説明

蓋部開閉装置、記録装置

【課題】 閉じたときに外観に凹凸がなく、かつ、操作性がよい蓋部開閉装置を提供すること。
【解決手段】 蓋部開閉装置(310)は、本体部(250)と、該本体部(250)に対して回動して開閉可能な蓋部(256)と、前記本体部側に設けられ回動可能な係合部(321)と、該係合部(321)の基準姿勢から回動に伴って弾性変形することによって該係合部(321)を、該係合部の回動方向へ付勢可能な弾性部(322)と、前記蓋部(256)の自由端側に設けられ、前記係合部(321)と係合可能な被係合部(325)と、を備え、前記係合部(321)は、前記蓋部(256)の閉状態において、前記蓋部(256)の姿勢に対して開閉方向開側に傾いた前記基準姿勢で前記被係合部(325)と係合する構成であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋部開閉装置の本体部と、該本体部に対して回動して開閉可能な蓋部と、を備えた蓋部開閉装置および該蓋部開閉装置を備えた記録装置に関する。
本願において、記録装置には、インクジェットプリンタ、ワイヤドットプリンタ、レーザープリンタ、ラインプリンタ、複写機、ファクシミリ等の種類が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来では、記録装置は、蓋部開閉装置の一例として排紙トレイ開閉装置を備えていた。該排紙トレイ開閉装置は、記録装置本体に対して開閉可能な排紙トレイを有していた。前記記録装置を使用しないときは、前記排紙トレイが不要であるため、該排紙トレイを閉じてコンパクトにすることができた。一方、前記記録装置を使用するときは、前記排紙トレイを開いて記録した用紙を載置することができた。
【0003】
そして、前記排紙トレイの閉じた状態を保持する機構として、主として三種類の機構があった。このうち、一つ目(以下、従来形態1)は、磁石によって保持して押出しレバーによって保持状態を解除する機構である。二つ目(以下、従来形態2)は、爪の係合によって保持して排紙レバーに設けられた取手部を引っ張ることによって保持状態を解除する機構である(例えば、特許文献1)。三つ目(以下、従来形態3)は、記録装置本体側にハートカムによる二安定位置を有するラッチ機構を設けて、該ラッチ機構の先端に磁石を配設した構成である。具体的には、磁石によって前記閉じた状態を保持し、前記ラッチ機構の安定状態を切替える際の付勢力によって保持状態を解除する構成である。
【0004】
図14に示すのは、従来形態1の磁石によって保持して押出しレバーによって保持状態を解除する機構を備えた記録装置を示す斜視図である。
図14に示す如く、従来形態1の記録装置401は、上方にパネルカバー402と、前方に排紙トレイ406とを備えていた。排紙トレイ406は、一対の支軸部407、407を支点に開閉可能に設けられていた。さらに、該支点を基準とした先端側に金属片(図示せず)を有していた。そして、閉じた状態では、前方に設けられた磁石404の磁力によって排紙トレイ406の姿勢が保持されるように構成されていた。
【0005】
そして、排紙トレイ406を開く際、ユーザは、先ず、パネルカバー402を開く。次に開ボタン403を押す。ここで、開ボタン403を押すことによって、前方の押出しレバー405が前方に突出するように構成されていた。従って、磁石404による保持状態を解除することができる。具体的には、押出しレバー405によって排紙トレイ406を強制的に磁力が作用しない範囲まで移動させる。従って、排紙トレイ406には、開閉方向閉側に作用する力が及ばないので、排紙トレイ406は自重によって前方である開側へ回動する。その結果、開いた状態となる。
一方、排紙トレイ406を閉じる際、ユーザは、排紙トレイ406を開閉方向閉側へ回動させる。そして、磁石404の磁力が作用する範囲まで回動させる。すると、磁力によって閉じた状態となり保持される。
【0006】
図15(A)(B)に示すのは、従来形態2の爪係合によって保持して取手部を引っ張ることによって保持状態を解除する機構を備えた記録装置を示す概略側断面図である。このうち、図15(A)は排紙トレイが閉じた状態である。一方、図15(B)は排紙トレイが開いた状態である。
図15(A)(B)に示す如く、従来形態2の記録装置501は、前方に排紙トレイ502を備えていた。排紙トレイ502は支軸部503を支点に回動可能に設けられていた。また、記録装置本体側には、爪部506が設けられていた。一方、排紙トレイ側には、爪部506と係合可能な凹部505が設けられていた。閉じた状態では、爪部506が凹部505と係合することによって、排紙トレイ502の閉じた状態を保持することができる。
【0007】
そして、排紙トレイ502を開く際、ユーザは、排紙トレイ502に設けられた取手部504を開閉方向開側へ引っ張ることによって、爪部506と凹部505との係合状態を解除することができる。その後、排紙トレイ502を開側へ回動させることによって、開いた状態にすることができる。
一方、排紙トレイ502を閉じる際、ユーザは、排紙トレイ502を開閉方向閉側へ回動させる。そして、閉側へ押し込むことによって、爪部506と凹部505とを係合させ閉じた状態を保持することができる。
【0008】
図16(A)(B)に示すのは、従来形態3の記録装置本体側にハートカムを有するラッチ機構を設けて、該ラッチ機構の先端に磁石を配設した構成を備えた記録装置を示す概略側断面図である。このうち、図16(A)は排紙トレイが閉じた状態である。一方、図16(B)は排紙トレイが開いた状態である。
図16(A)(B)に示す如く、従来形態3の記録装置601は、前方に排紙トレイ602を備えていた。排紙トレイ602は支軸部603を支点に回動可能に設けられていた。さらに、該支点を基準とした先端側に金属片(図示せず)を有していた。
【0009】
