説明

蓄電装置

【課題】 所定方向に延びる複数の蓄電素子を保持する構造を提供する。
【解決手段】 蓄電装置(1)は、複数の蓄電素子(10)およびホルダ(20)を有する。ホルダは、複数の蓄電素子が所定方向(X方向)と直交する面内で並べられた状態において、複数の蓄電素子を保持する。ホルダは、一対のプレート(21,22)および進入部材(23)を有する。一対のプレートは、所定方向と直交する面内に配置され、各蓄電素子を貫通させる開口部(21a,22a)を有する。進入部材は、一対のプレートによって挟まれ、進入部材の一部は、開口部および蓄電素子の間に進入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子を保持する構造を備えた蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜4では、いわゆる円筒型の単電池を用いて組電池を構成しており、円筒型の単電池を保持する構造が記載されている。単電池を保持する構造としては、複数のホルダを用いて、単電池の長手方向における両端部を支持している。各ホルダは、単電池の外周に沿った形状に形成された部分を用いて、単電池を支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−045691号公報
【特許文献2】特開平11−154499号公報
【特許文献3】特開2010−009798号公報
【特許文献4】特開2009−289656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単電池の長手方向における両端部を支持する構造では、複数の単電池を保持する構造が複雑になってしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明である蓄電装置は、複数の蓄電素子およびホルダを有する。複数の蓄電素子のそれぞれは、所定方向に延びている。ホルダは、複数の蓄電素子が所定方向と直交する面内で並べられた状態において、複数の蓄電素子を保持する。また、ホルダは、一対のプレートおよび進入部材を有する。一対のプレートは、所定方向と直交する面内に配置され、各蓄電素子を貫通させる開口部を有する。進入部材は、一対のプレートによって挟まれ、進入部材の一部は、開口部および蓄電素子の間に進入する。
【0006】
進入部材としては、弾性変形するゴムを用いることができる。この場合には、進入部材を弾性変形させた状態において、一対のプレートを互いに固定することができる。これにより、進入部材の一部を、開口部および蓄電素子の間に進入させたままとすることができる。
【0007】
ゴムで形成された進入部材には、各蓄電素子を貫通させる開口部を設けることができる。進入部材に複数の開口部を形成することにより、複数の蓄電素子をホルダに対して容易に固定することができるとともに、ホルダの部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0008】
一方、進入部材としては、接着剤を用いることができる。接着剤は、一対のプレートのうち、少なくとも一方に塗布しておくことができる。また、接着剤としては、一方のプレートに塗布された主剤と、他方のプレートに塗布された硬化剤とを用いることができる。主剤および硬化剤を混合することにより、一対のプレートを接着することができる。また、一対のプレートを突き合わせるときに、開口部および蓄電素子の間に、接着剤を進入させて硬化させることができる。
【0009】
プレートの外縁に沿った位置に、閉塞部材を配置することができる。閉塞部材は、進入部材がプレートの外縁から突出するのを阻止することができる。これにより、開口部および蓄電素子の間に形成された隙間に対して、進入部材の一部を進入させやすくなる。一方、蓄電素子としては、いわゆる円筒型の蓄電素子を用いることができる。円筒型の蓄電素子では、所定方向と直交する面における蓄電素子の断面形状が円形に形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一対のプレートによって進入部材を挟み、進入部材の一部を、開口部および蓄電素子の間に形成された隙間に進入させている。これにより、ホルダに対して複数の蓄電素子を容易に固定することができる。また、ホルダは、一対のプレートおよび進入部材で構成でき、ホルダの構造を簡素化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1である電池パックの外観図である。
