説明

薄葉紙の供給ケース

【課題】供給ケース本体以外の部材を必要とせず、薄葉紙のサイズにかかわらず簡単にケースの中央部分に収納することができ、かつ、連続して引出しすることができる薄葉紙の供給ケースを提供する。
【解決手段】薄葉紙を収納する箱体2と、薄葉紙を引出すための引出口を備えた蓋体3と、箱体2内に設けられ、薄葉紙を載置させるための台部材5と、台部材5を箱体2の底部から蓋体3方向へ付勢する手段とを備えた供給ケース1において、蓋体3の内面には、複数の蓋体突出部30が設けられ、蓋体突出部30はそれぞれ引出口から離れるに従って高さが増大するテーパ状であり、台部材5の上面には、引出口に対向する位置の両側に複数の台部材突出部50が設けられ、台部材突出部50はそれぞれ引出口に対向する位置から離れるに従って高さが増大するテーパ状であり、複数の蓋体突出部30と、複数の台部材突出部50とが互い違いに対向する位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続して順次取出し可能に収納した薄葉紙の供給ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図8に示すように、連続して引出し可能とするために、複数枚の2つ折りの紙片の折曲げ方向を向き合わせにして、紙片の端部同士を交互に重ね合わせて積層させた薄葉紙(以下、薄葉紙という)がある。このような薄葉紙としては、例えば、パーマネントを施す際に毛髪の毛先を巻いて押さえるために用いるコールドペーパー、ティッシュペーパー及びペーパータオル等が知られている。
【0003】
この薄葉紙は、コールドペーパーの例を挙げると、細いカール用の細いロットに対応する幅狭の薄葉紙、大きなカール用の太いロットに対応する幅広の薄葉紙、といったように、サイズの異なるものが存在する。
【0004】
このような薄葉紙を連続して取出し得る供給ケースとして、特許文献1には、矩形箱体状の上面部中央に開口する引出口から薄葉紙が連続して取出し得るように内部から上面方向へ付勢状態で収納されており、この上面部内側には引出口側に向けて山形誘発面部が設けられている薄葉紙の供給ケースが記載されている。さらに、ケース本体の内側上下に亘って溝を対向して形成し、対抗溝の間に仕切り板を差込みすることで、薄葉紙の各サイズに対応して収納引出可能であることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、広幅方向の両側面の内側面にウレタンフォームなどの圧縮可能な弾性部材からなる位置調整用の部材を設けた衛生薄葉紙用ディスペンサーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平6−46401号公報
【特許文献2】特開2006−27694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された薄葉紙の供給ケースでは、ケース本体の内側に薄葉紙の各サイズに合った仕切り板を差し込むことで薄葉紙の各サイズに合わせて収納可能としている。それゆえ、薄葉紙を収納する際に、その都度収納する薄葉紙に対応する位置の溝に仕切り板を差し込まなくてはならず、供給ケース本体とは別の仕切り板という部材が必要になると共に、収納に手間がかかっていた。さらに、溝の位置ごとに対応できる薄葉紙の幅が決まってしまうため、薄葉紙のサイズと溝の位置が合わず、適当な仕切り板を使用できない場合もあった。
【0008】
また、特許文献2に記載された衛生薄葉紙用ディスペンサーでは、圧縮可能な弾性部材が紙箱入りの薄葉紙の側面と接触して内部スペースを埋めて位置を調整する。それゆえ、紙箱入りでない薄葉紙、例えば、コールドペーパー等では、ディスペンサー内に収納された薄葉紙に直接弾性部材からの圧力がかかり、薄葉紙が曲がったり、変形するために、引出口から薄葉紙が引出しされなくなるという問題があった。
【0009】
本発明は上述した点に鑑み案出されたもので、その目的は供給ケース本体以外の部材を必要とせず、薄葉紙のサイズにかかわらず簡単にケースの引出口位置に対して中央部分に収納することができ、かつ、収納された薄葉紙のサイズにかかわらず連続して引出しすることができる薄葉紙の供給ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の薄葉紙の供給ケ−スは、薄葉紙を収納する箱体と、薄葉紙を引出すためのスリット状の引出口を備えた蓋体と、箱体内に設けられ、薄葉紙を載置させるための台部材と、台部材を箱体の底部から蓋体方向へ付勢する手段とを備えた供給ケースにおいて、蓋体の内面には、引出口の両側に引出口と平行な列として配置された複数の蓋体突出部が設けられ、蓋体突出部はそれぞれ引出口から離れるに従って突出高さが増大するテーパ状であり、台部材の上面には、引出口に対向する位置の両側に引出口と平行な列として配置された複数の台部材突出部が設けられ、台部材突出部はそれぞれ引出口に対向する位置から離れるに従って突出高さが増大するテーパ状であり、蓋体に設けられた複数の蓋体突出部と、台部材に設けられた複数の台部材突出部とが互い違いに対向する位置に設けられてなる。
【0011】
薄葉紙は、箱体内に設けられた台部材に載置されて、蓋体方向へ付勢手段により付勢され、蓋体に備えられた引出口から引出し可能に収納される。薄葉紙の収納にあたっては、薄葉紙をその折曲げ線が引出口と平行となるように台部材上に載置して蓋体を箱体に被せると、台部材の上面に設けられている、引出口から離れるに従って突出高さが増大するテーパ状の台部材突出部と、蓋体の内面に設けられている、引出口に対向する位置から離れるに従って突出高さが増大するテーパ状の蓋体突出部とによって、薄葉紙は押圧される。すなわち、薄葉紙は、その両側の折曲げ線間の中央(幅方向の中心)が引出口に対向するように台部材突出部及び蓋体突出部に案内されその位置で固定支持される。よって、薄葉紙が異なる幅を有する場合であっても、薄葉紙の幅方向の中心が引出口に対向するように固定支持されることとなる。
【0012】
薄葉紙はその幅方向の中心が引出口に対向するように固定支持されることから、蓋体に備えられた引出口からは薄葉紙の端部が突出され、この端部を掴んで引っ張ることで薄葉紙を連続して取出すことができる。薄葉紙の取出しに伴って、蓋体の内面に設けられたテーパ状の蓋体突出部により生じた引出口の下部と薄葉紙の最上面との空間で薄葉紙が湾曲する。この薄葉紙の湾曲により、折り重なっていた次の段の薄葉紙が引出されやすく、山形の湾曲状にくせ付けされた薄葉紙が次の取出しに備えられる。
【0013】
箱体に収納された薄葉紙の残量が少なくなると、蓋体に設けられた複数の蓋体突出部と台部材に設けられた複数の台部材突出部とが薄葉紙の幅方向の外側で互いに交差して組合わされ、台部材の薄葉紙と接する部分の面の幅が、収納されている薄葉紙の幅と同程度の長さに調整される。これにより、台部材の上面で薄葉紙が移動する空間が失われ、薄葉紙の幅方向の端部が、蓋体に設けられた複数の蓋体突出部と台部材に設けられた複数の台部材突出部に押圧された状態で固定支持される。それゆえ薄葉紙の残量が少なくなっても、薄葉紙の幅にかかわらず、薄葉紙の幅方向の中心が引出口に対向するように固定支持された状態が保持され、最後まで連続して薄葉紙を引出すことが可能となる。
【0014】
なお、本明細書において、薄葉紙の幅とは、薄葉紙の折曲げ方向の長さ、即ち薄葉紙の折曲げ線間の距離を意味している。また、本発明で用いる薄葉紙には薄葉紙の束のみでなく、薄葉紙がフィルム等の包装巻シートで結束されている薄葉紙の包装体及び薄葉紙がフィルム等の包装巻シートで結束されていると共に包装巻シートにある破断切込み線をひきちぎるための摘み片がその巻シート上に設けられている薄葉紙の包装体等(特開2009−165763号公報参照)も含まれる。
【0015】
蓋体は互いに独立した2つの部材から構成されており、これら2つの部材が対向して引出口を構成していることが好ましい。薄葉紙を収納する際には、薄葉紙の束を台部材上に載せて指で薄葉紙の上面を押さえながら蓋体を構成する一方の部材を箱体に取付けることにより、薄葉紙を台部材の上で仮固定することができる。仮固定した薄葉紙の最上段の端部を引出口から突出するように摘み、蓋体を構成するもう一方の部材を箱体に取付けることにより、薄葉紙が収納され得る。
【0016】
蓋体に設けられた複数の蓋体突出部及び/又は台部材に設けられた複数の台部材突出部は、引出口の中心軸に対して対称に設けられていることが好ましい。蓋体に設けられた複数の蓋体突出部及び/又は台部材に設けられた複数の台部材突出部が箱体内部に収納された薄葉紙を均一に押さえるため、薄葉紙が安定して固定される。
【0017】
蓋体に設けられた複数の蓋体突出部は複数のリブであり、台部材に設けられた複数の台部材突出部間の溝に複数のリブがそれぞれ係入されるように構成されていることが好ましい。蓋体に設けられた複数の蓋体突出部がリブであるため、蓋体突出部と薄葉紙との当接面が小さく、薄葉紙との摩擦力も小さいことから、薄葉紙が引出口から滑らかに引出される。
