周縁部に形成され、内側に向かって切り欠かれた切り欠き部を含む意味である。
【0013】
また、請求項3に記載の発明のように、請求項1に記載の蓄冷熱交換器において、中間機能部材(6)は、平板状部材で形成され、チューブ(45)側に突出するチューブ側突出部(641)および蓄冷体(47)側に突出する蓄冷体側突出部(642)を有し、チューブ側突出部(641)の頂部がチューブ(45)に接触し、蓄冷体側突出部(642)の頂部が蓄冷体(47)に接触していることを特徴としている。
【0014】
これによれば、中間機能部材(6)は、チューブ側突出部(641)の頂部においてのみチューブ(45)に接触し、蓄冷体側突出部(642)の頂部においてのみ蓄冷体(45)に接触するので、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)と接合される面の面積、および中間機能部材(6)における蓄冷体(47)と接合される面の面積の双方を、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積より小さくできる。このため、ろう付け部分にボイドや隙間が形成され難くなる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器において、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面積は、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積の10%以上であることを特徴としている。
【0016】
このように、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面積を、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積の10%以上とすることで、蓄冷熱交換器の熱交換能力を十分に確保することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器において、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面の幅寸法の最小値は2mm以下であることを特徴としている。
【0018】
このように、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面の幅寸法の最小値を2mm以下とすることで、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面の面圧を高くすることができる。さらに、ろう付け時に、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面にフィレットが形成され易くなる。その結果、チューブ(45)および蓄冷体(47)の双方が中間機能部材(6)とより確実にろう付けされるので、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを良好に接合できる。
【0019】
なお、本請求項における幅寸法とは、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)の接触部の外周上の任意の2点間の距離を意味している。すなわち、「中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面の幅寸法の最小値は2mm以下」とは、中間機能部材(6)が、チューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面に垂直な方向から見たときに、少なくとも1辺の寸法が2mm以下である矩形の内部に収まる形状を組み合わせた形状となっていることを意味している。
【0020】
また、請求項6に記載の発明では、請求項3に記載の蓄冷熱交換器において、中間機能部材(6)は、平板状部材を波状に折り曲げることによって形成されていることを特徴としている。
【0021】
これによれば、中間機能部材(6)が、チューブ(45)と蓄冷体(47)との隙間の大きさに合わせて変形するので、チューブ(45)と蓄冷体(47)との隙間の寸法公差を吸収できる。このため、チューブ(45)と蓄冷体(47)との隙間の公差管理が容易となり、製造コストを低減できる。
【0022】
また、請求項7に記載の発明では、請求項3に記載の蓄冷熱交換器において、中間機能部材(6)は、平板状部材に凹凸部を設けることによって形成されていることを特徴としている。
【0023】
これによれば、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)に対する接触面の形状、および中間機能部材(6)における蓄冷体(47)に対する接触面の形状の双方を、所望の形状とすることができる。
【0024】
また、請求項8に記載の発明では、請求項3に記載の蓄冷熱交換器において、中間機能部材(6)は、平板状部材を折り曲げることによって形成されており、チューブ側突出部の頂部(631、651)は、チューブ(45)における中間機能部材(6)との接触面に対して平行に形成され、蓄冷体側突出部(632、652)の頂部は、蓄冷体(47)における中間機能部材(6)との接触面に対して平行に形成されていることを特徴としている。
【0025】
これによれば、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面の面積管理が容易となるので、製造コストを低減できる。
【0026】
また、請求項9に記載の発明では、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器において、中間機能部材(6)のうち、同一の蓄冷体(47)に接合される複数の中間機能部材(6)同士を互いに連結する連結部材(7)を備え、複数の中間機能部材(6)および連結部材(7)は、チューブ(45)の長手方向から見たときに、蓄冷体(47)を挟み込む形状に一体的に形成されていることを特徴としている。
【0027】
これによれば、連結部材(7)により連結された複数の中間機能部材(6)を差し込むだけで、複数の中間機能部材(6)を所定の位置に組み付けることができるので、中間機能部材(6)の組み付け性を向上できる。
【0028】
また、請求項10に記載の発明のように、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器において、蓄冷体(47)の内部には、蓄冷材(50)との伝熱面積を増大させるインナーフィン(471)が設けられていてもよい。
【0029】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態となる車両用空調装置を構成する冷凍サイクル装置の構成図である。
【図2】第1実施形態の蒸発器40の平面図である。
【図3】図2の矢印A方向から見た図である。
【図4】図2のB−B線に沿う断面の一部を模式的に示す拡大断面図である。
【図5】図3のC−C線に沿う断面の一部を模式的に示すチューブと蓄冷体と空気側フィンとの関係を示す拡大断面図である。
【図6】第1実施形態の中間機能部材6をチューブ45の積層方向から見た図である。
【図7】中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対するろう付け面積割合と、蒸発器40の能力比との関係を示す特性図である。
【図8】第2実施形態の中間機能部材6をチューブ45の積層方向から見た図である。
【図9】第3実施形態の中間機能部材6をチューブ45の積層方向から見た図である。
【図10】第4実施形態の蒸発器40を空気流れ方向から見た拡大断面図である。
【図11】第4実施形態の蒸発器40の中間機能部材6を示す斜視図である。
【図12】第5実施形態の蒸発器40の中間機能部材6を示す斜視図である。
【図13】第6実施形態の蒸発器40を空気流れ方向から見た拡大断面図である。
【図14】第6実施形態の蒸発器40の中間機能部材6をチューブ45側から見た図である。
【図15】第7実施形態の蒸発器40を空気流れ方向から見た拡大断面図である。
【図16】第8実施形態の蒸発器40の要部を示す分解斜視図である。
【図17】第9実施形態の蒸発器40の要部を示す分解斜視図である。
【図18】第9実施形態の中間機能部材6および連結部材7を示す拡大斜視図である。
【図19】他の実施形態として、格子配列の凹凸形状を有する中間機能部材6をチューブ45側から見た図である。
【図20】他の実施形態として、斜め配列の凹凸形状を有する中間機能部材6をチューブ45側から見た図である。
【図21】他の実施形態として、丸型の千鳥配列の凹凸形状を有する中間機能部材6をチューブ45の側から見た図である。
【図22】他の実施形態として、丸型の格子配列の凹凸形状を有する中間機能部材6をチューブ45側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0032】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態となる車両用空調装置を構成する冷凍サイクル装置の構成図である。この空調装置を構成する冷凍サイクル装置1は、圧縮機10、放熱器20、減圧器30、および蒸発器(エバポレータ)40を有する。これら構成部品は、配管によって環状に接続され、冷媒循環路を構成する。
【0033】
圧縮機10は、車両の走行用の動力源2である内燃機関(あるいは電動機等)によって駆動される。動力源2が停止すると、圧縮機10も停止する。圧縮機10は、蒸発器40から冷媒を吸引し、圧縮し、放熱器20へ吐出する。放熱器20は、高温冷媒を冷却する。放熱器20は、凝縮器とも呼ばれる。減圧器30は、放熱器20によって冷却された冷媒を減圧する。蒸発器40は、減圧器30によって減圧された冷媒を蒸発させ、車室内空気を冷却する。
【0034】
図2は、本第1実施形態の蒸発器40の平面図である。図3は、図2の矢印A方向から見た図である。図4は、図2のB−B線に沿う断面の一部を模式的に示す拡大断面図である。図5は、図3のC−C線に沿う断面の一部を模式的に示すチューブと蓄冷体と空気側フィンとの関係を示す拡大断面図である。
【0035】
図2および図3において、蒸発器40は、2層に配置された第1熱交換部48と第2熱交換部49とを有する。そして、第2熱交換部49が空気流れ上流側に配置され、第1熱交換部48が空気流れ下流側に配置されている。
【0036】
具体的には、蒸発器40は、複数に分岐した冷媒通路部材を有する。この冷媒通路部材は、アルミニウム等の金属製の通路部材によって提供される。冷媒通路部材は、組をなして位置づけられた第1〜第4ヘッダ41〜44と、それらヘッダ41〜44の間を連結する複数のチューブ45によって提供されている。
【0037】
第1ヘッダ41と第2ヘッダ42とは、組をなしており、互いに所定距離れて平行に配置されている。第3ヘッダ43と第4ヘッダ44も組をなしており、互いに所定距離れて平行に配置されている。第1ヘッダ41と第2ヘッダ42との間には、複数のチューブ45が等間隔に配列されている。各チューブ45は、その端部において対応するヘッダ41、42内に連通している。これら第1ヘッダ41と、第2ヘッダ42と、それらの間に配置された複数のチューブ45によって第1熱交換部48(図3参照)が形成されている。
【0038】
第3ヘッダ43と第4ヘッダ44との間には、複数のチューブ45が等間隔に配列されている。各チューブ45は、その端部において対応するヘッダ43、44内に連通している。これら第3ヘッダ43と、第4ヘッダ44と、それらの間に配置された複数のチューブ45によって第2熱交換部49(図3参照)が形成されている。
【0039】
