説明

蓄熱保温靴下

【課題】経穴が暖め作用によって刺激され、気血の流れを良くし、足の血管の収縮と拡張を調整し血流を改善して、身体全体にポカポカ現象が生じ、健康を保持できるようにする。
【解決手段】伸縮性を有する靴下本体を構成する脚部において、脚部中、人体の左脚及び右脚のくるぶしと足首に夫々点在する三陰交、太溪、解溪、申脈の4つの径穴を含むくるぶしと足首の全体を被覆する靴下本体の脚部の内面部に、蓄熱性及び保温性を有する靴下用編み糸をもって人体の足指が挿入可能にして、伸縮性を有する蓄熱保温体を形成し、蓄熱保温体の上方部のみを、靴下本体の脚部の内面部に縫着もしくは接着せしめると共に、保温体の下方部と靴下本体を構成する脚部の内面部とは開放状態となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の左脚及び右脚のくるぶしと足首部分に点在する4つの経穴である三陰交、太溪、解溪、申脈部分を始め、これら経穴周辺の脚部分を暖めて前記経穴を刺激し且前記脚を暖めて身体の冷え症状を解消せしめると共に、ビジネスマンらが違和感なく安心して通常の皮靴を履用できる蓄熱保温靴下に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来人体の脚を暖める二重編みソックスが実開昭61−33808号として開示されているが、このソックスは毛糸等の太い編糸を使用して二重編みにしており、断熱性空気層が保温的効果を発揮するが、厚いため履いたまま皮靴を履くこと等到底できなかった。
【0003】
さらに保湿保温性靴下として、特開2003−268602公開特許公報が開示されている。
【0004】
前記保湿保温靴下は、爪先部、底部、甲部、踵部、レッグ部及び履口部を有する靴下において、少なくとも底部及び踵部が内外二重構造をなし、該二重構造の内側部分の外面又は外側部分の内面の踵部分及び触球から横足弓に至る部分の各々にはポリウレタンフィルムが重ねられて固着されているものであって、底部及び踵部の保湿と保温効果を高めるための保湿保温靴下である。
【0005】
そのため、前記保湿保温靴下を履いたまま、皮靴を履こうとしても、二重構造のため厚くなっており、無視して履けないこともないが、足全体に痛みを感じる等の弊害が指摘される。
【0006】
また部分二重靴下として、特開2004−169200公開特許公報が開示されている。この部分二重靴下は、「各足指を収納する指挿入部を有した靴下であって、少なくとも前記指挿入部及びその直近を二重にして二重部とするとともに、この二重部の端部またはその次に、弾力性を強化したゴム入部を形成したもの」であるが、この部分二重靴下は、段落[0007]に明記の如く、保温性は勿論、衝撃吸収性を確保するとともに、長時間はいていたとしてもズレることはなく、しかもはいていることに違和感のない靴下を提供するものであって、人体脚のくるぶしと足首に存在する4つの経穴を暖め刺激を支え人体の冷え症状等を解消することを目的としたものでない。
【0007】
さらに本件出願人は、保温靴下として、くるぶし及びくるぶしより若干上方部の足首に点在する冷えに効果がある4つの経穴である三陰交、太溪、解溪、申脈を始め、これら経穴の周辺の足首周辺をも含めて暖め、暖め作用によって前記経穴が刺激され、気血の流れを良くし、さらに足の血管の収縮と拡張を調整し血流を改善する等の効果的作用によって、身体全体にポカポカ現象が生じ、そのため一枚分の下着を減らすことが可能であると共に身体の冷え症状をも解消し、健康を保持できるようにすると共に、ビジネスマンらが皮靴の履用にあたり、何らの抵抗をも感ずることなく、且違和感もなく着用し、さらにビジネスマンらの冷え症状をも解消して健康保持に貢献することを目的として実用新案登録出願をなし、それが登録第3119382号として開示されている。
【0008】
