説明

薄型表示装置

【課題】 薄型表示装置の放熱効率の向上および複数の基板レイアウトに対応する。
【解決手段】 薄型表示装置1のLCDモジュール10と本体ユニット20の組立構造は以下のようになる。まず、LCDモジュール10の背面側に搭載したLCD回路基板16にケーブル30を接続し、ケーブルクランプ31で保持させる。次に、本体ユニット20を、LCDモジュール10に背面側から取付ける。次に、ケーブル40を、ファン取付け穴21cよりホルダ21の背面側に取り出し本体回路基板22に接続し、ファン取付け穴21cの切り欠き21eに設けたエッジサドル24で保持させる。最後に、軸流ファン23をネジ41にてホルダ21に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型表示装置の内部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネル(LCD)、プラズマパネル(PDP)等、薄型の表示パネルを用いた薄型表示装置は、利用分野が拡大し、民生用テレビ受像機や様々な業務用途で利用されている。このため、一般的な薄型表示装置は汎用性を有した表示モジュールと固有の仕様に合わせた本体ユニットで構成されており、本体ユニットに搭載する回路基板を変えることで様々な仕様に対応する構造となっている。
【0003】
以上のような構造の薄型表示装置は、表示モジュールに本体ユニットを取付け後、外装およびスタンドを取付ける組立手順となっており、表示モジュールに本体ユニットを取付ける際には、それぞれの回路基板をケーブルで接続する。また、この構造の薄型表示装置には、表示モジュールで発生した熱を、表示モジュールと本体ユニットの間で風路(ダクト)を形成し、ファンによる換気で放熱する装置もある。
【0004】
以下、図を用いて従来技術の薄型表示装置についてLCDモジュールを用いた構造で説明する。図7は従来技術に係る薄型表示装置の分解図を示す。
【0005】
薄型表示装置101は、画像を表示するLCDモジュール110および本体ユニット120を、図示しない外装筺体で収容した構造となっている。LCDモジュール110は、LCDパネルの背面側にバックライトを搭載し、放熱する機能を有するシャーシ111で保持した構造となっている。シャーシ111の背面側には、LCD回路基板112が搭載されている。
【0006】
本体ユニット120は、LCDモジュール110を背面側から覆うような箱形状のホルダ121の背面側に、本体回路基板122および軸流ファン123を搭載した構造となっている。ホルダ121の背面側には、搭載部品の取り付け形状と吸気孔121aとケーブル用の開口穴121bが設けられている。LCDモジュール110と本体ユニット120を取付ける作業の際、一端をLCD回路基板112に接続したケーブル130をケーブル用の開口穴121bに通し、本体回路基板122に接続する。
【0007】
また、従来技術には、一端にLED部品を、他端にLED部品より大きなコネクタを設けたケーブルの取付け構造で、開口穴を大きさの異なる大、小の2つ穴をつなげたダルマ穴で構成し、大きな穴でコネクタを通した後、小さい穴でLED部品を保持する構造も提案されている。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−58537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上述した従来技術では、表示モジュールと本体ユニットそれぞれの回路基板をケーブルで接続するために、ホルダにケーブルのコネクタ外形より大きな開口穴を設けてケーブルを通す必要が生じる。例えば、一般的に映像信号伝送用に用いられる細線同軸ケーブルは、約50極のコネクタ外形が約37mm×4mmなのに対してケーブルは束ねた状態で約φ4mmなので、特許文献1記載のような技術を用いても、開口穴はコネクタ通過後に開口面積が大きい状態となる。
【0010】
この構造では、表示モジュールをホルダで覆いダクトを形成し、ファンによる換気で放熱を行っているため、開口穴が通気孔として機能し所望の冷却特性が得られにくいという課題があった。また、本体ユニットは、仕様に応じて搭載する回路基板を変える場合があるため、開口穴を設けると回路基板の配置可能な面積が限られてしまうため、複数種類の回路基板レイアウトに対応することが困難であった。