また、記録装置本体側には、ラッチ機構604が設けられていた。ラッチ機構604は、記録装置本体側に固定されたラッチ基部605と、押出し移動部606と、磁石607とを備えていた。このうち、押出し移動部606は、ラッチばね(図示せず)の付勢力によって、ラッチ基部605に対して排紙トレイ602の開閉方向に移動可能に設けられていた。また、磁石607は、押出し移動部606の開閉方向開側に設けられていた。
【0010】
またさらに、ラッチ機構604は、公知技術であるハートカムを有し、押出し移動部606が第1の位置および該第1の位置よる閉側である第2の位置に安定するように構成されていた。即ち、前記第1の位置に安定する第1安定状態と、前記第2の位置に安定する第2安定状態とを有していた。さらに、前記第1の位置および第2の位置より閉側の第3の位置において、前記第1安定状態と前記第2安定状態とを切り替わるように構成されていた。
【0011】
ここで、図16(A)に示すラッチ機構604は第2安定状態である。即ち、押出し移動部606は第2の位置である。また、図16(B)に示すラッチ機構604は第1安定状態である。即ち、押出し移動部606は第1の位置である。
従って、閉じた状態では、排紙トレイ602は、第2の位置の押出し移動部606によって位置決めされ、磁石607によって保持されている。
【0012】
そして、排紙トレイ602を開く際、ユーザは、閉側へ排紙トレイ602を押し込み、押出し移動部606を第3の位置へ移動させる。すると、ラッチ機構604は第2安定状態から第1安定状態へ切り替わる。その後、ユーザは、排紙トレイ602から手を離すと、ラッチ機構604のラッチばねの付勢力によって、押出し移動部606および排紙トレイ602は開閉方向開側へ移動する。そして、押出し移動部606は、図16(B)に示す第1の位置で停止する。
【0013】
このとき、排紙トレイ602は勢いよく移動するので、押出し移動部606が停止した場合であっても、磁石607の磁力が作用しない範囲まで移動することができる。即ち、慣性によってそのまま開側へ回動することができる。従って、開いた状態にすることができる。
一方、排紙トレイ602を閉じる際、ユーザは、排紙トレイ602を閉側へ回動させる。そして、排紙トレイ602は、第1の位置の押出し移動部606と当接すると同時に磁石607の磁力によって保持される。
【0014】
その後、ユーザは、さらに排紙トレイ602を閉側へ押し込むことによって、押出し移動部606を第3の位置まで移動させる。すると、ラッチ機構604は、第1安定状態から第2安定状態へ切り替わる。そして、ユーザが排紙トレイ602から手を離すと、ラッチばねの付勢力によって、排紙トレイ602および押出し移動部606は、開閉方向開側へ移動する。その後、押出し移動部606は図16(A)に示す第2の位置で停止する。
このとき、排紙トレイ602は、磁石607の磁力によって押出し移動部606と一体に保持されているので、第2の位置の押出し移動部606によって位置決めされる。従って、閉じた状態にすることができる。
【特許文献1】特開2004−059180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、図14に示す従来形態1では、排紙トレイ406を開くために先ず、パネルカバー402を開く工程、次に開ボタン403を押す工程の二つの工程を必要とする。従って、ユーザにとって利便性が欠ける。また、開ボタン403が排紙トレイ406から離れているため、直感的に操作が解りにくかった。ここで、開ボタン403は、記録装置401の前面を凹凸なく仕上げるために上方のパネルカバー内に設けられていた。
【0016】
また、図15(A)(B)に示す従来形態2では、記録装置501の前面に取手部504が突出しており凹凸となるので、好ましくない。またさらに、ユーザは、排紙トレイ502を開く際、閉じる際の押し込む力と逆方向の引っ張る力を作用させなければならない。そして、ユーザの引っ張る力によって爪部506の係合状態を解除しなければならないため、強く引っ張る必要がある。即ち、操作性に欠ける。
【0017】
またさらに、図16(A)(B)に示す従来形態3では、閉じた状態の排紙トレイ602は、第1の位置の押出し移動部606によって位置決めされている。ここで、押出し移動部606の先端の位置は、ハートカム等のラッチ機構自体の公差および押出し移動部606の公差によって、バラツキが生じる虞がある。特に移動可能に設けられている押出し移動部606の位置にバラツキが生じる虞がある。従って、閉じた状態の排紙トレイ602の位置が、記録装置本体の外面と同一面上に位置しない虞がある。即ち、排紙トレイ602が前記外面において凹凸を形成する虞がある。また、開く際に排紙トレイ602が磁石607から離間しない虞があった。即ち、完全に開かない虞があった。
【0018】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、閉じたときに外観に凹凸がなく、かつ、操作性がよい蓋部開閉装置および該蓋部開閉装置を備えた記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様の蓋部開閉装置は、該蓋部開閉装置の本体部と、該本体部に対して回動して開閉可能な蓋部と、前記本体部側に設けられ回動可能な係合部と、該係合部の基準姿勢を基準とした回動に伴って弾性変形することによって該係合部を、該係合部の回動方向と逆方向へ付勢可能な弾性部と、前記蓋部の自由端側に設けられ、前記係合部と係合可能な被係合部と、を備え、前記係合部は、前記蓋部の閉状態において、前記基準姿勢で前記被係合部と係合し、前記基準姿勢は、閉状態の前記蓋部の姿勢に対して開閉方向開側に傾いた構成であることを特徴とする。
ここで、「蓋部の姿勢」とは、前記蓋部の支点と、前記被係合部とを結ぶ線の姿勢をいう。
【0020】
