薄膜太陽電池及びその製造方法
【課題】光効率を向上させた薄膜太陽電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】第1のn形不純物半導体膜135と第1のp形不純物半導体膜131との間に水素含有量が連続的に変わる第1の非晶質真性半導体膜133が挿入された第1のセルであって、第1の非晶質真性半導体膜133の水素含有量は光が入射される方に配置される第1のp形不純物半導体膜131との第1の界面133aから前記光が入射される方と反対になる方に配置される第1のn形不純物半導体膜135との第2の界面133bに行くほど、連続的に小さくなる。
【解決手段】第1のn形不純物半導体膜135と第1のp形不純物半導体膜131との間に水素含有量が連続的に変わる第1の非晶質真性半導体膜133が挿入された第1のセルであって、第1の非晶質真性半導体膜133の水素含有量は光が入射される方に配置される第1のp形不純物半導体膜131との第1の界面133aから前記光が入射される方と反対になる方に配置される第1のn形不純物半導体膜135との第2の界面133bに行くほど、連続的に小さくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽光を電気に変換する薄膜太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は太陽光を電気エネルギーに変換させ得る。太陽電池は実質的に無限である太陽光をソースとして使用して電力を発生させ、電力の発生の時に有害な物質が発生されないという長所を有する。これによって、現在の化石燃料を代替できる代表的な未来の親環境エネルギー源として脚光を浴びている。但し、太陽電池の光電エネルギー変換効率がまた低いので、太陽電池を実用化するのにおいて、用途が制限されている。したがって、太陽電池の光電エネルギー変換効率を向上させるために多くの研究が遂行されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国特許公開第10−2011−0004059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は光効率が向上された薄膜太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は追加的な工程や装備が必要としない、工程費用を減少させ得る薄膜太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明のその他の目的は光吸収係数が大きい非晶質真性半導体膜を含む光劣化を最小化できる薄膜太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明による薄膜太陽電池及びその製造方法は明らかな界面が形成されなくて特性が連続的に変わる真性半導体膜を含む単一接合セル又は多重接合セルを形成することを特徴とする。本発明による薄膜太陽電池及びその製造方法は可視光線波長の太陽光を吸収できる真性半導体膜を含む太陽電池セルを形成することを他の特徴とする。本発明による薄膜太陽電池及びその製造方法は追加的な工程や装備無しで優れた特性を有する真性半導体膜を含む太陽電池セルを形成することをその他の特徴とする。本発明による薄膜太陽電池及びその製造方法は光吸収係数が大きい非晶質真性半導体膜を含むことをその他の特徴とする。
【0008】
前記特徴を具現できる本発明の一実施形態による薄膜太陽電池は基板と、前記基板の上に配置された水素含有量が連続的に変わる真性半導体を含む非晶質膜を有する太陽電池セルと、を包含できる。前記非晶質膜は光が入射される入射面とその反対面を含み、前記水素含有量は前記入射面から前記反対面に行くほど、連続的に小さくなり得る。
【0009】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記基板は前記入射面に隣接配置された透明基板を包含できる。前記水素含有量は前記透明基板との距離が多くなるほど、連続的に小さくなり得る。
【0010】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記太陽電池セルは、前記透明基板の上に配置されたp形半導体膜と、前記p形半導体膜の上に配置された、前記連続的に変わる前記水素含有量を有する前記非晶質膜と、前記非晶質膜上に配置されたn形半導体膜と、を包含できる。前記水素含有量は前記非晶質膜と前記p形半導体膜との第1の界面から前記非晶質膜と前記n形半導体膜との第2の界面に行くほど、連続的に小さくなり得る。
【0011】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記透明基板と前記太陽電池セルとの間に配置された透明電極と、前記太陽電池セルの上に配置された金属電極と、をさらに包含できる。
【0012】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記太陽電池セルと前記金属電極との間に配置された反射膜をさらに包含できる。
【0013】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記基板は透明基板の代わりに前記反対面に隣接配置された不透明基板包含できる。前記水素含有量は前記不透明基板との距離が小さくなるほど、連続的に小さくなり得る。
【0014】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記太陽電池セルは、前記不透明基板の上に配置されたn形半導体膜と、前記p形半導体膜の上に配置された、前記連続的に変わる前記水素含有量を有する前記非晶質膜と、前記非晶質膜の上に配置されたp形半導体膜と、を包含できる。前記水素含有量は前記非晶質膜と前記p形半導体膜との第1の界面から前記非晶質膜と前記n形半導体膜との第2の界面に行くほど、連続的に小さくなり得る。
【0015】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記不透明基板と前記太陽電池セルとの間に配置された金属電極と、前記太陽電池セルの上に配置されて前記光が入射される透明電極と、をさらに包含できる。
【0016】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記金属電極と前記太陽電池セルとの間に反射膜をさらに包含できる。
【0017】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記非晶質膜のバンドギャップエネルギー及び光吸収係数は前記入射面から前記反対面に行くほど、連続的に小さくなり得る。
【0018】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記非晶質膜の密度は前記入射面から前記反対面に行くほど、連続的に大きくなり得る。
【0019】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記真性半導体はSiを包含できる。
【0020】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記非晶質膜はSi、SiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を包含できる。
【0021】
前記特徴を具現できる本発明の他の実施形態による薄膜太陽電池は基板と、前記基板の上に配置された、第1のn形不純物半導体膜と第1のp形不純物半導体膜と、前記第1のn形不純物半導体膜と前記第1のp形不純物半導体膜との間に連続的に変わる水素含有量を有する真性半導体を含む第1の非晶質膜と、が挿入された第1のセルと、前記第1のn形不純物半導体膜に隣接する金属電極と、前記第1のp形不純物半導体膜に隣接する透明電極と、を包含できる。前記第1の非晶質膜の前記水素含有量は光が入射される方に配置される前記第1のp形不純物半導体膜との第1の界面から前記光が入射される方と反対になる方に配置される前記第1のn形不純物半導体膜との第2の界面に行くほど、連続的に小さくなり得る。
【0022】
他の実施形態による薄膜太陽電池において、前記基板は透明基板を包含できる。前記透明基板の上に前記透明電極、前記第1のp形半導体膜、前記第1の非晶質膜、前記第1のn形半導体膜及び前記金属電極が順に積層され得る。前記透明基板へ光が入射され得る。
【0023】
他の実施形態による薄膜太陽電池において、前記第1のセルと前記金属電極との間に、第2のp形半導体膜と、連続的に変わる水素含有量を有する第2の真性半導体膜と、第2のn形半導体膜とが前記第1のn形半導体膜の上で順に積層された第2のセルを少なくとも1つさらに包含できる。前記第2の真性半導体膜は真性シリコンを含む非晶質膜及び結晶質膜の中で少なくともいずれか1つを包含できる。前記第2の真性半導体膜の前記水素含有量は前記透明基板との距離が多くなるほど連続的に小さくなり得る。
【0024】
他の実施形態による薄膜太陽電池において、前記金属電極と前記第1のセルとの間に配置された後面反射膜をさらに包含できる。
【0025】
他の実施形態による薄膜太陽電池において、前記基板は不透明基板を包含できる。前記不透明基板の上に前記金属電極、前記第1のn形半導体膜、前記第1の非晶質膜、前記第1のp形半導体膜、及び前記透明電極が順に積層され得る。前記透明電極へ光が入射され得る。
【0026】
他の実施形態による薄膜太陽電池において、前記第1のセルと前記金属電極との間に、第2のn形半導体膜と、連続的に変わる水素含有量を有する第2の真性半導体膜と、第2のp形半導体膜とが前記金属電極の上に順に積層された第2のセルを少なくとも1つさらに包含できる。前記第2の真性半導体膜は真性非晶質膜、真性微晶質シリコン膜、及び結晶質膜の中で少なくともいずれか1つを包含できる。前記第2の真性半導体膜の前記水素含有量は前記不透明基板との距離が小さくなるほど、連続的に小さくなり得る。
【0027】
他の実施形態による薄膜太陽電池において、前記金属電極と前記第1のセルとの間に配置された後面反射膜をさらに包含できる。
【0028】
他の実施形態による薄膜太陽電池において、前記第1の非晶質膜は、前記シリコンで構成され得る。又はSiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を包含できる。
【0029】
前記特徴を具現できる本発明の一実施形態による薄膜太陽電池の製造方法は基板を提供し、前記基板の上に、p形半導体膜とn形半導体膜と、及び前記p形半導体膜と前記n形半導体膜との間に配置された連続的に変わる水素含有量を有する真性半導体を含む非晶質膜を含むセルを形成し、前記p形半導体膜と隣接する透明電極を形成し、前記n形半導体膜と隣接する金属電極を形成することを包含できる。前記非晶質膜は光が入射される入射面とその反対面を含み、前記水素含有量は前記入射面から前記反対面に行くほど、連続的に小さくなり得る。
【0030】
一実施形態による方法において、前記非晶質膜はSi、SiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC又はこれらの組合を包含できる。
【0031】
一実施形態による方法において、前記基板は前記入射面に隣接配置される透明基板を包含できる。この場合、前記セルを形成することは、前記透明基板の上に前記p形半導体膜を形成し、前記p形半導体膜の上に半導体ソースガスを水素で希釈させた反応ガスを提供し、前記水素の希釈比を漸進的に増やしながら前記非晶質膜を形成し、前記非晶質膜の上に前記n形半導体膜を形成することを包含できる。
【0032】