第1ヘッダ41の端部には、冷媒入口としての図示しないジョイントが設けられている。第1ヘッダ41内は、その長さ方向のほぼ中央に設けられた図示しない仕切板によって、第1区画と第2区画とに区画されている。これに対応して、複数のチューブ45は、第1群と第2群とに区分されている。
【0040】
冷媒は、第1ヘッダ41の第1区画に供給される。冷媒は、第1区画から、第1群に属する複数のチューブ45に分配される。冷媒は、第1群を通して第2ヘッダ42に流入し、集合される。冷媒は、第2ヘッダ42から、第2群に属する複数のチューブ45に再び分配される。冷媒は、第2群を通して第1ヘッダ41の第2区画に流入する。このように、第1熱交換部48においては、冷媒をU字状に流す流路が形成される。
【0041】
第3ヘッダ43の端部には、冷媒出口としての図示しないジョイントが設けられている。第3ヘッダ43内は、その長さ方向のほぼ中央に設けられた図示しない仕切板によって、第1区画と第2区画とに区画されている。これに対応して、複数のチューブ45は、第1群と第2群とに区分されている。第3ヘッダ43の第1区画は、第1ヘッダ41の第2区画に隣接している。第3ヘッダ43の第1区画と第1ヘッダ41の第2区画とは連通している。
【0042】
冷媒は、第1ヘッダ41の第2区画から、第3ヘッダ43の第1区画に流入する。冷媒は、第1区画から、第1群に属する複数のチューブ45に分配される。冷媒は、第1群を通して第4ヘッダ44に流入し、集合される。冷媒は、第4ヘッダ44から、第2群に属する複数のチューブ45に再び分配される。冷媒は、第2群を通して第3ヘッダ43の第2区画に流入する。このように、第2熱交換部49においても、冷媒をU字状に流す流路が形成される。第3ヘッダ43の第2区画内の冷媒は、冷媒出口から流出し、圧縮機10へ向けて流れる。
【0043】
図4および図5において、チューブ45は、扁平状に形成され、内部に複数の冷媒通路を有する多穴管である。このチューブ45は、押出製法によって得ることができる。複数の冷媒通路は、チューブ45の長手方向に沿って延びており、チューブ45の両端に開口している。複数のチューブ45は、列をなして並べられている。各列において、複数のチューブ45は、その主面(扁平面)が対向するように配置されている。
【0044】
蒸発器40は、車室へ供給される空気と接触面積を増加させるための空気側フィン46を備えている。空気側フィン46は、隣接する2つのチューブ45の間に区画された空気通路に配置されている。空気側フィン46は、隣接する2つのチューブ45と熱的に結合している。
【0045】
空気側フィン46は、ろう材によって、隣接する2つのチューブ45に接合されている。空気側フィン46は、薄いアルミニウム等の金属板を波状に曲げることにより形成されており、ルーバーと呼ばれる空気通路を備えている。
【0046】
蒸発器40は、複数の蓄冷体47を有している蓄冷熱交換器である。蓄冷体47は、アルミニウム等の金属製であり、扁平な筒状に形成されている。蓄冷体47は、その長手方向両端において、筒をその厚さ方向に押しつぶすことによって閉じられ、内部に蓄冷材を収容するための部屋を区画している。蓄冷体47は、広い主面(扁平面)を両面に有している。これら2つの主面を提供する2つの主壁は、それぞれがチューブ45と平行に配置されている。
【0047】
蓄冷体47は、その外面を提供する外殻47aと、複数の内柱47bとを有している。内柱47bは、パラフィン等から構成される蓄冷材50を収容する部屋の内部へ向けて、主壁から延び出している。内柱47bは、蓄冷体47の2つの大きい主壁の間を連結している。内柱47bは、蓄冷体47の長手方向に沿って伸びている。複数の内柱47bは、蓄冷体47内の部屋を、空気の流れ方向に沿って並ぶ複数の小部屋に区画する。これら小部屋は、蓄冷体47の両端部において互いに連通されている。複数の部屋には、蓄冷材50が収容されている。それぞれの小部屋の断面積は、チューブ45内の冷媒通路より十分に大きくなっている。
【0048】
蓄冷体47は、隣接する2つのチューブ45の間に配置されている。チューブ45と蓄冷体47との間には、チューブ45および蓄冷体47の双方に接合された中間機能部材6が介在されている。中間機能部材6は、ろう材によって、チューブ45および蓄冷体47の双方に接合されている。
【0049】
図6は、本第1実施形態の中間機能部材6をチューブ45の積層方向から見た図である。図6に示すように、中間機能部材6は、中間機能部材6におけるチューブ45と接合される面の面積、および中間機能部材6における蓄冷体47と接合される面の面積の双方が、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた際の接触面積より小さくなるように構成されている。中間機能部材6は、金属(例えば、アルミニウム)により構成されている。
【0050】
具体的には、中間機能部材6は、平板状に形成されており、チューブ45と対向する面と蓄冷体47と対向する面とを連通する複数の穴61を有している。穴61は、チューブ45の長手方向に延びており、空気流れ方向に複数並んで配置されている。この穴61は、中間機能部材6の内側に形成されており、周囲が閉じた穴となっている。
【0051】
中間機能部材6の表面および裏面における穴61が形成されていない部位が、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面を構成している。また、中間機能部材6は、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の幅寸法Wの最小値が2mm以下となるように構成されている。
【0052】
本実施形態では、接触面の幅寸法Wとは、中間機能部材6における隣接する2つの穴61間の距離、中間機能部材6の外周縁部と穴61の上端部および下端部との距離、中間機能部材6の外周縁部と空気流れ最上流側および最下流側に配置された穴61との距離のことを意味している。すなわち、接触面の幅寸法Wとは、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47の接触部の外周上の任意の2点間の距離を意味している。
【0053】
換言すると、中間機能部材6は、チューブ45および蓄冷体47に対する接触面に垂直な方向から見たときに、1辺の寸法が2mm以下である矩形の内部に収まる形状(以下、帯状片という)を4つ用いて形成した長方形状の外枠の内部に、複数の帯状片を互いに離間して配置した形状となっている。すなわち、中間機能部材6は、チューブ45および蓄冷体47に対する接触面に垂直な方向から見たときに、少なくとも1辺の寸法が2mm以下である矩形の内部に収まる形状を組み合わせた形状となっている。
【0054】
さらに換言すると、中間機能部材6は、矩形状の枠611の内部に、矩形短冊状部材612を複数嵌め込んだ形状となっており、枠611の幅が2mm以下であり、矩形短冊状部材612の幅が2mm以下となっている。
【0055】
本実施形態の蒸発器40は、以上の如く構成されているので、中間機能部材6に穴61を形成し、中間機能部材6におけるチューブ45と接合される面の面積、および中間機能部材6における蓄冷体47と接合される面の面積の双方を、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた際の接触面積より小さくすることで、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた場合に比べてボイドや隙間が形成され難くなる。したがって、チューブ45と蓄冷体47とを良好に接合できる。
【0056】
また、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の幅寸法Wの最小値を2mm以下とすることで、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の面圧を高くすることができる。さらに、ろう付け時に、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面にフィレットが形成され易くなる。その結果、チューブ45と蓄冷体47とをより良好に接合できる。
【0057】
ここで、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面積、すなわちろう付け面積が、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた際の接触面積の10%以上であれば、蒸発器40の熱交換能力を十分に確保できることが、次のように確認されている。
【0058】
図7は、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対するろう付け面積割合と、蒸発器40の能力比との関係を示す特性図である。図7において、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた場合のろう付け面積割合を100%としたときの、蒸発器40の能力比を100%としている。
【0059】
図7から明らかなように、中間機能部材6に複数の穴61が存在し、中間機能部材6におけるチューブ45と接合される面の面積、および中間機能部材6における蓄冷体47と接合される面の面積の双方が、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた際の接触面積より小さくなっていても、ろう付け面積が10%以上あれば、蒸発器40の能力比が90%以上確保される。さらに、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対するろう付け面積を、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた際の接触面積の20%以上とすると、蒸発器40の能力比がほぼ100%確保されるので、より望ましい。
【0060】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図8に基づいて説明する。図8は、本第2実施形態の中間機能部材6をチューブ45の積層方向から見た図である。
【0061】
図8に示すように、中間機能部材6には、空気流れ方向の上流側端部もしくは下流側端部が開放された穴61が複数形成されている。この穴61は、中間機能部材6の外周縁部に形成され、内側に向けて切り欠いた切り欠き部ということもできる。
【0062】
本実施形態では、穴61は、空気流れ方向に延びる矩形状に形成されており、空気流れ方向の上流側の端部が開放された穴61(以下、上流側穴611という)がチューブ45の長手方向に複数並んで配置されているとともに、空気流れ方向の下流側の端部が開放された穴61(以下、下流側穴612という)がチューブ45の長手方向に複数並んで配置されている。1つの中間機能部材6には、上流側穴611と下流側穴612が同一個数設けられている。隣接する上流側穴611および下流側穴612は、空気流れ方向に平行な同一直線上に配置されている。
【0063】
換言すると、本実施形態の中間機能部材6は、空気流れ方向に延びる複数の第1帯状部材621をチューブ45の長手方向に並べるとともに、チューブ45の長手方向に延びる第2帯状部材622を、複数の第1帯状部材621の空気流れ方向における中央部分を通過するように、かつ、第1帯状部材621と直交するように配置することにより形成されている。さらに換言すると、中間機能部材6は、櫛歯状に形成されている。
【0064】
中間機能部材6は、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の幅寸法Wの最小値が2mm以下となるように構成されている。本実施形態において、接触面の幅寸法Wとは、第1帯状部材621および第2帯状部材622の幅寸法を意味している。