さらに前記本件出願人の有する前記登録実用新案と同じ目的の発明を先願として出願済みである(特願2005−358187)。
【特許文献1】実開昭61−33808号公報
【特許文献2】特開2003−268602号公報
【特許文献3】特開2004−169200号公報
【特許文献4】実用新案登録第3119382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来開示されている前記特許文献である実開昭61−33808号公開実用新案公報及び特開2003−268602公開特許公報並びに特開2004−169200公開特許公報の靴下は、前記したとおり保温効果をあげるために、靴下本体を二重編みにしたり、あるいは靴下本体の底部及び踵部を二重構造にしたり、あるいは指挿入部及びその直近を二重にして二重部とする等して靴下本体を編み上げていた。
【0010】
しかし、前記した従来の靴下は、皮靴を履くと靴下の厚みのためにきつくなって、痛みを感じたりして、長く履き続けることができなかった。
【0011】
さらに、従来のビジネスマンが通常履用する靴下は、全体が薄く編成しているので、冬期には皮靴より飛出のくるぶし及び足首部分から寒気が入り込み膝から足首が冷されどうしであった。そのため体温が低下し、冷え症状を持続して健康を損ねるおそれが多々あった。
【0012】
また、前記実用新案登録第3119382号登録実用新案公報の靴下は、保温靴下本体を構成する脚部において、くるぶし及び足首を被覆する被覆部分の脚部間の内面に、若干長めの毛足を出し、前記脚部の編み糸の外面は滑らかな状態に編成するパイル編みを施して靴下本体を形成した保温靴下である。
【0013】
しかし、前記登録実用新案の保温靴下は、保温性の点において十分な効果が期待できなかった。さらに蓄熱効果の面においても期待ができなかった。
【0014】
しかるに、本発明の蓄熱保温靴下は、人体脚のくるぶし及びくるぶしより若干上方部の足首に点在する冷えに効果がある4つの経穴である三陰交、太溪、解溪、申脈を始め、これら経穴の周辺の足首周辺をも長時間にわたり蓄熱保温効果を著しく高め、しかも長時間持続的に暖めることによって前記経穴を刺激し、気血の流れを良くし、さらに足の血管の収縮と拡張を調整し血流を改善する等の効果的作用によって、身体全体にポカポカ現象が生じ、そのため一枚分の下着を減らすことが可能であると共に身体の冷え症状をも十分に解消し、健康を確実に保持できるようにした。
【0015】
さらに、本発明の蓄熱保温靴下は、ビジネスマンらが皮靴の履用にあたり、何らの抵抗をも感ずることなく、さらに違和感もなく着用できると共に、さらにビジネスマンらの冷え症状をも解消して健康保持に貢献した。
【0016】
また、本発明の蓄熱保温靴下は、従来の保温靴下の構造とは異なり、優れた蓄熱性及び保温性並に蓄熱性を有する後述する編み糸をもって形成せしめる伸縮性の蓄熱保温体を設け、前記蓄熱保温体を前記靴下の内面部に縫着等を施すことによって、前記4つの経穴と、これら経穴周辺の足首周辺の足首を、人体の脚から発散される体熱もしくは太陽光線や白熱灯から放出されている光エネルギーを受けて蓄熱せしめ、前記蓄熱と脚部からの体熱とを複合的に確保せしめて、前記人体の脚を長時間暖めるようにした。
【0017】
それによって、従来の保湿靴下にない蓄熱保温靴下が得られた。
【0018】
さらに、本発明の蓄熱保温靴下は、前記蓄熱保温体の下方部を開放状態にして、上方部だけを靴下本体の内面部と一体に縫着もしくは接着せしめることによって、靴下の製造費を節減した。
【0019】
また、本発明の蓄熱保温靴下は、靴下本体と蓄熱保温体との縫着等の個所を、上方部のみに限定して前記蓄熱保温体を上方向にめくりあげることを可能にして、靴下本体の内面部と前記蓄熱保温体との間に貯溜もしくは引掛っている汚れもしくはゴミ等をクリーニング時において確実に洗い落とすことができるようにした。