一実施形態による方法において、前記基板は前記反対面に隣接配置される不透明基板を包含できる。この場合、前記セルを形成することは、前記不透明基板の上に前記n形半導体膜を形成し、前記n形半導体膜の上に半導体ソースガスを水素で希釈させた反応ガスを提供し、前記水素の希釈比を漸進的に減りながら前記非晶質膜を形成し、前記非晶質膜の上に前記p形半導体膜を形成することを包含できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、真性半導体膜の特性を急激な変化無しで連続的に変化させることによって、優れた光効率を得ることができる効果がある。さらに、追加的な工程や装備無しで連続的な特性を有する真性半導体膜を形成できるので、工程費用を減少させ得る効果がある。また、真性半導体膜を非晶質膜で形成することによって、結晶質真性半導体膜に比べて光吸収係数を増加させ得るものであり、これによって、太陽電池の光効率を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1A】本発明の一実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【図1B】本発明の一実施形態による薄膜太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。
【図1C】本発明の一実施形態による薄膜太陽電池のセルを示した断面図である。
【図1D】本発明の一実施形態による薄膜太陽電池の動作原理を説明する断面図である。
【図1E】本発明の他の実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【図1F】本発明の他の実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【図1G】本発明の他の実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【図2A】本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【図2B】本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。
【図2C】本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池のセルを示した断面図である。
【図2D】本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池の動作原理を説明する断面図である。
【図2E】本発明のその他の実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【図2F】本発明のその他の実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【図2G】本発明のその他の実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明による薄膜太陽電池及びその製造方法を添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
本発明と従来技術と比較した長所は添付された図面を参照した詳細な説明と特許請求の範囲とを通じて明確になり得る。特に、本発明は特許請求の範囲で明確に請求される。しかし、本発明は添付された図面と関連して次の詳細な説明を参照することによって、最もよく理解できる。図面において、同一な参照符号は多様な図面を通じて同一な構成要素を示す。
【0037】
<実施形態1>
図1Aは本発明の一実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。図1Bは本発明の一実施形態による薄膜太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。図1Cは本発明の一実施形態による薄膜太陽電池のセルの概念図を示した断面図である。
【0038】
図1Aを参照すれば、薄膜太陽電池100は透明基板110の上に透明電極120と、p−i−n構造のセル乃至太陽電池セル130と、金属電極170とが薄膜形態に順に積層された単一接合(single junction)のスーパーストレート(superstrate)構造であり得る。一例として、pinダイオード構造のセル130は透明電極120の上に順に積層されたp形半導体膜131、真性半導体膜133、及びn形半導体膜135を包含できる。他の例として、セル130は透明電極120の上に順に積層されたn形半導体膜135、真性半導体膜133、及びp形半導体膜131を包含できる。pinセル130と金属電極170との間に後面反射膜160がさらに提供できる。太陽光は透明基板110へ入射され得る。
【0039】
図1Bを図1Aと共に参照すれば、透明基板110を提供し(S110)、提供された透明基板110の上に前面電極として透明電極120を形成できる(S120)。透明基板110は光を透過させ得る透明性材質、例えばガラス、プラスチックや樹脂で構成され得る。透明電極120は透明基板110を通じて入射される太陽光を透過させるために透明な伝導性酸化膜(transparent conductive oxide)、例えば金属イオンが添加されたZnO、ITO、SnOx(x<2)、例えばAl、Ga、In、Bが添加されたZnO膜、Fが添加されたSnO膜等をスパッタリング或いは金属有機化学気相蒸着法(MOCVD)等を利用して形成できる。
【0040】
透明電極120の上にp形半導体膜131を形成できる(S131)。p形半導体膜131は4族元素に、例えばホウ素Bのような3B族元素がドーピングされたp形半導体を物理気相蒸着法(PVD)或いは化学気相蒸着法(CVD)等を利用して形成できる。物理気相蒸着法は水素雰囲気で進行され得る。化学気相蒸着法はプラズマ化学気相蒸着法(PECVD)、ホットウォール化学気相蒸着法(hot−wall CVD)、ホットワイヤー化学気相蒸着法(hot−wire CVD)、常圧化学気相蒸着法(APCVD)等を包含できる。本明細書では特別な言及がない限り、蒸着或いは蒸着工程であるとは前記多様な蒸着法を意味する。
【0041】
p形半導体膜131を構成する半導体はSiを包含できる。p形半導体膜131はSi以外に、SiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を包含できる。一例として、p形半導体膜131はSiH4とH2ガス、そしてp形ドーパント(例:B2H6)を利用するプラズマ化学気相蒸着法(PECVD)でp−Siを蒸着して形成できる。p形半導体膜131は非晶質、単結晶質、多結晶質、又は微細結晶質(或いはナノ結晶質)であり得る。本明細書で“半導体膜“とは“半導体で構成された膜”のみでなく“半導体を含む膜”を意味する。
【0042】
p形半導体膜131の上に光吸収層として真性半導体膜133を形成できる(S133)。真性半導体膜133はSiを包含できる。真性半導体膜133はSi以外に、SiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を蒸着して形成できる。真性半導体膜133は非晶質、単結晶質、多結晶質、マイクロ結晶質(或いはナノ結晶質)又はこれらの組合であり得る。本実施形態によれば、真性半導体膜133は結晶質又は微細結晶質が全然形成されていない非晶質シリコン膜を包含できる。
【0043】
真性半導体膜133の特性は均一でなくて真性半導体膜133の厚さ方向に沿って連続的に変化されるように形成され得る。例えば、SiH4、Si2H6、SiH2Cl2、SiH3Cl、SiHCl3、又はその組合のようなSiソースガスにH2を添加したプラズマ化学気相蒸着法(PECVD)でp形半導体膜131の上にi−Siを蒸着して真性半導体膜133を形成できる。この時、水素希釈比、例えば[H2]/[SiH4]を漸進的に増加させて真性半導体膜133を形成できる。真性半導体膜133は非晶質であり得る。[SiH4]は[SiH4]、[Si2H6]、[SiH2Cl2]、[SiH3Cl]、又は[SiHCl3]等に代替され得る。本実施形態によれば、本実施形態をこれに限定することではない一例として、水素希釈比は大略1乃至20であり得る。
【0044】
本実施形態によれば、図1Cに図示されたように、太陽光が入射される入射面からその反対面に行くほど、即ちp形半導体膜131と真性半導体膜133との第1の界面133aからn形半導体膜135と真性半導体膜133との第2の界面133bに行くほど、水素希釈比Rが高くなり得る。これによって、水素希釈比Rは太陽光が入射される透明基板110との距離が大きくなるほど、及び/又は金属電極170との距離が小さくなるほど、連続的に大きくなり得る。水素希釈比Rを漸進的に増やしながら真性半導体膜133を形成すれば、真性半導体膜133に含まれる水素の含有量は第1の界面133aから第2の界面133bに行くほど、連続的に小さくなり得る。
【0045】
前記のような条件に真性半導体膜133を形成すれば、i−Siに水素が含まれ、その水素は真性半導体膜133の欠陥と結合して欠陥を除去することによって、電子−正孔対が消滅されないので、電気を発生させるのに寄与できる。また、真性半導体膜133内での水素含有量が連続的に変わるので、水素含有量が互に異なる膜が積層された場合と異なりに界面が無いので、キャリヤーが界面で捕獲消耗される可能性が顕著に減少され得る。
【0046】
水素希釈比Rの連続的な変化にしたがって真性半導体膜133の他の特性も連続的に変化され得る。例えば、水素はSiソースガスを希釈させるので、真性半導体膜133の密度(density)を変化させ得る。水素希釈比Rが大きければ、i−Siの蒸着がより緩やかに生じ、それにしたがって規則的な配列が大きくなって密度が増加するか、或いは結晶性が大きくなり得る。したがって、水素希釈比Rが大きければ、微細結晶質や結晶質又は高密度の非晶質の真性半導体膜133が形成され得る。本実施形態によれば、水素希釈比Rが大きくなって膜の結晶性や密度が大きくなっても微細結晶質が形成される前の段階の非晶質の真性半導体膜133が形成され得る。非晶質の真性半導体膜133は第1の界面133aから第2の界面133bに行くほど、密度が大きくなり得る。非晶質の真性半導体膜133は結晶質の真性半導体膜に比べて光吸収係数(light absorption coefficient)が相対的に大きいので、これによって光変換効率が高くなり得る。光吸収層が非晶質であっても水素希釈比を増加させることによって、光誘導劣化(light−induced degration)を減少させ得る。水素希釈比Rが小さければ、これと反対に非晶質性が大きくなり、密度が小さい真性半導体膜133が形成され得る。
【0047】
水素希釈比Rが大きいほど、真性半導体膜133のバンドギャップエネルギー(band−gap energy)は小さくなり得る。反対に、水素希釈比Rが小さくなるほど、真性半導体膜133のバンドギャップエネルギーは大きくなり得る。薄膜内の水素含有量が水素希釈比が大きくなるほど、小さくなるが、これにしたがって、バンドギャップが小さくなり得る。図1Cは前記結果を示すことであって、矢印方向に行くほど、特性値が大きくなることを示す。例えば、水素希釈比Rが大きくなるほど、真性半導体膜133の密度Dは大きくなり、バンドギャップエネルギーBと光吸収係数Aとは小さくなり得る。真性半導体膜133はそのバンドギャップエネルギー値にしたがって吸収できる太陽光の波長領域が変わられる。したがって、真性半導体膜133はそのバンドギャップエネルギーが連続的に変わるので、吸収できる太陽光(例:可視光線)の波長帯域が大きくなり得る。真性半導体膜133が非晶質状態を維持しても、水素希釈比を増加させることによって、バンドギャップエネルギーは約2.0eV乃至約1.5eVの間の値を有し得る。
【0048】
