説明

蓄電装置、電極、電気装置

【課題】活物質層の形状を工夫して蓄電装置の特性を向上させることを目的とする。
【解決手段】第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた電解質と、を有し、前記第2の電極は活物質層を有し、前記活物質層は、活物質を含む複数の突起部と、前記複数の突起部上又は前記複数の突起部の隙間に配置された活物質を含む複数の粒子と、を有する蓄電装置を提供することによって、蓄電装置の特性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、蓄電装置(蓄電池、二次電池)、電気装置等に関する。
【0002】
なお、蓄電装置は少なくとも蓄電機能を有する装置である。
【0003】
また、電気装置は少なくとも電気エネルギーより駆動する機能を有する装置である。
【背景技術】
【0004】
特許文献1には膜状の活物質層を有する電極を蓄電装置に用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−210315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では活物質層の形状に何ら工夫がされていない。
【0007】
そこで、活物質層の形状を工夫して蓄電装置の特性を向上させる手段を提供することを第1の課題とする。
【0008】
また、新規な電気装置を提供することを第2の課題とする。
【0009】
なお、以下に開示する発明は第1の課題又は第2の課題のいずれか一方を解決できれば良い。
【課題を解決するための手段】
【0010】
活物質を含む複数の突起部を有する活物質層を用いると好ましい。
【0011】
また、活物質を含む複数の突起部と、複数の突起部上又は複数の突起部の隙間に配置された活物質を含む複数の粒子と、を有する活物質層を用いると好ましい。
【0012】
つまり、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた電解質と、を有し、前記第2の電極は活物質を含む複数の突起部を有する活物質層を有する蓄電装置を提供することができる。
【0013】
また、前記蓄電装置において、前記活物質層は、前記複数の突起部上又は前記複数の突起部の隙間に配置された活物質を含む複数の粒子を有すると好ましい。
【0014】
また、前記蓄電装置において、前記複数の粒子には、前記複数の突起部の一部が折れて形成された粒子が含まれていると好ましい。
【0015】
また、前記蓄電装置において、前記複数の突起部及び前記複数の粒子は、活物質又は金属材料を含む保護膜に被覆されていると好ましい。
【0016】
また、前記蓄電装置において、前記複数の突起部の形状は不規則であると好ましい。
【0017】
また、前記蓄電装置において、前記複数の突起部が局所的に折れていると好ましい。
【0018】
また、前記蓄電装置において、前記複数の突起部の隙間に活物質を含む表面を有すると好ましい。
【0019】
また、前記蓄電装置を備えた電気装置とすると好ましい。
【0020】
また、蓄電装置に用いる電極であって、活物質を含む複数の突起部を有する活物質層を有する電極を提供することができる。
【0021】
また、前記電極において、前記活物質層は、前記複数の突起部上又は前記複数の突起部の隙間に配置された活物質を含む複数の粒子を有すると好ましい。
【0022】
また、前記電極において、前記複数の粒子には、前記複数の突起部の一部が折れて形成された粒子が含まれていると好ましい。
【0023】
また、前記電極において、前記複数の突起部及び前記複数の粒子は、活物質又は金属材料を含む保護膜に被覆されていると好ましい。
【0024】
また、前記電極において、前記複数の突起部の形状は不規則であると好ましい。
【0025】
また、前記電極において、前記複数の突起部が局所的に折れていると好ましい。
【0026】
また、前記電極において、前記複数の突起部の隙間に活物質を含む表面を有すると好ましい。
【発明の効果】
【0027】
活物質を含む複数の突起部を有する活物質層を用いることによって、蓄電装置の特性を向上させることができる。
【0028】
活物質を含む複数の突起部と、複数の突起部上又は複数の突起部の隙間に配置された活物質を含む複数の粒子と、を有する活物質層を用いることによって、蓄電装置の特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】電極の一例。
【図2】電極の作製方法の一例。
【図3】電極の一例。
【図4】電極の作製方法の一例。
【図5】電極の作製方法の一例。
【図6】電極の作製方法の一例。
【図7】電極の一例。
【図8】電極の一例。
【図9】電極の一例。
【図10】電極の一例。
【図11】電極の一例。
【図12】電極の作製方法の一例。
【図13】電極の作製方法の一例。
【図14】電極の作製方法の一例。
【図15】電極の作製方法の一例。
【図16】蓄電装置の一例。
【図17】電極の一例(電子顕微鏡写真)。
【図18】電気装置の一例。
【図19】蓄電装置の一例。
【図20】電気推進車両の一例。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施の形態及び実施例について、図面を用いて詳細に説明する。
【0031】
但し、発明の趣旨から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。
【0032】
従って、発明の範囲は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0033】
なお、以下に説明する構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0034】
また、以下の実施の形態は、いくつかを適宜組み合わせて実施することができる。
【0035】
(実施の形態1)
図1(A)は電極の斜視図であり、図1(B)は図1(A)の断面図である。
【0036】
図1において、集電体301上に、複数の突起部からなるシリコンを主成分とする層302が形成されている。ここで、図1ではシリコンを主成分とする層302が活物質層である。
【0037】
複数の突起部からなるシリコンを主成分とする層を形成することによって、一の突起部と他の突起部との間に隙間(複数の突起部の隙間)ができるので、サイクル特性を向上させることができる。また、隙間ができるので電解液が活物質層に染みこみやすくなり、電池反応が生じやすくなるという利点もある。
【0038】
活物質層はアルカリ金属又はアルカリ土類金属を吸蔵することにより体積が膨張し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を放出することにより体積が収縮する。
【0039】
ここで、体積の膨張と体積の収縮の繰り返しによる電極の劣化の度合いをサイクル特性と呼ぶ。
【0040】
そして、一の突起部と他の突起部との間に隙間(複数の突起部の隙間)を作ることによって、体積の膨張及び体積の収縮の影響を緩和することができるようになるので、サイクル特性が向上するのである。