【図2】実施例1である電池パックの側面図である。
【図3】実施例1である電池パックの分解図である。
【図4】実施例2である電池パックの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1である電池パック(蓄電装置に相当する)の外観図である。図1において、X軸、Y軸およびZ軸は、互いに直交する軸である。X軸、Y軸およびZ軸の関係は、他の図面においても同様である。
【0014】
電池パック1は、複数の単電池(蓄電素子に相当する)10を有する。単電池10は、いわゆる円筒型の単電池である。すなわち、単電池10は、X方向に延びており、単電池10をY−Z平面で切断したときの断面形状は、円形に形成されている。図1では、2つの単電池10を示しているが、単電池10の数は、適宜設定することができる。
【0015】
単電池10としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることができる。電池パック1は、例えば、車両を走行させるための動力源として用いることができる。
【0016】
図2に示すように、X方向における単電池10の両端面には、正極端子11および負極端子12が設けられている。図2は、図1に示す電池パック1をY方向から見たときの側面図である。単電池10は、電池ケース13と、電池ケース13の内部に配置された発電要素14とを有する。電池ケース13の一部は、正極端子11および負極端子12を構成している。
【0017】
本実施例において、正極端子11は、凸面で構成されており、負極端子12は、平坦な面で構成されているが、これに限るものではない。具体的には、正極端子11および負極端子12を、凸面で構成することができる。
【0018】
発電要素14は、正極板と、負極板と、正極板および負極板の間に配置されたセパレータとを有する。セパレータは、電解液を含んでいる。正極板は、集電板と、集電板の表面に形成された正極活物質層とを有する。正極活物質層は、例えば、正極に対応する活物質と、導電剤と、バインダーとを含んでいる。発電要素14の正極板は、単電池10の正極端子11と電気的に接続されている。
【0019】
負極板は、集電板と、集電板の表面に形成された負極活物質層とを有する。負極活物質層は、例えば、負極に対応する活物質と、導電剤と、バインダーとを含んでいる。発電要素14の負極板は、単電池10の負極端子12と電気的に接続されている。
【0020】
ホルダ20は、複数の単電池10を保持する。ホルダ20は、X方向に延びる単電池10であれば、この単電池10を保持することができる。
【0021】
本実施例では、正極端子11(又は負極端子12)が、ホルダ20に対して同一の側に位置するように、複数の単電池10が配置されている。複数の単電池10における複数の正極端子11には、1つのバスバーが接触し、複数の単電池10における複数の負極端子12には、1つのバスバーが接触する。これにより、複数の単電池10は、電気的に並列に接続されることになる。
【0022】
なお、本実施例では、複数の単電池10を電気的に並列に接続しているが、複数の単電池10を電気的に直列に接続することもできる。2つの単電池10を電気的に直列に接続するときには、一方の単電池10の正極端子11と、他方の単電池10の負極端子12とを、ホルダ20に対して同一の側に配置することが好ましい。
【0023】
これにより、バスバーを用いて、2つの単電池10を電気的に直列に接続し易くなる。すなわち、ホルダ20に対して同一の側に位置する正極端子11および負極端子12に対して、バスバーを接続するだけでよい。複数の単電池10を電気的に直列に接続するときには、単電池10の数に対応した数のバスバーを用意しておく必要がある。複数のバスバーを、樹脂などの絶縁材料で形成されたホルダによって保持すれば、複数のバスバーを取り扱い易くなる。
【0024】
本実施例では、複数の単電池10を保持したホルダ20を、パックケースに収容することができる。パックケースには、電池パック1の入出力端子としての正極端子および負極端子を設けておくことができる。正極端子は、複数の正極端子11と接続された1つのバスバーに接続することができる。負極端子は、複数の負極端子12と接続された1つのバスバーに接続することができる。
【0025】
ホルダ20は、一対の剛性プレート21,22と、弾性プレート(進入部材に相当する)23とを有する。剛性プレート21,22は、単電池10を保持する機能を有するとともに、弾性プレート23を変形させる機能を有する。剛性プレート21,22は、Y−Z平面内に配置される。剛性プレート21,22は、例えば、アルミニウムといった金属で形成することができる。