p形半導体膜131のように太陽光が入射される薄膜の上にi−Siを蒸着して真性半導体膜133を形成する時、一般的な方法のように水素希釈比を固定させた場合に獲得できる光効率(例:大略9%)に比べて本実施形態のように水素希釈比を漸進的に増加させた場合には真性半導体膜133の特性が連続的乃至漸進的に変化させることによって高い光効率(例:大略9.8%)を得られる。この光効率はp−Si膜131と、水素含有量が連続的に変わる真性非晶質Si膜133と、そしてn−Si膜135を積層し、p−Si膜131とi−Si膜133との第1の界面133aに隣接するi−Si膜133内の水素含有量がi−Si膜133とn−Si膜135との第2の界面133bに隣接するi−Si膜133内の水素含有量より大きくなるように製作した単一接合非晶質Si薄膜太陽電池100から得た値である。ここで、水素含有量が変わる方向が非常に重要であり得る。例えば、p−Si膜131とi−Si膜133との第1の界面133aに隣接するi−Si膜133内の水素含有量がi−Si膜133とn−Si膜135との第2の界面133bに隣接するi−Si膜133内の水素含有量より小さくなるように製作した場合、光変換効率は大略5.8%に過ぎない値が獲得できる。
【0049】
再び図1A及び図1Bを参照すれば、真性半導体膜133の上にn形半導体膜135を形成できる(S135)。n形半導体膜135は4族元素に、例えば燐Pのような5B族元素がドーピングされたn形半導体を蒸着して形成できる。n形半導体膜135を構成する半導体はSiを包含できる。p形半導体膜131はSi以外に、SiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を包含できる。一例として、n形半導体膜135はSiH4とH2とのガス、そしてn形ドーパント前駆体ガス(例:PH3)を利用するプラズマ化学気相蒸着法(PECVD)でn−Siを蒸着して形成できる。n形半導体膜135は非晶質、単結晶質、多結晶質、マイクロ結晶質(或いはナノ結晶質)、又は非晶質ーナノ結晶質の混合構造であり得る。このように、透明電極120の上にp形半導体膜131と、真性半導体膜133と、n形半導体膜135とを順に積層してp−i−nダイオード構造のセル130を形成できる。
【0050】
n形半導体膜135の上に後面反射膜160を形成できる(S160)。後面反射膜160は太陽光の反射損失を減り、光捕獲効果(light trapping effect)を極大化させて太陽電池100の効率を向上させるために形成され得る。後面反射膜160は例えば先に列挙した酸化物透明電極120と同一又は類似な物質(例:ZnO、Zn:Al、ZnO:Ga、ZnO:B、及びZnOを含む膜)等をスパッタ蒸着、化学気相蒸着工程や電子ビーム蒸発法(E−beam evaporation)を利用して形成できる。
【0051】
後面反射膜160の上に後面電極として金属電極170を形成できる(S170)。金属電極170は透明性或いは不透明性物質を単一膜或いは多重膜構造で形成できる。一例として、金属電極170はAl、Ag、Cu、ZnO/Ag、ZnO/Al、Ni/Al等を蒸着して形成できる。前記一連の過程を通じて図1Aの薄膜太陽電池100を形成できる。
【0052】
<実施形態1の動作原理>
図1Dは本発明の一実施形態による薄膜太陽電池の動作原理を説明する断面図である。
【0053】
図1Dを参照すれば、太陽光は透明基板110へ入射され得る。入射された太陽光は真性半導体膜133に吸収されて複数の電子と複数の正孔とが生成される。真性半導体膜133はp形半導体膜131及びn形半導体膜135によって、空乏(depletion)され得るので、その内部に電気場(電場)が発生できる。真性半導体膜133で生成された電子(e−)と正孔(h+)とは内部電気場によって、n形半導体膜135とp形半導体膜131とへ各々ドリフト(drift)され得る。これによってp形半導体膜131には正孔(h+)が蓄積され、n形半導体膜135には電子(e−)が蓄積されることによって、p形半導体膜131とn形半導体膜135との間に光起電力(photovoltage)が発生できる。正孔(h+)を収集できる透明電極120と電子(e−)を収集できる金属電極170との間に負荷180を連結すれば、電流が流れ得る。
【0054】
<実施形態1の変形形態>
図1E乃至図1Gは本発明の他の実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【0055】
図1Eを参照すれば、薄膜太陽電池102はテクスチャーされた表面(textured surface)を有する透明電極120を包含できる。透明電極120の表面をテクスチャリングすれば、入射される太陽光の反射を低減させ得るものであり、光吸収率を高くすることができる。テクスチャリングは透明電極120の蒸着の時、或いは蒸着の後にエッチング工程で作られる。以外に、セル130、後面反射膜160、及び金属電極170の中で少なくともいずれか1つはテクスチャリング表面を有することができる。
【0056】
図1Fを参照すれば、薄膜太陽電池104は二重接合(double junction)のスーパーストレート構造であり得る。一例として、薄膜太陽電池104はp−i−n構造の第1のセル130の上にp−i−n構造の第2のセル140をさらに包含できる。第1のセル130は図1Aのセル130と実質的に同一な構造であり得る。
【0057】
第2のセル140は第1のn形半導体膜135の上に第2のp形半導体膜141、第2の真性半導体膜143、及び第2のn形半導体膜145を順に蒸着して形成できる。第2のp形半導体膜141は第1のp形半導体膜131と、第2のn形半導体膜145は第1のn形半導体膜135と実質的に同一であるか、或いは類似に形成できる。第2の真性半導体膜143は第1の真性半導体膜133と実質的に同一であるか、或いは類似に実質的に同一な水素希釈比を利用して形成された非晶質膜であり得る。
【0058】
他の例として、第2の真性半導体膜143は第1の真性半導体膜133と同様に非晶質膜で形成するが、相異なる水素希釈比を利用して形成できる。例えば、第1の真性半導体膜143の水素希釈比が1乃至10であり、第2の真性半導体膜143の水素希釈比は10乃至20であるか、或いはその逆もあり得る。前記水素希釈比が蒸着の工程の中で互いに異なることによって、第1の真性半導体膜133と第2の真性半導体膜143との中でいずれか1つは低密度の非晶質膜であり、他の1つは高密度の非晶質膜であり得る。水素希釈比は太陽光が入射される方向に沿って行くほど、大きくなり得る。ここでの水素希釈比の数値は単なる一例であるが、本発明をこれに限定しようとする意図ではない。
【0059】
その他の例として、第1の真性半導体膜133と第2の真性半導体膜143との中でいずれか1つは非晶質膜であり、他の1つは結晶質膜(例:微細結晶質膜、単結晶膜、多結晶膜)であり得る。その他の例として、第1の真性半導体膜133と第2の真性半導体膜143との中でいずれか1つは非晶質膜であり、他の1つは結晶質膜と非晶質膜との混合膜であり得る。
【0060】
図1Gを参照すれば、薄膜太陽電池106は三重接合(triple junction)のスーパーストレート構造であり得る。例えば、薄膜太陽電池106はp−i−n構造の第1のセル130の上にp−i−n構造の第2のセル140とp−i−n構造の第3のセル150とをさらに包含できる。第1のセル130は図1Aのセル130と実質的に同一な構造であり得る。
【0061】
第2のセル140は第1のn形半導体膜135の上に第2のp形半導体膜141、第2の真性半導体膜143、及び第2のn形半導体膜145を順に蒸着して形成できる。第2のp形半導体膜141は第1のp形半導体膜131と、第2のn形半導体膜145は第1のn形半導体膜135と実質的に同一であるか、或いは類似に形成できる。
【0062】
第3のセル150は第2のn形半導体膜145の上に第3のp形半導体膜151、第3の真性半導体膜153、及び第3のn形半導体膜155を順に蒸着して形成できる。第3のセル150は第1のセル130及び/又は第2のセル140と実質的に同一であるか、或いは類似に形成できる。第3のp形半導体膜151は第1のp形半導体膜131及び/又は第2のp形半導体膜141と、第3のn形半導体膜155は第1のn形半導体膜135及び/又は第2のn形半導体膜145と実質的に同一であるか、或いは類似に形成できる。第3の真性半導体膜153は第1の真性半導体膜133及び/又は第2の真性半導体膜143と実質的に同一であるか、或いは類似に形成できる。
【0063】
他の例として、第3の真性半導体膜153は第1の真性半導体膜133及び/又は第2の真性半導体膜143と類似に非晶質膜で形成し、相異なる水素希釈比を利用して形成できる。例えば、第1の真性半導体膜133の水素希釈比は1乃至7、第2の真性半導体膜143の水素希釈比は7乃至15、そして第3の真性半導体膜153の水素希釈比は15乃至20であり得る。他の例として、第1の真性半導体膜133及び第3の真性半導体膜153の中でいずれか1つの水素希釈比は7乃至15であり、他の1つの水素希釈比は15乃至20であり、第2の真性半導体膜143の水素希釈比は1乃至7であり得る。その他の例として、第1の真性半導体膜133及び第3の真性半導体膜153の中でいずれか1つの水素希釈比は1乃至7であり、他の1つの水素希釈比は7乃至15であり、第2の真性半導体膜133の水素希釈比は15乃至20であり得る。他の例として、第1乃至第3の真性半導体膜133、143、153の中で少なくともいずれか1つは水素希釈比が連続的に異なる工程条件で形成され得る。水素希釈比は太陽光が入射される方向に沿って行くほど、大きくなり得る。
【0064】
その他の例として、第1乃至第3の真性半導体膜133、143、153の中で少なくともいずれか1つは非晶質膜であり、残りは結晶質膜であり得る。その他の例として、第1乃至第3の真性半導体膜133、143、153の中で少なくともいずれか1つは非晶質膜であり、残りは結晶質膜と非晶質膜との混合膜であり得る。
【0065】
<実施形態2>
図2Aは本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。図2Bは本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。図2Cは本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池のセルを示した断面図である。
【0066】
図2Aを参照すれば、薄膜太陽電池200は不透明基板210の上に金属電極270と、n−i−p構造のセル230と、透明電極220とが薄膜形態に順に積層された単一接合(single junction)のサブストレート(substrate)構造であり得る。一例として、セル230は金属電極270の上に順に積層されたn形半導体膜235、真性半導体膜233、及びp形半導体膜231を包含できる。他の例として、セル230は金属電極270の上に順に積層されたp形半導体膜231、真性半導体膜233、及びn形半導体膜235を包含できる。後面反射膜260は金属電極270とセル230との間に配置され得る。太陽光は透明電極220へ入射され得る。
【0067】
図2Bを図2Aと共に参照すれば、不透明基板210を提供し(S210)、その不透明基板210の上に後面電極として金属電極270を形成できる(S270)。金属電極270はAl、Ag、Cu、ZnO/Ag、ZnO/Al、Ni/Al等のような透明性或いは不透明性物質を単一膜或いは多重膜構造で形成できる。
【0068】
金属電極270の上に後面反射膜260を形成できる(S260)。本実施形態によれば、太陽光は透明電極220へ入射されるので、金属基板のような不透明基板210を使用しても妨げる。他の例として、不透明基板210代わりに図1Aのような透明基板を採択することができる。後面反射膜260は先に列挙した酸化物透明電極120と同一又は類似な物質、例えば、Zn:Al、ZnO:Ga、ZnO:B、及びZnOを含む膜等に形成できる。