【0011】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、回路基板間のケーブル接続用の開口穴によって放熱性が悪化することを改善することと複数の基板レイアウトに対応しやすくすることを目的している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る薄型表示装置は、表示モジュールと前記表示モジュールの背面に設けた本体ユニットとそれらを覆う外装筺体で構成した薄型表示装置であって、前記表示モジュールは、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルを背面で保持するシャーシ、前記シャーシの背面側に搭載される前記表示パネルを駆動させるパネル回路基板で構成し、前記本体ユニットは、前記パネル回路基板に映像信号や電源を供給する本体回路基板と前記表示モジュール冷却用のファンを搭載したホルダで構成し、前記ホルダの前記ファンの対向する位置に通気用のファン取付け穴と前記ファン取付け穴に切り欠き形状を設け、前記切り欠き形状に前記パネル回路基板と前記本体回路基板の接続用のケーブルを保持したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示モジュールと本体ユニットの回路基板接続用のケーブルの接続作業を行う際、ホルダに設けたファンの取付け穴を利用してケーブルのコネクタを通し、切り欠き形状でケーブルを保持する。このため、ファン取付け後に開口となる切り欠き形状は、ケーブル外形と略同形状にすることができるため、開口面積を小さくすることが可能となる。以上の構造により、回路基板間のケーブル接続用の開口穴によって放熱性が悪化することを軽減することができ、複数の基板レイアウトに対応することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る薄型表示装置の外観図
【図2】本発明に係る薄型表示装置の分解図
【図3】本発明に係るLCDモジュールの分解図
【図4】本発明に係る本体ユニットの分解図
【図5】本発明に係るLCDモジュールと本体ユニットの組立図
【図6】本発明に係るケーブル接続作業の詳細図
【図7】従来技術に係る薄型表示装置の分解図
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施例1]
以下、図に基づいて本発明の第1の実施形態を説明する。
【0016】
図1,2を用いて本発明の薄型表示装置の構造について説明する。図1は、本発明に係る薄型表示装置の外観図を示し、図2は分解図を示す。
【0017】
薄型表示装置1は、正面側に画像を表示するLCDモジュール10および本体ユニット20を、正面側からベゼル2、背面側からリアカバー3で収容した構造となっている。また、薄型表示装置1は、スタンド50や図示しない壁掛け金具で背面側から保持されている。
【0018】
次に、図3を用いて本発明のLCDモジュールについて説明する。図3は、本発明に係るLCDモジュールの分解図を示す。
【0019】
LCDモジュール10は、LCDパネル11の背面側に直下型のバックライト12として、発光ダイオード(以下、LED)を略等間隔で実装したLED基板を配置した構造となっている。LCDパネル11は正面側、背面側に開口を形成した枠体のフロントケース13、リアケース14により挟み込んで保持されている。リアケース14の背面側の開口には、バックライト12を保持したシャーシ15が配置され、LCDパネル11、リアケース14、シャーシ15によりバックライト12は密閉された構造となっている。
【0020】
また、図示しないがLCDパネル11とバックライト12の間には拡散板、反射板等の光学部材が配置されている。シャーシ15の材質は、熱伝導性のよいアルミニウム等の板材で、バックライト12で発生した熱を伝熱し背面側へ放熱する機能を有している。シャーシ15の背面側には、LCDパネル11およびバックライト12を駆動制御するLCD回路基板16が搭載されている。また、フロントケース13の天面側、底面側、左右両側面側には、ネジ穴13aが設けられている。
【0021】
次に、図4を用いて本発明の本体ユニットについて説明する。図4は本発明に係る本体ユニットの分解図を示す。
【0022】
本体ユニット20は、ホルダ21の背面側に、本体回路基板22および軸流ファン23を搭載した構造となっている。ホルダ21の形状は、LCDモジュール10を背面側から覆うように前面側に開口を有する箱形状で、周囲の壁にはフロントケースのネジ穴13aに対向する位置に取付け穴21aが設けられている。また、ホルダ21の背面側には、吸気孔21bと軸流ファン30用のファン取付け穴21cとネジ穴21dが設けられている。ファン取付け穴21cの一部には、切り欠き形状21eが設けられ、樹脂材からなるケーブル保持用のエッジサドル24が係合されている。本体回路基板22はLCDモジュール10およびLCD回路基板16に、外部から入力した映像信号や電源を供給する機能を備えている。
