説明

蓄熱ボードおよび蓄熱ボードを有する暖房パネル、並びに蓄熱ボードの製造方法

【課題】蓄熱性を有する流動性パラフィンを用いることにより、所望の熱特性および強度特性を確保しつつ、効率よく製造することが可能な蓄熱ボードおよび蓄熱ボードを有する暖房パネル、並びに蓄熱ボードの製造方法を提供する。
【解決手段】非晶性の熱可塑性樹脂製第1板材102と、該第1板材と対向する非晶性の熱可塑性樹脂製第2板材104とを有し、該第1板材および第2板材それぞれの周縁部同士を接着することにより側周面106が形成されるとともに、内部に密閉中空部108が構成され、該第1板材および第2板材の少なくとも一方は、内表面側で突出するように複数の凹陥部110を外表面に有し、該複数の凹陥部それぞれは、先端に突き合わせ平面部112を有し、該突き合わせ平面部が対向する他方の板材に突き合わせ溶着することにより、両板材間を延びる環状リブ50が形成され、該密閉中空部内に流動性パラフィンの蓄熱剤が充填される蓄熱ボード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱ボードおよび蓄熱ボードを有する暖房パネル、並びに蓄熱ボードの製造方法に関し、より詳細には、優れた蓄熱性を有する流動性パラフィンを用いることにより、所望の熱特性および強度特性を確保しつつ、効率よく製造することが可能な蓄熱ボードおよび蓄熱ボードを有する暖房パネル、並びに蓄熱ボードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂製蓄熱ボードが、たとえば建築構造物等に埋め込んで、暖房パネルとして用いられている。
特許文献1は、その例として蓄熱パネル体を開示する。
特許文献1によれば、蓄熱パネル体は、蓄熱剤として硫酸ナトリウムを採用し、蓄熱剤を充填するのに、樹脂製パネルを採用する。
より詳細には、多数の凹部を有する板状の樹脂製パネル材を2枚、各々のパネル材の凹部の底面同士を突き合わせて融着するとともに、各々の樹脂製パネル材の表面に樹脂製表面シート材を融着して、2枚の樹脂製パネル間の縁部を封止することにより、蓄熱剤を充填する密閉中空部を形成している。
しかしながら、硫酸ナトリウムは、他の蓄熱剤に比べて、蓄熱性が高くなく、その分、蓄熱剤の充填量を多くするために、容器の高さを確保すべく凹部の高さを増したり、凹部の数を低減する必要があるが、これらは容器の強度、特に圧縮強度の低減につながる。
この点、特許文献2には、パラフィンを用いた恒温輸送用樹脂製容器が開示されている。
より詳細には、恒温輸送用樹脂製容器は、高密度ポリエチレン製であり、2つの容器部品を締め付け方式または施錠方式で連結することにより、パラフィンを収容するための収容空間が形成される。
パラフィンは、硫酸ナトリウムの約1.4倍の蓄熱性を有する反面、乳化しやすいため浸透性が高い一方、融解温度がほぼ32℃であり、容器の使用中に、液相と固相との間で相変化を繰り返すところ、他の蓄熱剤に比べて、体積変化が大きい。
そのため、単に樹脂製の容器を用いた場合には、パラフィンが容器の厚み方向に浸透して漏れ出し、所望の蓄熱特性を奏することが困難となったり、あるいは容器の使用中に、パラフィンの熱膨張収縮に起因して、容器が変形、場合により破損することがある。
この点から、特許文献2において、恒温輸送用樹脂製容器を製造するのに、容器の表面に表面保護皮膜を形成し、それによりパラフィンを不浸透性としており、2つの容器部品を締め付け方式または施錠方式で連結することと相まって、効率的な容器の製造を困難としている。
これに対して、蓄熱剤としてパラフィンを用いる場合、パラフィンをたとえばゴムあるいは合成樹脂に練り込み、板状に成形したものをアルミラミネートフィルムで被覆するものが知られている。
アルミラミネートフィルムは、金属製であるから、樹脂製容器とは異なり、パラフィンの漏れ出しを防止することが可能である。
しかしながら、このような容器は、以下の技術的問題点を有する。
すなわち、所望の強度特性を具備した蓄熱ボードを提供することが困難である。より詳細には、板状の成形体を単にアルミラミネートフィルムで被覆したに過ぎないため、成形体の強度、特に厚み方向の圧縮強度を確保することが困難であり、そのために、強度が必要となる場合、別途成形体を収容する容器が必要となる。
【0003】
この点、特許文献1によれば、各々のパネル材の凹部の底面同士を突き合わせて融着することにより、容器の高さ方向に環状リブを構成し、圧縮強度を確保することが可能であるが、2枚のパネル材に加えて、別途樹脂製表面シート材が必要である一方、容器内部に蓄熱剤を注入するために樹脂製表面シート材に注入口を設け、この注入口から容器内部に蓄熱剤を注入後、注入口を設けた部分を分断して、切断面を樹脂製表面シート材によりさらに封止しており、効率的に容器を提供することが困難である。
【0004】
特に、蓄熱ボードを建築構造物に用いる場合、床用と壁あるいは天井用とでは、要求される強度特性あるいは熱特性が異なり、床用においては、強度、特に圧縮強度が要求される反面、太陽光による熱放射効果が小さいため、特に夏場に断熱効果がそれほど要求されないのに対し、壁あるいは天井用においては、このような圧縮強度はさほど要求されない反面、太陽光による熱放射効果が大きいため、特に夏場に断熱効果が要求される。
このように、用途に応じて異なる熱特性および強度特性を満足する蓄熱ボードを効率的に製造することが業界内で要望されている。
【特許文献1】特開2010−31635
【特許文献2】特許第4106032号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、優れた蓄熱性を有する流動性パラフィンを用いることにより、所望の熱特性および強度特性を確保しつつ、効率よく製造することが可能な蓄熱ボードおよび蓄熱ボードを有する暖房パネル、並びに蓄熱ボードの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明の蓄熱ボードは、
非晶性の熱可塑性樹脂製第1板材と、該熱可塑性樹脂製第1板材と対向する非晶性の熱可塑性樹脂製第2板材とを有し、
該熱可塑性樹脂製第1板材および該熱可塑性樹脂製第2板材それぞれの周縁部同士を接着することにより、側周面が形成されるとともに、内部に密閉中空部が構成され、
該熱可塑性樹脂製第1板材および該熱可塑性樹脂製第2板材の少なくとも一方は、内表面側で突出するように複数の凹陥部を外表面に有し、
該複数の凹陥部それぞれは、先端に突き合わせ平面部を有し、該突き合わせ平面部が対向する他方の板材に突き合わせ溶着することにより、両板材間を延びる環状リブが形成され、
該密閉中空部内に流動性パラフィンの蓄熱剤が充填される、構成としている。