【0069】
金属電極270の上にn形半導体膜235を形成し(S235)、n形半導体膜235の上に真性半導体膜233を形成し(S233)、そして真性半導体膜233の上にp形半導体膜231を形成して(S231)、n−i−p構造のセル230を形成できる。n形半導体膜235とp形半導体膜231とを形成することは図1Aのn形半導体膜135とp形半導体膜131とを形成することと実質的に同一であるか、或いは類似であり得る。例えば、n形半導体膜235及びp形半導体膜231の中で少なくともいずれか1つはSi、SiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を含む非晶質膜、微細結晶質膜、単結晶膜、多結晶質膜、又は非晶質膜−ナノ結晶質の混合膜であり得る。
【0070】
真性半導体膜233は図1Aの真性半導体膜133と実質的に同一であるか、或いは類似にその厚さ方向に沿って特性が連続的に変化される非晶質膜に形成できる。例えば、太陽光が入射される方向に沿って行くほど(即ち、太陽光が入射される面から遠くなるほど)、水素希釈比が漸進的に高くなるように形成できる。本実施形態によれば、SiH4、Si2H6、SiH2Cl2、SiH3Cl、SiHCl3等のようなSi前躯体ソースガスにH2を添加してプラズマ化学気相蒸着法(PECVD)でn形半導体膜235の上にi−Siを蒸着して真性半導体膜233を形成できる。真性半導体膜233はSi以外にSiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を包含できる。本実施形態によれば、水素希釈比を漸進的に減少させて真性半導体膜233を形成できる。図2Cに示したように、真性半導体膜233において、太陽光が入射される方向に沿って行くほど、水素希釈比Rが高くなり、水素含有量は低くなり得る。即ち、水素希釈比Rは第1の界面233aから第2の界面233bに行くほど、明らかな界面の形成無しで連続的に大きくなり得るものであり、水素含有量は連続的に小さくなり得る。例えば、水素希釈比Rは、本発明をこれに限定することではない一例として、1乃至20であり得る。このように水素希釈比Rは太陽光が入射される透明電極220との距離が遠くなるほど、及び/又は不透明基板210との距離が小さくなるほど、連続的に大きくなり得る。真性半導体膜233において、水素希釈比Rの漸進的変化の以外に第1の界面233aから第2の界面233bに行くほど、真性半導体膜233のバンドギャップエネルギーBと光吸収係数Aとは漸進的に小さくなり、密度Dは漸進的に大きくなり得る。
【0071】
再び図2A及び図2Bを参照すれば、p形半導体膜231の上に前面電極として透明電極220を形成できる(S220)。透明電極220は入射される太陽光を透過させるために金属イオンが添加されたZnO、ITO、SnOx(x<2)等のような透明な伝導性酸化膜TCO、例えばAl、Ga、In、Bが添加されたZnO膜、Fが添加されたSnO膜等をスパッタリング或いは金属有機化学気相蒸着法(MOCVD)等で形成できる。前記一連の過程を通じて図2Aの薄膜太陽電池200を形成できる。
【0072】
<実施形態2の動作原理>
図2Dは本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池の動作原理を説明する断面図である。
【0073】
図2Dを参照すれば、太陽光は透明電極220へ入射され得る。入射された太陽光は真性半導体膜233に吸収されて複数の電子と複数の正孔とが生成され得る。真性半導体膜233の内部電気場によって電子(e−)はn形半導体膜235へドリフトされて蓄積され、正孔(h+)はp形半導体膜231へドリフトされて蓄積され得る。これによって、p形半導体膜231とn形半導体膜235との間に光起電力(photovoltage)が発生できるので、透明電極220と金属電極27との0間に負荷280が連結されれば、電流が流れることができる。
【0074】
<実施形態2の変形形態>
図2E乃至図2Gは本発明のその他の実施形態による薄膜太陽電池の示した断面図である。
【0075】
図2Eを参照すれば、薄膜太陽電池202はテクスチャリングされた構造を包含できる。一例として、透明電極220、セル230、後面反射膜260、及び金属電極270の中で少なくともいずれか1つはテクスチャリング表面を有することができる。
【0076】
図2Fを参照すれば、薄膜太陽電池204は二重接合(double junction)のサブストレート構造であり得る。一例として、薄膜太陽電池204はn−i−p構造の第1のセル230の上にn−i−p構造の第2のセル240をさらに包含できる。第1のセル230は図2Aのセル230と実質的に同一又は類似な構造であり得る。第2のセル240は第1のp形半導体膜231の上に第2のn形半導体膜245、第2の真性半導体膜243、及び第2のp形半導体膜241を順に蒸着して形成できる。第2のp形半導体膜241は第1のp形半導体膜231と、第2のn形半導体膜245は第1のn形半導体膜235と実質的に同一であるか、或いは類似に形成できる。
【0077】
第2の真性半導体膜243は第1の真性半導体膜233と実質的に同一又は類似に、或いは相違なりに形成できる。一例として、非晶質の第2の真性半導体膜233の水素希釈比と非晶質の第2の真性半導体膜243の水素希釈比は同一であるか、或いは、或いはいずれかの一方が他方に比べて大きくなり得る。他の例として、第1の真性半導体膜233と第2の真性半導体膜243との中でいずれか1つは非晶質膜であり、他の1つは結晶質膜(例:微細結晶質膜、単結晶質膜、多結晶質膜)であるか、或いは結晶質膜と非晶質膜の混合膜であり得る。
【0078】
図2Gを参照すれば、薄膜太陽電池206は三重接合(triple junction)のサブストレート構造であり得る。例えば、薄膜太陽電池206はn−i−p構造の第1のセル230と金属電極270の間にn−i−p構造の第2のセル240とn−i−p構造の第3のセル250とをさらに包含できる。第3のセル250は金属電極270の上に第3のn形半導体膜255、第3の真性半導体膜253、及び第3のp形半導体膜251を順に蒸着して形成できる。第3のセル250は第1のセル230及び/又は第2のセル240と実質的に同一であるか、或いは類似に形成できる。
【0079】
第1乃至第3の真性半導体膜233、243、253の水素希釈比は互に同一であるか、或いは相異であり得る。一例として、第1乃至第3の真性半導体膜233、243、253の積層順に水素希釈比が大きくなるか、或いは小さくなる非晶質膜であり得る。他の例として、第1乃至第3の真性半導体膜233、243、253の積層順に水素希釈比が増加した後に減少されるか、或いは或いは減少した後、増加される非晶質膜であり得る。 他の例として、第1乃至 第3の真性半導体膜233、243、253の中で少なくともいずれか1つは水素希釈比が連続的に異なる工程条件で形成され得る。
【0080】
その他の例として、第1乃至第3の真性半導体膜233、243、253の中で少なくともいずれか1つは非晶質膜であり、残りは結晶質膜或いは結晶質膜と非晶質膜の混合膜であり得る。
【0081】
以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではないし、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で多様な他の組合、変更、及び環境で使用することができる。添付された請求の範囲は他の実施状態も含むこととして解析しなければならない。
【符号の説明】
【0082】
100、102、104、106、200、202、204、206・・・薄膜太陽電池
110、210・・・基板
120、220・・・透明電極
130、140、150、230、240、250・・・セル
131、141、151、231、241、251・・・p形半導体膜
133、143、153、233、243、253・・・真性半導体膜
135、145、155、235、235、255・・・n形半導体膜
160、260・・・後面反射膜
170、270・・・金属電極
180、280・・・負荷
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽光を電気に変換する薄膜太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は太陽光を電気エネルギーに変換させ得る。太陽電池は実質的に無限である太陽光をソースとして使用して電力を発生させ、電力の発生の時に有害な物質が発生されないという長所を有する。これによって、現在の化石燃料を代替できる代表的な未来の親環境エネルギー源として脚光を浴びている。但し、太陽電池の光電エネルギー変換効率がまた低いので、太陽電池を実用化するのにおいて、用途が制限されている。したがって、太陽電池の光電エネルギー変換効率を向上させるために多くの研究が遂行されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国特許公開第10−2011−0004059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は光効率が向上された薄膜太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は追加的な工程や装備が必要としない、工程費用を減少させ得る薄膜太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明のその他の目的は光吸収係数が大きい非晶質真性半導体膜を含む光劣化を最小化できる薄膜太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明による薄膜太陽電池及びその製造方法は明らかな界面が形成されなくて特性が連続的に変わる真性半導体膜を含む単一接合セル又は多重接合セルを形成することを特徴とする。本発明による薄膜太陽電池及びその製造方法は可視光線波長の太陽光を吸収できる真性半導体膜を含む太陽電池セルを形成することを他の特徴とする。本発明による薄膜太陽電池及びその製造方法は追加的な工程や装備無しで優れた特性を有する真性半導体膜を含む太陽電池セルを形成することをその他の特徴とする。本発明による薄膜太陽電池及びその製造方法は光吸収係数が大きい非晶質真性半導体膜を含むことをその他の特徴とする。
【0008】
前記特徴を具現できる本発明の一実施形態による薄膜太陽電池は基板と、前記基板の上に配置された水素含有量が連続的に変わる真性半導体を含む非晶質膜を有する太陽電池セルと、を包含できる。前記非晶質膜は光が入射される入射面とその反対面を含み、前記水素含有量は前記入射面から前記反対面に行くほど、連続的に小さくなり得る。
【0009】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記基板は前記入射面に隣接配置された透明基板を包含できる。前記水素含有量は前記透明基板との距離が多くなるほど、連続的に小さくなり得る。
【0010】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記太陽電池セルは、前記透明基板の上に配置されたp形半導体膜と、前記p形半導体膜の上に配置された、前記連続的に変わる前記水素含有量を有する前記非晶質膜と、前記非晶質膜上に配置されたn形半導体膜と、を包含できる。前記水素含有量は前記非晶質膜と前記p形半導体膜との第1の界面から前記非晶質膜と前記n形半導体膜との第2の界面に行くほど、連続的に小さくなり得る。
【0011】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記透明基板と前記太陽電池セルとの間に配置された透明電極と、前記太陽電池セルの上に配置された金属電極と、をさらに包含できる。