【0026】
剛性プレート21,22を金属で形成すれば、単電池10で発生した熱を大気中に放出しやすくなる。単電池10は、充放電などによって発熱するが、剛性プレート21,22を金属で形成することにより、単電池10で発生した熱を剛性プレート21,22に逃がしやすくなる。これにより、単電池10の温度上昇を抑制することができる。
【0027】
剛性プレート21,22の放熱性を向上させるために、剛性プレート21,22にフィンを設けることができる。フィンは、剛性プレート21,22の互いに向かい合う面とは異なる面に設けることができる。剛性プレート21,22にフィンを設けることにより、剛性プレート21,22の剛性を向上させることもできる。
【0028】
剛性プレート21,22は、単電池10を貫通させる開口部21a,22aを有する。開口部21aは、単電池10の数だけ設けられており、単電池10の外周面に沿った形状に形成されている。本実施例では、単電池10の外周面が円形に形成されているため、開口部21aも円形に形成されている。開口部21aの径は、単電池10の径と略等しくなっている。同様に、開口部22aは、単電池10の数だけ設けられており、単電池10の外周面に沿った形状(円形)に形成されている。そして、開口部22aの径は、単電池10の径と略等しくなっている。
【0029】
開口部21a,22aの径が単電池10の径よりも小さいと、単電池10を開口部21a,22aに挿入できなくなってしまう。また、開口部21a,22aの径が単電池10の径に対して大きすぎると、開口部21a,22aを用いて単電池10を保持し難くなってしまう。
【0030】
単電池10を挿入する点と、単電池10を保持する点とを考慮して、開口部21a,22aの径を設定することができる。ここで、単電池10の製造誤差によって、単電池10の径にバラツキが発生することもあるため、単電池10の径のバラツキも考慮して、開口部21a,22aの径を設定することができる。
【0031】
本実施例では、開口部21a,22aの径を互いに等しくしているが、開口部21a,22aの径を異ならせることもできる。具体的には、開口部21a,22aの一方の径を、単電池10の径と等しくしておき、他方の径を、単電池10の径よりも大きくすることができる。
【0032】
剛性プレート21,22の外縁21b,22bをY−Z平面内で合わせると、複数の開口部21aと、複数の開口部22aとは、X方向において互いに重なる。このため、互いに重なった開口部21a,22aに対して、単電池10を挿入することができる。
【0033】
本実施例において、剛性プレート21,22は、同一の構造を有し、同一の材質で形成されているが、構造および材質の少なくとも一方を異ならせることもできる。
【0034】
構造を異ならせる場合としては、例えば、剛性プレート21,22の厚さ(X方向の長さ)を異ならせたり、外形を異ならせたりすることができる。外形を異ならせる場合としては、例えば、剛性プレート21にフィンを設け、剛性プレート22にフィンを設けないことができる。材質を異ならせる場合としては、例えば、互いに異なる金属材料を用いることができる。
【0035】
弾性プレート23は、弾性変形する材料で形成されている。弾性プレート23の材料としては、例えば、ゴムを用いることができる。弾性プレート23は、単電池10を貫通させる開口部23aを有しており、開口部23aは、単電池10の数だけ設けられている。
【0036】
開口部23aは、単電池10の外周に沿った形状(円形)に形成されており、開口部23aの径は、単電池10の径と等しくなっている。ここで、弾性プレート23は、弾性変形することができるため、開口部23aに単電池10を挿入することができれば、開口部23aの径を、単電池10の径よりも小さくすることもできる。
【0037】
弾性プレート23の外縁23bは、剛性プレート21,22の外縁21b,22bに沿って形成されている。すなわち、X方向から見たときに、弾性プレート23の外縁23bは、剛性プレート21,22の外縁21b,22bに沿っている。
【0038】
図3に示すように、弾性プレート23は、一対の剛性プレート21,22によってX方向で圧縮されることにより、弾性変形する。ここで、弾性プレート23と接触する剛性プレート21,22の面は、平坦な面で構成されている。また、剛性プレート21,22と接触する弾性プレート23の面も、平坦な面で構成されている。
【0039】
