説明

蓄熱式床下暖房器とこれを用いた暖房システム

【課題】蓄熱式床下暖房器本体の容積を増大させることなく、それの設置台数を減少させることができるとともに、床下空間及び床面を広域にわたり均等に効率よく暖められるようにする。
【解決手段】本発明は、蓄熱式床下暖房器本体1の上面に配設した放熱板2からの輻射熱により床下空間δ及び床パネルFを暖房する蓄熱式床下暖房器において、上記放熱板2の放熱面積を、蓄熱式床下暖房器本体1上面の面積よりも増大させていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例えば住宅等の床下に設置して床下空間及び床面を暖房する蓄熱式床下暖房器とこれを用いた暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、標準的な住宅(関東の4人居住2階建て高気密高断熱住宅(Q値2.5W/m・K)において、1階65(m)の住宅、外気・室内温度差18(℃))を想定して、その標準的な住宅の暖房負荷にほぼ合致する放熱量を計算し、また、後述する床下の設置スペースの制限を考慮して、それぞれ電気容量2.2(KW)の蓄熱式床下暖房器を5台設置した構成にしている。なお、「暖房負荷」は外気・室内温度差を保持するのに必要な熱量のことである。
【0003】
床下の設置スペースの制限は、上記した電気容量2.2(KW)の蓄熱式床下暖房器の場合、これの本体上面に設置した放熱パネルの表面温度を60〜70(℃)程度に上昇させることにより、その放熱パネル表面からの輻射熱で床面及び床下空間を暖めているが、建築基準法で定められた一定の床下高さ(最低450(mm))にした床材の下側に設置しなければならないという制約に加えて、その床材の温度上昇を抑えるため、暖房器本体の放熱パネルとの間に150(mm)程度の距離を保つ必要があることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した床下の設置スペースの制限を考慮し、各暖房器本体の容積をそのままにして、1台当たりの放熱量、従ってまた電気容量を増やすことによって設置台数を減少させようとすると、当然のことながら、暖房器本体の内部温度の上昇に伴って放熱パネルの表面温度が上昇する。
【0005】
この放熱パネルの表面温度の上昇が、当該暖房器の直上の床面温度の上昇を招く結果となって、木製の床面パネルにそりや収縮等を生じさせてしまうが、そのために床下高さを変更して放熱パネルと床材との間の距離を大きくすることや基礎を掘り下げること等を行うことはできないという解決しがたい問題があった。
【0006】
そこで本発明は、床下空間及び床面を広域にわたり均等に効率よく暖めることができるとともに、蓄熱式床下暖房器本体の容積を増大させることなく、それの設置台数を減少させることができる蓄熱式床下暖房器とこれを用いた暖房システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の構成は、次のとおりである。
請求項1に記載した蓄熱式床下暖房器は、蓄熱式床下暖房器本体の上面に配設した放熱板からの輻射熱により床下空間及び床パネルを暖房するものであり、上記放熱板の放熱面積を、蓄熱式床下暖房器本体上面の面積よりも増大させていることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の蓄熱式床下暖房器は、請求項1に記載した蓄熱式床下暖房器本体の放熱量を増加させるとともに、その放熱量の増加に伴う放熱板の表面温度の上昇を相殺するように、各放熱板の放熱面積を増大させていることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の蓄熱式床下暖房器は、請求項1又は2に記載した蓄熱式床下暖房器本体内で暖められた空気を外部に放出するための暖気放出用孔を、その蓄熱式床下暖房器本体に形成している。
【0010】
請求項4に記載の蓄熱式床下暖房器は、請求項2に記載した暖気放出用孔を、放熱板の下方位置の側壁に配設したものである。
【0011】
請求項5に記載の蓄熱式床下暖房器は、請求項2又は3に記載した暖気放出用孔から放出される蓄熱式床下暖房器本体内で暖められた空気を放熱板に向けて誘導するための暖気誘導部材を設けたものである。
【0012】
請求項6に記載の蓄熱式床下暖房器は、請求項1〜4のいずれかに記載した蓄熱式床下暖房器本体に対し、放熱板を着脱自在に取り付けた構成にしている。
【0013】