【0041】
次に、図1の電極の作製方法の一例について図2で説明する。
【0042】
まず、集電体301上に膜状のシリコンを主成分とする層302を形成し、シリコンを主成分とする層302上にマスク9000を形成する(図2(A))。
【0043】
次に、マスク9000を用いて膜状のシリコンを主成分とする層302の一部をエッチング加工することにより、複数の突起部からなるシリコンを主成分とする層302を形成する(図2(B))。
【0044】
次に、マスク9000を除去する(図2(C))。
【0045】
以上のように、複数の突起部からなるシリコンを主成分とする層を用いることにより蓄電装置の特性を向上させることができる。
【0046】
なお、本実施の形態において突起部の形状を円柱状としたが、突起部の形状は円柱状に限定されない。
【0047】
例えば、針状、錐状(円錐状、多角錐状)、柱状(円柱状、角柱状)等であっても良いが限定されない。
【0048】
また、全ての複数の突起部の長さが同じである必要はない。
【0049】
また、全ての複数の突起部の体積が同じである必要はない。
【0050】
また、全ての複数の突起部の形状が同じである必要はない。
【0051】
また、全ての複数の突起部の傾きが同じである必要はない。
【0052】
本実施の形態は、他の全ての実施の形態及び他の実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0053】
(実施の形態2)
実施の形態1と比較して活物質層の表面積を大きくする手段について説明する。
【0054】
活物質層の表面積を大きくするということは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が出入りできる領域の面積を大きくするということである。
【0055】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属が出入りできる領域の面積を大きくすれば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の吸蔵速度(吸蔵レート)及び放出速度(放出レート)が向上する。
【0056】
具体的には、例えば図3のような構成が好ましい。
【0057】
図3(A)は電極の斜視図であり、図3(B)は図3(A)の断面図である。
【0058】
図3において、集電体301上に、シリコンを主成分とする層302が形成されている。
【0059】
図3ではシリコンを主成分とする層302が活物質層である。
【0060】
図3に示すシリコンを主成分とする層302は、複数の突起部を有し、複数の突起部の隙間にシリコンを主成分とする表面(活物質を含む表面)を有する。
【0061】
別の表現をすると、シリコンを主成分とする層302は、下部がシート状であり、上部が複数の突起部となっているともいえる。
【0062】
さらに別の表現をすると、シリコンを主成分とする層302は、膜状の層と、前記膜状の層の表面から突出する複数の突起部を有しているともいえる。
【0063】
次に、図3の電極の作製方法の一例について図4で説明する。
【0064】
まず、集電体301上に膜状のシリコンを主成分とする層302を形成し、シリコンを主成分とする層302上にマスク9000を形成する(図4(A))。
【0065】
次に、マスク9000を用いて膜状のシリコンを主成分とする層302の一部をエッチング加工することにより、複数の突起部を有するシリコンを主成分とする層302を形成する(図4(B))。
【0066】
なお、図2(B)の例では集電体の表面に達するまで膜状のシリコンを主成分とする層302をエッチングしたが、図4(B)ではエッチングを途中で止めて複数の突起部の隙間にシリコンを主成分とする層を残存させている。
【0067】
次に、マスク9000を除去する(図4(C))。
【0068】
以上のように、複数の突起部の隙間にシリコンを主成分とする層を残存させることによって、活物質層の表面積を大きくすることができる。
【0069】
また、複数の突起部の隙間にシリコンを主成分とする層を残存させているので、活物質層の体積は残存させない時に比べて大きくなる。
【0070】
そして、活物質層の総体積も増加するので、電極の充放電容量を増やすことができる。
【0071】
なお、本実施の形態において突起部の形状を円柱状としたが、突起部の形状は円柱状に限定されない。
【0072】
例えば、針状、錐状(円錐状、多角錐状)、柱状(円柱状、角柱状)等であっても良い。
【0073】
また、全ての複数の突起部の長さが同じである必要はない。
【0074】
また、全ての複数の突起部の体積が同じである必要はない。
【0075】
また、全ての複数の突起部の形状が同じである必要はない。
【0076】
また、全ての複数の突起部の傾きが同じである必要はない。
【0077】
本実施の形態は、他の全ての実施の形態及び他の実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0078】
(実施の形態3)
実施の形態1又は実施の形態2において、活物質層の表面積を大きくする手段について述べる。
【0079】
活物質層の表面積を大きくすることによって、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の吸蔵速度(吸蔵レート)及び放出速度(放出レート)を向上させることができる。
【0080】
具体的には、複数の突起部の側面に凹部を形成すれば良い。
【0081】
別の表現をすると、複数の突起部の形状をオーバーハング形状にすれば良い。
【0082】
例えば図2(B)の工程の後に、等方性エッチングを行うことにより複数の突起部の側面を後退させる(図5(A))。
【0083】
次に、マスク9000を除去する(図5(B))。
【0084】
図5の手段を用いることによって、複数の突起部の側面に凹部が形成されるので活物質層の表面積を大きくすることができる。
【0085】
なお、エッチングの種類として異方性エッチングと等方性エッチングがある。
【0086】
異方性エッチングを行うと一方向にエッチングが進行する。
【0087】
等方性エッチングを行うと全方向にエッチングが進行する。
【0088】
異方性エッチングは例えばプラズマを用いたドライエッチング等により行うことができ、等方性エッチングは例えばエッチング溶液を用いたウェットエッチング等により行うことができる。
【0089】
なお、ドライエッチングを用いた場合であってもエッチング条件を調整すれば等方性エッチングを行うことが可能である。
【0090】
つまり、異方性エッチングを行った後(図2(B))、マスク9000が残存した状態で等方性エッチングを行えば良いということである(図5(A))。
【0091】
別の例を示す。
【0092】
例えば、図4(B)の工程の後に、等方性エッチングを行うことにより複数の突起部の側面及び複数の突起部の隙間に位置するシリコンを主成分とする表面(活物質を含む表面)を後退させる(図6(A))。
【0093】
次に、マスク9000を除去する(図6(B))。
【0094】
図6の手段を用いることによって、複数の突起部の側面及び複数の突起部の隙間のシリコンを主成分とする表面(活物質を含む表面)に凹部が形成されるので活物質層の表面積を大きくすることができる。
【0095】
本実施の形態は、他の全ての実施の形態及び他の実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0096】
(実施の形態4)
複数の突起部の形状が不規則(不揃い)である例を図7に示す。
【0097】
なお、複数の突起部の形状が不規則(不揃い)であるとは、例えば、複数の突起部が複数の形状を有すること、複数の突起部が集電体の表面に対して垂直方向に複数の傾きを有すること、複数の突起部が集電体の表面に対して平行方向に複数の傾きを有すること、又は、複数の突起部が複数の体積を有すること等のいずれか一又は二以上の状態を有することをいう。
【0098】
ここで、図7(A)は電極の斜視図であり、図7(B)は図7(A)の断面図である。
【0099】
図7において、集電体301上に、シリコンを主成分とする層302が形成されている。
【0100】
図7ではシリコンを主成分とする層302が活物質層である。
【0101】
図7に示すシリコンを主成分とする層302は、複数の突起部を有し、複数の突起部の隙間にシリコンを主成分とする表面(活物質を含む表面)を有する。
【0102】
別の表現をすると、シリコンを主成分とする層302は、下部がシート状であり、上部が複数の突起部となっているともいえる。
【0103】
さらに別の表現をすると、シリコンを主成分とする層302は、膜状の層と、前記膜状の表面から突出する複数の突起部を有しているともいえる。
【0104】
図7の構成とすることによって、実施の形態2と同様に実施の形態1と比較して活物質層の表面積を大きくすることができる。
【0105】
また、図7の構成とすることによって、実施の形態2と同様に実施の形態1と比較して活物質層の体積を大きくすることができる。
【0106】
また、図3では複数の突起部の長軸方向が集電体の表面に対して垂直方向を向いていたが、図7では長軸方向が集電体の表面に対して斜め方向を向いている突起部を有することを特徴としている。
【0107】
ここで、例えば、製品の製造工程に問題がないか評価を行うとき、他者が製造した製品が特許権を侵害していないかどうかの調査を行うとき等に、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて所定の箇所の断面を観察する場合がある。
【0108】
TEM又はSTEMを用いて断面を観察するとき、エネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いれば観察した箇所に含まれる元素を特定できる。
【0109】
また、TEM又はSTEMを用いて断面を観察するとき、電子線回折法を用いれば観察した箇所の結晶構造を特定できる。
【0110】
したがって、製品の一部を抜き出して評価をすれば製品の不良解析が可能である。
【0111】
また、例えば特定の元素が含まれている活物質層を規定した特許権を所有している場合に、他者の製品の断面をエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いて観察すれば他者の製品が特許権を侵害しているかどうか特定することができる。
【0112】
また、例えば特定の結晶構造を有する活物質層を規定した特許権を所有している場合に、他者の製品の断面を観察して電子線回折法を用いれば他者の製品が特許権を侵害しているかどうか特定することができる。
【0113】
以上のように、TEM又はSTEMを用いることによって様々な評価が可能であるが、TEM又はSTEMで断面分析を行う際には試料をできるだけ薄く(100nm以下)に加工する必要がある。
【0114】
ところが、図1、図3等のように複数の突起部の長軸方向が集電体の表面に対して垂直方向(90度)を向いていると、試料の加工が難しくなり、試料の加工精度が落ちてしまう問題がある。
【0115】
一方、図7のように長軸方向が集電体の表面に対して斜め方向(0度超過90度未満)を向いている突起部を有することによって、試料の加工が容易になり、試料の加工精度を上げることができる。
【0116】
なお、突起部が倒れているほど(突起部と集電体の表面が形成する角度が小さいほど)加工がし易くなるので、角度は好ましくは45度以下、より好ましくは30度以下が良い。
【0117】
次に、図7の構造の作製方法について説明する。
【0118】
まず、集電体301としてチタン層、ニッケル層等を用意する。
【0119】
次に、熱CVD法を用いてシリコンを主成分とする層302を形成する。
【0120】
なお、熱CVD法としては550℃以上1100℃以下の温度(好ましくは600℃以上800℃以下)で、原料ガスとしてシリコン原子を含むガスを用いることが好ましい。
【0121】
シリコン原子を含むガスとしては、SiH、Si、SiF、SiCl、SiCl等を用いることができるが限定されない。
【0122】
なお、原料ガスに希ガス(ヘリウム、アルゴン等)、水素等を混合させても良い。
【0123】
本実施の形態は、他の全ての実施の形態及び他の実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0124】
(実施の形態5)
集電体、シリコンを主成分とする層、マスク等の材料について述べる。
【0125】
<集電体>
集電体は導電性を有している材料を用いることができる。
【0126】
導電性を有している材料としては、例えば、金属、炭素、導電性樹脂等があるが限定されない。
【0127】
金属としては、例えば、チタン、ニッケル、銅、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、又はこれらの合金等を用いることができるが限定されない。
【0128】
<シリコンを主成分とする層>
シリコンを主成分とする層は、主成分がシリコンであればよく、シリコンに他の元素(例えばリン、砒素、炭素、酸素、窒素、ゲルマニウム、金属元素等)が含まれていても良い。
【0129】
膜状のシリコンを主成分とする層は、例えば、熱CVD法、プラズマCVD法、スパッタ法、蒸着法等を用いて形成することができるが限定されない。
【0130】
なお、シリコンを主成分とする層の結晶性はどのようなものでも良い。
【0131】
なお、シリコンを主成分とする層に一導電型を付与する元素が添加されていると、活物質層の導電性が向上するので好ましい。
【0132】
一導電型を付与する元素としては、例えば、リン、砒素等がある。元素を添加する方法としては、例えば、イオン注入法、イオンドーピング法、熱拡散法等があるが限定されない。
【0133】
なお、シリコンを主成分とする層にかえて炭素を主成分とする層を用いても良い。
【0134】
また、炭素を主成分とする層に他の元素が含まれていても良い。