【0012】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記太陽電池セルと前記金属電極との間に配置された反射膜をさらに包含できる。
【0013】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記基板は透明基板の代わりに前記反対面に隣接配置された不透明基板包含できる。前記水素含有量は前記不透明基板との距離が小さくなるほど、連続的に小さくなり得る。
【0014】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記太陽電池セルは、前記不透明基板の上に配置されたn形半導体膜と、前記p形半導体膜の上に配置された、前記連続的に変わる前記水素含有量を有する前記非晶質膜と、前記非晶質膜の上に配置されたp形半導体膜と、を包含できる。前記水素含有量は前記非晶質膜と前記p形半導体膜との第1の界面から前記非晶質膜と前記n形半導体膜との第2の界面に行くほど、連続的に小さくなり得る。
【0015】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記不透明基板と前記太陽電池セルとの間に配置された金属電極と、前記太陽電池セルの上に配置されて前記光が入射される透明電極と、をさらに包含できる。
【0016】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記金属電極と前記太陽電池セルとの間に反射膜をさらに包含できる。
【0017】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記非晶質膜のバンドギャップエネルギー及び光吸収係数は前記入射面から前記反対面に行くほど、連続的に小さくなり得る。
【0018】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記非晶質膜の密度は前記入射面から前記反対面に行くほど、連続的に大きくなり得る。
【0019】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記真性半導体はSiを包含できる。
【0020】
一実施形態による薄膜太陽電池において、前記非晶質膜はSi、SiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を包含できる。
【0021】
前記特徴を具現できる本発明の他の実施形態による薄膜太陽電池は基板と、前記基板の上に配置された、第1のn形不純物半導体膜と第1のp形不純物半導体膜と、前記第1のn形不純物半導体膜と前記第1のp形不純物半導体膜との間に連続的に変わる水素含有量を有する真性半導体を含む第1の非晶質膜と、が挿入された第1のセルと、前記第1のn形不純物半導体膜に隣接する金属電極と、前記第1のp形不純物半導体膜に隣接する透明電極と、を包含できる。前記第1の非晶質膜の前記水素含有量は光が入射される方に配置される前記第1のp形不純物半導体膜との第1の界面から前記光が入射される方と反対になる方に配置される前記第1のn形不純物半導体膜との第2の界面に行くほど、連続的に小さくなり得る。
【0022】
他の実施形態による薄膜太陽電池において、前記基板は透明基板を包含できる。前記透明基板の上に前記透明電極、前記第1のp形半導体膜、前記第1の非晶質膜、前記第1のn形半導体膜及び前記金属電極が順に積層され得る。前記透明基板へ光が入射され得る。
【0023】
他の実施形態による薄膜太陽電池において、前記第1のセルと前記金属電極との間に、第2のp形半導体膜と、連続的に変わる水素含有量を有する第2の真性半導体膜と、第2のn形半導体膜とが前記第1のn形半導体膜の上で順に積層された第2のセルを少なくとも1つさらに包含できる。前記第2の真性半導体膜は真性シリコンを含む非晶質膜及び結晶質膜の中で少なくともいずれか1つを包含できる。前記第2の真性半導体膜の前記水素含有量は前記透明基板との距離が多くなるほど連続的に小さくなり得る。
【0024】
他の実施形態による薄膜太陽電池において、前記金属電極と前記第1のセルとの間に配置された後面反射膜をさらに包含できる。
【0025】
他の実施形態による薄膜太陽電池において、前記基板は不透明基板を包含できる。前記不透明基板の上に前記金属電極、前記第1のn形半導体膜、前記第1の非晶質膜、前記第1のp形半導体膜、及び前記透明電極が順に積層され得る。前記透明電極へ光が入射され得る。
【0026】
他の実施形態による薄膜太陽電池において、前記第1のセルと前記金属電極との間に、第2のn形半導体膜と、連続的に変わる水素含有量を有する第2の真性半導体膜と、第2のp形半導体膜とが前記金属電極の上に順に積層された第2のセルを少なくとも1つさらに包含できる。前記第2の真性半導体膜は真性非晶質膜、真性微晶質シリコン膜、及び結晶質膜の中で少なくともいずれか1つを包含できる。前記第2の真性半導体膜の前記水素含有量は前記不透明基板との距離が小さくなるほど、連続的に小さくなり得る。
【0027】
他の実施形態による薄膜太陽電池において、前記金属電極と前記第1のセルとの間に配置された後面反射膜をさらに包含できる。
【0028】
他の実施形態による薄膜太陽電池において、前記第1の非晶質膜は、前記シリコンで構成され得る。又はSiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を包含できる。
【0029】
前記特徴を具現できる本発明の一実施形態による薄膜太陽電池の製造方法は基板を提供し、前記基板の上に、p形半導体膜とn形半導体膜と、及び前記p形半導体膜と前記n形半導体膜との間に配置された連続的に変わる水素含有量を有する真性半導体を含む非晶質膜を含むセルを形成し、前記p形半導体膜と隣接する透明電極を形成し、前記n形半導体膜と隣接する金属電極を形成することを包含できる。前記非晶質膜は光が入射される入射面とその反対面を含み、前記水素含有量は前記入射面から前記反対面に行くほど、連続的に小さくなり得る。
【0030】
一実施形態による方法において、前記非晶質膜はSi、SiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC又はこれらの組合を包含できる。
【0031】
一実施形態による方法において、前記基板は前記入射面に隣接配置される透明基板を包含できる。この場合、前記セルを形成することは、前記透明基板の上に前記p形半導体膜を形成し、前記p形半導体膜の上に半導体ソースガスを水素で希釈させた反応ガスを提供し、前記水素の希釈比を漸進的に増やしながら前記非晶質膜を形成し、前記非晶質膜の上に前記n形半導体膜を形成することを包含できる。
【0032】
一実施形態による方法において、前記基板は前記反対面に隣接配置される不透明基板を包含できる。この場合、前記セルを形成することは、前記不透明基板の上に前記n形半導体膜を形成し、前記n形半導体膜の上に半導体ソースガスを水素で希釈させた反応ガスを提供し、前記水素の希釈比を漸進的に減りながら前記非晶質膜を形成し、前記非晶質膜の上に前記p形半導体膜を形成することを包含できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、真性半導体膜の特性を急激な変化無しで連続的に変化させることによって、優れた光効率を得ることができる効果がある。さらに、追加的な工程や装備無しで連続的な特性を有する真性半導体膜を形成できるので、工程費用を減少させ得る効果がある。また、真性半導体膜を非晶質膜で形成することによって、結晶質真性半導体膜に比べて光吸収係数を増加させ得るものであり、これによって、太陽電池の光効率を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1A】本発明の一実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【図1B】本発明の一実施形態による薄膜太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。
【図1C】本発明の一実施形態による薄膜太陽電池のセルを示した断面図である。
【図1D】本発明の一実施形態による薄膜太陽電池の動作原理を説明する断面図である。
【図1E】本発明の他の実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【図1F】本発明の他の実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【図1G】本発明の他の実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【図2A】本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【図2B】本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。
【図2C】本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池のセルを示した断面図である。
【図2D】本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池の動作原理を説明する断面図である。
【図2E】本発明のその他の実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【図2F】本発明のその他の実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【図2G】本発明のその他の実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明による薄膜太陽電池及びその製造方法を添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
本発明と従来技術と比較した長所は添付された図面を参照した詳細な説明と特許請求の範囲とを通じて明確になり得る。特に、本発明は特許請求の範囲で明確に請求される。しかし、本発明は添付された図面と関連して次の詳細な説明を参照することによって、最もよく理解できる。図面において、同一な参照符号は多様な図面を通じて同一な構成要素を示す。
【0037】
<実施形態1>
図1Aは本発明の一実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。図1Bは本発明の一実施形態による薄膜太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。図1Cは本発明の一実施形態による薄膜太陽電池のセルの概念図を示した断面図である。
【0038】
図1Aを参照すれば、薄膜太陽電池100は透明基板110の上に透明電極120と、p−i−n構造のセル乃至太陽電池セル130と、金属電極170とが薄膜形態に順に積層された単一接合(single junction)のスーパーストレート(superstrate)構造であり得る。一例として、pinダイオード構造のセル130は透明電極120の上に順に積層されたp形半導体膜131、真性半導体膜133、及びn形半導体膜135を包含できる。他の例として、セル130は透明電極120の上に順に積層されたn形半導体膜135、真性半導体膜133、及びp形半導体膜131を包含できる。pinセル130と金属電極170との間に後面反射膜160がさらに提供できる。太陽光は透明基板110へ入射され得る。
【0039】