【0065】
本実施形態では、中間機能部材6に、空気流れ方向の上流側端部もしくは下流側端部が開放された穴61を形成しているので、穴61に停滞した凝縮水が凍結した場合でも、外側(開放された端部側)に向かって体積膨張が許容され、凍結割れを防止できる。
【0066】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図9に基づいて説明する。図9は、本第3実施形態の中間機能部材6をチューブ45の積層方向から見た図である。
【0067】
図9に示すように、中間機能部材6の上流側穴611および下流側穴612は、チューブ45および蓄冷体47に対する接触面に垂直な方向、すなわちチューブ45の積層方向(図9の紙面垂直方向)から見たときに、上流側穴611および下流側穴612の面積が中間機能部材6の内側、すなわち空気流れ方向の中央側(図9の左右方向中央側)から外側、すなわち開放された端部側に向かって大きくなるように形成されている。すなわち、上流側穴611および下流側穴612は、中間機能部材6の内側から外側に向かって体積が大きくなるように形成されている。
【0068】
換言すると、中間機能部材6は、チューブ45の長手方向に延びる1つの帯状部材623の空気流れ上流側に、空気流れ上流側に向かって細くなった三角形状の上流側部材624を、チューブ45の長手方向に複数並べて配置するとともに、1つの帯状部材623の空気流れ下流側に、空気流れ下流側に向かって細くなった三角形状の下流側部材625を、チューブ45の長手方向に複数並べて配置することにより形成されている。上流側部材624は、その空気流れ下流側の端部が帯状部材623に接続されており、下流側部材625は、その空気流れ上流側の端部が帯状部材623に接続されている。隣接する上流部材624同士、および隣接する下流部材625同士は、それぞれ所定距離離間して配置されている。隣接する上流側部材624および下流側部材625は、空気流れ方向に平行な同一直線上に配置されている。
【0069】
中間機能部材6は、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の幅寸法Wの最小値が2mm以下となるように構成されている。本実施形態において、接触面の幅寸法Wとは、上流側部材624および下流側部材625の帯状部材623と接続される部位におけるチューブ45の長手方向の寸法、および帯状部材623の幅寸法を意味している。
【0070】
本実施形態では、中間機能部材6の上流側穴611および下流側穴612を、中間機能部材6の内側から外側に向かって体積が大きくなるように形成されているので、上流側穴611および下流側穴612に停滞した凝縮水が凍結した場合でも、体積の大きい外側に向かって体積膨張するため、凍結割れを確実に防止できる。
【0071】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図10および図11に基づいて説明する。図10は本第4実施形態の蒸発器40を空気流れ方向から見た拡大断面図である。図11は本第4実施形態の蒸発器40の中間機能部材6を示す斜視図である。
【0072】
図10および図11に示すように、中間機能部材6は、平板状部材を断面矩形波状に折り曲げることによって形成されている。より詳細には、中間機能部材6は、チューブ側板状部631と、蓄冷体側板状部632と、接続部633とを有して構成されている。チューブ側板状部631は、チューブ45側に突出するとともにチューブ45における中間機能部材6との接触面に対して平行な板状に形成されている。蓄冷体側板状部632は、蓄冷体47側に突出するとともに蓄冷体47における中間機能部材6との接触面に対して平行な板状に形成されている。接続部633は、チューブ側板状部631と蓄冷体側板状部632とを接続するように形成されている。ここで、チューブ側板状部631が本発明のチューブ側突出部の頂部に相当し、蓄冷体側板状部632が本発明の蓄冷体側突出部の頂部に相当している。
【0073】
チューブ側板状部631および蓄冷体側板状部632は、空気流れ方向に延びる長方形状に形成されている。接続部633は、チューブ45の長手方向に直交する板状に形成されている。チューブ側板状部631と接続部633との間、および蓄冷体側板状部632と接続部633には、ほぼ直角の曲げ部が設けられている。
【0074】
中間機能部材6は、天地方向(チューブ45の長手方向)に切断したときの断面が矩形波状になっている。すなわち、平板状部材を矩形波状に折り曲げる際の折れ線が、空気流れ方向と平行になっている。換言すると、中間機能部材6は、平板状部材を天地方向に折り曲げた形状になっている。このため、チューブ側板状部631とそのチューブ側板状部631に接続された2つの接続部633との間、および蓄冷体側板状部632とその蓄冷体側板状部632に接続された2つの接続部633の間に、空気が通過する空気通路634が形成される。
【0075】
中間機能部材6は、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の幅寸法Wの最小値が2mm以下となるように構成されている。本実施形態において、接触面の幅寸法Wとは、チューブ側板状部631および蓄冷体側板状部632におけるチューブ45の長手方向の寸法を意味している。
【0076】
本実施形態によれば、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の面積管理が容易となるので、製造コストを低減できる。さらに、中間機能部材6により、空気が通過する空気通路634が形成されているので、蒸発器40を通過する空気の圧力損失を小さくすることができる。
【0077】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図12に基づいて説明する。上記第4実施形態では、平板状部材を天地方向に折り曲げることにより中間機能部材6を形成したのに対して、本第5実施形態では、平板状部材の折り曲げ方向が90°異なっている。
【0078】
図12は本第5実施形態の蒸発器40の中間機能部材6を示す斜視図である。図12に示すように、本実施形態では、中間機能部材6のチューブ側板状部631および蓄冷体側板状部632は、チューブ45の長手方向、すなわち天地方向に延びる長方形状に形成されている。接続部633は、空気流れ方向に直交する板状に形成されている。
【0079】
また、中間機能部材6は、断面矩形波状の波の進行方向が、チューブ45の長手方向、すなわち天地方向に対して平行となるように形成されている。このため、チューブ側板状部631とそのチューブ側板状部631に接続された2つの接続部633との間、および蓄冷体側板状部632とその蓄冷体側板状部632に接続された2つの接続部633の間に、天地方向に延びる空間635が形成される。
【0080】
中間機能部材6は、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の幅寸法Wの最小値が2mm以下となるように構成されている。本実施形態において、接触面の幅寸法Wとは、チューブ側板状部631および蓄冷体側板状部632における空気流れ方向の寸法を意味している。
【0081】
本実施形態によれば、中間機能部材6により、天地方向に延びる空間635が形成されているので、中間機能部材6に付着した凝縮水を地方向(重力方向の下側)へ流すことができる。
【0082】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図13および図14に基づいて説明する。上記第4、第5実施形態で、平板状部材を折り曲げることにより中間機能部材6を形成したのに対し、本第6実施形態では、平板状部材を打ち出し成形することにより、チューブ側および蓄冷体側に突出する多数個の突出部を形成している。
【0083】
図13は本第6実施形態の蒸発器40を空気流れ方向から見た拡大断面図である。図14は本第6実施形態の蒸発器40の中間機能部材6をチューブ45側から見た図である。図13および図14に示すように、本実施形態の中間機能部材6は、チューブ45の積層方向に直交する平板状部材のチューブ45に対向する面および蓄冷体47に対向する面に、凹凸部を設けることにより形成されている。より詳細には、中間機能部材6は、チューブ45側に突出するチューブ側突出部641、および蓄冷体47側に突出する蓄冷体側突出部642を有している。
【0084】
中間機能部材6におけるチューブ45に対向する面において、チューブ側突出部641が凸部を構成し、チューブ側突出部641が形成されていない部位が凹部643を構成しており、これにより、中間機能部材6におけるチューブ45に対向する面に凹凸部が形成されている。同様に、中間機能部材6における蓄冷体47に対向する面において、蓄冷体側突出部642が凸部を構成し、蓄冷体側突出部642が形成されていない部位が凹部644を構成しており、これにより、中間機能部材6における蓄冷体47に対向する面に凹凸部が形成されている。そして、中間機能部材6におけるチューブ45に対向する面、および中間機能部材6における蓄冷体47に対向する面の凹凸形状は、中間機能部材6の長手方向および短手方向に複数回繰り返されている構造となっている。
【0085】
チューブ側突出部641の頂部はチューブ45に接触し、蓄冷体側突出部642の頂部は蓄冷体47に接触している。チューブ側突出部641の頂部は、チューブ45における中間機能部材6との接触面に対して平行に形成されている。蓄冷体側突出部642の頂部は、蓄冷体47における中間機能部材6との接触面に対して平行に形成されている。
【0086】
本実施形態では、チューブ側突出部641および蓄冷体側突出部642は、中間機能部材6の長手方向に細長い小判状(長円状)に形成されているとともに、千鳥配列に形成されている。この千鳥配列は、プレス成形時の型抜きが容易である。
【0087】
中間機能部材6は、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の幅寸法Wの最小値が2mm以下となるように構成されている。本実施形態において、接触面の幅寸法Wとは、チューブ側板状部631および蓄冷体側板状部632の幅寸法を意味している。
【0088】
本実施形態によれば、中間機能部材6におけるチューブ45に対する接触面の形状と、中間機能部材6における蓄冷体47に対する接触面の形状とを、それぞれ異なる形状とすることができる。したがって、中間機能部材6におけるチューブ45に対する接触面の形状、および中間機能部材6における蓄冷体47に対する接触面の形状の双方を、所望の形状とすることができる。
【0089】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図15に基づいて説明する。上記第4、第5実施形態で、中間機能部材6を矩形波状に形成したのに対し、本第6実施形態では、中間機能部材6を正弦波状に形成している。
【0090】
図15は本第7実施形態の蒸発器40を空気流れ方向から見た拡大断面図である。図15に示すように、中間機能部材6は、平板状部材を正弦波状に折り曲げることによって形成されている。より詳細には、中間機能部材6は、チューブ45側に突出してチューブ45に接触するチューブ側頂部651と、蓄冷体47側に突出して蓄冷体47に接触する蓄冷体側頂部652と、チューブ側頂部651と蓄冷体側頂部652とを接続する接続部653を有して構成されている。ここで、チューブ側頂部651が本発明のチューブ側突出部の頂部に相当し、蓄冷体側頂部652が本発明の蓄冷体側突出部の頂部に相当している。本実施形態では、チューブ側板状部651および蓄冷体側板状部652の幅が、充分に狭く形成されている。このチューブ側板状部651および蓄冷体側板状部652の幅寸法は、2mm以下となっている。