請求項7に記載の蓄熱式床下暖房器は、蓄熱式床下暖房器本体から外方に延伸した放熱板の長さに合わせて、暖気放出用孔の開口面積を変えた構成にしている。
【0014】
請求項8に記載の蓄熱式床下暖房器は、請求項2〜6のいずれかに記載した暖気放出用孔の下側に、外部の空気を蓄熱式床下暖房器本体内に取り入れるための外気取入れ用孔を形成している。
【0015】
請求項9に記載の蓄熱式床下暖房器は、請求項1〜7のいずれかに記載した放熱板の放熱面を波形にしている。
【0016】
請求項10に記載の蓄熱式床下暖房器を用いた暖房システムは、所定空間の暖房負荷にほぼ合致する総放熱量となる複数台の蓄熱式床下暖房器を床下空間内に設置して、それら各蓄熱式床下暖房器本体の上面に配設した放熱板からの輻射熱により床下空間及び床面を暖房するものであり、上記各蓄熱式床下暖房器本体の放熱量を増加させるとともに、その放熱量の増加に伴う放熱板の表面温度の上昇を相殺するように、各放熱板の放熱面積を増大させていることを特徴としている。
【0017】
請求項11に記載の蓄熱式床下暖房器を用いた暖房システムは、請求項10に記載した各蓄熱式床下暖房器の蓄熱量が基準値となるように、それらの蓄熱量を一括して増減制御する蓄熱量制御手段を設けたことを特徴としている。
【0018】
請求項12に記載の蓄熱式床下暖房器を用いた暖房システムは、請求項10又は11に記載した蓄熱式床下暖房器本体に異常が生じているか否かを判定する異常判定手段と、この異常判定手段により異常であると判定したときには、その異常を報知する異常報知手段とを有することを特徴としている。
【0019】
請求項13に記載の蓄熱式床下暖房器を用いた暖房システムは、請求項10〜12のいずれかに記載した各蓄熱式床下暖房器の蓄熱量の増減設定を行うための操作部を床上に配置したものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1〜13に記載した発明によれば、放熱板の放熱面積を増大させているので、床下空間及び床面を広域にわたり均等に効率よく暖めることができる。
【0021】
請求項1〜13に記載の発明で得られる上記共通の効果に加え、各請求項に記載した発明によれば次の各効果を得ることができる。
請求項2に記載した発明によれば、蓄熱式床下暖房器本体の放熱量を増加させるとともに、その放熱量の増加に伴う放熱板の表面温度の上昇を相殺するように、各放熱板の放熱面積を増大させているので、暖房器本体の容積を増大させることなく、床下空間及び床面を広域にわたり均等に効率よく暖めることができる。
【0022】
請求項3に記載した発明によれば、蓄熱式床下暖房器本体内で暖められた空気を暖気放出用孔から外部に放出することができる。従って、放熱板の輻射熱のみで床下空間及び床面を暖める場合に比較して、短い時間で床下空間及び床面を所期の温度に上昇させることができる。
【0023】
請求項4に記載した発明によれば、暖気放出用孔を、蓄熱式床下暖房器本体の側壁であって放熱板の下方位置に配設しているので、暖気放出用孔から放出された蓄熱式床下暖房器内で暖められた空気は、放熱板の下面に沿って辺縁部に向けて流れ、これにより、放熱板を均一に暖めることができるとともに、暖められる領域を拡大することができる。
【0024】
請求項5に記載した発明によれば、暖気放出用孔から放出された空気は、暖気誘導部材により放熱板に向けて誘導されるので、放熱板をより均一に暖めることができる。
【0025】
請求項6に記載した発明によれば、蓄熱式床下暖房器本体に対し、放熱板を着脱自在に取り付けているので、蓄熱式床下暖房器本体を設置現場に搬送するときには、放熱板を取り外しておけるので、搬送の際に放熱板が嵩張って取り扱いを煩雑化することを回避できる。
【0026】
請求項7に記載した発明によれば、蓄熱式床下暖房器本体から外方に延伸した放熱板の長さに合わせて、暖気放出用孔の開口面積を変えているので、放熱板を均一に暖めやすい。
【0027】
請求項8に記載した発明によれば、暖気放出用孔の下側に、外部の空気を蓄熱式床下暖房器本体内に取り入れるための外気取入れ用孔を形成しているので、暖気放出用孔から放出させる空気を効率よく取り入れることができる。
【0028】
請求項9に記載した発明によれば、放熱板の放熱面を波形にしているので、単位面積当たりの放熱面積を増大させることができ、当該放熱板の小型化を図ることができる。
【0029】
