薄い液体フィルム内に運動を起こす方法と装置
本発明は、少なくとも1つの高周波が基盤を通って液体フィルムの方向に送られる、基盤上、特に毛細間隔で、薄い液体フィルムに動きを生成する方法と本発明実施の装置に関するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄い液体フィルム内に運動を起こす方法とその方法実施の装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学・生物・微生物分析では、液体フィルム内に運動を起こして、それを混合する必要がしばしば生じる。このようにして、例えば反応を促進するか、液体を均等化することができる。
【0003】
そのような液体フィルムは例えば、マイクロアレイ実験で蛋白質、ヌクレイン酸、抗原、抗体のようなマクロ分子の分析のため用いられる。マクロ分子分析の迅速な方法では、手当たり次第の、場合によってはさまざまな種類のマクロ分子がさまざまな場所、例えば基盤上のマトリックス形に配置されている、マイクロアレイを使う。このマクロ分子はゾンデ分子とも呼ばれる。マイクロアレイ上で少なくとも1つの種類のゾンデ分子と特殊結合(ハイブリッド化)を行う第2のマクロ分子(サンプル分子)の入った液体は、マイクロアレイで洗浄される。次に液体が表面から除かれると、主として特殊結合の場所にのみ分析すべきサンプル分子が残る。局所反応の測定、例えば蛍光測定を使って、どの場所にサンプル分子があるかを決定できる。マイクロアレイのマトリックス形における個々のゾンデ分子の位置は知られているため、分析するマクロ分子がどんな種類のマクロ分子と結合を行ったかを決めることができる。
【0004】
この分析実験の時間は、大部分サンプル分子のソンデ分子への拡散によってきまるので、しばらくかかることがある。例えば分析する液体中のマクロ分子濃度が低いときは、それがアレイ上に特殊結合パートナーを見つけるまで、非常に長くかかる。したがっていつでもマイクロアレイ上でマクロ分子の均質な分散を行うため、液体を混合する装置が望ましい。
【0005】
表面上の液体滴の混合はDE-A-101 17 772に記されている。圧電音響変換器 は表面電波の生成に使われるが、それは例えば1つのインターデジタルトランスデューサーをもつ。
【0006】
そのようなインターデジタルトランスデューサーは櫛のような形をした金属電極で、その2倍の極間が表面音波の波長を決め、それは光学写真リトグラフィー方法により、例えば極間10μmの範囲で作ることができる。そのようなインターデジタルトランスデューサーは例えば圧電結晶につけ、表面音波を従来の方法で励起する。
【0007】
そのような方法では、液体によってインターデジタルトランスデューサーが腐食する危険、ないしインターデジタルトランスデューサーとの接触によって液体とそれに含まれる反応物が影響される危険がある。そのような危険を避けるため、インターデジタルトランスデューサーがつき、表面音波が生成される圧電結晶表面には不動態化層をつけることができる。このコーティングはインターデジタルトランスデューサーの電気接触面では再び取り除けなければならない。これにはリトグラフィーとエッティングが必要である。
【0008】
音波を使っての液体内に流れを生成する方法はWesley Le Mars Nyborg “Acoustic Streaming“ in Physical Acoustics 2B; ed.W.P.Mason; Academic Press 265 (1965)に記されている。
【0009】
表面音波を使っての液体の運動はS. Shiokawa et al., IEEE Proceedings of the Ultrasonics Symposium 1989, 643ff. に記されている。
【0010】
また液体滴のみならず、液体フィルムのための混合方法が使えて、それが例えば毛管すき間の液体フィルムに使えれば便利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、薄い液体フィルム、特に毛管すき間の運動生成の方法と装置を改良し、しかも簡単でコスト安にそれを行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は請求項1に特徴付けられる方法と請求項15の装置で解決される。
【0013】
液体フィルムは少なくとも1つの超音波生成装置から基盤によって離されている。超音波生成装置を液体フィルムから離す特別な不動態化とか保護層は必要でない。この方法は簡単にコスト安に実施できる。特に効果的なのは、毛管すき間によって限定されている液体フィルムへの使用である。
【0014】
本発明の方法により例えば、5ミリまでの厚さの液体フィルムを、超音波生成装置から、例えば数MHzから 数百 MHzまでの周波域で音響変換器を生成する圧電音響変換器から、基盤によって分離することができる。圧電音響変換器は数平方ミリから数平方センチの大きさ、数10ミクロメーターから数ミリメーターの厚みをもつことができる。
【0015】
効果的なのは基盤が数センチより薄く、しかし超音波波長の1/4よりも厚いときである。これによって基盤にいわゆる“flexural plate wave modes“ あるいはLamb-modesが形成されるのを防ぐことができる。それは、数平方ミリメーターから数10平方センチメーターまでの面積を占めることがある。
【0016】
特に本発明の方法には、圧電結晶表面のコーティングとそれに伴うリトグラフィーあるいはエッティングが必要でない。本発明の方法では、従来の方法では例えばインターデジタルトランスデューサーの短絡をもたらす金属被膜の表面での、液体フィルムによる使用が可能である。
【0017】
本発明では、液体に向いた表面は平らな基盤表面である。基盤の表面状態の違いのために生じる流動問題がなくなる。特に滑らかな基盤表面は凹凸の表面よりも簡単に洗浄できる。
【0018】
液体に投入された音波は閉じた流線に沿って流れを生じさせる。音波自体は液体内で投入場所の周りに集まっている。流れの到達距離はすき間の厚さに関係し、毛管すき間が広いほど大きい。通常、流れの速さは投入場所からの距離に指数単位で減少する。約200μmのすき間では、1mm毎に係数10の流れ速度減少が見られる。他方、100μmの毛管すき間では、均質な混合ができる到達距離を1mm上げるのに係数10だけ能率を上げなければならない。
【0019】
それにもかかわらずさらにまた大きな液体フィルムの均質混合を保証するには、例えば違った場所でいくつかの超音波を生成する、いくつかの超音波生成装置をつけることが可能である。しかしとくに効果的なのは、超音波生成装置を使って超音波を液体フィルムに投入し、液体を2つの運動ポールで動かすようにすることである。例えば数百μmの側面距離が可能であるが、数ミリがよい。希望の条件によって運動ポールは、その影響範囲がオーバーラップするか、互いに離れているように配置する。
【0020】
例えば2つの運動ポールないし投入場所は、2方向に放射する超音波生成装置を使って得ることができる。
【0021】
本発明のある仕様では超音波は表面波超音波生成装置、特にインターデジタルトランスデューサーを使って、基盤の液体フィルムの反対側で生成される。
【0022】
そのようなインターデジタルトランスデューサーを使ってさまざまなやり方で、基盤を斜方向に通すボリューム音波を基盤で生成することができる。インターデジタルトランスデューサーは圧電結晶と、それが載っている基盤の界面に、2方向に放射する界面波(LSAW)を生成する。界面漏れ波はエネルギーをボリューム音波(BAW)として基盤に放射する。これによりLSAWの振幅は指数単位で減少する。通常の減少長は約100μmである。基盤の法線に対し、基盤へのボリューム音波の放射角aは、基盤内ボリューム音波の音速VS とインターデジタルトランスデューサーで作られた界面音波の音速VLSAWの比率のアークサインから計算される(α=arcsin(VS/VLSAW)。したがって基盤への放射は、基盤での音速が界面漏れ波の音速より小さいときのみ可能である。基盤での縦方向音速は界面漏れ波の速度より大きいため、通常、基盤で横方向波が励起される。界面漏れ波速度は通常3900m/sである。
【0023】
櫛状に互いに組み込むインターデジタルトランスデューサーの下側の、圧電で生じた変形はボリューム音波(BAW)をまた直接に基盤に放射する。この場合基盤の法線に対し放射角aは、基盤内の音速VSと、それからインターデジタルトランスデューサーlIDTと通じた高周波fとの当間隔の積との比率のアークサインとして計算される(a=arcsin (Vs/(lIDT × f))。つまり、この音投入機構にとっては、基盤の法線に対する入射角、浮揚角aは周波数で決定される。この2つの効果は一緒に生じることがある。
【0024】
この2つの機構(LSAW, BAW)は基盤を斜方向に光線で満たすことを可能にする。インターデジタルトランスデューサーの全電気コンタクトは基盤の液体フィルムの反対側で行われる、刺激性の液体による電気接続の腐食はありえない。
【0025】
インターデジタルトランスデューサーを支える圧電結晶は基盤上に接着するか、プレスするか、ボンドで貼り付けるか、あるいは連結媒体(例えば静電あるいはゲルフィルム)を通じて基盤層上に接着するか、プレスするか、ボンドで貼り付けられる。同じく圧電KEが基盤自体であることがある。
【0026】
特に効果的なのは、稼動周波数で消音が少ない基盤材料を使うときである。基盤内のボリューム音波はすき間への界面で部分反射され、音響エネルギーの一部のみ液体に入る。基盤での消音が弱いときには、反射された音線を、他の場所の他の基盤面での反射のあと、再びすき間に投入することができる。このようにして基盤は音波導体のように使われ、基盤のボリューム音波をすき間のいくつかの場所に導き、分布する。ここで効果的なのは、基盤と液体の界面で超音波の一部が分離され、液体フィルムの運動に使われるよう、基盤を選ぶことである。基盤の他の界面ではできるだけ完全な反射を行う。例えば石英ガラスを10MHzから250MHzの周波数、通常100MHzから250MHzの周波数で用いるのは効果的であることがわかった。石英ガラスは、空気への界面でほとんど完全な反射を行い、基盤と液体との界面で10%から20%の分離を行う。
【0027】
ある仕様では、圧電基盤上に超音波を生成する1つないし数個のインターデジタルトランスデューサーがあり、それらは分離して接続されているか、あるいは共通に直列または並列に接続され、フィンガー電極間隔が違うときには周波数の選択により分離して制御される。
【0028】
特に簡単には均質混合を投入場所の周波数制御のヴァリエーションで行うことができる。これは、投入場所とそれと共にその周辺のアクティブな混合域が混合される面で押されるため、混合到達距離の限定をなくしてしまう。
【0029】
例えばWO 01/20781 A1に他の例で記されているような、極間がコンスタントでないインターデジタルトランスデューサー(テーパーインターデジタルトランスデューサー)の使用は、投入した周波数を使ってのインターデジタルトランスデューサーの放射場所の選択を可能にする。このようにして超音波はどこで液体に投入されるかを厳密に決めることができる。
【0030】