【0091】
また、中間機能部材6は、正弦波状の波の進行方向が、チューブ45の長手方向、すなわち天地方向に対して平行となるように形成されている。このため、チューブ側頂部651とそのチューブ側頂部651に接続された2つの接続部653との間、および蓄冷体側頂部652とその蓄冷体側頂部652に接続された2つの接続部653の間に、空気が通過する空気通路654が形成される。
【0092】
本実施形態によれば、正弦波状に形成された中間機能部材6が、チューブ45と蓄冷体47との隙間の大きさに合わせて変形可能となっているので、チューブ45と蓄冷体47との隙間の寸法公差を吸収できる。このため、チューブ45と蓄冷体47との隙間の公差管理が容易となり、製造コストを低減できる。
【0093】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について図16に基づいて説明する。図16は本第8実施形態の蒸発器40の要部を示す分解斜視図である。
【0094】
図16に示すように、蓄冷体47の内部には、蓄冷材50との伝熱面積を増大させるインナーフィン471が設けられている。本実施形態のインナーフィン471は、平板状部材を波状に折り曲げることにより形成されている。
【0095】
本実施形態の蒸発器40は、複数の中間機能部材6のうち、同一の蓄冷体47に接合される2つの中間機能部材6同士を互いに連結する連結部材7を備えている。2つの中間機能部材6および連結部材7は、チューブ45の長手方向から見たときに、蓄冷体47を挟み込む形状に一体的に形成されている。
【0096】
本実施形態では、連結部材7は、2つの中間機能部材6の空気流れ上流側端部同士を連結している。また、中間機能部材6は、空気流れ方向に延びる帯状部材66を、チューブ45の長手方向に複数並べることにより形成されている。
【0097】
本実施形態によれば、連結部材7により連結された複数の中間機能部材6を、蓄冷体47の空気流れ上流側から差し込むだけで、複数の中間機能部材6を所定の位置に組み付けることができるので、中間機能部材6の組み付け性を向上できる。
【0098】
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態について図17および図18に基づいて説明する。図17は本第9実施形態の蒸発器40の要部を示す分解斜視図である。図18は本第9実施形態の中間機能部材6および連結部材7を示す拡大斜視図である。
【0099】
図17および図18に示すように、本実施形態の蒸発器40は、連結部材7により2つの中間機能部材6の空気流れ上流側端部同士を連結した第1構造体81、および連結部材7により2つの中間機能部材6の空気流れ下流側端部同士を連結した第2構造体82を有している。第1構造体81を構成する2つの中間機能部材6および連結部材7は、チューブ45の長手方向から見たときに、蓄冷体47を挟み込む形状に一体的に形成されている。同様に、第2構造体81を構成する2つの中間機能部材6および連結部材7は、チューブ45の長手方向から見たときに、蓄冷体47を挟み込む形状に一体的に形成されている。そして、蓄冷体47は、チューブ45の長手方向から見たときに、第1構造体81および第2構造体82によって包み込まれている。
【0100】
第1構造体81を構成する中間機能部材6は、空気流れ下流側に向かって細くなった三角形状に形成された第1板状部材671を、チューブ45の長手方向に複数並べることにより形成されている。第2構造体82を構成する中間機能部材6は、空気流れ上流側に向かって細くなった三角形状に形成された第2板状部材678を、チューブ45の長手方向に複数並べることにより形成されている。第1構造体81および第2構造体82は、蓄冷体47に組み付けた際に、第1板状部材671と第2板状部材672とがチューブ45の長手方向に互い違いに配置されて重ならないように構成されている。
【0101】
本実施形態によれば、第1構造体81を蓄冷体47の空気流れ上流側から差し込むとともに、第2構造体82を蓄冷体47の空気流れ下流側から差し込むだけで、複数の中間機能部材6を所定の位置に組み付けることができるので、中間機能部材6の組み付け性を向上できる。
【0102】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
【0103】
(1)上述の第6実施形態では、中間機能部材6におけるチューブ45に対向する面および蓄冷体47に対向する面に、千鳥配列の凹凸形状を形成した例について説明したが、これに限らず、図19のような格子配列の凹凸形状を形成してもよい。また、図20のような斜め配列、および図21のような丸型の千鳥配列、図22のような丸型の格子配列としてもよい。
【0104】
(2)上述の第8実施形態では、中間機能部材6を、空気流れ方向に延びる帯状部材66をチューブ45の長手方向に複数並べることにより形成した例について説明したが、空気流れ下流側に向かって細くなった三角形状に形成された板状部材をチューブ45の長手方向に複数並べることにより形成してもよい。
【0105】
(3)上述の各実施形態では、蓄冷体47を扁平な筒状に形成した例について説明したが、これに限らず、蓄冷体47を円筒状に形成してもよい。
【0106】
(4)上述した各実施形態は、可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0107】
6 中間機能部材
7 連結部材
45 チューブ
47 蓄冷体
50 蓄冷材
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクル装置に用いられる蓄冷熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空調装置には、冷凍サイクル装置が用いられている。この冷凍サイクル装置が停止している状態においても、限定された冷房を提供する試みがなされている。例えば、車両用空調装置では、走行用エンジンによって冷凍サイクル装置の圧縮機が駆動される。このため、車両が一時的に停車している間にエンジンが停止すると、冷凍サイクル装置が停止する。
【0003】
このような一時的な停車中に、限定された冷房を提供するために、冷凍サイクル装置の蒸発器に冷熱を蓄える蓄冷材を付加した蓄冷熱交換器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−274165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の蓄冷熱交換器は、蓄冷材を収容した蓄冷体にチューブおよびフィンを接触して熱交換させ、この熱交換により、蓄冷および放冷させる構成となっている。このような蓄冷熱交換器では、蓄冷体とチューブ、および蓄冷体とフィンがろう付けにより接合されている。ここで、蓄冷体とチューブのろう付け面積、および蓄冷体とフィンのろう付け面積が広すぎると、部分的にろう付けされない部分(ボイドや隙間等)が発生し、良好なろう付けが困難である。
【0006】
そして、このようなボイドや隙間に異物や凝縮水が停滞すると、次のような問題が発生する。すなわち、異物の停滞によって、その異物が付着した部分が腐食したり、異臭が発生したりする。また、凝縮水が凍結すると、凝縮水の体積膨張により、ボイドや隙間付近のろう付けされている部位が割れるという凍結割れが発生する。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、蓄冷材を収容する蓄冷体とチューブとを良好に接合できる蓄冷熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、冷媒が流通するチューブ(45)と、冷熱を蓄える蓄冷材(50)を収容する蓄冷体(47)と、チューブ(45)と蓄冷体(47)との間に介在され、チューブ(45)および蓄冷体(47)の双方に接合される中間機能部材(6)とを備え、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)と接合される面の面積、および中間機能部材(6)における蓄冷体(47)と接合される面の面積の双方が、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積より小さくなっていることを特徴としている。
【0009】
これによれば、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)と接合される面の面積、および中間機能部材(6)における蓄冷体(47)と接合される面の面積の双方が、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積より小さくなっているので、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを直接接触させた場合に比べてろう付け部分にボイドや隙間が形成され難くなる。したがって、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを良好に接合できる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の畜冷熱交換器において、中間機能部材(6)は、平板状に形成されており、チューブ(45)と対向する面と蓄冷体(47)と対向する面とを連通する穴(61)を有していることを特徴としている。
【0011】
このように、中間機能部材(6)に穴(61)を設けることにより、簡易な構成で、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)と接合される面の面積、および中間機能部材(6)における蓄冷体(47)と接合される面の面積の双方を、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積より小さくできる。
【0012】
なお、本請求項における穴(61)とは、中間機能部材(6)の内側に形成される周囲が閉じた穴のみを意味するものではなく、中間機能部材(6)の外周縁部に形成され、内側に向かって切り欠かれた切り欠き部を含む意味である。
【0013】
また、請求項3に記載の発明のように、請求項1に記載の蓄冷熱交換器において、中間機能部材(6)は、平板状部材で形成され、チューブ(45)側に突出するチューブ側突出部(641)および蓄冷体(47)側に突出する蓄冷体側突出部(642)を有し、チューブ側突出部(641)の頂部がチューブ(45)に接触し、蓄冷体側突出部(642)の頂部が蓄冷体(47)に接触していることを特徴としている。
【0014】
これによれば、中間機能部材(6)は、チューブ側突出部(641)の頂部においてのみチューブ(45)に接触し、蓄冷体側突出部(642)の頂部においてのみ蓄冷体(45)に接触するので、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)と接合される面の面積、および中間機能部材(6)における蓄冷体(47)と接合される面の面積の双方を、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積より小さくできる。このため、ろう付け部分にボイドや隙間が形成され難くなる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器において、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面積は、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積の10%以上であることを特徴としている。