【0023】
本発明の薄型表示装置の組立構造および効果について説明する。図5は、本発明に係るLCDモジュールと本体ユニットの組立図を、図6はケーブルの接続作業の詳細図を示す。
【0024】
薄型表示装置1の組立構造は、内部構造体であるLCDモジュール10と本体ユニット20を取付け後、外装およびスタンドを取付ける構造となっている。LCDモジュール10に本体ユニット20を取付ける作業について説明する。まず、LCD回路基板16に本体回路基板22との接続用ケーブル30を接続し、本体ユニット20の軸流ファン23およびファン用取付け穴21cに対向する位置近傍にケーブルクランプ31で保持させる。次に、軸流ファン23を搭載しない状態の本体ユニット20を、LCDモジュール10に背面側から取付けネジ40にて固定する。次に、ケーブル40およびコネクタを、ファン取付け穴21cよりホルダ背面側に取り出し、ケーブル40を切り欠き形状21eで保持し、保持本体回路基板22に接続する。更に、ケーブル40をエッジサドル24に保持させる。最後に、軸流ファン23をネジ41にてホルダ21に固定する。
【0025】
以上の構造より、表示モジュールと本体ユニットの回路基板接続用のケーブルの接続作業を行う際、ホルダに設けたファンの取付け穴を利用してケーブルのコネクタを通し、切り欠き形状でケーブルを保持する。このため、ファン取付け後に開口となる切り欠き形状は、ケーブル外形と略同形状にすることができるため、開口面積を小さくすることが可能となる。以上の構造により、回路基板間のケーブル接続用の開口穴によって放熱性が悪化することを軽減することができ、複数の基板レイアウトに対応することが容易となる。
【0026】
薄型表示装置では、一般的に外形寸法が□40mm〜□120mmの軸流ファンが用いられる。□40mmのファンに対応したファン用取付け穴の寸法は約□38mmである。また、一般的に映像信号伝送用に用いられるケーブルは、約50極の細線同軸ケーブルで、コネクタの外形寸法は約37mm×4mmである。ファン用取付け穴の寸法は、□38mmで対角寸法約54mm(≒38×√2)なのでコネクタをわずかに傾ければ、余裕をもってコネクタを通すことができる。このことから、本発明は、特別に大きい軸流ファンや小さいコネクタを選定しなくても適応することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 薄型表示装置
2 ベゼル
3 リアカバー
10 LCDモジュール
11 LCDパネル
12 バックライト
13 フロントケース
14 リアケース
15 シャーシ
16 LCD回路基板
20 本体ユニット
21 ホルダ
22 本体回路基板
23 軸流ファン
24 エッジサドル
30 ケーブル
31 ケーブルクランプ
40、41 ネジ
50 スタンド
101 薄型表示装置
110 LCDモジュール
111 シャーシ
112 LCD回路基板
120 本体ユニット
121 ホルダ
122 本体回路基板
123 軸流ファン
130 ケーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示モジュールと前記表示モジュールの背面に設けた本体ユニットとそれらを覆う外装筺体で構成した薄型表示装置であって
前記表示モジュールは、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルを背面で保持するシャーシ、前記シャーシの背面側に搭載される前記表示パネルを駆動させるパネル回路基板で構成し
前記本体ユニットは、前記パネル回路基板に映像信号や電源を供給する本体回路基板と前記表示モジュール冷却用のファンを搭載したホルダで構成し
前記ホルダの前記ファンの対向する位置に通気用のファン取付け穴と前記ファン取付け穴に切り欠き形状を設け、前記切り欠き形状に前記パネル回路基板と前記本体回路基板の接続用のケーブルを保持したことを特徴とする薄型表示装置。
【請求項2】
前記ファン取付け穴の穴寸法が前記ケーブルのコネクタ外形より大きいことを特徴とする請求項1に記載の薄型表示装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate