説明

薄型表示装置

【課題】外観上の体裁を良好に維持する。
【解決手段】液晶モジュール1と合成樹脂製フロントキャビネット2とで装置本体Aが形成され、フロントキャビネット2に嵌合される合成樹脂製リアキャビネット3にボス10が一体突設されると共に、該ボス10に対向して装置本体Aにボス対向面Aaが形成され、該ボス対向面Aaを挟んでボス10に対向する支持台14がフロントキャビネット2に一体形成され、ボス10の端面10aからリアキャビネット3の外周縁部3aの端面11までの突出長さh1が装置本体Aのボス対向面Aaからフロントキャビネット2の外周縁部2aの端面15までの深さh2よりも所定間隔kだけ大きく設定されており、ビス4をボス10内からボス対向面Aaを貫通してフロントキャビネット2の支持台14のねじ孔17にねじ込んで、装置本体Aにリアキャビネット3を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶テレビなどの薄型表示装置に関し、特に、外観上の体裁を良好に
維持することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薄型表示装置の一例として図7〜図11に示すものがあり、これは液晶テレビで
あって、液晶モジュール(薄型表示部)1とその液晶モジュール1を支持する合成樹脂製
フロントキャビネット2とで装置本体Aが形成され、フロントキャビネット2に嵌合され
る合成樹脂製リアキャビネット3が設けられ、その両キャビネット2,3の四隅を連結す
るための複数(この例では4本)のビス4が用いられ、フロントキャビネット2の外周縁
部2a,3aの天板複数箇所(この例では5箇所)及び側板中央箇所に連結フック5が設
けられ、その複数のビス4と連結フック5とで両キャビネット2,3が一体的に連結され
ている。なお、図7中、6はフロントキャビネット2の開口部、7はスタンドである。
【0003】
図8及び図9に示すように、前記ビス4をねじ込むためのボス10がリアキャビネット
3に一体突設されると共に、該リアキャビネット3の外周縁部3aの端面11の内周縁に
突出片12が一体突設されている。
【0004】
図8及び図9に示すように、前記ボス10に対向して装置本体Aにボス対向面Aaが形
成され、この例では、そのボス対向面Aaを液晶モジュール1のベゼル13に設けている
。また、ボス対向面Aaを挟んでボス10に対向する支持台14がフロントキャビネット
2に一体形成されている。
【0005】
図9に示すように、前記ボス10の端面10aからリアキャビネット3の外周縁部3a
の端面11までの突出長さh1が装置本体Aのボス対向面Aaからフロントキャビネット
2の外周縁部2aの端面15までの深さh2と同一に設定されている(h1=h2)。
【0006】
組立手順を説明すると、図9(a)に示すように、作業台16上にフロントキャビネッ
ト2を載せ、該フロントキャビネット2内に液晶モジュール1を配置して装置本体Aを形
成する。次に、リアキャビネット3をフロントキャビネット2に被せることにより、リア
キャビネット3の突出片12をフロントキャビネット2の外周縁部2a内に嵌入させ、連
結フック5で両キャビネット2,3を連結し(図7参照)、ボス10の端面10aをボス
対向面Aaに当接させ、図9(b)に示すように、ビス4をボス10内からボス対向面A
a(ベゼル13)を貫通して支持台14のねじ孔17にねじ込むことにより、装置本体A
にリアキャビネット3を取り付ける。なお、関連する技術として特許文献1に記載したも
のがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−72499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の構成では、リアキャビネット3のボス10の突出長さh1が装置本体Aのボ
ス対向面Aaの深さh2と同一に設定されており(h1=h2)、図9(a)及び(b)
では寸法誤差がゼロの場合を例にあげて説明したが、フロントキャビネット2及びリアキ
ャビネット3を成形した際の反りや寸法バラツキ及び累積公差により、図10(a)に示
すように、ボス10の突出長さh1がボス対向面Aaの深さh2よりも小さくなったり(
h1<h2)、図11(a)に示すように、そのボス10の突出長さh1がボス対向面A
aの深さh2よりも大きくなることがある(h1>h2)。
【0009】
上記したようにボス10の突出長さh1がボス対向面Aaの深さh2よりも小さくなっ
た場合には(h1<h2)、図10(a)に示すように、作業台16上に液晶モジュール
1及びフロントキャビネット2からなる装置本体Aを載せ、リアキャビネット3をフロン
トキャビネット2に被せたとき、ボス10とボス対向面Aaとの間にわずかな隙間t(例
えば0.2mm程度)が生じることになり、図10(b)に示すように、ビス4をボス1
0内からボス対向面Aa(ベゼル13)を貫通して支持台14のねじ孔17にねじ込むこ
とにより、その支持台14がボス10側に引っ張られ、フロントキャビネット2の前面の
支持台14に対向する部分にわずかな深みn(例えば0.2mm程度)の窪み19が発生
し、フロントキャビネット2の前面が光沢のある鏡面仕上げされているときには、その窪
み19の部分だけ反射光が異なって見え、ユーザーに違和感を感じさせて外観上の体裁が
悪くなる。
【0010】
上記したようにボス10の突出長さh1がボス対向面Aaの深さh2よりも大きくなっ
た場合には(h1>h2)、図11(a)に示すように、作業台16上に液晶モジュール
1及びフロントキャビネット2からなる装置本体Aを載せ、リアキャビネット3をフロン
トキャビネット2に被せることにより、ボス10がボス対向面Aaに当接され、図11(
b)に示すように、ビス4をボス10内からボス対向面Aa(ベゼル13)を貫通して支
持台14のねじ孔17にねじ込むことにより、リアキャビネット3の端面11とフロント
キャビネット2の端面15との間に比較的大きな隙間dが発生し、その大きな隙間dが許
容範囲を越えるときには(例えば1mm以上)、外観不良となる。
【0011】
本発明は、上記従来の欠点に鑑み、外観上の体裁を良好に維持することができるように
した薄型表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、薄型表示部と該薄型表示部を支持
する合成樹脂製フロントキャビネットとで装置本体が形成され、前記フロントキャビネッ
トに嵌合される合成樹脂製リアキャビネットが設けられ、該リアキャビネットにボスが一
体突設されると共に、該ボスに対向して装置本体にボス対向面が形成され、該ボス対向面
を挟んでボスに対向する支持台がフロントキャビネットに一体形成され、前記リアキャビ
ネットの外周縁部の端面の内周縁に突出片が一体突設されており、リアキャビネットをフ
ロントキャビネットに被せることにより、該リアキャビネットの突出片をフロントキャビ
ネットの外周縁部内に嵌入させると共に、ボスを装置本体のボス対向面に対向させ、該ボ
ス内からボス対向面を貫通して支持台のねじ孔にビスをねじ込むことにより、装置本体に
リアキャビネットを取り付けるようにした薄型表示装置において、前記ボスの端面からリ
アキャビネットの外周縁部の端面までの突出長さが装置本体のボス対向面からフロントキ
ャビネットの外周縁部の端面までの深さよりも所定間隔だけ大きく設定されていることを
特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記リアキャビネットの突
出片とフロントキャビネットの外周縁部とのうち、その一方のボスに接近する位置に係合
孔が貫設されると共に、その他方のボスに接近する位置に係合フックが形成されており、
リアキャビネットをフロントキャビネットに被せたときに係合フックを係合孔に係脱可能
に係合させるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、リアキャビネットのボスの突出長さが薄型表示部及び
フロントキャビネットからなる装置本体のボス対向面の深さよりも所定間隔だけ大きく設
定されているから、リアキャビネットをフロントキャビネットに被せたときに、前記ボス
がボス対向面に当接される。従って、ビスをボス内からボス対向面を貫通してフロントキ
ャビネットの支持台のねじ孔にねじ込んだときに、従来のように支持台がボス側に引っ張
られてフロントキャビネットの前面に窪みを発生させることがなく、そのフロントキャビ
ネットの前面の全体を均等に光らせてユーザーに違和感を感じさせず、外観上の体裁を良