【0007】
このような構成の蓄熱ボードによれば、非晶性の熱可塑性樹脂製第1板材および該熱可塑性樹脂製第2板材により形成された密閉中空部内に蓄熱性の優れた流動性パラフィンを充填することにより、流動性パラフィンが板材の厚み方向に漏れ出すことなしに、所望の熱特性を奏するとともに、両板材間を延びる環状リブを形成することにより、所望の強度特性、特に厚み方向の圧縮強度を確保すると同時に、流動性パラフィンの熱膨張収縮に伴う蓄熱ボードの変形あるいは破損を有効に防止することが可能であり、さらに、熱可塑性樹脂製第1板材および該熱可塑性樹脂製第2板材それぞれの周縁部同士を接着することにより、流動性パラフィンを充填する密閉中空部を具備する蓄熱ボードを効率的に製造することが可能である。

さらに、前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれは、内表面側で突出するように内方に向かって先細の複数の凹陥部を外表面に有し、前記複数の凹陥部それぞれは、最先細部に突き合わせ平面部を有し、
前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれの対応する凹陥部同士の平面部が互いに背向する形態で突き合わせ溶着することにより、両板材間を延びる環状リブが形成されるのがよい。
さらにまた、前記非晶性樹脂は、ABSであるのがよい。
加えて、前記複数の凹陥部はそれぞれ、所定の放熱性を確保するように所定面積を有する側周面と、所定の蓄熱量を確保するように所定内容積を有するのがよい。
さらに、前記複数の凹陥部はそれぞれ、正六角形の開口を外表面に有し、ハニカム状に配置されるのでもよい。
さらにまた、前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材の少なくとも一方の前記外表面には、窪みが設けられ、
該窪みは、底面に向かって下方に傾斜する周側面を有し、
該底面には、内表面側に突出し、先端部が対向する板材との間に間隔を隔てるように形成された第2凹陥部が設けられるのがよい。
加えて、前記周側面は、前記外表面から下方に傾斜する環状傾斜部と、該傾斜部より急な角度で前記底面まで立ち上がる環状立ち上がり部とを有するのがよい。
さらに、前記板材の前記周側面を構成する部分の厚みは、前記板材の他の部分に比べて薄肉に形成されるのがよい。
さらにまた、前記窪みは、円形であり、前記第2凹陥部は、複数設けられ、1つが前記窪みの中心位置に設けられ、他が前記窪みの周方向に所定の角度間隔を隔てて均等に分布するのがよい。
さらに、前記窪みは、前記外表面に複数設けられ、前記複数の窪みが形成する総窪み容積は、前記密閉中空部内に充填される蓄熱剤の充填量および/または充填圧力に応じて、決定されるのがよい。

さらにまた、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の蓄熱ボードと、該蓄熱ボードの側辺に沿って配置された小根太とを有する暖房パネルでもよい。
加えて、放熱体を有する放熱パネルと、
該放熱パネルの厚み方向に重ね合わされた請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の蓄熱ボードと、
重ね合わされた該放熱パネルおよび該蓄熱ボードの側辺に沿って配置された小根太と、を有する暖房パネルでもよい。

上記課題を達成するために、本発明の蓄熱ボードの製造方法は、
キャビティのまわりに環状に形成され、対向する金型に向かって突出するピンチオフ部がそれぞれ設けられた一対の分割形式の金型のキャビティのまわりにはみ出す形態で、溶融状態の非晶性熱可塑性樹脂材を一対の分割形式の金型間に位置決めする段階と、
一対の分割形式の金型それぞれのピンチオフ部同士を当接させることにより、金型を型締して、非晶性熱可塑性樹脂材の一部を環状に溶着し、非晶性熱可塑性樹脂材の内部に密閉中空部を設けるとともに、一対の分割形式の金型内に密閉空間を形成する段階と、
【0008】
密閉空間内の非晶性熱可塑性樹脂材中から加圧することにより、あるいは型締された一対の分割形式の金型を通じて密閉空間内を吸引することにより、一対の分割形式の金型それぞれのピンチオフ部の内側であって、キャビティに設けられた凹凸部により、密閉空間内の非晶性熱可塑性樹脂材を賦形する段階と、を有し、それにより、蓄熱ボードの厚みを構成する環状リブを成形し、
さらに、前記密閉中空部内に注入口を介して流動性パラフィンを充填する段階と、
前記注入口を閉鎖する段階とを有する、
構成としている。

【0009】
さらに、前記賦形段階は、一対の分割形式の金型の少なくとも一方のピンチオフ部の内側において、キャビティに複数設けられた突起体であって、それぞれ、対向する分割形式の金型に向かって先細の形状を有する複数の突起体に対して、対応する非晶性熱可塑性樹脂材を押し当てることにより、非晶性熱可塑性樹脂材の表面に複数の突起体に対応する複数の凹陥部を賦形するのでもよい。