本発明の第1の態様によれば、前記係合部は、前記蓋部の閉状態において、前記基準姿勢で前記被係合部と係合し、前記基準姿勢は、閉状態の前記蓋部の姿勢に対して開閉方向開側に傾いた構成である。従って、ユーザが閉状態の前記蓋部を閉方向へ押し込んだとき、前記弾性部によって開閉方向開側の付勢力を発生させることできる。その結果、該付勢力によって前記係合部と前記被係合部との係合を解除して前記蓋部を開状態にすることができる。即ち、従来の構成で必要であったハートカムラッチおよび取手部が不要である。
また、前記係合部と前記被係合部とを係合させて閉状態とするので、前記本体部の外面と、前記蓋部の外面とを容易に同一面上にすることができる。
【0021】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記蓋部の開動作の際、前記蓋部の閉状態である第1位置から、ユーザに押圧されて開閉方向閉側に移動した第2位置において、前記係合部の姿勢は、開閉方向閉側に回動して前記蓋部の姿勢と平行となる構成であることを特徴とする。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、前記蓋部の開動作の際、前記蓋部の閉状態である第1位置から、ユーザに押圧されて開閉方向閉側に移動した第2位置において、前記係合部の姿勢は、開閉方向閉側に回動して前記蓋部の姿勢と平行となる構成である。従って、前記弾性部で発生させた付勢力を開閉方向開側へ効率良く作用させることができる。
また、該作用させた後、前記係合部の姿勢は、前記基準姿勢に戻ろうとする。即ち、開閉方向開側へ傾いた姿勢となる。
その結果、前記係合部と前記被係合部との係合を容易に解除することができる。
【0022】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記蓋部の開動作の際、前記係合部は、前記基準姿勢より開閉方向開側へ回動した姿勢となって、前記被係合部との係合が解除される構成であることを特徴とする。
本発明の第3の態様によれば、第2の態様と同様の作用効果に加え、前記蓋部の開動作の際、前記係合部は、前記基準姿勢より開閉方向開側へ回動した姿勢となって、前記被係合部との係合が解除される構成である。
ここで、前記係合部が前記基準姿勢より開閉方向開側へ回動した姿勢のとき、前記弾性部で前記基準姿勢に戻す付勢力が生じるが、前記蓋部の開閉移動方向と大きな角度で交差するため、前記蓋部の開閉方向閉側へ作用する分力は微小である。
従って、前記係合部と前記被係合部との係合をより一層容易に解除することができる。
【0023】
本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれか一の態様において、前記蓋部の閉状態である第1位置から、ユーザに押圧されて第1位置より開閉方向閉側に移動した第2位置において、前記蓋部の開閉方向閉側への移動を規制する回動規制部を有することを特徴とする。
本発明の第4の態様によれば、第1から第3のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記蓋部の閉状態である第1位置から、ユーザに押圧されて第1位置より開閉方向閉側に移動した第2位置において、前記蓋部の開閉方向閉側への移動を規制する回動規制部を有する。従って、前記蓋部が開閉方向閉側へ移動したとき、第2位置で度当たるようにすることができる。
【0024】
具体的には、前記蓋部が開閉方向閉側へ移動している最中は、前記係合部と前記被係合部との係合が解除されないように構成することができる。その後、前記付勢力によって前記蓋部が開閉方向開側へ移動した際、前記係合が解除されるように構成することができる。
また、第2位置を前記係合部の姿勢が前記蓋部に対して平行となる位置とすることが可能である。
【0025】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記回動規制部は、前記第1位置より開閉方向閉側において、前記蓋部を開閉方向開側へ付勢可能な構成であることを特徴とする。
本発明の第5の態様によれば、第4の態様と同様の作用効果に加え、前記回動規制部は、前記第1位置より開閉方向閉側において、前記蓋部を開閉方向開側へ付勢可能な構成である。従って、前記弾性部によって生じた開閉方向開側への付勢力をアシストすることができる。その結果、前記係合部と前記被係合部との係合をより一層容易に解除することができる。
また、閉動作のとき、前記蓋部は前記第1位置より開閉方向閉側まで移動せずに前記係合部と前記被係合部とを係合させることができる。
ここで、前記付勢可能な構成は、前記第1位置より開閉方向閉側においてのみ作用する。
従って、前記付勢可能な構成は、閉動作を妨げる虞がない。
【0026】
本発明の第6の態様は、第1から第5のいずれか一の態様において、前記蓋部の閉動作の際、前記基準姿勢の係合部を開閉方向開側へ回動させて前記係合部と前記被係合部とが係合する構成であることを特徴とする。
本発明の第6の態様によれば、第1から第5のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記蓋部の閉動作の際、前記基準姿勢の係合部を開閉方向開側へ回動させて前記係合部と前記被係合部とが係合する構成である。従って、閉動作の際に作用する開閉方向開側の付勢力を、前記係合部を開閉方向閉側へ回動させた場合と比較して小さくすることができる。その結果、前記係合部と前記被係合部とを容易に係合することができる。
【0027】
本発明の第7の態様は、第1から第6のいずれか一の態様において、前記係合部および前記被係合部のいずれか一方の接触部は、ローラを有することを特徴とする。
本発明の第7の態様によれば、第1から第6のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記係合部および前記被係合部のいずれか一方の接触部は、ローラを有する。従って、前記係合部と前記被係合部とが接触するときの摩擦抵抗を低減することができる。その結果、前記係合および係合解除を容易に行うことができる。