好に維持することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、フロントキャビネット及びリアキャビネットを成形し
た際の反りや寸法バラツキ及び累積公差により、該リアキャビネットの端面とフロントキ
ャビネットの端面との間に発生する隙間が許容範囲を越えるときでも、リアキャビネット
の突出片とフロントキャビネットの外周縁部とのうち、その一方のボスに接近する位置に
貫設した係合孔にその他方のボスに接近する位置に形成した係合フックを係合させること
により、その隙間を許容範囲内におさめることができ、これによって、外観上の体裁を良
好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の一形態である薄型表示装置の斜視図である。
【図2】同一部切欠き平面図である。
【図3】同要部の拡大分解斜視図である。
【図4】(a)及び(b)は組立手順を説明する水平断面図である。
【図5】(a)及び(b)は寸法誤差がマイナスの場合の組立手順を説明する水平断面図である。
【図6】(a)及び(b)は寸法誤差がプラスの場合の組立手順を説明する水平断面図である。
【図7】従来例を示す斜視図である。
【図8】同一部切欠き平面図である。
【図9】(a)及び(b)は組立手順を説明する水平断面図である。
【図10】(a)及び(b)は寸法誤差がマイナスの場合の組立手順を説明する水平断面図である。
【図11】(a)及び(b)は寸法誤差がプラスの場合の組立手順を説明する水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図6は本発明の実施の一形態である薄型表示装置を示すものであり、これは液晶
テレビであって、図4に示すように、リアキャビネット3のボス10の端面10aから該
リアキャビネット3の外周縁部3aの端面11までの突出長さh1が液晶モジュール(薄
型表示部)とフロントキャビネット2からなる装置本体Aのボス対向面Aaからフロント
キャビネット2の外周縁部2aの端面15までの深さh2よりも所定間隔k(例えば0.
2〜0.3mm)だけ大きく設定されている(h1=h2+k)。また、リアキャビネッ
ト3の突出片12のボス10に接近する位置に係合孔21が貫設され、該係合孔21に係
脱可能な係合フック22がフロントキャビネット2の外周縁部2aの内周面に一体突設さ
れている。上記以外の構成は図7〜図11に示す構成とほぼ同一であから、同一部分に同
一符号を付してその説明を省略する。
【0018】
組立手順を説明すると、図4(a)に示すように、作業台16上にフロントキャビネッ
ト2を載せ、該フロントキャビネット2内に液晶モジュール1を配置して装置本体Aを形
成する。次に、リアキャビネット3をフロントキャビネット2に被せることにより、リア
キャビネット3の突出片12をフロントキャビネット2の外周縁部2a内に嵌入させ、連
結フック5で両キャビネット2,3を連結し(図1参照)、ボス10の端面10aをボス
対向面Aaに当接させ、図4(b)に示すように、ビス4をボス10内からボス対向面A
a(ベゼル13)を貫通して支持台14のねじ孔17にねじ込むことにより、装置本体A
にリアキャビネット3を取り付ける。
【0019】
上記構成によれば、リアキャビネット3のボス10の突出長さh1が液晶モジュール1
及びフロントキャビネット2からなる装置本体Aのボス対向面Aaの深さh2よりも大き
く設定されているから(h1>h2)、リアキャビネット3をフロントキャビネット2に
被せたときに、ボス10がボス対向面Aaに当接される。従って、図4(b)に示すよう
に、ビス4をボス10内からボス対向面Aa(ベゼル13)を貫通してフロントキャビネ
ット2の支持台14のねじ孔17にねじ込んだときに、従来のように支持台14がボス1
0側に引っ張られてフロントキャビネット2の前面に窪み19〔図10(b)参照〕を発
生させることがなく、そのフロントキャビネット2の前面の全体を均等に光らせてユーザ
ーに違和感を感じさせず、外観上の体裁を良好に維持することができる。
【0020】
上記したようにリアキャビネット3をフロントキャビネット2に被せることにより、係
合フック22が係合孔21内に嵌入され、リアキャビネット3の端面11とフロントキャ
ビネット2の端面15とが対向され、その両端面11,15間に、ボス10の突出長さh