【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る蓄熱ボード10の第1実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
蓄熱ボード10は、図1及び図2に示すように、全体として矩形形状の薄板状であり、樹脂製第1板材102と、樹脂製第1板材102と対向する樹脂製第2板材104とを有し、樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104それぞれの周縁部同士を溶着することにより、側周面106が形成されて、内部に中空部108が構成される。後に説明する蓄熱剤200を中空部108内に充填するのに、側周面106に充填剤の注入口109が設けられる。
【0011】
より詳細には、後に説明するように、蓄熱ボード10をブロー成形により成形する際、樹脂製第1板材102と対向する樹脂製第2板材104それぞれの周縁部同士を溶着して、側周面106を形成した後、側周面106に開口を設けて、中空部108内に蓄熱剤200を充填後に、注入口109を溶着して封止するようにしている。
なお、注入口109を側周面106でなく、樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104いずれかの表面に設けてもよく、充填する蓄熱剤200の量、内部圧力に応じて、封止した注入口109からの蓄熱剤200の漏れ出しの恐れがある場合には、キャップ式を採用すればよい。
蓄熱剤200は、流動性パラフィンであるが、流動性パラフィンは、蓄熱性に優れる反面、浸透性が高く、温度による体積変化が大きく、このような特性に対処するために、以下のような樹脂材料を採用している。
【0012】
樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104を構成する材料は、ABS、ポリカーボネート、ナイロン6、ナイロン66、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリペルフロロアルコキシフッ化プラスチック、ポリクロロトリフルオロエチレン、フェノール樹脂等の合成樹脂、特にABSなどの非晶性樹脂が好適である。
【0013】
板材の強度あるいは剛性を向上するために、タルク、炭酸カルシウムなどの無機充填剤を添加してもよく、熱線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤などの添加剤を添加してもよい。
【0014】
樹脂製第1板材102は、内表面側で突出するように内方に向かって先細の複数の凹陥部110を外表面103に有する。凹陥部110は、有底であり、内表面側に向かって先細の角錐台形状で、開口105は、正六角形である。これにより、蓄熱ボード10を後に説明する、溶融樹脂材料を用いてブロー成形により一体成形する場合、凹陥部110に対応する突起部を金型のキャビティに設ける場合、ブロー圧によりキャビティに対して押し付けられて賦形された溶融樹脂材料がキャビティから抜きやすいようにしている。この観点から、凹陥部110の内周面113と板材との交差角度は、75ないし85°、特に約80°が好適である。
【0015】
図3および図4に示すように、複数の凹陥部110それぞれは、最先細部に突き合わせ平面部112を有し、凹陥部110の突き合わせ平面部112を樹脂製第2板材104の内面に対して突き合わせ溶着することにより、両板材102、104間を延びる環状リブ50が形成される。この環状リブ50により、実質的に蓄熱ボード10の厚みが構成され、蓄熱ボード10の厚み方向に荷重が負荷される場合に、圧縮強度を確保するようにしている。複数の凹陥部110の数、環状リブ50の高さ等は、このような観点から定めればよい。
【0016】
図2に示すように、複数の凹陥部110はそれぞれ、樹脂製第1板材102の外表面103における開口105が正六角形の角錐台であり、外表面上で開口105がハニカム状に配置されている。これにより、外表面103に最も密に複数の凹陥部110を配置することが可能である。
【0017】
複数の凹陥部110それぞれの開口105の大きさ、凹陥部110の深さおよび隣り合う凹陥部110同士の間隔について、開口105の大きさが大きく、凹陥部110の深さが深く、隣合う凹陥部110同士の間隔が小さいほど、蓄熱ボード10全体としての空隙率を向上することが可能であり、軽量化に資する反面、密閉中空部108の容積が低減することから、蓄熱剤200の注入量が低減し、蓄熱ボード10の蓄熱特性に影響を与えるとともに、凹陥部110の内周面113からの放熱特性にも影響が及ぶ。
【0018】
より詳細には、流動性パラフィンにより所望の蓄熱特性を得るのに、環状リブ50の数を増やして圧縮剛性を確保するとすれば、その分、蓄熱ボード10の密閉中空部108の容積が低減することから、流動性パラフィンの注入圧力を高めて密閉中空部108に注入せざるを得ず、それにより注入口109からの蓄熱剤200の漏れ出しの危険性が高まる。
【0019】
つまり、同じ蓄熱特性を得る前提で、蓄熱ボード10の圧縮剛性と、蓄熱剤200の漏れ出しの危険性は、トレードオフの関係にあり、蓄熱ボード10の用途に応じて、たとえば蓄熱ボード10を床暖房パネルに用いる場合には、圧縮剛性が必要とされることから、蓄熱剤200の漏れ出しの危険性が高まり、そのため、注入口109は、キャップ方式とするのがよく、それに対して、たとえば壁あるいは天井暖房パネルに用いる場合には、圧縮剛性がさほど必要とされないことから、蓄熱剤200の漏れ出しの危険性は小さく、そのため、注入口109はキャップ方式とすることなく、切り抜き開口を溶着により封止するだけでもよい。このような観点から、外表面103における凹陥部110の対角線長さ(最大長径)は、5ないし30mm、特に5ないし15mm程度が好適である。外表面103におけるすべての凹陥部110の開口面積の合計は、樹脂製第1板材102の外表面103の面積の10ないし70%、特に20ないし45%程度が好適である。また、板材102、104の厚みは、たとえば、床暖房用蓄熱ボード10の場合であれば、3ないし20mm,特に5ないし10mm程度が好適である。
【0020】
環状リブ50の変形例として、図7に示すように、樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104それぞれについて、内表面側で突出するように内方に向かって先細の複数の凹陥部110を外表面103、107に、同様な配置形態で設け、樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104それぞれの対応する凹陥部110同士の突き合わせ平面部112が互いに背向する形態で突き合わせ溶着することにより、両板材102、104を延びる環状リブ50を形成してもよい。
【0021】
このような構成の蓄熱ボード10によれば、非晶性の熱可塑性樹脂製第1板材102および熱可塑性樹脂製第2板材104により形成された密閉中空部108内に蓄熱性の優れた流動性パラフィンを充填することにより、流動性パラフィンが板材の厚み方向に漏れ出すことなしに、所望の熱特性を奏するとともに、両板材102、104間を延びる環状リブ50を形成することにより、所望の強度特性、特に厚み方向の圧縮強度を確保すると同時に、流動性パラフィンの熱膨張収縮に伴う蓄熱ボード10の変形あるいは破損を有効に防止することが可能であり、さらに、熱可塑性樹脂製第1板材102および熱可塑性樹脂製第2板材104それぞれの周縁部同士を接着することにより、流動性パラフィンを充填する密閉中空部108を具備する蓄熱ボード10を効率的に製造することが可能である。

次に、蓄熱ボード10の成形装置について、以下に説明する。
蓄熱ボード10の成形装置は、溶融樹脂の押出装置と、押出装置の下方に配置された、金型の型締装置とを有し、押出装置から押出された溶融状態の非晶性熱可塑性樹脂材として筒状パリソンを型締装置に送り、型締装置により溶融状態の筒状パリソンを成形するようにしている。
押出装置は、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、押出スリットを通じて所定の長さの連続的な筒状パリソンが押し出され、型締装置の分割金型の間に垂下される。
【0022】
押出スリットは、鉛直下向きに配置され、押出スリットから押し出された筒状パリソンは、そのまま押出スリットから垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようにしている。押出スリットは、その間隔を可変とすることにより、筒状パリソンの厚みを変更することが可能である。これにより、筒状パリソンが上下方向(押出方向)に一様な厚みを有する状態で、分割金型の間に配置される。
型締装置は、一対の分割形式の金型と、金型駆動装置とを有する。
2つの分割形式の金型は、キャビティを対向させた状態で配置され、それぞれキャビティが略鉛直方向に沿うように配置される。それぞれのキャビティ表面には、溶融状態の筒状パリソンに基づいて成形されるべき成形品である蓄熱ボード10の外形、および表面形状に応じて凹凸が設けられる。より詳細には、金型のキャビティの所定位置に、他方の金型に向かって突出し、凹陥部の形状に合致する外形を備えた突起体が設けられる。
【0023】
2つの分割形式の金型それぞれにおいて、キャビティのまわりには、ピンチオフ部が形成され、このピンチオフ部は、キャビティのまわりに環状に形成され、対向する金型に向かって突出する。これにより、2つの分割形式の金型を型締する際、それぞれのピンチオフ部の先端部が当接し、筒状パリソンは、その周縁にパーティングラインが形成されるように溶着され、中空部を閉塞する外周壁が形成される。
【0024】
金型駆動装置については、従来と同様のものであり、その説明は省略するが、2つの分割形式の金型はそれぞれ、金型駆動装置により駆動され、開位置において、2つの分割金型の間に、筒状パリソンが配置可能なようにされ、一方閉位置において、2つの分割金型のピンチオフ部が当接し、環状のピンチオフ部が互いに当接することにより、2つの分割金型内に密閉空間が形成されるようにしている。
分割金型には、金型を型締したときに両金型により形成される密閉空間内から吹き込み圧をかけることが可能なように、従来既知のブローピン(図示せず)が設置されている。

以上の構成を有する蓄熱ボード10の成形装置を利用した蓄熱ボード10の製造方法について以下に説明する。

まず、押出スリットから、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出すことにより、熱可塑性樹脂はスウェルし、溶融状態の筒状パリソンが下方に垂下するように所定の厚みにて所定押出速度で押し出される。
次いで、分割金型を型締して、金型内に密閉空間を形成する。
【0025】
次いで、ブローピンを介して型締された金型内の密閉空間からブロー圧をかけることにより、筒状パリソンを対応する金型のキャビティに向かって押し付けることにより、筒状パリソンを賦形する。より詳細には、ピンチオフ部の内周面113により周壁が賦形されるとともに、筒状パリソンのキャビティに対向する面には、キャビティの突起体の外形に応じた形状が賦形され、突き合わせ平面部が突き合わせ溶着されて、凹陥部110、かくして環状リブ52が形成される。
次いで、一対の分割金型を型開きして、成形されたパレットを取り出し、ピンチオフ部の外側のバリ部分Bを切断し、以上で成形が完了する。
次いで、流動性パラフィンを加熱融解させて、注入口109から密閉中空部109内に流し込み、放冷して固化させた後、注入口109を熱融着等により封止し、蓄熱ボード10が完成する。
以上のように、溶融状態の筒状パリソンを間欠的に押し出すたびに、以上のような工程を繰り返すことにより、蓄熱ボードを次々に成形することが可能であり、押出成形により熱可塑性樹脂を間欠的に溶融状態の筒状パリソンとして押し出し、押し出された筒状パリソンを金型を用いて所定の形状に賦形することが可能である。
特に、従来のように、板材の端面処理が不要であり、効率的に成形可能である。
【0026】
ブロー成形方法の変形例として、成形材料として、上述のように、押し出し装置から下方に押し出された溶融状態の筒状パリソンを直接成形せずに、分割金型の間に2条の熱可塑性樹脂製シートを配置して成形してもよい。この場合、2条の熱可塑性樹脂製シートはそれぞれ、たとえば、押し出し後成形前に、一対のローラー(図示せず)の間を通過させることにより、筒状パリソンを押しつぶしてシート状にしてもよい。
【0027】
また、成形手順として、上述のように、分割金型を型締することにより、分割金型内に密閉空間を形成し、この密閉空間からブロー圧をかけることにより、樹脂材料を成形するだけでなく、成形前にシート状樹脂とする場合には、分割金型を型締する前にキャビティと樹脂材料との間に密閉空間を形成し、キャビティ側から樹脂材料を吸引することにより、樹脂材料を予備賦形し、さらに分割金型を型締後、同様に密閉空間からブロー圧をかけることにより、樹脂材料を本賦形するのでもよい。
【0028】
この方法によれば、本賦形前に予備賦形することにより、複雑な形状の成形であっても良好な成形性を確保することができる。さらに、分割金型を型締する際、キャビティ側から樹脂材料を吸引しつつ密閉空間からブロー圧をかけることにより、樹脂材料を賦形するのでもよい。この方法によれば、吸引によりキャビティの凹部に溜まった空気を除去しつつブロー圧をかけることにより、同様に良好な成形性を確保することが可能である。

このような蓄熱ボード10を用いた暖房パネルとして、床暖房パネルの実施形態について、以下に説明する。
図5に示すように、床暖房パネル300は、蓄熱ボード10と、蓄熱ボード10の側辺に沿って配置された小根太302とを有し、小根太302は、たとえば合板からなり、蓄熱ボード10と同一の厚みを有し、同図に示すように、床暖房パネル300の表面は、面一とされている。
それに対して、図6に示すように、別の実施形態の床暖房パネル300は、放熱体を有する放熱パネル304と、放熱パネル304の厚み方向に重ね合わされた蓄熱ボード10と、重ね合わされた放熱パネル304および蓄熱ボード10の側辺に沿って配置された小根太302とを有する。放熱パネル304と蓄熱ボード10とは、同一の縦横寸法であり、小根太302の厚みは、重ね合わされた放熱パネル304および蓄熱ボード10の厚みに等しく、図5と同様に、床暖房パネル300の表面は、面一とされている。
【0029】
放熱パネル304としては、方形板状の発泡合成樹脂材等よりなる複数枚の基体306と、基体306同士の間に配置された温水通水用放熱管308とを有した薄型床暖房パネルが好適である。なお、基体306の厚みが大きいときは、基体306の上面に溝を設け、この溝内に放熱管308を配置してもよい。図5及び図6のいずれの床暖房パネルにおいても、床暖房パネルの場合であれば、図面上左側の小根太302の左端から右側の小根太302の右端までの寸法が303mmであり、暖房パネルの厚みが12mmであることが好ましい。この場合、図6の暖房パネル300にあっては、蓄熱ボード10の厚みが6.5mmであり、放熱パネル12の厚みは5.5mmであることが好ましい。暖房パネルの小根太方向の長さは、303mmの倍数の長さで303mm以下、小根太302と垂直方向は303mmの倍数―45mmの長さであり、特に3288mmであることが好ましい。
【0030】
図5及び図6のいずれの床暖房パネルにおいても、図の上面側にアルミ箔などよりなる均熱材を貼っておくのが好ましい。均熱材は、小根太302の上にまで貼っておくのが好ましい。この場合、床暖房パネルの施工の観点から、均熱材のうち小根太302の上面領域に、釘打ち可能であることを示す表示を設けておくのが好ましい。なお、蓄熱ボード10のうち小根太302に沿う縁部分にあっては、幅10mmほど、蓄熱剤200が充填されていない部分を設け、釘が打ち抜かれても蓄熱剤200に達しないようにするのが好ましい。

以下に、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。本実施形態において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分は、蓄熱剤200の板厚方向の漏れ出しを防止するだけでなく、注入口109からの漏れ出しを防止するために、蓄熱剤200の熱膨張の際の吸収代として、板材の各外表面に窪みを設けた点にある。
より詳細には、図8に示すように、窪み200は、蓄熱ボード10の長手方向に互いに所定の間隔を隔てて、4つ配置され、窪み200が配置されていない外表面103には、第1実施形態と同様に、凹陥部110が設置され、板材の内部に環状リブ50が形成されている。
【0031】
4つの窪み200が形成する総窪み容積は、後に詳細に説明するように、窪み200が吸収代として機能するように、密閉中空部108内に充填される蓄熱剤200の充填量および/または充填圧力に応じて、決定するのがよい。その場合、たとえば、図8に示すように、本実施形態の蓄熱ボード10は横長形状であり、窪み自体の開口面積を確保できない場合には、1つの窪み200の底面までの深さを調整することにより、窪み容積を確保すればよい。
【0032】
図8に示すように、それぞれの窪み200は、円形であり、図9に示すように、底面202に向かって下方に傾斜する周側面204を有する。周側面204は、外表面から下方に傾斜する環状傾斜部206と、環状傾斜部206より急な角度で底面202まで立ち上がる環状立ち上がり部208とを有する。このような構成によれば、環状傾斜部206と環状立ち上がり部208との間で、上方に向かっての移動しやすさに差を設け、蓄熱剤200の熱膨張の際、内部圧力の上昇に伴って周側面204が上方に力を受けることで、環状傾斜部206が容易に上方に張り出すことが可能となるようにしている。
板材の周側面204を構成する部分の厚みは、板材の他の部分に比べて薄肉に形成される。これにより、後に説明するように、蓄熱剤200が熱膨張する際、この周側面204が上方に張り出し変形することにより吸収代として機能するところ、このような張り出し変形がしやすくなる。
この点、ブロー成形によれば、ブロー比との関係で、そのように他の部分に比して自然に薄肉に形成される点で、有利である。
底面202には、内表面側に突出し、先端部111が対向する板材との間に間隔を隔てるように形成された第2凹陥部210が設けられる、第2凹陥部は、複数(図では7つ)設けられ、1つが窪み200の中心位置に設けられ、他が窪み200の周方向に所定の角度間隔を隔てて均等に分布する。

【0033】
以上の構成の蓄熱ボード10によれば、非晶性樹脂の板材により、板材の厚み方向の蓄熱剤200の漏れ出しを防止可能であり、一方、蓄熱剤200である流動性パラフィンの熱膨張収縮、特に熱膨張の際の蓄熱剤200の注入口109からの漏れ出しについては、蓄熱ボード10自体に充填剤の体積膨張の吸収部を設けることにより、その危険性を解消している。
より詳細には、非晶性樹脂は一般的に、剛性が高い分、蓄熱剤200の熱膨張の際の吸収代を形成することが困難であり、蓄熱剤200の内部圧力の上昇により注入口109からの漏れ出しが助長される。
【0034】
この点、板材の外表面に、底面202に向かって下方に傾斜する周側面204を有する窪み200を設けることにより、蓄熱剤200の熱膨張の際、周側面204の傾斜が低減する形態で、窪み200の底面202が外表面に向かって張り出し、それにより窪み200の内容積の分が吸収代を形成し、以て注入口109からの漏れ出しを防止することが可能となると同時に、底面202には吸収代を形成するために両板材の間を厚み方向に延びる環状リブを敢えて形成せず、その分底面202は薄板状のペラペラ状態になるところ、底面202に、内表面側に突出し、先端部211が対向する板材との間に間隔を隔てるように形成された第2凹陥部210を設けることにより、底面202の剛性低下を抑制するようにしている。
以上のように、蓄熱剤200の注入口109からの漏れ出しを防止するためにコスト高のキャップ方式を作用することなく、くり抜き切断して開口を設けて注入口109を形成し、蓄熱剤200の充填後に開口を溶着する低コストな方式でも、十分に注入口109からの蓄熱剤200の漏れ出しを防止することが可能となった。