請求項10に記載した発明によれば、各蓄熱式床下暖房器本体の放熱量を増加させて設置台数を減少させるとともに、その放熱量の増加に伴う放熱板の表面温度の上昇を相殺するように、各放熱板の放熱面積を増大させているので、暖房器本体の容積を増大させることなく、設置台数を減少させることができるとともに、床下空間及び床面を広域にわたり均等に効率よく暖めることができる。
【0030】
請求項11に記載した発明によれば、蓄熱量制御手段により、各蓄熱式床下暖房器の蓄熱量が基準値となるように、それらの蓄熱量を一括して増減制御しているので、各蓄熱式床下暖房器の蓄熱量を個別に設定する必要がない。
【0031】
請求項12に記載の発明によれば、異常判定手段により、蓄熱式床下暖房器本体に異常が生じていると判定したときに、異常報知手段により異常が生じていることを報知しているので、異常が生じていることをいち早く認識させられる。
【0032】
請求項12に記載の発明によれば、各蓄熱式床下暖房器の蓄熱量の増減設定を行うための操作部を床上に配置しているので、蓄熱量の増減設定をきわめて容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る蓄熱式床下暖房器を用いた暖房システムの概略の構成を示す斜視図、図2は、蓄熱式床下暖房器の上面図、図3は、蓄熱式床下暖房器本体を示すものであり、(a)はその上面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図、図4は、図2に示すI-I線に沿う断面図、図5は、図2に示すII-II線に沿う断面図である。
【0034】
本発明の一実施形態に係る蓄熱式床下暖房器を用いた暖房システム(以下、たんに「暖房システム」という)Aは、電気容量3.3(KW)からなる4台の蓄熱式床下暖房器B…と、これらを制御する制御部Cと、操作部Dとを有して構成されている。
【0035】
なお、電気容量3.3(KW)からなる4台の蓄熱式床下暖房器B…を使用する構成は、上記した標準的な住宅(関東の4人居住2階建て高気密高断熱住宅(Q値2.5W/m・K)において、1階65(m)の住宅、外気・室内温度差18(℃))を想定し、その標準的な住宅の暖房負荷にほぼ合致させたものであり、従って、その暖房負荷の大小に応じて蓄熱式床下暖房器B…の設置台数を増減させてよいことは勿論である。
【0036】
蓄熱式床下暖房器Bは、蓄熱式床下暖房器本体(以下たんに「本体」という)1上に、放熱板2を配設したものである。
本体1は、図3〜5に示すように、4つの側壁5〜8、上壁9及び下壁10により直方体形に形成された筐体3内に、熱源4を設けた構成になっている。
筐体3は、高さH=285(mm)、幅W1=870(mm)、奥行きW2=540(mm)の大きさになっている。
【0037】
側壁5〜8の上側位置には、それぞれ本体1内で暖められた空気(以下「暖気」ともいう)を外部に放出するための複数の暖気放出用孔列11〜14が上側辺縁に沿って配列されているとともに、それら側壁5〜8の下側位置には、外部の空気を本体1内に取り入れるための外気取入れ用孔列15〜18が下側辺縁に沿って形成されている。
【0038】
側壁5,7の上側位置の暖気放出用孔列11(13)は、図3に示すように、それぞれ多数の暖気放出用孔11a…(13a…)を所定の間隔で上側辺縁に沿って列設し、かつ、上下二段に配列した構成になっている。また、外気取入れ用孔列15(17)は、多数の外気取入れ用孔15a…(17a…)を所定の間隔で下側辺縁に沿って列設した構成になっている。
【0039】
図4に示すように、各暖気放出用孔11a(13a)には、放出される暖気を放熱板2の下面に向けるための上向きの開口11b(13b)を備えた暖気誘導部材19が外部に膨出して形成されている。これにより、暖気放出用孔11a(13a)から放出された空気は、放熱板2の下面25aに向けて誘導され、その下面25aに沿って辺縁部に向けて流れていくようになる。
各外気取入れ用孔15a(17a)には、下向きの開口15b(17b)を備えた誘導部材18が外部に膨出して形成されている。
【0040】
側壁6(8)に形成されている暖気放出用孔列12(14)は、多数の暖気放出用孔12a…(14a…)を所定の間隔で横一列に配列した構成になっている。各暖気放出用孔12a(14a)には、上記した暖気誘導部材17が膨出して形成されている。
また、外気取入れ用孔列16(18)は、多数の外気取入れ用孔16a…(18a…)を所定の間隔で横一列に配列した構成になっている。各外気取入れ用孔16a(18a)には、下向きの開口16b(18b)を備えた上述した暖気誘導部材18が外部に膨出して形成されている。
要約すると、上述した暖気放出用孔11a…等を、本体1の側壁5等に形成することにより、それら暖気放出用孔11a…等を放熱板2の下方位置に配設した構成になっている。
【0041】
なお、暖気放出用孔11a…,13a…、暖気放出用孔12a…,14a…、外気取入れ用孔15a…,17a…、外気取入れ用孔16a…,18a…は、互いに同形同大の横長の長方形に形成されており、それらのうち側壁5,7に形成した暖気放出用孔11a…,13a…の総開口面積を、側壁6,8に形成した暖気放出用孔12a…,14a…の総開口面積よりも大きくしている。
すなわち、本体1から外方に延伸した放熱板2の長さに合わせて、側壁5,7側の暖気放出用孔11a…,13a…と、側壁6,8側の暖気放出用孔12a…,14a…の開口面積を変えている。
【0042】
筐体3の上壁9は所要厚みの放熱パネルとなっており、これの四隅に、放熱板2を固定するための4つのねじ孔9a…が螺設されている。
【0043】
図4に示すように、熱源4は、筐体3の下壁10上に、これの内面との間に空間αをおいて載置されているとともに、上壁9との間にも、空間αが形成されている。また、側壁5〜8との内面との間には所要の空間βが区画形成されるようにしている。
【0044】
この熱源4は、図5に示すように、4本のヒータ20…を埋設した酸化マグネシウム等からなる蓄熱材21を、珪酸カルシウムやシリカ等からなる断熱材23により囲繞した構成になっている。また、各ヒータ22には温度センサ(図7に示す)が取り付けられており、その温度センサ32によってヒータ温度を測定している。
【0045】
放熱板2は金属製の板状体であり、本体1上面の面積よりも増大させている。具体的には、本体1の発熱量の増加を相殺するように、その放熱面積を増大させている。
換言すると、本体1の発熱量を増加させる前の表面温度となるように放熱面積を増大させており、本実施形態においては、幅W3=1800(mm)、奥行きW4=1200(mm)厚み1(mm)ほどにしている。
この放熱板2には、上記したねじ孔9a…に対向する位置に、遊挿孔2a…が形成されている。
【0046】
すなわち、本体1の上壁9に放熱板2を載置した状態で、遊挿孔2a…を介してねじ孔9aにボルトを螺合することにより、放熱板2を本体1に対して着脱自在に固定されるようになっている。換言すると、本体1に対し、放熱板2を着脱自在に取り付ける取付け構造を有しており、本実施形態においては、その取付け構造を放熱板2の遊挿孔2a…、上壁9のねじ孔9a…及び図示しないボルトにより構成している。
【0047】
図6は、蓄熱式床下暖房器本体を床下に設置した状態を示す正面図、図7は、制御系統を示すブロック図、図8は、操作部の詳細を示す説明図、図9は、蓄熱量を増減制御するときのフローチャートである。なお、同図には、4台の蓄熱式床下暖房器本体のうちの1台のもののみを示している。
【0048】
図6に示すように、上記した構成からなる4台の本体1…は、床下の空間δであって基礎G上に据え付けられ、床パネルFと本体1上面の放熱板2との間には所要の空間γが形成されるようになっている。
【0049】
各本体1、従ってまた、それらの各熱源4は、制御部30の出力側に接続されているとともに、その制御部30の入力側には、各本体1の蓄熱量の増減設定を行う操作部Dと、ヒータ22の温度を測定するための温度センサ32…が接続されている。
本実施形態においては、操作部Dを床パネルFの上側(床上)に配置していることにより、室内から本体1の制御を行うことができ、いちいち床下に入って作業をする必要がない。なお、33は各本体1等に電力を供給する配電盤である。
【0050】
制御部30は、所要のプログラムを実行することによって、次の機能を有している。
(1)各熱源4の蓄熱量を一括して増減制御する機能(以下「蓄熱量制御手段30a」という)。
「蓄熱量を増減制御する」とは、熱源4の温度を昇降制御することと同義である。
「一括して」とは、各本体1の蓄熱量を操作部Dで設定した一の熱量となるようにすること、言い換えると、それらが操作部Dで設定した一の温度となるように昇降制御することを意味している。
蓄熱量制御手段30aとしては、上記した機能の他、次のような機能を有するものとしてもよい。
・各本体1の蓄熱量をそれぞれ操作部Dで設定した個別の蓄熱量となるように増減制御する機能。このような機能を設けることにより、必要に応じて床面に温度差をもたせることができる。
本実施形態においては、所要のプログラムに基づいて当該機能を発揮する制御部30と、ヒータ21…とにより、蓄熱量制御手段30aを構成している。
【0051】
(2)本体1に異常が生じているか否かを判定する機能(以下「異常判定手段30b」という)。
本実施形態においては、温度センサ32により熱源4の温度を例えば一定時間間隔で測定し、この測定した温度と予め設定した基準温度とを比較して、測定温度が所定の時間内で基準温度に至らなかったときに、本体1に異常が生じていると判定している。
また、測定した温度が、予め定めた基準温度よりも高い危険温度領域に入ったときにも、本体1に異常が生じていると判定する。
本実施形態においては、温度センサ32と、所要のプログラムに基づいて当該機能を発揮する制御部30とにより異常判定手段30bを構成している。
【0052】
(3)異常判定手段30bにより異常が生じていると判定したときには、その異常の発生を報知する機能(異常報知手段30c)。
後述する操作部Dには、異常が生じていることを示す表示部Dcが設けられており、その表示部Dcに、異常が生じている本体1と、異常であることを示すマークが表示されるようになっている。
なお、例えば音声やブザー等により異常が生じていることを単独で若しくは上記した表示とともに報知するようにしてもよい。この場合には、表示を確認することなく、異常が生じていることをいち早く認識することができる。
本実施形態においては、操作部Dの表示部Dcと、所要のプログラムに基づいて当該機能を発揮する制御部30とにより、異常報知手段30cを構成している。
【0053】
操作部Dは、蓄熱量の設定を有効にするか否かを切り換える切換えスイッチDa、蓄熱量設定スイッチDb、異常が生じていることを示す表示部Dc等が設けられているものである。
蓄熱量設定スイッチDbは、蓄熱量を「大」「中」「小」の3段階に設定するようになっており、具体敵には、「大」がヒータ22への通電時間が6時間、「中」がヒータ21への通電時間が5時間、「小」がヒータ22への通電時間が4時間というように、通電時間の長短に相当している。
異常であることの表示内容は、4台の本体1…のうち、異常が生じている本体1を示す表示と、異常であることを示すマークや文字等と含んでいる。
【0054】
以上の構成からなる蓄熱式床下暖房器の蓄熱量を制御する手順について、図9を参照して説明する。
操作部Dの切換えスイッチDaを操作して蓄熱量の設定を有効にすると、ステップ1に進む。
ステップ1(図中「S1」と略記する):操作部Dの蓄熱量設定スイッチDbを操作して、熱源4の蓄熱量を「大」「中」「小」のいずれかに設定する。
ステップ2:通電開始から設定した通電時間が経過したか否かを判定し、設定した通電時間になっていれば、ステップ3に進み、そうでなければステップ4に進む。
【0055】
ステップ3:設定した通電時間が経過しているので、ヒータ22への通電を中断して、処理を終了する。
ステップ4:ヒータ22の温度が上記した基準温度に達しているか否かを判定し、基準温度に達していなければステップ5に進み、達していればステップ6に進む。
ステップ6:ヒータ22の温度が上記した危険温度領域に入っているか否かを判定し、危険温度領域に入っていればステップ5に進み、そうでなければステップ2に戻る。
ステップ5:異常が生じている本体1と、異常であることを示すマークを表示部31cに表示することを内容とする異常の報知処理を行って、ステップ7に進む。
ステップ7:ヒータ22への通電を停止する。
【0056】
なお、本発明は上記した実施形態に限るものではなく、次のような変形実施が可能である。
上記の実施形態においては、放熱板を平坦な板状体とした構成のものについて説明したが、放熱板の放熱面を波形にした構成にしてもよい。この場合、平坦な板状体とした放熱板に比較して単位面積あたりの表面積を増加させられるため、幅と奥行き寸法を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る蓄熱式床下暖房器を用いた暖房システムの概略の全体構成を示す斜視図である。
【図2】蓄熱式床下暖房器の上面図である。
【図3】蓄熱式床下暖房器本体を示すものであり、(a)は、その上面図、(b)は、その正面図、(c)は、その側面図である。
【図4】図2に示すI-I線に沿う断面図である。
【図5】図2に示すII-II線に沿う断面図である。
【図6】蓄熱式床下暖房器本体を床下に設置した状態を示す正面図である。
【図7】制御系統を示すブロック図である。
【図8】操作部の詳細を示す説明図である。
【図9】蓄熱量を増減制御するときのフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1 蓄熱式床下暖房器本体
2 放熱板
11a,12a,13a,14a 暖気放出用孔
15a,16a,17a,18a 外気取入れ用孔
17,18 暖気誘導部材
30a 蓄熱量制御手段
30b 異常判定手段
30c 異常報知手段
B 蓄熱式床下暖房器
D 操作部
δ 床下空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱式床下暖房器本体の上面に配設した放熱板からの輻射熱により床下空間及び床パネルを暖房する蓄熱式床下暖房器において、
上記放熱板の放熱面積を、蓄熱式床下暖房器本体上面の面積よりも増大させていることを特徴とする蓄熱式床下暖房器。
【請求項2】
蓄熱式床下暖房器本体の放熱量を増加させるとともに、その放熱量の増加に伴う放熱板の表面温度の上昇を相殺するように、各放熱板の放熱面積を増大させていることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱式床下暖房器。
【請求項3】
蓄熱式床下暖房器本体内で暖められた空気を外部に放出するための暖気放出用孔を、その蓄熱式床下暖房器本体に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄熱式床下暖房器。
【請求項4】
暖気放出用孔を、蓄熱式床下暖房器本体の側壁であって放熱板の下方位置に配設していることを特徴とする請求項3に記載の蓄熱式床下暖房器。
【請求項5】
暖気放出用孔から放出される蓄熱式床下暖房器本体内で暖められた空気を放熱板に向けて誘導するための暖気誘導部材を設けたことを特徴とする請求項3又は4に記載の蓄熱式床下暖房器。
【請求項6】
蓄熱式床下暖房器本体に対し、放熱板を着脱自在に取り付けていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の蓄熱式床下暖房器。
【請求項7】
蓄熱式床下暖房器本体から外方に延伸した放熱板の長さに合わせて、暖気放出用孔の開口面積を変えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の蓄熱式床下暖房器。
【請求項8】
暖気放出用孔の下側に、外部の空気を蓄熱式床下暖房器本体内に取り入れるための外気取入れ用孔を形成していることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の蓄熱式床下暖房器。
【請求項9】
放熱板の放熱面を波形にしていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の蓄熱式床下暖房器。
【請求項10】
所定空間の暖房負荷にほぼ合致する総放熱量となる複数台の蓄熱式床下暖房器を床下空間内に設置して、それら各蓄熱式床下暖房器本体の上面に配設した放熱板からの輻射熱により床下空間及び床パネルを暖房する蓄熱式床下暖房器を用いた暖房システムであって、
上記各蓄熱式床下暖房器本体の放熱量を増加させるとともに、その放熱量の増加に伴う放熱板の表面温度の上昇を相殺するように、各放熱板の放熱面積を増大させていることを特徴とする蓄熱式床下暖房器を用いた暖房システム。
【請求項11】
各蓄熱式床下暖房器の蓄熱量が基準値となるように、それらの蓄熱量を一括して増減制御する蓄熱量制御手段を設けたことを特徴とする請求項10に記載の蓄熱式床下暖房器を用いた暖房システム。
【請求項12】
蓄熱式床下暖房器本体に異常が生じているか否かを判定する異常判定手段と、この異常判定手段により異常であると判定したときには、その異常を報知する異常報知手段とを有することを特徴とする請求項10又は11に記載の蓄熱式床下暖房器を用いた暖房システム。
【請求項13】
各蓄熱式床下暖房器の蓄熱量の増減設定を行うための操作部を、床上に配置していること特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の蓄熱式床下暖房器を用いた暖房システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−101160(P2007−101160A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295380(P2005−295380)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(000153720)株式会社白山製作所 (36)
【Fターム(参考)】