【0028】
本発明の第8の態様の記録装置は、被記録媒体を搬送する搬送部と、該搬送部から搬送された被記録媒体に記録ヘッドにより記録を実行する記録部と、基体部に対して開閉可能な揺動部と、を備えた記録装置であって、前記揺動部は、上記第1から第7のいずれかの態様の前記蓋部開閉装置を備え、前記蓋部の閉状態における前記係合部と前記被係合部との係合力は、前記搬送部が被記録媒体を搬送する搬送力より小であることを特徴とする。
本発明の第8の態様によれば、前記揺動部は、上記第1から第7のいずれかの態様の前記蓋部開閉装置を備えている。従って、前記記録装置において、上記第1から第7のいずれかの態様と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、前記蓋部の閉状態における前記係合部と前記被係合部との係合力は、前記搬送部が被記録媒体を搬送する搬送力より小である。従って、前記蓋部が閉状態のときに記録が実行された場合であっても、前記搬送力によって前記係合部と前記被係合部との係合を解除することができる。その結果、被記録媒体を記録装置内部から外部へ排出することができる。即ち、排出不良である所謂、排出ジャムが発生する虞がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本発明に係る液体噴射装置の一例である記録装置を示す全体斜視図である。
液体噴射装置とは、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから記録紙等の被記録材へインクを噴射して被記録材への記録を実行するインクジェット式記録装置、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えて特定の用途に対応する液体を前述した記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから、被記録材に相当する被噴射材に噴射して、液体を被噴射材に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0030】
またさらに、液体噴射ヘッドとしては、前述した記録ヘッド以外に、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料を噴射する試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0031】
図1に示す如く、記録装置100は、記録装置本体部250と、排出トレイ256と、パネルカバー蓋部251と、ハンドル部252とを備えている。従って、ユーザは、ハンドル部252を持って、記録装置100を持ち運ぶことができる。そして、ユーザは、水平で平坦なところに記録装置100を載置する。
【0032】
このとき、排出トレイ256は、記録装置本体部250に対して閉じた状態である。また、後述するように、排出トレイ256は、記録装置本体部250の外面と同一面上に位置する。即ち、排出トレイ256と、記録装置本体部250の外面との間に段差がない状態である。
また、パネルカバー蓋部251は、記録装置本体部250に対して閉じた状態である。
【0033】
図2に示すのは、ユーザが使用する際の記録装置を示す全体斜視図である。
図2に示す如く、記録装置100は、上面に開閉可能なパネルカバー蓋部251を備えている。ハンドル部252を下げた後にパネルカバー蓋部251を開くと、第1操作部257および第2操作部300から構成される操作部270と、後述する給送部144とが現れる。
第1操作部257は、記録装置本体部250自体を起動するための電源ボタン258を有する。
【0034】
また、詳しくは後述するように、ユーザが排出トレイ256を押すと弾性軸部322、322(図5〜図7参照)の付勢力F(図5〜図7参照)が発生するように構成されている。そして、該付勢力F(図5〜図7参照)によって、後述する爪係合機構320(図4参照)の係合が解除され、排出トレイ256が一対の第1支軸部309、309を支点に開くように構成されている。排出トレイ256が開くと、排出開口部255が現れる。そして、記録が実行された用紙P(図3参照)が、排出開口部255から排出されるように設けられている。このとき、排出された用紙Pは、排出トレイ256に載置される。
またさらに、記録装置100の背面側には、背面側蓋部253が設けられている。記録装置100は、背面側蓋部253を開くことによって、インクカートリッジの着脱を行うことができるように設けられている。
【0035】
また、第2操作部側に設けられた一対の軸係合部は、記録装置本体側に設けられた一対の第2支軸部301、301と係合可能に設けられている。即ち、第2操作部300は、記録装置本体部250に対して着脱可能に設けられている。そして、第2操作部300は、パネルカバー蓋部251を開いた状態、かつ、第2操作部300が記録装置本体部250に取り付けられた状態において、第2支軸部301、301を支点に上下方向に向きを変える所謂、チルト機構を有している。
従って、ユーザにとって表示部302に表示された画像が見易い角度に調整することができる。
【0036】
続いて、記録装置内部について説明する。
図3に示すのは、本発明に係る記録装置内部の概略を示す全体斜視図である。
記録装置100の本体の背面側には、被記録媒体としての用紙Pが載置されるホッパ101が、上方を支点に揺動可能に設けられている。ホッパ101の最上位に載置された用紙Pは、給送部144によって、搬送方向下流側である記録部側へ給送される。
【0037】
具体的には、載置された用紙Pは、給送用モータ104によって駆動する給送ローラ(図示せず)によりピックアップされる。そして、用紙ガイド103、103に案内されながら搬送方向の下流側の搬送部145の搬送ローラ対(図示せず)へと給送される。搬送ローラ対まで給送された用紙Pは、搬送用モータ(図示せず)によって駆動する搬送ローラ対により、さらに搬送方向の下流側の記録部143へと搬送される。