【0020】
さらに、本発明の蓄熱保温靴下は、靴下をひっくり返したときに、蓄熱保温体が上方部のみを縫着もしくは接着個所(1ヶ所)としているので、前記縫着等の個所を基点にして、足指を挿入するゴム開口部方向にめくり上げたり、あるいは足首方向に下げたりが自在にでき、そのため、太陽光線の赤外線あるいは白熱灯の光エネルギーの吸収熱を、前記蓄熱保温体の外側面と内側面が吸収して、蓄熱と保温のスピードを加速せしめるようにした。そのため、前記経穴の温め温度を高めると共に、暖め時間をも著しく長時間確保せしめるようにした。
【0021】
また、本発明の蓄熱保温靴下は、前記蓄熱保温体の蓄熱保温部を2枚合せにして、且袋状にしたので、蓄熱及び保温が著しくアップできた。そのため前記した経穴を暖める時間を著しく高めた。
【0022】
さらに、本発明の蓄熱保温靴下は、前記蓄熱保温体の蓄熱保温部を少なく共2枚もしくは2枚以上をもって構成することによって、蓄熱保温体の蓄熱保温部の内部を始め、各蓄熱保温部の間に、身体から発散する体熱や太陽光等の光線を受光して蓄熱と保温を著しく高めた。そのため、前記した各経穴をも暖め、この暖め現象によって前記した効果をより一層長時間持続せしめるようにした。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明は、伸縮性を有する靴下本体を構成する脚部において、前記脚部中、人体の左脚及び右脚のくるぶしと足首に夫々点在する三陰交、太溪、解溪、申脈の4つの径穴を含むくるぶしと足首の全体を被覆する前記靴下本体の脚部の内面部に、蓄熱性及び保温性を有する靴下用編み糸をもって前記人体の足指が挿入可能にして、且伸縮性を有する蓄熱保温体を形成し、前記蓄熱保温体の上方部のみを、前記靴下本体の脚部の内面部に縫着もしくは接着せしめると共に、前記保温体の下方部と前記靴下本体を構成する脚部の内面部とは開放状態となっていることを特徴とする蓄熱保温靴下である。
【0024】
請求項2記載の発明は、前記蓄熱保温体を、下方部を折曲して有底状とし、且折曲によって形成される2枚合せの内側蓄熱保温部と外側蓄熱保温部とをもって形成すると共に、前記内側蓄熱保温部と外側蓄熱保温部の上方部を前記靴下本体の内面部と一体に縫着もしくは接着せしめ、前記蓄熱保温体の有底状下方部と前記靴下本体の脚部の内面部とは開放状態となっていることを特徴とする蓄熱保温靴下である。
【0025】
請求項3記載の発明は、前記前記蓄熱保温体を構成する2枚合せの内側蓄熱保温部と外側蓄熱保温部の下方部が、分離状態となっていることを特徴とする蓄熱保温靴下である。
【0026】
請求項4記載の発明は、前記蓄熱保温体が、3枚合せの内側蓄熱保温部と中間蓄熱保温部と外側蓄熱保温部とからなることを特徴とする蓄熱保温靴下である。
【発明の効果】
【0027】
請求項1記載の蓄熱保温靴下は、伸縮性を有する靴下本体を構成する脚部において、前記脚部中、人体の左脚及び右脚のくるぶしと足首に夫々点在する三陰交、太溪、解溪、申脈の4つの径穴を含むくるぶしと足首の全体を被覆する前記靴下本体の脚部の内面部に、蓄熱性及び保温性を有する靴下用編み糸をもって前記人体の足指が挿入可能にして、且伸縮性を有する蓄熱保温体を形成し、前記保温体の上方部のみを、前記靴下本体を構成する脚部の内面部に縫着もしくは接着せしめると共に、前記蓄熱保温体の下方部と前記脚部の内面部とは開放状態となっているので、前記蓄熱保温体によって、蓄熱保温靴下を履いている者の身体中殊に脚部から発散する体熱が吸収蓄熱され、且編み糸内や編み糸によって形成された空隙部内に蓄熱と保温がなされる。そのため前記4つの各経穴が、均一且長時間にわたり高目の保温温度をもって暖められるので、前記各経穴が暖め作用によって刺激され、気血の流れを良くし、さらに足の血管の収縮と拡張を調整し血流を改善する等の効果的作用によって、身体全体にポカポカ現象が生じ、身体の冷え症状をも著しく解消し、健康を保持できるようにすると共に、ビジネスマンらが皮靴の履用にあたり、何らの抵抗をも感ずることなく、さらに違和感もなく着用できると共に、さらにビジネスマンらの冷え症状をも解消して健康保持に貢献した。