【0016】
このように、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面積を、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積の10%以上とすることで、蓄冷熱交換器の熱交換能力を十分に確保することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器において、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面の幅寸法の最小値は2mm以下であることを特徴としている。
【0018】
このように、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面の幅寸法の最小値を2mm以下とすることで、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面の面圧を高くすることができる。さらに、ろう付け時に、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面にフィレットが形成され易くなる。その結果、チューブ(45)および蓄冷体(47)の双方が中間機能部材(6)とより確実にろう付けされるので、チューブ(45)と蓄冷体(47)とを良好に接合できる。
【0019】
なお、本請求項における幅寸法とは、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)の接触部の外周上の任意の2点間の距離を意味している。すなわち、「中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面の幅寸法の最小値は2mm以下」とは、中間機能部材(6)が、チューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面に垂直な方向から見たときに、少なくとも1辺の寸法が2mm以下である矩形の内部に収まる形状を組み合わせた形状となっていることを意味している。
【0020】
また、請求項6に記載の発明では、請求項3に記載の蓄冷熱交換器において、中間機能部材(6)は、平板状部材を波状に折り曲げることによって形成されていることを特徴としている。
【0021】
これによれば、中間機能部材(6)が、チューブ(45)と蓄冷体(47)との隙間の大きさに合わせて変形するので、チューブ(45)と蓄冷体(47)との隙間の寸法公差を吸収できる。このため、チューブ(45)と蓄冷体(47)との隙間の公差管理が容易となり、製造コストを低減できる。
【0022】
また、請求項7に記載の発明では、請求項3に記載の蓄冷熱交換器において、中間機能部材(6)は、平板状部材に凹凸部を設けることによって形成されていることを特徴としている。
【0023】
これによれば、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)に対する接触面の形状、および中間機能部材(6)における蓄冷体(47)に対する接触面の形状の双方を、所望の形状とすることができる。
【0024】
また、請求項8に記載の発明では、請求項3に記載の蓄冷熱交換器において、中間機能部材(6)は、平板状部材を折り曲げることによって形成されており、チューブ側突出部の頂部(631、651)は、チューブ(45)における中間機能部材(6)との接触面に対して平行に形成され、蓄冷体側突出部(632、652)の頂部は、蓄冷体(47)における中間機能部材(6)との接触面に対して平行に形成されていることを特徴としている。
【0025】
これによれば、中間機能部材(6)におけるチューブ(45)および蓄冷体(47)に対する接触面の面積管理が容易となるので、製造コストを低減できる。
【0026】
また、請求項9に記載の発明では、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器において、中間機能部材(6)のうち、同一の蓄冷体(47)に接合される複数の中間機能部材(6)同士を互いに連結する連結部材(7)を備え、複数の中間機能部材(6)および連結部材(7)は、チューブ(45)の長手方向から見たときに、蓄冷体(47)を挟み込む形状に一体的に形成されていることを特徴としている。
【0027】
これによれば、連結部材(7)により連結された複数の中間機能部材(6)を差し込むだけで、複数の中間機能部材(6)を所定の位置に組み付けることができるので、中間機能部材(6)の組み付け性を向上できる。
【0028】
また、請求項10に記載の発明のように、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器において、蓄冷体(47)の内部には、蓄冷材(50)との伝熱面積を増大させるインナーフィン(471)が設けられていてもよい。
【0029】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態となる車両用空調装置を構成する冷凍サイクル装置の構成図である。
【図2】第1実施形態の蒸発器40の平面図である。
【図3】図2の矢印A方向から見た図である。
【図4】図2のB−B線に沿う断面の一部を模式的に示す拡大断面図である。
【図5】図3のC−C線に沿う断面の一部を模式的に示すチューブと蓄冷体と空気側フィンとの関係を示す拡大断面図である。
【図6】第1実施形態の中間機能部材6をチューブ45の積層方向から見た図である。
【図7】中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対するろう付け面積割合と、蒸発器40の能力比との関係を示す特性図である。
【図8】第2実施形態の中間機能部材6をチューブ45の積層方向から見た図である。
【図9】第3実施形態の中間機能部材6をチューブ45の積層方向から見た図である。
【図10】第4実施形態の蒸発器40を空気流れ方向から見た拡大断面図である。
【図11】第4実施形態の蒸発器40の中間機能部材6を示す斜視図である。
【図12】第5実施形態の蒸発器40の中間機能部材6を示す斜視図である。
【図13】第6実施形態の蒸発器40を空気流れ方向から見た拡大断面図である。
【図14】第6実施形態の蒸発器40の中間機能部材6をチューブ45側から見た図である。
【図15】第7実施形態の蒸発器40を空気流れ方向から見た拡大断面図である。
【図16】第8実施形態の蒸発器40の要部を示す分解斜視図である。
【図17】第9実施形態の蒸発器40の要部を示す分解斜視図である。
【図18】第9実施形態の中間機能部材6および連結部材7を示す拡大斜視図である。
【図19】他の実施形態として、格子配列の凹凸形状を有する中間機能部材6をチューブ45側から見た図である。
【図20】他の実施形態として、斜め配列の凹凸形状を有する中間機能部材6をチューブ45側から見た図である。
【図21】他の実施形態として、丸型の千鳥配列の凹凸形状を有する中間機能部材6をチューブ45の側から見た図である。
【図22】他の実施形態として、丸型の格子配列の凹凸形状を有する中間機能部材6をチューブ45側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0032】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態となる車両用空調装置を構成する冷凍サイクル装置の構成図である。この空調装置を構成する冷凍サイクル装置1は、圧縮機10、放熱器20、減圧器30、および蒸発器(エバポレータ)40を有する。これら構成部品は、配管によって環状に接続され、冷媒循環路を構成する。
【0033】
圧縮機10は、車両の走行用の動力源2である内燃機関(あるいは電動機等)によって駆動される。動力源2が停止すると、圧縮機10も停止する。圧縮機10は、蒸発器40から冷媒を吸引し、圧縮し、放熱器20へ吐出する。放熱器20は、高温冷媒を冷却する。放熱器20は、凝縮器とも呼ばれる。減圧器30は、放熱器20によって冷却された冷媒を減圧する。蒸発器40は、減圧器30によって減圧された冷媒を蒸発させ、車室内空気を冷却する。
【0034】
図2は、本第1実施形態の蒸発器40の平面図である。図3は、図2の矢印A方向から見た図である。図4は、図2のB−B線に沿う断面の一部を模式的に示す拡大断面図である。図5は、図3のC−C線に沿う断面の一部を模式的に示すチューブと蓄冷体と空気側フィンとの関係を示す拡大断面図である。
【0035】
図2および図3において、蒸発器40は、2層に配置された第1熱交換部48と第2熱交換部49とを有する。そして、第2熱交換部49が空気流れ上流側に配置され、第1熱交換部48が空気流れ下流側に配置されている。
【0036】
具体的には、蒸発器40は、複数に分岐した冷媒通路部材を有する。この冷媒通路部材は、アルミニウム等の金属製の通路部材によって提供される。冷媒通路部材は、組をなして位置づけられた第1〜第4ヘッダ41〜44と、それらヘッダ41〜44の間を連結する複数のチューブ45によって提供されている。
【0037】
第1ヘッダ41と第2ヘッダ42とは、組をなしており、互いに所定距離れて平行に配置されている。第3ヘッダ43と第4ヘッダ44も組をなしており、互いに所定距離れて平行に配置されている。第1ヘッダ41と第2ヘッダ42との間には、複数のチューブ45が等間隔に配列されている。各チューブ45は、その端部において対応するヘッダ41、42内に連通している。これら第1ヘッダ41と、第2ヘッダ42と、それらの間に配置された複数のチューブ45によって第1熱交換部48(図3参照)が形成されている。
【0038】
第3ヘッダ43と第4ヘッダ44との間には、複数のチューブ45が等間隔に配列されている。各チューブ45は、その端部において対応するヘッダ43、44内に連通している。これら第3ヘッダ43と、第4ヘッダ44と、それらの間に配置された複数のチューブ45によって第2熱交換部49(図3参照)が形成されている。
【0039】
第1ヘッダ41の端部には、冷媒入口としての図示しないジョイントが設けられている。第1ヘッダ41内は、その長さ方向のほぼ中央に設けられた図示しない仕切板によって、第1区画と第2区画とに区画されている。これに対応して、複数のチューブ45は、第1群と第2群とに区分されている。
【0040】
冷媒は、第1ヘッダ41の第1区画に供給される。冷媒は、第1区画から、第1群に属する複数のチューブ45に分配される。冷媒は、第1群を通して第2ヘッダ42に流入し、集合される。冷媒は、第2ヘッダ42から、第2群に属する複数のチューブ45に再び分配される。冷媒は、第2群を通して第1ヘッダ41の第2区画に流入する。このように、第1熱交換部48においては、冷媒をU字状に流す流路が形成される。
【0041】
第3ヘッダ43の端部には、冷媒出口としての図示しないジョイントが設けられている。第3ヘッダ43内は、その長さ方向のほぼ中央に設けられた図示しない仕切板によって、第1区画と第2区画とに区画されている。これに対応して、複数のチューブ45は、第1群と第2群とに区分されている。第3ヘッダ43の第1区画は、第1ヘッダ41の第2区画に隣接している。第3ヘッダ43の第1区画と第1ヘッダ41の第2区画とは連通している。
【0042】
冷媒は、第1ヘッダ41の第2区画から、第3ヘッダ43の第1区画に流入する。冷媒は、第1区画から、第1群に属する複数のチューブ45に分配される。冷媒は、第1群を通して第4ヘッダ44に流入し、集合される。冷媒は、第4ヘッダ44から、第2群に属する複数のチューブ45に再び分配される。冷媒は、第2群を通して第3ヘッダ43の第2区画に流入する。このように、第2熱交換部49においても、冷媒をU字状に流す流路が形成される。第3ヘッダ43の第2区画内の冷媒は、冷媒出口から流出し、圧縮機10へ向けて流れる。
【0043】
図4および図5において、チューブ45は、扁平状に形成され、内部に複数の冷媒通路を有する多穴管である。このチューブ45は、押出製法によって得ることができる。複数の冷媒通路は、チューブ45の長手方向に沿って延びており、チューブ45の両端に開口している。複数のチューブ45は、列をなして並べられている。各列において、複数のチューブ45は、その主面(扁平面)が対向するように配置されている。
【0044】
蒸発器40は、車室へ供給される空気と接触面積を増加させるための空気側フィン46を備えている。空気側フィン46は、隣接する2つのチューブ45の間に区画された空気通路に配置されている。空気側フィン46は、隣接する2つのチューブ45と熱的に結合している。
【0045】
空気側フィン46は、ろう材によって、隣接する2つのチューブ45に接合されている。空気側フィン46は、薄いアルミニウム等の金属板を波状に曲げることにより形成されており、ルーバーと呼ばれる空気通路を備えている。
【0046】
蒸発器40は、複数の蓄冷体47を有している蓄冷熱交換器である。蓄冷体47は、アルミニウム等の金属製であり、扁平な筒状に形成されている。蓄冷体47は、その長手方向両端において、筒をその厚さ方向に押しつぶすことによって閉じられ、内部に蓄冷材を収容するための部屋を区画している。蓄冷体47は、広い主面(扁平面)を両面に有している。これら2つの主面を提供する2つの主壁は、それぞれがチューブ45と平行に配置されている。
【0047】
蓄冷体47は、その外面を提供する外殻47aと、複数の内柱47bとを有している。内柱47bは、パラフィン等から構成される蓄冷材50を収容する部屋の内部へ向けて、主壁から延び出している。内柱47bは、蓄冷体47の2つの大きい主壁の間を連結している。内柱47bは、蓄冷体47の長手方向に沿って伸びている。複数の内柱47bは、蓄冷体47内の部屋を、空気の流れ方向に沿って並ぶ複数の小部屋に区画する。これら小部屋は、蓄冷体47の両端部において互いに連通されている。複数の部屋には、蓄冷材50が収容されている。それぞれの小部屋の断面積は、チューブ45内の冷媒通路より十分に大きくなっている。
【0048】
蓄冷体47は、隣接する2つのチューブ45の間に配置されている。チューブ45と蓄冷体47との間には、チューブ45および蓄冷体47の双方に接合された中間機能部材6が介在されている。中間機能部材6は、ろう材によって、チューブ45および蓄冷体47の双方に接合されている。
【0049】
図6は、本第1実施形態の中間機能部材6をチューブ45の積層方向から見た図である。図6に示すように、中間機能部材6は、中間機能部材6におけるチューブ45と接合される面の面積、および中間機能部材6における蓄冷体47と接合される面の面積の双方が、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた際の接触面積より小さくなるように構成されている。中間機能部材6は、金属(例えば、アルミニウム)により構成されている。
【0050】
具体的には、中間機能部材6は、平板状に形成されており、チューブ45と対向する面と蓄冷体47と対向する面とを連通する複数の穴61を有している。穴61は、チューブ45の長手方向に延びており、空気流れ方向に複数並んで配置されている。この穴61は、中間機能部材6の内側に形成されており、周囲が閉じた穴となっている。
【0051】
中間機能部材6の表面および裏面における穴61が形成されていない部位が、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面を構成している。また、中間機能部材6は、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の幅寸法Wの最小値が2mm以下となるように構成されている。
【0052】
本実施形態では、接触面の幅寸法Wとは、中間機能部材6における隣接する2つの穴61間の距離、中間機能部材6の外周縁部と穴61の上端部および下端部との距離、中間機能部材6の外周縁部と空気流れ最上流側および最下流側に配置された穴61との距離のことを意味している。すなわち、接触面の幅寸法Wとは、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47の接触部の外周上の任意の2点間の距離を意味している。
【0053】
換言すると、中間機能部材6は、チューブ45および蓄冷体47に対する接触面に垂直な方向から見たときに、1辺の寸法が2mm以下である矩形の内部に収まる形状(以下、帯状片という)を4つ用いて形成した長方形状の外枠の内部に、複数の帯状片を互いに離間して配置した形状となっている。すなわち、中間機能部材6は、チューブ45および蓄冷体47に対する接触面に垂直な方向から見たときに、少なくとも1辺の寸法が2mm以下である矩形の内部に収まる形状を組み合わせた形状となっている。
【0054】
さらに換言すると、中間機能部材6は、矩形状の枠611の内部に、矩形短冊状部材612を複数嵌め込んだ形状となっており、枠611の幅が2mm以下であり、矩形短冊状部材612の幅が2mm以下となっている。
【0055】
本実施形態の蒸発器40は、以上の如く構成されているので、中間機能部材6に穴61を形成し、中間機能部材6におけるチューブ45と接合される面の面積、および中間機能部材6における蓄冷体47と接合される面の面積の双方を、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた際の接触面積より小さくすることで、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた場合に比べてボイドや隙間が形成され難くなる。したがって、チューブ45と蓄冷体47とを良好に接合できる。
【0056】
また、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の幅寸法Wの最小値を2mm以下とすることで、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の面圧を高くすることができる。さらに、ろう付け時に、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面にフィレットが形成され易くなる。その結果、チューブ45と蓄冷体47とをより良好に接合できる。
【0057】
ここで、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面積、すなわちろう付け面積が、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた際の接触面積の10%以上であれば、蒸発器40の熱交換能力を十分に確保できることが、次のように確認されている。
【0058】
図7は、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対するろう付け面積割合と、蒸発器40の能力比との関係を示す特性図である。図7において、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた場合のろう付け面積割合を100%としたときの、蒸発器40の能力比を100%としている。
【0059】
図7から明らかなように、中間機能部材6に複数の穴61が存在し、中間機能部材6におけるチューブ45と接合される面の面積、および中間機能部材6における蓄冷体47と接合される面の面積の双方が、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた際の接触面積より小さくなっていても、ろう付け面積が10%以上あれば、蒸発器40の能力比が90%以上確保される。さらに、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対するろう付け面積を、チューブ45と蓄冷体47とを直接接触させた際の接触面積の20%以上とすると、蒸発器40の能力比がほぼ100%確保されるので、より望ましい。
【0060】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図8に基づいて説明する。図8は、本第2実施形態の中間機能部材6をチューブ45の積層方向から見た図である。
【0061】
図8に示すように、中間機能部材6には、空気流れ方向の上流側端部もしくは下流側端部が開放された穴61が複数形成されている。この穴61は、中間機能部材6の外周縁部に形成され、内側に向けて切り欠いた切り欠き部ということもできる。
【0062】
本実施形態では、穴61は、空気流れ方向に延びる矩形状に形成されており、空気流れ方向の上流側の端部が開放された穴61(以下、上流側穴611という)がチューブ45の長手方向に複数並んで配置されているとともに、空気流れ方向の下流側の端部が開放された穴61(以下、下流側穴612という)がチューブ45の長手方向に複数並んで配置されている。1つの中間機能部材6には、上流側穴611と下流側穴612が同一個数設けられている。隣接する上流側穴611および下流側穴612は、空気流れ方向に平行な同一直線上に配置されている。
【0063】
換言すると、本実施形態の中間機能部材6は、空気流れ方向に延びる複数の第1帯状部材621をチューブ45の長手方向に並べるとともに、チューブ45の長手方向に延びる第2帯状部材622を、複数の第1帯状部材621の空気流れ方向における中央部分を通過するように、かつ、第1帯状部材621と直交するように配置することにより形成されている。さらに換言すると、中間機能部材6は、櫛歯状に形成されている。
【0064】
中間機能部材6は、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の幅寸法Wの最小値が2mm以下となるように構成されている。本実施形態において、接触面の幅寸法Wとは、第1帯状部材621および第2帯状部材622の幅寸法を意味している。
【0065】
本実施形態では、中間機能部材6に、空気流れ方向の上流側端部もしくは下流側端部が開放された穴61を形成しているので、穴61に停滞した凝縮水が凍結した場合でも、外側(開放された端部側)に向かって体積膨張が許容され、凍結割れを防止できる。
【0066】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図9に基づいて説明する。図9は、本第3実施形態の中間機能部材6をチューブ45の積層方向から見た図である。
【0067】
図9に示すように、中間機能部材6の上流側穴611および下流側穴612は、チューブ45および蓄冷体47に対する接触面に垂直な方向、すなわちチューブ45の積層方向(図9の紙面垂直方向)から見たときに、上流側穴611および下流側穴612の面積が中間機能部材6の内側、すなわち空気流れ方向の中央側(図9の左右方向中央側)から外側、すなわち開放された端部側に向かって大きくなるように形成されている。すなわち、上流側穴611および下流側穴612は、中間機能部材6の内側から外側に向かって体積が大きくなるように形成されている。
【0068】
換言すると、中間機能部材6は、チューブ45の長手方向に延びる1つの帯状部材623の空気流れ上流側に、空気流れ上流側に向かって細くなった三角形状の上流側部材624を、チューブ45の長手方向に複数並べて配置するとともに、1つの帯状部材623の空気流れ下流側に、空気流れ下流側に向かって細くなった三角形状の下流側部材625を、チューブ45の長手方向に複数並べて配置することにより形成されている。上流側部材624は、その空気流れ下流側の端部が帯状部材623に接続されており、下流側部材625は、その空気流れ上流側の端部が帯状部材623に接続されている。隣接する上流部材624同士、および隣接する下流部材625同士は、それぞれ所定距離離間して配置されている。隣接する上流側部材624および下流側部材625は、空気流れ方向に平行な同一直線上に配置されている。
【0069】
中間機能部材6は、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の幅寸法Wの最小値が2mm以下となるように構成されている。本実施形態において、接触面の幅寸法Wとは、上流側部材624および下流側部材625の帯状部材623と接続される部位におけるチューブ45の長手方向の寸法、および帯状部材623の幅寸法を意味している。
【0070】
本実施形態では、中間機能部材6の上流側穴611および下流側穴612を、中間機能部材6の内側から外側に向かって体積が大きくなるように形成されているので、上流側穴611および下流側穴612に停滞した凝縮水が凍結した場合でも、体積の大きい外側に向かって体積膨張するため、凍結割れを確実に防止できる。
【0071】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図10および図11に基づいて説明する。図10は本第4実施形態の蒸発器40を空気流れ方向から見た拡大断面図である。図11は本第4実施形態の蒸発器40の中間機能部材6を示す斜視図である。
【0072】
図10および図11に示すように、中間機能部材6は、平板状部材を断面矩形波状に折り曲げることによって形成されている。より詳細には、中間機能部材6は、チューブ側板状部631と、蓄冷体側板状部632と、接続部633とを有して構成されている。チューブ側板状部631は、チューブ45側に突出するとともにチューブ45における中間機能部材6との接触面に対して平行な板状に形成されている。蓄冷体側板状部632は、蓄冷体47側に突出するとともに蓄冷体47における中間機能部材6との接触面に対して平行な板状に形成されている。接続部633は、チューブ側板状部631と蓄冷体側板状部632とを接続するように形成されている。ここで、チューブ側板状部631が本発明のチューブ側突出部の頂部に相当し、蓄冷体側板状部632が本発明の蓄冷体側突出部の頂部に相当している。
【0073】
チューブ側板状部631および蓄冷体側板状部632は、空気流れ方向に延びる長方形状に形成されている。接続部633は、チューブ45の長手方向に直交する板状に形成されている。チューブ側板状部631と接続部633との間、および蓄冷体側板状部632と接続部633には、ほぼ直角の曲げ部が設けられている。
【0074】
中間機能部材6は、天地方向(チューブ45の長手方向)に切断したときの断面が矩形波状になっている。すなわち、平板状部材を矩形波状に折り曲げる際の折れ線が、空気流れ方向と平行になっている。換言すると、中間機能部材6は、平板状部材を天地方向に折り曲げた形状になっている。このため、チューブ側板状部631とそのチューブ側板状部631に接続された2つの接続部633との間、および蓄冷体側板状部632とその蓄冷体側板状部632に接続された2つの接続部633の間に、空気が通過する空気通路634が形成される。
【0075】
中間機能部材6は、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の幅寸法Wの最小値が2mm以下となるように構成されている。本実施形態において、接触面の幅寸法Wとは、チューブ側板状部631および蓄冷体側板状部632におけるチューブ45の長手方向の寸法を意味している。
【0076】
本実施形態によれば、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の面積管理が容易となるので、製造コストを低減できる。さらに、中間機能部材6により、空気が通過する空気通路634が形成されているので、蒸発器40を通過する空気の圧力損失を小さくすることができる。
【0077】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図12に基づいて説明する。上記第4実施形態では、平板状部材を天地方向に折り曲げることにより中間機能部材6を形成したのに対して、本第5実施形態では、平板状部材の折り曲げ方向が90°異なっている。
【0078】
図12は本第5実施形態の蒸発器40の中間機能部材6を示す斜視図である。図12に示すように、本実施形態では、中間機能部材6のチューブ側板状部631および蓄冷体側板状部632は、チューブ45の長手方向、すなわち天地方向に延びる長方形状に形成されている。接続部633は、空気流れ方向に直交する板状に形成されている。
【0079】
また、中間機能部材6は、断面矩形波状の波の進行方向が、チューブ45の長手方向、すなわち天地方向に対して平行となるように形成されている。このため、チューブ側板状部631とそのチューブ側板状部631に接続された2つの接続部633との間、および蓄冷体側板状部632とその蓄冷体側板状部632に接続された2つの接続部633の間に、天地方向に延びる空間635が形成される。
【0080】
中間機能部材6は、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の幅寸法Wの最小値が2mm以下となるように構成されている。本実施形態において、接触面の幅寸法Wとは、チューブ側板状部631および蓄冷体側板状部632における空気流れ方向の寸法を意味している。
【0081】
本実施形態によれば、中間機能部材6により、天地方向に延びる空間635が形成されているので、中間機能部材6に付着した凝縮水を地方向(重力方向の下側)へ流すことができる。
【0082】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図13および図14に基づいて説明する。上記第4、第5実施形態で、平板状部材を折り曲げることにより中間機能部材6を形成したのに対し、本第6実施形態では、平板状部材を打ち出し成形することにより、チューブ側および蓄冷体側に突出する多数個の突出部を形成している。
【0083】
図13は本第6実施形態の蒸発器40を空気流れ方向から見た拡大断面図である。図14は本第6実施形態の蒸発器40の中間機能部材6をチューブ45側から見た図である。図13および図14に示すように、本実施形態の中間機能部材6は、チューブ45の積層方向に直交する平板状部材のチューブ45に対向する面および蓄冷体47に対向する面に、凹凸部を設けることにより形成されている。より詳細には、中間機能部材6は、チューブ45側に突出するチューブ側突出部641、および蓄冷体47側に突出する蓄冷体側突出部642を有している。
【0084】
中間機能部材6におけるチューブ45に対向する面において、チューブ側突出部641が凸部を構成し、チューブ側突出部641が形成されていない部位が凹部643を構成しており、これにより、中間機能部材6におけるチューブ45に対向する面に凹凸部が形成されている。同様に、中間機能部材6における蓄冷体47に対向する面において、蓄冷体側突出部642が凸部を構成し、蓄冷体側突出部642が形成されていない部位が凹部644を構成しており、これにより、中間機能部材6における蓄冷体47に対向する面に凹凸部が形成されている。そして、中間機能部材6におけるチューブ45に対向する面、および中間機能部材6における蓄冷体47に対向する面の凹凸形状は、中間機能部材6の長手方向および短手方向に複数回繰り返されている構造となっている。
【0085】
チューブ側突出部641の頂部はチューブ45に接触し、蓄冷体側突出部642の頂部は蓄冷体47に接触している。チューブ側突出部641の頂部は、チューブ45における中間機能部材6との接触面に対して平行に形成されている。蓄冷体側突出部642の頂部は、蓄冷体47における中間機能部材6との接触面に対して平行に形成されている。
【0086】
本実施形態では、チューブ側突出部641および蓄冷体側突出部642は、中間機能部材6の長手方向に細長い小判状(長円状)に形成されているとともに、千鳥配列に形成されている。この千鳥配列は、プレス成形時の型抜きが容易である。
【0087】
中間機能部材6は、中間機能部材6におけるチューブ45および蓄冷体47に対する接触面の幅寸法Wの最小値が2mm以下となるように構成されている。本実施形態において、接触面の幅寸法Wとは、チューブ側板状部631および蓄冷体側板状部632の幅寸法を意味している。
【0088】
本実施形態によれば、中間機能部材6におけるチューブ45に対する接触面の形状と、中間機能部材6における蓄冷体47に対する接触面の形状とを、それぞれ異なる形状とすることができる。したがって、中間機能部材6におけるチューブ45に対する接触面の形状、および中間機能部材6における蓄冷体47に対する接触面の形状の双方を、所望の形状とすることができる。
【0089】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図15に基づいて説明する。上記第4、第5実施形態で、中間機能部材6を矩形波状に形成したのに対し、本第6実施形態では、中間機能部材6を正弦波状に形成している。
【0090】
図15は本第7実施形態の蒸発器40を空気流れ方向から見た拡大断面図である。図15に示すように、中間機能部材6は、平板状部材を正弦波状に折り曲げることによって形成されている。より詳細には、中間機能部材6は、チューブ45側に突出してチューブ45に接触するチューブ側頂部651と、蓄冷体47側に突出して蓄冷体47に接触する蓄冷体側頂部652と、チューブ側頂部651と蓄冷体側頂部652とを接続する接続部653を有して構成されている。ここで、チューブ側頂部651が本発明のチューブ側突出部の頂部に相当し、蓄冷体側頂部652が本発明の蓄冷体側突出部の頂部に相当している。本実施形態では、チューブ側板状部651および蓄冷体側板状部652の幅が、充分に狭く形成されている。このチューブ側板状部651および蓄冷体側板状部652の幅寸法は、2mm以下となっている。
【0091】
また、中間機能部材6は、正弦波状の波の進行方向が、チューブ45の長手方向、すなわち天地方向に対して平行となるように形成されている。このため、チューブ側頂部651とそのチューブ側頂部651に接続された2つの接続部653との間、および蓄冷体側頂部652とその蓄冷体側頂部652に接続された2つの接続部653の間に、空気が通過する空気通路654が形成される。
【0092】
本実施形態によれば、正弦波状に形成された中間機能部材6が、チューブ45と蓄冷体47との隙間の大きさに合わせて変形可能となっているので、チューブ45と蓄冷体47との隙間の寸法公差を吸収できる。このため、チューブ45と蓄冷体47との隙間の公差管理が容易となり、製造コストを低減できる。
【0093】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について図16に基づいて説明する。図16は本第8実施形態の蒸発器40の要部を示す分解斜視図である。
【0094】
図16に示すように、蓄冷体47の内部には、蓄冷材50との伝熱面積を増大させるインナーフィン471が設けられている。本実施形態のインナーフィン471は、平板状部材を波状に折り曲げることにより形成されている。
【0095】
本実施形態の蒸発器40は、複数の中間機能部材6のうち、同一の蓄冷体47に接合される2つの中間機能部材6同士を互いに連結する連結部材7を備えている。2つの中間機能部材6および連結部材7は、チューブ45の長手方向から見たときに、蓄冷体47を挟み込む形状に一体的に形成されている。
【0096】
本実施形態では、連結部材7は、2つの中間機能部材6の空気流れ上流側端部同士を連結している。また、中間機能部材6は、空気流れ方向に延びる帯状部材66を、チューブ45の長手方向に複数並べることにより形成されている。