【0038】
記録部143は、用紙Pを下方から支持するプラテン105と、プラテン105の上方側に対向するように設けられたキャリッジ107とによって構成される。そのうち、キャリッジ107は、主走査方向へ延びたキャリッジガイド軸(図示せず)に案内されながらキャリッジモータ102によって駆動する。さらに、キャリッジ107の底面部には、用紙Pへ向かってインクを吐出する記録ヘッド106が設けられている。
【0039】
記録部143で記録された用紙Pは、さらに下流側へと搬送される。そして、排出部254に設けられた排出ローラ(図示せず)によって記録装置100の正面側の排出開口部255(図2参照)から排出される。
尚、排出部254は、排出トレイ256(図1および図2参照)、排出ローラ、および排出開口部255を有する。
【0040】
また、記録装置100の本体下方の着脱装置201には、インクカートリッジ(図示せず)が装填され、インク供給針(図示せず)を介してインク供給路(図示せず)へとインクが供給される。さらに、インク供給チューブ110を介してキャリッジ107の記録ヘッド106まで供給される。そして、記録ヘッド106のフラッシング時、およびクリーニング時には、1桁側に設けられ、記録部143の吐出特性を維持する吐出特性維持部としてのインク吸引装置200においてインクの吐出・吸引動作が行われる。インク吸引装置200は、キャップ部213を備え、キャップ部213を上下方向へ移動させて記録ヘッド106を封止することができるように構成されている。
【0041】
[閉状態から開動作]
続いて、排出トレイ256の開閉動作について説明する。
図4に示すのは、排出トレイ閉状態である保持状態の排出トレイを示す概略側断面図である。また、図5(A)(B)に示すのは、爪部と弾性軸部とを示す拡大斜視図である。
図4に示す如く、記録装置100の排出部254に設けられたカバー開閉装置310は、記録装置本体部250と、排出トレイ256と、爪係合機構320とを備えている。このうち、爪係合機構320は、排出トレイ側に設けられた凹部325と、記録装置本体部側に設けられた爪部321とを有する。また、爪部321は、弾性軸部322、322を支点に回動可能に設けられている。そして、爪部321が凹部325と係合することによって、排出トレイ256の位置および姿勢を保持することができる。
【0042】
このとき、排出トレイ256の外面は、記録装置本体部250の外面と段差のない同一面上に位置する。また、凹部325には爪部321との関係において所謂、遊びが設けられている。そこで、排出トレイ256の自重によって開閉方向開側へ僅かに付勢されている。従って、排出トレイ256がカタカタと動く虞がない。その結果、爪係合機構320は、排出トレイ256の位置および姿勢を保持することができる。該保持した状態において、爪部321の姿勢は、排出トレイ256の姿勢に対して開閉方向開側へ傾いているように構成されている。本願において、該保持した状態の該姿勢を爪部321の基準姿勢とする。また、該保持した状態の排出トレイ256の位置を第1位置とする。
【0043】
また、排出トレイ256における凹部325の開閉方向閉側には、開閉方向に対して傾斜した傾斜部326が設けられている。傾斜部326は、後述するように、爪部321が凹部325と係合する際に爪部321を開閉方向開側へ回動させるように設けられている。
またさらに、記録装置本体部250において、排出トレイ256の開閉方向閉側には度当て部327が設けられている。度当て部327は、後述するように、排出トレイ256の開閉方向閉側への移動を規制することができるように設けられている。
【0044】
続いて、爪部321および弾性軸部322、322の構造について説明する。
図5(A)に示す如く、爪部321の回動支点である弾性軸部322、322は、弾性部材によって形成されている。従って、白矢印の方向に外力が作用すると、爪部321は、白矢印の方向へ回動する。このとき、弾性軸部322、322は、ねじれるように弾性変形することができ、元の状態に戻ろうとする力を発生させることができる。具体的には、白矢印と反対方向である黒矢印の方向へ付勢力Fを発生させることができる。
【0045】
尚、弾性軸部自体の材質を弾性部材で形成しなくてもよい。
図5(B)に示す如く、前述した弾性軸部に代えて爪軸部323、323の両側端部にそれぞれ軸コイルばね324、324の一端を嵌合し、他端を記録装置本体部250と嵌合してもよい。係る場合、軸コイルばね324、324がねじる方向へ弾性変形することによって、同様の付勢力Fを発生させることができる。また、ばね係数の異なる軸コイルばね324、324に変更することによって、容易に付勢力Fを調整することができる。
【0046】
図6に示すのは、オーバーストローク状態である第2位置の排出トレイを示す概略側断面図である。
図6に示す如く、図4の状態からユーザが排出トレイ256を開閉方向閉側へ押すと、排出トレイ256が開閉方向閉側へ移動する。
このとき、爪部321は、凹部325と係合しているので、開閉方向閉側へ回動する。従って、前述したように弾性軸部322、322に付勢力Fを発生させることができる。
【0047】
そして、排出トレイ256は、度当て部327と当接して停止する。このときの排出トレイ256の位置を第2位置とする。従って、排出トレイ256は、ユーザに強く押圧された場合であっても、第2位置より開閉方向閉側へ移動する虞がない。その結果、ユーザに押圧されている間は、爪係合機構320の係合状態を保持することができる。即ち、爪部321が開閉方向閉側へ回動し過ぎることによって、爪係合機構320が解除する虞がない。
【0048】