さらに直線でない形のテーパーインターデジタルトランスデューサー、例えば弓のように互いにかみ合ったフィンガー電極をもつインターデジタルトランスデューサーを使うときには、放射方向、つまり界面での方位角θは、操作周波数ヴァリエーションよって制御できる。他方、浮揚角αもインターデジタルトランスデューサーでの直接BAW 生成によってその周波数と一緒に変えることができる。
【0031】
上に述べた周波数依存によって、超音波によって動かそうとする、液体フィルムの部分をきわめて正確に決めることが可能である。したがって、例えば周波数の連続的ヴァリエーションによって、液体の混合には固定流れよりも適している時間的に非固定の混合模様を生成することが可能である。
【0032】
基盤の液体反対側でのインターデジタルトランスデューサーを使った、これらの形態による本発明の仕様で効果的なのは、インターデジタルトランスデューサー電極電気インピーダンスのサンプルの電気伝導性からの独立と、この方法を金属被膜の物体キャリアーで使用できる可能性である。音波の生成に必要なインターデジタルトランスデューサー電極は、基盤の厚みによって金属被膜の表面と導電性の液体から離されているので、DE-A-101 17 722で記した方法のような容量性の短絡は生じない。またインターデジタルトランスデューサー電極の電気インピーダンスもサンプル溶液の導電性の影響を受けない。これによってこれまでの方法よりも安定した、高周波ジェネレーターエレクトロニックへのインピーダンス適合が可能である。
【0033】
代替の仕様では、表面音波生成装置、特にインターデジタルトランスデューサーを使って基盤の前面に界面音波を作る。これはすでに述べたようにボリューム音波の基盤への斜方向放射をもたらす。場合によってはこのボリューム音波は同じく、メイン面とのコンタクトによって、液体フィルムに斜方向に投入される。
【0034】
上に述べた仕様では、超音波エネルギーはさまざまな所で液体フィルムに投入することができる。構成を適当にとれば、例えば基盤の厚みを適当にとれば、この投入個所を厳密に決めることができる。このような方法では、多数の表面音波生成装置なしにいくつかの投入場所を実現することができる。このようして配線、あるいは多くの表面音波生成装置で生じる問題を避けることができる。
【0035】
インターデジタルトランスデューサー電極は通常2つのボリューム音波を基盤に送るため、本発明の仕様では、流れのソースとして、局所的に集中して2方向に駆動する、インターデジタルトランスデューサー電極の大きさの表面エレメントの代わりに、基盤と液体フィルムの界面に同じ大きさの、2つの、別々に方向が特定されないように作動する表面エレメントが生じる。これにより流動機能断面、つまりインターデジタルトランスデューサー電極が流れでアクティブであり、インターデジタルトランスデューサー電極が混合できる面が大きく拡大される。そこから流れのソースの配置により大きなフレキシビリティが生まれる。例えば無方向で作動する、2つの流れのソースの間の距離は基盤の厚みと共に増加する。例えば1つのインターデジタルトランスデューサーエレメントで2つの別々の液体を混合することができる。
【0036】
望ましくない場所で反射が起きるのを防ぐため、基盤の無定形に拡散する前面を適当に選択することにより、超音波を無定形に拡散できる。それには例えば、基盤の少なくとも1つの表面を毛羽立てる。この効果は一貫した拡大にも用いることができる。
【0037】
基盤中の超音波の拡大方向を随意に変更するため、通常メイン面でない前面に角のついた反射面をつけることができる。このような反射面で超音波をあらかじめ決めたように導くことができる。
【0038】
本発明の方法実施のための本発明の装置は、1つの超音波生成エレメントのついた基盤をもつ。基盤のメイン面は液体フィルムとのコンタクトのためである。超音波生成装置は、超音波が斜方向に基盤に投入されるような形となっている。特に効果的なのは、超音波生成装置が液体フィルムに相対している基盤メイン面に配置されているときである。しかし、超音波生成装置が他の面に配置され、超音波が基盤の内部での反射によって液体フィルムに導かれることも考えられる。
【0039】
消音効果が少なく、界面にそれに応じた反射係数をもつ基盤材料を用いれば、すでに述べたように界面での反射によって音線の到達距離の大きい装置が得られる。
【0040】
本発明の方法の他の装置は、メイン面でない前面に1つの超音波生成エレメントのついた基盤をもつ。ここでも基盤で生成されたボリューム音波の放射角は、基盤内外の音速によって決まる。このようにしてボリューム音波は基盤内で斜方向に生成され、液体フィルムからもぎ取られた部分は、少なくとも部分的には、液体フィルムの反対側のメイン面での反射によって基盤と液体フィルムの界面の方向に反射される。
【0041】
上に述べた効果を得るため、上に説明した構成のインターデジタルトランスデューサーをもつ装置を使うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明を添付した図により詳細に説明する。
【0043】
図1aにおいて、1は例えばガラスの基盤を示す。例えば物体キャリアーを使うことも可能である。5は例えばリチウムニオブ塩酸の圧電結晶エレメント5である。圧電結晶エレメント5とガラス物体の間には、例えば前もって圧電結晶につけられたインターデジタルトランスデューサー3がある。インターデジタルトランスデューサーは通常、櫛状に互いに食い込んだ金属電極で、その2倍の極間が表面音波の波長を決め、電極は高周波交番磁界(例えば数MHzから数百MHzの範囲)をインターデジタルトランスデューサーに送ることにより圧電結晶内で励起される。このテキストでは「表面音波」の概念を、圧電エレメント5と基盤1の間の界面での界面波の意味でも使う。そのようなインターデジタルトランスデューサー はDE-A-101 17 772に記され、表面波フィルターテクノロジーでも使われている。インターデジタルトランスデューサーの電極接続には、図示されていない高周波ソースにつながる金属リード線16が使われる。
【0044】
基盤1は、スペーサー13を通じてもう1つの基盤11、例えば同じくガラスの物体キャリアーの上に支持されている。スペーサーは独立のエレメントでもいいし、基盤1、11に組み込んでもいい。
【0045】
基盤1と11の間には、混合される液体フィルムがある。液体7のある毛細管すき間は例えば30から100ミクロメーターの間である。基盤11、例えば物体キャリアー上には例えばマイクロアレイがある。マイクロアレイには、さまざまなマクロ分子がついているスポットが、規則正しい配列でならんでいる。液7には例えば他のマクロ分子があり、その反応特性をミクロアレイの周波数で分析するようになっている。
【0046】
超音波生成装置が基盤1の液体フィルムの反対側に配置されている仕様が示されている。もちろん、超音波生成装置はこの仕様でも他の仕様でももう1つの基盤11の液体フィルムの反対側に配置することができる。
【0047】
インターデジタルトランスデューサーを使って、超音波9は、上に述べたように、基盤1の法線に対し角度αで、ボリューム音波として基盤1全体を音線で満たし、上の方向で生成される。15は液体7と基盤1の界面の、基本的にはボリューム音波9が当たる領域を図式的に示す。
【0048】
例えば2mmの厚さのフロートガラスを基盤材料として使えば、音波の流出口15は約8mmの間隔で、音波ソースに対称的に配置されている。インターデジタルトランスデューサーが500mWの周波数で稼動すれば、到達距離は約5mmである。これは0.8cmから1.25cm2の面積の基盤11上、 ミクロアレイ上の毛細管間隔内の液体混合には十分である。
【0049】
図1bは、図1aの仕様でさまざまな周波数を選択してさまざまな投入角をいかにセットできるかを説明している。
【0050】
図2は、図1で示したもののA方向切断図である。
【0051】
図3は代替構造を示す。インターデジタルトランスデューサーは圧電結晶上で基盤1の側面と結びついている。インターデジタルトランスデューサーに高周波電圧がかかると、ここでもボリューム音波9は一定の角度で基盤1に放射される。それに必要な電極は、見やすくするために図3に特に示されていない。毛細管間隔の方向に液体7で放射された、ボリューム音波の部分は基盤1と液体フィルム7の界面に直接に当たる。図3で上方に放射されるボリューム音波は少なくとも部分的には基盤1の表面で方向17に反射し、他の場所で液体フィルム7と基盤1の界面に当たる。
【0052】
図4はインターデジタルトランスデューサー3が圧電結晶5と基盤1の界面ではなく、圧電結晶5の基盤1の反対側にある仕様を示す。適切な周波数の高周波界をインターデジタルトランスデューサー3に通じて、圧電結晶5にボリューム音波が生成され、それは圧電結晶5の、インターデジタルトランスデューサー3の反対側で基盤1に投入される。基盤1内の界面法線に対する音波の入射角aは、圧電結晶5の界面法線にたいする音速の入射角βと基盤 内の音速vsと圧電基盤の音速vpとの比から生じる。 a = arcsin [(vs / vp) ×sinb]とする。
【0053】
適切な周波数の高周波界をインターデジタルトランスデューサー3に通じて、圧電結晶5上に表面音速を生成し、それは少し走ったのち、表面で製作した構造物(エッチングした、等間隔の溝、蒸着した等間隔の金属片)によって圧電結晶5内のボリューム音波に変換することも可能である。
【0054】
図5は圧電結晶5が連結媒体19を通じてインターデジタルトランスデューサー3と基盤1と結ばれ、確実な、全面連結を行う仕様を示す。連結媒体は例えば水である。連結媒体は適当に設定すれば(厚み、素材)、基盤1での音生成の効率を上げることができる。薄い媒体層は角aに与える影響は無視できるほど微小である。そのような連結媒体はすべての仕様で使える。
【0055】
図1、2、3及び5の仕様でのインターデジタルトランスデューサー電極の電気接続は図6に3つの仕様で図式的に表現されている。図6aのような仕様では金属帯導体が基盤に(裏側または図3の仕様では前面に)置かれている。圧電音響変換器5は基盤上に、基盤上の金属電極と圧電音響変換器上のインターデジタルトランスデューサーの電極とがオーバーラップするように置かれる。圧電音響変換器と基盤を接着すれば、オーバーラップ域では導電性の接着剤で接着され、それに対し残りの面は従来の非導電の接着剤で接着される。図5の仕様では、純粋に機械的なコンタクトで十分である。高周波ジェネレーターエレクトロニック方向への、基盤上の金属帯導体の電気接続22は溶接、接着やスプリングコンタクトピンで行われる。
【0056】
図6bのような電気接続仕様では、リード線16のついたインターデジタルトランスデューサー電極が載っている圧電音響変換器5は基盤1上に、最初のものが次のものに対し突出するようにつけられている。このケースでは、接続22は圧電音響変換器上のリード線16に直接つながる。コンタクトは溶接するか、接着するか、ボンドで貼り付けるか、またはスプリングコンタクトピンで行われる。
【0057】
図6cのような電気接続仕様、また例えば図1、2、5でも可能なような電気接続では、基盤1は接続毎に1つの穴23をあけ、圧電音響変換器5は基盤1上に、圧電音響変換器についたリード線が穴23を通って接続できるように置かれる。このケースでは、電気接続はスプリングコンタクトピンを通じて直接圧電音響変換器5のリード線に行われる。他の可能性として、穴を導電性接着剤23で満たすか、それに金属ピンを貼り付ける接続がある。高周波ジェネレーターエレクトロニック方向への、次の電気接続22は溶接、接着やスプリングコンタクトピンで行われる。
【0058】