図1Bを図1Aと共に参照すれば、透明基板110を提供し(S110)、提供された透明基板110の上に前面電極として透明電極120を形成できる(S120)。透明基板110は光を透過させ得る透明性材質、例えばガラス、プラスチックや樹脂で構成され得る。透明電極120は透明基板110を通じて入射される太陽光を透過させるために透明な伝導性酸化膜(transparent conductive oxide)、例えば金属イオンが添加されたZnO、ITO、SnOx(x<2)、例えばAl、Ga、In、Bが添加されたZnO膜、Fが添加されたSnO膜等をスパッタリング或いは金属有機化学気相蒸着法(MOCVD)等を利用して形成できる。
【0040】
透明電極120の上にp形半導体膜131を形成できる(S131)。p形半導体膜131は4族元素に、例えばホウ素Bのような3B族元素がドーピングされたp形半導体を物理気相蒸着法(PVD)或いは化学気相蒸着法(CVD)等を利用して形成できる。物理気相蒸着法は水素雰囲気で進行され得る。化学気相蒸着法はプラズマ化学気相蒸着法(PECVD)、ホットウォール化学気相蒸着法(hot−wall CVD)、ホットワイヤー化学気相蒸着法(hot−wire CVD)、常圧化学気相蒸着法(APCVD)等を包含できる。本明細書では特別な言及がない限り、蒸着或いは蒸着工程であるとは前記多様な蒸着法を意味する。
【0041】
p形半導体膜131を構成する半導体はSiを包含できる。p形半導体膜131はSi以外に、SiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を包含できる。一例として、p形半導体膜131はSiH4とH2ガス、そしてp形ドーパント(例:B2H6)を利用するプラズマ化学気相蒸着法(PECVD)でp−Siを蒸着して形成できる。p形半導体膜131は非晶質、単結晶質、多結晶質、又は微細結晶質(或いはナノ結晶質)であり得る。本明細書で“半導体膜“とは“半導体で構成された膜”のみでなく“半導体を含む膜”を意味する。
【0042】
p形半導体膜131の上に光吸収層として真性半導体膜133を形成できる(S133)。真性半導体膜133はSiを包含できる。真性半導体膜133はSi以外に、SiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を蒸着して形成できる。真性半導体膜133は非晶質、単結晶質、多結晶質、マイクロ結晶質(或いはナノ結晶質)又はこれらの組合であり得る。本実施形態によれば、真性半導体膜133は結晶質又は微細結晶質が全然形成されていない非晶質シリコン膜を包含できる。
【0043】
真性半導体膜133の特性は均一でなくて真性半導体膜133の厚さ方向に沿って連続的に変化されるように形成され得る。例えば、SiH4、Si2H6、SiH2Cl2、SiH3Cl、SiHCl3、又はその組合のようなSiソースガスにH2を添加したプラズマ化学気相蒸着法(PECVD)でp形半導体膜131の上にi−Siを蒸着して真性半導体膜133を形成できる。この時、水素希釈比、例えば[H2]/[SiH4]を漸進的に増加させて真性半導体膜133を形成できる。真性半導体膜133は非晶質であり得る。[SiH4]は[SiH4]、[Si2H6]、[SiH2Cl2]、[SiH3Cl]、又は[SiHCl3]等に代替され得る。本実施形態によれば、本実施形態をこれに限定することではない一例として、水素希釈比は大略1乃至20であり得る。
【0044】
本実施形態によれば、図1Cに図示されたように、太陽光が入射される入射面からその反対面に行くほど、即ちp形半導体膜131と真性半導体膜133との第1の界面133aからn形半導体膜135と真性半導体膜133との第2の界面133bに行くほど、水素希釈比Rが高くなり得る。これによって、水素希釈比Rは太陽光が入射される透明基板110との距離が大きくなるほど、及び/又は金属電極170との距離が小さくなるほど、連続的に大きくなり得る。水素希釈比Rを漸進的に増やしながら真性半導体膜133を形成すれば、真性半導体膜133に含まれる水素の含有量は第1の界面133aから第2の界面133bに行くほど、連続的に小さくなり得る。
【0045】
前記のような条件に真性半導体膜133を形成すれば、i−Siに水素が含まれ、その水素は真性半導体膜133の欠陥と結合して欠陥を除去することによって、電子−正孔対が消滅されないので、電気を発生させるのに寄与できる。また、真性半導体膜133内での水素含有量が連続的に変わるので、水素含有量が互に異なる膜が積層された場合と異なりに界面が無いので、キャリヤーが界面で捕獲消耗される可能性が顕著に減少され得る。
【0046】
水素希釈比Rの連続的な変化にしたがって真性半導体膜133の他の特性も連続的に変化され得る。例えば、水素はSiソースガスを希釈させるので、真性半導体膜133の密度(density)を変化させ得る。水素希釈比Rが大きければ、i−Siの蒸着がより緩やかに生じ、それにしたがって規則的な配列が大きくなって密度が増加するか、或いは結晶性が大きくなり得る。したがって、水素希釈比Rが大きければ、微細結晶質や結晶質又は高密度の非晶質の真性半導体膜133が形成され得る。本実施形態によれば、水素希釈比Rが大きくなって膜の結晶性や密度が大きくなっても微細結晶質が形成される前の段階の非晶質の真性半導体膜133が形成され得る。非晶質の真性半導体膜133は第1の界面133aから第2の界面133bに行くほど、密度が大きくなり得る。非晶質の真性半導体膜133は結晶質の真性半導体膜に比べて光吸収係数(light absorption coefficient)が相対的に大きいので、これによって光変換効率が高くなり得る。光吸収層が非晶質であっても水素希釈比を増加させることによって、光誘導劣化(light−induced degration)を減少させ得る。水素希釈比Rが小さければ、これと反対に非晶質性が大きくなり、密度が小さい真性半導体膜133が形成され得る。
【0047】
水素希釈比Rが大きいほど、真性半導体膜133のバンドギャップエネルギー(band−gap energy)は小さくなり得る。反対に、水素希釈比Rが小さくなるほど、真性半導体膜133のバンドギャップエネルギーは大きくなり得る。薄膜内の水素含有量が水素希釈比が大きくなるほど、小さくなるが、これにしたがって、バンドギャップが小さくなり得る。図1Cは前記結果を示すことであって、矢印方向に行くほど、特性値が大きくなることを示す。例えば、水素希釈比Rが大きくなるほど、真性半導体膜133の密度Dは大きくなり、バンドギャップエネルギーBと光吸収係数Aとは小さくなり得る。真性半導体膜133はそのバンドギャップエネルギー値にしたがって吸収できる太陽光の波長領域が変わられる。したがって、真性半導体膜133はそのバンドギャップエネルギーが連続的に変わるので、吸収できる太陽光(例:可視光線)の波長帯域が大きくなり得る。真性半導体膜133が非晶質状態を維持しても、水素希釈比を増加させることによって、バンドギャップエネルギーは約2.0eV乃至約1.5eVの間の値を有し得る。
【0048】
p形半導体膜131のように太陽光が入射される薄膜の上にi−Siを蒸着して真性半導体膜133を形成する時、一般的な方法のように水素希釈比を固定させた場合に獲得できる光効率(例:大略9%)に比べて本実施形態のように水素希釈比を漸進的に増加させた場合には真性半導体膜133の特性が連続的乃至漸進的に変化させることによって高い光効率(例:大略9.8%)を得られる。この光効率はp−Si膜131と、水素含有量が連続的に変わる真性非晶質Si膜133と、そしてn−Si膜135を積層し、p−Si膜131とi−Si膜133との第1の界面133aに隣接するi−Si膜133内の水素含有量がi−Si膜133とn−Si膜135との第2の界面133bに隣接するi−Si膜133内の水素含有量より大きくなるように製作した単一接合非晶質Si薄膜太陽電池100から得た値である。ここで、水素含有量が変わる方向が非常に重要であり得る。例えば、p−Si膜131とi−Si膜133との第1の界面133aに隣接するi−Si膜133内の水素含有量がi−Si膜133とn−Si膜135との第2の界面133bに隣接するi−Si膜133内の水素含有量より小さくなるように製作した場合、光変換効率は大略5.8%に過ぎない値が獲得できる。
【0049】
再び図1A及び図1Bを参照すれば、真性半導体膜133の上にn形半導体膜135を形成できる(S135)。n形半導体膜135は4族元素に、例えば燐Pのような5B族元素がドーピングされたn形半導体を蒸着して形成できる。n形半導体膜135を構成する半導体はSiを包含できる。p形半導体膜131はSi以外に、SiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を包含できる。一例として、n形半導体膜135はSiH4とH2とのガス、そしてn形ドーパント前駆体ガス(例:PH3)を利用するプラズマ化学気相蒸着法(PECVD)でn−Siを蒸着して形成できる。n形半導体膜135は非晶質、単結晶質、多結晶質、マイクロ結晶質(或いはナノ結晶質)、又は非晶質ーナノ結晶質の混合構造であり得る。このように、透明電極120の上にp形半導体膜131と、真性半導体膜133と、n形半導体膜135とを順に積層してp−i−nダイオード構造のセル130を形成できる。
【0050】
n形半導体膜135の上に後面反射膜160を形成できる(S160)。後面反射膜160は太陽光の反射損失を減り、光捕獲効果(light trapping effect)を極大化させて太陽電池100の効率を向上させるために形成され得る。後面反射膜160は例えば先に列挙した酸化物透明電極120と同一又は類似な物質(例:ZnO、Zn:Al、ZnO:Ga、ZnO:B、及びZnOを含む膜)等をスパッタ蒸着、化学気相蒸着工程や電子ビーム蒸発法(E−beam evaporation)を利用して形成できる。
【0051】
後面反射膜160の上に後面電極として金属電極170を形成できる(S170)。金属電極170は透明性或いは不透明性物質を単一膜或いは多重膜構造で形成できる。一例として、金属電極170はAl、Ag、Cu、ZnO/Ag、ZnO/Al、Ni/Al等を蒸着して形成できる。前記一連の過程を通じて図1Aの薄膜太陽電池100を形成できる。
【0052】
<実施形態1の動作原理>
図1Dは本発明の一実施形態による薄膜太陽電池の動作原理を説明する断面図である。
【0053】
図1Dを参照すれば、太陽光は透明基板110へ入射され得る。入射された太陽光は真性半導体膜133に吸収されて複数の電子と複数の正孔とが生成される。真性半導体膜133はp形半導体膜131及びn形半導体膜135によって、空乏(depletion)され得るので、その内部に電気場(電場)が発生できる。真性半導体膜133で生成された電子(e−)と正孔(h+)とは内部電気場によって、n形半導体膜135とp形半導体膜131とへ各々ドリフト(drift)され得る。これによってp形半導体膜131には正孔(h+)が蓄積され、n形半導体膜135には電子(e−)が蓄積されることによって、p形半導体膜131とn形半導体膜135との間に光起電力(photovoltage)が発生できる。正孔(h+)を収集できる透明電極120と電子(e−)を収集できる金属電極170との間に負荷180を連結すれば、電流が流れ得る。
【0054】
<実施形態1の変形形態>
図1E乃至図1Gは本発明の他の実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。
【0055】
図1Eを参照すれば、薄膜太陽電池102はテクスチャーされた表面(textured surface)を有する透明電極120を包含できる。透明電極120の表面をテクスチャリングすれば、入射される太陽光の反射を低減させ得るものであり、光吸収率を高くすることができる。テクスチャリングは透明電極120の蒸着の時、或いは蒸着の後にエッチング工程で作られる。以外に、セル130、後面反射膜160、及び金属電極170の中で少なくともいずれか1つはテクスチャリング表面を有することができる。
【0056】
