説明

蓋付き容器

【課題】指を汚すことなく、袋体に収容された流動体状の添加食品を搾り出すことができる蓋付き容器を提供することを目的としている。
【解決手段】食品を収容する容器本体2と、容器本体2の開放口側の端部にヒンジ部3を介して連結された蓋体4と、を備え、容器本体2とヒンジ部3と蓋体4とが一体に成形されている蓋付き容器1であって、ヒンジ部3は互いに間隔をあけて複数設けられ、隣り合うヒンジ部3,3の間には、流動体状の添加食品を収容した袋体Y1が挿入可能な開口6が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用の蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記の蓋付き容器として、特許文献1に開示されているように、例えば納豆を収容するための蓋付き容器がある。この納豆用の蓋付き容器は、納豆を収容する平面視矩形の浅皿状の容器本体と、その容器本体の開放口側の端部に薄肉のヒンジ部(折り曲げ部)を介して連結された蓋体と、を備えており、上記した容器本体、ヒンジ部及び蓋体は一体に成形されている。また、上記ヒンジ部は、容器平面視における容器本体の一辺の全長に亘って延設されている。また、上記した納豆用の蓋付き容器には、納豆の他に、納豆に添加するタレや辛子等の調味料を収容した袋体が収容されている場合が多い。
【0003】
上記した蓋付き容器に収容された納豆を食する際には、まず、蓋体をあけて容器本体の中に収容されている調味料の袋体を取り出す。そして、この袋体を開封し、袋体内の調味料を容器本体内の納豆に添加する。
【特許文献1】特開2006−199364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の蓋付き容器では、袋体に収容された調味料を納豆に添加する際、袋体内の調味料を手で搾り出そうとすると、指に調味料が付着して汚れるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、指を汚すことなく、袋体に収容された流動体状の添加食品を搾り出すことができる蓋付き容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る蓋付き容器は、食品を収容する容器本体と、該容器本体の開放口側の端部にヒンジ部を介して連結された蓋体と、を備え、前記容器本体と前記ヒンジ部と前記蓋体とが一体に成形されている蓋付き容器であって、前記ヒンジ部は互いに間隔をあけて複数設けられ、隣り合う前記ヒンジ部の間には、流動体状の添加食品を収容した袋体が挿入可能な開口が形成されていることを特徴としている。
【0007】
このような特徴により、袋体内の添加食品を容器本体内の食品に添加する際、まず、蓋体を開けて、開封した袋体をヒンジ部間の開口の中に挿入する。このとき、袋体の開封口を容器本体の内側へ向けておく。その後、蓋体を閉じる。これにより、上記開口内に挿入された袋体は、容器本体と蓋体とで挟まれた状態となる。次に、上記袋体を容器の外側へ引き出すように引っ張る。これにより、袋体の中に収容された添加食品は、容器本体の中に搾り出される。
【0008】
また、本発明に係る蓋付き容器は、前記容器本体の開放口側の端部に、容器側フランジ部が設けられているとともに、前記蓋体の外縁部に、該蓋体が閉じられた状態において前記容器側フランジ部に重ねられる蓋側フランジ部が設けられ、前記ヒンジ部が、前記容器側フランジ部と前記蓋側フランジ部との間に形成されていることが好ましい。
【0009】
これにより、上記開口に袋体が挿入された状態で蓋体を閉じたとき、前記袋体は、容器側フランジ部と蓋側フランジ部との間に挟まれる。つまり、袋体は、面(フランジ面)と面(フランジ面)との間に挟み込まれる。
【0010】
また、本発明に係る蓋付き容器は、隣り合う前記ヒンジ部の間に、環状のミシン目が形成されており、該ミシン目に沿って切断して該ミシン目の内側を抜き取ることにより、前記開口が形成されることが好ましい。
【0011】
上記のような蓋付き容器では、ミシン目に沿って切断する前は、ヒンジ部間の開口が塞がれた状態となるため、容器強度が向上する。したがって、ミシン目を切断せずに商品を搬送したり店頭に陳列したりする。また、ミシン目が形成されているため、ミシン目に沿って容易に切断することが可能である。したがって、消費者が食品を食する際に、消費者の手でミシン目に沿って切断してミシン目の内側を抜き取ることで、ヒンジ部間の開口が形成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る蓋付き容器によれば、添加食品を収容した袋体をヒンジ部間の開口に挿入した後、蓋体を閉じて蓋体と容器本体との間に袋体を挟み込み、その後、袋体を容器外側に引っ張ることで、指を汚すことなく、袋体内の添加食品を容器本体内に搾り出すことができる。また、袋体内の添加食品の残量を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る蓋付き容器の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0014】
図1〜図3は本発明の一例である蓋付き容器1を表した斜視図である。