【0135】
なお、シリコンを主成分とする材料、炭素を主成分とする材料等は活物質である。
【0136】
なお、活物質はアルカリ金属又はアルカリ土類金属を吸蔵又は放出できる材料であればシリコン、炭素に限定されない。
【0137】
<マスク>
マスクは例えばフォトレジストマスク等を用いることができるが限定されない。
【0138】
本実施の形態は、他の全ての実施の形態及び他の実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0139】
(実施の形態6)
活物質層の表面積及び体積を増加させる手段について述べる。
【0140】
活物質層の表面積を大きくすることによって、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の吸蔵速度(吸蔵レート)及び放出速度(放出レート)を向上させることができる。
【0141】
また、活物質層の総体積も増えるので、電極の充放電容量を増やすことができる。
【0142】
図8は図1においてシリコンを主成分とする複数の粒子303(活物質を含む複数の粒子303)を配置した例である。
【0143】
ここで、図8(A)は電極の斜視図であり、図8(B)は図8(A)の断面図である。
【0144】
また、図8において、複数の粒子は、複数の突起部上又は複数の突起部の隙間に配置されている。
【0145】
そして、図8において、複数の粒子は、集電体301又はシリコンを主成分とする層302に接するので活物質層として機能する。
【0146】
即ち、図1において活物質層はシリコンを主成分とする層302のみから構成されていたが、図8において活物質層はシリコンを主成分とする層302及び複数の粒子303から構成されている。
【0147】
したがって、図8では図1と比較して活物質層の表面積及び体積が増加している。
【0148】
図9は図3においてシリコンを主成分とする複数の粒子303(活物質を含む複数の粒子303)を配置した例である。
【0149】
また、図10は図7においてシリコンを主成分とする複数の粒子303(活物質を含む複数の粒子303)を配置した例である。
【0150】
ここで、図9(A)は電極の斜視図であり、図9(B)は図9(A)の断面図である。
【0151】
また、図10(A)は電極の斜視図であり、図10(B)は図10(A)の断面図である。
【0152】
また、図9、図10において、複数の粒子は、複数の突起部上又は複数の突起部の隙間に配置されている。
【0153】
そして、図9、図10において、複数の粒子は、シリコンを主成分とする層302に接するので活物質層として機能する。
【0154】
即ち、図3において活物質層はシリコンを主成分とする層302のみから構成されていたが、図9において活物質層はシリコンを主成分とする層302及び複数の粒子303から構成されている。
【0155】
また、図7において活物質層はシリコンを主成分とする層302のみから構成されていたが、図10において活物質層はシリコンを主成分とする層302及び複数の粒子303から構成されている。
【0156】
したがって、図9では図3と比較して活物質層の表面積及び体積が増加している。
【0157】
また、図10では図7と比較して活物質層の表面積及び体積が増加している。
【0158】
なお、図8の例では複数の突起部の隙間に配置されたシリコンを主成分とする複数の粒子303が集電体301とも接しているのに対して、図9、図10の例では複数の突起部の隙間に配置されたシリコンを主成分とする複数の粒子303は集電体301と接しておらずシリコンを主成分とする層302のみと接している。
【0159】
そして、シリコンを主成分とする複数の粒子303と集電体301とが接している箇所と、シリコンを主成分とする複数の粒子303とシリコンを主成分とする層302が接している箇所と、を比較すると同一種類の材料同士が接触している後者の方が接触抵抗が低い。
【0160】
つまり、図9、図10の例は図8の例と比較して接触抵抗を低減できる効果を有する。
【0161】
ところで、液状の電解質を用いて蓄電装置を作製した場合、最終的に電極表面には液状の電解質が接触するので、複数の粒子が液状の電解質に分散してしまってシリコンを主成分とする層に接触しなくなる問題が懸念される。
【0162】
しかしながら、複数の粒子を最終的にセパレータで押さえれば、複数の粒子が液状の電解質に分散することを防止することができる。
【0163】
また、ゲル状の電解質又は固体の電解質を用いれば、ゲル状又は固体の電解質で複数の粒子を押さえることができる。
【0164】
一方、セパレータを設けない場合は複数の粒子をセパレータで押さえることができないという問題がある。
【0165】
また、セパレータ、ゲル状の電解質、固体の電解質等で複数の粒子を押さえたとしても、複数の粒子の一部がシリコンを主成分とする層に接触せず、活物質層として機能する粒子の数が減ってしまう場合もあり得るという問題がある。
【0166】
複数の突起部の形状が規則的な(揃っている)図8、図9の例だと上記問題の影響は大きい。
【0167】
しかしながら、複数の突起部の形状が不規則(不揃い)な図10の例であれば上記問題の影響を低減することができる。
【0168】
即ち、図10の例だと、斜め方向に傾いている2以上の突起部の下に潜り込む粒子が存在することになる。
【0169】
そして、斜め方向に傾いている2以上の突起部が潜り込んだ粒子を押さえることになる。
【0170】
したがって、図10のような例だと上記問題の影響を低減することができるのである。
【0171】
なお、斜め方向に傾いている2以上の突起部が同じ方向に傾いていると複数の粒子が2以上の突起部に引っかかりにくくなるので、斜め方向に傾いている2以上の突起部が異なる方向に傾いていることが重要である。
【0172】
要するに、複数の突起部の形状が規則的な(揃っている)図8、図9の例と比較すると、複数の突起部の形状が不規則(不揃い)な図10の例の方が、複数の粒子が複数の突起部に絡みやすくなるので好ましいということである。
【0173】
図8乃至図10では複数の粒子の形状を円柱状としたが、複数の粒子の形状を図11のように円柱状ではない形状にしても良い。
【0174】
もちろん、複数の粒子の形状は図8乃至図11に記載したものに限定されない。
【0175】
なお、図11(A)は電極の斜視図であり、図11(B)は図11(A)の断面図である。
【0176】
シリコンを主成分とする複数の粒子は、主成分がシリコンであればよく、シリコンに他の元素(例えば、リン、砒素、炭素、酸素、窒素、ゲルマニウム、金属元素等)が含まれていても良い。
【0177】
なお、シリコンを主成分とする複数の粒子の結晶性はどのようなものでも良いが、結晶性が高いほど蓄電装置の特性が向上するので好ましい。
【0178】
また、複数の粒子は炭素を主成分とする複数の粒子でも良い。
【0179】
また、炭素を主成分とする複数の粒子に他の元素が含まれていても良い。
【0180】
シリコンを主成分とする複数の粒子、炭素を主成分とする複数の粒子等を活物質を含む複数の粒子と呼んでも良い。