電力を圧電音響変換器へ通す他の可能性は誘導連結である。ここではインターデジタルトランスデューサー電極へのリード線は、それが高周波シグナルのコンタクトなしの操作のためのアンテナとして使われるように配置される。もっとも簡単なのは、高周波トランスの2次回線として使われる圧電音響変換器上のリング形の電極であり、その1次回線は高周波ジェネレーターエレクトロニックと結ばれている。この1次回線は外にあり、圧電音響変換器のすぐそばに配置されている。
【0059】
図7は圧電ボリューム振動板、例えば音波の斜方向の投入が行われるよう配置された圧電厚板振動板30の使用を示す。これには高周波ソース31と結びついたいわゆるwedge transducerが使われる。wedge transducerがついた面の面法線に対する入射角a は、それがついた角βと、wedge transducerの音速VWと基盤の音速VSの比で決まる。a = arcsin [(vs / vw) ×sinb]とする。
【0060】
そのような配置の極端なケースでは、角βが90oとなることもある。そのときは音響発信機300は基盤1の前面に配置される。この音響発信機300の配置は、図7に斜線で表示されている。
【0061】
図7には、基盤1と毛細管間隔を生成するための、液体7のある第2の基盤11の間のスペーサーは記されていない。この仕様でも図1から5までの仕様でも、そのようなミクロアレイは基盤1か基盤11にある。
【0062】
図7には、混合装置ないし混合方法の可能性の1つを示すため、追加して1つのミクロアレイ21が記されている。ミクロアレイ21は、例えば液体7の中でマクロ分子と反応するよう機能化されているスポットを正規の配列、例えばマトリックス形で含んでいる。
【0063】
以上述べた本発明の装置は、本発明の方法で次のように使うことができる。
【0064】
本発明の方法を実施するには、圧電エレメントを基盤1に堅くプレスすれば足りる。例えばミクロアレイのついた基盤11を用意する。その上に図1から4にあるような表面音波生成装置をもつ基盤1をスペーサー13を入れてつける。図示されていない開口部を通じて液体7は毛細管間隔に送ることができる。液体は、毛細管現象で基本的にはすき間に自然に広がる。代替として前もって液体を基盤11に置くことができる。インターデジタルトランスデューサー3の電気高周波を通じると、圧電結晶5と基盤の界面に界面音波が生成され、それは基盤1でボリューム音波9を励起する。ボリューム音波9は基盤1で図1から4で示した方向に拡散する。場合によっては、少なくとも部分的には、図3の配置で示したような、反射の界面での方向17への偏向が起こる。ほぼ領域15でボリューム音波9、17は液体7と基盤1の界面に当たる。ボリューム音波はインパルスを液体ないしその中にある材料に伝達し、液体内の運動をもたらし、液体は均等化あるいは混合される。このようにして、液体の中に存在する分子がミクロアレイの個々の測定点と、純粋に拡散状態のプロセスの場合よりも速くコンタクトすることが確保される。図1bは、励起周波数のヴァリエーションによって液体内の投入の場所をセットするため、ボリュームモードを直接励起していかに図1aの装置をそれに利用するかを示す。インターデジタルトランスデューサーは簡単な規格インターデジタルトランスデューサーで、浮遊角αは連関sinα= Vs/(インターデジタルトランスデューサーIIDT × f)によってセットされる。ここでVsは超音波の音速、f は周波数、インターデジタルトランスデューサーIIDT はインターデジタルトランスデューサー電極の周期性である。つまり周波数のヴァリエーションによって放射角はαからα‘に変えることができる。他方浮遊角α、α‘のヴァリエーションによってLLへの投入場所15,15‘を変えることができる。
【0065】
図5の仕様では、まず基盤1、液体7、基盤11が上に述べたように準備される。それからはじめて連結媒体19を通じ、インターデジタルトランスデューサー3をもつ圧電結晶を載せる。それから、ボリューム波9を基盤1に生成するため、インターデジタルトランスデューサー3に上に述べたように高周波界を通じる。
【0066】
図7の仕様では基盤1上に例えばマイクロアレイ21がある。高周波界を圧電音響発信器30に通じれば基盤1に斜方向のボリューム音波が生成される。ボリューム音波は液体フィルム7と基盤1の界面に当たる。そこで1図と4図の仕様で説明したように、液体フィルム7ないしそこにあるそれぞれの物質へのインパルス伝達が行われ、混合ないし均等化を導く。
【0067】
以下本発明の他の配置を述べる。
【0068】
図8は、使った超音波周波数のために対して僅かの消音機能しか有しない基盤71が使われる仕様である。例えば10 MHz から 250 MHz の領域の周波数には石英ガラスを, 特に周波数域100 MHz から250 MHzで使うことができる。すでに図1で説明したように、インターデジタルトランスデューサー73を使って基盤に斜方向に入るボリューム音波74が生成される。これは点75で基盤71と液体72の界面に当たる基盤材料71を適当に選んで、超音波74の一部が点75または76で反射され、他の一部は分離されるようにすることができる。これでわかったことは、基盤71と液体72の界面で部分反射が行われ、基盤71と空気の界面、つまり点76ではほとんど完全な反射が始まることである。例えばSiO2ガラスを使えば、液体とガラスの界面で80%から90%の反射率、つまり10%から20%の液体フィルムへの投入ができる。反射率80%を仮定すれば、ガラス基盤で数回反射される音線の強さは10回の反射で約10dB減少する。ここで1mmの基盤厚さで、音線は80mmの側面区間を通ったことになる。そのような構成でより大きいミクロアレイ 、例えば 4 ×1.25 cm2の上側の液体も均質混合することができる。
【0069】
このようにして、構成、例えば基盤の厚みを適当にとって、超音波の一部が基盤71から液体72に投入される点75を場所的に厳密に定め、希望の運動模様を液体72に生成することができる。
【0070】
こうして、周波機能を適当に時間的に変調させて、例えばインターデジタルトランスデューサー73を入り切りして、液体を1つの方向に動かすのに適した流れを生成することができる。こうして、図8の配列で例えば、図示した音方向に沿って711の方向に液体内の流れを誘導することができる。その流れを使って例えば、1つの色素をおよそ100秒間に液体の40mmの区間を動かすことができる。従来の配置ではそのような毛細管間隔内の液体搬送には数時間が必要であろう。これは図8bの方向Aで示している。
【0071】
図9は図8の配列の1つのヴァリエーションを示す。9aには側断面が示されている。2方向に放射するインターデジタルトランスデューサー73から図9の音線74Lが左に向かい、音線74Rが右斜方向、基盤 71に向かう。基盤71の端712で音線74Lは反射され、基盤71と液体72の界面の方向に偏向される。これは点75Lで初めて界面に当たる。音線74Rは75Rの場所で界面に当たる。こうして投入点の密度を上げることができる。これはもう一度図9bの方向Bに示されている。
【0072】
図10aは、基盤71の音線の特別な偏向を可能にする、ほぼ液体72と基盤71の界面のところでの配置の断面への平面図である。インターデジタルトランスデューサー73から図8aで説明したように音線74が出て、点75で液体と基盤71の界面に当たる。こうして導かれた音線74は偏向され、再び毛細管間隔の領域に入り、さらに液体内の流れの駆動に使われる。つまり図示されていないが、音線は図8aの断面と同じジグザグ線の形で基盤71によって導かれる。面77の構成を適当にすれば、液体フィルム内の誘導流れ模様に影響を与えることができる。10aと同じ反射の構成で4×1.25cm2の面積のミクロアレイ上の液体フィルムを僅か50mWの高周波性能で等質に混合することが可能である。
【0073】
図10bには、平面の基盤がほとんど完全に、ただ1つの2方向放射インターデジタルトランスデューサーを使って覆うことができるような配置を示す。これは基盤71の側面77の数次反射でできる。図10bでは基盤71のメイン面での反射点は見やすいように図示せず、図8aで説明したように基盤71での反射で引き起こされる超音波74の拡散方向のみ図示している。
【0074】
図11は、いくつかのインターデジタルトランスデューサー73が平行音線束74の生成に使われ、音線断面が効果的に拡散される配置を横断面で示す。こうして音線はより均質に毛細管間隔の液体72に投入される。これは液体が長距離を搬送される毛細管間隔での到達距離の長い液流にとっては有利である。
【0075】
上に述べた、適当な基盤素材を選択しての反射効果は、同じく図12で示したようにボリューム振動板を使って生成できる。角aの斜方向投入は、図7のように行われる。基盤71から液体72への音線84の音線流失点は図12に85で記されている。
【0076】
図13は基盤71 の端78が、当たる音線74の拡散反射を生成するため、毛羽立てられている仕様を示す。これは端で反射される、望ましくない音線を消すのに効果的である。ここでも図13には、基盤71 のメイン面での音線の反射によって発生する、音線の全拡散方向のみ図示されている。
【0077】
図14は基盤71の裏側が毛羽立てられている仕様を示す。この裏側にインターデジタルトランスデューサー73がある。上に述べた基盤71への超音波の投入では、音線712表面が毛羽だっているため、音線が回折によって開いている。この効果は面710での反射がさらに行われるときにはさらに強まる。基盤71から液体72への投入点の間隔が大きくなると、投入点はそれに応じて広げられる。
【0078】
同じような効果は図15の仕様でも可能である。ここでは、音線713の拡散は、インターデジタルトランスデューサー73の基盤71への投入後に、湾曲した反射角711での反射によって可能である。ここで拡散が説明されているように、集束はそれに応じた反射端を作って可能である。
【0079】
図16はもう1つの仕様を図式的に示したものである。他の図面と同じく、見やすいように、インターデジタルトランスデューサー103の少数の互いに食い込むフィンガーのみ図示されている。実際のインターデジタルトランスデューサーには多数にフィンガー電極がついている。インターデジタルトランスデューサー103の個々のフィンガー電極の間隔はコンスタントでない。したがってインターデジタルトランスデューサー103は、WO 01/20781 A1で他の仕様について説明されているように、高周波を通じれば、フィンガー間隔が周波数と相関関係にある場所でのみ放射する。
【0080】
それに図16の仕様ではフィンガー電極は真っ直ぐでなく、弧の形である。インターデジタルトランスデューサーは基本的にはフィンガーの方向に直角に放射するので、通じた高周波を選択して放射された表面音波の方向は方位角で操作される。図16では例として周波数f1とf2の放射方向が示されている。放射方向は、周波数f1では角q1で周波数f2では角q2で記されている。図16は、図1の仕様の断面A-Aと同じく、インターデジタルトランスデューサー103がついている圧電基盤と、インターデジタルトランスデューサーを動かせようとする液体フィルムから分離している基盤の界面への平面図を図式的に示したものである。
【0081】
上に述べた仕様の方法ないし特定の性質を有する個々の実施形式は適切に組み合わせ、それによって望みの機能と効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1a】本発明方法の第1の仕様実施のための配置断面図である。
【図1b】本発明方法の第1の仕様実施のための配置断面図である。
【図2】図1配置のA方向切断図である。
【図3】本発明方法の第2の仕様実施のための配置断面図である。
【図4】本発明方法の第3の仕様実施のための配置面図である。
【図5】本発明方法の第4の仕様実施のための配置断面図である。
【図6a】本発明方法実施のための装置の電気接続配置のスキーマ部分図である。
【図6b】本発明方法実施のための装置の電気接続配置のスキーマ部分図である。
【図6c】本発明方法実施のための装置の電気接続配置のスキーマ部分図である。
【図7】本発明方法の第5の仕様実施のための配置断面図である。
【図8a】本発明方法の第6の仕様実施のための配置断面図である。
【図8b】図8aのA方向切断図である。
【図9a】本発明方法の第7の仕様実施のための配置断面図である。
【図9b】図9aのB方向切断図である。
【図10a】本発明方法の第8の仕様実施のための配置断面への平面図である。
【図10b】本発明方法の第9の仕様実施のための配置断面への平面図である。
【図11】本発明方法の第10の仕様のカット図である。
【図12】本発明方法の第11の仕様のカット図である。
【図13】本発明方法の第12の仕様実施のための配置断面への平面図である。
【図14】本発明方法の第13の仕様実施のための配置断面図である。
【図15】本発明方法の第14の仕様実施のための配置断面図である。
【図16】本発明方法の第15の仕様実施のための配置断面への平面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄い液体フィルム内に運動を起こす方法とその方法実施の装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学・生物・微生物分析では、液体フィルム内に運動を起こして、それを混合する必要がしばしば生じる。このようにして、例えば反応を促進するか、液体を均等化することができる。
【0003】
そのような液体フィルムは例えば、マイクロアレイ実験で蛋白質、ヌクレイン酸、抗原、抗体のようなマクロ分子の分析のため用いられる。マクロ分子分析の迅速な方法では、手当たり次第の、場合によってはさまざまな種類のマクロ分子がさまざまな場所、例えば基盤上のマトリックス形に配置されている、マイクロアレイを使う。このマクロ分子はゾンデ分子とも呼ばれる。マイクロアレイ上で少なくとも1つの種類のゾンデ分子と特殊結合(ハイブリッド化)を行う第2のマクロ分子(サンプル分子)の入った液体は、マイクロアレイで洗浄される。次に液体が表面から除かれると、主として特殊結合の場所にのみ分析すべきサンプル分子が残る。局所反応の測定、例えば蛍光測定を使って、どの場所にサンプル分子があるかを決定できる。マイクロアレイのマトリックス形における個々のゾンデ分子の位置は知られているため、分析するマクロ分子がどんな種類のマクロ分子と結合を行ったかを決めることができる。
【0004】
この分析実験の時間は、大部分サンプル分子のソンデ分子への拡散によってきまるので、しばらくかかることがある。例えば分析する液体中のマクロ分子濃度が低いときは、それがアレイ上に特殊結合パートナーを見つけるまで、非常に長くかかる。したがっていつでもマイクロアレイ上でマクロ分子の均質な分散を行うため、液体を混合する装置が望ましい。
【0005】
表面上の液体滴の混合はDE-A-101 17 772に記されている。圧電音響変換器 は表面電波の生成に使われるが、それは例えば1つのインターデジタルトランスデューサーをもつ。
【0006】
そのようなインターデジタルトランスデューサーは櫛のような形をした金属電極で、その2倍の極間が表面音波の波長を決め、それは光学写真リトグラフィー方法により、例えば極間10μmの範囲で作ることができる。そのようなインターデジタルトランスデューサーは例えば圧電結晶につけ、表面音波を従来の方法で励起する。
【0007】
そのような方法では、液体によってインターデジタルトランスデューサーが腐食する危険、ないしインターデジタルトランスデューサーとの接触によって液体とそれに含まれる反応物が影響される危険がある。そのような危険を避けるため、インターデジタルトランスデューサーがつき、表面音波が生成される圧電結晶表面には不動態化層をつけることができる。このコーティングはインターデジタルトランスデューサーの電気接触面では再び取り除けなければならない。これにはリトグラフィーとエッティングが必要である。
【0008】
音波を使っての液体内に流れを生成する方法はWesley Le Mars Nyborg “Acoustic Streaming“ in Physical Acoustics 2B; ed.W.P.Mason; Academic Press 265 (1965)に記されている。
【0009】
表面音波を使っての液体の運動はS. Shiokawa et al., IEEE Proceedings of the Ultrasonics Symposium 1989, 643ff. に記されている。
【0010】
また液体滴のみならず、液体フィルムのための混合方法が使えて、それが例えば毛管すき間の液体フィルムに使えれば便利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、薄い液体フィルム、特に毛管すき間の運動生成の方法と装置を改良し、しかも簡単でコスト安にそれを行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は請求項1に特徴付けられる方法と請求項15の装置で解決される。
【0013】
液体フィルムは少なくとも1つの超音波生成装置から基盤によって離されている。超音波生成装置を液体フィルムから離す特別な不動態化とか保護層は必要でない。この方法は簡単にコスト安に実施できる。特に効果的なのは、毛管すき間によって限定されている液体フィルムへの使用である。
【0014】
本発明の方法により例えば、5ミリまでの厚さの液体フィルムを、超音波生成装置から、例えば数MHzから 数百 MHzまでの周波域で音響変換器を生成する圧電音響変換器から、基盤によって分離することができる。圧電音響変換器は数平方ミリから数平方センチの大きさ、数10ミクロメーターから数ミリメーターの厚みをもつことができる。
【0015】
効果的なのは基盤が数センチより薄く、しかし超音波波長の1/4よりも厚いときである。これによって基盤にいわゆる“flexural plate wave modes“ あるいはLamb-modesが形成されるのを防ぐことができる。それは、数平方ミリメーターから数10平方センチメーターまでの面積を占めることがある。
【0016】
特に本発明の方法には、圧電結晶表面のコーティングとそれに伴うリトグラフィーあるいはエッティングが必要でない。本発明の方法では、従来の方法では例えばインターデジタルトランスデューサーの短絡をもたらす金属被膜の表面での、液体フィルムによる使用が可能である。
【0017】
本発明では、液体に向いた表面は平らな基盤表面である。基盤の表面状態の違いのために生じる流動問題がなくなる。特に滑らかな基盤表面は凹凸の表面よりも簡単に洗浄できる。
【0018】
液体に投入された音波は閉じた流線に沿って流れを生じさせる。音波自体は液体内で投入場所の周りに集まっている。流れの到達距離はすき間の厚さに関係し、毛管すき間が広いほど大きい。通常、流れの速さは投入場所からの距離に指数単位で減少する。約200μmのすき間では、1mm毎に係数10の流れ速度減少が見られる。他方、100μmの毛管すき間では、均質な混合ができる到達距離を1mm上げるのに係数10だけ能率を上げなければならない。
【0019】
それにもかかわらずさらにまた大きな液体フィルムの均質混合を保証するには、例えば違った場所でいくつかの超音波を生成する、いくつかの超音波生成装置をつけることが可能である。しかしとくに効果的なのは、超音波生成装置を使って超音波を液体フィルムに投入し、液体を2つの運動ポールで動かすようにすることである。例えば数百μmの側面距離が可能であるが、数ミリがよい。希望の条件によって運動ポールは、その影響範囲がオーバーラップするか、互いに離れているように配置する。
【0020】
例えば2つの運動ポールないし投入場所は、2方向に放射する超音波生成装置を使って得ることができる。
【0021】
本発明のある仕様では超音波は表面波超音波生成装置、特にインターデジタルトランスデューサーを使って、基盤の液体フィルムの反対側で生成される。
【0022】
そのようなインターデジタルトランスデューサーを使ってさまざまなやり方で、基盤を斜方向に通すボリューム音波を基盤で生成することができる。インターデジタルトランスデューサーは圧電結晶と、それが載っている基盤の界面に、2方向に放射する界面波(LSAW)を生成する。界面漏れ波はエネルギーをボリューム音波(BAW)として基盤に放射する。これによりLSAWの振幅は指数単位で減少する。通常の減少長は約100μmである。基盤の法線に対し、基盤へのボリューム音波の放射角aは、基盤内ボリューム音波の音速VS とインターデジタルトランスデューサーで作られた界面音波の音速VLSAWの比率のアークサインから計算される(α=arcsin(VS/VLSAW)。したがって基盤への放射は、基盤での音速が界面漏れ波の音速より小さいときのみ可能である。基盤での縦方向音速は界面漏れ波の速度より大きいため、通常、基盤で横方向波が励起される。界面漏れ波速度は通常3900m/sである。
【0023】
櫛状に互いに組み込むインターデジタルトランスデューサーの下側の、圧電で生じた変形はボリューム音波(BAW)をまた直接に基盤に放射する。この場合基盤の法線に対し放射角aは、基盤内の音速VSと、それからインターデジタルトランスデューサーlIDTと通じた高周波fとの当間隔の積との比率のアークサインとして計算される(a=arcsin (Vs/(lIDT × f))。つまり、この音投入機構にとっては、基盤の法線に対する入射角、浮揚角aは周波数で決定される。この2つの効果は一緒に生じることがある。
【0024】
この2つの機構(LSAW, BAW)は基盤を斜方向に光線で満たすことを可能にする。インターデジタルトランスデューサーの全電気コンタクトは基盤の液体フィルムの反対側で行われる、刺激性の液体による電気接続の腐食はありえない。
【0025】
インターデジタルトランスデューサーを支える圧電結晶は基盤上に接着するか、プレスするか、ボンドで貼り付けるか、あるいは連結媒体(例えば静電あるいはゲルフィルム)を通じて基盤層上に接着するか、プレスするか、ボンドで貼り付けられる。同じく圧電KEが基盤自体であることがある。
【0026】
特に効果的なのは、稼動周波数で消音が少ない基盤材料を使うときである。基盤内のボリューム音波はすき間への界面で部分反射され、音響エネルギーの一部のみ液体に入る。基盤での消音が弱いときには、反射された音線を、他の場所の他の基盤面での反射のあと、再びすき間に投入することができる。このようにして基盤は音波導体のように使われ、基盤のボリューム音波をすき間のいくつかの場所に導き、分布する。ここで効果的なのは、基盤と液体の界面で超音波の一部が分離され、液体フィルムの運動に使われるよう、基盤を選ぶことである。基盤の他の界面ではできるだけ完全な反射を行う。例えば石英ガラスを10MHzから250MHzの周波数、通常100MHzから250MHzの周波数で用いるのは効果的であることがわかった。石英ガラスは、空気への界面でほとんど完全な反射を行い、基盤と液体との界面で10%から20%の分離を行う。