また、排出トレイ256が第2位置のとき、爪部321の姿勢は、排出トレイ256の開閉方向と略直交した姿勢となる。即ち、爪部321の姿勢は、排出トレイ256の姿勢と略平行となる。このとき、爪部321の回動する範囲において、弾性軸部322、322の弾性変形量が最大であるので付勢力Fが最大となる。従って、最大となった弾性軸部322、322の付勢力Fを、効率よく排出トレイ256の開閉方向開側へ作用させることができる。
【0049】
図7に示すのは、係合を解除する際の排出トレイを示す概略側断面図である。
図7に示す如く、図6の状態からユーザが排出トレイ256から手を放すと、弾性軸部322、322の付勢力Fが、排出トレイ256に対して開閉方向開側へ作用する。従って、排出トレイ256は、開閉方向開側へ移動する。
このとき、爪部321は、付勢力Fを排出トレイ256に作用させながら基準姿勢に戻ろうとする。そして、爪部321は、基準姿勢に戻った後、排出トレイ256の慣性移動によって基準姿勢より開閉方向開側へ押圧される。従って、爪部321の姿勢は、基準姿勢より開閉方向開側へ傾いた姿勢となる。ここで、爪部321の姿勢は、基準姿勢よりも開閉方向開側へ傾いた姿勢となるので、排出トレイ256は、爪部321を乗越えやすい。
【0050】
また、弾性軸部322、322の付勢力が、図中における反時計方向へ作用する。
ここで、排出トレイ256の開閉方向とこのときの爪部321の回動方向との差は大きい。従って、爪部321が排出トレイ256を開閉方向閉側へ押圧する分力、即ち、ブレーキとなる力は、開閉方向開側へ作用した付勢力Fと比較して微小である。
その結果、排出トレイ256は、爪部321を容易に乗越えることができる。即ち、爪部321と凹部325との係合を解除することができる。
尚、爪部321の基準姿勢から開閉方向開側への回動量は、排出トレイ256が第1位置から第2位置へ移動した際の爪部321の回動量より小であるのが望ましい。
【0051】
図8に示すのは、排出トレイ開状態の排出トレイを示す概略側断面図である。
図8に示す如く、図7の状態からさらに排出トレイ256が開閉方向開側へ移動すると、前述したように排出トレイ256が記録装置100の前方へ開いた状態にすることができる(図2参照)。このとき、爪部321は、排出トレイ256から離間した後に基準姿勢となる。
【0052】
[開状態から閉動作]
図9に示すのは、排出トレイの開状態を示す概略側断面図である。
図9に示す如く、図8の状態からユーザが排出トレイ256を開閉方向閉側へ移動させる。
このとき、爪部321の姿勢は、前述したように基準姿勢である。即ち、開閉方向開側へ傾いた状態である。
【0053】
図10に示すのは、係合する際の状態の排出トレイを示す概略側断面図である。
図10に示す如く、図9の状態からさらにユーザが排出トレイ256を開閉方向閉側に移動させる。すると、排出トレイ256の傾斜部326が、爪部321と当接する。そして、ユーザが排出トレイ256を開閉方向閉側へ押圧すると、爪部321は、傾斜部326に乗り上げるようにして基準姿勢から開閉方向開側へ回動する。即ち、爪部321は、図中において時計方向へ回動する。
尚、傾斜部326の傾斜角度は、爪部321の時計方向へ回動させるように設けられているものとする。
【0054】
このとき、傾斜部326は、爪部321を開閉方向開側へ回動させるので、開閉方向閉側へ回動させた場合と比較して、弾性軸部322、322の弾性変形量を小さくすることができる。また、弾性軸部322、322の付勢力において、開閉方向開側に作用する分力を、開閉方向閉側へ回動させた場合と比較して小さくすることができる。
従って、排出トレイ256を閉じて爪係合機構320を係合させる際に必要なユーザの押圧力を、前記閉側へ回動させた場合と比較して、小さくすることができる。また、弾性変形量を小さくすることができるので、負担を小さくして弾性軸部322、322が破損する虞を低減することができる。
【0055】
また、爪部321を開閉方向開側へ回動させることによって、排出トレイ256が開状態から第1位置に達したときに爪係合機構320を係合状態にすることができる。即ち、爪部321を閉側へ回動させた場合、排出トレイ256が開状態から第1位置を通過して、さらに閉側へ押し込まないと係合しない。そして、度当て部327と当接する第2位置まで移動する間に係合するように構成しようとすると、凹部325の形状を開閉方向に伸ばす必要がある。従って、第1位置において、排出トレイ256の外面と記録装置本体部250の外面とが同一面上とならない虞が生じる。即ち、爪部321を閉側へ回動させた場合、様々な弊害が生じる虞がある。
そこで、本実施形態においては、爪部321を開閉方向開側へ回動させるので、前記虞がない。
【0056】
図11に示すのは、係合保持状態の排出トレイを示す概略側断面図である。
図11に示す如く、図10の状態からさらにユーザが排出トレイ256を開閉方向閉側に押圧すると、爪部321は、傾斜部326を乗越えることができる。
このとき、爪部321には、基準姿勢より開閉方向開側へ傾いた状態から基準姿勢に戻ろうとする力が作用する。即ち、図中における反時計方向へ回動しようとする。
【0057】
従って、爪部321が傾斜部326を乗越えて凹部325と対向したとき、反時計方向へ回動して凹部325と係合することができる。その結果、排出トレイ256を閉じた状態に保持することができる。即ち、排出トレイ256の外面と記録装置本体部250の外面とが同一面上である図4に示す状態と同じ状態となる。
【0058】
以上、説明したように、排出トレイ256を開閉する際、弾性軸部322、322の付勢力Fを利用することができる。従って、従来技術において必要であった磁石(図14に示す従来形態1)、取手部(図15に示す従来形態2)およびハートカムラッチ(図16に示す従来形態3)のいずれも必要とせずに、開閉動作を実行することができる。そして、排出トレイ256の外面と記録装置本体部250の外面を同一面上にすると共に該面を凹凸のない面にすることができる。
【0059】