一対の剛性プレート21,22が弾性プレート23を挟むことにより、弾性プレート23が変形して、弾性プレート23の厚さ(X方向の長さ)が薄くなる。また、弾性プレート23の厚さが薄くなることに応じて、弾性プレート23の一部(開口部23aの周辺)は、開口部21a(又は開口部22a)と単電池10の外周面との間に形成された隙間に対して、変形しながら進入する。
【0040】
弾性プレート23の一部が、開口部21a,22aおよび単電池10の間に形成された隙間に進入することにより、単電池10を固定することができる。弾性プレート23の厚さ(X方向の長さ)は、弾性プレート23の硬度などを考慮して、適宜設定することができる。
【0041】
一対の剛性プレート21,22は、弾性プレート23を変形させたままの状態において、互いに固定される。剛性プレート21,22は、互いに固定されていればよく、剛性プレート21,22を固定する構造は、適宜選択することができる。例えば、ボルトおよびナットを用いて、剛性プレート21,22を固定したり、剛性プレート21,22を溶接したりすることができる。
【0042】
本実施例において、剛性プレート21,22の外縁21b,22bは、パックケースに接触させることができる。一対の剛性プレート21,22が弾性プレート23を圧縮すると、弾性プレート23の弾性変形によって、弾性プレート23の一部が、剛性プレート21,22の外縁21b,22bから突出するおそれがある。
【0043】
そこで、剛性プレート21,22の外縁21b,22bをパックケースで覆うことにより、弾性プレート23の一部が、剛性プレート21,22の外縁21b,22bから突出するのを阻止することができる。弾性プレート23の一部が外縁21b,22bから突出するのを阻止することにより、弾性プレート23の一部を、開口部21a,22aおよび単電池10の間に形成された隙間に移動させやすくすることができる。
【0044】
なお、パックケース(閉塞部材に相当する)の代わりに、剛性プレート21,22の外縁21b,22bを囲むための枠部材(閉塞部材に相当する)を用いることもできる。
【0045】
本実施例では、弾性プレート23に複数の開口部23aを形成しているが、これに限るものではない。すなわち、一対の剛性プレート21,22が弾性体を挟んだ状態において、弾性体の一部を、開口部21a,22aおよび単電池10の間に形成された隙間に進入させることができればよい。
【0046】
例えば、各単電池10の外周面に対して、リング形状の弾性体を取り付けておき、一対の剛性プレート21,22によって弾性体を挟むとともに、弾性体の一部を、開口部21a,22aおよび単電池10の間に形成された隙間に進入させることができる。複数の単電池10に取り付けられるリング形状の弾性体は、別体として構成することもできるし、複数の弾性体を互いに繋ぐことによって一体として構成することもできる。
【0047】
本実施例において、弾性プレート23の厚さ(X方向の長さ)は均一であるが、これに限るものではない。例えば、開口部23aの周辺における厚さを、他の領域における厚さよりも厚くすることができる。これにより、開口部23aの周囲に位置する部分を、変形させて、開口部21a,22aおよび単電池10の間の隙間に進入させやすくすることができる。
【0048】
ここで、開口部21a,22aの周辺部分の厚さは、Y−Z平面内で開口部21a,22aから離れるにつれて薄くすることができる。すなわち、開口部21a,22aの周辺部分において、テーパ面を形成することができる。このように構成しても、弾性プレート23の一部を、開口部21a,22aおよび単電池10の間の隙間に進入させやすくすることができる。
【0049】
本実施例において、弾性プレート23と接触する剛性プレート21,22の面は、平坦な面で構成されているが、これに限るものではない。具体的には、弾性プレート23と接触する剛性プレート21,22の面に、X方向に突出する突起部を設けることができる。突起部は、開口部21a,22aの周囲に設けることができる。
【0050】
突起部を用いることにより、弾性プレート23の一部を、開口部21a,22aおよび単電池10の間の隙間に進入させやすくすることができる。すなわち、突起部が弾性プレート23を押すことにより、開口部23aの周辺部分を変形させやすくすることができる。突起部は、開口部21a,22aに沿うようにリング状に形成することができる。また、開口部21a,22aの同心円状の軌跡に沿って、複数の突起部を設けることもできる。
【0051】
突起部は、剛性プレート21,22の少なくとも一方に形成することができる。剛性プレート21,22の両方に突起部を設けるときには、剛性プレート21の突起部と、剛性プレート22の突起部は、X方向で対向していないことが好ましい。剛性プレート21,22に設けられた突起部が、X方向で対向していると、これらの突起部によって、弾性プレート23の変形が抑制されてしまうおそれがある。
【0052】
また、突起部の高さ(X方向の長さ)は、剛性プレート21,22によって弾性変形させる前(自然状態)の弾性プレート23の厚さよりも小さいことが好ましい。突起部の高さが、自然状態の弾性プレート23の厚さよりも大きいと、突起部によって、弾性プレート23の変形が抑制されてしまうおそれがある。
【0053】
本実施例では、剛性プレート21,22に対して、単電池10の数だけ、開口部21a,22aを形成しているが、これに限るものではない。Y−Z平面内で隣り合う複数の開口部21a(又は開口部22a)は、一部において、繋がっていてもよい。ここで、複数の開口部21a(又は開口部22a)を繋げる領域が広がると、開口部21a(又は開口部22a)によって単電池10を保持しにくくなることがある。この点を考慮して、複数の開口部21a(又は開口部22a)を繋げることもできる。
【0054】
本実施例におけるホルダ20は、一対の剛性プレート21,22および弾性プレート23を有しているが、これに限るものではない。具体的には、3つ以上の剛性プレートを用いることもできる。この場合において、弾性プレートは、X方向で隣り合う2つの剛性プレートによって挟まれていればよい。
【0055】
本実施例において、弾性プレート23の開口部23aは、円形に形成されているが、これに限るものではない。開口部23aは、単電池10の外周面と密接できればよい。例えば、開口部23aの外形を多角形とすることができる。多角形の開口部23aを用いれば、開口部23aの一部の領域を、単電池10の外周面に密接させることができ、単電池10をホルダ20上で固定することができる。
【0056】
また、剛性プレート21,22に形成された開口部21a,22aは、単電池10を貫通させることができればよく、開口部21a,22aを、円形以外の形状に形成することができる。具体的には、開口部21a,22aの外形を多角形とすることができる。
【実施例2】
【0057】
本発明の実施例2である電池パックについて説明する。本実施例において、実施例1で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
【0058】
実施例1では、一対の剛性プレート21,22の間に、弾性プレート23を配置しているが、本実施例では、一対の剛性プレート21,22の間に、接着剤(進入部材に相当する)を配置している。本実施例では、実施例1と異なる点について、主に説明する。
【0059】
図4は、ホルダ20を組み立てる前の状態を示している。剛性プレート21のうち、剛性プレート22と対向する面には、主剤31が塗布されている。主剤31が塗布される剛性プレート21の面は、平坦な面で構成されている。剛性プレート22のうち、剛性プレート21と対向する面には、硬化剤32が塗布されている。硬化剤32が塗布される剛性プレート22の面は、平坦な面で構成されている。
【0060】
剛性プレート21,22をX方向で近づけることにより、主剤31および硬化剤32を混合することができる。主剤31および硬化剤32を混合することにより、一対の剛性プレート21,22を接着することができる。主剤31としては、例えば、エポキシ樹脂を用いることができる。また、硬化剤32としては、例えば、ポリアミド樹脂やポリチオール樹脂を用いることができる。主剤31および硬化剤32の材料を適宜設定することにより、接着剤の硬化時間を設定することができる。
【0061】
一対の剛性プレート21,22を突き合わせたとき、主剤31および硬化剤32を含む層は、剛性プレート21,22の間に存在するとともに、一部が、開口部21a,22aおよび単電池10の間に形成された隙間に浸入する。
【0062】
主剤31および硬化剤32を含む層が、剛性プレート21,22の間で硬化することにより、剛性プレート21,22を接着することができる。また、主剤31および硬化剤32を含む層の一部が、開口部21a,22aと単電池10の外周面との間に形成された隙間に浸入して硬化することにより、開口部21a,22aに対して単電池10を固定することができる。
【0063】
