説明

蕎麦もやしの栽培装置と該装置を用いた蕎麦もやしの栽培方法

【課題】 蕎麦の殻を排除してなる蕎麦もやしの栽培装置を得る。
【解決手段】 水18を貯留するトレー10と該トレー内底部に植設した蕎麦の実30を載置する多数本の針状突起70と、トレー10の上方空間を覆う多数本の櫛歯82を持つ櫛歯枠体80とを設ける。そして、複数本の針状突起70の上端に亙って載置した蕎麦の実30から発芽させた蕎麦もやしの茎32を、櫛歯枠体の櫛歯82間の隙間を通して、トレー10上方に伸長させる。それと共に、蕎麦もやしの頭部34に付着した蕎麦の殻36を櫛歯82の下端面に当接、係止させて蕎麦もやしの頭部34から脱落させる。櫛歯枠体の櫛歯82は、伸長させた蕎麦もやしの茎32の周囲からその横方向に引き抜く。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蕎麦の殻(黒色状をした蕎麦の硬い外皮)を排除してなる蕎麦もやしを栽培するための、蕎麦もやしの栽培装置と、該装置を用いた蕎麦もやしの栽培方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】近時の、健康指向の要求に伴って、血管増強用のルチンを多量に含む蕎麦もやしの人工栽培が盛んに行われつつある。
【0003】この蕎麦もやしの人工栽培は、一般に、次のようにして行われている。図5に示したように、水中に約5〜6時間浸漬して水分を十分に含浸させた蕎麦の実30を、水18が貯留されたトレー10内底部に敷設されたネット20上に載置している。そして、そのネット20上に載置された蕎麦の実30が、トレー10内に貯留された水18に潜入してしまうのを、防いでいる。次いで、同じ図5に示したように、蕎麦の実30が載置されたネット20上方のトレー10の上方空間を、格子枠40で覆っている。その後、その格子枠40で上方空間が覆われたトレー10を、所定気象条件に保持された栽培室に収容している。そして、蕎麦の実30から蕎麦もやしを発芽させている。そして、その蕎麦もやしの茎32を、格子枠の格子目42を通して、トレー10上方に収穫可能な丈までに伸長させている。それと共に、同じ図5に示したように、蕎麦もやしの頭部34に付着した硬い蕎麦の殻36を、その近くの格子枠の格子44の下端面に当接、係止させて、蕎麦もやしの頭部34から脱落させている。そして、食するのに不適な硬い蕎麦の殻36が除去された蕎麦もやしを得ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のようにして、蕎麦もやしを人工栽培した場合には、その収穫可能な丈まで伸長させた蕎麦もやしを収穫する際に、図6に示したように、その格子枠の各格子目42を通してトレー10上方に伸長させた蕎麦もやしを、各格子目42から数本ずづ引き抜いて収穫する必要があった。そのため、その蕎麦もやしの収穫作業には、多くの人手と、多大な手数と時間を要した。
【0005】また、蕎麦もやし栽培用の水18が貯留されたトレー10内底部に、蕎麦の実30を載置するためのネット20をいちいち敷設する必要があって、そのトレー10内底部にネット20を敷設する作業に多大な手数と労力を要した。