また、排出トレイ256が閉じた状態の爪係合機構320の係合力である保持力は、記録装置100の内部の搬送部145の用紙Pを搬送する搬送力より小となるように構成されている。従って、排出トレイ256が閉じた状態で記録が実行された場合であっても、搬送力によって排出トレイ256を開くことができる。その結果、排出部254で用紙Pが詰まる所謂、排出ジャムが発生することを防止することができる。
【0060】
本実施形態の蓋部開閉装置としてのカバー開閉装置310は、カバー開閉装置310の本体部としての記録装置本体部250と、記録装置本体部250に対して回動して開閉可能な蓋部としての排出トレイ256と、記録装置本体部側に設けられ回動可能な係合部としての爪部321と、爪部321の基準姿勢を基準とした回動に伴って弾性変形することによって爪部321を、爪部321の回動方向と逆方向へ付勢可能な弾性部としての弾性軸部322、322と、排出トレイ256の自由端側に設けられ、爪部321と係合可能な被係合部としての凹部325と、を備えている。そして、爪部321は、排出トレイ256の閉状態において、前記基準姿勢で凹部325と係合し、前記基準姿勢は、閉状態の排出トレイ256の姿勢に対して開閉方向開側に傾いた構成であることを特徴とする。
【0061】
また、本実施形態において、排出トレイ256の開動作の際、排出トレイ256の閉状態である第1位置から、ユーザに押圧されて開閉方向閉側に移動した第2位置において、爪部321の姿勢は、開閉方向閉側に回動して排出トレイ256の姿勢と平行となる構成であることを特徴とする。
またさらに、本実施形態において、排出トレイ256の開動作の際、爪部321は、前記基準姿勢より開閉方向開側へ回動した姿勢となって、凹部325との係合が解除される構成であることを特徴とする。
【0062】
また、本実施形態のカバー開閉装置310は、排出トレイ256の閉状態である第1位置から、ユーザに押圧されて第1位置より開閉方向閉側に移動した第2位置において、排出トレイ256の開閉方向閉側への移動を規制する回動規制部としての度当て部327を有することを特徴とする。
またさらに、本実施形態において、排出トレイ256の閉動作の際、前記基準姿勢の爪部321を開閉方向開側へ回動させて爪部321と凹部325とが係合する構成であることを特徴とする。
【0063】
本実施形態の記録装置100は、被記録媒体の一例である用紙Pを搬送する搬送部145と、搬送部145から搬送された用紙Pに記録ヘッド106により記録を実行する記録部143と、基体部としての記録装置本体部250に対して開閉可能な揺動部としてのカバー開閉装置310と、を備えていることを特徴とする。
さらに、排出トレイ256の閉状態における爪部321と凹部325との係合力は、搬送部145が用紙Pを搬送する搬送力より小であることを特徴とする。
[他の実施形態1]
図12に示すのは、他の実施形態1に係る排出トレイの係合保持状態を示す概略側断面図である。
図12に示す如く、他の実施形態1に係るカバー開閉装置330は、付勢手段を有する度当て部331を備えている。具体的には、度当て部331は、当接部332と、付勢ばね333と、規制部334、334とを有する。
尚、その他の部材については、前述した実施形態と同様であるので、同じ符号を用いると共にその説明は省略する。
【0064】
このうち、付勢ばね333の一端は、当接部332と接続されている。そして、他端は、記録装置本体部250と接続されている。また、規制部334、334は、当接部332が開閉方向閉側へ押圧されたとき、当接部332を介して排出トレイ256を前述した実施形態の第2位置で閉側への移動を規制することができるように設けられている。
【0065】
さらに、前述した開動作の際(図5〜図8参照)、付勢ばね333の付勢力が、弾性軸部322、322の付勢力F(図6および図7参照)を補助することができる。その結果、排出トレイ256が爪部321をより確実に乗越えて係合を解除することができる。
【0066】
また、度当て部331は、当接部332が第1位置の排出トレイ256と離間するように設けられている。従って、閉じた状態の排出トレイ256の位置精度に影響を与える虞がない。
またさらに、閉動作の際(図9〜図11参照)は、付勢ばね333は作用しない。従って、ユーザの負荷を増大させる虞がない。
【0067】
他の実施形態1のカバー開閉装置330は、排出トレイ256の閉状態である第1位置から、ユーザに押圧されて第1位置より開閉方向閉側に移動した第2位置において、排出トレイ256の開閉方向閉側への移動を規制する回動規制部としての度当て部331を有することを特徴とする。
さらに、度当て部331は、第1位置より開閉方向閉側において、排出トレイ256を開閉方向開側へ付勢可能な構成であることを特徴とする。
[他の実施形態2]
図13に示すのは、他の実施形態2に係る排出トレイおよび爪部を示す概略側断面図である。
図13に示す如く、他の実施形態2に係るカバー開閉装置340の爪部341の先端には、回動自在なローラ342が設けられている。
尚、その他の部材については、前述した実施形態と同様であるので、同じ符号を用いると共にその説明は省略する。
【0068】
従って、爪部341が傾斜部326を乗越えて凹部325と係合する際、および係合解除する際、爪部341と排出トレイ256との接触箇所における摩擦抵抗を低減することができる。その結果、爪係合機構320の係合および係合解除を容易に切替えることができる。
尚、爪部側にローラ342を設けたが、排出トレイ側の傾斜部近傍にローラを設けてもよい。係る場合、同様の作用効果を得ることができる。
【0069】
他の実施形態2のカバー開閉装置340において、爪部341および凹部325のいずれか一方の接触部(前記接触箇所)は、ローラ342を有することを特徴とする。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本願発明に係る記録装置を示す全体斜視図(排出トレイ閉状態)。