【0027】
ある仕様では、圧電基盤上に超音波を生成する1つないし数個のインターデジタルトランスデューサーがあり、それらは分離して接続されているか、あるいは共通に直列または並列に接続され、フィンガー電極間隔が違うときには周波数の選択により分離して制御される。
【0028】
特に簡単には均質混合を投入場所の周波数制御のヴァリエーションで行うことができる。これは、投入場所とそれと共にその周辺のアクティブな混合域が混合される面で押されるため、混合到達距離の限定をなくしてしまう。
【0029】
例えばWO 01/20781 A1に他の例で記されているような、極間がコンスタントでないインターデジタルトランスデューサー(テーパーインターデジタルトランスデューサー)の使用は、投入した周波数を使ってのインターデジタルトランスデューサーの放射場所の選択を可能にする。このようにして超音波はどこで液体に投入されるかを厳密に決めることができる。
【0030】
さらに直線でない形のテーパーインターデジタルトランスデューサー、例えば弓のように互いにかみ合ったフィンガー電極をもつインターデジタルトランスデューサーを使うときには、放射方向、つまり界面での方位角θは、操作周波数ヴァリエーションよって制御できる。他方、浮揚角αもインターデジタルトランスデューサーでの直接BAW 生成によってその周波数と一緒に変えることができる。
【0031】
上に述べた周波数依存によって、超音波によって動かそうとする、液体フィルムの部分をきわめて正確に決めることが可能である。したがって、例えば周波数の連続的ヴァリエーションによって、液体の混合には固定流れよりも適している時間的に非固定の混合模様を生成することが可能である。
【0032】
基盤の液体反対側でのインターデジタルトランスデューサーを使った、これらの形態による本発明の仕様で効果的なのは、インターデジタルトランスデューサー電極電気インピーダンスのサンプルの電気伝導性からの独立と、この方法を金属被膜の物体キャリアーで使用できる可能性である。音波の生成に必要なインターデジタルトランスデューサー電極は、基盤の厚みによって金属被膜の表面と導電性の液体から離されているので、DE-A-101 17 722で記した方法のような容量性の短絡は生じない。またインターデジタルトランスデューサー電極の電気インピーダンスもサンプル溶液の導電性の影響を受けない。これによってこれまでの方法よりも安定した、高周波ジェネレーターエレクトロニックへのインピーダンス適合が可能である。
【0033】
代替の仕様では、表面音波生成装置、特にインターデジタルトランスデューサーを使って基盤の前面に界面音波を作る。これはすでに述べたようにボリューム音波の基盤への斜方向放射をもたらす。場合によってはこのボリューム音波は同じく、メイン面とのコンタクトによって、液体フィルムに斜方向に投入される。
【0034】
上に述べた仕様では、超音波エネルギーはさまざまな所で液体フィルムに投入することができる。構成を適当にとれば、例えば基盤の厚みを適当にとれば、この投入個所を厳密に決めることができる。このような方法では、多数の表面音波生成装置なしにいくつかの投入場所を実現することができる。このようして配線、あるいは多くの表面音波生成装置で生じる問題を避けることができる。
【0035】
インターデジタルトランスデューサー電極は通常2つのボリューム音波を基盤に送るため、本発明の仕様では、流れのソースとして、局所的に集中して2方向に駆動する、インターデジタルトランスデューサー電極の大きさの表面エレメントの代わりに、基盤と液体フィルムの界面に同じ大きさの、2つの、別々に方向が特定されないように作動する表面エレメントが生じる。これにより流動機能断面、つまりインターデジタルトランスデューサー電極が流れでアクティブであり、インターデジタルトランスデューサー電極が混合できる面が大きく拡大される。そこから流れのソースの配置により大きなフレキシビリティが生まれる。例えば無方向で作動する、2つの流れのソースの間の距離は基盤の厚みと共に増加する。例えば1つのインターデジタルトランスデューサーエレメントで2つの別々の液体を混合することができる。
【0036】
望ましくない場所で反射が起きるのを防ぐため、基盤の無定形に拡散する前面を適当に選択することにより、超音波を無定形に拡散できる。それには例えば、基盤の少なくとも1つの表面を毛羽立てる。この効果は一貫した拡大にも用いることができる。
【0037】
基盤中の超音波の拡大方向を随意に変更するため、通常メイン面でない前面に角のついた反射面をつけることができる。このような反射面で超音波をあらかじめ決めたように導くことができる。
【0038】
本発明の方法実施のための本発明の装置は、1つの超音波生成エレメントのついた基盤をもつ。基盤のメイン面は液体フィルムとのコンタクトのためである。超音波生成装置は、超音波が斜方向に基盤に投入されるような形となっている。特に効果的なのは、超音波生成装置が液体フィルムに相対している基盤メイン面に配置されているときである。しかし、超音波生成装置が他の面に配置され、超音波が基盤の内部での反射によって液体フィルムに導かれることも考えられる。
【0039】
消音効果が少なく、界面にそれに応じた反射係数をもつ基盤材料を用いれば、すでに述べたように界面での反射によって音線の到達距離の大きい装置が得られる。
【0040】
本発明の方法の他の装置は、メイン面でない前面に1つの超音波生成エレメントのついた基盤をもつ。ここでも基盤で生成されたボリューム音波の放射角は、基盤内外の音速によって決まる。このようにしてボリューム音波は基盤内で斜方向に生成され、液体フィルムからもぎ取られた部分は、少なくとも部分的には、液体フィルムの反対側のメイン面での反射によって基盤と液体フィルムの界面の方向に反射される。
【0041】
上に述べた効果を得るため、上に説明した構成のインターデジタルトランスデューサーをもつ装置を使うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明を添付した図により詳細に説明する。
【0043】
図1aにおいて、1は例えばガラスの基盤を示す。例えば物体キャリアーを使うことも可能である。5は例えばリチウムニオブ塩酸の圧電結晶エレメント5である。圧電結晶エレメント5とガラス物体の間には、例えば前もって圧電結晶につけられたインターデジタルトランスデューサー3がある。インターデジタルトランスデューサーは通常、櫛状に互いに食い込んだ金属電極で、その2倍の極間が表面音波の波長を決め、電極は高周波交番磁界(例えば数MHzから数百MHzの範囲)をインターデジタルトランスデューサーに送ることにより圧電結晶内で励起される。このテキストでは「表面音波」の概念を、圧電エレメント5と基盤1の間の界面での界面波の意味でも使う。そのようなインターデジタルトランスデューサー はDE-A-101 17 772に記され、表面波フィルターテクノロジーでも使われている。インターデジタルトランスデューサーの電極接続には、図示されていない高周波ソースにつながる金属リード線16が使われる。
【0044】
基盤1は、スペーサー13を通じてもう1つの基盤11、例えば同じくガラスの物体キャリアーの上に支持されている。スペーサーは独立のエレメントでもいいし、基盤1、11に組み込んでもいい。
【0045】
基盤1と11の間には、混合される液体フィルムがある。液体7のある毛細管すき間は例えば30から100ミクロメーターの間である。基盤11、例えば物体キャリアー上には例えばマイクロアレイがある。マイクロアレイには、さまざまなマクロ分子がついているスポットが、規則正しい配列でならんでいる。液7には例えば他のマクロ分子があり、その反応特性をミクロアレイの周波数で分析するようになっている。
【0046】
超音波生成装置が基盤1の液体フィルムの反対側に配置されている仕様が示されている。もちろん、超音波生成装置はこの仕様でも他の仕様でももう1つの基盤11の液体フィルムの反対側に配置することができる。
【0047】
インターデジタルトランスデューサーを使って、超音波9は、上に述べたように、基盤1の法線に対し角度αで、ボリューム音波として基盤1全体を音線で満たし、上の方向で生成される。15は液体7と基盤1の界面の、基本的にはボリューム音波9が当たる領域を図式的に示す。
【0048】
例えば2mmの厚さのフロートガラスを基盤材料として使えば、音波の流出口15は約8mmの間隔で、音波ソースに対称的に配置されている。インターデジタルトランスデューサーが500mWの周波数で稼動すれば、到達距離は約5mmである。これは0.8cmから1.25cm2の面積の基盤11上、 ミクロアレイ上の毛細管間隔内の液体混合には十分である。
【0049】
図1bは、図1aの仕様でさまざまな周波数を選択してさまざまな投入角をいかにセットできるかを説明している。
【0050】
図2は、図1で示したもののA方向切断図である。
【0051】
図3は代替構造を示す。インターデジタルトランスデューサーは圧電結晶上で基盤1の側面と結びついている。インターデジタルトランスデューサーに高周波電圧がかかると、ここでもボリューム音波9は一定の角度で基盤1に放射される。それに必要な電極は、見やすくするために図3に特に示されていない。毛細管間隔の方向に液体7で放射された、ボリューム音波の部分は基盤1と液体フィルム7の界面に直接に当たる。図3で上方に放射されるボリューム音波は少なくとも部分的には基盤1の表面で方向17に反射し、他の場所で液体フィルム7と基盤1の界面に当たる。
【0052】
図4はインターデジタルトランスデューサー3が圧電結晶5と基盤1の界面ではなく、圧電結晶5の基盤1の反対側にある仕様を示す。適切な周波数の高周波界をインターデジタルトランスデューサー3に通じて、圧電結晶5にボリューム音波が生成され、それは圧電結晶5の、インターデジタルトランスデューサー3の反対側で基盤1に投入される。基盤1内の界面法線に対する音波の入射角aは、圧電結晶5の界面法線にたいする音速の入射角βと基盤 内の音速vsと圧電基盤の音速vpとの比から生じる。 a = arcsin [(vs / vp) ×sinb]とする。
【0053】
適切な周波数の高周波界をインターデジタルトランスデューサー3に通じて、圧電結晶5上に表面音速を生成し、それは少し走ったのち、表面で製作した構造物(エッチングした、等間隔の溝、蒸着した等間隔の金属片)によって圧電結晶5内のボリューム音波に変換することも可能である。
【0054】
図5は圧電結晶5が連結媒体19を通じてインターデジタルトランスデューサー3と基盤1と結ばれ、確実な、全面連結を行う仕様を示す。連結媒体は例えば水である。連結媒体は適当に設定すれば(厚み、素材)、基盤1での音生成の効率を上げることができる。薄い媒体層は角aに与える影響は無視できるほど微小である。そのような連結媒体はすべての仕様で使える。
【0055】
図1、2、3及び5の仕様でのインターデジタルトランスデューサー電極の電気接続は図6に3つの仕様で図式的に表現されている。図6aのような仕様では金属帯導体が基盤に(裏側または図3の仕様では前面に)置かれている。圧電音響変換器5は基盤上に、基盤上の金属電極と圧電音響変換器上のインターデジタルトランスデューサーの電極とがオーバーラップするように置かれる。圧電音響変換器と基盤を接着すれば、オーバーラップ域では導電性の接着剤で接着され、それに対し残りの面は従来の非導電の接着剤で接着される。図5の仕様では、純粋に機械的なコンタクトで十分である。高周波ジェネレーターエレクトロニック方向への、基盤上の金属帯導体の電気接続22は溶接、接着やスプリングコンタクトピンで行われる。