【0181】
なお、シリコンを主成分とする材料、炭素を主成分とする材料等は活物質である。
【0182】
また、活物質はアルカリ金属又はアルカリ土類金属を吸蔵又は放出できる材料であればシリコン、炭素に限定されない。
【0183】
複数の粒子の主成分と複数の突起部の主成分とを同一にすると、複数の粒子と複数の突起部の接触抵抗が低減できるので好ましい。
【0184】
複数の粒子は、例えば、所望の材料(シリコン、炭素等)を粉砕することにより形成することができる。
【0185】
また、図1〜図7の手段を用いて、複数の粒子形成用基板に複数の突起部を形成し、複数の粒子形成用基板の表面を削りとることによって柱状の複数の粒子を形成することができる。
【0186】
なお、複数の粒子の形成方法は上記の方法に限定されない。
【0187】
なお、複数の粒子はスラリーに混ぜて塗布すると好ましい。
【0188】
スラリーとは、例えば、バインダ、溶媒等を混合したものである。
【0189】
スラリーに導電助剤を混合しても良い。
【0190】
バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、EPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド等を用いることができるが限定されない。また、複数種類のバインダを組み合わせて用いても良い。
【0191】
溶媒としては、例えば、NMP(N−メチル−ピロリドン)、乳酸エステル等を用いることができるが限定されない。
【0192】
導電助剤としては、例えば、炭素材料、金属材料等を用いることができるが限定されない。
【0193】
炭素材料としては、例えば、黒鉛、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、VGCF(気相成長カーボンファイバー)等を用いることができるが限定されない。
【0194】
金属材料としては、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀等を用いることができるが限定されない。
【0195】
本実施の形態は、他の全ての実施の形態及び他の実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0196】
(実施の形態7)
実施の形態6では別途作製した複数の粒子を配置したが、図12のように複数の突起部を折ることによって複数の粒子303を作製すると好ましい。
【0197】
図12の例だと活物質層の体積は増加しないが、折った断面が露出するので活物質層の表面積を増加させることができる。即ち、図12の破線部が露出する。
【0198】
また、複数の粒子を別途用意するとコストが増加するが、図12の例では複数の突起部に圧力をかけて折るだけなのでコストが増加しないので好ましい。
【0199】
つまり、図12の例ではコストを増加させずに表面積を増加させることができる。
【0200】
なお、図12のように複数の突起部に圧力をかけて折った上で、別途作製した複数の粒子を配置するとより好ましい。
【0201】
つまり、複数の突起部の一部を折って形成した複数の粒子と、別途作製した複数の粒子と、の双方が配置された状態とするとより好ましい。
【0202】
なお、複数の突起部の全てに強い圧力をかけた場合、複数の突起部が全て根元から折れてしまい、複数の突起部が消失してしまう場合がある。
【0203】
よって、図13のように局所的に圧力をかけることが好ましい。
【0204】
なお、図13では破線部で囲まれた位置に圧力をかける例を示している。
【0205】
即ち、図13(A)はスポット状に局所的に圧力をかけた例であり、図13(B)は線状に局所的に圧力をかけた例である。
【0206】
つまり、図13では複数の突起部が局所的に折れているとも言える。
【0207】
そして、複数の粒子の一部又は全部は複数の突起部の破片であるとも言える。
【0208】
なお、圧力をかける位置が図13に限定されないことは言うまでもない。
【0209】
複数の突起部の形状が不規則(不揃い)な場合を例示したが、複数の突起部の形状が規則的な(揃っている)場合でも本実施の形態の例は適用可能である。本実施の形態は、他の全ての実施の形態及び他の実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0210】
(実施の形態8)
複数の粒子303を固定するために、複数の突起部上又は複数の突起部の隙間に複数の粒子303を配置した後に、シリコンを主成分とする層302上及び複数の粒子303上に活物質又は金属材料を含む保護膜304を形成することが好ましい(図14)。
【0211】
即ち、シリコンを主成分とする層302及び複数の粒子303を活物質又は金属材料を含む保護膜304で被覆することが好ましい(図14)。
【0212】
なお、図14(A)は図10において保護膜を形成した例であり、図14(B)は図11において保護膜を形成した例であるが、もちろん図8、図9において保護膜を形成しても良い。
【0213】
活物質を含む保護膜に用いる材料としては、例えば、シリコンを主成分とする材料、炭素を主成分とする材料等があるが限定されない。
【0214】
なお、シリコンを主成分とする材料、炭素を主成分とする材料等は活物質である。
【0215】
シリコンを主成分とする材料、炭素を主成分とする材料には不純物が含まれていても良い。
【0216】
なお、活物質を含む保護膜はCVD法、スパッタ法、蒸着法等で形成することができる。
【0217】
金属材料を含む保護膜に用いる材料としては、例えば、スズ、銅、ニッケル等を主成分とする材料があるが限定されない。金属材料には他の元素が含まれていても良い。
【0218】
なお、粒子と活物質を含む層とが接触しなかった場合であっても、金属材料を含む保護膜を用いれば、金属材料を含む保護膜を介して粒子と活物質を含む層とを電気的に接続することができる。
【0219】
金属材料を含む保護膜は電解析出法、スパッタ法、蒸着法等で形成することができるが限定されない。
【0220】
ここで、保護膜と、複数の突起部及び複数の粒子と、は異なる材料であると好ましい。
【0221】
保護膜と、複数の突起部及び複数の粒子と、が異なる材料であることにより、シリコンを主成分とする活物質のメリットと、炭素を主成分とする活物質のメリットと、の双方を利用できるからである。
【0222】
例えば、シリコンを主成分とする活物質は炭素を主成分とする活物質よりも容量が大きいというメリットがある。
【0223】
また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を吸蔵したとき炭素を主成分とする活物質はシリコンを主成分とする活物質よりも膨張が少ないというメリットがある。
【0224】
そして、複数の突起部を形成することにより膨張を緩和できることを考えると、複数の突起部及び複数の粒子をシリコンを主成分とし、保護膜を炭素を主成分とすることが好ましい。
【0225】
なお、複数の突起部及び複数の粒子を炭素を主成分とし、保護膜はシリコンを主成分としても良い。
【0226】
図1〜7のように複数の粒子を配置しない場合であっても保護膜を形成しても良い。
【0227】
複数の粒子を配置しない場合であっても、活物質を含む保護膜を形成することにより活物質の体積を増加させることができる。
【0228】
複数の粒子を配置しない場合であっても、金属材料を含む保護膜を形成することにより電極の導電性を向上することができる。
【0229】
本実施の形態は、他の全ての実施の形態及び他の実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0230】
(実施の形態9)
集電体301とシリコンを主成分とする層302との間にシリサイド層を形成しても良い。
【0231】
シリサイド層を形成するためには集電体の材料として、チタン、ニッケル、コバルト、タングステン等のシリサイドを形成できる材料を用いて所定の温度で加熱処理を行えば良い。
【0232】
本実施の形態は、他の全ての実施の形態及び他の実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0233】
(実施の形態10)
突起部の隙間に配置された活物質の形成方法の一例を図15を用いて説明する。
【0234】
図15(A)は図2(C)の状態に対応する。
【0235】
そして、シリコンを主成分とする層310をCVD法、スパッタ法、蒸着法等を用いて成膜することによって突起部の隙間に配置された活物質を形成することができる(図15(B))。シリコンを主成分とする層310の形成方法はCVD法、スパッタ法、蒸着法等に限定されない。
【0236】
なお、図15においてシリコンを主成分とする層302の膜厚が厚いために、シリコンを主成分とする層310が、シリコンを主成分とする層302の側壁を被覆できない場合がある(図15(C))。
【0237】
なお、図15(B)の状態は図1において実施の形態8の保護膜を設けたものにも対応するので、シリコンを主成分とする層310にかえて炭素を主成分とする層又は金属層を用いても良い。
【0238】
本実施の形態は、他の全ての実施の形態及び他の実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0239】
(実施の形態11)
蓄電装置の構造について説明する。
【0240】
蓄電装置は、少なくとも一対の電極と、電極の間に電解質とを有するものであればどのようなものでも良い。
【0241】
また、一対の電極の間にセパレータを有していると好ましい。
【0242】
蓄電装置の種類としては、コイン型、角型、円筒型等様々な種類があるが限定されない。
【0243】
一対の電極とセパレータと電解質を挟んで捲回させた構造としても良い。
【0244】
図16にコイン型の蓄電装置の一例を示す。
【0245】
図16(A)は蓄電装置の斜視図であり、図16(B)は図16(A)の断面図である。
【0246】
図16において、第1の電極100上にセパレータ200が設けられており、セパレータ200上に第2の電極300が設けられており、第2の電極300上にスペーサ400が設けられており、スペーサ400上にワッシャー500が設けられている。
【0247】
なお、少なくとも第1の電極100と第2の電極300との間には電解質が設けられている。
【0248】
また、セパレータ200には電解質が含浸されている。
【0249】
そして、第1の電極100、セパレータ200、第2の電極300、スペーサ400、ワッシャー500、及び電解質は、第1の筐体600及び第2の筐体700で囲まれた領域の内部に配置されている。
【0250】
また、第1の筐体600と第2の筐体700とは絶縁物800により電気的に絶縁されている。
【0251】
なお、図16において第1の電極100の位置と第2の電極300の位置を交換しても良い。
【0252】
図16と異なる例を図19に示す。
【0253】
図19において、第1の電極100と第2の電極300との間にセパレータ200が挟まれている。
【0254】
そして、第1の電極100、セパレータ200、及び第2の電極300の積層体が棒999に捲回されている。
【0255】
また、第1の電極100はリード線902を介して第1の筐体600に電気的に接続されている。
【0256】
また、第2の電極300はリード線901を介して第2の筐体700に電気的に接続されている。
【0257】
また、第1の筐体600と第2の筐体700とは絶縁物800により電気的に絶縁されている。
【0258】
なお、図19において第1の電極100の位置と第2の電極300の位置を交換しても良い。
【0259】
以下各構成の材料等について説明する。
【0260】
<電解質>
電解質としては、例えば、非水溶媒体と該非水溶媒体に溶解する塩(アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩等)を用いれば良い。
【0261】
なお、電解質は、上記に限られず、反応物質(アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオン等)を伝導する機能を有すればどのようなものでもよい。
【0262】
また、電解質は固体、液体、気体、ゲル状等様々な種類があるが限定されない。
【0263】
<第1の電極>
第1の電極は集電体とアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む層とを有し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む層がセパレータ側に位置している。
【0264】
集電体には導電性を有している材料を用いることができる。
【0265】
導電性を有している材料としては、例えば、金属、炭素、導電性樹脂等があるが限定されない。
【0266】
金属としては、例えば、チタン、ニッケル、銅、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、又はこれらの合金等を用いることができるが限定されない。
【0267】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む層としては、例えば、一般式APO(x≧0、y>0、z>0)、一般式A(x≧0、y>0、z>0)、一般式ASiO(x≧0、y>0、z>0)等で表される材料を用いることができるが限定されない。
【0268】
但し、式中Aはアルカリ金属又はアルカリ土類金属である。
【0269】
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等があるが限定されない。
【0270】
アルカリ土類金属としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等があるが限定されない。
【0271】
また、式中Mは遷移金属である。
【0272】
遷移金属としては例えば鉄、ニッケル、マンガン、コバルト等があるが限定されない。
【0273】
なお、Mは2種類以上の金属でも良く、例えば鉄とニッケルとの組み合わせ、鉄とマンガン、鉄とニッケルとマンガンとの組み合わせ等があるが限定されない。
【0274】
また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む層に炭素を主成分とする導電助剤を添加しても良い。
【0275】
また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む層としてアルカリ金属膜又はアルカリ土類金属膜、シリコンにアルカリ金属又はアルカリ土類金属を添加した膜、炭素にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を添加した膜等を用いても良い。
【0276】
<セパレータ>
電解質が液体の場合、絶縁性のセパレータを設けると好ましい。
【0277】
セパレータとしては、例えば、紙、不織布、ガラス繊維、合成繊維等を用いることができるが限定されない。
【0278】
合成繊維としては、例えば、ナイロン、ビニロン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル等があるが限定されない。
【0279】
<第2の電極>
第2の電極としては実施の形態1乃至10に記載した電極を用いることができる。
【0280】
<スペーサ、ワッシャー、第1の筐体、第2の筐体>
導電性材料であればどのようなものでも用いることができる。
【0281】
SUS(ステンレス鋼)等が特に好適である。
【0282】
<絶縁物>
絶縁性材料であればどのようなものでも用いることができる。
【0283】
ポリプロピレン等が特に好適である。
【0284】
本実施の形態は、他の全ての実施の形態及び他の実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0285】
(実施の形態12)
蓄電装置を備えた電気装置について説明する。
【0286】
図18(A)及び図18(B)において、電気装置1000は、少なくとも、電源負荷部1100と、電源負荷部1100と電気的に接続された蓄電装置1200と、蓄電装置1200に電気的に接続されたアンテナを有する回路1300と、を有する。
【0287】
また、図18(B)においては、電源負荷部1100とアンテナを有する回路1300とが電気的に接続されている。
【0288】
なお、図18(A)及び図18(B)において、電気装置1000は、電源負荷部1100、蓄電装置1200、アンテナを有する回路1300以外の構成を有していても良い。
【0289】
また、電気装置1000は少なくとも電気エネルギーより駆動する機能を有する装置である。
【0290】
電気装置1000としては、例えば、電子機器、電気推進車両等がある。
【0291】
電子機器としては、例えば、カメラ、携帯電話、携帯情報端末、携帯型ゲーム機、表示装置、コンピュータ等があるが限定されない。
【0292】
電気推進車両としては、例えば、電気エネルギーを利用して推進する自動車(図20(A))、電気エネルギーを利用して推進する車椅子(図20(B))、電気エネルギーを利用して推進するバイク、電気エネルギーを利用して推進する列車等があるが限定されない。
【0293】
電源負荷部1100は、例えば、電気装置1000が電子機器の場合は駆動回路等であり、電気装置1000が電気推進車両の場合はモーター等である。
【0294】
蓄電装置1200は少なくとも蓄電機能を有する装置であればどのようなものでも良い。
【0295】
なお、蓄電装置1200として他の実施の形態又は他の実施例に記載されたものを用いると特に好適である。
【0296】
アンテナを有する回路1300は、少なくともアンテナを有する。
【0297】
また、アンテナを有する回路1300は、アンテナで受信した信号を処理して蓄電装置1200に伝える信号処理回路を有していると好ましい。
【0298】
ここで、図18(A)は無線充電を行う機能だけを有する例を示してあり、図18(B)は無線充電を行う機能及び情報の送受信を行う機能を有する例を示してある。
【0299】
そして、図18(B)のように情報の送受信を行う機能を有する場合は、アンテナを有する回路1300が復調回路、変調回路、整流回路等を有していると好ましい。
【0300】
なお、図18(A)及び図18(B)において、蓄電装置1200と電源負荷部1100との間に、蓄電装置1200から供給される電流、又は、蓄電装置1200から印加される電圧を一定電圧に変換する電源回路を設けることによって、電源負荷部1100に過電流が流れることを防止することができる。
【0301】
また、電流が逆流しないようにするために、蓄電装置1200とアンテナを有する回路1300との間に逆流防止回路を設けると好ましい。
【0302】
逆流防止回路としては例えばダイオード等がある。
【0303】
逆流防止回路としてダイオードを用いる場合、アンテナを有する回路1300から蓄電装置1200に向かってダイオードを順バイアス接続することが好ましい。
【0304】
本実施の形態は、他の全ての実施の形態及び他の実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0305】
図16の構造と同様の蓄電装置であるサンプル1及び比較サンプルを形成した。
【0306】
なお、サンプル1と比較サンプルとは第2の電極300の材料が異なるだけでその他の条件は共通している。
【0307】
<サンプル1及び比較サンプルの共通条件>
第1の電極100として参照用電極であるリチウム電極を用いた。
【0308】
セパレータ200としてポリプロピレンを用いた。
【0309】
電解質としてエチレンカーボート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(EC:DEC=1:1)にLiPFを溶解させたものを用いた。
【0310】
スペーサ400、ワッシャー500、第1の筐体600、第2の筐体700にはSUSを用いた。
【0311】
<サンプル1の第2の電極300の作製>
集電体としてチタンシート(厚さ100μm)を用意した。
【0312】
そして、チタンシート上に熱CVD法によって結晶性シリコンを形成した。
【0313】
熱CVD法の条件としては、材料ガスとしてシラン(SiH)を用い、シラン流量を300sccmとし、成膜圧力を20Pa、基板温度(チタンシートの温度)を600℃とした。
【0314】
また、膜厚が突起部を含めて3.5μmとなるように成膜した。
【0315】
なお、結晶性シリコン成膜前に少量のヘリウムを成膜室に導入しながら基板(チタンシート)の昇温を行った。
【0316】
また、熱CVD装置の成膜室は石英製であった。
【0317】
<比較サンプルの第2の電極300の作製>
集電体としてチタンシート(厚さ100μm)を用意した。
【0318】
そして、チタンシート上にプラズマCVD法によって非晶質シリコンを形成し、該非晶質シリコンを結晶化して結晶性シリコンを形成した。
【0319】
プラズマCVD法の条件としては、材料ガスとしてシラン(SiH)と水素希釈(5%希釈)のホスフィン(PH)とを用い、シラン流量を60sccmとし、水素希釈のホスフィン流量を20sccmとし、成膜圧力を133Pa、基板温度(チタンシートの温度)を280℃とした。
【0320】
また、非晶質シリコンの厚さは3μmとなるように成膜した。
【0321】
次に非晶質シリコンをアルゴン雰囲気で700℃で6時間加熱して結晶質シリコンを形成した。
【0322】
<サンプル1の第2の電極300の形状と考察>
サンプル1の第2の電極300表面(結晶質シリコンの表面)の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)を図17に示す。
【0323】
図17から結晶性シリコン表面から柱状結晶が不規則に成長してウィスカーが形成されていることが分かる。
【0324】
なお、ウィスカーとは髭状突起をいう。
【0325】
また、図17を模式的に表すと図7のようになる。
【0326】
一方、比較サンプルの第2の電極300表面をSEMで観察してもウィスカーは観察されなかった。
【0327】
なお、サンプル1と比較サンプルを比較すると、比較サンプルはプラズマCVD法を用いているがサンプル1は熱CVD法を用いている点で相違する。
【0328】
なお、石英基板にサンプル1と同様の条件で結晶性シリコンを成膜したモニター1と、シリコンウェハにサンプル1と同様の条件で結晶性シリコンを成膜したモニター2と、を形成したがウィスカーは確認されなかった。
【0329】
よって、チタン上に熱CVD法で結晶性シリコンを形成すれば、図17のような結晶性シリコンが得られることが分かった。
【0330】
また、再現性を確認するために、再度サンプル1と同様の条件でチタンシート上に結晶性シリコンを形成する再現実験を行ったところ、やはりウィスカーが確認された。
【0331】
さらに、ガラス基板上に1μmのチタン膜を形成し、チタン膜上に熱CVD法を用いて結晶性シリコンを成膜した結果、やはりウィスカーが確認された。
【0332】
なお、1μmのチタン膜上に形成した結晶性シリコンの成膜条件は、ガラス基板の温度を600℃、シラン(SiH)流量を300sccm、成膜圧力を20Paとして行った。
【0333】
追加実験として、チタン膜に変えてニッケル膜上に熱CVD法を用いて結晶性シリコンを成膜した結果、ウィスカーが確認された。
【0334】
<サンプル1と比較サンプルの特性の比較>
充放電測定器を用いて、サンプル1の容量と比較サンプルの容量を測定した。
【0335】
充放電の測定には定電流方式を採用した。
【0336】
測定条件は、2.0mAの電流で充放電する条件でおこなった。
【0337】
また、上限電圧は1.0V、下限電圧は0.03Vとした。
【0338】
測定温度は室温とした。
【0339】
但し、該室温とはサンプルを意図的に加熱又は冷却していないことを示している。
【0340】
測定結果としては、サンプル1の活物質層の単位体積あたりの放電容量の初期特性が7300mAh/cmであり、比較サンプルの活物質層の単位体積あたりの放電容量の初期特性が4050mAh/cmであった。ここでは、サンプル1の活物質層の厚さは3.5μm、比較サンプルの活物質層の厚さは3.5μmとして容量を算出した。なお、ここに示す容量は、リチウムの放電時の容量である。
【0341】
したがって、サンプル1の容量が比較サンプルの容量と比較して約1.8倍あることがわかった。
【符号の説明】
【0342】
100 第1の電極
200 セパレータ
300 第2の電極
301 集電体
302 シリコンを主成分とする層
303 複数の粒子
304 保護膜
310 シリコンを主成分とする層
400 スペーサ
500 ワッシャー
600 第1の筐体
700 第2の筐体
800 絶縁物
901 リード線
902 リード線
999 棒
1000 電気装置
1100 電源負荷部
1200 蓄電装置
1300 アンテナを有する回路
9000 マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた電解質と、を有し、
前記第2の電極は活物質を含む複数の突起部を有する活物質層を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記活物質層は、前記複数の突起部上又は前記複数の突起部の隙間に配置された活物質を含む複数の粒子を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記複数の粒子には、前記複数の突起部の一部が折れて形成された粒子が含まれていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3において、
前記複数の突起部及び前記複数の粒子は、活物質又は金属材料を含む保護膜に被覆されていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記複数の突起部の形状は不規則であることを特徴とする蓄電装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記複数の突起部が局所的に折れていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記複数の突起部の隙間に活物質を含む表面を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の蓄電装置を備えた電気装置。
【請求項9】
蓄電装置に用いる電極であって、
活物質を含む複数の突起部を有する活物質層を有することを特徴とする電極。
【請求項10】
請求項9において、
前記活物質層は、前記複数の突起部上又は前記複数の突起部の隙間に配置された活物質を含む複数の粒子を有することを特徴とする電極。
【請求項11】
請求項10において、
前記複数の粒子には、前記複数の突起部の一部が折れて形成された粒子が含まれていることを特徴とする電極。
【請求項12】
請求項10又は請求項11において、
前記複数の突起部及び前記複数の粒子は、活物質又は金属材料を含む保護膜に被覆されていることを特徴とする電極。
【請求項13】
請求項9乃至請求項12のいずれか一項において、
前記複数の突起部の形状は不規則であることを特徴とする電極。
【請求項14】
請求項9乃至請求項13のいずれか一項において、
前記複数の突起部が局所的に折れていることを特徴とする電極。
【請求項15】
請求項9乃至請求項14のいずれか一項において、
前記複数の突起部の隙間に活物質を含む表面を有することを特徴とする電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−9431(P2012−9431A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117537(P2011−117537)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】