【0018】
蓋体に設けられた複数の蓋体突出部及び/又は台部材に設けられた複数の台部材突出部は、突出高さが直線的に不連続に増大するように構成されていることが好ましい。供給ケースに収納される薄葉紙の幅に対応した蓋体突出部及び/又は台部材突出部の突出高さが段階的に選択される。これにより、所定のサイズの薄葉紙が適当に固定され得る。
【0019】
蓋体に設けられた複数の蓋体突出部及び/又は台部材に設けられた複数の台部材突出部は、突出高さが曲線的に連続的に増大するように構成されていることも好ましい。蓋体突出部及び/又は台部材突出部の突出高さを連続的に増大するように付与することで、多様な幅長さを有する薄葉紙に対応することができる。これにより、多様なサイズの薄葉紙が適当に固定され得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、以下のような優れた効果を有する薄葉紙の供給ケースを提供することができる。
(1)1つの供給ケースにサイズの異なる薄葉紙がその幅方向の中心が引出口に対向するように固定支持して収納され、安定して連続して引出すことができる。
(2)収納された薄葉紙の残量が少なくなっても、その幅方向の中心が引出口に対向するように固定支持され、使い終わりまで連続して引出すことができる。
(3)供給ケース本体以外の部材を必要とせず、薄葉紙の収納等の取扱いも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る薄葉紙の供給ケースを外から見た斜視図である。
【図2】図1の実施形態に係る薄葉紙の供給ケースの蓋体を構成する蓋部材の1つを開けたところを示す図である。
【図3】図1の供給ケースのA−A線断面図であって(a)台部材が付勢手段により持ち上げられ蓋体側に最も接近しているところを示すA−A線の断面図及び(b)台部材が箱体の底部側に押し下げられたところを示すA−A線の断面図である。
【図4】図1のA−A線の部分拡大断面図であって(a)蓋体及び台部材に設けられた突出部の突出高さが直線的に不連続に増大することを示す拡大断面図及び(b)蓋体及び台部材に設けられた突出部の突出高さが曲線的に連続的に増大することを示す拡大断面図である。
【図5】幅の狭い薄葉紙を使用する場合を示す説明図である。
【図6】幅の広い薄葉紙を使用する場合を示す説明図である。
【図7】薄葉紙の残量が少ない場合の使用状況を示す説明図である。
【図8】薄葉紙の積層構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0023】
図1〜7に示すように、供給ケース1は、薄葉紙Pを収納する箱体2と薄葉紙Pを引出すためのスリット状の引出口4を備えた蓋体3と、箱体2内に設けられ、薄葉紙Pを載置させるための台部材5と、台部材5を箱体2の底部から蓋体3方向へ付勢する手段6とを備えており、蓋体3の内面には、引出口4の両側に引出口4と平行な列として配置された複数の蓋体突出部30が設けられ、蓋体突出部30はそれぞれ引出口4から離れるに従って突出高さが増大するテーパ状であり、台部材5の上面には、引出口4に対向する位置の両側に引出口4と平行な列として配置された複数の台部材突出部50が設けられ、台部材突出部50はそれぞれ引出口4に対向する位置から離れるに従って突出高さが増大するテーパ状であり、蓋体3に設けられた複数の蓋体突出部30と、台部材5に設けられた複数の台部材突出部50とが互い違いに対向する位置に設けられている。以下、詳述する。
【0024】
図1に示すように、供給ケース1は、主に、箱体2と蓋体3とから構成されている。この蓋体3は互いに独立した2つの蓋部材3a及び3bから構成されており、以下に説明する引出口4の中心を通り、かつ箱体2を二分する中心面に対して面対称の形状を有している。本実施形態においては、これら蓋部材3a及び3bが所定の間隔をあけて箱体2に取付けられることにより、薄葉紙Pを引出すためのスリット状の引出口4が形成される。図3に示すように、蓋部材3a及び3bの各々は、引出口4を構成していない側に備えられた取付部31にて箱体2の取付部21と線細工ばね等で取付けられており、取付部31を支点として、図2に示すように蓋部材3a及び3bを夫々開閉することができる。
【0025】
図2及び図3に示すように、蓋部材3a及び3bの内面には、テーパ状の蓋体突出部30が複数設けられている。蓋体突出部30は、蓋体3を箱体2に取付けて閉めた状態で、台部材5側の方向へ突出している。これら複数の蓋体突出部30は、引出口4の両側に引出口4とそれぞれ平行な列として2列に配列されている。各列における蓋体突出部30の数は特に限定されないが、本実施形態においては4つ設けられている。これら蓋体突出部30は引出口4の中心を通り、かつ箱体2を二分する中心面に対して面対称となるように形成され、引出口4から離れるに従って突出高さが増大するように形成されている。
【0026】
さらに、図3に示すように、各列の4つの蓋体突出部30は、蓋体3を箱体2に取付けて閉めた状態で、引出口4の中心軸に対して平行な線上にある各蓋体突出部30の一点から台部材5の上面までの各垂直距離が、4つの蓋体突出部30の各々について同じ高さとなるように設計されている。そのため、4つの蓋体突出部30は、台部材5の上に載置された薄葉紙Pを均等に押圧することができる。
【0027】
また、図4(a)に示すようにテーパ状の蓋体突出部30は、突出高さが直線的に不連続に増大してなる複数のテーパをその突出先端に有するように構成されている。テーパの段数は特に限定されないが、本実施形態においては、蓋体突出部30が3段のテーパを有している。薄葉紙の幅WPに対応したテーパが段階的に形成されることにより、薄葉紙Pが安定して固定される。具体的には、蓋部材3aの蓋体突出部30の1段目のテーパから蓋部材3bの蓋体突出部30の1段目のテーパまでの距離W31に略等しい幅を有する薄葉紙Pが、蓋部材3a及び3bの1段目のテーパ間に安定して固定される。このように、テーパの段数に対応する複数種類の幅の薄葉紙を安定して固定することができる。なお、蓋部材3a及び3bのテーパ間の距離は、以下に説明する台部材5のテーパ間の距離と必ずしも等しくある必要はないが、略等しいことが望ましい。
【0028】
一方、図4(b)に示すように、テーパ状の蓋体突出部30は、突出高さが曲線的に連続的に増大する単一のテーパをその突出先端に有するように構成されていてもよい。この場合には、図4(a)の場合より多種の幅の薄葉紙Pに対応して、薄葉紙Pを固定することができる。
【0029】
次に台部材5について説明する。図2〜図4に示すように、台部材5は箱体2の内部に備えられている。使用時は、台部材5の上面には薄葉紙Pが載置される。この台部材5の下方には台部材5を箱体2の底部から蓋体3方向へ付勢する付勢手段6が取付けられている。特に限定されないが、付勢手段6は、例えば、コイルスプリング等の弾性体で構成される。本実施形態ではコイルスプリング6が箱体2の底面と台部材5の下面との間に取付けられている。図3で示すように、台部材5の両端にはガイド片52が設けられており、箱体2の両内側に設けられているガイドレール22にガイド片52が嵌合して台部材5が箱体2に取付けられる。台部材5は、ガイド片52がガイドレール22に案内されることにより箱体2の底部と蓋体3との間を移動することができ、その下部に取付けられたスプリング6によりガイドレール22の端のストッパ23に阻止されるまで常時上方に付勢されている。
【0030】
図2〜図4に示すように、台部材5の上面には、テーパ状の台部材突出部50が複数設けられている。台部材突出部50は、蓋体3を箱体2に取付けて閉めた状態で、蓋体3側の方向へ突出している。これら複数の台部材突出部50は、引出口4に対向する位置の両側に引出口4とそれぞれ平行な列として2列に配列されている。各列における台部材突出部50の数は特に限定されないが、本実施形態においては5つ設けられている。これら台部材突出部50は引出口4の中心を通り、かつ箱体2を二分する中心面に対して面対称となるように形成され、引出口4から離れるに従って蓋体3側へ突出高さが増大するように形成されている。
【0031】
さらに、図3に示すように、各列の5つの台部材突出部50は、引出口4の中心軸に対して平行な線上にある各台部材突出部50の突出高さが5つの台部材突出部50各々について同じ高さになるように設計されている。そのため、5つの台部材突出部50は、台部材5の上に載置された薄葉紙Pを均等に支持することができる。
【0032】
また、図4(a)に示すようにテーパ状の台部材突出部50は、突出高さが直線的に不連続に増大してなる複数のテーパをその突出先端に有するように構成されている。テーパの段数は特に限定されないが、本実施形態においては、台部材突出部50が3段のテーパを有している。薄葉紙の幅WPに対応したテーパが段階的に形成されることにより、薄葉紙Pが安定して支持される。具体的には、台部材5の1段目のテーパ間の距離W51に略等しい幅を有する薄葉紙Pが、台部材5の1段目のテーパ間に安定して支持される。このように、テーパの段数に対応する複数種類の幅の薄葉紙を安定して支持することができる。なお、台部材5のテーパ間の距離は、蓋部材3a及び3bのテーパ間の距離と必ずしも等しくある必要はないが、略等しいことが望ましい。また、本実施形態において、台部材5の台部材突出部50及び溝51でない部分の台部材5の上面は水平面であるが、引出口4の中心を通り、かつ箱体2を二分する中心面に対して角度が設けられていてもよい。
【0033】
一方、図4(b)に示すように、テーパ状の台部材突出部50は、突出高さが曲線的に連続的に増大する単一のテーパをその突出先端に有するように構成されていてもよい。この場合には、図4(a)の場合より多種の幅の薄葉紙Pに対応して、薄葉紙Pを支持することができる。
【0034】
また、蓋体に設けられているテーパ状の蓋体突出部30及び台部材5に設けられているテーパ状の台部材突出部50の突出高さは、図4(a)のように直線的に不連続に増大するように構成されているものと、図4(b)のように曲線的に連続的に増大するように構成されているものとの組み合わせによるものであってもよい。
【0035】
次に、蓋体3に設けられた蓋体突出部30と台部材5に設けられた台部材突出部50との配置関係を説明する。図2に示すように、蓋体3に設けられた蓋体突出部30と、台部材5に設けられた台部材突出部50とは互い違いに対向する位置に設けられている。本実施形態では、蓋体3を構成する蓋部材3a及び3bの内面に設けられた蓋体突出部30が4つのリブであり、台部材5の上面に設けられた大小5つの台部材突出部50の間にある4つの溝51にこれら4つのリブがそれぞれ係入される。溝51は蓋体3に設けられた蓋体突出部30の位置及び突出高さに対応しており、引出口4の中心軸に対して対称に形成され、引出口4に対向する位置から離れるに従って溝51の深さが増大するように設けられている。
【0036】
供給ケース1への薄葉紙Pの収納にあたり、薄葉紙Pを台部材5上に載置すると、薄葉紙Pは台部材5の上面に設けられたテーパ状の台部材突出部50に案内され、その幅方向の中心が引出口4に対向するように中央に配置される。そして、蓋体3を閉めることにより、薄葉紙Pは蓋体3の内面に設けられたテーパ状の蓋体突出部30にも案内され、その幅方向の中心が引出口4に対向するように中央に配置され固定される。また、このテーパ状の蓋体突出部30は薄葉紙の幅WPに対応したテーパの段部分又は突出高さ部分で薄葉紙の幅方向の端部P2を蓋体3から箱体2の底部方向へと押圧して、薄葉紙を固定する。このように、異なる幅を有する薄葉紙Pであっても、引出口4に対して中央に配置されて固定される。
【0037】
図5を用いて、本実施形態における幅の狭い薄葉紙を使用する場合について説明する。幅の狭い薄葉紙P′を台部材5の上面に載置すると、この薄葉紙P′は台部材5の上面に設けられたテーパ状の台部材突出部50に案内され、その幅方向の中心が引出口4に対向するように中央に配置される。ここで、薄葉紙の上面を指で軽く押し下げて蓋体3を閉めると、薄葉紙P′はさらに蓋体3の内面に設けられた蓋体突出部30に案内され、その幅方向の中心が引出口4に対向して中央に配置される。その際、テーパ状の蓋体突出部30が薄葉紙の幅WP′に対応したテーパの段部分又は突出高さ部分で薄葉紙の幅方向の端部P2′を押圧するため、薄葉紙P′が固定される。このように、幅の狭い薄葉紙P′が引出口4に対向して中央に固定されるため、引出口4から離れた位置に薄葉紙P′の幅方向の中心が配置して薄葉紙の引出端部P1′が引出口4から少ししか突出しないとか、全く突出しない、というような状態になることがなく、安定して薄葉紙の引出端部P1′が引出口4から突出する。
【0038】
次に図6を用いて、本実施形態における幅の広い薄葉紙を使用する場合について説明する。幅の広い薄葉紙P″を台部材5の上面に載置すると、通常の供給ケースと同様に、薄葉紙P″は台部材5の上面全体に配置される。薄葉紙P″の上面を指で軽く押し下げて蓋体3を閉めると、薄葉紙の幅方向の端部P2″とテーパ状の蓋体突出部30が接触して蓋体3から箱体2の底部方向へと押圧するため、薄葉紙P″が固定される。
【0039】
次に図7を用いて、本実施形態における薄葉紙の残量が少なくなった場合の使用について説明する。箱体2に収納された薄葉紙Pの残量が少なくなると、薄葉紙の幅方向の端部P2の外側で、蓋体3に設けられた蓋体突出部30が台部材5に設けられた台部材突出部50の間の溝51にそれぞれ係入し、台部材の薄葉紙と接する部分の面の幅が、収納されている薄葉紙の幅WPと同程度の長さに調整される。薄葉紙の幅方向の端部P2の外側で蓋体突出部30及び台部材突出部50が互いに交差して組合わされることにより、台部材5の上面に薄葉紙Pが移動する空間が失われ、薄葉紙Pは台部材5の上面に設けられたテーパ状の台部材突出部50に案内された状態で固定される。それゆえ薄葉紙の残量が少なくなっても、薄葉紙の幅WPにかかわらず、その薄葉紙Pの幅方向の中心が引出口4に対向するように中央に配置された状態が保持され、最後まで連続して薄葉紙Pが引出される。
【0040】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0041】
1 供給ケース
2 箱体
21 取付部
22 ガイドレール
23 ストッパ
3 蓋体
3a、3b 蓋部材
30 蓋体突出部
W31、W32、W33 蓋部材3a及び3bの蓋体突出部のテーパ間の距離
31 取付部
4 引出口
5 台部材
50 台部材突出部
W51、W52、W53 台部材突出部のテーパ間の距離
51 台部材の溝
52 ガイド片
6 付勢手段(コイルスプリング)
P、P′、P″ 薄葉紙
P1、P1′ 薄葉紙の引出端部
P2、P2′、P2″ 薄葉紙の幅方向の端部
P3 薄葉紙の折曲げ線
WP、WP′ 薄葉紙の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄葉紙を収納する箱体と、該薄葉紙を引出すためのスリット状の引出口を備えた蓋体と、前記箱体内に設けられ、該薄葉紙を載置させるための台部材と、前記台部材を前記箱体の底部から前記蓋体方向へ付勢する手段とを備えた供給ケースにおいて、
前記蓋体の内面には、前記引出口の両側に該引出口と平行な列として配置された複数の蓋体突出部が設けられ、前記蓋体突出部はそれぞれ前記引出口から離れるに従って突出高さが増大するテーパ状であり、
前記台部材の上面には、前記引出口に対向する位置の両側に該引出口と平行な列として配置された複数の台部材突出部が設けられ、前記台部材突出部はそれぞれ前記引出口に対向する位置から離れるに従って突出高さが増大するテーパ状であり、
前記蓋体に設けられた複数の前記蓋体突出部と、前記台部材に設けられた複数の前記台部材突出部とが互い違いに対向する位置に設けられていることを特徴とする薄葉紙の供給ケース。
【請求項2】
前記蓋体は互いに独立した2つの部材から構成されており、該2つの部材が対向して前記引出口を構成していることを特徴とする請求項1に記載の薄葉紙の供給ケース。
【請求項3】
前記蓋体に設けられた複数の前記蓋体突出部及び/又は前記台部材に設けられた複数の前記台部材突出部は、前記引出口の中心軸に対して対称に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄葉紙の供給ケース。
【請求項4】
前記蓋体に設けられた複数の前記蓋体突出部は複数のリブであり、前記台部材に設けられた複数の前記台部材突出部間の溝に該複数のリブがそれぞれ係入されるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の薄葉紙の供給ケース。
【請求項5】
前記蓋体に設けられた複数の前記蓋体突出部及び/又は前記台部材に設けられた複数の前記台部材突出部は、突出高さが直線的に不連続に増大するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の薄葉紙の供給ケース。
【請求項6】
前記蓋体に設けられた複数の前記蓋体突出部及び/又は前記台部材に設けられた複数の前記台部材突出部は、突出高さが曲線的に連続的に増大するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の薄葉紙の供給ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−195153(P2011−195153A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61555(P2010−61555)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(593024922)
【出願人】(000240570)米正株式会社 (3)
【Fターム(参考)】