【0097】
本実施形態によれば、連結部材7により連結された複数の中間機能部材6を、蓄冷体47の空気流れ上流側から差し込むだけで、複数の中間機能部材6を所定の位置に組み付けることができるので、中間機能部材6の組み付け性を向上できる。
【0098】
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態について図17および図18に基づいて説明する。図17は本第9実施形態の蒸発器40の要部を示す分解斜視図である。図18は本第9実施形態の中間機能部材6および連結部材7を示す拡大斜視図である。
【0099】
図17および図18に示すように、本実施形態の蒸発器40は、連結部材7により2つの中間機能部材6の空気流れ上流側端部同士を連結した第1構造体81、および連結部材7により2つの中間機能部材6の空気流れ下流側端部同士を連結した第2構造体82を有している。第1構造体81を構成する2つの中間機能部材6および連結部材7は、チューブ45の長手方向から見たときに、蓄冷体47を挟み込む形状に一体的に形成されている。同様に、第2構造体81を構成する2つの中間機能部材6および連結部材7は、チューブ45の長手方向から見たときに、蓄冷体47を挟み込む形状に一体的に形成されている。そして、蓄冷体47は、チューブ45の長手方向から見たときに、第1構造体81および第2構造体82によって包み込まれている。
【0100】
第1構造体81を構成する中間機能部材6は、空気流れ下流側に向かって細くなった三角形状に形成された第1板状部材671を、チューブ45の長手方向に複数並べることにより形成されている。第2構造体82を構成する中間機能部材6は、空気流れ上流側に向かって細くなった三角形状に形成された第2板状部材678を、チューブ45の長手方向に複数並べることにより形成されている。第1構造体81および第2構造体82は、蓄冷体47に組み付けた際に、第1板状部材671と第2板状部材672とがチューブ45の長手方向に互い違いに配置されて重ならないように構成されている。
【0101】
本実施形態によれば、第1構造体81を蓄冷体47の空気流れ上流側から差し込むとともに、第2構造体82を蓄冷体47の空気流れ下流側から差し込むだけで、複数の中間機能部材6を所定の位置に組み付けることができるので、中間機能部材6の組み付け性を向上できる。
【0102】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
【0103】
(1)上述の第6実施形態では、中間機能部材6におけるチューブ45に対向する面および蓄冷体47に対向する面に、千鳥配列の凹凸形状を形成した例について説明したが、これに限らず、図19のような格子配列の凹凸形状を形成してもよい。また、図20のような斜め配列、および図21のような丸型の千鳥配列、図22のような丸型の格子配列としてもよい。
【0104】
(2)上述の第8実施形態では、中間機能部材6を、空気流れ方向に延びる帯状部材66をチューブ45の長手方向に複数並べることにより形成した例について説明したが、空気流れ下流側に向かって細くなった三角形状に形成された板状部材をチューブ45の長手方向に複数並べることにより形成してもよい。
【0105】
(3)上述の各実施形態では、蓄冷体47を扁平な筒状に形成した例について説明したが、これに限らず、蓄冷体47を円筒状に形成してもよい。
【0106】
(4)上述した各実施形態は、可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0107】
6 中間機能部材
7 連結部材
45 チューブ
47 蓄冷体
50 蓄冷材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流通するチューブ(45)と、
冷熱を蓄える蓄冷材(50)を収容する蓄冷体(47)と、
前記チューブ(45)と前記蓄冷体(47)との間に介在され、前記チューブ(45)および前記蓄冷体(47)の双方に接合される中間機能部材(6)とを備え、
前記中間機能部材(6)における前記チューブ(45)と接合される面の面積、および前記中間機能部材(6)における前記蓄冷体(47)と接合される面の面積の双方が、前記チューブ(45)と前記蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積より小さくなっていることを特徴とする蓄冷熱交換器。
【請求項2】
前記中間機能部材(6)は、平板状に形成されており、前記チューブ(45)と対向する面と、前記蓄冷体(47)と対向する面とを連通する穴(61)を有していることを特徴とする請求項1に記載の蓄冷熱交換器。
【請求項3】
前記中間機能部材(6)は、平板状部材で形成され、前記チューブ(45)側に突出するチューブ側突出部(641)および前記蓄冷体(47)側に突出する蓄冷体側突出部(642)を有し、
前記チューブ側突出部(641)の頂部が前記チューブ(45)に接触し、
前記蓄冷体側突出部(642)の頂部が前記蓄冷体(47)に接触していることを特徴とする請求項1に記載の蓄冷熱交換器。
【請求項4】
前記中間機能部材(6)における前記チューブ(45)および前記蓄冷体(47)に対する接触面積は、前記チューブ(45)と前記蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積の10%以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器。
【請求項5】
前記中間機能部材(6)における前記チューブ(45)および前記蓄冷体(47)に対する接触面の幅寸法の最小値は2mm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器。
【請求項6】
前記中間機能部材(6)は、平板状部材を波状に折り曲げることによって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の蓄冷熱交換器。
【請求項7】
前記中間機能部材(6)は、平板状部材に凹凸部を設けることによって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の蓄冷熱交換器。
【請求項8】
前記中間機能部材(6)は、平板状部材を折り曲げることによって形成されており、
前記チューブ側突出部の頂部(631)は、前記チューブ(45)における前記中間機能部材(6)との接触面に対して平行に形成され、
前記蓄冷体側突出部の頂部(632)は、前記蓄冷体(47)における前記中間機能部材(6)との接触面に対して平行に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の蓄冷熱交換器。
【請求項9】
前記中間機能部材(6)のうち、同一の蓄冷体(47)に接合される複数の中間機能部材(6)同士を互いに連結する連結部材(7)を備え、
前記複数の中間機能部材(6)および前記連結部材(7)は、前記チューブ(45)の長手方向から見たときに、前記蓄冷体(47)を挟み込む形状に一体的に形成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器。
【請求項10】
前記蓄冷体(47)の内部には、前記蓄冷材(50)との伝熱面積を増大させるインナーフィン(471)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器。
【請求項1】
冷媒が流通するチューブ(45)と、
冷熱を蓄える蓄冷材(50)を収容する蓄冷体(47)と、
前記チューブ(45)と前記蓄冷体(47)との間に介在され、前記チューブ(45)および前記蓄冷体(47)の双方に接合される中間機能部材(6)とを備え、
前記中間機能部材(6)における前記チューブ(45)と接合される面の面積、および前記中間機能部材(6)における前記蓄冷体(47)と接合される面の面積の双方が、前記チューブ(45)と前記蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積より小さくなっていることを特徴とする蓄冷熱交換器。
【請求項2】
前記中間機能部材(6)は、平板状に形成されており、前記チューブ(45)と対向する面と、前記蓄冷体(47)と対向する面とを連通する穴(61)を有していることを特徴とする請求項1に記載の蓄冷熱交換器。
【請求項3】
前記中間機能部材(6)は、平板状部材で形成され、前記チューブ(45)側に突出するチューブ側突出部(641)および前記蓄冷体(47)側に突出する蓄冷体側突出部(642)を有し、
前記チューブ側突出部(641)の頂部が前記チューブ(45)に接触し、
前記蓄冷体側突出部(642)の頂部が前記蓄冷体(47)に接触していることを特徴とする請求項1に記載の蓄冷熱交換器。
【請求項4】
前記中間機能部材(6)における前記チューブ(45)および前記蓄冷体(47)に対する接触面積は、前記チューブ(45)と前記蓄冷体(47)とを直接接触させた際の接触面積の10%以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器。
【請求項5】
前記中間機能部材(6)における前記チューブ(45)および前記蓄冷体(47)に対する接触面の幅寸法の最小値は2mm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器。
【請求項6】
前記中間機能部材(6)は、平板状部材を波状に折り曲げることによって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の蓄冷熱交換器。
【請求項7】
前記中間機能部材(6)は、平板状部材に凹凸部を設けることによって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の蓄冷熱交換器。
【請求項8】
前記中間機能部材(6)は、平板状部材を折り曲げることによって形成されており、
前記チューブ側突出部の頂部(631)は、前記チューブ(45)における前記中間機能部材(6)との接触面に対して平行に形成され、
前記蓄冷体側突出部の頂部(632)は、前記蓄冷体(47)における前記中間機能部材(6)との接触面に対して平行に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の蓄冷熱交換器。
【請求項9】
前記中間機能部材(6)のうち、同一の蓄冷体(47)に接合される複数の中間機能部材(6)同士を互いに連結する連結部材(7)を備え、
前記複数の中間機能部材(6)および前記連結部材(7)は、前記チューブ(45)の長手方向から見たときに、前記蓄冷体(47)を挟み込む形状に一体的に形成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器。
【請求項10】
前記蓄冷体(47)の内部には、前記蓄冷材(50)との伝熱面積を増大させるインナーフィン(471)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の蓄冷熱交換器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−99632(P2011−99632A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254942(P2009−254942)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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