図1Fを参照すれば、薄膜太陽電池104は二重接合(double junction)のスーパーストレート構造であり得る。一例として、薄膜太陽電池104はp−i−n構造の第1のセル130の上にp−i−n構造の第2のセル140をさらに包含できる。第1のセル130は図1Aのセル130と実質的に同一な構造であり得る。
【0057】
第2のセル140は第1のn形半導体膜135の上に第2のp形半導体膜141、第2の真性半導体膜143、及び第2のn形半導体膜145を順に蒸着して形成できる。第2のp形半導体膜141は第1のp形半導体膜131と、第2のn形半導体膜145は第1のn形半導体膜135と実質的に同一であるか、或いは類似に形成できる。第2の真性半導体膜143は第1の真性半導体膜133と実質的に同一であるか、或いは類似に実質的に同一な水素希釈比を利用して形成された非晶質膜であり得る。
【0058】
他の例として、第2の真性半導体膜143は第1の真性半導体膜133と同様に非晶質膜で形成するが、相異なる水素希釈比を利用して形成できる。例えば、第1の真性半導体膜143の水素希釈比が1乃至10であり、第2の真性半導体膜143の水素希釈比は10乃至20であるか、或いはその逆もあり得る。前記水素希釈比が蒸着の工程の中で互いに異なることによって、第1の真性半導体膜133と第2の真性半導体膜143との中でいずれか1つは低密度の非晶質膜であり、他の1つは高密度の非晶質膜であり得る。水素希釈比は太陽光が入射される方向に沿って行くほど、大きくなり得る。ここでの水素希釈比の数値は単なる一例であるが、本発明をこれに限定しようとする意図ではない。
【0059】
その他の例として、第1の真性半導体膜133と第2の真性半導体膜143との中でいずれか1つは非晶質膜であり、他の1つは結晶質膜(例:微細結晶質膜、単結晶膜、多結晶膜)であり得る。その他の例として、第1の真性半導体膜133と第2の真性半導体膜143との中でいずれか1つは非晶質膜であり、他の1つは結晶質膜と非晶質膜との混合膜であり得る。
【0060】
図1Gを参照すれば、薄膜太陽電池106は三重接合(triple junction)のスーパーストレート構造であり得る。例えば、薄膜太陽電池106はp−i−n構造の第1のセル130の上にp−i−n構造の第2のセル140とp−i−n構造の第3のセル150とをさらに包含できる。第1のセル130は図1Aのセル130と実質的に同一な構造であり得る。
【0061】
第2のセル140は第1のn形半導体膜135の上に第2のp形半導体膜141、第2の真性半導体膜143、及び第2のn形半導体膜145を順に蒸着して形成できる。第2のp形半導体膜141は第1のp形半導体膜131と、第2のn形半導体膜145は第1のn形半導体膜135と実質的に同一であるか、或いは類似に形成できる。
【0062】
第3のセル150は第2のn形半導体膜145の上に第3のp形半導体膜151、第3の真性半導体膜153、及び第3のn形半導体膜155を順に蒸着して形成できる。第3のセル150は第1のセル130及び/又は第2のセル140と実質的に同一であるか、或いは類似に形成できる。第3のp形半導体膜151は第1のp形半導体膜131及び/又は第2のp形半導体膜141と、第3のn形半導体膜155は第1のn形半導体膜135及び/又は第2のn形半導体膜145と実質的に同一であるか、或いは類似に形成できる。第3の真性半導体膜153は第1の真性半導体膜133及び/又は第2の真性半導体膜143と実質的に同一であるか、或いは類似に形成できる。
【0063】
他の例として、第3の真性半導体膜153は第1の真性半導体膜133及び/又は第2の真性半導体膜143と類似に非晶質膜で形成し、相異なる水素希釈比を利用して形成できる。例えば、第1の真性半導体膜133の水素希釈比は1乃至7、第2の真性半導体膜143の水素希釈比は7乃至15、そして第3の真性半導体膜153の水素希釈比は15乃至20であり得る。他の例として、第1の真性半導体膜133及び第3の真性半導体膜153の中でいずれか1つの水素希釈比は7乃至15であり、他の1つの水素希釈比は15乃至20であり、第2の真性半導体膜143の水素希釈比は1乃至7であり得る。その他の例として、第1の真性半導体膜133及び第3の真性半導体膜153の中でいずれか1つの水素希釈比は1乃至7であり、他の1つの水素希釈比は7乃至15であり、第2の真性半導体膜133の水素希釈比は15乃至20であり得る。他の例として、第1乃至第3の真性半導体膜133、143、153の中で少なくともいずれか1つは水素希釈比が連続的に異なる工程条件で形成され得る。水素希釈比は太陽光が入射される方向に沿って行くほど、大きくなり得る。
【0064】
その他の例として、第1乃至第3の真性半導体膜133、143、153の中で少なくともいずれか1つは非晶質膜であり、残りは結晶質膜であり得る。その他の例として、第1乃至第3の真性半導体膜133、143、153の中で少なくともいずれか1つは非晶質膜であり、残りは結晶質膜と非晶質膜との混合膜であり得る。
【0065】
<実施形態2>
図2Aは本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池を示した断面図である。図2Bは本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。図2Cは本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池のセルを示した断面図である。
【0066】
図2Aを参照すれば、薄膜太陽電池200は不透明基板210の上に金属電極270と、n−i−p構造のセル230と、透明電極220とが薄膜形態に順に積層された単一接合(single junction)のサブストレート(substrate)構造であり得る。一例として、セル230は金属電極270の上に順に積層されたn形半導体膜235、真性半導体膜233、及びp形半導体膜231を包含できる。他の例として、セル230は金属電極270の上に順に積層されたp形半導体膜231、真性半導体膜233、及びn形半導体膜235を包含できる。後面反射膜260は金属電極270とセル230との間に配置され得る。太陽光は透明電極220へ入射され得る。
【0067】
図2Bを図2Aと共に参照すれば、不透明基板210を提供し(S210)、その不透明基板210の上に後面電極として金属電極270を形成できる(S270)。金属電極270はAl、Ag、Cu、ZnO/Ag、ZnO/Al、Ni/Al等のような透明性或いは不透明性物質を単一膜或いは多重膜構造で形成できる。
【0068】
金属電極270の上に後面反射膜260を形成できる(S260)。本実施形態によれば、太陽光は透明電極220へ入射されるので、金属基板のような不透明基板210を使用しても妨げる。他の例として、不透明基板210代わりに図1Aのような透明基板を採択することができる。後面反射膜260は先に列挙した酸化物透明電極120と同一又は類似な物質、例えば、Zn:Al、ZnO:Ga、ZnO:B、及びZnOを含む膜等に形成できる。
【0069】
金属電極270の上にn形半導体膜235を形成し(S235)、n形半導体膜235の上に真性半導体膜233を形成し(S233)、そして真性半導体膜233の上にp形半導体膜231を形成して(S231)、n−i−p構造のセル230を形成できる。n形半導体膜235とp形半導体膜231とを形成することは図1Aのn形半導体膜135とp形半導体膜131とを形成することと実質的に同一であるか、或いは類似であり得る。例えば、n形半導体膜235及びp形半導体膜231の中で少なくともいずれか1つはSi、SiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を含む非晶質膜、微細結晶質膜、単結晶膜、多結晶質膜、又は非晶質膜−ナノ結晶質の混合膜であり得る。
【0070】
真性半導体膜233は図1Aの真性半導体膜133と実質的に同一であるか、或いは類似にその厚さ方向に沿って特性が連続的に変化される非晶質膜に形成できる。例えば、太陽光が入射される方向に沿って行くほど(即ち、太陽光が入射される面から遠くなるほど)、水素希釈比が漸進的に高くなるように形成できる。本実施形態によれば、SiH4、Si2H6、SiH2Cl2、SiH3Cl、SiHCl3等のようなSi前躯体ソースガスにH2を添加してプラズマ化学気相蒸着法(PECVD)でn形半導体膜235の上にi−Siを蒸着して真性半導体膜233を形成できる。真性半導体膜233はSi以外にSiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を包含できる。本実施形態によれば、水素希釈比を漸進的に減少させて真性半導体膜233を形成できる。図2Cに示したように、真性半導体膜233において、太陽光が入射される方向に沿って行くほど、水素希釈比Rが高くなり、水素含有量は低くなり得る。即ち、水素希釈比Rは第1の界面233aから第2の界面233bに行くほど、明らかな界面の形成無しで連続的に大きくなり得るものであり、水素含有量は連続的に小さくなり得る。例えば、水素希釈比Rは、本発明をこれに限定することではない一例として、1乃至20であり得る。このように水素希釈比Rは太陽光が入射される透明電極220との距離が遠くなるほど、及び/又は不透明基板210との距離が小さくなるほど、連続的に大きくなり得る。真性半導体膜233において、水素希釈比Rの漸進的変化の以外に第1の界面233aから第2の界面233bに行くほど、真性半導体膜233のバンドギャップエネルギーBと光吸収係数Aとは漸進的に小さくなり、密度Dは漸進的に大きくなり得る。
【0071】
再び図2A及び図2Bを参照すれば、p形半導体膜231の上に前面電極として透明電極220を形成できる(S220)。透明電極220は入射される太陽光を透過させるために金属イオンが添加されたZnO、ITO、SnOx(x<2)等のような透明な伝導性酸化膜TCO、例えばAl、Ga、In、Bが添加されたZnO膜、Fが添加されたSnO膜等をスパッタリング或いは金属有機化学気相蒸着法(MOCVD)等で形成できる。前記一連の過程を通じて図2Aの薄膜太陽電池200を形成できる。
【0072】
<実施形態2の動作原理>
図2Dは本発明の変形実施形態による薄膜太陽電池の動作原理を説明する断面図である。
【0073】
図2Dを参照すれば、太陽光は透明電極220へ入射され得る。入射された太陽光は真性半導体膜233に吸収されて複数の電子と複数の正孔とが生成され得る。真性半導体膜233の内部電気場によって電子(e−)はn形半導体膜235へドリフトされて蓄積され、正孔(h+)はp形半導体膜231へドリフトされて蓄積され得る。これによって、p形半導体膜231とn形半導体膜235との間に光起電力(photovoltage)が発生できるので、透明電極220と金属電極27との0間に負荷280が連結されれば、電流が流れることができる。
【0074】
<実施形態2の変形形態>
図2E乃至図2Gは本発明のその他の実施形態による薄膜太陽電池の示した断面図である。
【0075】
図2Eを参照すれば、薄膜太陽電池202はテクスチャリングされた構造を包含できる。一例として、透明電極220、セル230、後面反射膜260、及び金属電極270の中で少なくともいずれか1つはテクスチャリング表面を有することができる。
【0076】
図2Fを参照すれば、薄膜太陽電池204は二重接合(double junction)のサブストレート構造であり得る。一例として、薄膜太陽電池204はn−i−p構造の第1のセル230の上にn−i−p構造の第2のセル240をさらに包含できる。第1のセル230は図2Aのセル230と実質的に同一又は類似な構造であり得る。第2のセル240は第1のp形半導体膜231の上に第2のn形半導体膜245、第2の真性半導体膜243、及び第2のp形半導体膜241を順に蒸着して形成できる。第2のp形半導体膜241は第1のp形半導体膜231と、第2のn形半導体膜245は第1のn形半導体膜235と実質的に同一であるか、或いは類似に形成できる。