【図2】本願発明に係る記録装置を示す全体斜視図(排出トレイ開状態)。
【図3】本願発明に係る記録装置内部の概略を示す全体斜視図。
【図4】排出トレイの動作を示す概略側断面図(保持状態)。
【図5】(A)(B)は爪部と弾性軸部とを示す拡大斜視図。
【図6】排出トレイの動作を示す概略側断面図(オーバーストローク状態)。
【図7】排出トレイの動作を示す概略側断面図(保持を解除する際の状態)。
【図8】排出トレイの動作を示す概略側断面図(排出トレイ開状態)。
【図9】排出トレイの動作を示す概略側断面図(排出トレイ開状態)。
【図10】排出トレイの動作を示す概略側断面図(係合する際の状態)。
【図11】排出トレイの動作を示す概略側断面図(保持状態)。
【図12】他の実施形態1に係る排出トレイの保持状態を示す概略側断面図。
【図13】他の実施形態2に係る排出トレイおよび爪部を示す概略側断面図。
【図14】従来形態1のカバー開閉装置を示す全体斜視図。
【図15】(A)(B)は従来形態2のカバー開閉装置を示す概略側断面図。
【図16】(A)(B)は従来形態3のカバー開閉装置を示す概略側断面図。
【符号の説明】
【0071】
100 記録装置、101 ホッパ、102 キャリッジモータ、103 用紙ガイド、
104 給送用モータ、105 プラテン、106 記録ヘッド、107 キャリッジ、
110 インク供給チューブ、143 記録部、144 給送部、145 搬送部、
200 インク吸引装置、201 着脱装置、213 キャップ部、
250 記録装置本体部、251 パネルカバー蓋部、252 ハンドル部、
253 背面側蓋部、254 排出部、255 排出開口部、256 排出トレイ、
257 第1操作部、258 電源ボタン、270 操作部、300 第2操作部、
301 第2支軸部、302 表示部、309 (排出トレイの)第1支軸部、
310 カバー開閉装置、320 爪係合機構、321 爪部、322 弾性軸部、
323 爪軸部、324 軸コイルばね、325 凹部、326 傾斜部、
327 度当て部、330 (他の実施形態1の)カバー開閉装置、
331 度当て部、332 当接部、333 付勢ばね、334 規制部、
340 (他の実施形態2の)カバー開閉装置、341 爪部、342 ローラ、
401 (従来形態1の)記録装置、402 パネルカバー、403 開ボタン、
404 磁石、405 押出しレバー、406 排紙トレイ、407 支軸部、
501 (従来形態2の)記録装置、502 排紙トレイ、503 支軸部、
504 取手部、505 凹部、506 爪部、601 (従来形態3の)記録装置、
602 排紙トレイ、603 支軸部、604 ラッチ機構、605 ラッチ基部、
606 押出し移動部、607 磁石、
F (弾性軸部による開閉方向開側への)付勢力、P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋部開閉装置の本体部と、
該本体部に対して回動して開閉可能な蓋部と、
前記本体部側に設けられ回動可能な係合部と、
該係合部の基準姿勢を基準とした回動に伴って弾性変形することによって該係合部を、該係合部の回動方向と逆方向へ付勢可能な弾性部と、
前記蓋部の自由端側に設けられ、前記係合部と係合可能な被係合部と、を備え、
前記係合部は、前記蓋部の閉状態において、前記基準姿勢で前記被係合部と係合し、
前記基準姿勢は、閉状態の前記蓋部の姿勢に対して開閉方向開側に傾いた構成である蓋部開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋部開閉装置において、前記蓋部の開動作の際、前記蓋部の閉状態である第1位置から、ユーザに押圧されて開閉方向閉側に移動した第2位置において、前記係合部の姿勢は、開閉方向閉側に回動して前記蓋部の姿勢と平行となる構成である蓋部開閉装置。
【請求項3】
請求項2に記載の蓋部開閉装置において、前記蓋部の開動作の際、前記係合部は、前記基準姿勢より開閉方向開側へ回動した姿勢となって、前記被係合部との係合が解除される構成である蓋部開閉装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蓋部開閉装置において、前記蓋部の閉状態である第1位置から、ユーザに押圧されて第1位置より開閉方向閉側に移動した第2位置において、前記蓋部の開閉方向閉側への移動を規制する回動規制部を有する蓋部開閉装置。
【請求項5】
請求項4に記載の蓋部開閉装置において、前記回動規制部は、前記第1位置より開閉方向閉側において、前記蓋部を開閉方向開側へ付勢可能な構成である蓋部開閉装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蓋部開閉装置において、前記蓋部の閉動作の際、前記基準姿勢の係合部を開閉方向開側へ回動させて前記係合部と前記被係合部とが係合する構成である蓋部開閉装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の蓋部開閉装置において、前記係合部および前記被係合部のいずれか一方の接触部は、ローラを有する蓋部開閉装置。
【請求項8】
被記録媒体を搬送する搬送部と、
該搬送部から搬送された被記録媒体に記録ヘッドにより記録を実行する記録部と、
基体部に対して開閉可能な揺動部と、を備えた記録装置であって、
前記揺動部は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載された前記蓋部開閉装置を備え、
前記蓋部の閉状態における前記係合部と前記被係合部との係合力は、前記搬送部が被記録媒体を搬送する搬送力より小である記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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