図1〜図3に示すように、蓋付き容器1は、納豆X(本発明の食品に相当する。)用の容器であり、例えばポリスチレン等からなる合成樹脂製の容器である。なお、紙等の合成樹脂以外の材料からなる容器であってもよい。
【0015】
蓋付き容器1は、納豆Xを収容する容器本体2と、容器本体2の開放口2a側の端部(上端部)にヒンジ部3を介して連結された蓋体4と、を備えている。上記した容器本体2とヒンジ部3と蓋体4とは一体に成形されている。
【0016】
容器本体2は、上側に開放された矩形箱状のものであり、その開放口2a側の端部に容器側フランジ部22が形成されている。詳しく説明すると、容器本体2は、略矩形状の底板部20と、底板部20の外縁から立設された側板部21と、側板部21の上端から容器本体2の外方側に突出した容器側フランジ部22と、を備えている。上記側板部21及び容器側フランジ部22は、容器本体2の全周に亘ってそれぞれ形成されている。
【0017】
蓋体4は、中央部が一方側(図3に示す閉じられた状態において上側)に膨出された浅皿形状のものであり、その外縁部に蓋側フランジ部42が形成されている。詳しく説明すると、蓋体4は、略矩形状の天板部40と、天板部40の外縁から垂設された側板部41と、側板部41の下端から蓋体4の外方側に突出した蓋側フランジ部42と、を備えている。上記側板部41及び蓋側フランジ部42は、蓋体4の全周に亘ってそれぞれ形成されている。また、側板部41は、天板部40側から蓋側フランジ部42側に向うに従い漸次拡径されたテーパー形状になっている。また、蓋側フランジ部42は、上記した容器側フランジ部22と同一形状を成しており、図3に示すように、蓋体4が閉状態において上記した容器側フランジ部22に重ね合わせられる。
【0018】
ヒンジ部3は、蓋体4を開閉させるための薄肉の折り曲げ部であり、このヒンジ部3によって容器本体2と蓋体4とはヒンジ部3の軸線L周りに相対的に回転可能になっている。このヒンジ部3は、容器側フランジ部22の外縁部と蓋側フランジ部42の外縁部との間に形成されている。また、ヒンジ部3は、容器側フランジ部22や蓋側フランジ部42の延在方向に間隔をあけて複数(2つ)設けられている。これら隣り合う一対のヒンジ部3,3の間には、開口6が形成されている。この開口6は、後述する袋体(タレ袋Y1や辛子袋Y2)の中に収容された添加食品(タレや辛子)を容器本体2内に搾り出すための開口であって、タレ袋Y1や辛子袋Y2が挿入可能な大きさを成している。詳しく説明すると、容器本体2の容器側フランジ部22の中央部分、及び、前記容器側フランジ部22に対応する蓋側フランジ部42の中央部分には、コ字状の切欠き22a,42aがそれぞれ形成されており、蓋体4が開けられた状態において、上記切欠き22a,42aが向かい合わせに配設されて矩形状の開口6が形成されている。
【0019】
また、上記した構成からなる蓋付き容器1内には、流動体状の添加食品を収容した袋体、具体的に説明すると、タレを収容したタレ袋Y1と、辛子を収容した辛子袋Y2がそれぞれ収容されている。より詳しく説明すると、図1に示すように、蓋付き容器1内には、納豆Xが収容されており、この納豆Xの上には、ビニールシートZが被覆されている。さらに、そのビニールシートZの上に、上記したタレ袋Y1及び辛子袋Y2がそれぞれ載せられている。
【0020】
次に、上記した構成からなる蓋付き容器1の作用について説明する。
【0021】
まず、図1に示すように、蓋体4をヒンジ部3の軸線L周りに回転させて蓋体4を開ける。そして、容器本体2内に収容されているタレ袋Y1及び辛子袋Y2をそれぞれ取り出すとともに、ビニールシートZを納豆Xから剥し取る。
次に、図2に示すように、タレ袋Y1を開封し、その開封されたタレ袋Y1をヒンジ部3,3間の開口6の中に挿入する。このとき、タレ袋Y1の開封口を容器本体2の内側へ向けてタレ袋Y1を配置する。
【0022】
次に、図3に示すように、蓋体4をヒンジ部3の軸線L周りに回転させて蓋体4を閉じる。これにより、上記開口6内に挿入されたタレ袋Y1は、容器本体2と蓋体4とで挟んだ状態、つまり容器側フランジ部22と蓋側フランジ部42との間に挟み込まれた状態となる。
次に、図3に示すように、開口6から蓋付き容器1の外部へ突出した上記タレ袋Y1の端部(タレ袋Y1の開封口側の反対側部分)を摘んで、当該タレ袋Y1を容器1の外側(図3に示す矢印方向)へ引き出すように引っ張る。これにより、タレ袋Y1の中に収容されたタレが容器本体2の中に搾り出される。
なお、辛子袋Y2内の辛子も、上述したタレ袋Y1と同様にして容器本体2の中に搾り出される。
【0023】
上記した構成からなる蓋付き容器1によれば、指を汚すことなく、タレ袋Y1内のタレや辛子袋Y2内の辛子を容器本体2内に搾り出すことができる。つまり、タレ袋Y1内のタレや辛子袋Y2内の辛子を搾り出す際に、タレや辛子が指に付着するのを防ぐことができる。また、タレ袋Y1内のタレや辛子袋Y2内の辛子の残量を低減させることができる。
【0024】
また、上記した構成からなる蓋付き容器1によれば、開口6内にタレ袋Y1や辛子袋Y2を挿入した後に蓋体4を閉じたとき、タレ袋Y1や辛子袋Y2は、容器側フランジ部22と蓋側フランジ部42との間、つまり面と面との間に挟み込まれるため、タレ袋Y1内のタレや辛子袋Y2内の辛子が、より一層搾り出し易くなる。
【0025】