本実施例によれば、流動性を有する主剤31および硬化剤32を用いているため、一対の剛性プレート21,22を容易に突き合わせることができる。主剤31および硬化剤32を硬化させることにより、剛性プレート21,22を容易に固定することができる。また、実施例1と同様に、剛性プレート21,22の外縁21b,22bを、パックケースで囲むことにより、剛性プレート21,22を突き合わせたときに、剛性プレート21,22の外縁21b,22bから主剤31および硬化剤32が漏れてしまうのを阻止することができる。
【0064】
なお、パックケースの代わりに、剛性プレート21,22の外縁21b,22bを囲むための枠部材を用いることもできる。枠部材は、剛性プレート21,22を接着するときに用い、剛性プレート21,22を接着した後では、枠部材を取り外すことができる。
【0065】
外縁21b,22bから主剤31および硬化剤32が漏れてしまうのを阻止することにより、開口部21a,22aおよび単電池10の間に形成されたスペースに対して、主剤31および硬化剤32を浸入し易くすることができる。
【0066】
本実施例では、剛性プレート21,22に、主剤31および硬化剤32をそれぞれ塗布しているが、これに限るものではない。すなわち、剛性プレート21,22を接着するとともに、開口部21a,22aおよび単電池10の間に形成されたスペースに接着剤を浸入させることができればよい。
【0067】
例えば、剛性プレート21のうち、剛性プレート22と対向する面だけに接着剤を塗布しておくことができる。この場合には、剛性プレート21,22を突き合わせることにより、剛性プレート21,22の間で接着剤を硬化させるとともに、開口部21a,22aおよび単電池10の間の隙間に接着剤を浸入させて硬化させることができる。
【符号の説明】
【0068】
1:電池パック(蓄電装置) 10:単電池(蓄電素子)
11:正極端子 12:負極端子
13:電池ケース 14:発電要素
20:ホルダ 21,22:剛性プレート
21a,22a:開口部 21b:外縁
23:弾性プレート(進入部材) 23a:開口部
23b:外縁 31:主剤
32:硬化剤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向にそれぞれ延びる複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子が前記所定方向と直交する面内で並べられた状態において、前記複数の蓄電素子を保持するホルダと、を有し、
前記ホルダは、
前記所定方向と直交する面内に配置され、前記各蓄電素子を貫通させる開口部を有する一対のプレートと、
前記一対のプレートによって挟まれ、一部が前記開口部および前記蓄電素子の間に進入する進入部材と、
を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記進入部材は、前記一対のプレートによって挟まれて弾性変形するゴムであることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記一対のプレートは、前記進入部材を弾性変形させた状態において、互いに固定されていることを特徴とする請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記進入部材は、前記各蓄電素子を貫通させる開口部を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記進入部材は、接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記接着剤は、一方の前記プレートに塗布された主剤と、他方の前記プレートに塗布された硬化剤とが混合していることを特徴とする請求項5に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記プレートの外縁に沿って配置され、前記進入部材が前記プレートの外縁から突出するのを阻止する閉塞部材を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記所定方向と直交する面における前記蓄電素子の断面形状が円形であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の蓄電装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−234699(P2012−234699A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102284(P2011−102284)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】