【0056】
図6bのような電気接続仕様では、リード線16のついたインターデジタルトランスデューサー電極が載っている圧電音響変換器5は基盤1上に、最初のものが次のものに対し突出するようにつけられている。このケースでは、接続22は圧電音響変換器上のリード線16に直接つながる。コンタクトは溶接するか、接着するか、ボンドで貼り付けるか、またはスプリングコンタクトピンで行われる。
【0057】
図6cのような電気接続仕様、また例えば図1、2、5でも可能なような電気接続では、基盤1は接続毎に1つの穴23をあけ、圧電音響変換器5は基盤1上に、圧電音響変換器についたリード線が穴23を通って接続できるように置かれる。このケースでは、電気接続はスプリングコンタクトピンを通じて直接圧電音響変換器5のリード線に行われる。他の可能性として、穴を導電性接着剤23で満たすか、それに金属ピンを貼り付ける接続がある。高周波ジェネレーターエレクトロニック方向への、次の電気接続22は溶接、接着やスプリングコンタクトピンで行われる。
【0058】
電力を圧電音響変換器へ通す他の可能性は誘導連結である。ここではインターデジタルトランスデューサー電極へのリード線は、それが高周波シグナルのコンタクトなしの操作のためのアンテナとして使われるように配置される。もっとも簡単なのは、高周波トランスの2次回線として使われる圧電音響変換器上のリング形の電極であり、その1次回線は高周波ジェネレーターエレクトロニックと結ばれている。この1次回線は外にあり、圧電音響変換器のすぐそばに配置されている。
【0059】
図7は圧電ボリューム振動板、例えば音波の斜方向の投入が行われるよう配置された圧電厚板振動板30の使用を示す。これには高周波ソース31と結びついたいわゆるwedge transducerが使われる。wedge transducerがついた面の面法線に対する入射角a は、それがついた角βと、wedge transducerの音速VWと基盤の音速VSの比で決まる。a = arcsin [(vs / vw) ×sinb]とする。
【0060】
そのような配置の極端なケースでは、角βが90oとなることもある。そのときは音響発信機300は基盤1の前面に配置される。この音響発信機300の配置は、図7に斜線で表示されている。
【0061】
図7には、基盤1と毛細管間隔を生成するための、液体7のある第2の基盤11の間のスペーサーは記されていない。この仕様でも図1から5までの仕様でも、そのようなミクロアレイは基盤1か基盤11にある。
【0062】
図7には、混合装置ないし混合方法の可能性の1つを示すため、追加して1つのミクロアレイ21が記されている。ミクロアレイ21は、例えば液体7の中でマクロ分子と反応するよう機能化されているスポットを正規の配列、例えばマトリックス形で含んでいる。
【0063】
以上述べた本発明の装置は、本発明の方法で次のように使うことができる。
【0064】
本発明の方法を実施するには、圧電エレメントを基盤1に堅くプレスすれば足りる。例えばミクロアレイのついた基盤11を用意する。その上に図1から4にあるような表面音波生成装置をもつ基盤1をスペーサー13を入れてつける。図示されていない開口部を通じて液体7は毛細管間隔に送ることができる。液体は、毛細管現象で基本的にはすき間に自然に広がる。代替として前もって液体を基盤11に置くことができる。インターデジタルトランスデューサー3の電気高周波を通じると、圧電結晶5と基盤の界面に界面音波が生成され、それは基盤1でボリューム音波9を励起する。ボリューム音波9は基盤1で図1から4で示した方向に拡散する。場合によっては、少なくとも部分的には、図3の配置で示したような、反射の界面での方向17への偏向が起こる。ほぼ領域15でボリューム音波9、17は液体7と基盤1の界面に当たる。ボリューム音波はインパルスを液体ないしその中にある材料に伝達し、液体内の運動をもたらし、液体は均等化あるいは混合される。このようにして、液体の中に存在する分子がミクロアレイの個々の測定点と、純粋に拡散状態のプロセスの場合よりも速くコンタクトすることが確保される。図1bは、励起周波数のヴァリエーションによって液体内の投入の場所をセットするため、ボリュームモードを直接励起していかに図1aの装置をそれに利用するかを示す。インターデジタルトランスデューサーは簡単な規格インターデジタルトランスデューサーで、浮遊角αは連関sinα= Vs/(インターデジタルトランスデューサーIIDT × f)によってセットされる。ここでVsは超音波の音速、f は周波数、インターデジタルトランスデューサーIIDT はインターデジタルトランスデューサー電極の周期性である。つまり周波数のヴァリエーションによって放射角はαからα‘に変えることができる。他方浮遊角α、α‘のヴァリエーションによってLLへの投入場所15,15‘を変えることができる。
【0065】
図5の仕様では、まず基盤1、液体7、基盤11が上に述べたように準備される。それからはじめて連結媒体19を通じ、インターデジタルトランスデューサー3をもつ圧電結晶を載せる。それから、ボリューム波9を基盤1に生成するため、インターデジタルトランスデューサー3に上に述べたように高周波界を通じる。
【0066】
図7の仕様では基盤1上に例えばマイクロアレイ21がある。高周波界を圧電音響発信器30に通じれば基盤1に斜方向のボリューム音波が生成される。ボリューム音波は液体フィルム7と基盤1の界面に当たる。そこで1図と4図の仕様で説明したように、液体フィルム7ないしそこにあるそれぞれの物質へのインパルス伝達が行われ、混合ないし均等化を導く。
【0067】
以下本発明の他の配置を述べる。
【0068】
図8は、使った超音波周波数のために対して僅かの消音機能しか有しない基盤71が使われる仕様である。例えば10 MHz から 250 MHz の領域の周波数には石英ガラスを, 特に周波数域100 MHz から250 MHzで使うことができる。すでに図1で説明したように、インターデジタルトランスデューサー73を使って基盤に斜方向に入るボリューム音波74が生成される。これは点75で基盤71と液体72の界面に当たる基盤材料71を適当に選んで、超音波74の一部が点75または76で反射され、他の一部は分離されるようにすることができる。これでわかったことは、基盤71と液体72の界面で部分反射が行われ、基盤71と空気の界面、つまり点76ではほとんど完全な反射が始まることである。例えばSiO2ガラスを使えば、液体とガラスの界面で80%から90%の反射率、つまり10%から20%の液体フィルムへの投入ができる。反射率80%を仮定すれば、ガラス基盤で数回反射される音線の強さは10回の反射で約10dB減少する。ここで1mmの基盤厚さで、音線は80mmの側面区間を通ったことになる。そのような構成でより大きいミクロアレイ 、例えば 4 ×1.25 cm2の上側の液体も均質混合することができる。
【0069】
このようにして、構成、例えば基盤の厚みを適当にとって、超音波の一部が基盤71から液体72に投入される点75を場所的に厳密に定め、希望の運動模様を液体72に生成することができる。
【0070】
こうして、周波機能を適当に時間的に変調させて、例えばインターデジタルトランスデューサー73を入り切りして、液体を1つの方向に動かすのに適した流れを生成することができる。こうして、図8の配列で例えば、図示した音方向に沿って711の方向に液体内の流れを誘導することができる。その流れを使って例えば、1つの色素をおよそ100秒間に液体の40mmの区間を動かすことができる。従来の配置ではそのような毛細管間隔内の液体搬送には数時間が必要であろう。これは図8bの方向Aで示している。
【0071】
図9は図8の配列の1つのヴァリエーションを示す。9aには側断面が示されている。2方向に放射するインターデジタルトランスデューサー73から図9の音線74Lが左に向かい、音線74Rが右斜方向、基盤 71に向かう。基盤71の端712で音線74Lは反射され、基盤71と液体72の界面の方向に偏向される。これは点75Lで初めて界面に当たる。音線74Rは75Rの場所で界面に当たる。こうして投入点の密度を上げることができる。これはもう一度図9bの方向Bに示されている。
【0072】
図10aは、基盤71の音線の特別な偏向を可能にする、ほぼ液体72と基盤71の界面のところでの配置の断面への平面図である。インターデジタルトランスデューサー73から図8aで説明したように音線74が出て、点75で液体と基盤71の界面に当たる。こうして導かれた音線74は偏向され、再び毛細管間隔の領域に入り、さらに液体内の流れの駆動に使われる。つまり図示されていないが、音線は図8aの断面と同じジグザグ線の形で基盤71によって導かれる。面77の構成を適当にすれば、液体フィルム内の誘導流れ模様に影響を与えることができる。10aと同じ反射の構成で4×1.25cm2の面積のミクロアレイ上の液体フィルムを僅か50mWの高周波性能で等質に混合することが可能である。
【0073】
図10bには、平面の基盤がほとんど完全に、ただ1つの2方向放射インターデジタルトランスデューサーを使って覆うことができるような配置を示す。これは基盤71の側面77の数次反射でできる。図10bでは基盤71のメイン面での反射点は見やすいように図示せず、図8aで説明したように基盤71での反射で引き起こされる超音波74の拡散方向のみ図示している。
【0074】
図11は、いくつかのインターデジタルトランスデューサー73が平行音線束74の生成に使われ、音線断面が効果的に拡散される配置を横断面で示す。こうして音線はより均質に毛細管間隔の液体72に投入される。これは液体が長距離を搬送される毛細管間隔での到達距離の長い液流にとっては有利である。
【0075】
上に述べた、適当な基盤素材を選択しての反射効果は、同じく図12で示したようにボリューム振動板を使って生成できる。角aの斜方向投入は、図7のように行われる。基盤71から液体72への音線84の音線流失点は図12に85で記されている。
【0076】
図13は基盤71 の端78が、当たる音線74の拡散反射を生成するため、毛羽立てられている仕様を示す。これは端で反射される、望ましくない音線を消すのに効果的である。ここでも図13には、基盤71 のメイン面での音線の反射によって発生する、音線の全拡散方向のみ図示されている。
【0077】
図14は基盤71の裏側が毛羽立てられている仕様を示す。この裏側にインターデジタルトランスデューサー73がある。上に述べた基盤71への超音波の投入では、音線712表面が毛羽だっているため、音線が回折によって開いている。この効果は面710での反射がさらに行われるときにはさらに強まる。基盤71から液体72への投入点の間隔が大きくなると、投入点はそれに応じて広げられる。
【0078】
同じような効果は図15の仕様でも可能である。ここでは、音線713の拡散は、インターデジタルトランスデューサー73の基盤71への投入後に、湾曲した反射角711での反射によって可能である。ここで拡散が説明されているように、集束はそれに応じた反射端を作って可能である。
【0079】
図16はもう1つの仕様を図式的に示したものである。他の図面と同じく、見やすいように、インターデジタルトランスデューサー103の少数の互いに食い込むフィンガーのみ図示されている。実際のインターデジタルトランスデューサーには多数にフィンガー電極がついている。インターデジタルトランスデューサー103の個々のフィンガー電極の間隔はコンスタントでない。したがってインターデジタルトランスデューサー103は、WO 01/20781 A1で他の仕様について説明されているように、高周波を通じれば、フィンガー間隔が周波数と相関関係にある場所でのみ放射する。
【0080】
それに図16の仕様ではフィンガー電極は真っ直ぐでなく、弧の形である。インターデジタルトランスデューサーは基本的にはフィンガーの方向に直角に放射するので、通じた高周波を選択して放射された表面音波の方向は方位角で操作される。図16では例として周波数f1とf2の放射方向が示されている。放射方向は、周波数f1では角q1で周波数f2では角q2で記されている。図16は、図1の仕様の断面A-Aと同じく、インターデジタルトランスデューサー103がついている圧電基盤と、インターデジタルトランスデューサーを動かせようとする液体フィルムから分離している基盤の界面への平面図を図式的に示したものである。
【0081】
上に述べた仕様の方法ないし特定の性質を有する個々の実施形式は適切に組み合わせ、それによって望みの機能と効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1a】本発明方法の第1の仕様実施のための配置断面図である。
【図1b】本発明方法の第1の仕様実施のための配置断面図である。
【図2】図1配置のA方向切断図である。
【図3】本発明方法の第2の仕様実施のための配置断面図である。
【図4】本発明方法の第3の仕様実施のための配置面図である。
【図5】本発明方法の第4の仕様実施のための配置断面図である。
【図6a】本発明方法実施のための装置の電気接続配置のスキーマ部分図である。
【図6b】本発明方法実施のための装置の電気接続配置のスキーマ部分図である。
【図6c】本発明方法実施のための装置の電気接続配置のスキーマ部分図である。
【図7】本発明方法の第5の仕様実施のための配置断面図である。
【図8a】本発明方法の第6の仕様実施のための配置断面図である。
【図8b】図8aのA方向切断図である。
【図9a】本発明方法の第7の仕様実施のための配置断面図である。
【図9b】図9aのB方向切断図である。
【図10a】本発明方法の第8の仕様実施のための配置断面への平面図である。
【図10b】本発明方法の第9の仕様実施のための配置断面への平面図である。
【図11】本発明方法の第10の仕様のカット図である。
【図12】本発明方法の第11の仕様のカット図である。
【図13】本発明方法の第12の仕様実施のための配置断面への平面図である。
【図14】本発明方法の第13の仕様実施のための配置断面図である。
【図15】本発明方法の第14の仕様実施のための配置断面図である。
【図16】本発明方法の第15の仕様実施のための配置断面への平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの超音波(9, 17, 74, 84, 109, 712, 713)が基盤(1, 71)を通って液体フィルム(7, 72)の方向に送られる、基盤(1, 71)と接触して、薄い液体フィルム、特に毛細管間隔に動きを生成する方法。
【請求項2】
液体は少なくとも2つの運動ポール(15, 75, 85)で高周波生成装置によって生成される高周波エネルギーによって動かされるように、超音波(9, 17, 74, 84, 109, 712, 713)が超音波生成装置(3, 73)によって液体フィルム(7)に連結される、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの超音波(9, 17, 74, 84, 109, 712, 713)が 液体フィルム(7, 72)面に斜方向に基盤を音線で満たす、薄い液体フィルムに動きを生成する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
高周波生成装置として2方向に放射する高周波生成装置、特にインターデジタルトランスデューサー(3, 73)が使われる、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
超音波 (74, 84)が少なくとも1度 基盤(71)内部で反射されるように基盤に内連結され、そのとき、反射が液体の反対の界面でできるだけ完全で、液体に向いた界面では損失があり、しかし0ではなく、基盤の内部の損失ができるだけ少ないような、基盤が使われる、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2つの異なる運動ポール(15, 15‘)が、少なくとも1つの高周波生成装置(3)の放射方向(a, a‘, q, q‘)の時間的ヴァリエーションによって生成される、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの高周波がインターデジタルトランスデューサー(103)を使って圧電エレメントで生成され、そこではインターデジタルトランスデューサーの互いに食い込むフィンガー電極は互いに空間的にコンスタントでない距離をもち、インターデジタルトランスデューサーに通じている周波数の変更により、放射場所、及び高周波の液体フィルムへの連結挿入場所がセットされる、請求項2乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
互いに食い込むフィンガー電極が真っ直ぐでなく、特に弓形をなすインターデジタルトランスデューサー(103)が使われ、通じている高周波界の周波数の選択によって、放射場所、及び高周波の液体フィルムへの内連結場所が選択される、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの超音波(9, 74, 109, 712, 713)が表面波生成エレメント、特にインターデジタルトランスデューサー(3, 73, 103)を使って圧電エレメント(5)上、基盤(1、71)の液体フィルム(7, 72)の反対側に生成される、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの超音波(9)が表面波生成エレメント(3)、特にインターデジタルトランスデューサー(3)を使って圧電エレメント(5)上、基盤(1)の液体の前側に生成される、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの超音波(74, 712) が基盤で拡大するため、少なくとも1つの無方向に拡散する面(78, 710)をもつ基盤(71)が使われる、薄い液体フィルム内 に動きを生成する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの超音波(74)の拡散方向が基盤(71) で、基盤(71) 前面の部分である放射面(77)によって偏向される、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
液体フィルム(7, 72)が数μmから5mm、特に数100μmの厚みを超音波の拡大方向にもつ、薄い液体フィルム内 に動きを生成する、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
高周波が数 MHz から数100 MHzの周波数をもつ、薄い液体フィルム内 に動きを生成する、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
2つのメイン面をもつ基盤(1,71)をもち、その1つは液体フィルム(7, 72)とのコンタクトに使われ、基盤とコンタクトしている少なくとも1つの高周波生成装置生成装置超音波(3,73)に使われ、その高周波生成装置は少なくとも1つの超音波 (9, 17, 74, 84, 109, 712, 713)が基盤に斜方向に投入されるような仕様である、請求項1の方法の実施のための、薄い液体フィルム内 に動きを生成する、装置。
【請求項16】
少なくとも1つの超音波生成エレメント(3, 30, 73, 103)が基盤(1, 71)のメイン面に配置され、メイン面は液体フィルム(7, 72)とのコンタクトに使われるメイン面の反対側にある、薄い液体フィルム(7, 72)内に動きを生成する、請求項15記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つの超音波生成エレメント(3, 30)が基盤(1)の、メイン面でない前面に配置されている、薄い液体フィルム(7)内に動きを生成する、請求項15記載の装置。
【請求項18】
少なくとも1つの超音波生成エレメントが数MHzから数100 MHzの周波数の生成に適している、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項15乃至17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つの高周波生成装置(3,37)が2方向に放射する、請求項15乃至18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
基盤(71)の材料は、反射が液体の反対の界面でできるだけ完全で、液体に向いた界面では損失があり、しかし0ではなく、基盤の内部での超音波強度の損失ができるだけ少ないように選ばれている、請求項15乃至19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
少なくとも1つの超音波生成装置(3, 73, 103)が圧電エレメント(5)上に インターデジタルトランスデューサー(3, 73, 103)をもつ、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項15乃至20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
少なくとも1つのインターデジタルトランスデューサー(3)の電気接続は、圧電エレメント(5)上の第1のリード線によって、基盤(1)上の第2のリード線によって行われ、それがオーバーラップするように配置されている、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項21項記載の装置。
【請求項23】
圧電エレメント(5)が基盤(1)上に突出し、基盤上には少なくとも1つのインターデジタルトランスデューサー(3)へのリード線(16)用のコンタクト個所がある、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項21項記載の装置。
【請求項24】
少なくとも1つのインターデジタルトランスデューサー(3)が穴を通して、特に導電性の接着剤(23)で満たされている基盤(1)を通って接続されている、薄い液体フィルムに動きを生成する、請求項21項記載の装置。
【請求項25】
インターデジタルトランスデューサー(3)が高周波シグナルのコンタクトなしの連結に使われるアンテナをもつ、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項21項記載の装置。
【請求項26】