以上、本発明に係る蓋付き容器の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、ヒンジ部3,3間に開口6が予め形成された形状になっているが、本発明は、商品(納豆X)を消費する際に開口6が開けられる構成であってもよい。詳しく説明すると、図4に示すように、隣り合うヒンジ部3,3の間に、環状のミシン目7が形成され、このミシン目7に沿って切断してミシン目7の内側を抜き取ることにより、上記開口6が形成される構成にすることも可能である。上記したミシン目7は、手で切断できる程度の易裂性を有するものである。このような蓋付き容器1では、ミシン目7に沿って切断する前は、ヒンジ部3,3間の開口6が塞がれた状態となっているため、蓋付き容器1の強度が向上する。したがって、ミシン目7を切断せずに商品を搬送したり店頭に陳列したりすることで、商品流通時や商品陳列時の衝撃で蓋付き容器1のヒンジ部3が破損することを防止することができる。また、ミシン目7に沿って容易に切断することが可能であるため、消費者が食品を食する際に、消費者の手でミシン目7に沿って切断することで、ヒンジ部3,3間の開口6が簡単に形成される。これにより、消費者にとって使い易い蓋付き容器1となる。
【0026】
また、上記した実施の形態では、容器本体2や蓋体4が矩形状になっているが、本発明は、容器本体2や蓋体4の形状は適宜変更可能であり、例えば、平面視円形の丸型の容器本体と蓋体であってもよい。
【0027】
また、上記した実施の形態では、ヒンジ部3が2つ備えられ、これらヒンジ部3,3間に開口6が1つ形成されているが、本発明は、ヒンジ部3が3つ以上備えられ、開口6が2つ以上形成されていてもよい。
【0028】
また、上記した実施の形態では、容器本体2内に納豆Xが収容されており、また、ヒンジ部3,3間の開口6によってタレ袋Y1内のタレや辛子袋Y2内の辛子が搾り出される構成になっているが、本発明は、納豆Xを収容するための蓋付き容器1に限定されるものではなく、納豆X以外の食品を収容する蓋付き容器であってもよい。例えば、カップ焼きそば用の蓋付き容器としても用いることが可能であり、この場合、液体ソース等が収容された袋体を開口6によって搾り出すことができる。
【0029】
また、上記した実施の形態では、タレ袋Y1や辛子袋Y2が納豆Xとともに容器本体2内に収容されているが、本発明は、添加食品を収容した袋体(タレ袋Y1や辛子袋Y2等)が、蓋体4内に収容された構成であってもよく、或いは、蓋付き容器1の外面にテープ等で貼り付けられた構成であってもよい。さらに、本発明は、添加食品を収容した袋体が、蓋付き容器1とは別になっていてもよい。
【0030】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための蓋付き容器の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態を説明するための蓋付き容器の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態を説明するための蓋付き容器の斜視図である。
【図4】本発明の他の実施の形態を説明するための蓋付き容器の斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 蓋付き容器
2 容器本体
3 ヒンジ部
4 蓋体
6 開口
7 ミシン目
22 容器側フランジ部
42 蓋側フランジ部
X 納豆(食品)
Y1 タレ袋(袋体)
Y2 辛子袋(袋体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を収容する容器本体と、該容器本体の開放口側の端部にヒンジ部を介して連結された蓋体と、を備え、前記容器本体と前記ヒンジ部と前記蓋体とが一体に成形されている蓋付き容器であって、
前記ヒンジ部は互いに間隔をあけて複数設けられ、隣り合う前記ヒンジ部の間には、流動体状の添加食品を収容した袋体が挿入可能な開口が形成されていることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項2】
請求項1記載の蓋付き容器において、
前記容器本体の開放口側の端部には、容器側フランジ部が設けられているとともに、前記蓋体の外縁部には、該蓋体が閉じられた状態において前記容器側フランジ部に重ねられる蓋側フランジ部が設けられ、
前記ヒンジ部は、前記容器側フランジ部と前記蓋側フランジ部との間に形成されていることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項3】
請求項1または2記載の蓋付き容器において、
隣り合う前記ヒンジ部の間には、環状のミシン目が形成されており、
該ミシン目に沿って切断して該ミシン目の内側を抜き取ることにより、前記開口が形成されることを特徴とする蓋付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−35271(P2009−35271A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199231(P2007−199231)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】