【0006】本発明は、このような課題を解消可能な、蕎麦もやしの栽培装置と、蕎麦もやしの栽培方法とを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の蕎麦もやしの栽培装置は、蕎麦もやし栽培用の水又は水溶液を貯留するトレーと、該トレー内底部に起立させて並べて植設された多数本の針状突起であって、その上端に亙って蕎麦の実を載置する多数本の針状突起と、該多数本の針状突起上方のトレーの上方空間を覆う多数本の櫛歯が所定のピッチで横に並べて設けられた櫛歯枠体であって、その櫛歯間の隙間を通して、前記蕎麦の実から発芽させた蕎麦もやしの茎をトレー上方に伸長させると共に、その蕎麦もやしの頭部に付着した蕎麦の殻を、その櫛歯の下端面に当接、係止させて、蕎麦もやしの頭部から脱落させる多数本の櫛歯を持つ櫛歯枠体とからなり、該櫛歯枠体が、その多数本の櫛歯を櫛歯間の隙間を通してトレー上方に伸長させた蕎麦もやしの茎の周囲からその横方向に引き抜くことができるように構成されたことを特徴としている。
【0008】また、本発明の蕎麦もやしの栽培方法は、次の工程を含むことを特徴としている。
a.蕎麦もやし栽培用の水又は水溶液を貯留した前記トレー内の底部に植設された複数本の針状突起の上端に亙って、水分を十分に含浸させた蕎麦の実を載置する工程。
b.前記複数本の針状突起の上端に亙って載置された蕎麦の実上方のトレーの上方空間を、前記櫛歯枠体で覆う工程。
c.前記櫛歯枠体で上方空間が覆われたトレーを、所定気象条件に保持された栽培室に収容して、前記複数本の針状突起の上端に亙って載置された蕎麦の実から発芽させた蕎麦もやしを、前記櫛歯枠体の櫛歯間の隙間を通して、トレー上方に収穫可能な丈まで伸長させると共に、その蕎麦もやしの頭に付着した蕎麦の殻を、その近くの前記櫛歯の下端面に当接、係止させて、前記蕎麦もやしの頭部から脱落させる工程。
d.前記櫛歯枠体の櫛歯を、櫛歯間の隙間を通してトレー上方に収穫可能な丈までに伸長させた蕎麦もやしの茎の周囲からその横方向に引き抜いて、トレー内底部の複数本の針状突起の上端に亙って載置された蕎麦の実から発芽させて伸長させた蕎麦もやしをトレー外部に収穫可能な状態に露呈させる工程。
【0009】この蕎麦もやしの栽培装置を用いた蕎麦もやしの栽培方法においては、トレー内底部に、蕎麦もやしの栽培用の水又は栄養剤等を混入させた水溶液を、その液面レベルをトレー内底部に植設された多数本の針状突起の上端より下方に位置させて、貯留できる。それと共に、トレー内底部に植設された複数本の針状突起の上端に亙って、水中に5〜6時間浸漬して水分を十分に含浸させた蕎麦の実を載置できる。そして、その蕎麦の実が、トレー内底部に貯留された水又は水溶液に潜入した状態となるのを、防ぐことができる。そして、本発明の蕎麦もやしの栽培方法のa工程を行うことができる。
【0010】次いで、複数本の針状突起の上端に亙って載置された蕎麦の実上方のトレーの上方空間を、多数本の櫛歯が所定のピッチで横に並べて設けられた櫛歯枠体で覆うことができる。そして、本発明の蕎麦もやしの栽培方法のb工程を行うことができる。
【0011】次いで、櫛歯枠体で上方空間が覆われたトレーを、所定気象条件の例えば約25℃に保持された栽培室に収容できる。そして、トレー内底部の複数本の針状突起の上端に亙って載置された蕎麦の実から、蕎麦もやしを発芽させることができる。そして、その蕎麦もやしの茎を、トレーの上方空間を覆う櫛歯枠体の櫛歯間の隙間を通して、トレー上方に収穫可能な丈までに伸長させることができる。それと共に、その蕎麦もやしの頭部に付着した硬い蕎麦の殻を、その近くの櫛歯枠体の櫛歯の下端面に当接、係止させることができる。そして、その蕎麦の殻を、櫛歯枠体の櫛歯間の隙間を通してトレー上方に伸長し続ける蕎麦もやしの頭部から脱落させることができる。そして、本発明の蕎麦もやしの栽培方法のc工程を行うことができる。
【0012】次いで、櫛歯枠体の櫛歯を、櫛歯間の隙間を通してトレー上方に収穫可能な丈までに伸長させた蕎麦もやしの茎の周囲からその横方向に引き抜くことができる。そして、トレー内底部の複数本の針状突起の上端に亙って載置された蕎麦の実から発芽させて伸長させた蕎麦もやしを、櫛歯枠体に妨げられることなく、トレー外部に収穫可能な状態に露呈させることができる。そして、本発明の蕎麦もやしの栽培方法のd工程を行うことができる。
【0013】本発明の蕎麦もやしの栽培装置を用いた蕎麦もやしの栽培方法においては、そのd工程において、トレー外部に露呈させた蕎麦もやしを、その周辺で栽培した他の蕎麦もやしと共に、櫛歯枠体に邪魔されずに、トレー外部に人手を掛けずに一括して容易かつ迅速に収穫できる。
【0014】また、本発明の蕎麦もやしの栽培装置を用いた蕎麦もやしの栽培方法においては、蕎麦もやし栽培用の水又は水溶液が貯留されたトレー内底部に植設された複数本の針状突起の上端に亙って蕎麦の実を載置するだけで、その蕎麦の実がトレー内に貯留された上記の水又は水溶液に潜入した状態となるのを、防ぐことができる。そして、蕎麦もやし栽培用の水又は水溶液が貯留されたトレー内底部に、蕎麦の実を載置するためのネットを敷設する面倒で手数のかかる作業を、不要とすることができる。
【0015】本発明の蕎麦もやしの栽培装置においては、前記櫛歯枠体が、所定のピッチで横に並べて設けられた多数本の櫛歯の一方の端部が枠棒により一連に連結されると共に、その多数本の櫛歯の他方の端部間が開放されていて、その開放された櫛歯の他方の端部間を通して、櫛歯枠体の櫛歯を蕎麦もやしの茎の周囲から横方向に引き抜くことができるように構成された構造とすることを好適としている。
【0016】この蕎麦もやしの栽培装置にあっては、本発明の蕎麦もやしの栽培方法のd工程において、トレーの上方空間を覆う櫛歯枠体をその横方向にスライドさせることにより、櫛歯枠体の開放された状態にある櫛歯の他方の端部間を通して、櫛歯枠体の櫛歯をトレー上方に伸長させた蕎麦もやしの茎の周囲からその横方向に引き抜くことができる。そして、トレー内底部の複数本の針状突起の上端に亙って載置された蕎麦の実から発芽させて伸長させた蕎麦もやしを、櫛歯枠体に邪魔されずに、トレー外部に収穫可能な状態に露呈させることができる。
【0017】また、本発明の蕎麦もやしの栽培装置においては、前記トレーの内側に、トレー内空間を複数に仕切る格子枠体が設けられた構造とすることを好適としている。
【0018】この蕎麦もやしの栽培装置にあっては、格子枠体により複数に仕切られた各方形状空間のトレー内底部の複数本の針状突起の上端に亙って載置された複数の蕎麦の実から発芽させて伸長させた蕎麦もやしを、その根を互いに絡み合わせて一体化させた状態に生育できる。そして、その一体化させた状態に生育した複数本の蕎麦もやしを、格子枠体により仕切られた複数の各方形状空間から一体化させたブロック状態のままトレー外部に収穫できる。それと共に、トレーを、その内側に設けられた格子枠体により補強できる。そして、トレーが歪む等するのを、格子枠体により防ぐことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1ないし図3は本発明の蕎麦もやしの栽培装置の好適な実施の形態を示し、図1はその正面断面図、図2はその櫛歯枠体の一部省略平面図、図3R>3はその使用状態を示す一部省略平面図である。以下に、この蕎麦もやしの栽培装置を説明する。
【0020】図において、10は、上端が広く開口した合成樹脂等から形成された方形状をした底浅のトレーであって、その丈が3〜8cmの高さに形成されている。トレー10の内側には、合成樹脂等から形成された格子枠体50がトレー10と一体化させた状態で設けられている。そして、トレー10内空間が、その一辺が1〜30cmの幅を持つ複数の方形状空間60に仕切られている。
【0021】格子枠体50により複数に仕切られた各トレー10内底部には、多数本の針状突起70が所定の密度で起立させて並べて植設されている。針状突起70は、合成樹脂等により形成されていて、その外径が1〜3mmの円柱状、多角形状等に形成されている。トレー10内底部に植設された多数本の針状突起70の間の隙間は、1〜5mmに形成されていて、複数本の針状突起70の上端に亙って載置された幅が2mm以上の蕎麦の実30が、針状突起70間の隙間を通して、トレー10内底部に落下するのを防ぐのができるように構成されている。
【0022】80は、多数本の針状突起70上方のトレー10の上方空間を覆う櫛歯枠体である。櫛歯枠体80には、図2に示したように、多数本の櫛歯82が所定のピッチで横に並べて設けられている。櫛歯枠体80に設けられた多数本の櫛歯82間の隙間は、2〜4mmに形成されている。そして、その櫛歯82間の隙間を通して、蕎麦もやしの茎32をトレー10の上方空間に伸長させることができるように構成されている。櫛歯枠体80は、合成樹脂等を用いて一体形成されていて、その櫛歯82の横幅が1〜3mmに形成されていると共に、その櫛歯82の上下方向の厚さが2〜10mmに形成されている。そして、その櫛歯82が、櫛歯82間を通してトレー10上方に伸長する蕎麦もやしの茎32に押されて、横方向に撓んだり、上下方向に撓んだりするのを、防ぐことができるように構成されている。
【0023】なお、櫛歯枠体80は、図4(a)、(b)に示したように、ステンレス板を用いて、プレス成形により一体形成しても良い。その場合は、その櫛歯82を構成するステンレス片83を、図4(b)に示したように、逆U字状に下方に折曲させると良い。そして、その逆U字状に折曲させたステンレス片83の下端縁に、蕎麦の殻36を確実に当接、係止させることができるようにすると良い。それと共に、その逆U字状に折曲させたステンレス片83により、多数本の櫛歯82を持つ櫛歯枠体80が、上下、左右等に撓むのを防ぐことができるようにすると良い。
【0024】櫛歯枠体80は、図2に示したように、所定のピッチで横に並べて設けられた多数本の櫛歯82の一方の端部が、枠棒84により一連に連結されている。それに対して、多数本の櫛歯82の他方の端部間は、広く開放されている。そして、その開放された櫛歯82の他方の端部間を通して、櫛歯枠体の櫛歯82を、蕎麦もやしの茎32の周囲からその横方向に引き抜くことができるように構成されている。
【0025】加えて、図の蕎麦もやしの栽培装置では、上記の櫛歯枠体80を、トレー10の上方空間に動かぬように離脱可能に固定する固定手段90が備えられている。具体的には、図1と図3に示したように、トレーの右側の上端側縁12に、櫛歯枠体の枠棒84を嵌入、係止させる段差部92が設けられている。それと共に、トレーの左側の上端側縁14に、櫛歯枠体の多数本の各櫛歯82の先端を嵌入、係止させる多数の凹部94が所定のピッチで並べて設けられている。さらに、トレーの前後の上端側縁16には、櫛歯枠体80両側の櫛歯82を嵌入、係止させる段差部96が設けられている。そして、櫛歯枠体の枠棒84をトレーの右側の上端側縁12の段差部92に嵌入、係止させると共に、櫛歯枠体の多数本の各櫛歯82の先端をそれに対応するトレーの左側の上端側縁14の多数個の各凹部94に嵌入、係止させることができるように構成されている。さらに、櫛歯枠体80両側の櫛歯82を、トレーの前後の上端縁16の段差部96に嵌入、係止させることができるように構成されている。そして、トレー10の上方空間を覆う櫛歯枠体80を、トレーの右側と左側の上端側縁12、14とトレーの前後の上端側縁16とに亙って動かぬように離脱可能に固定できるように構成されている。
【0026】図1ないし図3に示した蕎麦もやしの栽培装置は、以上のように構成されている。次に、この蕎麦もやしの栽培装置の使用方法であって、本発明の蕎麦もやしの栽培方法の好適な実施の形態を説明する。
【0027】この蕎麦もやしの栽培装置を用いた蕎麦もやしの栽培方法においては、図1に示したように、トレー10内底部に、蕎麦もやしの栽培用の水又は栄養剤等を混入させた水溶液18を、その液面レベルをトレー10内底部に植設された多数本の針状突起70の上端より下方に位置させて、貯留している。それと共に、トレー10内底部に植設された複数本の針状突起70の上端に亙って、水中に5〜6時間浸漬して水分を十分に含浸させた蕎麦の実30を載置している。そして、その蕎麦の実30が、トレー10内底部に貯留された水又は水溶液18に潜入した状態となるのを、防いでいる。そして、本発明の蕎麦もやしの栽培方法のa工程を行っている。
【0028】次いで、同じ図1に示したように、複数本の針状突起70の上端に亙って載置された蕎麦の実30上方のトレー10の上方空間を、多数本の櫛歯82が所定のピッチで横に並べて設けられた櫛歯枠体80で覆っている。具体的には、図3に示したように、櫛歯枠体の枠棒84を、トレーの右側の上端側縁12の段差部92に嵌入、係止させている。それと共に、櫛歯枠体の多数本の各櫛歯82の先端を、それに対応するトレーの左側の上端側縁14の多数の各凹部94に嵌入、係止させている。さらに、櫛歯枠体80両側の櫛歯82を、トレーの前後の上端側縁16の段差部96に嵌入、係止させている。そして、櫛歯枠体80を、トレー10の右側と左側の上端側縁12、14とトレー10の前後の上端側縁16とに亙って離脱可能に動かぬように固定している。そして、本発明の蕎麦もやしの栽培方法のb工程を行っている。
【0029】次いで、櫛歯枠体80で上方空間が覆われたトレー10を、所定気象条件の例えば約25℃に保持された栽培室(図示せず)に収容している。そして、トレー10内底部の複数本の針状突起70の上端に亙って載置された蕎麦の実30から、蕎麦もやしを発芽させている。そして、その蕎麦もやしの茎32を、トレー10の上方空間を覆う櫛歯枠体の櫛歯82間の隙間を通して、トレー10上方に収穫可能な丈までに伸長させている。それと共に、その蕎麦もやしの頭部34に付着した硬い蕎麦の殻36を、その近くの櫛歯枠体の櫛歯82の下端面に当接、係止させている。そして、その蕎麦の殻36を、櫛歯枠体の櫛歯82間の隙間を通してトレー10上方に伸長し続ける蕎麦もやしの頭部34から脱落させている。そして、本発明の蕎麦もやしの栽培方法のc工程を行っている。
【0030】次いで、櫛歯枠体80を、トレー10の上方に若干持ち上げて、トレーの上端側縁12、14、16に設けられた段差部92、凹部94、段差部96から離脱させている。そして、櫛歯枠体の櫛歯82を、図2に示したように、櫛歯82間の隙間を通して、トレー10上方に収穫可能な丈までに伸長させた蕎麦もやしの茎32の周囲からその横方向(図の矢印方向)に引き抜いている。そして、トレー10内底部の複数本の針状突起70の上端に亙って載置した蕎麦の実30から発芽させて伸長させた蕎麦もやしを、櫛歯枠体80に妨げられることなく、トレー10外部に収穫可能な状態に露呈させている。そして、本発明の蕎麦もやしの栽培方法のd工程を行っている。
【0031】この蕎麦もやしの栽培装置を用いた蕎麦もやしの栽培方法においては、そのd工程において、トレー10外部に露呈させた蕎麦もやしを、その周辺で栽培した他の蕎麦もやしと共に、櫛歯枠体80に邪魔されずに、トレー10外部に人手をかけずに一括して容易かつ迅速に収穫できる。
【0032】また、この蕎麦もやしの栽培装置を用いた蕎麦もやしの栽培方法においては、蕎麦もやし栽培用の水又は水溶液18が貯留されたトレー10内底部に植設された複数本の針状突起70の上端に亙って蕎麦の実30を載置するだけで、その蕎麦の実30がトレー10内に貯留された上記の水又は水溶液18に潜入した状態となるのを、防ぐことができる。そして、蕎麦もやし栽培用の水又は水溶液18が貯留されたトレー10内の底部に、蕎麦の実30を載置するためのネット20を敷設する面倒で手数のかかる作業を、不要とすることができる。
【0033】上述の蕎麦もやしの栽培装置においては、トレー10の内側に、トレー10内空間を複数に仕切る格子枠体50が設けられているため、その格子枠体50により複数に仕切られた各方形状空間60のトレー10内底部の複数本の針状突起70の上端に載置された複数の蕎麦の実30から発芽させて伸長させた蕎麦もやしを、その根を互いに絡み合わせて一体化させた状態に生育できる。そして、その一体化させた状態に生育した複数本の蕎麦もやしを、格子枠体50により仕切られた複数の各方形状空間60から一体化させたブロック状態のままトレー10外部に収穫できる。それと共に、トレー10を、その内側に設けられた格子枠体50により補強できる。そして、トレー10が歪む等するのを、格子枠体50により防ぐことができる。
【0034】上述の蕎麦もやしの栽培装置において、櫛歯枠体80が大型であって、その中途部が撓み易い場合等には、その大型の櫛歯枠体80を複数に分割すると良い。そして、櫛歯枠体80を小型化して、その櫛歯枠体80の中途部が撓む等するのを防ぐと良い。
【0035】また、トレー10が小型であって、トレー10が撓む虞のない場合等には、トレー10の内側には、該トレーの内側空間を複数に仕切る格子枠体50を設けずとも良い。
【0036】また、この蕎麦もやしの栽培装置を用いた蕎麦もやしの栽培方法にあっては、そのd工程において、トレー10の上方空間を覆う櫛歯枠体80を固定手段90から離脱させて、その櫛歯枠体80を横方向にスライドさせることにより、櫛歯枠体80の開放された状態にある櫛歯82の他方の端部間を通して、櫛歯枠体の櫛歯82をトレー10上方に伸長させた蕎麦もやしの茎32の周囲からその横方向に引き抜くことができる。そして、トレー10内底部の複数本の針状突起70の上端に亙って載置された蕎麦の実30から発芽させて伸長させた蕎麦もやしを、櫛歯枠体80に邪魔されずに、トレー10外部に収穫可能な状態に容易かつ迅速に露呈させることができる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の蕎麦もやしの栽培装置を用いて、本発明の蕎麦もやしの栽培方法により、蕎麦もやしを栽培すれば、トレー内で収穫可能な丈までに伸長させた蕎麦もやしを、その周辺で生育した蕎麦もやしと共に、櫛歯枠体に邪魔されずに、人手を掛けずに、トレー外部に容易かつ迅速に一括して収穫できる。
【0038】また、蕎麦もやし栽培用の水又は水溶液が貯留されたトレー内底部に、蕎麦の実を載置するためのネットを敷設する手数のかかる面倒な作業を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蕎麦もやしの栽培装置の使用状態を示す断面図である。
【図2】本発明の蕎麦もやしの栽培装置の櫛歯枠体の一部省略平面図である。
【図3】本発明の蕎麦もやしの栽培装置の使用状態を示す一部省略平面図である。
【図4】本発明の蕎麦もやしの栽培装置の櫛歯枠体の一部拡大平面図とそのA−A断面図である。
【図5】従来の蕎麦もやしの栽培装置の使用状態を示す断面図である。
【図6】従来の蕎麦もやしの栽培装置の格子枠の一部平面図である。
【符号の説明】
10 トレー
18 水又は水溶液
20 ネット
30 蕎麦の実
32 蕎麦もやしの茎
34 蕎麦もやしの頭部
36 蕎麦の殻
40 格子枠
50 格子枠体
60 方形状空間
70 針状突起
80 櫛歯枠体
82 櫛歯
84 枠棒
90 固定手段
92、96 段差部
94 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 蕎麦もやし栽培用の水又は水溶液を貯留するトレーと、該トレー内底部に起立させて並べて植設された多数本の針状突起であって、その上端に亙って蕎麦の実を載置する多数本の針状突起と、該多数本の針状突起上方のトレーの上方空間を覆う多数本の櫛歯が所定のピッチで横に並べて設けられた櫛歯枠体であって、その櫛歯間の隙間を通して、前記蕎麦の実から発芽させた蕎麦もやしの茎をトレー上方に伸長させると共に、その蕎麦もやしの頭部に付着した蕎麦の殻を、その櫛歯の下端面に当接、係止させて、蕎麦もやしの頭部から脱落させる多数本の櫛歯を持つ櫛歯枠体とからなり、該櫛歯枠体が、その多数本の櫛歯を櫛歯間の隙間を通してトレー上方に伸長させた蕎麦もやしの茎の周囲からその横方向に引き抜くことができるように構成された蕎麦もやしの栽培装置。
【請求項2】 前記櫛歯枠体が、所定のピッチで横に並べて設けられた多数本の櫛歯の一方の端部が枠棒により一連に連結されると共に、その多数本の櫛歯の他方の端部間が開放されていて、その開放された櫛歯の他方の端部間を通して、櫛歯枠体の櫛歯を蕎麦もやしの茎の周囲からその横方向に引き抜くことができるように構成された請求項1記載の蕎麦もやしの栽培装置。
【請求項3】 前記トレーの内側に、トレー内空間を複数に仕切る格子枠体が設けられた請求項1又は2記載の蕎麦もやしの栽培装置。
【請求項4】 次の工程を含むことを特徴とする蕎麦もやしの栽培方法。
a.蕎麦もやし栽培用の水又は水溶液を貯留した前記トレー内の底部に植設された複数本の針状突起の上端に亙って、水分を充分に含浸させた蕎麦の実を載置する工程。
b.前記複数本の針状突起の上端に亙って載置された蕎麦の実上方のトレーの上方空間を、前記櫛歯枠体で覆う工程。
c.前記櫛歯枠体で上方空間が覆われたトレーを、所定気象条件に保持された栽培室に収容して、前記複数本の針状突起の上端に亙って載置された蕎麦の実から発芽させた蕎麦もやしを、前記櫛歯枠体の櫛歯間の隙間を通して、トレー上方に収穫可能な丈までに伸長させると共に、その蕎麦もやしの頭部に付着した蕎麦の殻を、その近くの前記櫛歯の下端面に当接、係止させて、前記蕎麦もやしの頭部から脱落させる工程。
d.前記櫛歯枠体の櫛歯を、櫛歯間の隙間を通してトレー上方に収穫可能な丈までに伸長させた蕎麦もやしの茎の周囲からその横方向に引き抜いて、トレー内底部の複数本の針状突起の上端に亙って載置した蕎麦の実から発芽させて伸長させた蕎麦もやしをトレー外部に収穫可能な状態に露呈させる工程。

【図1】
image rotate


【図6】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【公開番号】特開2001−78601(P2001−78601A)
【公開日】平成13年3月27日(2001.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−253818
【出願日】平成11年9月8日(1999.9.8)
【出願人】(399050622)
【Fターム(参考)】