【0028】
さらに、本発明の蓄熱保温靴下は、前記蓄熱保温体の下方部を開放状態にして、上方部だけを靴下本体と一体に縫着もしくは接着せしめたので、靴下の製造費を安価にした。
【0029】
また、本発明の蓄熱保温靴下は、靴下本体と蓄熱保温体との縫着等の個所を、上方部のみに限定して、前記蓄熱保温体を上方向にめくり上げることによって、靴下本体の内面部と前記蓄熱保温体との間に貯溜する汚れやゴミ等をクリーニング時において確実に洗い落とすことができるようにした。
【0030】
さらに、本発明の蓄熱保温靴下は、クリーニング後等にひっくり返して前記蓄熱保温体を表面に出しておくことによって、前記蓄熱保温体の編み糸が太陽光や白熱灯のエネルギーによって蓄熱し、且保温するので、前記蓄熱保温体が暖められ履き心地は極めて良好である。
【0031】
また、本発明の蓄熱保温靴下は、前記のように蓄熱保温体をひっくり返すと、縫着もしくは接着個所(1ヶ所)を基点にして、ゴム開口部方向にめくり上げたり、あるいは足首方向に下げたり自在にできる。そのため太陽光や白熱灯等の光線を前記蓄熱保温体の外側面と内側面が受光し蓄熱と同時に、保温のスピードを加速させることができる。
【0032】
さらに、請求項2記載の発明は、前記蓄熱保温体を、下方部を折曲して有底状とし、且折曲によって形成される2枚合せの内側保温部と外側保温部とをもって形成すると共に、前記内側蓄熱保温部と外側蓄熱保温部の上方部を前記靴下本体の内面部と一体に縫着もしくは接着せしめ、前記蓄熱保温体の有底状下方部と前記靴下本体の脚部の内面部とは開放状態となっている蓄熱保温靴下なので、前記請求項1記載の発明が有する効果と同じ効果を有する。
【0033】
また、本発明の蓄熱保温靴下は、前記蓄熱保温体が2枚合せにのときは、袋状となっているので、蓄熱保温性が従来のものに比し著しくアップできる。そのため前記した各経穴を暖める時間が従来のものに比し、長時間確保し、蓄熱保温靴下の機能を従来に比し著しく高めた。
【0034】
さらに、本発明の蓄熱保温靴下は、前記蓄熱保温体を2枚の蓄熱保温部をもって構成したので、前記2枚の蓄熱保温部の内部を始め、各蓄熱保温部間に、身体から発散する体熱や自然光等の光線を受光して蓄熱と保温が著しく高められるに至った。そのため前記した各経穴を暖め、この暖め現象によって前記した効果をより一層長時間接続せしめた。
【0035】
また、請求項3記載の発明は、前記蓄熱保温体を構成する2枚合せの内側蓄熱保温部と外側蓄熱保温部の下方部が、分離状態となっている蓄熱保温靴下なので、前記請求項2記載の発明と同じ効果を有している。
【0036】
さらに、請求項4記載の発明は、前記蓄熱保温体が、3枚合せの内側蓄熱保温部と中間蓄熱保温部と外側蓄熱保温部とからなる保温靴下なので、前記請求項2又は同3記載の発明と同じ効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の請求項1〜4記載の蓄熱保温靴下に係る実施の形態は、共通しているので図面にもとづき以下のとおり一括して説明する。
【0038】
aは本発明蓄熱保温靴下を構成する靴下本体である。1は前記靴下本体aを構成する脚部、2は前記脚部1の上方部に位置する口ゴム部、3は前記靴下本体aを構成する踵部、4は前記靴下本体aを構成する底部、5は前記靴下本体aを構成する爪先部である。
【0039】
6は前記靴下本体aを構成する内面部、7は前記靴下本体aを構成する前記内面部6と反対の外面部である。
【0040】
前記靴下本体aの編み糸は、従来から公知のとなっている靴下の編み糸として使用されているアクリル製、シルク製、ポリウレタン製、毛製もしくはナイロン製のものを使用し、靴下本体を形成する。
【0041】
前記編み糸によって編み上げられた前記靴下本体aの外面部7は、滑らかであって、革靴kへの挿入がスムーズである。
【0042】
さらに、本発明の蓄熱保温靴下は、以下に説明する4つの経穴と密接な関係を有する。9は人体の一部切欠の左脚、10は人体の一部切欠の右脚である。
【0043】
11は前記両脚9、10の内側のくるぶし12より若干上方部の足首13に位置する冷え症に効果的な経穴を表示した三陰交の表示部である。
【0044】
14は前記両脚9、10の足首13の内側に位置する三陰交11よりも若干下方部の気血の流れを良くし冷え症状を解消する経穴とされている太溪の表示部である。
【0045】
15は前記両脚9、10の外側のくるぶし12の付近に位置する気血の流れを良くする冷え症等を解消する経穴とされている申脈の表示部である。
【0046】
16は前記両脚9、10の足首13の前面にして、前記申脈15より若干上方に位置する足の血管の収縮と拡張を調整し血流の改善に効果的な経穴とされている解溪の表示部である。
【0047】
本発明の蓄熱保温靴下は、発明の要旨とされる蓄熱保温体hとを有している。
【0048】
前記蓄熱保温靴下の蓄熱保温体hの実施形態を示すと以下のとおりである。
【0049】
本発明の蓄熱保温部温帯hの編み糸について説明すると以下のとおりである。
【0050】
前記蓄熱保温体hは、前記発明の効果欄において説明したとおり、蓄熱保温靴下を履いている者の身体中、脚部lから発散する発熱を吸収し、吸収と共に蓄熱し、さらに、保温する作用を発揮する編み糸として下記の編み糸を使用した。
【0051】
第1に、前記蓄熱保温体hとして優れた吸収性と蓄熱性と保温性を有する効果を発揮するのに、蓄熱率及び保温率の高い編み糸が要求される。
【0052】
本発明においては、前記の条件を充足する蓄熱保温体hの編み糸をして、カシミア100%の編み糸、アンゴラ100%の編み糸をもって形成する。
【0053】
さらに前記本発明の蓄熱保温体hの編み糸として下記の編み糸も使用する。
【0054】
【表1】

【0055】
前記編み糸の素材として使用するサーモキャッチ(アクリルファイバー)の特性は以下のとおりである。
【0056】
前記サーモキャッチWは、三菱レイヨン(株)の芯鞘紡糸技術により開発した白色系発熱保温・導電ファイバーで、太陽光を熱エネルギーに変換する発熱保温機能と衣服のまつわりつきや、パチパチ音を抑制する帯電防止機能を兼ね備える画期的なアクリルファイバーである。
【0057】
さらに、本発明の蓄熱保温体hにおいて使用する編み糸の素材がウール、アンゴラ、カシミア、及びラムの中、保温率の最も高い数値を有しているのが、ラムであることが新潟県工業技術総合研究所素材応用技術支援センター長の受託研究報告書によって、判明している。
【0058】
なお、前記報告書は、前記ラムが他の編み糸の素材に比べて空気含量が大きいことが影響していると考えられる。と説明している。
【0059】
さらに、前記ラム素材の編み糸を使用した編み方において、天竺編みよりゴム編みの方が、前記保温率が高いことが判明している。このことは空気含量の多いゴム編みの方が、天竺編みよりも保温率が高いとの試験結果を説明している。
【0060】
また、前記編み糸の素材であるウール、アンゴラ、カシミア、ラムの熱伝導率の試験結果は、第1に、ゴム編みが天竺編みより気孔容積が大きいことが判明していること、第2に前記各素材では、ラムが他の素材に比べて気孔容積が大きかったこと、第3に前記ラムが空気は熱伝導率が大変低く熱を非常に伝えにくいこと、第4に前記ラムは気孔容積が大きく、且他の素材に比べ熱伝導率は低く、熱を伝えにくい素材であることが判明した。と前記報告書は試験結果を説明している。
【0061】
さらに、本発明は、前記した編み糸の各種素材が有する特性を踏え蓄熱保温体hを形成すべきであるとの結論を得た。
【0062】
以下前記蓄熱保温体hの実施例を説明する。
【0063】
前記蓄熱保温体hは、下方部を有底状とする、いわゆる2枚合せの内側蓄熱保温部17と外側蓄熱保温部18とを有している。そして前記両側蓄熱保温部17、18との間には空隙部19が必然的に形成される。
【0064】
さらに、前記両側蓄熱保温部17、18は、編み方は伸縮性を有し、且ふっくらした形態にて編み上げる。その結果、蓄熱保温体hは、前記のように伸縮性を有するので足指等の挿入がスムーズにして脚部lに密着する。
【0065】
また、前記蓄熱保温体hを構成する内側蓄熱保温部17と外側蓄熱保温部18の大きさは、前記靴下本体aの内面部6に縫着もしくは接着が可能にして、且前記4つの経穴と前記くるぶしと足首の全体とを被覆することができる形状とする。
【0066】
そして、前記蓄熱保温体hの上方部20のみを、前記4つの経穴と前記くるぶしと足首の全体とを被覆する部位の前記靴下本体aの内面部6に、前記保温体hの上方部20とを縫着もしくは接着せしめる。
【0067】
前記のようにして、靴下本体aと前記蓄熱保温体hとが接続されると、前記靴下本体aの内面部6と前記蓄熱保温体hとの間は、開放状態となる。
【0068】
そして、前記蓄熱保温体hは、縫着もしくは接着の箇所を基点21にして下方に吊下げ状態となり、あるいは前記基点21を基にして、上方にめくり上げることもできる。そのためめくり上げたときは、クリーニング時や乾燥時においてひっくり返して好みの状態に対応できる。
【0069】
前記蓄熱保温体hを有する本発明の蓄熱保温靴下を履くと、前記蓄熱保温体hの内側蓄熱保温部17及び外側蓄熱保温部18の内部に、さらに蓄熱保温体hの内側蓄熱保温部17と外側蓄熱保温部18との間の空隙部19に、履用者の体熱が複数層になって蓄熱と保温がなされるので、蓄熱と保温効果が発揮できる。従って蓄熱率及び保温率等が著しく高いラムの編み糸を使用することによって、蓄熱保温によって前記4つの経穴を暖め、ビジネスマンらの冷え症状を解消し健康を保持できる。
【0070】
さらに本発明の蓄熱保温体hは、構成部材の内側蓄熱保温部17と外側蓄熱保温部18の下方部を分離して使用することができる。
前記蓄熱保温体hを前記のように下方部を分離することによって、前記蓄熱保温体hをひっくり返し接着箇所を基点21にして、上方に複数枚の内外側蓄熱保温部17、18を全部もしくは一部をめくり上げたりが自在にできる。そのため、乾燥のスピードを早めたり、あるいは靴下本体aの内面部6と、内外側蓄熱保温部17、18間に付着するゴミ等を隈なくクリーニングできる。
【0071】
また、前記蓄熱保温体hの編み糸素材が前記したサーモキャッチWを使用すると、発熱保温・導電ファイバーであるので、前記両蓄熱保温部17、18を基点21にしてひっくり返しておくことによって、太陽光を熱エネルギーに変換する発熱保温機能を発揮し、蓄熱保温効果がアップできる利点がある。
【0072】
さらに、本発明の蓄熱保温体hは、3枚の蓄熱保温部をもって構成してもよい。前記内側蓄熱保温部17と外側蓄熱保温部18と同じ形態の中間蓄熱保温部22を1枚追加する。そして、前記3枚の蓄熱保温部の構成のときは、下方部を接続するか、あるいは切離した構成でもよい。
【0073】
前記3枚の蓄熱保温部の蓄熱保温体hの場合も、前記と同じく基点21をもとにしてひっくり返して、めくり上げたり、あるいは下げたりが自在にできる。そのため、クリーニング時や乾燥時や、ひっくり返して前記各蓄熱保温部17、18・・・を表面に出すことによって、太陽光を熱エネルギーに変換して、しかも、枚数に比例して蓄熱、保温効果が得られる。
【0074】
さらに本発明の前記蓄熱保温体hの編み糸として、太陽光線の赤外線を吸収・蓄熱できるポリエステル生地に、ナノメートル単位の微粒子を塗布して形成したものを使用してもよい。
【0075】
kは靴である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の蓄熱保温靴下の実施形態を示す斜視図である。
【0077】
【図2】図1の蓄熱保温靴下の縦断面図である。
【0078】
【図3】図1の蓄熱保温靴下において、蓄熱保温体が上方にめくり上げられた状態を示す斜視図である。
【0079】
【図4】図1の蓄熱保温靴下をひっくり返した状態の斜視図である。
【0080】
【図5】図1の蓄熱保温靴下における蓄熱保温体をめくり上げた状態を示す斜視図である。
【0081】
【図6】図1の蓄熱保温靴下における要部である蓄熱保温体の一部切欠拡大縦断面図である。
【0082】
【図7】図6の蓄熱保温靴下における要部である蓄熱保温体の第2実施例の底部がカットされている状態の一部切欠拡大縦断面図である。
【0083】
【図8】図1の蓄熱保温靴下における要部である蓄熱保温体の第3実施例の一部切欠拡大縦断面図である。
【0084】
【図9】経穴を示した両脚の一部切欠斜視図である。
【0085】
【図10】本発明の蓄熱保温靴下を脚につけ靴を履いた状態を示す一部切欠正面図である。
【符号の説明】
【0086】
a 靴下本体
t 蓄熱保温体
k 靴
1 脚部
2 口ゴム部
3 踵部
4 底部
5 爪先部
6 内面部
7 外面部
9 左脚
10 右脚
11 三陰交表示部
12 くるぶし
13 足首
14 太溪表示部
15 申脈表示部
16 解溪表示部
17 内側蓄熱保温部
18 外側蓄熱保温部
19 空隙部
20 上方部
21 基点
22 中間蓄熱保温部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有する靴下本体を構成する脚部において、前記脚部中、人体の左脚及び右脚のくるぶしと足首に夫々点在する三陰交、太溪、解溪、申脈の4つの径穴を含むくるぶしと足首の全体を被覆する前記靴下本体の脚部の内面部に、蓄熱性及び保温性を有する靴下用編み糸をもって前記人体の足指が挿入可能にして、且伸縮性を有する保温体を形成し、前記蓄熱保温体の上方部のみを、前記靴下本体の脚部の内面部に縫着もしくは接着せしめると共に、前記蓄熱保温体の下方部と前記靴下本体を構成する脚部の内面部とは開放状態となっていることを特徴とする蓄熱保温靴下。
【請求項2】
前記蓄熱保温体を、下方部を折曲して有底状とし、且折曲によって形成される2枚合せの内側蓄熱保温部と外側蓄熱保温部とをもって形成すると共に、前記内側蓄熱保温部と外側蓄熱保温部の上方部を前記靴下本体の内面部と一体に縫着もしくは接着せしめ、前記蓄熱保温体の有底状下方部と前記靴下本体の脚部の内面部とは開放状態となっていることを特徴とする請求項1記載の蓄熱保温靴下。
【請求項3】
前記保温体を構成する2枚合せの内側蓄熱保温部と外側蓄熱保温部の下方部が、分離していることを特徴とする請求項2記載の蓄熱保温靴下。
【請求項4】
前記蓄熱保温体が、3枚合せの内側蓄熱保温部と中間蓄熱保温部と外側蓄熱保温部とからなることを特徴とする請求項2又は同3記載の蓄熱保温靴下。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−169523(P2008−169523A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5689(P2007−5689)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000144784)株式会社山忠 (5)
【Fターム(参考)】