インターデジタルトランスデューサー(103)のフィンガー電極が空間的にコンスタントな間隔をもたない、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項21乃至25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
インターデジタルトランスデューサー(103)のフィンガー電極が真っ直ぐでなく、特に弓形をなす、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項26項記載の装置。
【請求項28】
基盤(71)が少なくとも1つの拡散する面(78, 710)をもつ、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項15乃至27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項1】
少なくとも1つの超音波(9, 17, 74, 84, 109, 712, 713)が基盤(1, 71)を通って液体フィルム(7, 72)の方向に送られる、基盤(1, 71)と接触して、薄い液体フィルム、特に毛細管間隔に動きを生成する方法。
【請求項2】
液体は少なくとも2つの運動ポール(15, 75, 85)で高周波生成装置によって生成される高周波エネルギーによって動かされるように、超音波(9, 17, 74, 84, 109, 712, 713)が超音波生成装置(3, 73)によって液体フィルム(7)に連結される、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの超音波(9, 17, 74, 84, 109, 712, 713)が 液体フィルム(7, 72)面に斜方向に基盤を音線で満たす、薄い液体フィルムに動きを生成する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
高周波生成装置として2方向に放射する高周波生成装置、特にインターデジタルトランスデューサー(3, 73)が使われる、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
超音波 (74, 84)が少なくとも1度 基盤(71)内部で反射されるように基盤に内連結され、そのとき、反射が液体の反対の界面でできるだけ完全で、液体に向いた界面では損失があり、しかし0ではなく、基盤の内部の損失ができるだけ少ないような、基盤が使われる、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2つの異なる運動ポール(15, 15‘)が、少なくとも1つの高周波生成装置(3)の放射方向(a, a‘, q, q‘)の時間的ヴァリエーションによって生成される、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの高周波がインターデジタルトランスデューサー(103)を使って圧電エレメントで生成され、そこではインターデジタルトランスデューサーの互いに食い込むフィンガー電極は互いに空間的にコンスタントでない距離をもち、インターデジタルトランスデューサーに通じている周波数の変更により、放射場所、及び高周波の液体フィルムへの連結挿入場所がセットされる、請求項2乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
互いに食い込むフィンガー電極が真っ直ぐでなく、特に弓形をなすインターデジタルトランスデューサー(103)が使われ、通じている高周波界の周波数の選択によって、放射場所、及び高周波の液体フィルムへの内連結場所が選択される、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの超音波(9, 74, 109, 712, 713)が表面波生成エレメント、特にインターデジタルトランスデューサー(3, 73, 103)を使って圧電エレメント(5)上、基盤(1、71)の液体フィルム(7, 72)の反対側に生成される、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの超音波(9)が表面波生成エレメント(3)、特にインターデジタルトランスデューサー(3)を使って圧電エレメント(5)上、基盤(1)の液体の前側に生成される、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの超音波(74, 712) が基盤で拡大するため、少なくとも1つの無方向に拡散する面(78, 710)をもつ基盤(71)が使われる、薄い液体フィルム内 に動きを生成する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの超音波(74)の拡散方向が基盤(71) で、基盤(71) 前面の部分である放射面(77)によって偏向される、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
液体フィルム(7, 72)が数μmから5mm、特に数100μmの厚みを超音波の拡大方向にもつ、薄い液体フィルム内 に動きを生成する、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
高周波が数 MHz から数100 MHzの周波数をもつ、薄い液体フィルム内 に動きを生成する、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
2つのメイン面をもつ基盤(1,71)をもち、その1つは液体フィルム(7, 72)とのコンタクトに使われ、基盤とコンタクトしている少なくとも1つの高周波生成装置生成装置超音波(3,73)に使われ、その高周波生成装置は少なくとも1つの超音波 (9, 17, 74, 84, 109, 712, 713)が基盤に斜方向に投入されるような仕様である、請求項1の方法の実施のための、薄い液体フィルム内 に動きを生成する、装置。
【請求項16】
少なくとも1つの超音波生成エレメント(3, 30, 73, 103)が基盤(1, 71)のメイン面に配置され、メイン面は液体フィルム(7, 72)とのコンタクトに使われるメイン面の反対側にある、薄い液体フィルム(7, 72)内に動きを生成する、請求項15記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つの超音波生成エレメント(3, 30)が基盤(1)の、メイン面でない前面に配置されている、薄い液体フィルム(7)内に動きを生成する、請求項15記載の装置。
【請求項18】
少なくとも1つの超音波生成エレメントが数MHzから数100 MHzの周波数の生成に適している、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項15乃至17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つの高周波生成装置(3,37)が2方向に放射する、請求項15乃至18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
基盤(71)の材料は、反射が液体の反対の界面でできるだけ完全で、液体に向いた界面では損失があり、しかし0ではなく、基盤の内部での超音波強度の損失ができるだけ少ないように選ばれている、請求項15乃至19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
少なくとも1つの超音波生成装置(3, 73, 103)が圧電エレメント(5)上に インターデジタルトランスデューサー(3, 73, 103)をもつ、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項15乃至20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
少なくとも1つのインターデジタルトランスデューサー(3)の電気接続は、圧電エレメント(5)上の第1のリード線によって、基盤(1)上の第2のリード線によって行われ、それがオーバーラップするように配置されている、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項21項記載の装置。
【請求項23】
圧電エレメント(5)が基盤(1)上に突出し、基盤上には少なくとも1つのインターデジタルトランスデューサー(3)へのリード線(16)用のコンタクト個所がある、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項21項記載の装置。
【請求項24】
少なくとも1つのインターデジタルトランスデューサー(3)が穴を通して、特に導電性の接着剤(23)で満たされている基盤(1)を通って接続されている、薄い液体フィルムに動きを生成する、請求項21項記載の装置。
【請求項25】
インターデジタルトランスデューサー(3)が高周波シグナルのコンタクトなしの連結に使われるアンテナをもつ、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項21項記載の装置。
【請求項26】
インターデジタルトランスデューサー(103)のフィンガー電極が空間的にコンスタントな間隔をもたない、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項21乃至25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
インターデジタルトランスデューサー(103)のフィンガー電極が真っ直ぐでなく、特に弓形をなす、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項26項記載の装置。
【請求項28】
基盤(71)が少なくとも1つの拡散する面(78, 710)をもつ、薄い液体フィルム内に動きを生成する、請求項15乃至27のいずれか1項に記載の装置。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2006−519091(P2006−519091A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501621(P2006−501621)
【出願日】平成16年1月27日(2004.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000688
【国際公開番号】WO2004/076047
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(502096196)アドヴァリティクス アーゲー (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月27日(2004.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000688
【国際公開番号】WO2004/076047
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(502096196)アドヴァリティクス アーゲー (9)
【Fターム(参考)】
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