以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態においては、正六角形の角錐台状の複数の凹陥部110を板材の表面にハニカム状に配置する場合を説明したが、それに限定されることなく、たとえば円形開口の円錐台状の複数の凹陥部110を千鳥格子状に配置してもよい。
【0035】
さらに、本実施形態においては、蓄熱ボード10の第1板材102および第2板材104それぞれに対して、蓄熱剤200の熱膨張に対する吸収代として、窪みを設けたが、それに限定されることなく、一方の板材の表面にのみ、たとえば蓄熱剤200ボードを床暖房パネルに用いる場合には、床からの荷重が直接負荷される上側の板材には設けず、下側の板材にのみ設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態に係る蓄熱ボード10の平面図である。
【図2】(a)図は、図1のシェルの部分拡大図、(b)は、(a)図のB−B線に沿う断面図、(c)図は、(a)図のC−C線に沿う断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る蓄熱ボード10のシェルの部分断面斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る蓄熱ボード10の断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る蓄熱ボード10を備えた暖房パネルの断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る蓄熱ボード10を備えた他の形態の暖房パネルの断面図である。
【図7】本発明の変形例に係る蓄熱ボード10の図4と同様な図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る蓄熱ボード10の平面図である。
【図9】図8のA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 蓄熱ボード
102 樹脂製第1板材
103 外表面
104 樹脂製第2板材
105 開口
106 周側面
107 外表面
108 密閉中空部
109 注入口
110 凹陥部
112 平面部
113 内周面
200 窪み
202 底面
204 周側面
206 環状傾斜部
208 環状立ち上がり部
210 第2凹陥部
211 先端部
300 暖房パネル
302 小根太
304 放熱パネル
306 基体
308 放熱管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶性の熱可塑性樹脂製第1板材と、該熱可塑性樹脂製第1板材と対向する非晶性の熱可塑性樹脂製第2板材とを有し、
該熱可塑性樹脂製第1板材および該熱可塑性樹脂製第2板材それぞれの周縁部同士を接着することにより、側周面が形成されるとともに、内部に密閉中空部が構成され、
該熱可塑性樹脂製第1板材および該熱可塑性樹脂製第2板材の少なくとも一方は、内表面側で突出するように複数の凹陥部を外表面に有し、
該複数の凹陥部それぞれは、先端に突き合わせ平面部を有し、該突き合わせ平面部が対向する他方の板材に突き合わせ溶着することにより、両板材間を延びる環状リブが形成され、
該密閉中空部内に流動性パラフィンの蓄熱剤が充填される、
ことを特徴とする蓄熱ボード。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれは、内表面側で突出するように内方に向かって先細の複数の凹陥部を外表面に有し、前記複数の凹陥部それぞれは、最先細部に突き合わせ平面部を有し、
前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材それぞれの対応する凹陥部同士の平面部が互いに背向する形態で突き合わせ溶着することにより、両板材間を延びる環状リブが形成される、請求項1に記載の蓄熱ボード。
【請求項3】
前記非晶性樹脂は、ABSである、請求項1に記載の蓄熱ボード。
【請求項4】
前記複数の凹陥部はそれぞれ、所定の放熱性を確保するように所定面積を有する側周面と、所定の蓄熱量を確保するように所定内容積を有する、請求項1に記載の蓄熱ボード。
【請求項5】
前記複数の凹陥部はそれぞれ、正六角形の開口を外表面に有し、ハニカム状に配置される、請求項1に記載の蓄熱ボード。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の蓄熱ボードと、該蓄熱ボードの側辺に沿って配置された小根太とを有することを特徴とする暖房パネル。
【請求項7】
放熱体を有する放熱パネルと、
該放熱パネルの厚み方向に重ね合わされた請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の蓄熱ボードと、
重ね合わされた該放熱パネルおよび該蓄熱ボードの側辺に沿って配置された小根太と、を有することを特徴とする暖房パネル。
【請求項8】
蓄熱ボードの製造方法であって、
キャビティのまわりに環状に形成され、対向する金型に向かって突出するピンチオフ部がそれぞれ設けられた一対の分割形式の金型のキャビティのまわりにはみ出す形態で、溶融状態の非晶性熱可塑性樹脂材を一対の分割形式の金型間に位置決めする段階と、
一対の分割形式の金型それぞれのピンチオフ部同士を当接させることにより、金型を型締して、非晶性熱可塑性樹脂材の一部を環状に溶着し、非晶性熱可塑性樹脂材の内部に密閉中空部を設けるとともに、一対の分割形式の金型内に密閉空間を形成する段階と、
密閉空間内の非晶性熱可塑性樹脂材中から加圧することにより、あるいは型締された一対の分割形式の金型を通じて密閉空間内を吸引することにより、一対の分割形式の金型それぞれのピンチオフ部の内側であって、キャビティに設けられた凹凸部により、密閉空間内の非晶性熱可塑性樹脂材を賦形する段階と、を有し、それにより、蓄熱ボードの厚みを構成する環状リブを成形し、
さらに、前記密閉中空部内に注入口を介して流動性パラフィンを充填する段階と、
前記注入口を閉鎖する段階とを有する、ことを特徴とする蓄熱ボードの製造方法。
【請求項9】
前記賦形段階は、一対の分割形式の金型の少なくとも一方のピンチオフ部の内側において、キャビティに複数設けられた突起体であって、それぞれ、対向する分割形式の金型に向かって先細の形状を有する複数の突起体に対して、対応する溶融状態の非晶性熱可塑性樹脂材を押し当てることにより、溶融状態の非晶性熱可塑性樹脂材の表面に複数の突起体に対応する複数の凹陥部を賦形する、請求項8に記載の蓄熱ボードの製造方法。
【請求項10】
前記熱可塑性樹脂製第1板材および前記熱可塑性樹脂製第2板材の少なくとも一方の前記外表面には、窪みが設けられ、
該窪みは、底面に向かって下方に傾斜する周側面を有し、
該底面には、内表面側に突出し、先端部が対向する板材との間に間隔を隔てるように形成された第2凹陥部が設けられる、請求項1に記載の蓄熱ボード。
【請求項11】
前記周側面は、前記外表面から下方に傾斜する環状傾斜部と、該傾斜部より急な角度で前記底面まで立ち上がる環状立ち上がり部とを有する、請求項10に記載の蓄熱ボード。
【請求項12】
前記板材の前記周側面を構成する部分の厚みは、前記板材の他の部分に比べて薄肉に形成される、請求項11に記載の蓄熱ボード。
【請求項13】
前記窪みは、円形であり、前記第2凹陥部は、複数設けられ、1つが前記窪みの中心位置に設けられ、他が前記窪みの周方向に所定の角度間隔を隔てて均等に分布する、請求項10ないし請求項12のいずれか1項に記載の蓄熱ボード。
【請求項14】
前記窪みは、前記外表面に複数設けられ、前記複数の窪みが形成する総窪み容積は、前記密閉中空部内に充填される蓄熱剤の充填量および/または充填圧力に応じて、決定される、請求項10ないし請求項13のいずれか1項に記載の蓄熱ボード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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