【0077】
第2の真性半導体膜243は第1の真性半導体膜233と実質的に同一又は類似に、或いは相違なりに形成できる。一例として、非晶質の第2の真性半導体膜233の水素希釈比と非晶質の第2の真性半導体膜243の水素希釈比は同一であるか、或いは、或いはいずれかの一方が他方に比べて大きくなり得る。他の例として、第1の真性半導体膜233と第2の真性半導体膜243との中でいずれか1つは非晶質膜であり、他の1つは結晶質膜(例:微細結晶質膜、単結晶質膜、多結晶質膜)であるか、或いは結晶質膜と非晶質膜の混合膜であり得る。
【0078】
図2Gを参照すれば、薄膜太陽電池206は三重接合(triple junction)のサブストレート構造であり得る。例えば、薄膜太陽電池206はn−i−p構造の第1のセル230と金属電極270の間にn−i−p構造の第2のセル240とn−i−p構造の第3のセル250とをさらに包含できる。第3のセル250は金属電極270の上に第3のn形半導体膜255、第3の真性半導体膜253、及び第3のp形半導体膜251を順に蒸着して形成できる。第3のセル250は第1のセル230及び/又は第2のセル240と実質的に同一であるか、或いは類似に形成できる。
【0079】
第1乃至第3の真性半導体膜233、243、253の水素希釈比は互に同一であるか、或いは相異であり得る。一例として、第1乃至第3の真性半導体膜233、243、253の積層順に水素希釈比が大きくなるか、或いは小さくなる非晶質膜であり得る。他の例として、第1乃至第3の真性半導体膜233、243、253の積層順に水素希釈比が増加した後に減少されるか、或いは或いは減少した後、増加される非晶質膜であり得る。 他の例として、第1乃至 第3の真性半導体膜233、243、253の中で少なくともいずれか1つは水素希釈比が連続的に異なる工程条件で形成され得る。
【0080】
その他の例として、第1乃至第3の真性半導体膜233、243、253の中で少なくともいずれか1つは非晶質膜であり、残りは結晶質膜或いは結晶質膜と非晶質膜の混合膜であり得る。
【0081】
以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではないし、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で多様な他の組合、変更、及び環境で使用することができる。添付された請求の範囲は他の実施状態も含むこととして解析しなければならない。
【符号の説明】
【0082】
100、102、104、106、200、202、204、206・・・薄膜太陽電池
110、210・・・基板
120、220・・・透明電極
130、140、150、230、240、250・・・セル
131、141、151、231、241、251・・・p形半導体膜
133、143、153、233、243、253・・・真性半導体膜
135、145、155、235、235、255・・・n形半導体膜
160、260・・・後面反射膜
170、270・・・金属電極
180、280・・・負荷
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に配置された、第1のn形不純物半導体膜と第1のp形不純物半導体膜と、前記第1のn形不純物半導体膜と前記第1のp形不純物半導体膜との間に連続的に変わる水素含有量を有する真性半導体を含む第1の非晶質膜と、が挿入された第1のセルと、
前記第1のn形不純物半導体膜に隣接する金属電極と、
前記第1のp形不純物半導体膜に隣接する透明電極と、を含み、
前記第1の非晶質膜の前記水素含有量は光が入射される方に配置される前記第1のp形不純物半導体膜との第1の界面から前記光が入射される方と反対になる方に配置される前記第1のn形不純物半導体膜との第2の界面に行くほど、連続的に小さくなる薄膜太陽電池。
【請求項2】
前記基板は透明基板を含み、
前記透明基板の上に前記透明電極、前記第1のp形半導体膜、前記第1の非晶質膜、前記第1のn形半導体膜及び前記金属電極が順に積層され、
前記透明基板へ光が入射される請求項1に記載の薄膜太陽電池。
【請求項3】
前記第1のセルと前記金属電極との間に、
第2のp形半導体膜と、連続的に変わる水素含有量を有する第2の真性半導体膜と、第2のn形半導体膜とが前記第1のn形半導体膜の上で順に積層された第2のセルを少なくとも1つさらに含み、
前記第2の真性半導体膜は真性シリコンを含む非晶質膜及び結晶質膜の中で少なくともいずれか1つを含み、
前記第2の真性半導体膜の前記水素含有量は前記透明基板との距離が多くなるほど、連続的に小さくなる請求項2に記載の薄膜太陽電池。
【請求項4】
前記基板は不透明基板を含み、
前記不透明基板の上に前記金属電極、前記第1のn形半導体膜、前記第1の非晶質膜、前記第1のp形半導体膜、及び前記透明電極が順に積層され、
前記透明電極へ光が入射される請求項1に記載の薄膜太陽電池。
【請求項5】
前記第1のセルと前記金属電極との間に、
第2のn形半導体膜と、連続的に変わる水素含有量を有する第2の真性半導体膜と、第2のp形半導体膜とが前記金属電極の上に順に積層された第2のセルを少なくとも1つさらに含み、
前記第2の真性半導体膜は真性非晶質膜、真性微晶質シリコン膜、及び真性結晶質膜の中で少なくともいずれか1つを含み、
前記第2の真性半導体膜の前記水素含有量は前記不透明基板との距離が小さくなるほど、連続的に小さくなる請求項4に記載の薄膜太陽電池。
【請求項6】
前記第1の非晶質膜は、
前記シリコンで構成されるか、又は
SiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を含む請求項1に記載の薄膜太陽電池。
【請求項7】
基板を提供し、
前記基板の上に、p形半導体膜と、n形半導体膜と、前記p形半導体膜と前記n形半導体膜との間に配置された連続的に変わる水素含有量を有する真性半導体を含む非晶質膜とを含むセルを形成し、
前記p形半導体膜に隣接する透明電極を形成し、
前記n形半導体膜に隣接する金属電極を形成することを含み、
前記非晶質膜は光が入射される入射面とその反対面を含み、前記水素含有量は前記入射面から前記反対面に行くほど、連続的に小さくなる薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記基板は前記入射面に隣接配置される透明基板を含み、
前記セルを形成することは、
前記透明基板の上に前記p形半導体膜を形成し、
前記p形半導体膜の上に半導体ソースガスを水素で希釈させた反応ガスを提供し、前記水素の希釈比を漸進的に増やしながら前記非晶質膜を形成し、
前記非晶質膜の上に前記n形半導体膜を形成することを含む請求項7に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記基板は前記反対面に隣接配置される不透明基板を含み、
前記セルを形成することは、
前記不透明基板の上に前記n形半導体膜を形成し、
前記n形半導体膜の上に半導体ソースガスを水素で希釈させた反応ガスを提供し、前記水素の希釈比を漸進的に減りながら前記非晶質膜を形成し、
前記非晶質膜の上に前記p形半導体膜を形成することを含む請求項7に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に配置された、第1のn形不純物半導体膜と第1のp形不純物半導体膜と、前記第1のn形不純物半導体膜と前記第1のp形不純物半導体膜との間に連続的に変わる水素含有量を有する真性半導体を含む第1の非晶質膜と、が挿入された第1のセルと、
前記第1のn形不純物半導体膜に隣接する金属電極と、
前記第1のp形不純物半導体膜に隣接する透明電極と、を含み、
前記第1の非晶質膜の前記水素含有量は光が入射される方に配置される前記第1のp形不純物半導体膜との第1の界面から前記光が入射される方と反対になる方に配置される前記第1のn形不純物半導体膜との第2の界面に行くほど、連続的に小さくなる薄膜太陽電池。
【請求項2】
前記基板は透明基板を含み、
前記透明基板の上に前記透明電極、前記第1のp形半導体膜、前記第1の非晶質膜、前記第1のn形半導体膜及び前記金属電極が順に積層され、
前記透明基板へ光が入射される請求項1に記載の薄膜太陽電池。
【請求項3】
前記第1のセルと前記金属電極との間に、
第2のp形半導体膜と、連続的に変わる水素含有量を有する第2の真性半導体膜と、第2のn形半導体膜とが前記第1のn形半導体膜の上で順に積層された第2のセルを少なくとも1つさらに含み、
前記第2の真性半導体膜は真性シリコンを含む非晶質膜及び結晶質膜の中で少なくともいずれか1つを含み、
前記第2の真性半導体膜の前記水素含有量は前記透明基板との距離が多くなるほど、連続的に小さくなる請求項2に記載の薄膜太陽電池。
【請求項4】
前記基板は不透明基板を含み、
前記不透明基板の上に前記金属電極、前記第1のn形半導体膜、前記第1の非晶質膜、前記第1のp形半導体膜、及び前記透明電極が順に積層され、
前記透明電極へ光が入射される請求項1に記載の薄膜太陽電池。
【請求項5】
前記第1のセルと前記金属電極との間に、
第2のn形半導体膜と、連続的に変わる水素含有量を有する第2の真性半導体膜と、第2のp形半導体膜とが前記金属電極の上に順に積層された第2のセルを少なくとも1つさらに含み、
前記第2の真性半導体膜は真性非晶質膜、真性微晶質シリコン膜、及び真性結晶質膜の中で少なくともいずれか1つを含み、
前記第2の真性半導体膜の前記水素含有量は前記不透明基板との距離が小さくなるほど、連続的に小さくなる請求項4に記載の薄膜太陽電池。
【請求項6】
前記第1の非晶質膜は、
前記シリコンで構成されるか、又は
SiGe、SiC、SiO、SiN、SiON、SiCN、SiGeO、SiGeN、SiGeC、又はこれらの組合を含む請求項1に記載の薄膜太陽電池。
【請求項7】
基板を提供し、
前記基板の上に、p形半導体膜と、n形半導体膜と、前記p形半導体膜と前記n形半導体膜との間に配置された連続的に変わる水素含有量を有する真性半導体を含む非晶質膜とを含むセルを形成し、
前記p形半導体膜に隣接する透明電極を形成し、
前記n形半導体膜に隣接する金属電極を形成することを含み、
前記非晶質膜は光が入射される入射面とその反対面を含み、前記水素含有量は前記入射面から前記反対面に行くほど、連続的に小さくなる薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記基板は前記入射面に隣接配置される透明基板を含み、
前記セルを形成することは、
前記透明基板の上に前記p形半導体膜を形成し、
前記p形半導体膜の上に半導体ソースガスを水素で希釈させた反応ガスを提供し、前記水素の希釈比を漸進的に増やしながら前記非晶質膜を形成し、
前記非晶質膜の上に前記n形半導体膜を形成することを含む請求項7に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記基板は前記反対面に隣接配置される不透明基板を含み、
前記セルを形成することは、
前記不透明基板の上に前記n形半導体膜を形成し、
前記n形半導体膜の上に半導体ソースガスを水素で希釈させた反応ガスを提供し、前記水素の希釈比を漸進的に減りながら前記非晶質膜を形成し、
前記非晶質膜の上に前記p形半導体膜を形成することを含む請求項7に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【公開番号】特開2012−175112(P2012−175112A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−36982(P2012−36982)
【出願日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】
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