1とボス対向面Aaの深さh2との差kが隙間d(=k)として現れる。この場合、隙間
dが例えば0.2〜0.3mm程度であって、許容範囲内(1mm未満)であるから、外
観上の体裁を良好に維持することができる。
【0021】
図5(a)に示すように、フロントキャビネット2及びリアキャビネット3を成形した
際の反りや寸法バラツキ及び累積公差により、ボス10の突出長さh1とボス対向面Aa
の深さh2との差kが小さくなった場合には、図5(b)に示すように、リアキャビネッ
ト3をフロントキャビネット2に被せ、ビス4止めするとき、両キャビネット2,3の端
面11,15間の隙間dが極めて小さくなるだけで、許容範囲内(1mm未満)であるか
ら、外観上の体裁を良好に維持することができる。
【0022】
図6(a)に示すように、フロントキャビネット2及びリアキャビネット3を成形した
際の反りや寸法バラツキ及び累積公差により、ボス10の突出長さh1とボス対向面Aa
の深さh2との差kが大きくなった場合には、図6(b)に示すように、リアキャビネッ
ト3をフロントキャビネット2に被せ、ビス4止めするとき、両キャビネット2,3の端
面11,15間に比較的大きな隙間dが発生し、係合フック22が係合孔21内に嵌入さ
れず、その隙間dが許容範囲を越えるときでも(例えば1mm以上)、リアキャビネット
3をフロントキャビネット2側に押し込んで、該リアキャビネット3を弾性変形させ、係
合孔21を係合フック22に係合させることにより、その隙間dを許容範囲内(例えば1
mm未満)におさめることができ、これによって、外観上の体裁を良好に維持することが
できる。
【0023】
上記の実施の形態では、係合孔21をリアキャビネット3の突出片12に貫設し、係合
フック22をフロントキャビネット2の外周縁部2aの内周面に一体突設したが、これに
限定されるわけではなく、その係合孔21をフロントキャビネット2の外周縁部2a,3
aに貫設し、係合フック22をリアキャビネット3の突出片12の外周面に一体突設させ
るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 液晶モジュール(薄型表示部)
2 フロントキャビネット
3 リアキャビネット
4 ビス
10 ボス
10a ボスの端面
11 リアキャビネットの端面
12 突出片
14 支持台
15 フロントキャビネットの端面
17 ねじ孔
21 係合孔
22 係合フック
A 装置本体
Aa ボス対向面
h1 ボスの突出長さ
h2 ボス対向面の深さ
k 所定間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型表示部と該薄型表示部を支持する合成樹脂製フロントキャビネットとで装置本体が
形成され、前記フロントキャビネットに嵌合される合成樹脂製リアキャビネットが設けら
れ、該リアキャビネットにボスが一体突設されると共に、該ボスに対向して装置本体にボ
ス対向面が形成され、該ボス対向面を挟んでボスに対向する支持台がフロントキャビネッ
トに一体形成され、前記リアキャビネットの外周縁部の端面の内周縁に突出片が一体突設
されており、リアキャビネットをフロントキャビネットに被せることにより、該リアキャ
ビネットの突出片をフロントキャビネットの外周縁部内に嵌入させると共に、ボスを装置
本体のボス対向面に対向させ、該ボス内からボス対向面を貫通して支持台のねじ孔にビス
をねじ込むことにより、装置本体にリアキャビネットを取り付けるようにした薄型表示装
置において、前記ボスの端面からリアキャビネットの外周縁部の端面までの突出長さが装
置本体のボス対向面からフロントキャビネットの外周縁部の端面までの深さよりも所定間
隔だけ大きく設定されていることを特徴とする薄型表示装置。
【請求項2】
前記リアキャビネットの突出片とフロントキャビネットの外周縁部とのうち、その一方
のボスに接近する位置に係合孔が貫設されると共に、その他方のボスに接近する位置に係
合フックが形成されており、リアキャビネットをフロントキャビネットに被せたときに係
合フックを係合孔に係脱可能に係合させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の
薄型表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate